(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084145
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】性能制限構造を備えたバットシステムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A63B 59/80 20150101AFI20240617BHJP
A63B 102/18 20150101ALN20240617BHJP
【FI】
A63B59/80
A63B102:18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209027
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】18/079,319
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】菊地 航平
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ルウェリン
(72)【発明者】
【氏名】グエン ヴァン トゥ
(72)【発明者】
【氏名】リー チ-フン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン レンチン
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝久
(57)【要約】 (修正有)
【課題】中空バレルと、中空バレルの変形に抵抗するように構成されている内部アセンブリとを有するバットを提供すること。
【解決手段】内部アセンブリ120は、中空バレル内に長手方向に配置されたロッド140と、ロッドに取り付けられたリング130と、リングのまわりに配置され、中空バレル内に長手方向に延びている変形可能なスリーブとを含む。スリーブは、中空バレルの内径よりも小さい外径を含み得る。バットは、中空バレルの端部に取り付けられたエンドキャップ160を含み得、ロッドの端部を受け取るように構成された窪みを有する。ロッドは、バットの静止時、スリーブが中空バレルの内面から予め定められた隙間距離に配置されるように、変形可能なスリーブを中空バレル内に予め定められた浮かせた位置に維持するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バットであって、前記バットは、
中空バレルと、
前記中空バレル内に配置された内部アセンブリであって、前記内部アセンブリは、
前記中空バレル内に長手方向に配置されたロッドと、
前記ロッドに取り付けられたリングと、
前記リングのまわりに配置され、前記中空バレル内で長手方向に延びている変形可能なスリーブであって、前記スリーブは、前記中空バレルの内径より小さい外径を有している、変形可能なスリーブと
を備えている、内部アセンブリと、
前記中空バレルの端部に取り付けられたエンドキャップと
を備え、
前記エンドキャップは、前記ロッドの端部を受け取るように構成された窪みを有し、
前記ロッドは、前記中空バレル内の予め定められた浮かせた位置に前記変形可能なスリーブを維持するように構成され、それによって、前記バットの静止時、前記スリーブは、前記中空バレルの内面から予め定められた隙間距離に配置されている、バット。
【請求項2】
物体とのインパクトから受け取る力に応答して、前記中空バレルは、前記中空バレルの内面が前記変形可能なスリーブに接触するように、内側に撓むように構成されている、請求項1に記載のバット。
【請求項3】
前記中空バレルは、前記インパクトからの前記力の少なくとも一部を前記変形可能なスリーブに伝えるように構成されており、
前記変形可能なスリーブは、
前記インパクトからの前記力のうちの前記少なくとも一部を受け取ると、元の形状から変形した形状に少なくとも部分的に変形し、
前記変形した形状から前記元の形状に戻る
ように構成されている、請求項2に記載のバット。
【請求項4】
前記変形可能なスリーブは、前記変形可能なスリーブが前記変形した形状から前記元の形状に戻るにつれて、前記中空バレルに反発力を伝えるようにさらに構成されている、請求項3に記載のバット。
【請求項5】
前記リングは、変形可能なリングであり、
前記中空バレルは、前記インパクトからの前記力のうちの少なくとも一部を前記変形可能なリングに伝えるように構成されており、
前記変形可能なリングは、
前記インパクトからの前記力のうちの前記少なくとも一部を受け取ると、元の形状から変形した形状に少なくとも部分的に変形し、
前記変形した形状から前記元の形状に戻る
ように構成されている、請求項3に記載のバット。
【請求項6】
前記リングは、第1のリングであり、前記内部アセンブリは、第2のリングをさらに備え、前記第2のリングは、前記ロッドに取り付けられており、前記第1のリングからある距離間隔を空けられており、
前記スリーブは、前記第1のリングと前記第2のリングとの間に延びている、請求項1に記載のバット。
【請求項7】
前記スリーブは、前記第1のリングに近接し、前記第2のリングに近接する第1の外径と、前記第1のリングと前記第2のリングとの間の第2の外径とを備え、前記第2の外径は、前記第1の外径より大きい、請求項6に記載のバット。
【請求項8】
前記スリーブは、前記第1のリングに近接し、前記第2のリングに近接する第1の外径と、前記第1のリングと前記第2のリングとの間の第2の外径とを備え、前記第2の外径は、前記第1の外径より小さい、請求項6に記載のバット。
【請求項9】
前記スリーブは、前記第1のリングに近接し、前記第2のリングに近接する第1の厚さと、前記第1のリングと前記第2のリングとの間の第2の厚さとを備え、前記第2の厚さは、前記第1の厚さより大きい、請求項6に記載のバット。
【請求項10】
前記スリーブは、前記第1のリングに近接し、前記第2のリングに近接する第1の厚さと、前記第1のリングと前記第2のリングとの間の第2の厚さとを備え、前記第2の厚さは、前記第1の厚さより小さい、請求項6に記載のバット。
【請求項11】
前記内部アセンブリは、位置合わせインサートをさらに備え、
前記位置合わせインサートは、
前記中空バレルの前記内径にほぼ等しい外径と、
前記ロッドの一部分を受け取るように構成されたローブと
を備えている、請求項1に記載のバット。
【請求項12】
複数のロッドをさらに備え、
前記リングは、複数の穴を備え、前記複数の穴のうちの各穴は、前記複数のロッドのうちのそれぞれのロッドを少なくとも部分的に受け取るように構成されている、請求項1に記載のバット。
【請求項13】
前記バットは、中心軸を有し、
前記リングは、前記バットの前記中心軸と位置合わせされた中心軸を有し、
前記リングの前記複数の穴は、前記バットの前記中心軸からの半径方向距離に対応する円周の周りに等距離に配置されている、
請求項12に記載のバット。
【請求項14】
前記エンドキャップは、前記複数のロッドのうちのそれぞれのロッドの端部を少なくとも部分的に受け取るように構成された複数の窪みをさらに備えている、請求項12に記載のバット。
【請求項15】
前記エンドキャップは、前記バットの前記中心軸と位置合わせされた中心軸を有し、
前記エンドキャップの前記複数の窪みは、前記バットの前記中心軸からの半径方向距離に対応する円周の周りに等距離に配置されている、
請求項14に記載のバット。
【請求項16】
位置合わせインサートをさらに備え、前記位置合わせインサートは、
前記中空バレルの前記内径にほぼ等しい外径と、
複数のローブと
を備え、
各ローブは、前記複数のロッドのうちのそれぞれのロッドを少なくとも部分的に受け取るように構成されている、請求項12に記載のバット。
【請求項17】
前記位置合わせインサートの前記複数のローブの各々は、半径方向距離だけ前記位置合わせインサートの中心軸からずらされている、請求項16に記載のバット。
【請求項18】
バットのための内部アセンブリであって、
ロッドと、
前記ロッドに取り付けられたリングと、
前記リングのまわりに配置され、前記バットの中空バレル内に長手方向に延びるように構成された変形可能なスリーブであって、前記スリーブは、前記中空バレルの内径よりも小さい外径を有している、変形可能なスリーブと
を備え、
前記ロッドは、前記中空バレル内の予め定められた浮かせた位置に前記変形可能なスリーブを維持するように構成され、それによって、前記バットの静止時、前記スリーブは、前記中空バレルの内面から予め定められた隙間距離に配置されている、内部アセンブリ。
【請求項19】
前記リングは、第1のリングであり、前記内部アセンブリは、第2のリングをさらに備え、前記第2のリングは、前記ロッドに取り付けられており、前記第1のリングからある距離間隔を空けられており、
前記スリーブは、前記第1のリングと前記第2のリングとの間に延びている、請求項18に記載の内部アセンブリ。
【請求項20】
位置合わせインサートをさらに備え、
前記位置合わせインサートは、
前記バットの中空バレルの内径にほぼ等しい外径と、
前記ロッドの一部分を受け取るように構成されたローブと
を備えている、請求項19に記載の内部アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許出願第17/223,126号(出願日2021年4月6日(現在は米国特許第11,524,215号)の一部継続出願であり、これは、米国特許出願第16/661,208号(出願日2019年10月23日(現在は米国特許第10,967,235号)の一部継続出願であり、これは、米国特許法(35 U.S.C.)§119のもとで、米国仮特許出願第62/749,759号(出願日2018年10月24日、発明の名称“Bat System with Performance Limiting Structure and Methods of Making Same”に対して優先権を主張し、これらの内容は、全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
