(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084139
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】過酸化水素を含む緑藻除去剤
(51)【国際特許分類】
C11D 7/54 20060101AFI20240617BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20240617BHJP
A01M 21/04 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
C11D7/54
C11D7/26
A01M21/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208161
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0172756
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0017159
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523466293
【氏名又は名称】ハンソル ケミカル
【氏名又は名称原語表記】Hansol Chemical
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェグク
(72)【発明者】
【氏名】シン ジホ
(72)【発明者】
【氏名】イ ハヌル
(72)【発明者】
【氏名】クォン ナム
(72)【発明者】
【氏名】オウ ヌリ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジス
【テーマコード(参考)】
2B121
4H003
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CC05
2B121CC25
2B121CC27
2B121EA30
4H003DA20
4H003DB01
4H003EB03
4H003EB07
4H003EB11
4H003EE04
(57)【要約】
【課題】簡単な方法によって高い効率で緑藻を除去することができる、過酸化水素を含む緑藻除去剤を提供する。
【解決手段】本発明による緑藻除去剤は、過酸化水素、カルボン酸化合物、ケトン化合物及びフラボノイド系化合物を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素、カルボン酸化合物、ケトン化合物及びフラボノイド系化合物を含むことを特徴とする、緑藻除去剤。
【請求項2】
前記緑藻除去剤は過酸化水素を2~60重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
【請求項3】
前記カルボン酸化合物は下記化学式1を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
[化学式1]
R1-COOH
(式中、R1は、炭素数2~10の直鎖アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖又は環状アルキル基、又は炭素数5~20の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むアルキル基であり得る。)
【請求項4】
前記ケトン化合物は下記化学式2を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
[化学式2]
R2-CO-R3
(式中、R2又はR3は、炭素数1~6の直鎖アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖又は環状アルキル基、又は炭素数5~20の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むアルキル基であり得る。)
【請求項5】
前記緑藻除去剤は前記カルボン酸化合物を5~500ppm含むことを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
【請求項6】
前記緑藻除去剤は前記ケトン化合物を5~500ppm含むことを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
【請求項7】
前記緑藻除去剤はフラボノイド系化合物を5~500ppm含むことを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
【請求項8】
前記緑藻除去剤は、カルボン酸化合物:ケトン化合物:フラボノイド系化合物を1:0.5~1.5:0.5~1.5の重量比で含むことを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
【請求項9】
前記緑藻除去剤は、処理対象溶液1L当たり0.001~30mg投入されることを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
【請求項10】
前記緑藻除去剤は、KS M 1112に基づいて測定した安定度が90%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の緑藻除去剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素を含む緑藻除去剤に関する。
【背景技術】
【0002】
緑藻は、マイクロシスティス属、アナベナ属及びアファニゾメノン属などに属する藍細菌が川又は湖で大量に発生し、水色が緑色に変わる現象を意味する。このような緑藻は、基本的に富栄養化が原因であり、周辺農耕地などで散布された肥料などが流れ込んで過剰な栄養分が供給され、供給された栄養分が特定の藍細菌に合う条件を形成する場合、藍細菌が爆発的に増殖して発生する。
