(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084130
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】有機化合物、発光素子及び表示パネル
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20240617BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20240617BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20240617BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240617BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
C07F5/02 A CSP
H10K85/30
H10K50/12
H10K59/10
C09K11/06 660
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201820
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】202211598613.0
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204386
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 啓
(72)【発明者】
【氏名】ルイフェン・へ
(72)【発明者】
【氏名】キャンジエ・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ジンヤオ・ソン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H048
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD69
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB92
(57)【要約】
【課題】発光効率、安定性及び寿命等の性能に優れた発光材料を提供するための有機化合物、発光素子及び表示パネルを提供する。
【解決手段】本発明の実施例は、有機化合物、発光素子及び表示パネルを開示し、該有機化合物は一般式(1)で示される構造
[化1]
を有する。本発明は、アミノ基含有有機化合物を使用し、該有機化合物に複素環とともにアミノ基を有することにより、発光素子に応用される材料の共鳴効果が強化され、材料の性能が改善され、発光素子の発光効率が向上し、発光素子の発光寿命が長くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される構造を有し、
【化1】
式中、ZはCR
1R
2、NR
3、O又はSから選択され、
XはO又はNR
4から選択され、
R
1~R
4は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~29の芳香族基、置換又は非置換の炭素数26~36のヘテロ芳香族基から選択され、
R
1、R
2は互いに連結して環を形成するか、又は環を形成せず、
Ar
1は、H、D、置換又は非置換の炭素数1~6のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数12~20のヘテロ芳香族基から選択され、
Ar
2~Ar
3は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換の炭素数7~18の芳香族基、置換又は非置換の炭素数12~16のヘテロ芳香族基から選択され、
Ar
4~Ar
6は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数6~31の芳香族基、置換又は非置換の炭素数6~26のヘテロ芳香族基から選択されることを特徴とする、有機化合物。
【請求項2】
一般式(2)~(11)のいずれか1つで示される構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
【化2】
【請求項3】
一般式(12)で示される構造を有し、
【化3】
式中、YはCR
5R
6、NR
7、O又はSから選択され、
R
5~R
7は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基から選択され、
R
5、R
6は互いに連結して環を形成するか、又は環を形成せず、
Ar
7~Ar
8は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基から選択され、
Ar
9は置換又は非置換のフェニル基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項4】
R5~R7は各出現時に、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換のフェニル基から選択され、
Ar7~Ar8は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の有機化合物。
【請求項5】
一般式(13)で示される構造を有し、
【化4】
式中、AはCR
9R
10、NR
11、O又はSを表し、
nは0~4の整数を表し、
R
8~R
11は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基から選択され、
nが0に等しい場合、R
9、R
10は互いに連結して環を形成するか又は環を形成せず、nが1以上である場合、R
8とR
9及び/又はR
10は互いに連結して環を形成するか又は環を形成しないことを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項6】
一般式(14)で示される構造を有し、
【化5】
式中、Ar
10~Ar
11は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換の炭素数6~18の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~13のヘテロ芳香族基から選択され、
Ar
12は置換又は非置換のフェニル基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項7】
Ar10~Ar11は、それぞれ独立して置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の有機化合物。
【請求項8】
Ar1は、H、D、メチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーアミル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基、置換又は非置換のアミノ基から選択され、
Ar2~Ar3は、それぞれ独立して置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択され、
Ar4~Ar6は、それぞれ独立して置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択され、
R1~R4は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換のフェニル基から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の有機化合物。
【請求項9】
以下の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
【化6A】
【化6B】
【化6C】
【化6D】
【化6E】
【化6F】
【化6G】
【化6H】
【化6I】
【請求項10】
第1電極及び第2電極を含む一対の電極と、
前記第1電極と前記第2電極の間に位置する有機機能層と、
を含み、
前記有機機能層の材料は請求項1に記載の有機化合物の1つ以上を含むことを特徴とする、発光素子。
【請求項11】
前記有機機能層は少なくとも発光層を含み、前記発光層はホスト材料及びゲスト材料を含み、前記ゲスト材料は請求項1に記載の有機化合物の1つ以上であることを特徴とする、請求項10に記載の発光素子。
【請求項12】
請求項10から11のいずれか1項に記載の発光素子を含むことを特徴とする、表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示の分野に関し、特に、有機化合物、発光素子及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常、正極、負極及びそれらの間の有機層を有し、有機層の有機物質を利用して電気エネルギーを光エネルギーに変換することにより、有機エレクトロルミネッセンスを実現している。有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率及び使用寿命を向上させるために、有機層は複数あることが多く、層ごとに異なる有機物がある。具体的には、有機層は主に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を含む。有機エレクトロルミネッセンス素子の正極と負極の間に電圧を印加することにより、正極は有機層に正孔を注入し、負極は有機層に電子を注入し、注入された正孔と電子が出会って励起子を形成し、励起子が基底状態に遷移する際に発光し、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光が実現される。有機エレクトロルミネッセンス素子は、自発光、高輝度、高効率、低電圧駆動、広視野角、高コントラスト及び高応答といった特徴を有するため、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、幅広く応用することが期待される。
【0003】
これに応じて、有機発光ダイオード(OLED,Organic Light Emitting Diode)の材料開発も、合成上の多様性、シンプルな組成と簡単なプロセス等の一連の利点により、幅広い注目を集めている。また、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を向上させるために、エネルギー伝達及び変換のメカニズムのための様々な材料系が試みられていたが、OLED素子に応用される発光材料は、発光効率、安定性及び寿命等の性能に依然として劣っていることにより、OLED素子の性能向上は制約されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、上記技術的課題を解決するための有機化合物、発光素子及び表示パネルは早急に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、現在OLED素子に応用されている発光材料の発光効率、安定性及び寿命等の性能に劣ることにより、OLED素子の性能向上が困難であるという技術的課題を緩和できる、有機化合物、発光素子及び表示パネルを提供する。
【0006】
本発明は、一般式(1)で示される構造を有し、
【化1】
式中、ZはCR
1R
2、NR
3、O又はSから選択され、
XはO又はNR
4から選択され、
R
1~R
