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特開2024-84138転写フィルム、転写フィルムの製造方法および転写フィルムのリサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084138
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】転写フィルム、転写フィルムの製造方法および転写フィルムのリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20240617BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240617BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240617BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20240617BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20240617BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20240617BHJP
   B29B 17/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B41M5/00 700
B32B27/00 E
B05D7/00 A
B05D5/00 A
B05D1/28
B05D1/36 Z
B05D5/00 K
B29B17/02 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】56
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208160
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】202211610207.1
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523466282
【氏名又は名称】クルツ スタンピング テクノロジー(ホーフェイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シ ユーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ニ カイユ
(72)【発明者】
【氏名】ウルバネク ヤヌス
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4F401
【Fターム(参考)】
4D075AB01
4D075AB12
4D075AC02
4D075AC25
4D075AC91
4D075AC92
4D075AE03
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4D075BB85Y
4D075BB92Y
4D075CA07
4D075CA13
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4D075EB32
4D075EB33
4D075EB35
4D075EB36
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4D075EB43
4D075EC11
4D075EC17
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4F100AA17D
4F100AA18D
4F100AA19D
4F100AA20D
4F100AA21D
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4F401AD02
4F401AD03
4F401BA13
4F401CA13
4F401CA14
4F401CA41
4F401CA48
4F401EA04
4F401EA10
(57)【要約】
【課題】本開示の目的は、転写フィルム(1)のリサイクル方法、およびこれに適した転写フィルム(1)の提供に関する。
【解決手段】転写フィルム(1)は、キャリアフィルム(2)と、キャリアフィルム(2)上に少なくとも部分的に配置された転写プライ(4)と、を有し、剥離層(3)がキャリアフィルム(2)と転写プライ(4)との間に配置され、転写プライ(4)がアルカリ可溶性トップコート(5)を有し、トップコート(5)が剥離層(3)上に配置されることを特徴とする。転写フィルム(1)のリサイクル方法では、以下のステップが実施される:
x)アルカリ可溶性トップコート(5)、特にトップコート(5)のアルカリ可溶性バインダーを、アルカリ性洗浄液(9)により、好ましくは洗浄液槽中で溶解(10)し、転写プライ(4)をキャリアフィルム(2)から剥離するステップ。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアフィルム(2)と、前記キャリアフィルム(2)上に少なくとも部分的に配置された転写プライ(4)と、を有し、
剥離層(3)が、前記キャリアフィルム(2)と前記転写プライ(4)との間に配置されている、
転写フィルム(1)、特にリサイクル可能な転写フィルム(1)であって、
前記転写プライ(4)はアルカリ可溶性トップコート(5)を有し、
前記トップコート(5)は前記剥離層(3)上に配置されている、
ことを特徴とする転写フィルム(1)。
【請求項2】
前記トップコート(5)は、少なくとも40%から100%のバインダーまたはバインダー混合物を含み、
前記バインダーまたはバインダー混合物は、pHが8.5より大きく、好ましくは10より大きいアルカリ性洗浄液(9)、特にアルカリ液(lye)またはアルカリ性溶液(alkaline solution)に、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%溶解する、
ことを特徴とする請求項1に記載の転写フィルム(1)。
【請求項3】
前記トップコート(5)は、透明(transparent)、半透明(semitransparent)、透明染色(transparent dyed)、染色、不透明および/または艶消しである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の転写フィルム(1)。
【請求項4】
前記トップコート(5)は、乾燥層の層厚が0.2μm~20.0μmの範囲、好ましくは0.4μm~8μmの範囲である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項5】
前記剥離層(3)は、ワックス、シリコーン、ポリウレタン、フッ素化合物、フッ化脂肪酸、変性シリコーンワックスおよび変性シリコーン樹脂、未変性シリコーンワックスおよび未変性シリコーン樹脂、ならびに/またはポリマー、好ましくはアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーから選択される材料または材料の組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項6】
前記剥離層(3)は、乾燥層の塗布重量が0.001μm~0.080μm、好ましくは0.004μm~0.050μmである、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項7】
前記剥離層(3)は、透明(transparent)および/または半透明(translucent)および/または不透明および/または染色および/または少なくとも部分的に染色および/または澄んで(crystal clear)形成される、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項8】
前記転写プライ(4)は、少なくとも1つの金属層(7)、少なくとも1つのプライマー層(6)、少なくとも1つのカラー層、少なくとも1つの接着剤層、少なくとも1つの接着促進剤層(adhesion-promoter layer)(8)、少なくとも1つのバリア層、少なくとも1つの保護層、少なくとも1つの複製層(replication layer)、少なくとも1つの酸化物層(oxide layer)、少なくとも1つのマスク層から個別にまたは組み合わせて選択されるさらなる層を有する、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項9】
前記金属層(7)は、5nm~50nm、好ましくは10nm~40nmの層厚を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の転写フィルム(1)。
【請求項10】
前記金属層(7)は、アルミニウム、クロム、銀、金、銅、ニッケル、スズ、インジウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛から、単独で、またはこれらの材料の少なくとも2つの合金として、または共晶として選択される、好ましくは高屈折率の材料および/または化合物を含むか、またはこれらのみからなる、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の転写フィルム(1)。
【請求項11】
前記金属層(7)は、透明(transparent)または不透明である、
ことを特徴とする請求項8~10のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項12】
前記プライマー層(6)は、0.1μm~5.0μm、好ましくは0.5μm~3μmの乾燥層の層厚を有し、好ましくは、コールドスタンプの場合、前記プライマー層(6)は、0.1μm~0.8μmの乾燥層の層厚を有し、ホットスタンプの場合、前記プライマー層(6)は、0.5μm~3μmの乾燥層の層厚を有する、
ことを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項13】
前記プライマー層(6)は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアクリレートおよび/またはそのコポリマー、ポリメタクリレートおよび/またはそのコポリマー、炭化水素樹脂、シェラック(shellac)、アルキド樹脂、コロホニー樹脂(colophony resins)、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、ポリオレフィン、変性ポリオレフィンおよび/または可塑剤および/または染料および/または有機顔料および/または無機顔料および/または艶消し剤の1つ以上を含むか、またはそれらのみからなる、
ことを特徴とする請求項8~12のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項14】
前記接着促進剤層(8)は、0.01μm~0.5μm、好ましくは0.01μm~0.3μmの層厚を有する、
ことを特徴とする請求項8~13のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項15】
前記接着促進剤層(8)は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレートおよび/またはそのコポリマー、ポリメタクリレートおよび/またはそのコポリマー、炭化水素樹脂、アルキド樹脂、コロホニー樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、ポリオレフィンおよび/または変性ポリオレフィンの1つ以上の材料を含むか、またはそれらのみからなる、
ことを特徴とする請求項8~14のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項16】
前記キャリアフィルム(2)は、4.5μm~100μm、好ましくは4.5μm~12μmの層厚を有する、
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項17】
前記キャリアフィルム(2)は、ポリエステルのみからなるか、またはポリエステルを含み、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリラクチド、ポリエチレンフラノエート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選択される1つ以上の成分または複合材料のみからなるか、またはこれらを含み、ならびに/あるいはポリエステルカーボネート、セロファン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ならびに/あるいは紙、特にコート紙および/またはラミネート紙から選択される1つ以上の成分または複合材料のみからなるか、またはこれらを含む、
ことを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項18】
前記キャリアフィルム(2)は、主成分、好ましくはPETを含み、
前記キャリアフィルム(2)中の主成分、好ましくはPETの割合は、97%超、好ましくは99.9%超、特に好ましくは99.97%超である、
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項19】
前記キャリアフィルム(2)は、無色、透明(transparent)、澄んでいる(crystal clear)、不透明、染色されている、少なくとも部分的に染色または着色されている、
ことを特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項20】
前記転写プライ(4)を前記キャリアフィルム(2)から剥離するための剥離力は、特に15℃~35℃の温度において、1cN/cm~10cN/cmであり、特にコールドスタンプ用フィルムの場合、好ましくは1cN/cm~3cN/cmであり、および/または特にホットスタンプ用フィルムの場合、好ましくは2cN/cm~5cN/cmである、
ことを特徴とする請求項1~19のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項21】
前記転写プライ(4)の層内または2つ以上の層間の最小の剥離力は、前記転写プライ(4)を前記キャリアフィルム(2)から剥離するための力の少なくとも2倍であり、特に10cN/cm~100cN/cm、より好ましくは少なくとも20cN/cmから100cN/cm、特に好ましくは少なくとも40cN/cmから100cN/cmである、
ことを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)。
【請求項22】
以下のステップを、特に以下の順序で実施することを特徴とする転写フィルム(1)、特に請求項1~21に記載の転写フィルム(1)の製造方法。
-キャリアフィルム(2)を提供するステップ。
-前記キャリアフィルム(2)に、特にグラビア印刷プロセスによって、剥離層(3)を塗布するステップ。
-転写プライ(4)の1つ以上の層を塗布するステップであって、アルカリ可溶性トップコート(5)を前記転写プライ(4)の第1層として、特にグラビア印刷プロセスまたはスロットダイプロセスによって塗布し、前記トップコート(5)が前記剥離層(3)上に配置されるようにするステップ。
【請求項23】
前記トップコート(5)を、0.5g/m~20.0g/m、好ましくは0.8g/m~10.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布する、
ことを特徴とする請求項22に記載の転写フィルム(1)の製造方法。
【請求項24】
前記トップコート(5)を水性状態(aqueous state)で塗布し、その後乾燥し、乾燥によってアルカリ性添加剤を完全にまたは少なくとも部分的に除去する、
ことを特徴とする請求項22または23に記載の転写フィルム(1)の製造方法。
【請求項25】
前記水性トップコート(5)は、5%~45%、好ましくは15%~30%、特に好ましくは15%~25%の範囲の固形分含量を有する、
ことを特徴とする請求項22~24のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)の製造方法。
【請求項26】
前記剥離層(3)を、0.001g/m~0.060g/m、好ましくは0.005g/m~0.050g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で、グラビア印刷プロセスによって塗布する、
ことを特徴とする請求項22~25のいずれか1項に記載の転写フィルム(1)の製造方法。
【請求項27】
金属層(7)を転写プライ(4)の1つ以上の層の1つとして塗布し、特に、前記金属層(7)を、5nm~50nm、好ましくは10nm~40nmの層厚で塗布する、
ことを特徴とする請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
プライマー層(6)を、印刷プロセスによって、および/または、注型(pouring)によって、および/または、ドクターブレードによって、前記転写プライ(4)の1つ以上の層の1つとして塗布する、