背景
一般に、バットの性能は、インパクト時にバットがボールに力を与えることができる効率に関係している。バットの製造業者は、しばしば、バットの性能を測定するためにバットの反発係数(coefficient of restitution:COR)を評価する。従来より、バットの製造業者は、典型的に、CORを高めるためにバットの性能を改善しようと努めてきた。しかしながら、今日では、バットの製造業者は、典型的には、様々な競技連盟の最大性能測定基準や、競技についての他の系統化された形式を超えずに、実現可能な最高性能をもたらすバットを製造することに関心を持っている。
【0003】
一般に、ボールとのインパクト時にバットが被る変形が大きくなるのに相応してバットのCORが高くなる。既存のバット設計の中には、バットとボールとのインパクト時にバットが変形するのを制限することによって、課されているCOR限度をバットが上回るのを防ぐことを目的としているものもある。例えば、バーガー(Burger)による米国特許第8,632,428号に開示されているバットは、バレル内に同軸に位置決めされた中心チューブと、ボールとのインパクト時にバットの変形を制限するための1つ以上の堅い「ワッシャ状の」制限部材とを備える。ワッシャ状の制限部材は、バレルの内壁がワッシャ状の制限部材に接触するまでバレルを変形させることができるように、バレルの内径より小さい外径を有する。このため、起こり得る変形の量を制御することによって、インパクト時にバットが変形する量を制御し、これにより、バットによってもたらされる最大CORを制限することができる。
【0004】
そのような設計はバットによってもたらされる最大CORを十分に制限し得る一方で、低インパクト力でのバットの性能を必要以上に低下させてしまう恐れがある。すなわち、より弱い力(例えば、より低いスイング速度またはより低いボール速度)では、バットが最大COR限度を上回るのを防ぐようにバットの変形を制限することは不要であるが、ワッシャ状の制限部材の硬さおよび非圧縮性が高ければ、より弱い力の時ですらバットのバレルの変形が阻止される可能性があるので、より弱い力の時のバットの性能が不必要に低下してしまう。より特定的には、このようなバットは、3つのボール速度範囲内で実質的に様々に機能し得る。低速インパクト(例えば、低速範囲)では、バレルだけが撓み得る。より高速(例えば、中速範囲)では、バレルのうち1つの側面(例えば、バレルのうちボールに当たる部分)がワッシャ状の制限部材に係合し得、さらにより高速(例えば、高速範囲)では、バレルのうち2つの側面(例えば、バレルのうちボールに当たる部分およびバレルのうちインパクト位置とは正反対側にある部分)がワッシャ状の制限部材に係合し得る。高速範囲でのインパクトに関して、ワッシャ状の制限部材の圧縮可能でない性質は、ワッシャ状の制限部材とバレルシステムとの全体としての撓みを妨げ得、それは、特に、強い力でのインパクト(例えば、高速範囲でのボールとのインパクト)時、バット性能に有害であり得る。
【0005】
したがって、高いインパクト力で所定のガイドライン設定の範囲内で性能を最大限にするとともに、同時に、より弱いインパクト力でもバットの絶対的性能を最大限にするように設計されたバットが必要とされている。本発明の実施形態が主として意図しているのはこのようなバットである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本発明の実施形態は、野球またはソフトボールのバットに関し、当該バットは、中空バレルと、1つ以上の変形可能なリングとを有し、1つ以上の変形可能なリングは、中空バレル内に長手方向に位置決めされた複数のロッドによって中空バレル内で浮かんでいる。複数のロッドの各々は、中空バレルの中心軸から共通の半径分だけずらされ得、変形可能なリングは、中空バレルの内径よりも小さい直径を有する実質的に円形の外壁を有し得る。変形可能なリングは、共通の半径に対応する円周の周りに等距離に位置決めされた複数の穴も有し得、各穴は、3つ以上のロッドのうち1つのロッドを少なくとも部分的に受け取る。このため、変形可能なリングは、バットの静止時に中空バレルと同軸に位置合わせされるように位置決めすることができる。実施形態は、エンドキャップも含み得、エンドキャップは、その内部を部分的に貫通して延びる複数の穴を有し、各エンドキャップ穴はロッドの端部を少なくとも部分的に受け取る。
【0007】
開示された技術に従うと、バットは、中空バレルと、中空バレル内に配置された内部アセンブリとを含み得る。内部アセンブリは、中空バレル内に長手方向に配置された複数の堅いロッドと、位置合わせインサートと、変形可能なリングと、エンドキャップとを含み得る。位置合わせインサートは、中空バレルの内径にほぼ等しい外径と、複数の貫通穴とを有し得、複数の貫通穴は各々、(i)位置合わせインサートを貫通して軸方向に延びており、(ii)位置合わせインサートの中心軸から共通の半径分だけずらされて、複数の貫通穴が共通の半径に対応する円周に沿って等距離に配置されるように位置決めされており、(iii)対応する堅いロッドの一部分を受け取るように構成されている。変形可能なリングは、中空バレルの内径よりも小さな外径を有する外壁と、共通の半径に対応する円周の周りに等距離に配置された複数の穴とを含み得る。変形可能なリングの各穴は、対応する堅いロッドを少なくとも部分的に受け取るように構成され得る。エンドキャップは、中空バレルの端部内に嵌まり込むように構成され得、エンドキャップは、共通の半径に対応する円周の周りに等距離に配置された複数の窪みを有し得る。各窪みは、対応する堅いロッドの端部を受け取るように構成され得る。エンドキャップおよび位置合わせインサートは、バットの静止時に複数の堅いロッドを予め定められた構成で維持するように構成され得る。予め定められた構成は、平行な複数の堅いロッドの各々に対応し得る。複数の堅いロッドは、バットの静止時に、変形可能なリングの外壁に沿った各個所が中空バレルの内面から予め定められた隙間距離を空けて配置されるように、変形可能なリングを中空バレル内で予め定められた浮かせた位置で維持するように構成され得る。
【0008】
中空バレルは、中空バレルの内面が変形可能なリングの外壁と接触するように、物体とのインパクトから力を受け取るにつれて内側に撓むように構成され得る。
【0009】
中空バレルは、インパクトから受け取る力のうち少なくとも一部を変形可能なリングに伝えるように構成され得る。変形可能なリングは、インパクトからの力のうち少なくとも一部を受け取ると元の形状から変形した形状に少なくとも部分的に変形するように構成され得る。変形可能なリングは、変形した形状から元の形状に戻るように構成され得る。
【0010】
変形可能なリングは、変形可能なリングが変形した形状から元の形状に戻るにつれて、中空バレルに反発力を伝えるように構成され得る。
【0011】
位置合わせインサートは複数のローブを有し得る。
【0012】
位置合わせインサートはEVA発泡体を含み得る。
【0013】
バットは複数の変形可能なリングを含み得る。
【0014】
変形可能なリングはアルミニウムを含み得る。
【0015】
変形可能なリングは複数の内側ローブを含み得る。変形可能なリングの複数の穴の各々は、複数の内側ローブのうち対応する内側ローブ内に少なくとも部分的に配置され得る。
【0016】
変形可能なリングは中空の内側部分を含み得る。
【0017】
複数の堅いロッドのうち少なくともいくつかは炭素を含み得る。
【0018】
複数の堅いロッドのうち少なくともいくつかは中空であり得る。
【0019】
複数の堅いロッドのうち少なくともいくつかは実質的に中実であり得る。
【0020】
エンドキャップは、中空バレルのノッチ内に少なくとも部分的に嵌まり込むように構成された突起を含み得る。ノッチは、中空バレルのうち、当該中空バレルの遠位端に近接する内壁上に配置され得る。突起とノッチとは噛み合うように構成され得る。
【0021】
開示された技術に従うと、バットを製造するための方法は、中空バレルを設けることと、内部アセンブリを組立てることとを含み得る。内部アセンブリを組立てることは、中空バレルの内径とほぼ等しい外径を有する位置合わせインサートにおける複数の貫通穴のうち対応する貫通穴に複数の堅いロッドの各々を挿入することを含み得る。複数の貫通穴の各々は、位置合わせインサートを貫通して軸方向に延び得るとともに、位置合わせインサートの中心軸から共通の半径分だけずらされて、複数の貫通穴が共通の半径に対応する円周に沿って等距離に配置されるように位置決めされ得る。内部アセンブリを組立てることはさらに、中空バレルの内径よりも小さな外径を有する外壁を含む変形可能なリングにおける複数の穴のうち対応する穴に複数の堅いロッドの各々を挿入することを含み得る。複数の穴は、共通の半径に対応する円周の周りに等距離に配置され得る。内部アセンブリを組立てることはさらに、エンドキャップにおける複数の窪みのうち対応する窪みに複数の堅いロッドの各々の端部を挿入することを含み得る。エンドキャップにおける複数の窪みは、共通の半径に対応する円周の周りに等距離に配置され得る。内部アセンブリを組立てることはさらに、中空バレルの端部にエンドキャップを挿入することを含み得る。
【0022】
内部アセンブリを組立てることは、バットの静止時に複数の堅いロッドが予め定められた構成となるように複数の堅いロッドを位置決めすることを含み得る。予め定められた構成は、平行な複数の堅いロッドの各々に対応し得る。