4は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~29の芳香族基、置換又は非置換の炭素数26~36のヘテロ芳香族基から選択され、
R
1、R
2は互いに連結して環を形成するか、又は環を形成せず、
Ar
1は、H、D、置換又は非置換の炭素数1~6のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数12~20のヘテロ芳香族基から選択され、
Ar
2~Ar
3は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換の炭素数7~18の芳香族基、置換又は非置換の炭素数12~16のヘテロ芳香族基から選択され、
Ar
4~Ar
6は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数6~31の芳香族基、置換又は非置換の炭素数6~26のヘテロ芳香族基から選択される、有機化合物を提供する。
【0007】
好ましくは、前記有機化合物は一般式(2)~(11)のいずれか1つで示される構造を有する。
【化2】
【0008】
好ましくは、前記有機化合物は一般式(12)で示される構造を有し、
【化3】
式中、YはCR
5R
6、NR
7、O又はSから選択され、
R
5~R
7は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基から選択され、
R
5、R
6は互いに連結して環を形成するか、又は環を形成せず、
Ar
7~Ar
8は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基から選択され、
Ar
9は置換又は非置換のフェニル基から選択される。
【0009】
好ましくは、R5~R7は各出現時に、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換のフェニル基から選択され、
Ar7~Ar8は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択され、
Ar9は、独立して置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択される。
【0010】
好ましくは、前記有機化合物は一般式(13)で示される構造を有し、
【化4】
式中、AはCR
9R
10、NR
11、O又はSを表し、
nは0~4の整数を表し、
R
8~R
11は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基から選択され、
nが0に等しい場合、R
9、R
10は互いに連結して環を形成するか又は環を形成せず、nが1以上である場合、R
8とR
9及び/又はR
10は互いに連結して環を形成するか又は環を形成しない。
【0011】
好ましくは、前記有機化合物は一般式(14)で示される構造を有し、
【化5】
式中、Ar
10~Ar
11は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換の炭素数6~18の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~13のヘテロ芳香族基から選択され、
Ar
12は置換又は非置換のフェニル基から選択される。
【0012】
好ましくは、Ar10~Ar11は、それぞれ独立して置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択される。
【0013】
好ましくは、Ar1は、H、D、メチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、tert-アミル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基、置換又は非置換のアミノ基から選択され、
Ar2~Ar3は、それぞれ独立して置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択され、
Ar4~Ar6は、それぞれ独立して置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択され、
R1~R4は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換のフェニル基から選択される。
【0014】
好ましくは、前記有機化合物は以下の化合物から選択される。
【化6A】
【化6B】
【化6C】
【化6D】
【化6E】
【化6F】
【化6G】
【化6H】
【化6I】
【0015】
本発明は、
第1電極及び第2電極を含む一対の電極と、
前記第1電極と前記第2電極の間に位置する有機機能層と、
を含み、前記有機機能層の材料は上記のいずれか1項に記載の有機化合物の1つ以上を含む、発光素子をさらに提供する。
【0016】
好ましくは、前記有機機能層は少なくとも発光層を含み、前記発光層はホスト材料及びゲスト材料を含み、前記ゲスト材料は上記のいずれか1項に記載の有機化合物の1つ以上である。
【0017】
本発明は、上記のいずれか1項に記載の発光素子を含む、表示パネルをさらに提供する。
【0018】
本発明は、アミノ基含有有機化合物を使用し、該有機化合物に複素環とともにアミノ基を有することにより、発光素子に応用される材料の共鳴効果が強化され、材料の性能が改善され、発光素子の発光効率が向上し、発光素子の発光寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下において、実施例の記述に用いられる図面を簡単に説明するが、当然ながら、以下に記載する図面は単に本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到し得る。
【
図1】本発明の実施例で提供される発光素子の第1の構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例で提供される発光素子の第2の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例の技術的解決手段を明確に、完全に説明し、当然ながら、説明される実施例は単に本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく、得られた他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。また、ここに記載の具体的な実施形態は本発明を説明、解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定する意図がないことを理解すべきである。本発明において、反対に説明しない限り、使用される方位詞、例えば「上」、「下」は、一般に、実際の使用又は作動状態における装置の上下を指し、具体的には図中の図面方向を指すが、「内」、「外」は、装置の輪郭に対するものである。本発明において、「任意に」、「任意の」、「選択的に」は、あってもなくてもよいことを意味し、つまり「有」又は「無」の2つの並列案から選択されるいずれか1つを意味し、1つの技術的解決手段に複数の「選択的に」が存在する場合、特に断りがなく、且つ矛盾や相互制約がなければ、各「選択的に」はそれぞれ独立している。本発明において、開放的に記述された技術的特徴には、列挙された特徴からなる閉鎖的な技術的解決手段と、列挙された特徴を含む開放的な技術的解決手段を含む。
【0021】
本発明において、芳香族基、芳香族、芳香族環系は同じ意味を有し、置き換えることができる。
【0022】
本発明において、ヘテロ芳香族基、複素芳香族、複素芳香族環系は同じ意味を有し、置き換えることができる。
【0023】
本発明において、「置換」とは、置換基中の水素原子が置換基で置換されることを意味する。
【0024】
本発明において、同一の置換基が複数回出現する場合、異なる基から独立に選択することができる。例えば、一般式に複数のRが含まれる場合、Rは異なる基から独立に選択することができる。
【0025】
本発明において、「置換又は非置換」とは、定義された基が置換されていてもよいし、置換されていなくてもよいことを意味する。定義された基が置換される場合、定義された基が1つ又は複数の置換基Rで置換され得ると理解すべきであり、前記Rは、重水素原子、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基又はハロゲン、1~20個の炭素原子を含むアルキル基、3~20個の環原子を含む複素環基、6~20個の環原子を含む芳香族基、5~20個の環原子を含むヘテロ芳香族基、-NR’R’’、シラニル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロホルミル基、ホルミル基、イソシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基から選択されるが、これらに限定されず、且つ上記基は、当分野で許容される置換基でさらに置換されてもよい。なお、-NR’R’’におけるR’とR’’は、それぞれ独立してH、重水素原子、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基又はハロゲン、1~10個の炭素原子を含むアルキル基、3~20個の環原子を含む複素環基、6~20個の環原子を含む芳香族基、5~20個の環原子を含むヘテロ芳香族基から選択されるが、これらに限定されないことが理解可能である。好ましくは、Rは、重水素原子、シアノ基、イソシアノ基、ニトロ基又はハロゲン、1~10個の炭素原子を含むアルキル基、3~10個の環原子を含む複素環基、6~20個の環原子を含む芳香族基、5~20個の環原子を含むヘテロ芳香族基、シラニル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロホルミル基、ホルミル基、イソシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基から選択されるが、これらに限定されず、且つ上記基は、当分野で許容される置換基でされに置換されてもよい。
【0026】
本発明において、「環原子数」とは、原子が結合して環を形成してなる構造化合物(例えば、単環式化合物、縮合環式化合物、架橋化合物、炭素環式化合物、複素環式化合物)の、該環自体を構成する原子の原子数を表す。該環が置換基で置換されている場合、置換基に含まれる原子は環形成原子には含まれない。以下に記載の「環原子数」についても、特に断りのない限り同様である。例えば、ベンゼン環の環原子数は6であり、ナフタリン環の環原子数は10であり、チエニル基の環原子数は5である。
【0027】
本発明において、「アリール基又は芳香族基」とは、芳香環化合物から水素原子を1つ除いて誘導された芳香族炭化水素基であり、単環アリール基、又は縮合環アリール基、又は多環アリール基であり得、多環の場合、環の少なくとも1つは芳香族環系である。例えば、「置換又は非置換の6~40個の環原子を有するアリール基」とは、6~40個の環原子を含むアリール基を指し、好ましくは置換又は非置換の6~30個の環原子を有するアリール基、より好ましくは置換又は非置換の6~18個の環原子を有するアリール基、特に好ましくは置換又は非置換の6~14個の環原子を有するアリール基で、且つアリール基は任意にさらに置換されている。適切な例としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、テトラヒドロフルオランテン基、トリフェニレン基、ピレニル基、ペリレニル基、ナフタセン基、フルオレニル基、ペリレン基、アセナフチル基及びその誘導体を含むが、これらに限定されない。なお、複数のアリール基は、短い非芳香族単位(例えばC、N又はO原子等の例えば<10%のH以外の原子である)により中断されていてもよいことが理解可能であり、具体的には、例えば、アセナフチレン、フルオレン、又は9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル系もアリール基の定義に含まれるものとする。
