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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084146
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20240617BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209183
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】202211600794.6
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】郭志球
(72)【発明者】
【氏名】ハァォ グゥオ フェイ
(72)【発明者】
【氏名】呉宇豪
(72)【発明者】
【氏名】黄世亮
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA03
5F251AA05
5F251AA08
5F251AA10
5F251DA10
5F251EA19
5F251FA14
5F251FA16
5F251FA17
5F251FA21
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
5F251JA27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本願実施例は、光起電力分野に関し、光起電力モジュールを提供する。
【解決手段】この光起電力モジュールは、表面に第1方向に沿って間隔を空けて配列される複数のグリッド線構造を有する電池セル10と、第2方向に沿って間隔を空けて配列される複数の接続部材11であって、各接続部材が電池セルの表面に位置し、且つ少なくとも1つのグリッド線構造と電気的に接触し、接続部材が、本体部と、本体部の表面に位置する第1部及び第2部とを含み、第1部が電池セルの表面に位置し且つグリッド線構造と合金化し、第2部が本体部の外側面輪郭から離れかつ内側面輪郭に対向し、同一の接続部材について、接続部材の延在方向に垂直な横断面パターンにおいて、第1部の占める割合が第2部の占める割合より小さい接続部材と、接続部材の表面及び電池セルの表面を覆う封止層12と、封止層の電池セルから遠い側に位置するカバープレート13とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に第1方向に沿って間隔を空けて配列される複数のグリッド線構造を有する電池セルと、
第2方向に沿って間隔を空けて配列される複数の接続部材であって、各前記接続部材が前記電池セルの表面に位置し、且つ少なくとも1つの前記グリッド線構造と電気的に接触し、前記接続部材が、本体部と、前記本体部の表面に位置する第1部及び第2部とを含み、前記第1部が前記電池セルの表面に位置し且つ前記グリッド線構造と合金化し、前記第2部が前記本体部の外側面輪郭から離れかつ内側面輪郭に対向し、同一の前記接続部材について、前記接続部材の延在方向に垂直な横断面パターンにおいて、前記第1部の占める割合が前記第2部の占める割合より小さい接続部材と、
前記接続部材の表面及び前記電池セルの表面を覆う封止層と、
前記封止層の前記電池セルから遠い側に位置するカバープレートと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項2】
前記接続部材の延在方向に垂直な横断面パターンにおいて、前記第1部の占める割合が前記第2部の占める割合の1/4~2/3倍である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項3】
前記第1方向が前記第2方向と交差し、前記第1部の少なくとも一部は、前記グリッド線構造と前記本体部の重なる箇所に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項4】
前記グリッド線構造と前記本体部の重なる箇所の前記電池セルにおける正投影が前記第1部の前記電池セルにおける正投影内にある、
ことを特徴とする請求項3に記載の光起電力モジュール。
【請求項5】
前記第1方向が前記第2方向に平行であり、各前記接続部材は前記グリッド線構造と1対1で対応している、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項6】
前記第1方向に沿って、前記第1部の幅が前記グリッド線構造の幅より大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の光起電力モジュール。
【請求項7】
前記第2部は、前記本体部の前記第1部及び前記電池セルから離れる表面を覆う、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項8】
前記第1部の材料組成には前記第2部の材料が含まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項9】
前記第2部の電導率が前記本体部の電導率より大きい、
ことを特徴とする請求項8に記載の光起電力モジュール。
【請求項10】