ことを特徴とする請求項22~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記プライマー層(6)を、0.2g/m~5.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布し、好ましくは、コールドスタンプの場合、前記プライマー層(6)を、0.2g/m~1.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布し、ホットスタンプの場合、前記プライマー層(6)を、0.5g/m~5.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布する、
ことを特徴とする請求項22~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
特に請求項1~21に記載の、好ましくは請求項22~29に記載の方法で製造された、転写フィルム(1)のリサイクル方法であって、
前記転写フィルム(1)は、キャリアフィルム(2)と、前記キャリアフィルム(2)上に少なくとも部分的に配置された転写プライ(4)と、を有し、剥離層(3)が前記キャリアフィルム(2)と前記転写プライ(4)との間に配置され、前記転写プライ(4)がアルカリ可溶性トップコート(5)を有し、前記トップコート(5)が前記剥離層(3)上に配置されており、かつ、
前記方法では以下のステップが実施される、
ことを特徴とする転写フィルム(1)のリサイクル方法。
x)前記アルカリ可溶性トップコート(5)、特に前記トップコート(5)のアルカリ可溶性バインダーを、アルカリ性洗浄液(9)によって、好ましくは洗浄液槽中で溶解(10)し、前記転写プライ(4)を前記キャリアフィルム(2)から剥離するステップ。
【請求項31】
ステップx)の後に、前記キャリアフィルム(2)および/または前記キャリアフィルム(2)の材料は、99.0wt%~100.0wt%の範囲の純度(purity)を有する、
ことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ステップx)の間に、前記アルカリ性洗浄液(9)が、前記転写フィルム(1)の、特に前記転写プライ(4)の切断縁(cut edges)および/または破断縁(broken edges)および/または亀裂(cracks)および/または微小亀裂(microcracks)を介して、前記転写フィルム(1)に、特に前記転写プライ(4)に、および/または前記キャリアフィルム(2)と前記転写プライ(4)との間に、しみこむという点で、前記トップコート(5)は溶解し、特に膨潤する、
ことを特徴とする請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
ステップx)の間に、前記転写プライ(4)は粒子にまで崩壊し、前記粒子は前記アルカリ性洗浄液(9)に不溶性であり、特に、前記粒子が平面的に観察される場合、前記粒子は10μm~50mm、好ましくは50μm~5mm、特に好ましくは20μm~5mmの範囲のサイズを有する、
ことを特徴とする請求項30~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
ステップx)において、前記アルカリ性洗浄液(9)は、pHが9より大きく、好ましくは11より大きく、特に好ましくは13より大きい、
ことを特徴とする請求項30~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記アルカリ性洗浄液(9)は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の溶液;あるいは酸化カルシウムまたは酸化バリウムのようなアルカリ土類金属の酸化物の溶液;あるいはアンモニアまたはアミンの溶液;の1つ以上の溶液を含む、
ことを特徴とする請求項30~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記アルカリ性洗浄液(9)は、1.2g/cm~1.4g/cm、好ましくは1.25g/cm~1.35g/cmの範囲の密度を有し、特に、前記アルカリ性洗浄液(9)の密度は、密度の差によって前記キャリアフィルム(2)の沈降(sedimentation)が起こるように選択される、
ことを特徴とする請求項30~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
ステップx)を、常温(ambient temperature)、特に15℃~30℃の温度範囲で実施する、
ことを特徴とする請求項30~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
ステップx)の前に、次のステップを実施する、
ことを特徴とする請求項30~37のいずれか1項に記載の方法。
a)好ましくは、前記転写フィルム(1)がロールに巻かれた状態で、切断装置により、前記転写フィルム(1)を粉砕(comminution)(20)して切断物(cut material)を形成するステップ。
【請求項39】
ステップa)において、前記切断物は、特に、前記切断物が広がる平面に対して垂直に観察した場合、それぞれの場合において、0.1cm~100cm、好ましくは1cm~10cmの範囲の表面積を有する、
ことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステップa)における前記転写フィルム(1)の粉砕(20)の間に、巻かれた前記転写フィルム(1)を切断してフィルムウェブを形成し、ここにおいて、前記転写フィルム(1)を有する前記ロールをV字形の窪みに固定し、特に水平に固定し、次いでブレードによって、特に上方から、または下方から、または側方から、長手方向にフィルム芯(film core)まで切り開き、特にフィルム芯がある場合には前記フィルム芯を除去する、
ことを特徴とする請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
特にステップa)が予め実施されている場合、ステップx)の間に、前記アルカリ性洗浄液(9)中の前記切断物は、1wt%~30wt%、好ましくは5wt%~15wt%の範囲の濃度を有する、
ことを特徴とする請求項38~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
特にステップa)が予め実施されている場合、ステップx)の間に、前記アルカリ性洗浄液(9)を、前記転写フィルム(1)および/または前記切断物と撹拌する、
ことを特徴とする請求項38~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
特にステップa)が予め実施されている場合、ステップx)の間に、前記アルカリ性洗浄液(9)を、30秒~120秒、好ましくは60秒~120秒の範囲の撹拌時間で、前記転写フィルム(1)および/または前記切断物と撹拌する、
ことを特徴とする請求項38~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
特にステップa)が予め実施されている場合、ステップx)の間に、前記アルカリ性洗浄液(9)を、1~200回転/分、好ましくは10~50回転/分の範囲の撹拌機の撹拌速度で、前記転写フィルム(1)および/または前記切断物と撹拌する、
ことを特徴とする請求項38~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
特にステップa)が予め実施されている場合、ステップx)の間に、前記切断物の前記転写プライ(4)が前記キャリアフィルム(2)から剥離し、その結果、前記転写プライ(4)の粒子およびキャリアフィルムの切れはし(cuttings)が形成される、
ことを特徴とする請求項38~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記キャリアフィルムの切れはしを、濾過および/または遠心分離および/または沈降によって、前記アルカリ性洗浄液(9)から分離する、
ことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
分離された前記キャリアフィルムの切れはしを、好ましくは機械的および/または熱的乾燥工程によって、洗浄および/または中和および/または乾燥し、特に、前記キャリアフィルムの切れはし、特に前記キャリアフィルム材料は、99%~100%の範囲の純度が達成される、
ことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ロール・ツー・ロール方式で実施する、
ことを特徴とする請求項30~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
ステップx)の前に以下のステップを有する、
ことを特徴とする請求項30~48のいずれか1項に記載の方法。
b1)巻き戻し装置によって、供給ロールから前記転写フィルム(1)を巻き戻し(unwinding)(30)するステップであって、特に、前記転写フィルム(1)を洗浄液槽中に導くことによって、巻き戻された前記転写フィルム(1)を前記アルカリ性洗浄液(9)と接触させるステップ。
【請求項50】
ステップb1)の後およびステップx)の後に、以下のステップを有すること、
を特徴とする請求項49に記載の方法。
b2)前記キャリアフィルム(2)を巻き取りロールに巻き取り(40)するステップであって、前記キャリアフィルム(2)が前記アルカリ性洗浄液(9)の槽から導出され、特に、溶解形態の前記トップコート(5)および/または未溶解形態の前記転写プライ(4)が前記アルカリ性洗浄液(9)中に残るステップ。
【請求項51】
ステップx)および/またはステップb1)とb2)との間において、前記転写プライ(4)を前記キャリアフィルム(2)から剥離するために、機械的摩耗システム(mechanical abrasion system)および/またはブラシロールシステム(brush roll system)および/またはフォームロールシステム(foam roll system)および/またはスプレーノズルシステムが追加的に使用される、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
ステップx)の前、特にステップa)および/またはb1)の前に、前記転写フィルム(1)は、0wt%~0.5wt%、好ましくは0wt%~0.1wt%の範囲の接着剤ストリップ(adhesive strips)および/またはスプライシングテープの割合を有する、
ことを特徴とする請求項30~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
ステップx)の前、特にステップa)の前および/またはステップb1)の前に、前記転写フィルム(1)は、0wt%~5wt%、好ましくは0wt%~1wt%の範囲の異物割合を有する、
ことを特徴とする請求項30~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
ステップx)の後に、特に、濾過および/または遠心分離および/またはふるい分けおよび/またはデカンテーションを含む分離工程によって、前記転写プライ(4)の不溶性粒子を前記アルカリ性洗浄液(9)から分離する、
ことを特徴とする請求項30~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
ステップx)の後に、前記アルカリ性洗浄液(9)を、膜濾過および/または化学沈殿によって再処理する、
ことを特徴とする請求項30~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
ステップx)の後に、前記キャリアフィルム(2)および/または前記キャリアフィルムの切れはしおよび/または前記キャリアフィルム(2)の材料を、成形品(compact product)および/または押出品にさらに加工し、特に、前記成形品および/または前記押出品は、射出成形、押出成形、フラットフィルム押出成形、プレス加工、コンパウンディング、化学リサイクルおよび/またはエネルギー回収から選択される少なくとも1つの後続工程または工程の組み合わせに適している、
ことを特徴とする請求項30~55のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転写フィルム、転写フィルムの製造方法および転写フィルムのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面を装飾するためにスタンピングフィルムを使用することは知られている。例えば、この目的のために、コーティングプロセスを使用して、ワニス層、特に染色された、あるいは染料や顔料とともに提供されたワニス層、および/または蒸着プロセスを使用して、金属層を、水不溶性キャリアフィルムに塗布する。その後、転写プライをキャリアフィルムとともに加飾される表面に塗布する。加飾のために、塗布工程で転写プライは、適切な基材に表面全体または表面の部分的な領域のみに転写される。ホットスタンプの場合、基材への接着は、転写プライのプライマー層の熱活性化によってスタンピング染料で行われる。コールドスタンプの場合、加飾の前に、接着剤層が加飾される基材の領域またはそれに対応する転写プライ上に堆積され、これにより転写プライの基材への転写が開始される。その後、キャリアフィルムを剥がすと、転写プライは加飾される表面に残り、加飾される領域でキャリアフィルムから剥離される。加飾される領域で転写プライをキャリアフィルムから剥離することを可能にするために、スタンピングフィルムでは転写プライとキャリアフィルムの間に剥離層が配置される。特に、高温で軟化し、転写プライとキャリアフィルムとの接着力を狙い通りに低下させる水不溶性ワックスが、このような剥離層に使用される。
【0003】
加飾されない領域では、転写プライはキャリアフィルムと一緒に再び剥され、その結果、この表面の部分領域でキャリアフィルム上に残る。例えば微細な文字や線状モチーフのような小さな加飾される領域の場合、転写プライの表面の多量のまたは部分的な領域が、残留転写プライとしてキャリアフィルム上に残る。このような転写フィルムを新たなスタンピング工程でさらに使用することは、一般に不可能であるか、またはかなり特殊な塗布装置においてのみ、および/またはかなり特殊な塗布プロセスによってのみ可能である。転写プライが残留した使用済みキャリアフィルムは、どのような場合でも、時には複雑な方法で廃棄しなければならない。
【0004】
転写フィルムのリサイクルは、転写フィルムの使用後に、キャリアフィルムの材料のさらなる使用または回収、および、塗布工程中に全面に転写されなかった場合の残りの転写プライの分別廃棄を可能にするために、一般的に関心が持たれている。機械的プロセスまたは強いせん断力の使用によってキャリアフィルムから転写プライを分離するリサイクル技術は、例えば国際公開第2021/151742号から知られている。しかしながら、このようなプロセスは、例えば高いエネルギー消費および低い処理能力、並びにしばしばキャリアフィルムからの転写プライの不完全な剥離のみ、といったプロセス工学的な欠点を有し、その結果、キャリアフィルムまたは混じりけのない(unmixed)キャリアフィルム材料、例えば混じりけのないPETの純粋な(unmixed)回収は、限られた範囲でのみ可能である。しかしながら、少量の混合不純物であってもリサイクル製品の品質が大幅に低下してしまうため、キャリアフィルム材料の回収のためには、できるだけ混じりけのないキャリアフィルムの再処理が望ましい。このことは、欠陥があるために不合格品となった転写フィルムからキャリアフィルム材料を回収する場合にも同様である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、さらにリサイクル性が改善された転写フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、転写フィルム、特にリサイクル可能な転写フィルムによって達成される。この転写フィルムは、キャリアフィルムと、キャリアフィルム上に少なくとも部分的に配置された転写プライと、を有し、剥離層がキャリアフィルムと転写プライとの間に配置されている。転写プライはアルカリ可溶性トップコートを有することが必須であり、トップコートは剥離層上に配置されている。
【0007】
この目的はさらに、特に請求項1~21に記載の、転写フィルムの製造方法によって達成され、この製造方法では、特に以下のステップを以下の順序で実施する。
-キャリアフィルムを提供するステップ。
-前記キャリアフィルムに、特にグラビア印刷プロセスによって、剥離層を塗布するステップ。
-転写プライの1つ以上の層を塗布するステップであって、アルカリ可溶性トップコートを転写プライの第1層として、特にグラビア印刷プロセスまたはスロットダイプロセスによって塗布し、トップコートが剥離層上に配置されるようにするステップ。
【0008】
この目的はさらに、特に請求項1~21に記載の、好ましくは請求項22~29に記載の方法で製造された、転写フィルムのリサイクル方法によって達成される。この転写フィルムは、キャリアフィルムと、キャリアフィルム上に少なくとも部分的に配置された転写プライと、を有し、剥離層はキャリアフィルムと転写プライとの間に配置されており、転写プライはアルカリ可溶性トップコートを有し、トップコートは剥離層上に配置されている。前記方法では以下のステップが実施される:
x)アルカリ可溶性トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーを、アルカリ性洗浄液によって、好ましくは洗浄液槽中で溶解し、転写プライをキャリアフィルムから剥離するステップ。
【0009】
本開示による転写フィルムは、好ましくは、本開示による転写フィルムのリサイクル方法で使用される。
【0010】
このような転写フィルムおよびこのような製造方法およびリサイクル方法は、特にエネルギー回収よりも、キャリアフィルムの再生材料を新しいキャリアフィルムの製造に使用できるという利点をもたらす。再生プラスチックを他のプラスチック製品、例えば射出成形部品および/または押出成形部品の製造に使用することも考えられる。好ましくは、転写フィルムは、塗布工程後および不合格品(rejects)として製造された場合の両方でリサイクルされる。ここで、キャリアフィルム材料は、得られる最終製品がさらなるステップで処理され、特に良好な材料特性を有するようにリサイクルすることが可能である。
【0011】
特に、アルカリ可溶性トップコートの使用により、比較的清潔で、簡単で、および/または費用効果の高い、転写フィルムのリサイクルが可能になるため、ここでは転写フィルムのリサイクル性が改善される。転写フィルムは、ここでは特に、例えばアルカリ性水溶液やアルカリ液などのアルカリ性洗浄液中でリサイクル可能である。
【0012】
本明細書において「リサイクル性(recyclability)」および「リサイクル可能(recyclable)」とは、特に、キャリアフィルム上に堆積されたすべての層がリサイクル工程で再び完全に剥離できることを意味する。しかしながら、状況によっては、剥離層がキャリアフィルム上に残ることもある。剥離層は、好ましくは、キャリアフィルムの層厚に比べて無視できるほど小さい層厚を有する。剥離層がキャリアフィルム上に残っていても、剥離層の重量比が低いため、リサイクル後に得られるキャリア材料またはプラスチック材料の材料特性および/または品質に影響を及ぼさない。特に、転写プライはキャリアフィルムから残留物なく(residue-free)除去することができる。
【0013】
アルカリ性洗浄液、好ましくはアルカリ性溶液(alkaline solution)および/またはアルカリ性水溶液(aqueous alkaline solution)および/またはアルカリ液(lye)によるリサイクルの場合、アルカリ可溶性トップコート、特に当該トップコートのアルカリ可溶性バインダーの溶解により、目的とするキャリアフィルムからの転写プライの分離が可能になる。トップコートそのものは転写プライの一部である。トップコートはこの工程でキャリアフィルムから完全に剥離される。トップコートにおけるアルカリ可溶性バインダーの割合にもよるが、アルカリ性洗浄液に溶解するトップコートの割合は100%未満とすることもできる。特にステップx)において、キャリアフィルムはこのようにして洗浄され、転写フィルムはこのようにして転写プライから剥離される。上述したように、剥離層はキャリアフィルム上に残っていてもよい。
【0014】
これにより、特にキャリアフィルムの特に純粋な材料を回収することが可能となる。このようにして、キャリアフィルム材料をさらに使用または回収するための、特に混じりけのないキャリアフィルムの再処理が有利に可能となり、この再処理は、例えば、さらなる化学的または機械的リサイクル工程で再利用することもできる。例えば、リサイクル製品(recycling product)またはリサイクル品(recyclate)の品質不良をもたらす、転写プライ材料による汚染は、有利に低減または防止される。
【0015】
加えて、残留(residual)転写プライは、好ましくは、アルカリ可溶性トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーの溶解によって層構造として剥離可能であり、そのとき層構造は、特にアルカリ性洗浄液中で凝集性固体として存在する。したがって、有利なことに、特にアルカリ性洗浄液への溶解性の点で、転写プライの層構造から物質が溶け出すことはない。卑金属からなる金属層を有する金属化フィルムの場合のみ、これらの卑金属も溶解することができる。アルカリ可溶性トップコートは均質な溶液として洗浄液中に残るが、剥離した不溶性転写プライまたは残留転写プライは、特に洗浄液と不均質な混合物を形成する。これによって、もはや洗浄液から濾過することができないか、特に労力をかけて濾過しなければならない物質を減らすことができるという利点が達成される。
【0016】
洗浄液によって分離された転写プライは、例えば転写プライ成分(transfer ply constituents)および/または好ましくは不均質な組成を有する転写プライ粒子の形態で、例えば化学的で特に転写プライに最適化された更なる分離工程において処理することもできる。
【0017】
また、アルカリ可溶性トップコートがいくつかの機能を同等に果たすことも有利であることが判明した。一方では、転写フィルムのリサイクル中に、転写プライがキャリアフィルムから分離されることを保証し、他方では、転写プライが対象基材(target substrate)に塗布された場合、装飾機能を果たし、さらに、塗布後にトップコートの下に配置された転写プライの層の保護層となる。
【0018】
トップコートの配置は、好ましくは、剥離層と直接接触するように選択される。つまり、転写フィルムの製造方法では、剥離層を塗布した後にトップコートを直接塗布する。その後、トップコートの上にさらに別の層を転写プライとして塗布することができる。転写プライを対象基材に塗布した後、トップコートが最上層を形成する。
【0019】
本開示による転写フィルムは、例えば、グラフィック包装(graphic packaging)、グリーティングカード、書類、有価証券、証明書、ラベル、雑誌などに使用される。
【0020】
本開示のさらに有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0021】
本明細書において「アルカリ可溶性トップコート(alkali-soluble topcoat)」とは、好ましくは、1種以上の構成成分からなる層を意味し、少なくとも1種の構成成分はアルカリ可溶性バインダーによって形成される。トップコートのアルカリ可溶性は、好ましくはそれがアルカリ可溶性バインダーを含むことで達成される。アルカリ可溶性バインダーに加えて、トップコートは、アルカリ可溶性でない他の成分を有することもできる。
【0022】
本明細書において「包装(packaging)」とは、製品の販売用包装(sales packaging)と、例えば製品の折り畳まれた箱のような外包装(outer packaging)の両方に関連する一般的な用語を意味する。包装はまた、包装品(item of packaging)の一部、例えば外包装品に貼られるラベルであってもよい。包装品は、製品の複数の外包装品(items of outer packaging)が包装された箱などであってもよい。
【0023】
本明細書において「透明(transparent)」とは、特に、人間の観察者に見える光の波長範囲、特に380nmから780nmの波長範囲において、この波長範囲で平均した透過率(transmissivity)が50%超、好ましくは70%超、特に好ましくは80%超である領域を意味する。
【0024】
本明細書において「不透明(opaque)」とは、特に、人間の観察者に見える光の波長範囲、特に380nmから780nmの波長範囲において、この波長範囲で平均した透過率(transmissivity)が40%未満、好ましくは30%未満、特に好ましくは20%未満である領域を意味する。
【0025】
「層(layer)」、「プライ(ply)」、「フィルム」とは、特に、単層または多層である実質的に二次元の構造を意味する。フィルムは好ましくは自己支持性(self-supporting)である。層またはプライは、例えば、自己支持性または非自己支持性(not self-supporting)である。
【0026】
「転写フィルム」とは、特に、例えば、転写工程、ホットスタンプ工程、コールドスタンプ工程、ラミネート工程、インサート成形工程、インモールド加飾(in-mold decoration)工程から選択される塗布工程における、基材(substrate)または対象物(target object)への塗布前の転写フィルム、および塗布後に基材または対象物に転写されなかった転写フィルムの部分、ならびに不合格品の両方を意味する。転写フィルムの転写プライが、加飾される基材、例えば部品(component)、シート材(sheet material)、ロール材(roll material)に少なくとも部分的に転写された場合、転写フィルムは、特に、残留転写プライを上に配置したキャリアフィルムを有する。残留転写プライとは、転写プライのうち、加飾される基材に転写されずにキャリアフィルム上に残っている部分を指す。不合格品の場合、転写プライは特に完全にキャリアフィルム上に残っている。キャリアフィルムに対する転写プライの重量比は、好ましくは、転写後の転写プライの場合よりも不合格品の場合の方が大きい。従って、好ましくは、本方法により、転写プライ、特に例えば本質的に異物とみなされる残留転写プライの形態の転写プライが、キャリアフィルムから除去されることが提供される。
【0027】
さらに、「転写フィルム」とは、特に、例えば転写フィルムの粉砕(comminution)によって生成される多数の切断物(cut material)をも意味する。特に、ステップx)において、転写フィルムのキャリアフィルムは、その全体が洗浄液中に導かれ、従って、好ましくは1枚(one piece)で、あるいは、好ましくは、キャリアフィルムと転写プライとの一体構造(one structure)を含む切断物が、アルカリ性洗浄液中に投入される。特に、1枚の転写フィルムだけでなく、複数の転写フィルム、特に同じタイプまたは類似のタイプの転写フィルム、好ましくは少なくとも同じタイプのキャリアフィルムを用いて、転写フィルムのリサイクル方法で使用することも考えられる。転写プライは、好ましくは、ステップx)の前に、少なくともキャリアフィルム上の領域に存在する。したがって、「キャリアフィルム」とは、好ましくは、キャリアフィルム全体と、多数の切断物またはキャリアフィルムの切れはし(cuttings)と、の両方を意味する。「転写プライ」とは、好ましくは、転写プライ全体と転写プライの多数の粒子との両方を意味する。
【0028】
好ましくは、ステップx)の後に、キャリアフィルムおよび/またはキャリアフィルム材料は、99.0wt%から100.0wt%の範囲の純度を有する(wt%=重量%=総重量に対する重量の百分率での割合)。純度の定義は、好ましくは、キャリアフィルム材料の質量割合に基づく。
【0029】
従って、キャリアフィルムから転写プライおよびアルカリ可溶性トップコートを除去することにより、キャリアフィルムまたはキャリアフィルム材料の純度を特に向上させることができる。冒頭で述べたように、剥離層がキャリアフィルム上に残っていてもよい。しかし、この場合でも、少なくともキャリアフィルムまたはキャリアフィルム材料の純度99.0wt%以上が好ましく達成される。転写プライおよび/または転写フィルムの転写プライ成分は、好ましくは、特に本リサイクル方法において異物とみなされる。転写プライおよび/または転写プライ成分は、各場合において、洗浄液に溶解していてもよいし、溶解せずに存在していてもよい。
【0030】
さらに、キャリアフィルムおよび/またはキャリアフィルム材料は、ステップx)の後に、無色、透明(transparent)、澄んで(crystal clear)、不透明、染色され、少なくとも部分的に染色または着色されてもよい。
【0031】
ステップx)の前、特にステップa)の前および/またはステップb1)の前に、転写フィルムは0wt%~5wt%、好ましくは0wt%~1wt%の範囲の異物割合を有することが考えられる。実際のリサイクル方法の前に、転写フィルムが選別され、特に混ざらない(unmixed)方法で選別されるため、下流のリサイクル方法をより効率的に設計することができ、得られるキャリアフィルム材料は、改善された材料特性を有する。
【0032】
さらに、好ましくは、ステップx)の前、特にステップa)および/またはb1)の前に、転写フィルムは、0wt%~0.5wt%、好ましくは0wt%~0.1wt%の範囲の接着剤ストリップ(adhesive strips)および/またはスプライシングテープの割合を有する。
【0033】
好ましくは、ステップx)の間に、アルカリ性洗浄液が、転写フィルム、特に転写プライの切断縁(cut edges)および/または破断縁(broken edges)および/または亀裂(cracks)および/または微小亀裂(microcracks)を介して、転写フィルム、特に転写プライに、および/またはキャリアフィルムと転写プライとの間にしみこみ、その結果、特にトップコートが膨潤するという点で、トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーが溶解することが可能である。微小亀裂および/または亀裂は、例えば、転写フィルムを対象基材に塗布する間に形成される。さらに、アルカリ性洗浄液がアルカリ不溶性層を通って拡散し、トップコートと接触してトップコートを溶解することもあり得る。トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーが溶解すると、転写プライの残りはキャリアフィルムから分離する。転写プライは好ましくは崩壊して粒子を形成するが、この粒子はアルカリ性洗浄液に不溶性であり、特に粒子を平面的に観察すると、粒子は10μm~50mmの範囲、好ましくは50μm~5mmの範囲、特に好ましくは20μm~5mmの範囲のサイズを有する。トップコートの膨潤により、転写プライの粒子への崩壊はさらに促進される。アルカリ性洗浄液のpHに依存し、場合によっては切断物のサイズに依存するが、転写プライは、特に30秒~120秒、好ましくは60秒~120秒の時間経過後に、キャリアフィルムから完全に剥離可能である。
【0034】
特に、ステップx)において、アルカリ性洗浄液のpHは9より大きく、好ましくは11より大きく、特に好ましくは13より大きい。しかしながら、アルカリ性洗浄液のpHは14以上であってもよい。実験室試験において、5cm×5cmの大きさの転写フィルムの切断物の、アルカリ可溶性トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーの溶解処理時間に対するpHの影響を調べた。その結果、pHが9の場合、トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーは20分~30分以内に完全に溶解した。一方、pH11の場合、5~10分後には完全に溶解した。pH14以上の場合、トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーは10~20秒以内に溶解し得る。
【0035】
さらに、切断物のサイズも、トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーの溶解処理時間に影響を与えることが示されている。試験において、pH14以上のアルカリ性洗浄液中、25℃の温度で、それぞれ異なるサイズの切断物の溶解挙動を調べた。その結果、表面積100cmの切断物の場合、トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーは、アルカリ性洗浄液への120秒までの暴露時間で完全に溶解することがわかった。25cmの切断物の場合、トップコートまたはバインダーは、60秒までの暴露時間で完全に溶解した。
【0036】
アルカリ性洗浄液は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の溶液;または酸化カルシウムまたは酸化バリウムのようなアルカリ土類金属の酸化物の溶液;またはアンモニアまたはアミンの溶液;のうち1つ以上の溶液を含むことがさらに考えられる。
【0037】
さらに好ましくは、ステップx)は常温(ambient temperature)、特に15℃~30℃の温度範囲で実施される。しかしながら、ステップx)における溶解は、アルカリ性洗浄液が液体凝集状態(liquid aggregate state)にある任意の温度範囲で行うことができる。しかし理想的には、常温に相当する温度が適している。これにより、アルカリ性洗浄液の複雑で費用のかかる加熱を省くことができる。
【0038】
アルカリ性洗浄液は、1.2g/cm~1.4g/cmの範囲の密度、好ましくは1.25g/cm~1.35g/cmの範囲の密度を有することも考えられ、特に、アルカリ性洗浄液の密度は、密度の差によってキャリアフィルムの沈降(sedimentation)が起こるように選択される。特にステップx)の上流で粉砕工程を行う場合、アルカリ性洗浄液の密度の設定が有利である。この場合、切断物は好ましくは洗浄液槽に入れられる。すでに上述したように、アルカリ可溶性トップコートは溶解し、その結果、転写プライはキャリアフィルムから分離し、転写プライは崩壊して粒子を形成する。アルカリ性洗浄液の濃度を適切に選択することで、洗浄されたキャリアフィルムの切れはしは洗浄液槽の底に沈むが、転写プライ粒子は密度が低いため表面に浮く。これらの粒子は、例えばふるいを用いて、洗浄液から容易に分離することができる。