【0028】
本発明において、「ヘテロアリール基又はヘテロ芳香族基」とは、アリール基の少なくとも1つの炭素原子が非炭素原子で置換されているものを指し、非炭素原子は、N原子、O原子、S原子等であり得る。例えば、「置換又は非置換の5~40個の環原子を有するヘテロアリール基」とは、5~40個の環原子を有するヘテロアリール基を指し、好ましくは置換又は非置換の6~30個の環原子を有するヘテロアリール基、より好ましくは置換又は非置換の6~18個の環原子を有するヘテロアリール基、特に好ましくは置換又は非置換の6~14個の環原子を有するヘテロアリール基であり、且つヘテロアリール基が任意にさらに置換されている。適切な例としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ジアゾリル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、アクリジニル基、ピリダジル基、ピラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリル基、キノキサリン基、フタラジン基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、インドリル基、ピロロイミダゾリル基、ピロロピロリル基、チエノピロリル基、チエノチエニル基、フロピロリル基、フロフリル基、チエノフリル基、ベンゾイソオキサゾール基、ベンゾイソチアゾール基、ベンゾイミダゾリル基、O-ジアゾナフチル基、フェナントリジン基、ペリミジン基、キナゾロン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基及びその誘導体を含むが、これらに限定さらない。
【0029】
本発明において、「アミノ基」とは、式-NR’R’’の構造特徴を有するアミンの誘導体であり、R’とR’’の意味は上記と同じである。
【0030】
本発明において、単結合に付随する「*」は結合部位又は縮合部位を表し、基内に結合部位が指定されていない場合、基内の任意の結合可能な部位が結合部位として使用されることを意味する。同一の基内に複数の同じ記号の置換基が含まれる場合、各置換基は同じであっても異なっていてもよく、例えば
【化7】
ベンゼン環上の6個のRは同じであっても異なっていてもよい。置換基が結合している単結合が対応する環を通っていることは、該置換基が環の任意の位置に結合可能であることを意味し、例えば、
【化8】
中のRはベンゼン環のいずれかの置換可能な部位に結合する。
【0031】
現在、OLED素子に応用される発光材料の発光効率、安定性及び寿命等の性能に劣るため、OLED素子の性能向上が困難であるという問題がある。
【0032】
本発明の実施例は有機化合物を提供し、前記有機化合物は、一般式(1)で示される構造を有し、
【化9】
式中、ZはCR
1R
2、NR
3、O又はSから選択され、
XはO又はNR
4から選択され、
R
1~R
4は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~36のヘテロ芳香族基から選択され、
R
1、R
2は互いに連結して環を形成するか、又は環を形成せず、
Ar
1は、H、D、置換又は非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択され、
Ar
2~Ar
3は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択され、
Ar
4~Ar
6は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数6~31の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択される。
【0033】
本発明は、アミノ基含有有機化合物を使用し、該有機化合物に複素環とともにアミノ基を有することにより、発光素子に応用される材料の共鳴効果が強化され、材料の性能が改善され、発光素子の発光効率が向上し、発光素子の発光寿命が長くなる。
【0034】
いくつかの実施例において、前記有機化合物は一般式(2)~(11)のいずれか1つで示される構造を有する。
【化10】
【0035】
いくつかの実施例において、Zは、好ましくはCR1R2、O又はSから選択され、より好ましくはO又はSから選択される。
【0036】
いくつかの実施例において、Xは、好ましくはNR4である。
【0037】
いくつかの実施例において、前記有機化合物は一般式(12)で示される構造を有する。
【化11】
【0038】
いくつかの実施例において、Yは、CR5R6、NR7、O又はSから選択される。
【0039】
いくつかの実施例において、R5~R7は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択される。R5~R7は各出現時に、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~12のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、又は置換又は非置換の炭素数5~20のヘテロ芳香族基から選択される。R5~R7は各出現時に、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~15の芳香族基、又は置換又は非置換の炭素数5~15のヘテロ芳香族基から選択される。R5~R7は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基から選択される。R5~R7は各出現時に、それぞれ独立して、好ましくはメチル基、置換又は非置換のフェニル基から選択される。
【0040】
いくつかの実施例において、R5、R6は互いに連結して環を形成するか又は環を形成しない。
【0041】
いくつかの実施例において、Ar7~Ar8は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~12のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、又は置換又は非置換の炭素数5~20のヘテロ芳香族基から選択される。Ar7~Ar8は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~15の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~15のヘテロ芳香族基から選択される。Ar7~Ar8は、それぞれ独立して、さらに好ましくは置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~10のヘテロ芳香族基から選択される。Ar7~Ar8は、それぞれ独立してさらにメチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択される。
【0042】
いくつかの実施例において、Ar9は、独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~20のヘテロ芳香族基から選択される。Ar9は、独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数6~15の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~15のヘテロ芳香族基から選択される。Ar9は、独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~10のヘテロ芳香族基から選択される。Ar9は、独立して、好ましくは置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択される。
【0043】
いくつかの実施例において、前記有機化合物は一般式(13)で示される構造を有する。
【化12】
【0044】
いくつかの実施例において、AはCR9R10、NR11、O又はSを表し、
いくつかの実施例において、nは0~4の整数を表し、例えば、0、1、2、3、4である。
【0045】
いくつかの実施例において、R8~R11は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択される。R8~R11は各出現時に、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択される。R8~R11は各出現時に、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~10の芳香族基から選択される。R8~R11は各出現時に、それぞれ独立して、好ましくはメチル基、ターシャリーブチル基、置換又は非置換のフェニル基から選択され、ここで、置換のフェニル基は、好ましくはターシャリーブチル基置換のフェニル基である。
【0046】
nが0に等しい場合、R9、R10は互いに連結して環を形成するか又は環を形成しない。nが1以上である場合、R8とR9及び/又はR10は互いに連結して環を形成するか又は環を形成しない。つまり、nが1以上である場合、R8、R9、R10の三者は、2つずつで環を形成してもよく、三者が共同で環を形成してもよく、又は三者が環を形成しなくてもよい。
【0047】
いくつかの実施例において、前記有機化合物は一般式(14)で示される構造を有する。
【化13】
【0048】
いくつかの実施例において、Ar10~Ar11は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~12のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~24の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~24のヘテロ芳香族基から選択される。Ar10~Ar11は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~12のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~20のヘテロ芳香族基から選択される。Ar10~Ar11は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~15の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~15のヘテロ芳香族基から選択される。Ar10~Ar11は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換の炭素数6~18の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~13のヘテロ芳香族基から選択される。Ar10~Ar11は、それぞれ独立してメチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択される。