【0023】
内部アセンブリを組立てることは、バットの静止時に、変形可能なリングの外壁に沿った各個所が中空バレルの内面から予め定められた隙間距離を空けて配置されるように、変形可能なリングを中空バレル内で予め定められた浮かせた位置に位置決めすることを含み得る。
【0024】
開示される技術は、中空バレルと、中空バレルの変形に抵抗するように構成された内部アセンブリとを有するバットを含み得る。内部アセンブリは、中空バレル内に長手方向に配置されたロッドと、ロッドに取り付けられたリングと、リングのまわりに配置され、中空バレル内に長手方向に延びている変形可能なスリーブとを含み得る。スリーブは、中空バレルの内径よりも小さい外径を含み得る。バットは、中空バレルの端部に取り付けられ、ロッドの端部を受け取るように構成された窪みを有するエンドキャップを含み得る。ロッドは、バットの静止時、スリーブが、中空バレルの内面から予め定められた隙間距離に配置されるように、中空バレル内の予め定められた浮かせた位置に変形可能なスリーブを維持するように構成され得る。
【0025】
物体とのインパクトから受け取る力に応答して、中空バレルは、中空バレルの内面が変形可能なスリーブに接触するように、内側に撓むように構成され得る。
【0026】
中空バレルは、インパクトからの力の少なくとも一部を変形可能なスリーブに伝えるように構成され得る。変形可能なスリーブは、インパクトからの力のうちの少なくとも一部を受け取ると、元の形状から変形した形状に少なくとも部分的に変形し、変形した形状から元の形状に戻るように構成され得る。
【0027】
変形可能なスリーブは、変形可能なスリーブが変形した形状から元の形状に戻るのに応答して、中空バレルに反発力を伝えるようにさらに構成され得る。
【0028】
リングは、変形可能なリングであり、中空バレルは、インパクトからの力のうちの少なくとも一部を変形可能なリングに伝えるように構成され得る。変形可能なリングは、インパクトからの力のうちの少なくとも一部を受け取ると、元の形状から変形した形状に少なくとも部分的に変形し、変形した形状から元の形状に戻るように構成され得る。
【0029】
リングは、第1のリングであり、内部アセンブリは、第2のリングをさらに含み得る。第2のリングは、ロッドに取り付けられ得、第1のリングから間隔を空けられ得る。スリーブは、第1のリングと第2のリングとの間に延び得る。
【0030】
スリーブは、第1のリングに近接し、第2のリングに近接する第1の外径と、第1のリングと第2のリングとの間の第2の外径とを含み得る。第2の外径は、第1の外径よりも大きくあり得る。第2の外径は、第1の外径よりも小さくあり得る。スリーブは、第1のリングに近接し、第2のリングに近接する第1の厚さと、第1のリングと第2のリングとの間の第2の厚さとを含み得る。第2の厚さは、第1の厚さよりも大きくあり得る。第2の厚さは、第1の厚さよりも小さくあり得る。
【0031】
スリーブは、複合材料を含み得る。
【0032】
内部アセンブリは、位置合わせインサートをさらに含み得、位置合わせインサートは、中空バレルの内径にほぼ等しい外径と、ロッドの一部分を受け取るように構成されたローブとを含む。
【0033】
バットは、複数のロッドをさらに含み得る。リングは、複数の穴を含み得る。複数の穴の各穴は、複数のロッドのそれぞれのロッドを少なくとも部分的に受け取るように構成され得る。
【0034】
バットは、中心軸を有し得、リングは、バットの中心軸と位置合わせされた中心軸を有し得る。リングの複数の穴は、バットの中心軸からの半径方向距離に対応する円周の周りに等距離に配置され得る。
【0035】
エンドキャップは、複数のロッドのそれぞれのロッドの端部を少なくとも部分的に受け取るように構成された複数の窪みをさらに含み得る。エンドキャップは、バットの中心軸と位置合わせされた中心軸を有し得、エンドキャップの複数の窪みは、バットの中心軸からの半径方向距離に対応する円周の周りに等距離に配置され得る。
【0036】
バットは、位置合わせインサートをさらに含み得、位置合わせインサートは、中空バレルの内径にほぼ等しい外径と、複数のローブとを含む。各ローブは、複数のロッドのそれぞれのロッドを少なくとも部分的に受け取るように構成され得る。位置合わせインサートの複数のローブの各々は、半径方向距離だけ位置合わせインサートの中心軸からずらされ得る。位置合わせインサートの複数のローブは、半径方向距離に対応する円周に沿って等距離に配置され得る。
【0037】
開示された技術は、バットのための内部アセンブリを含み得、内部アセンブリは、ロッドと、ロッドに取り付けられた変形可能なリングと、変形可能なリングのまわりに配置され、バットの中空バレル内に長手方向に延びるように構成された変形可能なスリーブとを含む。スリーブは、中空バレルの内径よりも小さい外径を有し得る。ロッドは、バットの静止時、スリーブが、中空バレルの内面から予め定められた隙間距離に配置されるように、中空バレル内の予め定められた位置に変形可能なスリーブを維持するように構成され得る。
【0038】
リングは、第1のリングであり得、内部アセンブリは、第2のリングをさらに含み得る。第2のリングは、ロッドに取り付けられ得、第1のリングから間隔を空けられ得る。スリーブは、第1のリングと第2のリングとの間に延び得る。内部アセンブリは、位置合わせインサートをさらに含み得、位置合わせインサートは、バットの中空バレルの内径にほぼ等しい外径と、ロッドの一部分を少なくとも部分的に受け取るように構成されたローブとを含む。
【0039】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面に関連付けて以下の明細書を読むことでより明らかになるだろう。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
バットであって、上記バットは、
中空バレルと、
上記中空バレル内に配置された内部アセンブリであって、上記内部アセンブリは、
上記中空バレル内に長手方向に配置されたロッドと、
上記ロッドに取り付けられたリングと、
上記リングのまわりに配置され、上記中空バレル内で長手方向に延びている変形可能なスリーブであって、上記スリーブは、上記中空バレルの内径より小さい外径を有している、変形可能なスリーブと
を備えている、内部アセンブリと、
上記中空バレルの端部に取り付けられたエンドキャップと
を備え、
上記エンドキャップは、上記ロッドの端部を受け取るように構成された窪みを有し、
上記ロッドは、上記中空バレル内の予め定められた浮かせた位置に上記変形可能なスリーブを維持するように構成され、それによって、上記バットの静止時、上記スリーブは、上記中空バレルの内面から予め定められた隙間距離に配置されている、バット。
(項目2)
物体とのインパクトから受け取る力に応答して、上記中空バレルは、上記中空バレルの内面が上記変形可能なスリーブに接触するように、内側に撓むように構成されている、上記項目に記載のバット。
(項目3)
上記中空バレルは、上記インパクトからの上記力の少なくとも一部を上記変形可能なスリーブに伝えるように構成されており、
上記変形可能なスリーブは、
上記インパクトからの上記力のうちの上記少なくとも一部を受け取ると、元の形状から変形した形状に少なくとも部分的に変形し、
上記変形した形状から上記元の形状に戻る
ように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目4)
上記変形可能なスリーブは、上記変形可能なスリーブが上記変形した形状から上記元の形状に戻るにつれて、上記中空バレルに反発力を伝えるようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目5)
上記リングは、変形可能なリングであり、
上記中空バレルは、上記インパクトからの上記力のうちの少なくとも一部を上記変形可能なリングに伝えるように構成されており、
上記変形可能なリングは、
上記インパクトからの上記力のうちの上記少なくとも一部を受け取ると、元の形状から変形した形状に少なくとも部分的に変形し、
上記変形した形状から上記元の形状に戻る
ように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目6)
上記リングは、第1のリングであり、上記内部アセンブリは、第2のリングをさらに備え、上記第2のリングは、上記ロッドに取り付けられており、上記第1のリングからある距離間隔を空けられており、
上記スリーブは、上記第1のリングと上記第2のリングとの間に延びている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目7)
上記スリーブは、上記第1のリングに近接し、上記第2のリングに近接する第1の外径と、上記第1のリングと上記第2のリングとの間の第2の外径とを備え、上記第2の外径は、上記第1の外径より大きい、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目8)
上記スリーブは、上記第1のリングに近接し、上記第2のリングに近接する第1の外径と、上記第1のリングと上記第2のリングとの間の第2の外径とを備え、上記第2の外径は、上記第1の外径より小さい、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目9)
上記スリーブは、上記第1のリングに近接し、上記第2のリングに近接する第1の厚さと、上記第1のリングと上記第2のリングとの間の第2の厚さとを備え、上記第2の厚さは、上記第1の厚さより大きい、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目10)