【0039】
有利には、本方法ではステップx)の前に、次のステップを実施する。
a)好ましくは、転写フィルムがロールに巻かれた状態で、切断装置により転写フィルムを粉砕して切断物を形成するステップ。
【0040】
従って、転写フィルムを切断物の形態でアルカリ性洗浄液中に投入することが可能である。有利には、それによって、アルカリ性洗浄液が、転写フィルム、特に転写プライに、および/またはキャリアフィルムと転写プライとの間に、切断縁および/または破断縁を介して、より良好にしみこむことが可能になる。一般に、切断物が小さいほど、切断物の表面積に対して切断縁および/または破断縁の表面積が大きくなる。切断縁および/または破断縁の表面積が大きい場合、アルカリ性洗浄液は、したがって、アルカリ可溶性トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーをより速く溶解することができる。
【0041】
好ましくは、ステップa)において、特に切断物が広がる平面に対して垂直に観察した場合、切断物は、それぞれの場合において、0.1cm~100cm、好ましくは1cm~10cmの範囲の表面積を有する。
【0042】
特に、ステップa)における切断装置は、ギロチン、シュレッダー、カッティングミル、ハンマーミルおよび/または粉砕機(mill)から選択される少なくとも1つの装置または装置の組み合わせを含む。
【0043】
特に、転写プライは、少なくとも部分的に、加飾される基材に転写され、その際、転写フィルムが、ステップx)の前、特にステップa)の前および/またはステップb1)の前に、および好ましくは塗布工程、特に、転写工程、ホットスタンプ工程、コールドスタンプ工程、ラミネート工程、インモールド加飾工程から選択される工程の間に、副産物として生じる。次いで、好ましくは、残留転写プライの形態の転写プライを有する転写フィルムである。この場合、残留転写プライは、アルカリ可溶性トップコートも含む。
【0044】
回収容器によって転写フィルムを回収、特に純粋な(unmixed)回収が可能である。回収された転写フィルムは、切断されていないか、または任意選択的に、切断および/または細断(shredded)および/または圧縮(compressed)および/またはプレスされていてもよい。好ましくは、ステップx)の前、特にステップa)の前、および塗布工程、好ましくは転写工程および/またはラミネート工程および/またはインモールド加飾工程の後に、回収容器によって、特にラックおよび/またはコンテナおよび/または輸送箱(transport box)および/またはバンドベール(banded bales)によって、転写フィルムを回収することができる。
【0045】
バンドベールは、好ましくは、プレスによって体積が最小化されたプレス転写フィルムを意味する。プレス転写フィルムをつなぎ合わせるために、好ましくは、それらがバンドで巻かれ、その結果、バンドベールが提供される。
【0046】
「純粋な(unmixed)」とは、好ましくは、可能な限り1つの転写フィルムだけが各ロールに巻かれ、および/または回収されることを意味する。このようにして、再生キャリアフィルムまたはキャリアフィルムの再生材料の良好な材料特性が保証される。
【0047】
従って、本方法は、ステップa)の前に次のステップを含んでいてもよい。
回収容器によって、特にラックおよび/またはコンテナおよび/または輸送箱および/またはバンドベールによって、転写フィルムを回収するステップ。
【0048】
好ましくは、ステップx)の前、特にステップa)の前に、次のステップを実施する。
転写フィルム、特に切断物を、フィーダーによって、および/または少なくとも1つの搬送容器、特に回収容器および/またはラックおよび/またはコンテナおよび/または輸送箱および/またはバンドベールおよび/または大袋によって搬送するステップであって、少なくとも1つの搬送容器は、特にステップx)の前に、切断物で充填されるステップ。
【0049】
「フィーダー」とは、搬送車両および/またはベルトコンベアおよび/または空気圧コンベアなどを意味する。
【0050】
転写フィルムを、ステップx)の前、特にステップa)の前および/またはステップb1)の前、特に転写工程、ホットスタンプ工程、コールドスタンプ工程、ラミネート工程、インモールド加飾工程から選択される塗布工程の後に、ロールの形態に、特にフィルム芯に巻くことも可能である。さらなる実施形態では、転写フィルムを、特にフィルム芯に混じりけなく(unmixed)巻く。任意選択的に、ロールの形態での巻き取り(winding)は、フィルム芯なしで、したがってコアレスで(corelessly)行い、および/またはフィルム芯上に行い、巻き取り後にフィルム芯をフィルムロールから取り外し、その結果、フィルムロールはコアレスで存在する。このような取り外し可能なフィルム芯は、例えば、転写フィルムを処理する機械の一部とすることができる。
【0051】
「フィルム芯(film core)」とは、特に、転写フィルムが巻かれている、または巻かれていた厚紙ロール(cardboard roll)および/またはプラスチックロールおよび/または機械部品を意味する。フィルム芯は、フィルムロール内に残ることも、フィルムロールを巻いた後に再びフィルムロールから取り除くこともできる。
【0052】
従って、ステップa)の前、および/またはステップb1)の巻き戻し(unwinding)前に、次のステップを実施することもできる。
転写フィルムを、特にフィルム芯に巻き取り、その結果、ロールを提供するステップ。
【0053】
さらに、本方法は、ステップa)の前および/またはステップb1)の巻き戻しの前に、次のステップを含むことができる。
ロールを巻き戻し装置に搬送するステップ、ならびに/あるいは、ロールおよび/または回収容器を手作業で、および/またはフィーダーによって切断装置に搬送するステップ。
【0054】
転写フィルムの回収または巻き取り、特に純粋な(unmixed)回収および/または巻き取りは、異物の割合が小さいことを保証する。ステップa)では、特に、1枚の転写フィルムの代わりに、1種類の複数の転写フィルムを同時に処理、特に粉砕することも考えられる。
【0055】
ステップa)における転写フィルムの粉砕の間に、特に、巻かれた転写フィルムを切断してフィルムウェブが形成される。その際、転写フィルムを有するロールを、V字形の窪みに固定し、特に水平に固定し、次いで、特に上方から、または下方から、または側方から、ブレードによって長手方向にフィルム芯まで切り開き、特にフィルム芯がある場合には、フィルム芯を除去する。これには、転写フィルムがフィルム芯から容易かつ迅速に剥離され、さらなる処理に使用できるという利点がある。ロールは、好ましくは、ブレードがフィルム芯の方向の側面の接線に対して垂直に切断するように切り開かれる。特に上方から切断する場合、ロールがV字形の窪みによって固定され、ブレードの切断圧力を吸収するためのカウンターベアリングが不要になるという利点が得られる。好ましくは、この処理工程はギロチンによって行われる。
【0056】
冒頭で述べたように、フィルム芯は好ましくは転写フィルムとは異なる材料からなる。そのため、異物として作用するこのフィルム芯を除去することが望ましい。
【0057】
好ましくは、アルカリ性洗浄液中の切断物は、特にステップa)が予め実施されている場合、ステップx)の間に、1wt%~30wt%、好ましくは5wt%~15wt%の範囲の濃度を有することができる。濃度は、好ましくは、洗浄液中の切断物の重量に対する固形分濃度である。このような濃度は、いかなる切断物のアルカリ可溶性トップコートでも溶解するのに十分なアルカリ性洗浄液が常に存在することを保証する。さらに、塊(clump)の形成が防止される。
【0058】
特にステップa)が予め実施されている場合、ステップx)の間に、アルカリ性洗浄液を、転写フィルムおよび/または切断物と有利に撹拌する。その結果、アルカリ性洗浄液の転写フィルムまたは切断物へのしみこみ(soaking)が促進される。ここで、アルカリ性洗浄液は、好ましくは30秒~120秒、より好ましくは60秒~120秒の範囲の撹拌時間で撹拌される。撹拌機の撹拌速度は、好ましくは毎分1~200回転、好ましくは毎分10~50回転の範囲である。
【0059】
さらに、特にステップa)が予め実施されている場合、ステップx)の間に、切断物の転写プライがキャリアフィルムから剥離する可能性があり、その結果、転写プライ粒子およびキャリアフィルムの切れはしが形成される。好ましくは、粒子はキャリアフィルムから剥離しない。これは、キャリアフィルムの切れはし(cutting)が切断物(cut material)と同じ表面積を有することを意味し、一方、上述したように、転写プライは崩壊して粒子を形成する。
【0060】
好ましくは、濾過および/または遠心分離および/または沈降によって、キャリアフィルムの切れはしをアルカリ性洗浄液から分離する。既に上述したように、キャリアフィルムの沈降は、密度の差によって起こる。PETキャリアフィルムが使用される場合、アルカリ性洗浄液の密度は、キャリアフィルムの切れはしが洗浄液槽の底に沈むように有利に設定される。この工程は沈降とも呼ばれる。他方、アルカリ性洗浄液の密度は、分離した転写プライ粒子が洗浄液中に、好ましくは洗浄液の表面上に浮遊するようにも有利に選択される。その後、粒子は、例えばふるいを用いて洗浄液から除去することができる。その後、キャリアフィルムの切れはしは、さらなる処理のために洗浄液から除去することができる。
【0061】
例えば、PETキャリアフィルムは約1.4g/cmの密度を有するが、転写プライの層の材料、例えばプライマー層または接着促進剤層の材料は、0.9g/cm~1.25g/cmの範囲の密度を有する。前述の沈降は、例えば、アルカリ性洗浄液の密度を1.2g/cm~1.4g/cmの範囲、好ましくは1.25g/cm~1.35g/cmの範囲に設定することによって達成することができる。アルカリ性液体(alkaline liquid)の密度の選択は、キャリアフィルム材料に応じて選択することが好ましい。沈降は、濾過や遠心分離に比べ、追加エネルギーなしで実施できるという利点がある。
【0062】
分離したキャリアフィルムの切れはしを、好ましくは機械的および/または熱的乾燥工程によって、洗浄および/または中和および/または乾燥することがさらに可能である。ここにおいて、特に、キャリアフィルムの切れはし、特にキャリアフィルム材料は、99%~100%の範囲の純度(purity)が達成される。これらの工程により、キャリアフィルムの切れはし上に残留する可能性のあるアルカリ性洗浄液または場合によっては転写プライ粒子が除去され、さらにキャリアフィルムの切れはしから水分が抽出される。これにより、可能な限り純粋なキャリアフィルム材料が得られる。ここで起こりうる汚染としては、せいぜいキャリアフィルムの切れはしやキャリアフィルムの上に残る剥離層がある。これは、冒頭で述べたように、キャリアフィルムの質量に対して無視できるほど小さな質量であるため、キャリアフィルム材料は99%超の純度を達成することができる。
【0063】
粉砕の代わりとして、好ましくは、リサイクル工程をロール・ツー・ロール(roll-to-roll)方式で実施する。ここで、好ましくは、転写フィルムの全体を洗浄液槽中に導き、次いで、転写プライのない転写フィルム、従って、キャリアフィルムのみを、場合によってはその上に剥離層が存在する状態で、再び巻き取る。
【0064】
好ましくは、本方法において、ステップx)の前に以下のステップを有することができる。
b1)巻き戻し装置によって、供給ロール(feed roll)から転写フィルムを巻き戻し、特に転写フィルムを洗浄液槽中に導くことによって、巻き戻された転写フィルムをアルカリ性洗浄液と接触させるステップ。
【0065】
さらに、ステップb1)とステップx)との間に、転写プライの粗面化(roughening)および/またはキスカット(kiss-cutting)および/またはスクラッチを実施することが可能である。その結果、アルカリ可溶性トップコートは、好ましくは、アルカリ性洗浄液に対してより大きな接触面を有する。その結果、アルカリ可溶性トップコート、特にトップコートのアルカリ可溶性バインダーの溶解速度を増大させることができる。ここで、転写フィルムは、好ましくは、機械的工具、例えばピンを備えたロール上に導かれ、その結果、転写プライに好ましくは穿刺状の(punctiform)損傷が生じる。転写フィルムは、また特にはキャリアフィルムも、転写フィルムが依然として十分に機械的に安定であり、裂けない限り、穴を開けることさえできる。対応する工具、特にピンは、転写フィルムの幅にわたって1mm~5mmの間隔を有することができる。
【0066】
さらに、好ましくは、本方法は、ステップb1)の後、およびステップx)の後に、以下のステップを有する。
b2)キャリアフィルムを巻き取りロールに巻き取るステップであって、キャリアフィルムをアルカリ性洗浄液槽から導出し、特に、溶解形態のトップコートおよび/または未溶解形態の転写プライがアルカリ性洗浄液中に残るステップ。
【0067】
ここで、巻き取りによってキャリアフィルムを再び洗浄液から容易に導出し得るので、ステップx)におけるキャリアフィルムの分離がより容易になる。ここで、好ましくは、転写プライは崩壊して粒子を形成するので、転写プライもキャリアフィルムから分離する。これらの粒子は、好ましくはアルカリ性洗浄液中に浮遊する。これらの転写プライ粒子を、転写プライの未溶解形態とも呼ぶ。
【0068】
転写フィルム、特にキャリアフィルムを、好ましくは、ステップb1)とステップb2)との間に、アルカリ性洗浄液の中を、好ましくは1m/分~100m/分の速度で導く。特に、転写フィルム、好ましくはキャリアフィルムを、好ましくはステップb1)とステップb2)との間に、10秒~150秒の範囲の時間、洗浄液と接触させ、および/または洗浄液槽中に導く。
【0069】
例えば、1つ以上の偏向ローラーによって、転写フィルム、特にキャリアフィルムを洗浄液槽中に導くことが可能である。これにより、特に滞留時間を長くし、アルカリ可溶性トップコートの溶解を促進することができる。
【0070】
さらに、キャリアフィルムを洗浄液槽(washing liquid bath)から導出した後、キャリアフィルムを洗浄槽(cleaning bath)中に導くことも可能である。ここで、キャリアフィルムを、好ましくは、水および/または炭酸、酢酸、塩酸、硫酸から個別にまたは組み合わせて選択される1つ以上の酸を含む中和洗浄液(neutralizing cleaning liquid)と接触させる。従って、付着したアルカリ液を中和したり、例えばpHを5~8の範囲に設定したりしてもよい。さらに、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトンから単独または組み合わせて選択されるアルコールを添加してもよい。さらに、例えば消泡剤のような添加剤および/または界面活性剤を洗浄液に添加してもよい。洗浄槽を通して、溶解したアルカリ可溶性トップコートと転写プライ粒子との両方の割合を含み、なおかつ洗浄されたキャリアフィルムを濡らしているアルカリ性洗浄液の残留物(residues)を、特に好ましくは除去することができる。特に好ましくは、既に沈殿した(precipitated)転写プライ粒子が洗浄されたキャリアフィルムに付着するのを防止する。巻き取りロールに巻き取る前に、キャリアフィルムを好ましくは再び洗浄槽から導出する。
【0071】
キャリアフィルムを洗浄液槽および/または洗浄槽から導出した後に、キャリアフィルムを乾燥させることも可能である。乾燥後、任意選択的に、吸引装置(suction device)および/または接着装置(bonding device)によって、転写プライ、特に転写プライ粒子の遊離した(loose)残留物、特に転写プライ粒子を除去してもよい。
【0072】
従って、本方法は、特にロール・ツー・ロール方式で実施され、および/またはステップb1)、x)およびb2)は、インライン方式で実施される。また、1つの実施例では、転写フィルムの製造工程および/または塗布工程を、特にステップb1)、x)およびb2)を用いて、転写フィルムのリサイクル方法の内のインライン方式で実施することも可能である。
【0073】
ステップx)において、および/またはステップb1)とb2)との間に、転写プライをキャリアフィルムから剥離するために、機械的摩耗システム(mechanical abrasion system)および/またはブラシロールシステム(brush roll system)および/またはフォームロールシステム(foam roll system)および/またはスプレーノズルシステムを追加的に使用することも考えられる。ここで、特に転写プライの剥離を促進することが可能である。特に、転写プライのさらなる迅速な剥離を達成するために、転写フィルムの転写プライで被覆された側に、好ましくは追加的に、スプレーノズルによってアルカリ性洗浄液をつける(put)ことが考えられる。
【0074】
好ましくは、ステップx)の後に、分離工程によって、転写プライの不溶性粒子をアルカリ性洗浄液から分離することが可能である。ここで、特に、分離工程は、濾過および/または遠心分離および/またはふるい分けおよび/またはデカンテーションを含む。
【0075】