【0049】
いくつかの実施例において、Ar12は置換又は非置換のフェニル基から選択される。
【0050】
上記実施例において、R1~R4は各出現時に、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択される。R1~R4は各出現時に、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~4のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~29の芳香族基、置換又は非置換の炭素数26~36のヘテロ芳香族基から選択される。R1~R4は各出現時に、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~12のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~15の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~15のヘテロ芳香族基から選択される。R4は各出現時に、独立して、さらに好ましくはメチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択される。R1~R4は各出現時に、それぞれ独立して、さらに好ましくはメチル基、置換又は非置換のフェニル基から選択される。
【0051】
上記実施例において、Ar1は、好ましくはH、D、置換又は非置換の炭素数1~5のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択される。Ar1は、好ましくはH、D、置換又は非置換の炭素数1~6のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数12~20のヘテロ芳香族基から選択される。Ar1は、好ましくはH、D、置換又は非置換の炭素数1~12のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~20のヘテロ芳香族基から選択される。Ar1は、より好ましくはH、D、置換又は非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~15の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~15のヘテロ芳香族基から選択される。Ar1は、さらに好ましくはH、D、メチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、tert-アミル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基、置換又は非置換のアミノ基から選択される。
【0052】
上記実施例において、Ar2~Ar3は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換のメチル基、置換又は非置換の炭素数6~30の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~30のヘテロ芳香族基から選択される。Ar2~Ar3は、それぞれ独立して、好ましくはメチル基、置換又は非置換の炭素数7~18の芳香族基、置換又は非置換の炭素数12~16のヘテロ芳香族基から選択される。Ar2~Ar3は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~12のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~20のヘテロ芳香族基から選択される。Ar2~Ar3は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6~15の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~15のヘテロ芳香族基から選択される。Ar2~Ar3は、それぞれ独立して、さらに好ましくはメチル基、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択される。
【0053】
上記実施例において、Ar4~Ar6は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数6~31の芳香族基、置換又は非置換の炭素数6~26のヘテロ芳香族基から選択される。Ar4~Ar6は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数6~20の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~20のヘテロ芳香族基から選択される。Ar4~Ar6は、それぞれ独立して、好ましくは置換又は非置換の炭素数6~15の芳香族基、置換又は非置換の炭素数5~15のヘテロ芳香族基から選択される。Ar4~Ar6は、それぞれ独立して、より好ましくは置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のトリフェニレン基、置換又は非置換のジベンゾフラン、置換又は非置換のジベンゾチオフェン、置換又は非置換のフルオレニル基、置換又は非置換のカルバゾリル基から選択される。
【0054】
いくつかの実施例において、前記有機化合物は以下の化合物から選択される。
【化14A】
【化14B】
【化14C】
【化14D】
【化14E】
【化14F】
【化14G】
【化14H】
【化14I】
【0055】
本発明の実施例で提供されるアミノ基含有有機化合物は、複素環とともにアミノ基を有するため、発光素子に応用される材料の共鳴効果が強化され、材料の性能が改善され、発光素子の発光効率が向上し、発光素子の発光寿命が長くなる。
【0056】
図1及び
図2を参照すると、本発明は発光素子をさらに提供し、前記発光素子は、第1電極101及び第2電極102を含む一対の電極と、前記第1電極101と前記第2電極102の間に位置する有機機能層103と、を含み、ここで、前記有機機能層103の材料は上記に記載の有機化合物の1つ以上を含む。前記第1電極101は陽極であってもよく、前記第2電極102は陰極であってもよい。
【0057】
いくつかの実施例において、前記発光素子は、有機発光ダイオード、有機光起電力電池、有機発光電池、有機電界効果トランジスタ、有機発光電界効果トランジスタ、有機レーザー、有機スピントロニクスデバイス、有機センサー、及び有機プラズモン発光ダイオード等に応用することができ、好ましくは有機発光ダイオード、有機発光電池、有機発光電界効果トランジスタである。
【0058】
いくつかの実施例において、前記発光素子は、例えば、表示パネル、照明装置、光源等の様々な電子機器に応用することができる。
【0059】
いくつかの実施例において、前記有機機能層103は単層であってもよく、この場合、前記有機機能層103は混合物層であり、前記混合物層は第1化合物及び第2化合物を含み、前記第1化合物は、上記に記載の有機化合物から選択される1つ以上であり、前記第2化合物は、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔阻止材料、発光ゲスト材料、発光ホスト材料、有機染料から選択される1つ以上である。
【0060】
前記第2化合物が正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔阻止材料、発光ホスト材料、有機染料から選択される1つ以上である場合、前記第1化合物と前記第2化合物の質量比は1:99~30:70であり、好ましくは1:99~10:90である。
【0061】
前記第2化合物が発光ゲスト材料である場合、前記第1化合物と前記第2化合物の質量比は99:1~70:30であり、好ましくは99:1~90:10である。
【0062】
いくつかの実施例において、前記有機機能層103が複数の層を含んでもよい。前記有機機能層103が多層である場合、前記有機機能層103は、少なくとも発光層107を含む。好ましくは、前記有機機能層103は、正孔注入層104、正孔輸送層105、発光層107、電子阻止層106、電子注入層109、電子輸送層108又は正孔阻止層を含む。
【0063】
いくつかの実施例において、前記発光素子は、青色発光素子、緑色発光素子又は赤色発光素子であってもよい。前記発光層107は、ホスト材料及びゲスト材料を含んでもよく、前記ゲスト材料は、上記に記載の有機化合物の1つ以上であり、前記ホスト材料は、縮合芳香族誘導体又は複素環式芳香族化合物を含む。
【0064】
前記発光素子の発光波長は300~1000nmであり、さらに、前記発光素子の発光波長は350~900nmであり、さらに、前記発光素子の発光波長は400~800nmである。
【0065】
いくつかの実施例において、前記ホスト材料は、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、テトラヒドロフルオランテン化合物、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体のうちの少なくとも1つを含む。
【0066】
いくつかの実施例において、前記ホスト材料と前記ゲスト材料の質量比は、99:1~70:30であり、例えば、90:10、85:15、80:20、75:25等である。好ましくは99:1~90:10であり、例えば、97:3、96:4、95:5、93:7、92:8等である。前記ゲスト材料は前記ホスト材料中に分散しており、且つ前記ホスト材料と前記ゲスト材料の質量比は99:1~70:30であると、前記発光層107の結晶化の抑制に寄与するとともに、高濃度による前記ゲスト材料の濃度消光が抑制されるため、前記発光素子の発光効率が向上する。
【0067】
いくつかの実施例において、前記陽極は、正孔を注入する電極であり、且つ前記陽極は、正孔を前記有機機能層103に注入することができ、例えば、前記陽極は、正孔を前記正孔注入層、前記正孔輸送層又は発光層に注入する。前記陽極は、導電性金属、導電性金属酸化物、又は導電性ポリマーのうちの少なくとも1つを含んでもよい。好ましくは、前記陽極の仕事関数と、発光層中の発光材料又は前記正孔注入層又は正孔輸送層又は電子阻止層中のp型半導体材料のHOMO(最高占有分子軌道,Highest Occupied Molecular Orbital)エネルギー準位又は価電子帯エネルギー準位との差の絶対値は0.5eV未満であり、好ましくは0.3eV未満であり、より好ましくは0.2eV未満である。前記陽極の材料は、Al、Cu、Au、Ag、Mg、Fe、Co、Ni、Mn、Pd、Pt、ITO(酸化インジウムスズ,Indium Tin Oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等のうちの少なくとも1つ、又は他の適切な既知の陽極材料を含むが、これらに限定されず、当業者であれば容易に選択して使用することができる。前記陽極の材料は、例えば、高周波マグネトロンスパッタリング、真空熱蒸着、電子ビーム(e-beam)等を含む適切な物理気相成長法等の任意の適切な技術を使用して堆積することができる。いくつかの実施例において、前記陽極は、パターンニング可能であり、例えば、パターンニングされたITO導電性基板が市販されており、本発明の発光素子を作製するために使用することができる。
【0068】