上記スリーブは、上記第1のリングに近接し、上記第2のリングに近接する第1の厚さと、上記第1のリングと上記第2のリングとの間の第2の厚さとを備え、上記第2の厚さは、上記第1の厚さより小さい、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目11)
上記内部アセンブリは、位置合わせインサートをさらに備え、
上記位置合わせインサートは、
上記中空バレルの上記内径にほぼ等しい外径と、
上記ロッドの一部分を受け取るように構成されたローブと
を備えている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目12)
複数のロッドをさらに備え、
上記リングは、複数の穴を備え、上記複数の穴のうちの各穴は、上記複数のロッドのうちのそれぞれのロッドを少なくとも部分的に受け取るように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目13)
上記バットは、中心軸を有し、
上記リングは、上記バットの上記中心軸と位置合わせされた中心軸を有し、
上記リングの上記複数の穴は、上記バットの上記中心軸からの半径方向距離に対応する円周の周りに等距離に配置されている、
上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目14)
上記エンドキャップは、上記複数のロッドのうちのそれぞれのロッドの端部を少なくとも部分的に受け取るように構成された複数の窪みをさらに備えている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目15)
上記エンドキャップは、上記バットの上記中心軸と位置合わせされた中心軸を有し、
上記エンドキャップの上記複数の窪みは、上記バットの上記中心軸からの半径方向距離に対応する円周の周りに等距離に配置されている、
上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目16)
位置合わせインサートをさらに備え、上記位置合わせインサートは、
上記中空バレルの上記内径にほぼ等しい外径と、
複数のローブと
を備え、
各ローブは、上記複数のロッドのうちのそれぞれのロッドを少なくとも部分的に受け取るように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目17)
上記位置合わせインサートの上記複数のローブの各々は、半径方向距離だけ上記位置合わせインサートの中心軸からずらされている、上記項目のいずれか一項に記載のバット。
(項目18)
バットのための内部アセンブリであって、
ロッドと、
上記ロッドに取り付けられたリングと、
上記リングのまわりに配置され、上記バットの中空バレル内に長手方向に延びるように構成された変形可能なスリーブであって、上記スリーブは、上記中空バレルの内径よりも小さい外径を有している、変形可能なスリーブと
を備え、
上記ロッドは、上記中空バレル内の予め定められた浮かせた位置に上記変形可能なスリーブを維持するように構成され、それによって、上記バットの静止時、上記スリーブは、上記中空バレルの内面から予め定められた隙間距離に配置されている、内部アセンブリ。
(項目19)
上記リングは、第1のリングであり、上記内部アセンブリは、第2のリングをさらに備え、上記第2のリングは、上記ロッドに取り付けられており、上記第1のリングからある距離間隔を空けられており、
上記スリーブは、上記第1のリングと上記第2のリングとの間に延びている、上記項目のいずれか一項に記載の内部アセンブリ。
(項目20)
位置合わせインサートをさらに備え、
上記位置合わせインサートは、
上記バットの中空バレルの内径にほぼ等しい外径と、
上記ロッドの一部分を受け取るように構成されたローブと
を備えている、上記項目のいずれか一項に記載の内部アセンブリ。
(摘要)
バットが開示され、該バットは、中空バレルと、中空バレルの変形に抵抗するように構成された内部アセンブリとを有する。内部アセンブリは、中空バレル内に長手方向に配置されたロッドと、ロッドに取り付けられたリングと、リングのまわりに配置され、中空バレル内に長手方向に延びている変形可能なスリーブとを含む。スリーブは、中空バレルの内径よりも小さい外径を含み得る。バットは、中空バレルの端部に取り付けられたエンドキャップを含み得、ロッドの端部を受け取るように構成された窪みを有する。ロッドは、バットの静止時、スリーブが中空バレルの内面から予め定められた隙間距離に配置されるように、変形可能なスリーブを中空バレル内に予め定められた浮かせた位置に維持するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
ここで、添付の図面を参照するが、これらは必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。
【0041】
【
図1】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、明瞭さのために透過的に描かれたバレルを備えたバットを示す等角図である。
【0042】
【
図2】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、バットの線図を示す分解図である。
【0043】
【
図3】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、バットの部分的な側断面図である。
【0044】
【
図4A】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、変形可能なリングを示す等角図である。
【0045】
【
図4B】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、
図4Aに示された変形可能なリングの線図である。
【0046】
【
図4C】開示された技術のいくつかの実施形態に従った変形可能なリングを示す線図である。
【0047】
【
図4D】開示された技術のいくつかの実施形態に従った変形可能なリングを示す線図である。
【0048】
【
図5A】開示された技術のいくつかの実施形態に従った変形可能なリングを示す断面図である。
【0049】
【
図5B】開示された技術のいくつかの実施形態に従った変形可能なリングを示す断面図である。
【0050】
【
図6A】ここで開示される技術の或る実施形態を援用したバットの性能を、先行技術の2本のバットの性能と比較して示すグラフである。
【0051】
【
図6B】ここで開示される技術の或る実施形態を援用したバットの性能を、先行技術の2本のバットの性能と比較して示すグラフである。
【0052】
【
図7】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、先行技術の堅いワッシャと変形可能なリングとについての圧縮および変位の比較を例示するグラフである。
【0053】
【
図8】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、中空バレル内の変形可能なリングを示す断面図である。
【0054】
【
図9A】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、明確性のために切り取られて示されたバレルを伴う別のバットの等角図である。
【0055】
【
図9B】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、明確性のために断面として示されているバレルおよび内部アセンブリを伴うバットの等角図である。
【0056】
【
図10】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、バットの分解図である。
【0057】
【
図11】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、バットの断面側面図である。
【0058】
【
図12A】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、バットのスリーブの様々な断面図を示す。
【
図12B】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、バットのスリーブの様々な断面図を示す。
【
図12C】開示された技術のいくつかの実施形態に従った、バットのスリーブの様々な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
詳細な説明
この開示の全体にわたって、特定の実施形態の例は、複数のロッドと変形可能なリングとを含むバットに関して記載されている。開示された技術のいくつかの実施形態は、添付の図面に関連付けて以下においてより十分に記載されるだろう。しかしながら、この開示された技術は、多くの異なる形態で具体化され得、ここに記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。開示された技術の様々な要素を構築するものとして以下に記載される構成要素は、限定的ではなく例示的なものとして意図されている。以下に記載される構成要素と同じまたは同様の機能を実行するであろう多くの好適な構成要素は、開示された電子デバイスおよび方法の範囲内で採用されるように意図されている。ここに記載されないこのような他の構成要素は、例えば、開示された技術の開発後に開発された構成要素を含み得るが、これらに限定されない。