このような緑藻は、水色を緑色にして美観を害するだけでなく、水中酸素を枯渇させ、ほとんどの魚類などを含む水生生物に深刻な影響を与えることができる。
【0003】
従来の公知の緑藻除去方法としては、次塩素酸ソーダなどの殺菌薬品を用いる方法、不飽和脂肪酸、ケイ酸ナトリウム及びカオリンなどの混合物を用いて緑藻を沈降させる方法、無機セラミックスを用いた緑藻の吸着や銅塩無機酸化物を用いた吸着沈降などの方法が挙げられる。
【0004】
この他にも、物理的、化学的方法を用いた多様な方式の緑藻除去技術が開発された。物理的方法では、人工滝を設置して湖内の人為的な層位破壊を介して藻類の現存量を減少させたるか、或いは電気分解法によって凝集剤又は過飽和水を用いることなく電極のみで加圧浮上と同様の効果を実現し、陽極にアルミニウムなどの溶解性金属を用いて凝集を促進させることができる。
【0005】
化学的方法としては、化学的凝集剤を投与する方法を用いることができ、凝集剤は、アルミニウム、カルシウム、鉄などを含み、このようなアルミニウム、カルシウム、鉄などのイオンがリン酸イオンと結合して不溶性沈殿を作って、水に溶解したリンを除去し、これにより緑藻を低減することができる。殺藻剤を用いて藻類を除去することができ、このような殺藻剤は、硫酸銅などを主に用いる。
【0006】
このような従来の緑藻除去方法の主な欠点は、規模の小さい水域では容易に除去可能であるが、広い水域では予想効果を示すことができない限界がある。一方、物理的除去方法は、殆ど固定式であって、緑藻を追跡しながら処理するには不適であり、化学的及び生物学的方法は、その効果と対比して、二次汚染又は生態系撹乱などの問題を伴うことがある。電気分解の場合、莫大な電力が消費され、経済性が著しく低いという限界があり、化学的凝集剤を用いる場合、沈殿による藻類毒性が除去されないという欠点がある。
【0007】
このため、残留物の心配がなく、魚類やミジンコなどの水生生物に生態毒性がなく、緑藻を追跡して簡単な方法で製造することができる緑藻除去剤の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1827892号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、簡単な方法によって高い効率で緑藻を除去することができる、過酸化水素を含む緑藻除去剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、過酸化水素を含むにも拘らず、高い安定度で流通及び保管が容易な、過酸化水素を含む緑藻除去剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による緑藻除去剤は、過酸化水素、カルボン酸化合物、ケトン化合物及びフラボノイド系化合物を含むことを特徴とする。
本発明の一実施例による緑藻除去剤は、過酸化水素を2~60重量%含むことを特徴とすることができる。
本発明の一実施例による緑藻除去剤において、前記カルボン酸化合物は下記化学式1を満たすことを特徴とすることができる。
【0011】
[化学式1]
R1-COOH
化学式1中、R1は、炭素数2~10の直鎖アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖又は環状アルキル基、又は炭素数5~20の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むアルキル基であり得る。
本発明の一実施例による緑藻除去剤において、前記ケトン化合物は、下記化学式2を満たすことを特徴とすることができる。
【0012】
[化学式2]
R2-CO-R3
化学式2中、R2又はR3は、炭素数1~6の直鎖アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖又は環状アルキル基、又は炭素数5~20の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むアルキル基であり得る。
本発明の一実施例による緑藻除去剤は、前記カルボン酸化合物を5~500ppm含むことを特徴とすることができる。
本発明の一実施例による緑藻除去剤は、前記ケトン化合物を5~500ppm含むことを特徴とすることができる。
本発明の一実施例による緑藻除去剤は、フラボノイド系化合物を5~500ppm含むことを特徴とすることができる。
【0013】
本発明の一実施例による緑藻除去剤は、カルボン酸化合物:ケトン化合物:フラボノイド系化合物を1:0.5~1.5:0.5~1.5の重量比で含むことを特徴とすることができる。
本発明の一実施例による緑藻除去剤は、処理対象溶液1L当たり0.001~30mg投入されることを特徴とすることができる。
本発明の一実施例による緑藻除去剤は、KS M 1112に基づいて測定した安定度が90%以上であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による過酸化水素を含む緑藻除去剤は、過酸化水素、カルボン酸化合物、ケトン化合物及びフラボノイド系化合物を含むことにより、高い効率で緑藻を除去することができ、過酸化水素が高い安定度を示すという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例による緑藻除去剤の投入後にマイクロシスチン、総有機炭素及び総窒素量を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例に対する利点、特徴、及びそれらの達成方法は、添付図面と一緒に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に実現できる。但し、本実施例は、本発明の開示を完全たるものとし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。本発明は請求項の範疇のみによって定義される。明細書全体にわたって、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
【0017】