いくつかの実施例において、前記陰極は、電子を注入する電極であり、且つ前記陰極は電子を前記有機機能層に注入することができ、例えば、前記陰極は、電子を前記電子注入層、電子輸送層、又は発光層に注入する。前記陰極は、導電性金属又は導電性金属酸化物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。好ましくは、前記陰極の仕事関数と、発光層中の発光材料又は電子注入層又は電子輸送層又は正孔阻止層としてのn型半導体材料のLUMO(最低空分子軌道,Lowest Unoccupied Molecular Orbital)エネルギー準位又は伝導帯エネルギー準位の差の絶対値は0.5eV未満であり、好ましくは0.3eV未満であり、より好ましくは0.2eV未満である。有機電子デバイスの陰極として使用できる材料は全て本発明出願のデバイスの陰極材料とすることができ、前記陰極の材料は、Al、Au、Ag、Ca、Ba、Mg、LiF/Al、MgAg合金、BaF2/Al、Cu、Fe、Co、Ni、Mn、Pd、Pt、ITO等のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。前記陰極の材料は、例えば、高周波マグネトロンスパッタリング、真空熱蒸着、電子ビーム(e-beam)等を含む適切な物理気相成長法等の任意の適切な技術を使用して堆積することができる。
【0069】
いくつかの実施例において、前記正孔注入層104は、前記陽極から前記発光層107への正孔の注入を促進するために用いられ、前記正孔注入層104は正孔注入材料を含み、前記正孔注入材料は、低電圧で正電極から注入された正孔を受け取ることができる材料であり、好ましくは、前記正孔注入材料の最高占有分子軌道(HOMO)は、前記陽極の材料の仕事関数と、前記正孔が前記陽極から離れた側のフィルム層に注入された機能材料(例えば、前記正孔輸送層の正孔輸送材料)のHOMOとの間にある。前記正孔注入材料は、金属ポルフィリン、オリゴチオフェン、アリールアミンベースの有機材料、ヘキサニトリルヘキサアザベンゾフェナントレンベースの有機材料、キナクリドンベースの有機材料、ペリレンベースの有機材料、アントラキノン、ポリアニリン、及びポリチオフェンベースの導電性ポリマー等のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0070】
いくつかの実施例において、前記正孔輸送層105は、正孔を前記発光層107に輸送するために使用することができ、前記正孔輸送層105は正孔輸送材料を含み、前記正孔輸送材料は、前記陽極又は前記正孔注入層から輸送された正孔を受け取り、正孔を前記発光層に転移する。前記正孔輸送材料は、当分野で知られている正孔移動度が高い材料であり、前記正孔輸送材料は、アリールアミンベースの有機材料、導電性ポリマー、共役部分及び非共役部分の両方を有するブロック共重合体等のうちの少なくとも1つを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0071】
いくつかの実施例において、前記電子輸送層108は電子を輸送するために用いられ、前記電子輸送層108は電子輸送材料を含み、前記電子輸送材料は、負電極から注入された電子を受け取り、電子を前記発光層107に転移する。前記電子輸送材料は、当分野で知られている電子移動度が高い材料であり、前記電子輸送材料は、8-キノリノールのAl錯体、Alq3を含む錯体、有機ラジカル化合物、ヒドロキシフラボン-金属錯体、8-キノリノールリチウム(LiQ)、及びベンズイミダゾールベースの化合物のうちの少なくとも1つを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0072】
いくつかの実施例において、前記電子注入層109は、電子を注入するために用いられ、前記電子注入層109は電子注入材料を含み、前記電子注入材料は、好ましくは、電子を輸送する能力を有し、負電極からの電子を注入する効果を有するとともに、前記発光層107又は発光材料中への電子注入効果に優れ、前記発光層107で発生する励起子の前記正孔注入層への移動を防ぎ、薄膜形成能力にも優れている材料である。前記電子注入材料は、8-キノリノールリチウム(LiQ)、フルオレノン、アンアントラキノジメタン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フルオレニリデンメタン、アントロン等及びそれらの誘導体、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体等のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0073】
いくつかの実施例において、前記正孔阻止層は正孔が負電極に到達するのを阻止するために用いられ、通常、前記正孔注入層104と同じ形成条件であってもよい。前記正孔阻止層は正孔阻止材料を含み、前記正孔阻止材料は、ジアゾール誘導体又はトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、BCP、アルミニウム錯体等のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
【0074】
図1を参照すると、いくつかの実施例において、前記発光素子は基板110をさらに含み、前記第1電極101、前記正孔注入層104、前記正孔輸送層105、前記電子阻止層106、前記発光層107、前記電子輸送層108、前記電子注入層109、前記第2電極102は前記基板110上に順次積層される。
図2を参照すると、前記第1電極101、前記正孔注入層104、前記正孔輸送層105、前記発光層107、前記電子輸送層108、前記電子注入層109、前記第2電極102は前記基板110上に順次積層される。前記基板110は、透明基板であっても不透明基板であってもよく、前記基板110が透明基板である場合、透明な発光素子を製作することができる。前記基板110は、リジッド基板又は弾性を有するフレキシブル基板であってもよく、前記基板110の材料は、プラスチック、ポリマー、金属、半導体ウエハ又はガラス等を含んでもよいが、これらに限定されない。好ましくは、前記基板110は、前記陽極を形成するための少なくとも1つの平滑な表面を含む。より好ましくは、前記表面は、表面欠陥がない。好ましくは、前記基板110の材料は、ポリマー薄膜又はプラスチックであり、ポリエチレンテレフタレート(PET材料)とポリエチレングリコール(2,6-ナフタレン)(PEN材料)を含むが、これらに限定されない。前記基板110のガラス化温度は150℃以上であり、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上、最も好ましくは300℃以上である。
【0075】
いくつかの実施例において、前記発光素子は溶液型発光素子であってもよく、即ち、少なくとも1つの前記有機機能層は印刷(例えば、インクジェット印刷)によって調製される。
【0076】
いくつかの実施例において、前記混合物層又は前記発光層は、組成物の印刷又はコーティングプロセスによって形成することができる。印刷又はコーティングプロセスは、インクジェット印刷、ノズル印刷(Nozzle Printing)、活版印刷、スクリーン印刷、ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレードコーティング、ロール印刷、ツイストローラー印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、輪転印刷、スプレーコーティング、ブラッシュ又はパッド印刷、スロットダイコーティング等を含む。好ましくは、グラビア印刷、ノズル印刷及びインクジェット印刷である。
【0077】
前記組成物は、溶液又は懸濁液であってもよく、前記組成物は、分散質及び分散剤を含んでもよい。ここで、前記分散質は、上述した前記有機化合物の1つ以上であり、前記分散剤は、前記分散質を分散させるために使用される。
【0078】
前記組成物中に、上記に記載の有機化合物の質量分率は0.01%~10%であってもよく、好ましくは0.1%~15%であり、より好ましくは0.2%~5%であり、最も好ましくは0.25%~3%である。
【0079】
好ましくは、前記分散剤のハンセン(Hansen)溶解度パラメータは次の範囲内にある。前記分散剤のδd(分散力)は17.0~23.2MPa1/2の範囲であり、好ましくは18.5~21.0MPa1/2の範囲である。δp(極性力)は0.2~12.5MPa1/2の範囲であり、好ましくは2.0~6.0MPa1/2の範囲である。δh(水素結合力)は0.9~14.2MPa1/2の範囲であり、好ましくは2.0~6.0MPa1/2の範囲である。
【0080】
好ましくは、前記分散剤の沸点は150℃以上であり、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは275℃以上、最も好ましくは≧300℃である。前記分散剤の沸点は、少なくとも150℃以上であると、インクジェット印刷時におけるインクジェットプリントヘッドのノズルの目詰まり防止に有利であり、沸点が高いほど目詰まり防止に有利である。
【0081】
前記分散剤は少なくとも1つの有機溶媒を含んでもよく、前記有機溶媒は、機能材料を含む薄膜を形成するために溶媒系から蒸発可能である。前記有機溶媒は少なくとも1つの第1有機溶媒を含んでもよく、前記第1有機溶媒は、芳香族又は複素環式芳香族から選択することができる。具体的には、前記第1有機溶媒は、p-ジイソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、クロロナフタレン、1,4-ジメチルナフタレン、3-イソプロピルビフェニル、p-メチルイソプロピルベンゼン、ジペンチルベンゼン、トリペンチルベンゼン、ペンチルトルエン、o-ジエチルベンゼン、m-ジエチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、ブチルベンゼン、ドデシルベンゼン、ジヘキシルベンゼン、ジブチルベンゼン、p-ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ジブチルベンゼン、ジメチルナフタレン、3-イソプロピルビフェニル、p-メチルイソプロピルベンゼン、1-メチルナフタレン、1,2,4-トリクロロベンゼン、4,4-ジフルオロジフェニルメタン、1,2-ジメトキシ-4-(1-プロペニル)ベンゼン、ジフェニルメタン、2-フェニルピリジン、3-フェニルピリジン、N-メチルジフェニルアミン、4-イソプロピルビフェニル、α、α-ジクロロジフェニルメタン、4-(3-フェニルプロピル)ピリジン、安息香酸ベンジル、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、2-イソプロピルナフタレン、キノリン、イソキノリン、2-フランカルボン酸メチル、2-フランカルボン酸エチル等から選択することができる。
【0082】
前記第1有機溶媒は芳香族ケトン溶媒から選択することができる。具体的には、前記第1有機溶媒は、1-テトラロン、2-テトラロン、2-(フェニルエポキシ)テトラロン、6-(メトキシ)テトラロン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、及びそれらの誘導体、例えば、4-メチルアセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、2-メチルアセトフェノン、4-メチルプロピオフェノン、3-メチルプロピオフェノン、2-メチルプロピオフェノン等から選択することができる。
【0083】