【0060】
以下の記載においては複数の具体的な詳細が述べられている。しかし、開示された技術の実施形態がこれらの具体的な詳細なしでも実施され得ることが理解されるはずである。他の場合、周知の方法、構造および技術がこの記載についての理解を曖昧にするのを避けるために、詳細には示されない。「一実施形態」、「或る実施形態」、「実施形態の例」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「様々な実施形態」などと言及している場合、それらは、そのように記載される開示技術の実施形態が特定の特徴、構造または特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造または特性を含んでいるとは限らないことを示している。さらに、「一実施形態における」という句を繰返し使用しているが、これは、同じ実施形態を指している場合もあるが、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。
【0061】
明細書および請求項全体にわたって、以下の語は、文脈が明確に規定した場合を除き、少なくとも、この明細書中において明示的に関連付けられた意味を採るものとする。「または」という語は包括的な「または」を意味するように意図されている。さらに、不定冠詞「a」または「an」および定冠詞「the」は、特に規定のない限り、または単数形を指していることが文脈から明らかにならない限り、1つ以上を意味するように意図されている。
【0062】
特に規定のない限り、共通の物体を説明するために順序を示す形容詞「第1の」、「第2の」、「第3の」などを使用する場合、これは、単に、同様の物体の異なる例を指しており、そのように記載された物体が、時間的に、空間的に、順位付けて、または他の態様で所与の順序であるべきことを示唆するようには意図されたものではないことを示しているに過ぎない。
【0063】
いくつかの実施形態に従うと、開示された技術は、野球用バットまたはソフトボール用バットなどのバットに関する。いくつかの実施形態においては、バットは、中空バレルおよび内部アセンブリを含み得、内部アセンブリは、例えば、中空バレルの変形(特に、ボールとのインパクト時における中空バレルの変形)に抵抗するように構成されている。特定の実施形態において、内部アセンブリは、中空バレルの内壁が変形可能なリングの外側端縁または表面と接触したときのバットの変形に抵抗するが、この変形を完全には妨げないように構成され得る。特定の実施形態においては、内部アセンブリは、中空バレル内に長手方向に延びている複数のロッドによって中空バレル内で浮かされている変形可能なリングを含み得る。
【0064】
図1は、開示された技術のいくつかの実施形態に従ったバット100を示す等角図である。バット100はバレル110を含み得、バレル110は、バット100の内部構成要素を明確に示すために
図1において透過的に示されている。いくつかの実施形態においては、バット100は内部アセンブリ120を含み得、内部アセンブリ120は、1つ以上の変形可能なリング130および複数のロッド140を含み得る。変形可能なリング130は、比較的強いインパクト力でバレルが撓むのを制限する(が妨げない)一方で、バレル110が比較的弱いインパクト力でも自由に撓むことを可能にするように構成され得る。特定の実施形態においては、変形可能なリング130は、バレル110の長さに沿った、バット100の最高性能機能に対応する位置に、またはバットの「スイートスポット」に、配置されることができる。いくつかの実施形態は単一の変形可能なリング130を含み得、他の実施形態は、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ以上の変形可能なリング130を含み得る。変形可能なリング130の数を増やすことにより、ボールとのインパクト時の中空バレル110の変形をより一定に制御することが可能になるが、変形可能なリング130の数を増やすことにより、バット100の全重量が増えてしまう可能性もあり、これは、バット100の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。バット100の外径周りの変形を均一にするために、いくつかの実施形態は3つ以上のロッド140を含み得る。例えば、いくつかの実施形態は、3つ、4つ、5つまたは6つ以上のロッド140を含み得る。使用される変形可能なリング130の数と同様、ロッド140の数を増やすと、変形可能なリング130の位置的安定性を高めることができるが、ロッド140の数を増やすと、バット100の全重量が増えてしまう可能性があり、これは、バット100の性能に悪影響を及ぼす恐れがある。したがって、いくつかの実施形態は、わずかに2つのロッド140を含み得、これにより、バット100の全重量を減らすことができるが、こうすることによって、バット100の外径周りの変形の均一性が犠牲になる可能性がある。いくつかの実施形態は、位置合わせインサート150も含み得、位置合わせインサート150は、中空バレル110の変形への制限された影響を提供することも、影響を提供しないことも可能である。いくつかの実施形態に従うと、ロッド140は中実であり得る。いくつかの実施形態においては、ロッド140は、
図2に示されるように、実質的に中空であり得る。いくつかの実施形態に従うと、ロッド140はカーボンチューブを含み得る。特定の実施形態においては、ロッド140は、金属、樹脂、炭素、ガラス繊維、またはそれらの何らかの混合物を含み得る。いくつかの実施形態においては、各ロッド140は、約1mmから約50mmの範囲内の直径を有し得る。例えば、いくつかの実施形態は、約5mmから約30mmの範囲内の直径を有するロッド140を含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態においては、位置合わせインサート150は中空バレル110の内側形状を反映した形状を有し得る。例えば、位置合わせインサート150は実質的に円筒形状を有し得る。代替的には、位置合わせインサート150は円錐台形状を有し得る。位置合わせインサート150は、中空バレル110の内径と実質的に等しい外径を有し得る。位置合わせインサート150はその内部を軸方向に貫通して延びる複数の穴またはローブを有し得る。位置合わせインサート150の各穴は、位置合わせインサート150の中心から共通の半径に位置決めされ得、特定の実施形態において、これらの穴は、この共通の半径に対応する円周の周りに等距離に位置決めされ得る。位置合わせインサート150の各穴は、対応するロッド140を受け取るような寸法にされることができる。位置合わせインサート150は、軸方向に延びる複数のスリットを含み得、各スリットは、位置合わせインサート150の対応する穴と位置合わせすることができる。したがって、位置合わせインサート150の各穴は、各ロッド140がスリット内を通過し径方向内側に向かって対応する穴に通されるように、スリットを通じてロッド140を受け取るように構成され得る。
【0066】
位置合わせインサート150は他の形状を有し得る。例えば、位置合わせインサート150は、
図1に示されるように、隣接する凹面同士の間に形成された複数のローブを有し得る。各凹面は内部アセンブリ120のロッド140に対応し得、各凹面は対応するロッド140のうち少なくとも一部分を受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態においては、形状にかかわらず、位置合わせインサート150は、予め定められた配列および/または位置でロッド140を実質的に維持するように構成され得る。加えて、位置合わせインサート150はまた、ボールを打つバット100の音に関する主観的な利点を提供し得る(すなわち、位置合わせインサート150を備えたバット100でボールを打つ音は、位置合わせインサート150のないバット100でボールを打つ音よりも一般の観客にとってより心地よいものとなり得る)。いくつかの実施形態においては、位置合わせインサート150は軽量であるが頑丈な材料を含み得る。いくつかの実施形態においては、位置合わせインサート150は、ポリマー、コポリマーおよび/または発泡体、例えばEVA発泡体を含み得る。位置合わせインサート150は、(例えば
図1に示されるような)中心穴を含み得、これにより、位置合わせインサート150の重量(およびこれにより、バット100の全重量)を減らすことができる。中心穴は、内部アセンブリ120の他の構成要素および/またはバット100の他の構成要素と位置合わせされたロッド140を維持するために必要とされる位置合わせインサート150の所要の硬さに悪影響を及ぼすことなく重量が減らされるような寸法にされることができる。特定の実施形態は、位置合わせインサート150を省くこともできる。いくつかの実施形態においては、バット100はエンドキャップ160を含み得る。以下により十分に記載されるように、いくつかの実施形態においては、エンドキャップ160は、バレル110の遠位端にしっかりと嵌まり込むように構成され得るとともに、複数のロッド140の各々の端部を受け取り、各ロッド140の端部を予め定められた配列および/または位置で維持するように構成され得る。
【0067】