さらに、特に、ステップx)の後に、膜濾過および/または化学沈殿によってアルカリ性洗浄液を再処理することが可能である。アルカリ性洗浄液中に溶解した転写プライの成分、例えばトップコート、場合によっては金属層の卑金属などは、ここで洗浄液から除去することができる。その後、洗浄された洗浄液は、さらなる転写フィルムのリサイクルのために再び使用することができる。
【0076】
好ましくは、キャリアフィルムおよび/またはキャリアフィルムの切れはしおよび/またはキャリアフィルム材料を、ステップx)の後に、成形品(compact product)および/または押出品にさらに加工する。ここで、特に、成形品および/または押出品は、射出成形、押出成形、フラットフィルム押出成形、プレス加工、コンパウンディング、化学リサイクルおよび/またはエネルギー回収から選択される少なくとも1つの後続工程または工程の組み合わせに適している。キャリアフィルム材料および/またはキャリアフィルムおよび/またはキャリアフィルムの切れはしは、リサイクル工程において99.0%~100.0%の範囲の純度で存在するため、例えば射出成形部品、押出成形部品、キャリアフィルムなどのような、その後に製造される製品もそのような純度を有し、ひいてはリサイクル製品の材料特性にプラスの効果をもたらす。
【0077】
転写フィルムのキャリアフィルムは、好ましくは4.5μm~100μmの範囲、より好ましくは4.5μm~12μmの範囲の層厚を有する。キャリアフィルムは、好ましくは、無色、透明(transparent)、澄んで(crystal clear)、不透明、染色され、少なくとも部分的に染色または着色されている。キャリアフィルムは、押出成形、特にフラットフィルム押出成形によって製造されたか、または製造されていることが好ましい。キャリアフィルムは、ポリエステルのみからなるか、またはポリエステルを含むことが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリラクチド、ポリエチレンフラノエート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、および/またはポリエステルカーボネート、セロファン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、および/または紙、特にコート紙および/またはラミネート紙から選択される1つ以上の成分または複合材料のみからなるか、またはこれらを含むことが好ましい。
【0078】
キャリアフィルムは好都合には主成分、好ましくはPETを有し、キャリアフィルム中の主成分、好ましくはPETの割合は97%超、好ましくは99.9%超、特に好ましくは99.97%超である。キャリアフィルムのリサイクル性を向上させ、最終製品の材料特性も向上させるために、好ましくは、キャリアフィルム材料が可能な限り純粋に存在すること、すなわち、キャリアフィルム材料とは異なる他の異物および/またはプラスチックが存在しないことが提供される。キャリアフィルムの主成分は、特にPETである。
【0079】
アルカリ可溶性トップコートに加えて、転写プライは、好ましくは、少なくとも1つの金属層、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つのカラー層、少なくとも1つの接着剤層、少なくとも1つの接着促進剤層(adhesion-promoter layer)、少なくとも1つのバリア層、少なくとも1つの保護層、少なくとも1つの複製層(replication layer)、少なくとも1つの酸化物層(oxide layer)、少なくとも1つのマスク層から個別にまたは組み合わせて選択されるさらなる層を有することもできる。これらのさらなる層は、それぞれの場合において、表面全体に存在することもできるし、表面の一部にのみ存在することもできる。さらなる層は、個々に、または複数の層の組み合わせとして、パターン、装飾、格子(grid)、幾何学図形、モチーフ、英数字(alphanumeric character)、ロゴ、または組み合わせを形成することができる。
【0080】
カラー層は、好ましくは、少なくとも1種のバインダーおよび/または少なくとも1種のフィラー、ならびに任意選択的に少なくとも1種の添加剤の組み合わせのみからなる。「カラー層」とは、好ましくは、特に観察者にとって検出可能な色印象(color impression)を生成する特殊な機能層を意味する。
【0081】
「カラー」とは、特に、透明度(transparency)および/または透明性(clarity)または散乱能(scattering power)に関して、好ましくは、染色された澄んだ透明(dyed crystal clear transparent)、染色された散乱透明(dyed scattering transparent)または染色された不透明(dyed opaque)を含む、染色を意味する。カラーは、好ましくは、材料の固有の色として生じ、および/または、視認方向における層の前面として、付加的な染色層として配置され、その下に横たわる層、特に金属層は、観察者のために、その着色された外観に関して特に修正される。ここで、カラーは、好ましくは、ほとんどすべての、特にすべての観察角度および/または照明角度から、その色調(hue)および/またはその彩度(color saturation)の点で、および/またはその透明度の点で、光学的に一定または不変(invariable)に見える。カラー自体が光学的に可変(variable)であることもさらに可能であり、その場合、観察および/または照明角度が特に変化すると、カラーの色調および/または彩度および/または透明度が変化する。
【0082】
カラー層は、好ましくは、グレージングカラー層として、特に、透明(transparently)または半透明(translucent)の透明(diaphanous)カラー層として形成される。さらに好ましくは、カラー層は好ましくは添加剤および/またはフィラーを含む。この添加剤および/またはフィラーは、好ましくは紫外線波長範囲、特に200nmと380nmとの間の波長範囲、特にこの波長範囲にわたって平均化された波長範囲において光を吸収する。特に、UVブロッカーは、特にカラー層の色印象を変えないために、380nmから780nmの人間の目に見える波長範囲において、全くまたは非常に低い吸収しか持たない。
【0083】
染料(dyes)および/または顔料(pigments)は、好ましくは、少なくとも1つのカラー層の着色物質として好適である。顔料は、好ましくは、それらが組み込まれた媒体(medium)中で実質的に不溶性、特に不溶性である。染料は、好ましくは、使用中に溶解し、特にその結晶構造および/または粒子構造を失う。染料の種類としては、塩基性染料、脂溶性染料または金属錯体染料が挙げられる。顔料の種類としては、有機顔料および無機顔料が挙げられる。顔料は、好ましくは一体として存在する材料から構成されるか、あるいは特に代替的に、例えば異なる材料の複数の層を有する層構造として、および/または例えば特にコアとシェルを有する異なる材料のカプセルとして、複雑な構造を有する。
【0084】
少なくとも1つのカラー層の色は、特に透明(transparent)または少なくとも半透明(translucent)であり、透過率(transmissivity)は好ましくは5%~99%であり、特に380nm~780nmの人間の目に見える波長範囲の部分領域、好ましくは430nm~690nmの範囲で平均化される。
【0085】
さらに、少なくとも1つのカラー層が形成されること、および/または少なくとも1つのカラー層が複数の異なる色から構成されることが可能である。ここで好ましくは、これらのカラー層はまた、カラー層の重なりによって、および/またはカラー層のハーフトーン化によって形成される、第1および第2の色が混ざった色の領域を有する。特に、カラー層の彩度は変化する。
【0086】
カラー層は、特に減法混色(subtractive mixed color)を生成するために、シアン、マゼンタ、イエロー、またはブラック(CMYK=シアン・マゼンタ・イエロー・キー:ブラックは色深度として)の色、またはレッド、グリーン、またはブルー(RGB)の色を有する少なくとも1つの顔料または1つの着色剤を用いて生成することができる。
【0087】
特に、少なくとも1つのカラー層が0.2μm~20μmの範囲、好ましくは0.4μm~8μmの範囲の層厚を有する。
【0088】
金属層は、好ましくは5nm~50nmの範囲、より好ましくは10nm~40nmの範囲の層厚を有する。金属層が透明または不透明であってもよい。金属層は、特に金属光沢と鏡面効果を保証し、これは観察者やセンサーによって知覚され得る。
【0089】
好ましくは、金属層が、アルミニウム、クロム、銀、金、銅、ニッケル、スズ、インジウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛から個別に、またはこれらの材料の少なくとも2つの合金として、または共晶として選択される、好ましくは高屈折率を有する材料および/または化合物を含む、またはこれらのみからなることが可能である。ここで、金属層は単層または多層であることが可能である。例えばアルミニウムのような1つ以上の卑金属からなる金属層を使用する場合、上述のように、アルカリ性洗浄液槽に転写フィルムを浸漬する間に、卑金属からなる金属層が同様に溶解する。ここで、水素なども放出され得る。そのため、特に、例えば吸引や換気による抜き取り(extraction)などの安全対策が講じられる。
【0090】
金属層は、好ましくは、真空蒸着によって転写プライの1つ以上の層の1つとして塗布される。真空蒸着によって比較的薄い層の塗布が可能であり、その結果、5nm~50nmの範囲、好ましくは10nm~40nmの範囲の層厚を達成することができる。
【0091】
プライマー層は特に、0.1μm~5μmの範囲、好ましくは0.5μm~3μmの範囲および/または0.1μm~0.8μmの範囲の乾燥層の層厚を有する。0.1μm~0.8μmの範囲の乾燥層の層厚は、特に転写フィルムがコールドスタンプ用フィルムである場合に好都合である。0.5μm~3μmの範囲の乾燥層の層厚は、転写フィルムがホットスタンプ用フィルムである場合に特に好都合である。
【0092】
プライマー層によって、好ましくは塗布工程中、特に塗布工程後も、基材または対象物に対する転写プライの十分な接着を保証することができる。
【0093】
好ましくは、プライマー層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアクリレートおよび/またはそれらのコポリマー、ポリメタクリレートおよび/またはそれらのコポリマー、炭化水素樹脂、シェラック(shellac)、アルキド樹脂、コロホニー樹脂(colophony resins)、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、ポリオレフィン、変性ポリオレフィンおよび/または可塑剤および/または染料および/または有機顔料および/または無機顔料および/または艶消し剤の1つ以上の材料を含むか、またはそれらのみからなることが可能である。
【0094】
プライマー層は、印刷プロセスによって、および/または注型(pouring)によって、および/またはドクターブレードによって、転写プライの1つ以上の層の1つとして好都合に塗布される。例えば、プライマー層はグラビア印刷プロセスで塗布される。さらに、プライマー層を、0.2g/m~5.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布することが可能であり、好ましくは、コールドスタンプの場合、プライマー層を、0.2g/m~1.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布し、ホットスタンプの場合には、0.5g/m~5.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布する。
【0095】
用途によっては、例えばアルカリ可溶性トップコートと金属層との間に接着促進剤層を設けることができる。接着促進剤によってトップコートと金属層間の接着性が向上する。
【0096】
特に、接着促進剤層が0.01μm~0.5μmの範囲、好ましくは0.01μm~0.3μmの範囲の層厚を有することが可能である。接着促進剤層は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレートおよび/またはそれらのコポリマー、ポリメタクリレートおよび/またはそれらのコポリマー、炭化水素樹脂、アルキド樹脂、コロホニー樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、ポリオレフィンおよび/または変性ポリオレフィンの1つ以上の材料を含む、または好ましくはこれらのみからなる。
【0097】
また、金属層と、金属層のトップコートと反対側に配置されるさらなる層と、の間に、さらなる接着促進剤層を設けることもできる。
【0098】
剥離層は、好ましくは、ワックス、シリコーン、ポリウレタン、フッ素化合物、フッ化脂肪酸、変性シリコーンワックスおよび変性シリコーン樹脂、未変性シリコーンワックスおよび未変性シリコーン樹脂、ポリマー、好ましくはアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーから選択される材料または材料の組み合わせを含む。剥離層は、好ましくはアルカリ不溶性である。このことは、転写フィルムのリサイクル中に剥離層がアルカリ性洗浄液に溶解しないという利点を提供する。従って、アルカリ性洗浄液は、リサイクル工程後に複雑な方法で再処理される必要がなくなる。
【0099】
剥離層は、好ましくは0.001μm~0.080μm、より好ましくは0.004μm~0.050μmの範囲の乾燥層の層厚を有することが可能である。剥離層のこの比較的小さな厚みにより、キャリアフィルムからの転写プライの鋭角できれいな剥離が可能になる。
【0100】
剥離層は、好ましくは、0.001g/m~0.060g/m、より好ましくは0.005g/m~0.050g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で、グラビア印刷プロセスによって塗布される。
【0101】
特に、剥離層が透明(transparent)および/または半透明(translucent)および/または不透明および/または染色および/または少なくとも部分的に染色および/または澄んで(crystal clear)形成されていると有利である。
【0102】
特に、剥離層は、塗布工程、例えば転写工程および/またはラミネート工程および/またはインモールド加飾工程における転写プライの基材表面への転写を、好ましくはそれによって転写プライをキャリアフィルムから剥離するための剥離力を低減することによって改善する。
【0103】
キャリアフィルムに塗布された層、特に剥離層および転写プライは、有利には、特に、例えば巻き取りおよび巻き戻し中、輸送中または保管中に、転写プライ全体またはその個々の層がキャリアフィルムから制御されずに剥離するのを防止するために、互いに、およびキャリアフィルムに対して十分な接着性を有する。転写プライをキャリアフィルムから剥離するための剥離力は、特に15℃~35℃の範囲の温度において、好ましくは1cN/cm~10cN/cmの範囲であり、特にコールドスタンプ用フィルムの場合には好ましくは1cN/cm~3cN/cmの範囲であり、および/または特にホットスタンプ用フィルムの場合には好ましくは2cN/cm~5cN/cmの範囲である。
【0104】
個々の転写プライ層、特にアルカリ可溶性トップコートおよび/または金属層および/またはプライマー層および/または接着促進剤層および/またはカラー層間の剥離力は、好ましくは、転写プライをキャリアフィルムから剥離する力よりも大きい。この結果、特に、塗布工程において、転写されるべき領域における転写プライの基材への完全な転写が可能になる。さらに、塗布工程中の転写プライの破断(breaking)や裂け(splitting)が防止される。
【0105】
好ましくは、転写プライの層内または転写プライの2つ以上の層間の最小剥離力は、転写プライをキャリアフィルムから剥離するための力の少なくとも2倍であり、特に10cN/cm~100cN/cm、好ましくは少なくとも20cN/cmから100cN/cm、特に好ましくは少なくとも40cN/cmから100cN/cmの範囲である。
【0106】
転写プライをキャリアフィルムから剥離する力を測定するために、好ましくは、長さ25cm、幅10cmの両面粘着テープを、硬質表面の全面にわたって気泡がないように貼り付ける。次に、長さ30cm、幅10cmの転写フィルムストリップの転写プライ側を、5cmのフィルムのはみ出しタブ(a tab of a 5-cm film overhang)が残るように、気泡がないように粘着テープに貼り付ける。貼り付けた転写フィルムをしっかりと押し付け、はみ出しタブ(overhanging tab)をツビックローエル社(ZwickRoell GmbH & Co. KG)製Z005型材料試験機の測定ユニットに固定し、キャリアフィルムを剥離角度90°、速度50cm/分で剥す。このとき必要な力が測定され、フィルム幅1cmあたりのcNで定義される。
【0107】