前記第1有機溶媒は、芳香族エーテル溶媒から選択することができる。具体的には、前記第1有機溶媒は、3-フェノキシトルエン、ブトキシベンゼン、p-アニスアルデヒドジメチルアセタール、テトラヒドロ-2-フェノキシ-2H-ピラン、1,2-ジメトキシ-4-(1-プロペニル)ベンゼン、1,4-ベンゾジオキサン、1,3-ジプロピルベンゼン、2,5-ジメトキシトルエン、4-エチルフェニルエチルエーテル、1,3-ジプロポキシベンゼン、1,2,4-トリメトキシベンゼン、4-(1-プロペニル)-1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、グリシジルフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、4-tert-ブチルアニソール、トランス-p-プロペニルアニソール、1,2-ジメトキシベンゼン、1-メトキシナフタレン、ジフェニルエーテル、2-フェノキシメチルエーテル、2-フェノキシテトラヒドロフラン、エチル-2-ナフチルエーテル等から選択することができる。
【0084】
前記第1有機溶媒は、脂肪族ケトン類から選択することができる。具体的には、前記第1有機溶媒は、例えば、2-ノナノン、3-ノナノン、5-ノナノン、2-デカノン、2,5-ヘキサンジオン、2,6,8-トリメチル-4-ノナノン、フェンチョン、ホロン、イソホロン、ジ-n-ペンチルケトン等の脂肪族ケトン、又は、例えば、アミルエーテル、ヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の脂肪族エーテルから選択することができる。
【0085】
前記第1有機溶媒は有機エステル溶媒から選択することができる。具体的には、前記第1溶媒は、オクタン酸アルキル、セバシン酸アルキル、ステアリン酸アルキル、安息香酸アルキル、フェニル酢酸アルキル、桂皮酸アルキル、シュウ酸アルキル、マレイン酸アルキル、ラクトンアルキル、オレイン酸アルキル等から選択することができる。特に好ましくはオクタン酸オクチル、セバシン酸ジエチル、フタル酸ジアリル、イソノナン酸イソノニル等である。
【0086】
前記有機溶媒は、第2有機溶媒をさらに含んでもよく、前記第2有機溶媒は、メタノール、エタノール、2-メトキシエタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、クロルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、1,4-ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2-ジクロロエタン、3-フェノキシトルエン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インデン等の溶媒から選択される1つ以上であり得る。
【0087】
前記組成物は、前記分散質及び前記分散剤に加えて、粘度、成膜性の調整や、密着性の向上等のために、例えば、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤等の1つ又は複数の成分をさらに含んでもよい。
【0088】
本発明で提供される前記有機化合物の例示的な調製方法は、以下の例示的な実施例1~実施例16に示す通りである。
【0089】
実施例1
有機化合物M1(
【化15】
)の合成
有機化合物M1の合成経路は次のとおりである。
【化16】
【0090】
有機化合物M1の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0091】
中間体M1-3の合成
窒素環境下で、中間体M1-1(30.8g、100mmol)、化合物M1-2(28.1g、100mmol)、化合物Pd2(dba)3(2.76g、3mmol)、化合物トリ-tert-ブチルホスフィン(1.2g、6mmol)、化合物ナトリウムtert-ブトキシド(18.2g、200mmol)、及び無水トルエン溶媒250mLを500mLの二口フラスコに加え、60℃に加熱し、撹拌して6時間反応させた。室温まで冷却し、水を加えてクエンチし、反応液を回転蒸発させて溶媒の大部分を除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集してシリカゲルと混合し、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は74%であった。
【0092】
中間体M1-6の合成
窒素環境下で、中間体M1-4(19.6g、60mmol)、化合物M1-5(17.9g、120mmol)、化合物Pd2(dba)3(3.32g、3.6mmol)、化合物トリ-tert-ブチルホスフィン(1.44g、7.2mmol)、化合物ナトリウムtert-ブトキシド(11g、120mmol)、及び無水トルエン溶媒150mLを500mLの二口フラスコに加え、70℃に加熱し、撹拌して6時間反応させた。室温まで冷却し、水を加えてクエンチし、反応液を回転蒸発させて溶媒の大部分を除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集してシリカゲルと混合し、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は62%であった。
【0093】
中間体M1-8の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1、1-2をそれぞれ化合物M1-7、M1-6に置き換え、収率は56%であった。
【0094】
中間体M1-9の合成
窒素環境下で、中間体M1-8(11.9g、20mmol)、化合物M1-3(10.2g、20mmol)、化合物Pd2(dba)3(0.92g、1mmol)、化合物トリ-tert-ブチルホスフィン(0.4g、2mmol)、化合物ナトリウムtert-ブトキシド(3.64g、40mmol)、及び無水トルエン溶媒150mLを500mLの二口フラスコに加え、90℃に加熱し、撹拌して6時間反応させた。室温まで冷却し、水を加えてクエンチし、反応液を回転蒸発させて溶媒の大部分を除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集してシリカゲルと混合し、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は65%であった。
【0095】
有機化合物M1の合成
窒素環境下で、化合物M1-9(10.7g、10mmol)と80mLの無水テトラヒドロフランを250mLの三口フラスコに加え、-30℃に降温させ、15mmolのtert-ブチルリチウム溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応を60℃まで昇温させ、撹拌して2時間反応させ、その後反応を-30℃に降温させ、20mmolの三臭化ホウ素を一括で加え、反応を自然に室温まで昇温させて1時間反応させ、30mmolのN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加え、その後ゆっくり100℃まで昇温させ、3時間反応させて反応を終了し、室温まで冷却し、酢酸ナトリウム水溶液を加えてクエンチ反応し、溶媒の大部分を回転蒸発により除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集して回転蒸発した後、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は28%であった。有機化合物M1の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1041であった。
【0096】
実施例2
有機化合物M2(
【化17】
)の合成
有機化合物M2の合成経路は次のとおりである。
【化18】
【0097】
有機化合物M2の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0098】
中間体M2-3の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1、1-2をそれぞれ化合物M2-1、M2-2に置き換え、収率は76%であった。
【0099】
中間体M2-4の合成
窒素環境下で、中間体M1-6(27.8g、60mmol)、化合物M2-3(50.9g、120mmol)、化合物Pd2(dba)3(3.32g、3.6mmol)、化合物トリ-tert-ブチルホスフィン(1.44g、7.2mmol)、化合物ナトリウムtert-ブトキシド(11g、120mmol)、及び無水トルエン溶媒150mLを500mLの二口フラスコに加え、90℃に加熱し、撹拌して6時間反応させ、室温まで冷却し、水を加えてクエンチし、反応液を回転蒸発させて溶媒の大部分を除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集してシリカゲルと混合し、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は68%であった。
【0100】
化合物M2の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M2-4に置き換え、収率は25%であった。有機化合物M2の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1212であった。
【0101】
実施例3
有機化合物M3(
【化19】
)の合成
有機化合物M3の合成経路は次のとおりである。
【化20】
【0102】
有機化合物M3の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0103】
中間体M3-3の合成
窒素環境下で、化合物M3-1(28.1g、100mmol)、NaOH(6g、150mmol)、及び150mLのジメチルホルムアミドを500mLの二口フラスコに加え、撹拌して1時間反応させ、ヨウ化メチル(15.6g、110mmol)を一括で加え、撹拌して4時間反応させ、反応終了後、反応液を300mLの純水に入れ、撹拌した後、吸引濾過して固体を得、エタノール、ジクロロメタン及び混合溶液を使用して再結晶させて精製し、収率は82%であった。
【0104】
中間体M3-4の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1、1-2をそれぞれ化合物M3-3、M2-2に置き換え、収率は72%であった。
【0105】
中間体M3-6の合成
化合物M1-8の合成方法に従い、化合物M1-7を化合物M3-5に置き換え、収率は58%であった。
【0106】
中間体M3-7の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M3-4、M3-6に置き換え、収率は67%であった。
【0107】
化合物M3の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M3-7に置き換え、収率は27%であった。有機化合物M3の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1083であった。
【0108】
実施例4
有機化合物M4(
【化21】
)の合成
有機化合物M4の合成経路は次のとおりである。
【化22】
【0109】
有機化合物M4の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0110】