図2を参照すると、変形可能なリング130は、円形の外壁232および複数の穴234を含み得、この場合、各穴234は、少なくとも部分的にロッド140を受け取るように構成されている。いくつかの実施形態においては、円形の外壁232は、中空バレル110の内径よりも小さい外径を有しており、それによって、中空バレル110とボールとのインパクト時、変形可能なリング130の円形の外壁232と接触する前に、中空バレル110が、予め定められた量または予め定められた距離だけ変形することが可能である。いくつかの実施形態に従うと、変形可能なリング130は、中空バレル110と変形可能なリング130の円形の外壁232との接触による中空バレル110とボールとのインパクトから得られる力を受け取ると、少なくとも部分的に変形するように構成されている。いくつかの実施形態においては、変形可能なリング130は変形後にその元の形状に戻るように構成され得る。
【0068】
特定の実施形態に従うと、変形可能なリング130は、変形可能なリング130全体を貫通して延びる1つ以上の穴234を含み得る。各穴234は、(例えば
図4A~
図4Dに示されるように)変形可能なリング130の対応する内側ローブ436に配置され得る。いくつかの実施形態においては、変形可能なリング130の各穴234は、変形可能なリング130の中心から共通の半径に位置決めされ得、特定の実施形態においては、複数の穴234は、この共通の半径に対応する円周の周りに等距離に位置決めされ得る。変形可能なリング130の穴234の位置は、位置合わせインサート150の穴に対応し得るとともに、位置合わせインサート150の穴と位置合わせされ得る。共通の半径に対応する円周が円形の外壁232の円周に必ずしも対応するわけではないことが理解されなければならない。いくつかの実施形態においては、穴234がロッド140を受け取ると、変形可能なリング130は、バット100の静止時(例えばバット100がボールを打っていない時)に、中空バレル内で浮かんだ状態で中空バレル110と同軸に位置合わせされるように、位置決めされ得る。以下においてより十分に説明されるように、変形可能なリング130の外径(すなわち、円形の外壁232の直径)が中空バレル110のうち変形可能なリング130に隣接している部分の内径未満であり得るので、変形可能なリング130と中空バレル110との間に隙間を形成することができる。
【0069】
いくつかの実施形態においては、エンドキャップ160は、エンドキャップ160内に部分的に延びる複数の穴262を含み得る。いくつかの実施形態においては、各穴262はロッド140に対応し得る。
図2および
図3に示されるように、いくつかの実施形態においては、エンドキャップ160は、エンドキャップ160の内面から延びる複数の突起を含み得、各突起は部分的な穴262を含み得る。これは、エンドキャップ160が比較的より少ない量の材料を含むことを可能とし、比較的より少ない量の材料は、バット100の全重量を減らすことができる。
【0070】
変形可能なリング130の穴234と同様に、いくつかの実施形態においては、エンドキャップ160の各穴262は、エンドキャップ160の中心から共通の半径に位置決めされ得るとともに、特定の実施形態においては、複数の穴234は、この共通の半径に対応する円周の周りに等距離に位置決めされ得る。特定の実施形態においては、変形可能なリング130に対する共通の半径は、各ロッド140が実質的に互いと平行になるように、エンドキャップ160および/または変形可能なリング130の穴234を基準として共通の半径と実質的に等しくあり得る。いくつかの実施形態においては、各ロッド140が変形可能なリング130からエンドキャップ160に向かって長手方向に延びるにつれて、各ロッド140が径方向外側へとますます延びるように、変形可能なリング130に対する共通の半径はエンドキャップ160に対する共通の半径よりも小さくあり得、いくつかの実施形態においては、この構成は、中空バレル110が近位端から遠位端まで外径において増加する場合、中空バレル110の外壁と実質的に平行な複数のロッド140を提供し得るが、ロッド140のこのような構成が、中空バレル110の直径が変化する実施形態に限定されないことが理解されなければならない。
【0071】
特定の実施形態においては、エンドキャップ160は、突起264も含み得、突起264は、中空バレル110の遠位端に近接して位置するノッチ212に対応し得る。いくつかの実施形態においては、エンドキャップ160は、恒久的に中空バレル110に取り付けられ得る。特定の実施形態においては、エンドキャップは、糊またはエポキシなどの接着剤で中空バレルに取り付けられ得る。特定の実施形態においては、エンドキャップ160は、中空バレル110に取外し可能に取り付けることができる。取外し可能に取り付け可能であるエンドキャップ160を含む実施形態は、複数の内部アセンブリ120およびエンドキャップ160を単一の中空バレル110に挿入することを可能にし得、これにより、バットの様々な最高性能測定基準を必要とするルールによって管理されている複数の競技連盟で単一のバット100を使用することが可能となり得る。このため、内部アセンブリ120、エンドキャップ160および/またはそれらのいずれかの組合わせの様々な構成要素が、ここに記載される他のすべての構造とは別個に設けられるものとして企図されていることが認識されるはずである。例えば、変形可能なリング130の様々な実施形態がここに記載される他のすべての構成要素とは別個に設けられ得ることが、企図されている。
【0072】
図全体に示されるように、ここに開示される設計は、(例えば、バレル110の中心軸に沿って位置する)単一のチューブまたはロッドとは対照的に複数のロッド140を利用している。そのような設計は、インパクト時に変形可能なリング130をバレル110内でより均等に変位させられること(すなわち、バレル110内における変形可能なリング130の並進移動)を可能にし得る。変形可能なリング130のこのような均等な変位は、高速インパクト(例えば、インパクト位置付近のバレル110の内壁が変形可能なリング130と接触して、変形可能なリング130をバレル110のうちインパクト位置とは反対側の内壁と接触させるように、バレル110をインパクト位置で内側に撓ませるのに十分な力のインパクト)を除く全てのインパクトに関して(例えば、堅いワッシャ設計とは対照的に)性能低下の抑制を促進し得る。したがって、このような設計は、高速インパクトでのバレル110の撓み(およびバット100のCOR)を制限し得るとともに、より低速でのバレル110の自由な撓みを可能にすることで、より低速時にバット100の性能を最大限にし得る。
【0073】
図4Aおよび
図4Bは、いくつかの実施形態に従った変形可能なリング130を円形の外壁232および穴234とともにより明確に示す。いくつかの実施形態においては、ロッドの端部だけが穴234の中に延び得るように、穴234の1つ以上が変形可能なリング130内に部分的にのみ延び得る。いくつかの実施形態は、完全な(すなわち、変形可能なリング130を完全に貫通して形成された)穴234と、部分的な(すなわち、変形可能なリング130を部分的にのみ貫通して形成された)穴234との組合わせを含み得る。
図4Cおよび
図4Dを参照すると、特定の実施形態においては、変形可能なリングは、変形可能なリング130の第1の側(例えば上側)内に部分的に延びる1つ以上の穴234を含み得、変形可能なリング130の第2の側(例えば底側)内に部分的に延びる1つ以上の穴234を含み得、これにより、第1のロッド140の端部を変形可能なリング130の第1の側に挿入することができ、第2のロッド140の端部を変形可能なリング130の第2の側に挿入することができる。いくつかの実施形態においては、変形可能なリング130の両側にあるロッド140の所定の対(例えば、第1のロッド140は、変形可能なリング130の第1の側に挿入され、第2のロッド140は、変形可能なリング130の第2の側に挿入される)は、
図4Cに示されるように、互いに対して軸方向に位置合わせされることができる。特定の実施形態においては、変形可能なリング130の両側にあるロッド140の1つ以上が、
図4Dに示されるように、互いに対して軸方向にずらされ得る。
【0074】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、いくつかの実施形態においては、複数の変形可能なリング130が提供され得るとともに、いくつかの実施形態に従うと、各変形可能なリング130の外径は同じである。したがって、複数の変形可能なリング130の各々は、同じ中空バレル110と使用することができる。いくつかの実施形態においては、複数の穴234の直径は変形可能なリング130とは異なる直径であることができるので、異なる直径を有する複数のロッド140が使用可能であり、これは、変形可能なリング130の変形可能性に影響を及ぼし得る。特定の実施形態においては、すべての変形可能なリング130のために複数の同じロッド140を使用することができるように、複数の穴234の直径をすべての変形可能なリング130の間で同じにすることができる。いくつかの実施形態においては、変形可能なリング130の内径は、異なる堅さ、従って、異なる変形可能性を持つ中空バレル110をを提供し、異なる性能特徴を持つバット100を最終的にもたらすように調節されることができる。例えば、
図5Aは、外径、および内径ID
1を有する変形可能なリング130Aを示しており、
図5Bは、変形可能なリング130Aと同じ外径を有し、変形可能なリング130Aの内径ID
1より大きい内径ID
2を有する変形可能なリング130Bを示している。変形可能なリング130Aおよび130Bが同じ外径を有しており、かつ、変形可能なリング130Aが変形可能なリング130Bの内径ID
2よりも小さい内径ID
1を有しているので、変形可能なリング130Aは変形可能なリング130Bよりも大きな壁厚を有している。したがって、変形可能なリング130Aは、変形可能なリング130Bより堅く、従って、変形可能なリング130Bより変形できない。
【0075】