本発明の実施例を説明するにあたり、公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を無駄に不明確にする可能性があると判断された場合は、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明の実施例における機能を考慮して定義された用語であって、これは、使用者や運用者の意図又は慣例によって変わり得る。よって、その定義は、本明細書全般にわたっての内容に基づいて下されるべきである。
本発明による緑藻除去剤は、過酸化水素、カルボン酸化合物、ケトン化合物及びフラボノイド系化合物を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明による緑藻除去剤は、過酸化水素と共に、カルボン酸化合物、ケトン化合物及びフラボノイド系化合物を同時に含むことにより、過酸化水素の安定度が著しく向上することができ、緑藻除去効果も高くなる相乗効果を示すという利点がある。
【0019】
本発明の一実施例による緑藻除去剤は、過酸化水素を2~60重量%、好ましくは2~30重量%、さらに好ましくは2.5~10重量%、最も好ましくは3~7重量%含むことができ、過酸化水素の濃度が高い場合、処理対象溶液に均一に混合される前に局部的に高い過酸化水素濃度によって生態毒性が現れるおそれがある。
前記カルボン酸化合物は、下記化学式1を満たすものを用いることができる。
【0020】
[化学式1]
R1-COOH
化学式1中、R1は、炭素数2~10の直鎖アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖又は環状アルキル基、又は炭素数5~20の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むアルキル基であり得る。
【0021】
好ましくは、前記化学式1中、R1は、炭素数3~9の直鎖アルキル基、炭素数4~10の分岐鎖又は環状アルキル基、又は炭素数5~15の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むアルキル基であり、さらに好ましくは、前記R1は、炭素数5~9の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり得る。
前記化学式1を満たすカルボン酸化合物を用いることにより、過酸化水素の高い安定化効率を示しながらも、緑藻除去剤の生態毒性が低いという特徴がある。
【0022】
前記緑藻除去剤は、前記カルボン酸化合物を5~500ppm、好ましくは5~200ppm、さらに好ましくは5~100ppm、最も好ましくは10~80ppm含むことができる。カルボン酸化合物を少量含む場合には、過酸化水素の安定性が低くなるおそれがあり、カルボン酸化合物を多量含む場合には、生態毒性が現れるおそれがある。
前記ケトン化合物は、下記化学式2を満たすことができる。
【0023】
[化学式2]
R2-CO-R3
化学式2中、R2又はR3は、炭素数1~6の直鎖アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖又は環状アルキル基、又は炭素数5~20の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むアルキル基であり得る。
【0024】
好ましくは、前記R2は、炭素数5~10の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むことができ、R3は、炭素数1~5の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり得る。さらに好ましくは、前記R2は、炭素数5~8の芳香族環を含むアルキル基であり、R3は、炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり得る。
【0025】
前記緑藻除去剤は、前記ケトン化合物を5~500ppm、好ましくは5~200ppm、さらに好ましくは5~100ppm、最も好ましくは10~80ppm含むことができ、ケトン化合物を少量含む場合には、過酸化水素の安定性が低くなるおそれがあり、ケトン化合物を多量に含む場合には、生態毒性が現れるおそれがある。前記フラボノイド系化合物は、前述したようにカルボン酸化合物及びケトン化合物と混合されて混合による相乗効果によって高い効率で緑藻を除去することができるという利点がある。
【0026】
前記フラボノイド系化合物は、好ましくは、フラボンであってよく、さらに具体的には、アピゲニン、ルテオリン、バイカレイン及びクリシン等から選択される1種又は2種以上を含むことができ、このようなフラボンを用いることにより、さらに優れた緑藻除去効果を確保することができる。
【0027】
前記緑藻除去剤は、フラボノイド系化合物を5~500ppm、好ましくは5~200ppm、さらに好ましくは5~100ppm、最も好ましくは10~80ppm含むことができ、フラボノイド系化合物を少量又は多量に含む場合には、前記カルボン酸化合物及びフラボノイド系化合物との混合による相乗効果が現れ難いおそれがある。
【0028】
前記緑藻除去剤は、カルボン酸化合物:ケトン化合物:フラボノイド系化合物を1:0.5~1.5:0.5~1.5の重量比、好ましくは1:0.8~1.2:0.8~1.2の重量比で含むことができる。このような範囲を満たすことにより、緑藻除去剤に含まれた過酸化水素の安定度が90%以上、好ましくは93%以上であり得る。このときの安定度は、KS M 1112に基づいて測定されたものを基準とすることができる。
【0029】