中間体M4-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1、1-2をそれぞれ化合物M4-1、M2-2に置き換え、収率は73%であった。
【0111】
中間体M4-4の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M4-2、M4-3に置き換え、収率は66%であった。
【0112】
化合物M4の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M4-4に置き換え、収率は24%であった。有機化合物M4の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=957であった。
【0113】
実施例5
有機化合物M5(
【化23】
)の合成
有機化合物M5の合成経路は次のとおりである。
【化24】
【0114】
有機化合物M5の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0115】
中間体M5-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1を化合物M5-1に置き換え、収率は75%であった。
【0116】
中間体M5-3の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物1-3を化合物M5-2に置き換え、収率は68%であった。
【0117】
化合物M5の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M5-3に置き換え、収率は29%であった。有機化合物M5の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1015であった。
【0118】
実施例6
有機化合物M6(
【化25】
)の合成
有機化合物M6の合成経路は次のとおりである。
【化26】
【0119】
有機化合物M6の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0120】
中間体M6-1の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M5-2、M4-3に置き換え、収率は64%であった。
【0121】
化合物M6の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M6-1に置き換え、収率は27%であった。有機化合物M6の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1029であった。
【0122】
実施例7
有機化合物M7(
【化27】
)の合成
有機化合物M7の合成経路は次のとおりである。
【化28】
【0123】
有機化合物M7の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0124】
中間体M7-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1、1-2をそれぞれ化合物M7-1、M2-2に置き換え、収率は74%であった。
【0125】
中間体M7-3の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M7-2、M3-6に置き換え、収率は65%であった。
【0126】
化合物M7の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M7-3に置き換え、収率は30%であった。有機化合物M7の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1070であった。
【0127】
実施例8
有機化合物M8(
【化29】
)の合成
有機化合物M8の合成経路は次のとおりである。
【化30】
【0128】
有機化合物M8の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0129】
中間体M8-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1、1-2をそれぞれ化合物M5-1、M2-2に置き換え、収率は76%であった。
【0130】
中間体M8-3の合成
化合物M2-4の合成方法に従い、化合物M2-3を化合物M8-2に置き換え、収率は70%であった。
【0131】
化合物M8の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M8-3に置き換え、収率は26%であった。有機化合物M8の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1160であった。
【0132】
実施例9
有機化合物M9(
【化31】
)の合成
有機化合物M9の合成経路は次のとおりである。
【化32】
【0133】
有機化合物M9の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0134】
中間体M9-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1、1-2をそれぞれ化合物M9-1、M2-2に置き換え、収率は75%であった。
【0135】
中間体M9-3の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M9-2、M3-6に置き換え、収率は66%であった。
【0136】
化合物M9の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M9-3に置き換え、収率は27%であった。有機化合物M1の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1086であった。
【0137】
実施例10
有機化合物M10(
【化33】
)の合成
有機化合物M10の合成経路は次のとおりである。
【化34】
【0138】
有機化合物M10の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0139】
中間体M10-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1を化合物M10-1に置き換え、収率は72%であった。
【0140】
中間体M10-5の合成
窒素環境下で、化合物M10-3(39.6g、100mmol)、化合物M10-4(12.7g、100mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.3g、3mmol)、炭酸カリウム(20.6g、150mmol)の40mL水溶液、及び200mLのトルエンを500mLの三口フラスコに加え、110℃に加熱して撹拌し、12時間反応させ、反応を終了し、室温まで冷却し、濾液を吸引濾過し、濾液を収集し、溶媒の大部分を回転蒸発により除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集してシリカゲルと混合し、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は70%であった。
【0141】
中間体M10-6の合成
化合物M1-6の合成方法に従い、化合物M1-4を化合物M10-5に置き換え、収率は61%であった。
【0142】
中間体M10-7の合成
化合物M1-8の合成方法に従い、化合物M1-6を化合物M10-6に置き換え、収率は54%であった。
【0143】
中間体M10-8の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M10-2、M10-7に置き換え、収率は63%であった。
【0144】
化合物M10の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M10-8に置き換え、収率は26%であった。有機化合物M10の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1055であった。
【0145】
実施例11
有機化合物M11(
【化35】
)の合成
有機化合物M11の合成経路は次のとおりである。
【化36】
【0146】
有機化合物M11の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0147】
中間体M11-1の合成
化合物M1-8の合成方法に従い、化合物M1-7を化合物M9-2に置き換え、収率は52%であった。
【0148】
中間体M11-2の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M8-2、M11-1に置き換え、収率は62%であった。
【0149】
化合物M11の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M11-2に置き換え、収率は25%であった。有機化合物M11の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1176であった。
【0150】
実施例12
有機化合物M12(
【化37】
)の合成
有機化合物M12の合成経路は次のとおりである。
【化38】
【0151】
有機化合物M12の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0152】
中間体M12-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1を化合物M12-1に置き換え、収率は70%であった。
【0153】
中間体M12-5の合成
化合物M10-5の合成方法に従い、化合物M10-4、10-3をそれぞれ化合物M12-3、M12-4に置き換え、収率は66%であった。
【0154】
中間体M12-7の合成
窒素環境下で、化合物M12-5(20.6g、60mmol)、化合物M12-6(9g、60mmol)、CuI(0.57g、3mmol)、炭酸カリウム(13.8g、100mmol)、及び150mLのジメチルホルムアミドを500mLの二口フラスコに加え、110℃に加熱し、1撹拌して2時間反応させ、室温まで冷却し、反応液を回転蒸発させて溶媒の大部分を除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集してシリカゲルと混合し、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は62%であった。
【0155】
中間体M12-8の合成
窒素環境下で、中間体M12-7(12.4g、30mmol)、化合物M1-5(4.5g、30mmol)、化合物Pd2(dba)3(1.66g、1.8mmol)、化合物トリ-tert-ブチルホスフィン(0.72g、3.6mmol)、化合物ナトリウムtert-ブトキシド(5.5g、60mmol)、及び100mLの無水トルエン溶媒を350mLの二口フラスコに加え、90℃に加熱し、撹拌して6時間反応させ、室温まで冷却し、水を加えてクエンチし、反応液を回転蒸発させて溶媒の大部分を除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集してシリカゲルと混合し、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は65%であった。