好ましくは、トップコートは少なくとも40%~100%のバインダーまたはバインダー混合物を含む。このバインダーまたはバインダー混合物は、pHが8.5より大きく、好ましくは10より大きいアルカリ性洗浄液、特にアルカリ液またはアルカリ性溶液において、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%可溶性である。特に、このようなバインダーはASRs(ASR=アルカリ可溶性樹脂)と呼ばれ、疎水性領域とカルボン酸基を含む。これらの官能基は、pHが高くなるにつれて、適当なアルカリ性pH下で脱プロトン化され、ポリマーの極性を高めて、水などの極性溶媒に完全に溶解するようになるか、少なくともコロイド分散液として存在するようになる。脱プロトン化は可逆的なプロセスである。プロトン化されたカルボン酸基の場合、バインダーの疎水性が優勢になるため、バインダーは中性水(pH7程度)または酸性水溶液(pH7未満)に不溶性である。
【0108】
脱プロトン化は可逆的プロセスであるため、この特性はアルカリ可溶性トップコートの塗布にも有利に採用できる。ここで、好ましくは、トップコートを水性状態(aqueous state)で塗布し、次いで乾燥し、乾燥によってアルカリ性添加剤を完全にまたは少なくとも部分的に除去する。乾燥によるアルカリ性添加剤の除去によって、トップコートは固体となる。
【0109】
好ましくは、水性トップコートは、5%~45%の範囲、より好ましくは15%~30%の範囲、特に好ましくは15%~25%の範囲の固形分含量を有する。それによって有利な印刷粘度(printing viscosity)が達成される。
【0110】
トップコートは、0.5g/m~20.0g/mの範囲、好ましくは0.8g/m~10.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布することも可能である。トップコートを塗布するには、特にスロットダイプロセスまたはグラビア印刷プロセスが有利に適している。トップコートは好ましくは剥離層に直接塗布され、その結果、トップコートは転写プライの第1層として塗布される。
【0111】
さらに、トップコートが透明(transparent)、半透明(semitransparent)、透明染色(transparent dyed)、染色、不透明および/または艶消しであることも可能である。また、トップコートが、0.2μm~20μmの範囲、好ましくは0.4μm~8μmの範囲の乾燥層の層厚を有することも可能である。
【0112】
冒頭ですでに述べたように、アルカリ可溶性トップコートはいくつかの機能を同様に果たす。一方では、トップコートのアルカリ可溶性は、製造工程中のトップコートの塗布に有利に利用できる。他方、リサイクル工程では、このトップコートのアルカリ可溶性は、キャリアフィルムから転写プライを分離するために利用される。対象基材に転写プライを塗布した後、トップコートは最上層を意味し、したがって転写プライの下層、例えば金属層、カラー層および/またはプライマー層を外部環境の影響から保護する。
【0113】
トップコートのアルカリ可溶性のために、好ましくは、対象基材への塗布後、したがって実際の使用分野において、トップコートが依然として十分な耐性を有することが保証されなければならない。既に上述したように、水性トップコートの乾燥中に、アンモニアまたはアミン、特にアンモニアを主体とするようなアルカリ性添加剤は、乾燥によって完全にまたは少なくとも部分的に除去される。乾燥後、トップコート、特にトップコートのバインダーは、好ましくはプロトン化状態で存在する。この状態では、トップコート、特にトップコートのバインダーは疎水性であり、したがって水不溶性である。アルカリ可溶性トップコートをグラフィック包装、グリーティングカード、ラベルまたは雑誌の転写加飾に使用するためには、日常使用における損傷に耐えるために、水分または中性水との接触によるトップコートの溶解性が低いか、または溶解性が全くないことが必要である。ここでいう「水分(moisture)」とは、例えば、グリーティングカードや雑誌に触れたときにトップコートが接触する、人の汗なども含まれる。
【0114】
アルカリ可溶性トップコートの耐性を実験室試験でテストした。
【0115】
最初の試験では、耐水性基材に塗布したアルカリ可溶性トップコートを有する転写プライを、pHが6~7の範囲にある中性水に1時間暴露したときに起こりうる変化について調べた。水への暴露後、転写プライまたはアルカリ可溶性トップコートを綿布で拭き取り、温度25℃、相対湿度40%~60%の範囲の周囲条件下で1時間乾燥させた。有利なことに、アルカリ可溶性トップコートに視覚的に認識できる変化は見られなかった。
【0116】
第二の試験では、アルカリ可溶性トップコートの耐摩耗性を調べた。このために、好ましくは繊維産業で知られているAATCC試験法8に従って、いわゆるクロックメーター試験を実施した。まず、アルカリ可溶性トップコートを有する転写プライを耐水性基材に塗布した。好ましくは、ABS(=アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)製の基材がこれに適している。次に、アルカリ可溶性トップコートの表面を、乾燥または湿潤綿布で、5Nの垂直力効果(vertical force effect)下で10回の完全な摩擦運動を行った。この試験でも、アルカリ可溶性トップコートに視覚的に認識できる変化は見られなかった。
【0117】
最初の2つの試験は、基材への塗布後のトップコートの耐性に関するものである。しかし、特にホットスタンプの場合、軟化しないために、したがって適切な場合には、薄い金属ミラーの完全性を維持するために、トップコートの耐熱性は十分に良好であることが望ましい。金属ミラーは、好ましくは蒸着金属層の形で実現される。ホットスタンプ中にアルカリ可溶性トップコートが軟化すると、トップコートが白濁し、下層の金属層の光沢が観察者に知覚できなくなる。このため、第3の試験では、ホットスタンプ中のアルカリ可溶性トップコートの耐熱性を、従来の溶剤系トップコートと比較して調べた。このために、スタンプ温度130℃、毎時4000枚の処理能力を有するユーヘン(Yuheng)社製MK920縦型ホットスタンプ機で、本開示による転写フィルムおよび溶剤系トップコートを有する従来の転写フィルムについて、それぞれホットスタンプを行った。目視チェックの結果、アルカリ可溶性トップコートを含む金属ミラーの光沢と反射率は、溶剤系トップコートを用いた従来の転写フィルムとほぼ同じであった。
【0118】
上記試験により、視覚的に認識できる変化の点で、アルカリ可溶性トップコートは、従来の溶剤系トップコートと同様の耐性を有することが示された。したがって、本開示による転写フィルムで塗布または加飾された物品または基材は、日常的な用途に使用することができる。例えば、冷蔵庫で冷却される製品や食品の包装の装飾品を使用することができる。試験の結果、アルカリ可溶性トップコートは、例えば冷蔵庫内で発生する凝縮水に対して十分な耐性を有することが示された。
【0119】
本開示による方法は、特に、キャリアフィルムとは異なる材料からなる転写プライの転写フィルムのリサイクルに適している。このような方法は、使用済みの転写フィルムが捨てられることなく、再処理され、その結果、さらなるライフサイクルがもたらされるという利点を提供する。本開示による転写フィルムおよび/または本開示による製造方法および/または本開示によるリサイクル方法で使用される転写フィルムは、好ましくは、「リサイクルのための設計(Design for Recycling;DfR)」原則に従って製造および構成される。これにより、新たなプラスチックの製造が不要となるため、経済的および生態学的に大きな利点が得られる。転写プライの除去により、可能な限り純粋なプラスチック材料が得られ、これを用いて新しいキャリアフィルムおよび/または他のプラスチック部品を製造することができる。
【0120】
以下では、図面を用いて、いくつかの実施例を参照しながら本開示を例示的に説明する。したがって、示された実施例は、限定的なものとして理解されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1】転写フィルムの概略図を示す。
図2】転写フィルムの概略図を示す。
図3】転写フィルムの概略図を示す。
図4】転写フィルムの概略図を示す。
図5】転写フィルムのリサイクル方法を示す概略図を示す。
図6】転写フィルムのリサイクル方法を示す概略図を示す。
図7】転写フィルムのリサイクル方法を示す概略図を示す。
図8】転写フィルムのリサイクル方法を示す概略図を示す。
図9】転写フィルムのリサイクル方法を示す概略図を示す。
図10】ロール・ツー・ロール方式での転写フィルムのリサイクル工程の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0122】
図1は、転写フィルム1の概略図である。転写フィルム1は、好ましくはリサイクル可能な転写フィルム1であり、特にアルカリ性洗浄液9またはアルカリ液中でリサイクル可能な転写フィルム1である。転写フィルム1は、キャリアフィルム2と、剥離層3と、剥離層3に塗布された転写プライ4とを有する。転写プライ4は、第1層または最上層としてアルカリ可溶性トップコート5を有する。転写プライ4の「第1層」とは、転写フィルム1の製造中に最初に堆積される層を意味する。あるいは、転写プライ4の「最上層」とは、転写プライ4を対象基材に塗布した後に転写プライ4の最上層を形成する層を意味する。アルカリ可溶性トップコート5は、特に直接、剥離層3上に配置される。図1による転写フィルム1の転写プライ4はさらに、トップコート5の下に配置されるプライマー層6も有する。
【0123】
したがって、ここでは特に、例えば転写プライ4のような、キャリアフィルム2上に配置されたプライが、キャリアフィルム2と直接接触していないが、1つ以上のさらなる層、例えば少なくとも剥離層3を介してキャリアフィルム2に接合されているプライを意味することが可能である。
【0124】
図1に示す転写フィルム1は、非金属化ホットスタンプ用フィルムである。あるいは、転写フィルム1は、例えば、以下の実施例でさらに説明するような、金属化されたホットスタンプ用フィルム、コールドスタンプ用フィルムまたは熱転写フィルムとすることもできる。
【0125】
キャリアフィルム2は、好ましくは押出成形、特にフラットフィルム押出成形によって製造される。キャリアフィルム2の層厚は、好ましくは4.5μm~100μmの範囲、より好ましくは4.5μm~12μmの範囲である。キャリアフィルム2は、無色、透明(transparent)、澄んで(crystal clear)、不透明、染色、少なくとも部分的に染色または着色されていてもよい。
【0126】
キャリアフィルム2は、特にポリエステルのみからなるか、または特にポリエステルを含む。キャリアフィルム2は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリラクチド、ポリエチレンフラノエート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、および/またはポリエステルカーボネート、セロファン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、および/または紙、特にコート紙および/またはラミネート紙から選択される1つ以上の成分または複合材料を含むか、またはそれらのみからなる。
【0127】
図1に示すキャリアフィルム2は、アルカリ性洗浄液9に不溶性のPETキャリアフィルム2である。キャリアフィルム2は、例えば主成分、好ましくはPETを有する。この主成分、好ましくはPETのキャリアフィルム2における割合は、好ましくは97%超、より好ましくは99.9%超、特に好ましくは99.97%超である。
【0128】
剥離層3は、好ましくは非水溶性剥離層である。非水溶性剥離層は、塗布工程における転写プライ4の基材表面への転写を可能にし、剥離力および軟化温度の非常に正確な制御を可能にする。剥離層3は特に、ワックス、シリコーン、ポリウレタン、フッ素化合物、フッ化脂肪酸、変性シリコーンワックスおよび変性シリコーン樹脂、未変性シリコーンワックスおよび未変性シリコーン樹脂、ポリマー、好ましくはアクリレートコポリマー、ポリエステルコポリマー、ポリスチレンコポリマー、ポリカーボネートコポリマーから選択される材料または材料の組み合わせを有する。剥離層3は、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素化合物、および/またはフッ化脂肪酸、および/または変性シリコーンワックスおよび変性樹脂、および/または未変性シリコーンワックスおよび未変性シリコーン樹脂、または上記の成分の組み合わせを含むことも可能である。
【0129】
さらに、剥離層3は、水性または溶剤系のワックス剥離層であり得る。剥離層3は好ましくはアルカリ不溶性である。これにより、転写フィルム1のリサイクル中に、剥離層3がアルカリ性洗浄液9に溶解しないという利点が得られる。したがって、リサイクル工程後にアルカリ性洗浄液9を複雑な方法で再処理する必要がなくなる。
【0130】
剥離層3は、好ましくは、0.001μm~0.080μm、より好ましくは0.004μm~0.050μmの範囲の乾燥層の層厚を有する。好ましくは、剥離層3は、グラビア印刷プロセスによって、0.001g/m~0.060g/m、より好ましくは0.005g/m~0.050g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布される。
【0131】
特に、剥離層3は、転写プライ4を用いて少なくとも部分的に転写可能であってもよい。換言すれば、剥離層3は、それが不合格品でなければ、塗布工程において転写プライ4を用いて基材に転写されるか、またはすでに転写されていることが可能である。これは特に剥離層3の組成に依存する。剥離層3が転写プライ4とともに対象基材に転写される場合、特に剥離層3が透明(transparent)である。
【0132】
特に、剥離層3は、例えば、転写工程、ホットスタンプ工程、コールドスタンプ工程、ラミネート工程、インサート成形工程、インモールド加飾工程から選択される塗布工程における転写プライ4の基材表面への転写性を向上させる。その理由は、好ましくは、転写プライ4をキャリアフィルム2から剥離させる剥離力が、それによって設定されるからである。
【0133】
特に、転写プライ4をキャリアフィルム2から剥離するための剥離力は、特に15℃~35℃の範囲の温度において、1cN/cm~10cN/cmの範囲であり、特にコールドスタンプ用フィルムの場合、好ましくは1cN/cm~3cN/cmの範囲であり、および/または特にホットスタンプ用フィルムの場合、好ましくは2cN/cm~5cN/cmの範囲である。
【0134】
好ましくは、転写プライ4の層内または転写プライ4の2つ以上の層間の最小の剥離力は、転写プライ4をキャリアフィルム2から剥離するための力の少なくとも2倍、特に10cN/cm~100cN/cm、より好ましくは少なくとも20cN/cmから100cN/cm、特に好ましくは少なくとも40cN/cmから100cN/cmの範囲であってよい。これにより、転写プライ4の個々の層の接着力が十分に高いことが保証され、その結果、塗布工程中の転写プライ4の破断または裂けが防止される。
【0135】
すでに述べたように、トップコート5はアルカリ可溶性である。すなわち、トップコート5は、アルカリ性洗浄液9またはアルカリ液に投入されるとすぐに溶解する。特に、トップコート5は、バインダーまたはバインダー混合物を少なくとも40%から100%含み、このバインダーまたはバインダー混合物は、pHが8.5より大きく、好ましくは10より大きいアルカリ性洗浄液9、特にアルカリ液またはアルカリ性溶液に少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%溶解する。特に、このようなバインダーは、ASRs(ASR=アルカリ可溶性樹脂)と呼ばれ、疎水性領域とカルボン酸基とを含む。これらの官能基は、pHが高くなるにつれて、適当なアルカリ性pH下で脱プロトン化され、ポリマーの極性を高めて、水などの極性溶媒に完全に溶解するようになるか、少なくともコロイド分散液として存在するようになる。脱プロトン化は可逆的なプロセスである。プロトン化されたカルボン酸基の場合、バインダーの疎水性が優勢になるため、バインダーは中性水(pH7程度)または酸性水溶液(pH7未満)に不溶性である。
【0136】
ASRsは、揮発性有機化合物(volatile organic compounds;VOC)の含有量が20%未満と定義されている、環境に優しい水性ワニスの調合を可能とする。アルカリ性pHは、アンモニアNHまたはアミンを添加することで設定できる。アンモニアは、アミンとは対照的に、VOCとみなされず、-33℃という非常に低い沸点のため、特にグラビア印刷のコーティング工程では、非常に高速で乾燥させることで完全に除去できるため、好ましく使用される。濡れ性、進行性(progression)、皮膜形成を改善するために、20%までの親水性有機溶剤を加えることができる。これらの親水性有機溶剤は、アルコールまたはグリコールエーテルなどであってよい。
【0137】
アルカリ可溶性バインダーは、好ましくはアルカリ可溶性アクリレートポリマーを含む。このアルカリ可溶性アクリレートポリマーは、通常、印刷インキ分野で用いられ、または顔料ペーストの粉砕および分散に使用される。商業的に入手可能なアルカリ可溶性アクリレートの例として、コベストロ社製のNeoCryl BT-24 EU、NeoCryl BT-21、NeoCryl BT-100、NeoCryl BT-107-S、NeoCryl BT-101、およびハンファケミカル社製のSOLURYL R-90、SOLURYL CE-1217が挙げられる。好適なASRsは、特に300000g/mol未満、より好ましくは1000~100000g/molの範囲、特に好ましくは1500~60000g/molの範囲の分子量を有する。