前記緑藻除去剤を用いて、処理対象溶液に含まれた緑藻を除去しようとする場合、処理対象溶液1L当たり0.001~30mg、好ましくは0.01~25mg、さらに好ましくは2~20mg、最も好ましくは3~15mg投入されることができる。このような範囲を満たすことにより、緑藻除去剤投入10日後を基準に緑藻として生成される代表的な毒性物質であるマイクロシスチンを95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上除去することができるという利点があり、ミジンコ、バクテリア及び魚類に対して毒性を示さないという利点がある。このような利点によって川又は湖などで発生した緑藻を、緑藻除去剤を撒布する簡単な方法で効率的に除去することができ、緑藻を除いた他の水生生物への影響を最小限に抑えることができるという利点がある。
【実施例0030】
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明の範囲は、下記の実施例によって限定されるものではない。
【0031】
[実施例]
カルボン酸化合物としてカプリル酸、ケトン化合物としてアセトフェノン、フラボノイド系化合物としてクリシン(Chrysin)を用い、カプリル酸:アセトフェノン:クリシンを1:1:1の重量比で均一に混合して添加剤混合物を製造した。
【0032】
蒸留水に過酸化水素を投入して過酸化水素が全体の5重量%含まれるようにした。ここに、製造された添加剤混合物を70ppmとなるように投入して、最終的に緑藻除去剤を製造した。
【0033】
[比較例1~3]
実施例と同様の方法で製造するが、前記添加剤混合物の代わりにカプリル酸(比較例1)、アセトフェノン(比較例2)及びクリシン(比較例3)をそれぞれ単独で70ppmとなるように投入して緑藻除去剤を製造した。
【0034】
[比較例4]
蒸留水に過酸化水素を混合して5重量%濃度の過酸化水素水を緑藻除去剤として用いた。
藻類細胞数の確認
実施例及び比較例による緑藻除去剤を用いて藻類細胞数試験を行い、その結果を表2に示した。このとき、試験種はMicrocystis aeruginosaであり、環境府例規第697号別表1の「藻類除去効率及び生態毒性評価方法」で藻類除去効率評価方法を用いて実験を行った。
【0035】
過酸化水素の安定度の確認
実施例及び比較例による緑藻除去剤に含まれた過酸化水素の安定度を測定し、その結果を表2に示した。このとき、過酸化水素の安定度は、KS M 1112に基づいて測定した。
【0036】
生長阻害率の確認
実施例及び比較例による緑藻除去剤の生長阻害率を表1の条件で確認し、その結果を表2に示した。具体的には、処理対象溶液1L当たり、実施例及び比較例で製造された緑藻除去剤を7mgずつ投入し、処理直後及び72時間経過後のマイクロシスチン細胞濃度を比較し、これに基づいて生長阻害率を導出した。
【0037】
具体的には、(生長阻害率)=100-(平均比生長率)で計算した。このとき、平均比生長率(average specic growth rate)は、次の式で導出することができる。
(平均比生長率)=(lnXj-lnXi)/(tj-ti)
Xjはj時間における生物量であり、Xiはi時間における生物量である。
【0038】
【0039】
【0040】
生態毒性の評価
実施例で製造された緑藻除去剤を処理対象溶液1L当たり10mg投入し、24時間、48時間及び72時間が経過した後の生態毒性を評価し、その結果を下記表3に示した。
【0041】
具体的には、下記表3において、評価項目Aは藻類除去物質自体の生態毒性評価結果を示すものであり、E(L)C50は半数影響濃度又は半数致死濃度を意味し、NOECは無影響観察濃度を意味する。表3を参照すると、半数影響濃度又は半数致死濃度はいずれも25mg/L以上であり、無影響観察濃度は最も低い発光バクテリアが10mg/Lであることを確認することができる。
【0042】
表2の実験結果及び表3の結果を参照すると、本発明の実施例による緑藻除去剤が、比較例4と比較して、同じ含量の過酸化水素を含んでも高い緑藻除去効率を有することを確認することができる。さらに、過酸化水素のみを含む表4のような緑藻除去剤を用いて実施例と同様の効果を得ようとする場合、多量の緑藻除去剤が投入されなければならないのは自明である。しかし、表3の結果を参照すると、これにより、過酸化水素を含む緑藻除去剤を多量投入する場合、特に発光バクテリアに対して毒性が現れる可能性が高いことを確認することができ、このような点に基づいて本発明の実施例による緑藻除去剤は、従来の過酸化水素による生態毒性限界を克服しながらも高い効率で緑藻を除去することができるという利点があることを確認することができる。
【0043】
評価項目Bは、藻類除去物質投与後の生態毒性を評価したものであり、TUは、Toxic Unitを意味する。表3を参照すると、処理対象溶液1L当たり10mg以下で投入する場合、ミジンコ、発光バクテリア及び魚類に対して毒性を示さないことを確認することができる。
【0044】
【0045】
マイクロシスチン抑制効果及び水質汚染の確認
韓国の益山王宮貯水池でメソコズム(mesocosm)システムを用いて実験を行った。何の処理もしていない対照区及び処理対象数1L当たり10mgの緑藻除去剤を投入した場合、マイクロシスチンの濃度、総有機炭素量(TOC)及び総窒素(T-N)量を投入10日後と対比して測定し、その結果を
図1に示した。このとき、マイクロシスチン濃度は、ELISA Test(eurofins-technologies社製)試験法を用い、総有機炭素量は高温燃焼酸化法を用いて測定し、総窒素量は紫外線可視分光酸化法で測定した。
【0046】
図1を参照すると、本発明の実施例による緑藻除去剤投入10日後、マイクロシスチン濃度が9.2ppb~0.1ppbであって99.4%除去され、総有機炭素は50.9ppm~4.9ppmであって90.4%が除去され、総窒素量は8.2ppm~1.0ppmであって87.2%が除去された。これに対し、何の処置もしていない対照区の場合は、著しい低減が観察されていないことを確認することができる。
【0047】
これに基づいて本発明の実施例による緑藻除去剤を適用する場合、高い効率で藻類細胞中の藍藻類を除去し、藍藻類の毒性物質であるマイクロシスチンを除去して10日後にミクロシスチンの濃度が急激に低くなることを確認することができる。さらに、緑藻除去剤を適用することにより、総有機炭素及び総窒素量も著しく下げることができるという利点を有することが分かる。