前記第1部または前記第2部の少なくとも一方は錫層であり、前記本体部は導電層である、
ことを特徴とする請求項1または8に記載の光起電力モジュール。
【請求項11】
複数の接続層をさらに含み、前記接続層は前記接続部材の延在方向に沿って間隔を空けて配列されており、前記接続層が前記電池セルと前記接続部材との間に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、光起電力の分野に関し、特に、光起電力モジュール(photovoltaic module)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光電効果または光化学効果によって光エネルギーを直接に電気エネルギーに変換する装置である。シングル太陽電池は直接に発電に用いられることができない。いくつかのシングル太陽電池をPVリボンストリングによって、並列に接続してモジュールとして厳密に封止してから用いなければならない。太陽電池モジュール(ソーラーパネルとも言われる)は太陽エネルギー発電システムにおける中核部分であり、太陽エネルギー発電システムにおける最も重要な部分でもある。太陽電池モジュールの作用は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換したり、バッテリーに送って貯蔵したり、負荷を動作させるように駆動したりすることである。
【0003】
電池セルが非常に脆く、通常、電池モジュールの上下面に電池セルを保護するために用いられる接着フィルム及びカバープレートが設けられる必要がある。一般的には、カバープレートは光起電力ガラスであり、光起電力ガラスは、電池セルの上面に直接に付着することができなく、その間に接着機能を果たす接着フィルムを必要とする。電池セル同士の間に、通常、電流を収集するためのPVリボンが接続されており、一般的なPVリボンは溶接時に溶接によってPVリボンとグリッドとの間を合金化させる必要があり、一般的なPVリボンはすずはんだ層を含むことがよく見られ、すずはんだ層の成分は60%の錫と40%の鉛であり、相図における錫-鉛合金の共晶点温度が183℃程度であり、即ち、PVリボンにおけるすずはんだ層の融点が183℃であるが、実際の溶接過程で、溶接温度がハンダの融点より20℃以上高い。電池セルは溶接過程で歪みによる変形が大きく、溶接後隠れクラックのリスクが大きく、破片率が高い。特にPERC電池(Passivated Emitter and Rear Cell、不動態化エミッタ及び裏面セル)の場合、自らの内応力が大きく、溶接後に反り変形、破片が出やすく、モジュールの再修理率の上昇と歩留まりの低下を招く。このような背景の下で、溶接品質を改善するために、低温PVリボンはそれに応じて生まれていた。しかし、モジュールの歩留まりに影響する要素は依然として多く、例えば、溶接及びPVリボンと細いグリッドとの接触抵抗などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願実施例には、少なくとも、PVリボンと電池セルとの接続性能及び電池セルの歩留まりを向上させることに有利である光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願のいくつかの実施例によれば、本願実施例には、光起電力モジュールが提供され、この光起電力モジュールは、表面に第1方向に沿って間隔を空けて配列される複数のグリッド線構造を有する電池セルと、第2方向に沿って間隔を空けて配列される複数の接続部材であって、各前記接続部材が前記電池セルの表面に位置し、且つ少なくとも1つの前記グリッド線構造と電気的に接触し、前記接続部材が、本体部と、前記本体部の表面に位置する第1部及び第2部とを含み、前記第1部が前記電池セルの表面に位置し且つ前記グリッド線構造と合金化し、前記第2部が前記本体部の外側面輪郭から離れかつ内側面輪郭に対向し、同一の接続部材について、前記接続部材の延在方向に垂直な横断面パターンにおいて、前記第1部の占める割合が前記第2部の占める割合より小さい接続部材と、前記接続部材の表面及び前記電池セルの表面を覆う封止層と、前記封止層の前記電池セルから遠い側に位置するカバープレートとを含む。
【0006】
いくつかの実施例では、前記接続部材の延在方向に垂直な横断面パターンにおいて、前記第1部の占める割合が前記第2部の占める割合の1/4~2/3倍である。
【0007】
いくつかの実施例では、前記第1方向が前記第2方向と交差し、前記第1部の少なくとも一部は、前記グリッド線構造と前記本体部の重なる箇所に位置する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記グリッド線構造と前記本体部の重なる箇所の前記電池セルにおける正投影が前記第1部の前記電池セルにおける正投影内にある。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1方向が前記第2方向に平行であり、各前記接続部材は前記グリッド線構造と1対1で対応している。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1方向に沿って、前記第1部の幅が前記グリッド線構造の幅より大きい。
【0011】