【0156】
中間体M12-9の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M12-2、M12-8に置き換え、収率は64%であった。
【0157】
化合物M12の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M12-9に置き換え、収率は31%であった。有機化合物M12の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=971であった。
【0158】
実施例13
有機化合物M13(
【化39】
)の合成
有機化合物M13の合成経路は次のとおりである。
【化40】
【0159】
有機化合物M13の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0160】
中間体M13-2の合成
化合物M3-3の合成方法に従い、化合物M3-1を化合物M13-1に置き換え、収率は80%であった。
【0161】
中間体M13-3の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1を化合物M13-2に置き換え、収率は72%であった。
【0162】
中間体M13-5の合成
窒素環境下で、化合物M13-4(35.2g、100mmol)と100mLの無水テトラヒドロフラン溶媒を500mLの三口フラスコに加え、撹拌して溶解させ、-78℃まで降温させ、100mmolのノルマルブチルリチウムをゆっくり滴下し、2時間反応させ、150mmolの重水素水を一括で加え、反応液を室温までゆっくり昇温させ、撹拌を続けて4時間反応させ、反応が完了した後、反応液を回転蒸発させて溶媒の大部分を除去し、ジクロロメタンで溶解し、水で3回洗浄し、有機液を収集してシリカゲルと混合し、カラムクロマトグラフィー精製し、収率は67%であった。
【0163】
中間体M13-6の合成
化合物M12-7の合成方法に従い、化合物M12-5を化合物M13-5に置き換え、収率は62%であった。
【0164】
中間体M13-7の合成
化合物M12-8の合成方法に従い、化合物M12-7を化合物M13-6に置き換え、収率は66%であった。
【0165】
中間体M13-8の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M13-3、M13-7に置き換え、収率は63%であった。
【0166】
化合物M13の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M13-8に置き換え、収率は32%であった。有機化合物M13の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=841であった。
【0167】
実施例14
有機化合物M14(
【化41】
)の合成
有機化合物M14の合成経路は次のとおりである。
【化42】
【0168】
有機化合物M14の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0169】
中間体M14-3の合成
化合物M12-7の合成方法に従い、化合物M12-5、M12-6をそれぞれM14-1、M14-2に置き換え、収率は64%であった。
【0170】
中間体M14-4の合成
化合物M12-8の合成方法に従い、化合物M12-7を化合物M14-3に置き換え、収率は64%であった。
【0171】
中間体M14-5の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M7-2、M14-4に置き換え、収率は65%であった。
【0172】
化合物M14の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M14-5に置き換え、収率は31%であった。有機化合物M14の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=938であった。
【0173】
実施例15
有機化合物M15(
【化43】
)の合成
有機化合物M15の合成経路は次のとおりである。
【化44】
【0174】
有機化合物M15の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0175】
中間体M15-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1を化合物M15-1に置き換え、収率は73%であった。
【0176】
中間体M15-4の合成
化合物M12-7の合成方法に従い、化合物M12-5を化合物M15-3に置き換え、収率は65%であった。
【0177】
中間体M15-6の合成
化合物M12-8の合成方法に従い、化合物M12-7、1-5をそれぞれ化合物M15-4、M15-5に置き換え、収率は67%であった。
【0178】
中間体M15-7の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M15-2、M15-6に置き換え、収率は68%であった。
【0179】
化合物M15の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M15-7に置き換え、収率は33%であった。有機化合物M15の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=1064であった。
【0180】
実施例16
有機化合物M16(
【化45】
)の合成
有機化合物M16の合成経路は次のとおりである。
【化46】
【0181】
有機化合物M16の具体的な合成手順は次のとおりである。
【0182】
中間体M16-2の合成
化合物M1-3の合成方法に従い、化合物M1-1を化合物M16-1に置き換え、収率は72%であった。
【0183】
中間体M16-5の合成
化合物M12-7の合成方法に従い、化合物M12-6、M12-5をそれぞれ化合物M16-3、M16-4に置き換え、収率は67%であった。
【0184】
中間体M16-6の合成
化合物M12-8の合成方法に従い、化合物M12-7を化合物M16-5に置き換え、収率は62%であった。
【0185】
中間体M16-7の合成
化合物M1-9の合成方法に従い、化合物M1-3、1-8をそれぞれ化合物M16-2、M16-6に置き換え、収率は64%であった。
【0186】
化合物M16の合成
化合物M1の合成方法に従い、化合物M1-9を化合物M16-7に置き換え、収率は33%であった。有機化合物M16の大気圧固相分析プローブ質量分析(ASAP-MS)結果は、MS(ASAP)=913であった。
【0187】
本発明で提供される前記発光素子の例示的な作製手順は、次の例示的な実施例17に示すとおりである。
【0188】
実施例17
本実施例において、陽極(ITO)/正孔注入層(40nm)/正孔輸送層(100nm)/発光層(ホスト材料:3%(質量比)ゲスト材料)(50nm)/電子輸送層(25nm)/陰極(LiQ(1nm)/Al(150nm)を有する発光素子の作製手順は次のとおりである。
【0189】
a、導電性ガラス基板の洗浄
初めて使用する時、例えば、クロロホルム、ケトン、イソプロパノール等の様々な溶媒で洗浄することができ、次いで紫外線オゾンプラズマ処理を行う。
【0190】
b、正孔注入層(40nm)、正孔輸送層(100nm)、発光層(50nm)、電子輸送層(25nm)の順で高真空(1×10-6mbar)で順次熱蒸着して膜を形成する。
【0191】
c、陰極
LiQ(1nm)/Al(150nm)を高真空(1×10-6mbar)で熱蒸着してなる。
【0192】
d、パッケージング
窒素グローブボックス内でデバイスを紫外線硬化樹脂でパッケージングする。
【0193】
本実施例において、前記ゲスト材料はそれぞれ発光素子1~16を形成するための有機化合物M1~M16と、比較素子1を形成するためのRef-1である。
【0194】
【0195】
前記発光素子1~16、及び比較素子1において、
前記正孔注入層の材料の構造式は、
【化48】
である。
【0196】
前記正孔輸送層の材料の構造式は、
【化49】
である。
【0197】
前記発光層中の前記ホスト材料の構造式は、
【化50】
である。
【0198】
前記電子輸送層の材料の構造式は、
【化51】
である。
【0199】
【0200】
本実施例において、発光素子1~16及び比較素子1に対して外部量子効率(EQE)及び発光寿命テスト(T90@1000nits、テスト対象デバイスが1000ニットから900ニットに減衰する時間を意味する)を行い、得られた結果は表1に示すとおりである。
【0201】
【0202】
表1のデータから、比較素子1の外部量子効率、発光寿命を基準値1とすると、発光素子1~16の外部量子効率が顕著に向上し、発光寿命も効果的に延長されたことが分かる。アミン置換基を重要な部位に導入することにより、前記有機化合物の共鳴効果及び空間効果が強化され、前記ゲスト材料の性能が向上し、前記発光素子の発光効率及び発光寿命が効果的に向上したことが示される。
【0203】
本発明の実施例で開示される発光素子は、アミノ基含有有機化合物を使用し、該有機化合物に複素環とともにアミノ基を有することにより、発光素子に応用される材料の共鳴効果が強化され、材料の性能が改善され、発光素子の発光効率が向上し、発光素子の発光寿命が長くなる。
【0204】
本発明の実施例は、上記いずれかの発光素子を含む表示パネルをさらに開示する。
【0205】
前記表示パネルは、前記発光素子の片側に位置するアレイ基板と、前記発光素子の前記アレイ基板から離れた側に位置し、前記発光素子を覆うパッケージ層とをさらに含む。前記表示パネルは、前記パッケージ層の前記発光素子から離れた側に位置する偏光板層と、前記偏光板層の前記発光素子から離れた側に位置するカバープレート層とをさらに含む。ここで、前記偏光板層はカラーフィルム層で置き換えることができ、前記カラーフィルム層は、複数のカラー抵抗器と、前記カラー抵抗器の両側に位置するブラックマトリックスとを含んでもよい。
【0206】
本発明の実施例で開示される表示パネルは、アミノ基含有有機化合物を使用した発光素子を使用し、該有機化合物に複素環とともにアミノ基を有することにより、発光素子に応用される材料の共鳴効果が強化され、材料の性能が改善され、発光素子の発光効率が向上し、発光素子の発光寿命が長くなる。
【0207】
本発明の実施例は、有機化合物、発光素子及び表示パネルを開示し、該有機化合物は、一般式(1)で示される構造を有する。
【化53】
本発明は、アミノ基含有有機化合物を使用し、該有機化合物に複素環とともにアミノ基を有することにより、発光素子に応用される材料の共鳴効果が強化され、材料の性能が改善され、発光素子の発光効率が向上し、発光素子の発光寿命が長くなる。
【0208】
以上、本発明の実施例で提供される有機化合物、発光素子及び表示パネルについて詳細に説明した。本明細書は、具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明している。以上の実施例の説明は、単に本発明の方法及びその中心概念の理解を助けるよう意図されたものである。さらに、当業者は、本発明の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲に対して修正を加えることができる。要するに、本明細書の内容は、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。