いくつかの実施形態においては、変形可能なリング130は、約1mm(約0.04インチ)から約50mm(約2インチ)の範囲内の厚さ(例えば高さ)を有し得る。例えば、いくつかの実施形態においては、変形可能なリング130は約1mm(約0.04インチ)から約20mm(約0.8インチ)の範囲内の厚さ(例えば高さ)を有し得る。特定の実施形態においては、変形可能なリング130は、約1mm(約0.04インチ)から約50mm(約2インチ)の範囲内の径方向厚さ(例えば、変形可能なリングの側壁の最小厚さ)を有し得る。例えば、いくつかの実施形態においては、変形可能なリング130は、約5mm(約0.2インチ)から約30mm(約1.2インチ)の範囲内の径方向厚さを有し得る。いくつかの実施形態においては、変形可能なリングは、1つ以上の金属(アルミニウム)、樹脂、1つ以上の複合材料、1つ以上のプラスチック(例えば、ナイロン)、それらの任意の組み合わせ、または他の適切な任意の材料を含み得る。
【0076】
図6Aおよび
図6Bは、3つのタイプのバットの性能を示すグラフであり、3つのタイプのバットは、堅いワッシャ状リングを有するバット(先行技術)と、如何なる種類の内部リング構造をも備えない複合材料バット(先行技術)と、ここに開示されている技術を含むバットとである。図からわかるように、ここに開示されているバットがもたらす打球速度は、より低速では、通常の複合材料バットによる打球速度より高く、ワッシャ状リングを含むバットによる打球速度とほとんど同じくらい高く、中速では、ワッシャ状リングを含むバットによる打球速度よりも高く、通常の複合材料バットによる打球速度とほとんど同じくらい高い。より高速では、ここで開示されているバットがもたらす打球速度は、ワッシャ状リングを含むバットによる打球速度よりもはるかに高い。従って、ここで開示されているものは、目標の力を上回る力で高レベルの性能を維持しつつ、(例えば、統括支配的なルールおよび規則に準拠するために)目標の力でバット性能を高めることができる。変形可能なリング130を用いたバットの性能全体の向上は、開示された技術によって与えられる圧縮と変位との特有のバランスに少なくとも部分的に起因し得る。
図7を参照すると、先行技術バットの堅いワッシャがバットバレルが圧縮されるとバット内で変位させられ得るのは、当該堅いワッシャがバレルのインパクト側およびその反対側の両方に接触するまでに過ぎず、この時点ではさらなる変位は起こり得ない。対照的に、開示された技術の変形可能なリング130は、同様に変位可能であるが、バレルのインパクト側および反対側の両方に接触した後も変形することができる。
図7からも分かるように、変形可能なリング130の圧縮度合いは、変形可能なリング130の内径に基づいて(一定の外径であると想定して)変更されることができる。言い換えれば、変形可能なリング130の外壁の厚さは、変形可能なリング130の圧縮度合いに影響を及ぼすことができる。
【0077】
図8に示されるように、変形可能なリング130は、変形可能なリング130の円形の外壁232と中空バレル110の内面との間に隙間が形成されるように、中空バレル110内に浮かしておくことができる。この隙間の大きさ(すなわち、距離D
gap)は、様々な打球速度で予め定められた性能を達成するように変更することができる。認識され得るように、変形可能なリング130の外面および/またはバレル110の内面は、製造上の制限または他の理由から、完全に円形でないこともある。したがって、隙間距離D
gapは、変形可能なリング130の外面とバレル110の内面との間の平均隙間距離D
gapを指し得る。
【0078】
随意に、圧縮可能材料838は、変形可能なリング130の外壁232に取り付けられ得るか、または貼り付けられ得る。圧縮可能材料838は、変形可能なリング130がバレル110の内面に接触するときに生じ得る望ましくない音(例えば、ガタガタ言う音)を引き起こし得る振動を低下または排除することを助け得る。圧縮可能材料838は、布(例えば、フェルト)、発泡体(例えば、低密度プリウレタン発泡体)、または任意のその他の圧縮可能材料であり得るか、またはそれらを含み得る。理解されるように、圧縮可能材料838は、本明細書中に記載されるような変形可能なリング130の利益を損なうことなしに、聞こえるガタガタ音を減衰、低下、および/または除去し得るように、高圧縮性であり得る。圧縮可能材料838は、接着剤(例えば、糊、エポキシ、テープ)または任意のタイプの取り付けデバイスを介して変形可能なリング130の外壁232に取り付けられ得るかまたは貼り付けられ得る。非限定的な例として、圧縮可能材料838は、テープ(例えば、フェルトテープ、発泡体テープ)であり得、変形可能なリング130の外壁232に接着され得る。代替的に、または追加的に、圧縮可能材料838は、バレル110の内壁に取り付けられるか、または貼り付けられ得る。圧縮可能材料838は、圧縮可能材料838とバレル110の内面との間(圧縮可能材料838が変形可能なリング130の外壁232に取り付けられる場合)に、または圧縮可能材料838と変形可能なリング130の外壁232との間(圧縮可能材料838がバレル110の内面に取り付けられる場合)に、隙間が存在するように、隙間距離Dgapよりも小さい厚さを有し得る。代替的に、圧縮可能材料838は、隙間距離Dgapにほぼ等しい厚さを有し得る。さらに、圧縮可能材料838は、これまで、変形可能なリング130の外壁232および/またはバレル110の内面に取り付けられるものとして記載されたが、圧縮可能材料838は、変形可能なリング130とバレル110との間に単純に配置され得ることが企図される。例えば、圧縮可能材料838は、隙間距離Dgapとほぼ等しいかまたは隙間距離Dgapよりも大きい(例えば、わずかに大きい)厚さを有し得、その結果、圧縮可能材料は、摩擦力および/または圧縮可能材料838のわずかな圧縮を介して、変形可能なリング130とバレル110との間に保たれ得る。その位置を問わず、圧縮可能材料838は、それが変形可能なリング130とバレル110との間の直接的な接触を防ぐように位置決めされ得る。
【0079】
以下の表1は、開示された技術の例を用いて行なわれた実験の結果得られたデータを参照しており、これらの例は、異なる壁厚および同じ外径を有する(すなわち、異なる内径を有する)リングを有する2つのサンプルと、異なる外径を有する3つのサンプルとを含む。各サンプルは、中空バレル110の内径と各サンプルの変形可能なリング130の外径との間の差が、結果として、対応する隙間距離D
gapをもたらすように、同じ中空バレル110でテストさた。これらのサンプルをテストすることにおいて用いられたバレル110は、約50mm(約2インチ).の内径を有していた。このため、一例として、36mm(約1.4インチ)の外径を有するリング130を含むサンプルAについての隙間距離D
gapは、約7mm(約0.28インチ)であった(すなわち、(バレル110の50mmの外径-変形可能なリング130の36mmの外径)÷2=サンプルAについての7mmのD
gap)。表1の力の値は、各サンプルのバレル110を一定の予め定められた量だけ圧縮するためにどれだけの力が必要であったかを示している。これらの実験のために、バレル110の圧縮に起因する予め定められた変位は、0.050±0.001インチ(1.3±0.025mm)であった。リング壁厚は、変形可能なリング130の外径と最大内径(例えば、
図5Aおよび5Bを参照)との間の差を指しており、リング高さは、各変形可能なリング130の厚さの高さを指しており、リング位置は、バットのバレルのキャップ端に対する各変形可能なリング130の位置を指している(すなわち、サンプルの各々は、バレル110のキャップ端から7インチの場所に位置していた)。各サンプルは、低速、中速および高速でロボット打者を用いてテストされた。
【表1】
【0080】
以下の表2は、インパクト前に3つの異なる速度(低速:55km/h(約34mph))、中速:80km/h(約50mph)、および高速:125km/h(約78mph))で進んでいたボールと上記サンプルバットのうちのいくつかのバットとのインパクトに起因する打球速度を示す。このデータ中の打球速度を決定するために、(バットキャノンではなく)スイングロボットを用いてテストされ、ボールの出口速度が測定された。データから分かるように、低速および中速ではサンプルAとサンプルBとサンプルCとの間に性能の差はほとんどない。しかしながら、高速では、最大の隙間で最高性能が得られた。これは、バレル110と変形可能なリング130との間の接触が比較的遅れることにより、バレル110がさらに撓んでさらに跳ね返ることを可能にするからであり得る。
【表2】
【0081】
以下の表3は、インパクト前に3つの異なる速度(低速:55km/h(約34mph)、中速:80km/h(約50mph)、および高速:105km/h(約65mph))で進んでいたボールと上記サンプルバットのうちのいくつかのバットとのインパクトに起因する打球速度を示している。上述のように、このデータ中の打球速度は、(バットキャノンではなく)スイングロボットを用いるテスト中にボールの出口速度を測定して、決定された。ここで、データは、より剛性の低い(例えば、より薄い壁を有する)変形可能なリング130が比較的高い性能をもたらすことを示しているように見える。
【表3】
【0082】
ここで
図9A~12Cを参照すると、バットの別の例が示されている。開示された技術のいくつかの実施形態に従って、
図9Aは、明確性のために切り取られて示されているバレル110を伴う別のバット900の等角図であり、その一方で、
図9Bは、明確性のために断面として示されているバレル110および内部アセンブリ120を伴うバット900の等角図である。バット900は、本明細書中で既に説明されたバット100の同じ特徴の全てを含み得る。例えば、