いくつかの実施例では、前記第2部は、前記本体部の前記第1部及び前記電池セルから離れる表面を覆う。
【0012】
いくつかの実施例では、前記第1部の材料組成には前記第2部の材料が含まれている。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第2部の電導率が前記本体部の電導率より大きい。
【0014】
いくつかの実施例では、前記第1部または前記第2部の少なくとも一方は錫層であり、前記本体部は導電層である。
【0015】
いくつかの実施例では、複数の接続層をさらに含み、前記接続層は前記接続部材の延在方向に沿って間隔を空けて配列されており、前記接続層が前記電池セルと前記接続部材との間に位置する。
【発明の効果】
【0016】
本願実施例に提供された技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0017】
本願実施例に提供された光起電力モジュールでは、電池セルは、第1方向に沿って間隔を空けて配列される複数のグリッド線構造を含み、接続部材がグリッド線構造と電気的に接触し、接続部材は、本体部と、本体部の表面に位置する第1部及び第2部とを含み、同一の接続部材について、接続部材の延在方向に垂直な断面パターンにおいて、第1部の占める割合が第2部の占める割合より小さく、これによって、接続部材と電池セルを製造する時の接続方式が接続部材のトップから電池セルに向かう方向の加熱方式ではないことを自ずから導き出すことができ、接続部材と電池セルとが良好なオーミック接触を形成することを確保するために起因する電池セルの破損、隠れクラック及び大きすぎる熱応力という問題を回避することができる。第2部は、本体部の外側面輪郭から離れかつ内側面輪郭に対向し、かつ電池セルの表面に位置しなく、これによって、低温積層処理で接続部材とグリッド線構造との間の合金化を実現することができ、第2部が溶融しなく、第2部は、一部の厚さ遮断層として本体部が封止層を突き通すことを防止するために用いられることができる。グラム重が低い接着フィルムの効果を達成し、コストを削減するように、接続部材以外の封止層は薄く設けられてもよい。また、第2部が溶融しないと、接続部材の電池セルにおける遮断面積もそれに応じて少なくなり、接続部材を設ける当初、第2部の厚さを第1部の厚さより薄く設定してコストを削減することができる一方、接続部材による陰の遮断面積が小さく、電池セルの光学的損失を低減し、電池の効率の向上に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
一つまたは複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。本願実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1図1は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第1種の上面図である。
図2図2図1のA-A断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図である。
図3図3図1のB-B断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図である。
図4図4は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第2種の上面図である。
図5図5図4のB-B断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図である。
図6図6は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第3種の上面図である。
図7図7図6のC-C断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図である。
図8図8は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第4種の上面図である。
図9図9図8のB-B断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図である。
図10図10図8のD-D断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図である。
図11図11は本願の一実施例に係るグリッド線構造に位置する接続部材の第1種の横断面構成を示す図である。
図12図12は本願の一実施例に係る接続部材の第1種の縦断面構成を示す図である。
図13図13は本願の一実施例に係る接続部材の第2種の縦断面構成を示す図である。
図14図14は、本願の一実施例に係るグリッド線構造に位置する接続部材の第2種の横断面構成を示す図である。
図15図15は本願の一実施例に係るグリッド線構造に位置する接続部材の第3種の横断面構成を示す図である。
図16図16は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの製造方法において隔離層を形成した後の構成を示す図である。
図17図17は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの製造方法においてカバープレートを提供した後の構成を示す図である。