【0138】
アルカリ可溶性アクリレートは、好ましくは高い酸価を有し、この酸価は、アルカリ性水溶液中でアニオン基を形成するカルボン酸基に由来する。アルカリ可溶性アクリレート、特にアルカリ可溶性トップコート5の酸価は、好ましくは少なくとも20mg KOH/g、より好ましくは少なくとも50mg KOH/gである。中性水の作用に対する乾燥ワニス皮膜の耐性を高めるために、ポリマーの酸価は50mg KOH/g~225mg KOH/gの範囲であることが特に好ましい。アルカリ可溶性アクリレートは、好ましくは30℃~150℃の範囲、特に好ましくは50℃~150℃の範囲のガラス転移温度を有する。2種以上のアルカリ可溶性バインダーの混合物を使用する場合、ガラス転移温度範囲は、計算された比例加重値(proportionately weighted value)に関係する。
【0139】
水性トップコート5は、好ましくは、有利な印刷粘度を得るために、5%~45%の範囲、より好ましくは15%~30%の範囲、特に好ましくは15%~25%の範囲の固形分含量を有する。トップコート5は、好ましくは、特に剥離層3に、グラビア印刷プロセスまたはスロットダイプロセスによって、0.5g/m~20.0g/mの範囲、より好ましくは0.8g/m~10.0g/mの範囲の乾燥層の塗布重量で塗布される。さらに好ましくは、トップコート5を水性状態で塗布し、次いで乾燥し、乾燥によってアルカリ性添加剤を完全にまたは少なくとも部分的に除去する。
【0140】
図1に示す転写フィルム1の場合、トップコート5は、好ましくは0.2μm~20.0μmの範囲、より好ましくは0.4μm~8μmの範囲の乾燥層の層厚を有する。
【0141】
さらに、トップコート5は、好ましくは、さらなる成分として、0%~60%の範囲の割合で艶消し剤および/または可溶性染料および/または顔料を含むことができる。さらなる成分の選択は、それぞれの用途または光学設計に依存する。トップコート5は、好ましくは、透明(transparent)、半透明(semitransparent)、透明染色、染色、不透明および/または艶消しである。図2図3および図4に例示するように、後続の金属層7と組み合わせると、特に金属光沢効果が生じる。図1の転写フィルム1のような非金属化転写フィルムの場合、基材表面に対する転写プライ4の強力な被覆力を特に達成できるようにするために、顔料が好ましく使用される。
【0142】
好ましくは、転写プライ4は、特にトップコート5に加えて、少なくとも1つの金属層7および/または少なくとも1つのプライマー層6および/または少なくとも1つのカラー層および/または少なくとも1つの接着剤層および/または少なくとも1つの接着促進剤層8を有する。
【0143】
図1に示す転写フィルム1の場合、転写プライ4は、トップコート5に加えて、プライマー層6も有する。プライマー層6は、塗布工程において、転写プライ4の対象基材への接着を可能にする。プライマー層6は、好ましくは、0.1μm~5.0μmの範囲、より好ましくは0.5μm~3μmの範囲の乾燥層の層厚を有し、好ましくは、コールドスタンプの場合、プライマー層6は、0.1μm~0.8μmの範囲の乾燥層の層厚を有し、ホットスタンプの場合、プライマー層6は、0.5μm~3μmの範囲の乾燥層の層厚を有する。図1に示す転写フィルム1は、上述したようにホットスタンプ用フィルムである。従って、図1による転写フィルム1のプライマー層6は、0.5μm~3μmの範囲の乾燥層の層厚を有する。さらに、この場合、プライマー層6は、熱で活性化が可能であり、特に、転写プライ4を対象基材に塗布する工程中のスタンピングダイおよび/またはスタンピングローラの熱エネルギーによって活性化される。
【0144】
場合によっては、例えば図1に例示するような非金属化転写フィルムの場合、プライマー層6は、保護ワニス層と組み合わせることができる。この場合、この組み合わされる層は水性であるため、リサイクル工程中にアルカリ性洗浄液9またはアルカリ液に溶解し、その結果、リサイクル中にキャリアフィルム2(場合によっては剥離層3付き)とアルカリ性洗浄液9のみが製品として残る。しかし、図1の転写フィルム1の場合、プライマー層6はアルカリ不溶性である。このため、転写フィルム1のリサイクル時に、プライマー層6がアルカリ性洗浄液9に溶解しないという利点がある。したがって、アルカリ性洗浄液9は、リサイクル工程後に複雑な方法で再処理される必要がなくなる。
【0145】
好ましくは、プライマー層6は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアクリレートおよび/またはこれらのコポリマー、ポリメタクリレートおよび/またはそれらのコポリマー、炭化水素樹脂、シェラック、アルキド樹脂、コロホニー樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、ポリオレフィン、変性ポリオレフィンおよび/または可塑剤および/または染料および/または有機顔料および/または無機顔料および/または艶消し剤の1つ以上の材料を含むか、またはそれらのみからなる。
【0146】
プライマー層6は、好ましくは、印刷プロセスによって、および/または、注型によって、および/または、ドクターブレードによって塗布される。
【0147】
図2は、さらなる転写フィルム1、特にリサイクル可能な転写フィルム1の概略図を示す。図2に示す転写フィルム1は、金属化されたホットスタンプ用フィルムである。図2に示す転写フィルム1の層構造は、図1の転写フィルム1の層構造と同一であるが、プライマー層6とトップコート5との間に金属層7がさらに配置されている点で異なる。金属層7は、観察者が知覚できる金属光沢および鏡面効果を保証する。したがって、図2に示す転写フィルム1の転写プライ4は、トップコート5、金属層7およびプライマー層6を含む。
【0148】
金属層7は、好ましくは5nm~50nmの範囲、より好ましくは10nm~40nmの範囲の層厚を有する。金属層7は、好ましくは、アルミニウム、クロム、銀、金、銅、ニッケル、スズ、インジウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛から個別に、またはこれらの材料の少なくとも2つの合金として、または共晶として選択される、好ましくは高屈折率を有する材料および/または化合物を含む。
【0149】
さらに好ましくは、金属層7は透明(transparent)または不透明である。
【0150】
特に、金属層7を、真空蒸着によって転写プライ4の1つ以上の層の1つとして塗布することが可能である。ここで特に、金属層7は、5nm~50nmの範囲、好ましくは10nm~40nmの範囲の層厚で塗布される。
【0151】
金属層7が卑金属から形成されている場合、金属層7は好ましくはアルカリ可溶性である。金属層7として例えばアルミニウムのような卑金属が使用される場合、金属層7はアルカリ性洗浄液9またはアルカリ液と接触すると溶解する。水素(H)が放出されるが、これはプロセスの信頼性の理由から、好ましくは熱利用、換気、および/または吸引による抜き取りによって工程から除去される。
【0152】
図3は、さらなる転写フィルム1、特にリサイクル可能な転写フィルム1の概略図である。図3に示す転写フィルム1は、金属化されたコールドスタンプ用フィルムである。図3に示す転写フィルム1の層構造は、図2の転写フィルム1の層構造と同一であるが、プライマー層6の層厚がより小さいという違いがある。
【0153】
この場合、プライマー層6は、0.1μm~0.8μmの範囲の乾燥層の層厚を有する。図2によるホットスタンプ用フィルムの場合とは異なり、プライマー層6は熱で活性化できる接着剤ではない。
【0154】
特にコールドスタンプ形態の転写工程の場合、例えば特にオフセット印刷および/またはフレキソ印刷および/またはスクリーン印刷および/またはインクジェット印刷のような印刷プロセスを介して、装飾モチーフの形状の接着剤層を、好ましくは基材上に堆積する。次いで、転写フィルム1を、好ましくは10℃~40℃の温度範囲、より好ましくは15℃~30℃の温度範囲で基材に塗布し、次いで、特にキャリアフィルム2を剥す。転写プライ4に対する接着剤層の接着力が、転写プライ4をキャリアフィルム2から剥離する力よりも大きいと、転写プライ4は基板に転写されることになる。キャリアフィルム2を剥すとき、転写プライ4はこのようにして、特に接着剤層がある領域で基材上に残り、そこでキャリアフィルム2から剥離される。特に、接着剤層として酸化硬化型および/または放射線硬化型の接着剤を使用する。
【0155】
コールドスタンプ工程では、上記のプライマー層6は、転写プライ4と接着剤層との接着性を向上させる機能を有する。
【0156】
図4は、さらなる転写フィルム1、特にリサイクル可能な転写フィルム1の概略図である。図4に示す転写フィルム1は、金属化されたホットスタンプ用フィルムである。図4に示す転写フィルム1の層構造は、図2の転写フィルム1の層構造と同一であるが、金属層7とトップコート5との間に接着促進剤層8がさらに配置されている点で異なる。
【0157】
接着促進剤層8は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレートおよび/またはそのコポリマー、ポリメタクリレートおよび/またはそのコポリマー、炭化水素樹脂、アルキド樹脂、コロホニー樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、ポリオレフィンおよび/または変性ポリオレフィンの1種以上の材料を含むか、または好ましくはこれらのみからなる。
【0158】
接着促進剤層8は、好ましくは0.01μm~0.5μmの範囲、より好ましくは0.01μm~0.3μmの範囲の層厚を有する。接着促進剤層8は、トップコート5と金属層7との間の接着性を向上させる。しかしながら、接着促進剤層8は、特定の金属の場合に必要となる任意選択的な層に過ぎない。例えばアルミニウムコーティングの場合、接着促進剤層8は必須ではない。
【0159】
接着促進剤層8の代わりに、トップコート5を多層にすることもできる。その場合、多層トップコートのすべての層は、好ましくはアルカリ可溶性であるが、金属層と接触するトップコートの層は、最上層のトップコートの組成を変えることなく、金属界面に目的とする接着性を付与するために、ASRに加えて、水性エマルジョンまたは分散液を構成成分として含むことができる。ここで、これらの水性エマルジョンまたは分散液の割合は、乾燥層の塗布重量に対して40%~100%であり、金属層と接触するトップコートの層に対して最大60%の割合である。また、これらの水性エマルジョンまたは分散液は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレートおよび/またはそのコポリマー、ポリメタクリレートおよび/またはそのコポリマー、炭化水素樹脂、アルキド樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニル、セルロースエステル、ポリオレフィンおよび/または変性ポリオレフィンの1種または2種以上の材料である。
【0160】
図5は、キャリアフィルム2と、キャリアフィルム2上に少なくとも部分的に配置された転写プライ4とを有し、キャリアフィルム2と転写プライ4との間に剥離層3が配置されてなる、転写フィルム1のリサイクル方法の一実施例を示す。転写プライ4は、アルカリ可溶性トップコート5とプライマー層6とを有し、ここにおいてトップコート5は剥離層3上に配置されている。転写フィルム1をリサイクルするために、以下のステップを実施する。
x)アルカリ可溶性トップコート5、特にトップコート5のアルカリ可溶性バインダーを、アルカリ性洗浄液9によって、好ましくは洗浄液槽中で溶解10し、転写プライ4をキャリアフィルム2から剥離するステップ。
【0161】
特に、キャリアフィルム2は、アルカリ性洗浄液9またはアルカリ液によってステップx)の間に洗浄される。この目的のために、転写フィルム1を特に転写プライ4から剥離し、その結果、キャリアフィルム2はステップx)の後に実質的に残る。剥離層3がキャリアフィルム2上に残ることも可能である。剥離層3の層厚はキャリアフィルム2の層厚に比べて無視できるほど小さいので、残存する剥離層3はさらなるリサイクル工程に悪影響を及ぼさない。むしろ、ステップx)後に剥離層3がキャリアフィルム2上に残っていても、ステップx)後にキャリアフィルム2および/またはキャリアフィルム2の材料が99.0wt%~100.0wt%の範囲の純度を有することが保証される。PET製のキャリアフィルム2の場合、これは、リサイクル工程から得られるキャリアフィルム2の99%~100%が純粋なPETのみからなることを意味する。したがって、再生材料は、好ましくは、新たに得られた材料とほぼ同じ材料特性を有する。
【0162】
図5および図6に例示するようなキャリアフィルム2では、特に、キャリアフィルム2の全体を、アルカリ性洗浄液9中に導くことが可能である。例えば転写フィルム1が不合格品である場合、転写プライ4の全体が同様にキャリアフィルム2上に存在することが可能であり、あるいは転写プライ4が転写プライの構成成分の形態でキャリアフィルム2上に存在することが可能である。転写プライ成分は、例えば、転写プライ4の基材への部分転写後にキャリアプライ上に残った残留転写プライである。しかしながら、代わりに、転写フィルム1を粉砕装置によって予め粉砕することも可能であり、その結果、切断物が形成され、それがアルカリ性洗浄液9中に投入される。したがって、「キャリアフィルム2」とは、好ましくは、キャリアフィルム2全体と、複数のキャリアフィルムの切れはしと、の両方を意味する。「転写プライ4」とは、好ましくは、転写プライ4全体と、複数の転写プライの切れはしと、の両方を意味する。
【0163】
好ましくは、ステップx)の前に、転写フィルム1は、特に図1~4に関連して説明された構造を有する。
【0164】
図6に見られるように、剥離層3が存在する領域に転写プライ4が存在しないこともあり得る。ここで、剥離層3を有するキャリアフィルム2を、例えば、転写プライ4を対象基材に転写するための先行する塗布工程で、これらの領域において転写プライ4から剥離する。さらに、剥離層3を先行する塗布工程で転写プライ4とともに対象基材に転写し、その結果、剥離層3がステップx)の前に転写プライ4のない領域に存在しないこともあり得る。転写プライ4とともに基材に転写された剥離層は、好ましくは高いレベルの透明度、特に95%~100%の透過率(transmittance)を有し、好ましくは350nm~800nmの波長範囲、特にこの波長範囲にわたって平均化された透過率を有する。
【0165】
ステップx)において、アルカリ性洗浄液9またはアルカリ液は、転写フィルム1、特に転写プライに、および/またはキャリアフィルムと転写プライとの間に、例えば切断縁および/または破断縁を介してしみこみ、および/またはアルカリ不溶性転写プライ層を介して拡散し、アルカリ性洗浄液9またはアルカリ液との接触によりアルカリ可溶性トップコート5を溶解し始める。さらに、転写プライ4の微小損傷、特に微小亀裂は、塗布処理または皮膜処理中に形成される。これらの微小亀裂を通して、アルカリ性洗浄液9またはアルカリ液は、有利には、転写フィルム、特に転写プライに、および/またはキャリアフィルムと転写プライとの間にしみこむこともできる。トップコートは、転写プライ4の他の層と比較して乾燥層の塗布重量が比較的大きいか、または層厚が比較的大きいので、アルカリ性洗浄液9がトップコート5にしみこむ反応面は比較的大きい。このことは、溶解プロセスに有利な効果をもたらし、トップコート5、特にトップコート5のアルカリ可溶性バインダーの溶解10を促進する。トップコート5は、好ましくは、アルカリ性洗浄液9またはアルカリ液との接触により膨潤し、その結果、キャリアフィルム2からの転写プライ4の残りの部分の分離がさらに促進される。
【0166】
図5および図6に示すように、トップコート5、特にトップコート5のアルカリ可溶性バインダーは、アルカリ性洗浄液9中に完全に溶解し、その結果、分離したキャリアフィルム2および残りの転写プライ層が残る。残りの転写プライ成分は、好ましくは粒子の形態で存在する。従って、洗浄液9中の粒子は不均質な混合物を形成するが、溶解したトップコート5は洗浄液9中に残り、それと均質な混合物を形成する。トップコート5ではない転写プライ4の層は、好ましくは溶解しない。しかし、前述のように、金属層7として卑金属を使用した場合、それらはアルカリ性洗浄液9またはアルカリ液に溶解し得る。
【0167】
アルカリ性洗浄液9は、例えば、アルカリ性水溶液、アルカリ性溶液および/またはアルカリ液(lye)とすることができる。アルカリ 性洗浄液9は、好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の溶液;または酸化カルシウムまたは酸化バリウムのようなアルカリ土類金属の酸化物の溶液;またはアンモニアまたはアミンの溶液;の1つ以上の溶液を含む。
【0168】