図9A~10に示されているように、バット900は、バレル110と、内部構造120と、エンドキャップ160とを含み得る。示されているように、内部構造120は、1つ以上の変形可能なリング130と、1つ以上のロッド140と、位置合わせインサート150と、変形可能なスリーブ970とを含み得る。変形可能なスリーブ970を除き、ここで挙げたこれらの構成要素の各々の特徴は、既に上述された同じ特徴、機能、特性等を含み得る。
【0083】
図9Aおよび
図9Bに示されているように、変形可能なスリーブ970は、変形可能なリング130のまわりに配置され得、ロッド140を介してバレル110内で浮かせられ得る。いくつかの例において、変形可能なスリーブ970は、1つ以上の変形可能なリング130間に延び得、変形可能なリング130に取り付けられ得るか、変形可能なリング130と摩擦係合されるか、または変形可能なリング130から切り離され得る。
【0084】
変形可能なスリーブ970は、力がそれに対して加えられると変形するように構成され得る。例えば、バット900がボールを打つために使用され、バット110がインパクトの結果として撓むと、バレル110は、それが変形可能なスリーブ970に接触し、変形可能なスリーブ970が力の結果として変形し得るまで、内側に撓み得る。理解されるように、変形可能なスリーブ970は、弾力的であり得るか、または、そうでなければ跳ね返って形状が戻り得、それによって、エネルギーの一部をバレル110に、その後ボールに戻るように伝え得る。このように、変形可能なスリーブ970は、変形可能なリング130と同様に作動し得る。しかしながら、理解されるように、変形可能なリング130のように個別の場所に位置決めされるのではなく、変形可能なスリーブ970は、バレル110のより大きな部分に沿って変形可能なリング130間に延びるように構成され得る。このように、変形可能なスリーブ970は、変形可能なリング130単独の場合よりもより大きな距離延び得、これにより、バット900の重量を著しく増大させることなしに、バット900のスイートスポットのサイズを増大させる。
【0085】
バット900は、変形可能なスリーブ970を含むので、変形可能なリング130は、既に説明された同じ可撓性材料から作られ得るか、または、より堅い材料から作られ得る。変形可能なリング130が可撓性材料から作られる場合、変形可能なリング130および変形可能なスリーブ970の両方は、ボールに接触することによって加えられた力によって圧縮された後、エネルギーをバレル110に戻るように伝えるように構成され得る。
【0086】
変形可能なスリーブ970は、弾力的な材料から作られ得、弾力性材料は、限定するものではないが、アルミニウム、ポリマー、ガラス繊維複合材、炭素繊維複合材等を含む。いくつかの例において、変形可能なスリーブ970は、様々な積層の向きを有する炭素繊維複合材および/またはガラス繊維複合材から作られ得る。例えば、炭素繊維複合材および/またはガラス繊維複合材の様々な層は、変形可能なスリーブ970の長手方向の方向に対して0°,30°,45°,60°,および/または90°の角度において繊維が概して向けられた状態で層状にされ得る。理解されるように、層の数、層の順序、繊維のサイズ、層の向き、樹脂材料等は、変形可能なスリーブ970を偏向させるための能力と、変形可能なスリーブ970を偏向させるために必要な力とに影響し得る。
【0087】
図11に示されているように、変形可能なスリーブ970は、バレル110の長さLだけ延び得る。長さLは、構成に依存して、バレル110の全長の間に及び得るか、または、数インチのみに及び得る。いくつかの例において、スリーブ970は、実質的に打者がボールを打つ可能性が最も高いバット900のエリア内にある長さLだけ延びるように構成され得る。例えば、スリーブ970は、エンドキャップ160の端部から約3~10インチだけバレル110内に配置され得、バット900の好ましい打撃エリアの長さだけ延び得る。その他の例において、スリーブ970は、エンドキャップ160から約5~9インチだけバレル110内に配置され得る。
【0088】
図11に示されるように、変形可能なスリーブ970は、距離Dを有する隙間が変形可能なスリーブ970の外面とバレル110の内面との間に存在し得るように、バレル110内で浮かされ得る。前述のように、この隙間の大きさ(すなわち、距離D)は、様々な打球速度において予め定められた性能を達成するために変更され得る。理解されるように、変形可能なスリーブ970の外面および/またはバレル110の内面は、製造限界またはその他の理由に起因して、完全な円ではないこともある。したがって、隙間距離Dは、変形可能なリング130の外面とバレル110の内面との間の平均隙間距離Dを指し得る。隙間の距離Dは、例えば、約0.2mm(0.00787インチ)~約10mm(0.394インチ)であり得る。
【0089】
図12A~12Cは、開示された技術のいくつかの実施形態に従う、バット900の変形可能なスリーブ970の様々な断面図を示す。
図12Aに示されているように、変形可能なスリーブ970は、変形可能なスリーブ970の長さに沿って、一定の壁厚tと、一定の外径d1とを有し得る。その他の例において、壁厚tおよび外径d1は、
図12Bおよび
図12Cに示されているように変動し得る。例えば、
図12Bに示されているように、変形可能なスリーブ970は、第1の外径d1と、第1の外径d1よりも大きい第2の外径d2とを有し得る。理解されるように、変形可能なスリーブ970の外径を増大させることは、バット900のバレル110が、より小さい第1の直径d1の場所におけるよりもより大きい第2の直径d2の場所において、変形可能なスリーブ970の部分に接触する可能性がより高いことを意味する。したがって、変形可能なスリーブ970は、変形可能なスリーブのその他の部分(例えば、第1の外径d1を有する場所)に接触する前に変形可能なスリーブ970にバレル110が接触することが望ましい場所において、増大された直径(d2)を有するように形成され得る。その他の例において、第2の外径d2は、第1の外径d1よりも小さくあり得、その結果、変形可能なスリーブ970は、変形可能なスリーブ970のその他の部分(例えば、第1の外径d1を有する場所)に接触した後、バレル110が変形可能なスリーブ970に接触することが望ましい場所において、減少した直径(d2)を有するように形成され得る。
【0090】
別の例として、変形可能なスリーブ970は、変形可能なスリーブ970の長さにわたって変動する壁厚を有し得る。例えば、
図12Cに示されているように、変形可能なスリーブ970は、第1の場所における第1の壁厚t1と、第2の場所における第2の壁厚t2とを有し得る。第2の壁厚t2は、第1の壁厚t1よりも大きくあり得る。その他の例において、示されてはいないが、第2の壁厚t2は、第1の壁厚t1よりも小さくあり得る。理解されるように、壁厚を増大させることにより、変形可能なスリーブ970は、より堅く作られ得る。したがって、変形可能なスリーブ970は、バット900がより堅いまたは剛性の高い変形可能なスリーブ970を有することが望ましくあり得る場所において、より厚い壁を含むように形成され得る。さらに、変形可能なスリーブ970は、バット900の性能に所望の影響を与えるように、変動する厚さtおよび外径dのいくつかの組み合わせを含み得る。さらに、1つよりも多くの変形可能なスリーブ970が、バレル110の内側に配置され得る。例えば、バット900は、(間に空間を有していても有していなくても)並んで配置された複数の変形可能なスリーブ970を含み得、各変形可能なスリーブ970は、特定の用途に好適であり得るような変動する長さ、厚さ、および/または外径を有する。
【0091】
バット900は、バレル110の一部の長さだけ延びる内側スリーブ970を含み得、バット900は、従来の設計と比較して改善された音および感触を示し得る。例えば、内側スリーブ970は、変形可能なリング130のものと同様の効果をもたらし得るが、ボールを打つことに起因する全振動を低下させることを助け得る。したがって、内側スリーブ970は、熱心な野球およびソフトボールのプレーヤーにとってより望ましいものである傾向があるインパクト音および感触をもたらし得る。
【0092】
開示された技術の特定の実施形態を、現在最も実用的な実施形態であるとみなされているものに関連付けて記載してきたが、開示された技術が開示された実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な変形例および同等の構成例を包含するように意図されていることが理解されるはずである。特定の用語がこの明細書中で用いられているが、それらは、一般的および記述的な意味でのみ用いられているのであって、限定を目的として用いられているものではない。
【0093】
ここに記載された説明は、最良モードを含む開示された技術の特定の実施形態を開示するとともに、当業者が、任意のデバイスまたはシステムを製造および使用すること、ならびに援用された任意の方法を実行することを含めて、開示された技術の特定の実施形態を実施することを可能にしている。開示された技術の特定の実施形態の特許可能な範囲は、請求項において規定されており、当業者が想到する他の例を含み得る。このような他の例は、これら例が有する構造要素が請求項の文字どおりの語と相違のない場合、または、それら例が請求項の文字どおりの語とは非実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、請求項の範囲内に収まるように意図されている。
【外国語明細書】