図18図18は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの製造方法において積層後の光起電力モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
背景技術から分かるように、従来技術における光起電力モジュールにおけるPVリボンと電池セルとの接続性能及び電池セルの歩留まりがよくない。
【0020】
分析によると、光起電力モジュールにおけるPVリボンと電池セルとの接続性能及び電池セルの歩留まりがよくない原因の1つは、太陽光が電池の正面から電池に入ると、正面の金属電極がシリコンウェハの一部を遮り、電極に照射したこの部分の光エネルギーが電気エネルギーに変換できないことであることがわかった。この観点から、グリッド線は細かいほど良い。グリッド線の役割は電流を伝導することであり、抵抗率の観点から分析すると、グリッド線が細かいほど導電横断面積が小さくなり、抵抗損失が大きくなることがわかった。したがって、メイングリッドとサブグリッドの設計の核心は遮光と導電のバランスを取ることであり、その後グリッド線と電気的に接触するPVリボンも遮光と導電のバランスを取る必要がある。また、従来、PVリボンとグリッド線との合金化を実現するには、通常、PVリボンの温度よりも20℃高い温度でPVリボンのトップから電池セル方向へ放射して放熱する。このようなPVリボンの高溶融温度によって、溶接中により高い逆流温度が必要となる。これによって、電池セルに熱反りが発生しやすくなる。電池セルの熱反りによって形成されたスポット溶接部の完全性を損ない、その性能に影響を及ぼすおそれがある。電池セルの熱反りは、電池セルの破損、ヘッドインピロー欠陥(Head in Pillow)、半田付け不良などの、様々なスズはんだ欠陥を引き起こすおそれもある。
【0021】
本願実施例は、光起電力モジュールを提供し、電池セルは、第1方向に沿って間隔を空けて配列される複数のグリッド線構造を含み、接続部材がグリッド線構造と電気的に接触し、接続部材は、本体部と、本体部の表面に位置する第1部及び第2部とを含み、同一の接続部材について、接続部材の延在方向に垂直な断面パターンにおいて、第1部の占める割合が第2部の占める割合より小さく、これによって、接続部材と電池セルを製造する時の接続方式が接続部材のトップから電池セルに向かう方向の加熱方式ではないことを自ずから導き出すことができ、接続部材と電池セルとが良好なオーミック接触を形成することを確保するために起因する電池セルの破損、隠れクラック及び大きすぎる熱応力という問題を回避することができる。第2部は電池セルの表面に位置しなく、これによって、低温積層処理で接続部材とグリッド線構造との間の合金化を実現することができ、第2部の一部が溶融しなく、第2部は、一部の厚さ遮断層として本体部が封止層を突き通すことを防止するために用いられることができる。グラム重が低い接着フィルムの効果を達成し、コストを削減するように、接続部材以外の封止層は薄く設けられてもよい。また、第2部が溶融しないと、接続部材の電池セルにおける遮断面積もそれに応じて少なくなり、接続部材を設ける当初、第2部の厚さを第1部の厚さより薄く設定してコストを削減することができる一方、接続部材による陰の遮断面積が小さく、電池セルの光学的損失を低減し、電池の効率の向上に役立つ。
【0022】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0023】
図1は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第1種の上面図である。図2図1のA-A断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図である。図3図1のB-B断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図である。電池セルと接続部との間の位置及び接続関係を例示的に説明するために、図1には、封止層及びカバープレートがいずれも示されていないか、または、封止層及びカバープレートが透視状態である。図2及び図3に示す断面図は、電池セルの片方側の各フィルム層の構造のみを示しており、電池セルの他方側の各フィルム層の構造は対応する電池セルの片方側の各フィルム層の構造と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0024】
図1から図3を参照すると、本願のいくつかの実施例によれば、本願実施例には、光起電力モジュールが提供され、この光起電力モジュールは、表面に第1方向Xに沿って間隔を空けて配列される複数のグリッド線構造を有する電池セル10と、第2方向Yに沿って間隔を空けて配列される複数の接続部材11であって、各接続部材11が電池セル10の表面に位置し、且つ少なくとも1つのグリッド線構造と電気的に接触し、接続部材11が、本体部113と、本体部113の表面に位置する第1部111及び第2部112とを含み、第1部111が電池セル10の表面に位置し且つグリッド線構造と合金化し、第2部112が本体部113の外側面輪郭から離れかつ内側面輪郭に対向し、同一の接続部材11について、接続部材11の延在方向に垂直な横断面パターンにおいて、第1部111の占める割合が第2部112の占める割合より小さい接続部材11と、接続部材11の表面及び電池セル10の表面を覆う封止層12と、封止層12の電池セル10から遠い側に位置するカバープレート13とを含む。