さらに、図6は、転写プライ4がキャリアフィルム2からの分離後にアルカリ性洗浄液9中に粒子として存在することを概略的に示す。好ましくは、ステップx)の間に、転写プライ4を崩壊して粒子を形成するが、これらの粒子はアルカリ性洗浄液9中に不溶性である。特に、これらの粒子を平面的に観察すると、粒子のサイズは10μm~50mmの範囲、より好ましくは50μm~5mmの範囲、特に好ましくは20μm~5mmの範囲である。転写プライ4の不溶性粒子は、好ましくは、ステップx)の後の分離工程によってアルカリ性洗浄液9から分離することができ、特に、この分離工程は、濾過および/または遠心分離および/またはふるい分けおよび/またはデカンテーションを含む。本開示によるリサイクル工程中にナノスケール粒子が形成されないので、例えばナノスケール粒子を除去するための複雑な濾過のような複雑な分離工程を省くことができる。その結果、ナノスケール粒子がキャリアフィルム2に付着せず、リサイクル品の純度が改善されるか、または特定の純度を達成するための労力が改善される。さらに、特にアルカリ性洗浄液9の回収性、維持補修の手間、およびプロセスの信頼性が改善される。アルカリ可溶性トップコート5は、特にステップx)において転写プライ4をキャリアフィルム2から分離するために、非常に微細な粒子の分離を引き起こす可能性のある機械的な力が全く使用されないか、または特に小さな機械的な力しか使用されないという点で、有利にこれを可能にする。
【0169】
これらの粒子は、特にアルカリ性洗浄液9中に未溶解の形態で存在し、および/またはアルカリ性洗浄液9中の粒子は、洗浄液9中に溶解したトップコート5を除いた転写プライ4の層構造全体を凝集的に(cohesively)有する。言い換えれば、転写プライ4がアルカリ性洗浄液9に不溶性であるため、ステップx)の間、キャリアフィルム2および/または転写フィルム1の転写プライ4の層構造が保存され得る。
【0170】
しかしながら、上述したように、卑金属が使用される場合に、トップコート5および場合によっては金属層7の両方が、アルカリ性洗浄液9またはアルカリ液に溶解するので、特に、ステップx)の後に、アルカリ性洗浄液9が膜濾過および/または化学沈殿によって再処理されることが提供される。それにより、トップコート5および場合によっては金属層7の溶解成分は、アルカリ性洗浄液9から再び除去され、その結果、アルカリ性洗浄液9は、さらなる後続のリサイクル工程に再び使用することができる。
【0171】
ステップx)の間または後に、アルカリ性洗浄液9中の切断物の濃度は、1wt%~30wt%、好ましくは5wt%~15wt%の範囲であることが望ましい。この濃度は、特に、アルカリ性洗浄液9中に存在する転写プライ4の合計重量の、アルカリ性洗浄液9中に溶解したトップコート5と転写プライ4とを有するアルカリ性洗浄液9の重量に対する比から計算される。したがって、これは、好ましくは、実質的に転写プライ4を有する洗浄液9中の固形分濃度である。
【0172】
ステップx)においてアルカリ可溶性トップコート5が溶解するまでの所要時間および転写プライ4の沈殿粒子の粒径は、特に、アルカリ性洗浄液9のpH、アルカリ性洗浄液9の温度、洗浄液9中での撹拌速度、ならびにリサイクル容器および/または洗浄液槽の中の切断物の量または転写フィルム1の量に依存する。アルカリ性洗浄液9のpHが高いほど、アルカリ性洗浄液9の温度が高いほど、アルカリ性洗浄液9中での撹拌速度が高いほど、アルカリ可溶性トップコート5、特にトップコート5のアルカリ可溶性バインダーの溶解10がより速く行われ、転写プライ4の粒子がより小さく形成される。パラメータの選択は、好ましくは、ナノスケール粒子の形成が防止されるように行われる。さらに、リサイクル容器、特に洗浄液槽の容器の対応する形状と容積、アルカリ性洗浄液9の充填レベル、転写フィルム1、特に切断物の形態の転写フィルム1の1回当たりの量、および撹拌時間ならびに撹拌速度の選択によって、キャリアフィルム2および/または転写プライ4および/または切断物の構成成分が互いにくっついたり折り重なったりするのを防止することが可能である。
【0173】
好ましくは、ステップx)を常温(ambient temperature)、特に15℃~30℃の温度範囲で実施する。換言すれば、これは、ステップx)におけるアルカリ性洗浄液9が常温、特に15℃~30℃の範囲の温度であることを意味する。しかしながら、ステップx)を、アルカリ性洗浄液9が液体凝集状態にある全温度範囲で実施することも考えられる。ステップx)は、有利には、転写プライが剥離するまでの時間が最小化されることから、常温よりも高い温度、特に30℃超で実施する。
【0174】
図7は、ステップx)において、アルカリ可溶性トップコート5、特にトップコート5のバインダーの溶解10を伴う、転写フィルム1のリサイクル方法の一実施例を示す。
【0175】
好ましくは、ステップx)において、アルカリ性洗浄液9のpHは9より大きく、より好ましくは11より大きく、特に好ましくは13より大きい。しかしながら、アルカリ性洗浄液9のpHは14以上であってもよい。一般に、アルカリ性洗浄液9のpHが高いほど、アルカリ可溶性トップコート5がより速く溶解し、転写プライの残りの部分がキャリアフィルム2からより速く分離する。
【0176】
図8は、ステップx)におけるアルカリ可溶性トップコート5、特にトップコート5のアルカリ可溶性バインダーの溶解10と、特にアルカリ可溶性トップコート5、特にトップコート5のアルカリ可溶性バインダーの溶解10の前に実施される次のステップと、を有する、転写フィルム1のリサイクル方法の一実施例を示す。次のステップは以下の通り。
a)好ましくは、転写フィルム1がロールに巻かれた状態で、切断装置によって転写フィルム1を粉砕20して切断物を形成するステップ。
【0177】
これにより、転写フィルム1を、切断物の形態でアルカリ性洗浄液9中に投入することが可能となる。それによって有利には、アルカリ性洗浄液9が、転写フィルム1、特に転写プライ4に、および/またはキャリアフィルム2と転写プライ4との間に、切断縁および破断縁を介してより良好にしみこむことができる。
【0178】
切断物は、特に、切断物が広がる平面に対して垂直に観察した場合、好ましくは、それぞれの場合において、0.1cm~100cm、より好ましくは1cm~10cmの範囲の表面積を有する。その結果、特に、転写プライ4の層厚が例えば50μm未満である場合、転写プライ粒子が十分に大きいことも保証される。
【0179】
さらに、好ましくは、ステップa)の前に、転写フィルム1はロールに巻かれた状態で存在する。この場合、好ましくは、特にステップa)において、粉砕20の前に、次のステップをさらに実施することができる。
ロールを手作業で、および/またはフィーダーによって、切断装置まで搬送するステップ。
【0180】
ステップa)における転写フィルム1の粉砕20の間に、巻かれた転写フィルム1を切断してフィルムウェブが形成される。その際、転写フィルム1を有するロールを、V字形の窪みに固定し、特に水平に固定し、次いで、特に上方から、または下方から、または側方から、ブレードによって長手方向にフィルム芯まで切り開き、特にフィルム芯がある場合には、フィルム芯を除去し得る。これには、転写フィルムをフィルム芯から迅速に容易に剥離し、さらなる処理に使用できるという利点がある。
【0181】
特に、切断装置が、粉砕20の間、特にステップa)において、転写フィルム1を切断(cut)および/または細断(chop)および/または解砕(shred)および/または引き裂く(tear)ことが可能である。
【0182】
特に、ステップa)による転写フィルム1の粉砕20をステップx)の前に実施する場合、アルカリ性洗浄液9を、転写フィルム1および/または切断物と撹拌する。撹拌により、アルカリ性洗浄液9の転写フィルム1へのしみこみが促進され、その結果、転写プライ4のキャリアフィルム2からの分離が促進される。
【0183】
さらに、特にステップa)を予め実施している場合、ステップx)の間に、アルカリ性洗浄液9を、30秒~120秒、好ましくは60秒~120秒の範囲の撹拌時間で、転写フィルム1および/または切断物と撹拌してもよい。
【0184】
さらに、特にステップa)を予め実施している場合、ステップx)の間に、アルカリ性洗浄液9を、1分間に1~200回転、好ましくは10~50回転の範囲の撹拌機の撹拌速度で、転写フィルム1および/または切断物と撹拌することも可能である。撹拌速度が速いほど、転写プライ4はキャリアフィルム2から速く剥離する。また、撹拌により、洗浄液9中に低いせん断力が発生し、転写プライ4のキャリアフィルム2からの剥離が促進されるという好ましい効果がある。
【0185】
特に、ステップa)による粉砕20をステップx)の前に実施する場合、既述の転写プライ4の粒子に加えて、キャリアフィルムの切れはしも形成される。キャリアフィルムの切れはしの表面積は、特に、キャリアフィルムの切れはしが広がる平面に対して垂直に観察する場合、好ましくは、切断物の表面積に相当する。換言すれば、これは、リサイクル工程が、キャリアフィルム2の材料またはキャリアフィルムの切れはしに対して特に穏やかであり、キャリアフィルム2から粒子がそれ自体剥離しないことを意味する。
【0186】
ステップx)において転写プライ4をキャリアフィルムの切れはしから剥離した後、特に、キャリアフィルムの切れはしを、濾過および/または遠心分離および/または沈降によってアルカリ性洗浄液9から分離する。濾過および/または遠心分離が機械的な分離工程であるのに対して、沈降は物理的効果に基づいている。ここでは、転写フィルム1の個々の成分の密度の差が利用される。例えば、PETキャリアフィルムは約1.4g/cmの密度を有するが、転写プライ4の層の材料、例えばプライマー層6または接着促進剤層8の材料は、0.9g/cm~1.25g/cmの範囲の密度を有する。アルカリ性洗浄液9の密度を目標設定することにより、キャリアフィルム2またはキャリアフィルムの切れはしと転写プライ4の粒子との分離を達成することができる。特に、アルカリ性洗浄液9は1.2g/cm~1.4g/cmの範囲の密度、より好ましくは1.25g/cm~1.35g/cmの範囲の密度を有する。ここで特に、アルカリ性洗浄液9の密度は、密度の差によってキャリアフィルム2の沈降が起こるように選択される。
【0187】
アルカリ性洗浄液9の密度は、例えば水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液を使用する場合、温度に依存するNaOHやKOHの溶解量によって非常に正確に設定することができる。
【0188】
さらに、上記の分離工程を組み合わせて行うことも可能である。例えば、沈降による予備分離工程と、濾過および/または遠心分離による精密分離工程(fine separation)を行うことができる。
【0189】
ステップx)における剥離の後、特に、分離したキャリアフィルムの切れはしを、好ましくは機械的および/または熱的乾燥工程によって、洗浄および/または中和および/または乾燥する。ここにおいて、特に、キャリアフィルムの切れはし、特にキャリアフィルム材料は、99%~100%の範囲の純度が達成される。起こり得る汚染は、単に剥離層3に起因するものに過ぎず、この剥離層3は、状況によっては、キャリアフィルム2上の全面に、または予め対象基材に転写されなかった領域にのみ、依然として残っている。しかし、剥離層3の層厚はキャリアフィルム2の層厚に比べてごく薄いため、キャリアフィルム材料の99%超の純度を保証することができる。
【0190】
有利には、キャリアフィルムの切れはしは、乾燥後に、0%~15%、好ましくは0%~5%の範囲の水分を有することができる。乾燥により、特に、洗浄液9に含まれるさらなる物質が、場合によっては後続の工程にも流れ込まないことが保証される。
【0191】
切断物を洗浄する代わりに、リサイクル工程をロール・ツー・ロール方式で実施することも可能である。これを図9および図10に概略的に示す。この目的のために、本方法は、好ましくは、ステップx)の前に以下のステップを有する。
b1)巻き戻し装置によって、供給ロールから転写フィルム1を巻き戻し30するステップであって、特に、転写フィルム1を洗浄液槽中に導くことによって、巻き戻された転写フィルム1をアルカリ性洗浄液9と接触させるステップ。
【0192】
特に、転写フィルム1を、この目的のために、例えば1つ以上の偏向ローラーによって洗浄液槽に導く。
【0193】
本方法は、好ましくは、ステップb1)の後およびステップx)の後に、次のステップを有する。
b2)キャリアフィルム2を巻き取りロールに巻き取り40するステップであって、キャリアフィルム2をアルカリ性洗浄液9の槽から導出し、特に、溶解形態のトップコート5および/または未溶解形態の転写プライ4がアルカリ性洗浄液9中に残るステップ。
【0194】
ここで特に、キャリアフィルム2を、好ましくは巻き取り40によって再びアルカリ性洗浄液9から容易に引き出すことができるので、キャリアフィルム2の分離工程は省くことができる。
【0195】
転写フィルム1、特にキャリアフィルム2を、好ましくはステップb1)とステップb2)との間に、1m/s~100m/sの速度で、洗浄液9中に導く。特に、転写フィルム1、特にキャリアフィルム2を、好ましくはステップb1)とステップb2)との間に、10秒~150秒の範囲の時間、洗浄液9と接触させ、および/または洗浄液槽中に導く。
【0196】
特に、例えば、転写プライ4と洗浄液9との間および/またはアルカリ可溶性トップコート5と洗浄液9との間の摩擦(friction)のために、1つ以上の偏向ローラーによって滞留時間を増加させること、および/またはアルカリ可溶性トップコート5の溶解を促進させることが可能である。
【0197】
さらに、キャリアフィルム2を洗浄液槽から導出した後に、キャリアフィルム2を洗浄槽中に導くことも可能である。ここで、キャリアフィルム2を、好ましくは、中和洗浄液と接触させる。この中和洗浄液は、好ましくは、水、または代替的には、水と1種以上のさらなる物質との均質混合物から選択される1種以上の物質を含む。この1種以上のさらなる物質としては、特に、酸、好ましくは炭酸、酢酸、塩酸、硫酸から個別にまたは組み合わせて選択される酸、および/または1種以上のアルコール、好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトンから個別にまたは組み合わせて選択されるアルコールが使用される。さらに、例えば消泡剤のような添加剤および/または界面活性剤を洗浄液9に添加することも可能である。巻き取りロールへの巻き取り40の前に、キャリアフィルム2を、好ましくは再び洗浄槽から導出する。
【0198】
また、キャリアフィルム2を洗浄液槽および/または洗浄槽から導出した後に、キャリアフィルム2を乾燥させることも可能である。
【0199】
従って、本方法は、特にロール・ツー・ロール方式で実施され、および/またはステップb1)、x)およびb2)は、インライン方式で実施される。特にステップb1)、x)およびb2)を有する転写フィルムのリサイクル方法において、転写フィルムの製造工程および/または塗布工程をインライン方式で実施する実施例も考えられる。
【0200】
ステップx)において、および/またはステップb1)とb2)との間において、キャリアフィルム2から転写プライ4を剥離するために、機械的摩耗システムおよび/またはブラシロールシステムおよび/またはフォームロールシステムおよび/またはスプレーノズルシステムを追加的に使用することも考えられる。
【0201】
先に説明した図4図8による実施例と同様に、ロール・ツー・ロール方式では、転写プライ4の粒子が形成され、この粒子はアルカリ性洗浄液9と不均質な混合物を形成する。ロール・ツー・ロール方式では、これらの転写プライ4の粒子を、上述の分離工程に類似して、アルカリ性洗浄液9から分離する。アルカリ性洗浄液9に溶解したトップコート5についても同様である。それらの成分も同様に洗浄液9から除去される。
【0202】
ロール・ツー・ロール方式でも粉砕を伴う方式でも、出発材料は好ましくは同じであり、すなわち転写フィルム1は好ましくはロールに巻かれた状態で存在する。ステップx)の前、特にステップa)および/またはb1)の前に、転写フィルム1は、好ましくは0wt%~0.5wt%、好ましくは0wt%~0.1wt%の範囲の接着剤ストリップおよび/またはスプライシングテープの割合を有する。このような接着剤ストリップまたはスプライシングテープは異物とみなされ、同様にキャリアフィルム2から分離される。好ましくは、ステップx)の前、特にステップa)の前および/またはステップb1)の前に、転写フィルム1は、0wt%~5wt%、好ましくは0wt%~1wt%の範囲の異物割合を有する。
【0203】
さらに、キャリアフィルム2および/またはキャリアフィルムの切れはしおよび/またはキャリアフィルム2の材料を、ステップx)の後に、成形品および/または押出品にさらに加工することも可能である。特に、成形品および/または押出品は、射出成形、押出成形、フラットフィルム押出成形、プレス加工、コンパウンディング、化学リサイクルおよび/またはエネルギー回収から選択される少なくとも1つの後続工程または工程の組み合わせに適している。
【符号の説明】
【0204】
1 転写フィルム
2 キャリアフィルム
3 剥離層
4 転写プライ
5 トップコート
6 プライマー層
7 金属層
8 接着促進剤層
9 アルカリ性洗浄液
10 アルカリ可溶性トップコートの溶解
20 粉砕
30 巻き戻し
40 巻き取り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10