【0025】
ここで、本願のいくつかの実施例に提供された光起電力モジュール(図1図3に示される光起電力モジュール)とは、積層処理後の光起電力モジュールを指し、接続部材11は、本体部113、第1部111及び第2部112を含む。
【0026】
なお、第1部111の占める割合が第2部112の占める割合より小さいことについて、「第1部111の占める割合」とは、補助グリッド線に垂直な方向Zにおいて、接続部材の断面パターンにおける第1部の面積が接続部材の総面積に占める比率であり、同様に、「第2部112の占める割合」とは、補助グリッド線に垂直な方向Zにおいて、接続部材の断面パターンにおける第2部の面積が接続部材の総面積に占める比率である。ここで、いくつかの実施例では、図1図3に示されるように、接続部材11は、本体部113、第1部111及び第2部112を含み、接続部材の総面積は、本体部の面積、第1部の面積及び第2部の面積の和である。
【0027】
いくつかの実施例では、電池セル10は、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池または多元化合物太陽電池であってもよく、多元化合物太陽電池は、具体的に硫化カドミウム太陽電池、ガリウム砒素太陽電池、セレン化銅インジウム太陽電池またはペロブスカイト太陽電池であってもよい。いくつかの実施例では、電池セル10は、PERC電池、PERT電池(Passivated Emitter and Rear Totally-diffused cell、不動態化エミッタおよび裏面全拡散型セル)、TOPCon電池(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクトセル)、HIT/HJT電池(Heterojunction Technology、ヘテロ接合型セル)のいずれかの1種を含むが、これらに限定されない。電池セル10の正面は、第1電極を有し、正面に対向している裏面に第2電極を有し、第1電極と第2電極は異なる極性を有し、図に示される断面図における電池セル10の一方側の各フィルム層の構造が電池セル10の他法側の各フィルム層の構造と同じである。
【0028】
いくつかの実施例では、電池セル10はインターデジタルバックコンタクト(Interdigitated back contact、IBC)太陽電池である。IBC電池とは、正負金属電極が電池のバックライト面にくし形に配列された裏面接合型の太陽電池構造を指し、そのPN接合と電極は電池の裏面に位置し、すなわちIBC電池のエミッタ領域とベース領域の電極はいずれも裏面にあり、正面にグリッド線の遮蔽がなく、電池の光電変換効率を高めることができる。図2に示す断面図における電池セル10の一方側の各フィルム層構造は電池セル10の他方側の各フィルム層構造と異なり、電池セル10の各フィルム層構造には封止層13及びカバープレート14が含まれる。
【0029】
電池セル10は一体化電池または分割式電池である。分割式電池とは、完全な一体化電池がカット工程を経て形成された電池セルのことである。カット工程はレーザースロット+カット(Linear Spectral Clustering、LSC)工程と熱ストレス電池分離(TMC)工程を含む。いくつかの実施例では、分割式電池は半分分割電池であり、半分分割電池はハーフカット電池または2分割電池と理解できる。いくつかの実施例では、分割式電池は、3分割電池、4分割電池または8分割電池などであってもよい。ハーフカット電池モジュールの役割は、抵抗損失を低減することで発電電力を高めることである。オームの法則から、太陽電池相互接続の電気損失は電流の大きさの二乗に比例することがわかる。電池を半分に分割すると、電流の大きさも半分になり、電気損失もフル寸法電池損失の1/4に低下する。電池の数が増えると、それに応じて電池ギャップの数も増え、モジュールのバックプレートの反射によって、電池ギャップは短絡電流の上昇に役立つ。また、ハーフカット電池モジュールは電池のPVリボンの幅を最適化することができ、従来、PVリボンの幅を増やして電気損失を低減することとPVリボンの幅を減らして遮光損失を低減することとを両立かつ最適化する必要がある。ハーフカット電池モジュールは電池損失を低減しており、PVリボンの幅を細く設定することで、遮光損失を低減することができ、電池効率と発電消費電力の向上に役立つ。
【0030】
いくつかの実施例では、光起電力モジュールは少なくとも2つの電池セル10を含み、異なる電池セル10間の電気絶縁を実現するために、2つの隣接する電池セル10の間は、接続部材11によって直列または並列接続されることで電池ストリングセットを形成し、電池セル間に電池ギャップを有する。
【0031】
いくつかの実施例では、グリッド線構造は、太陽電池セル内の光発生電流を収集して電池セル10の外部へ引き出すために用いられる。グリッド線構造は、メイングリッド線102と補助グリッド線101を含み、そのうち、補助グリッド線101はサブグリッド線とも呼ばれ、補助グリッド線101は、電流を導くためのものであり、メイングリッド線102は、補助グリッド線101の電流を収集してまとめるためのものである。いくつかの実施例では、グリッド線構造は、補助グリッド線101だけを含むことによって、キャリアの輸送経路を短縮し、かつ直列抵抗を小さくし、正面の受光面積を増加し、モジュールの電力を高め、短絡電流を高め、グリッド線用の印刷銀ペーストの使用量を減らして生産コストを削減する。
【0032】
いくつかの実施例では、接続部材11は、PVリボンであり、PVリボンは電池セル10間の相互接続に用いられ、電流をまとめて光起電力モジュールの外部の素子に輸送するためのものであり。PVリボンは、バスPVリボン及び相互接続PVリボンを含み、バスPVリボンは、光起電力セルストリングとジャンクションボックスを接続するためのものであり、相互接続PVリボンは電池セル10同士を接続するためのものである。
【0033】
接続部材が積層処理前(図11~17を参照)及び積層処理後(図1~3を参照)に異なる構造を有することを区分するために、本願実施例では、積層処理前の接続部材及び光起電力モジュールの構造を示す図11~17が提供されており、図11~17を参照して分かるように、積層処理前の接続部材は、本体部113及びコーティング層114を含み、これに対して、図1~3を参照して分かるように、積層処理後の接続部材は、本体部、第1部及び第2部を含む。
【0034】
図11は本願の一実施例に係るグリッド線構造に位置する接続部材の第1種の横断面構成を示す図であり、図12は本願の一実施例に係る接続部材の第1種の縦断面構成を示す図であり、図13は本願の一実施例に係る接続部材の第2種の縦断面構成を示す図であり、図14は、本願の一実施例に係るグリッド線構造に位置する接続部材の第2種の横断面構成を示す図であり、図15は本願の一実施例に係るグリッド線構造に位置する接続部材の第3種の横断面構成を示す図であり、図16は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの製造方法において隔離層を形成した後の構成を示す図であり、図17は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの製造方法においてカバープレートを提供した後の構成を示す図である。
【0035】
いくつかの実施例では、図11図15を参照すると、図11図15は、接続部材11が溶接処理または積層処理をしない初期状態であるものである。接続部材11は、本体部113と、本体部113の表面を被覆するコーティング層114とを含み、コーティング層114はこれ以降第1部111(図2を参照)及び第2部112(図2を参照)を形成するために用いられる。本体部113は所定の強度を持って且つ導電性能が良好な導電層であり、導電層の作用は接続部材11の主な導電輸送層であり、従って、本体部113の抵抗率が低いほど、接続部材11の電気損失が小さくなり、電池の効率及び発電電力が強くなる。コーティング層114は、本体部113の表面にめっきしてもよいし、本体部113の表面にコーティングしてもよく、具体的には、電気めっき法、真空蒸着法、スプレー法または溶融めっき法などの特殊な工程で、コーティング層114の被膜の原材料を、所定の成分比例と厚さに応じて本体部113の四周に均一に覆う。コーティング層114の主な作用は接続部材11に溶接性を満足させ、且つ接続部材11を電池セル10のグリッド線構造にしっかりと溶接し、良好な電流輸送の作用を果たすことである。
【0036】
いくつかの実施例では、コーティング層114は、図12に示されるように本体部113の表面に均一に覆われるか、または図13に示されるように補助グリッド線101の間隔を空けて配列されるパターン及び形態特徴に従って本体部の表面に間隔を空けて覆われ、コーティング層114の接続部材の延在方向に沿った幅が補助グリッド線101の幅以上であり、且つコーティング層114間のピッチが補助グリッド線101間のピッチより小さい。
【0037】
いくつかの実施例では、図14または図15に示されるように、コーティング層114は本体部113の表面に均一にコーティングされることなく、一部の周長の厚さが厚いコーティング層114は、これ以降第1部として用いられるものであり、一部の周長の厚さが薄いコーティング層114は、これ以降第2部として用いられるものである。図15を参照すると、コーティング層は本体部の周長の一部だけにコーティングされ、これ以降第1部を形成するために用いられ、即ち、コーティング層は第2部を形成するための領域にコーティングされていない。上記の図14図15に示される接続部材の縦断面図は図12に示されるように、コーティング層114が本体部113の接続部材の延在方向に沿った全ての表面を覆ってもよいし、図13に示されるように間隔を空けて配列されてもよい。そのうち、縦断面または縦方向断面は接続部材の延在方向に沿った垂直二等分線の断面を指し、横断面は接続部材の延在方向に垂直な方向に沿った垂直二等分線の断面を指す。
【0038】
いくつかの実施例では、本体部113の材料は銅、ニッケル、金、銀等の導電性が良好な導電材料、または、抵抗率が低い合金材料である。本体部113の抵抗率が1×10-7Ω・m未満であるか、または電導率が1×10S/m以上である場合、本体部113の電気損失が小さく、電池の効率と発電の電力が大きい。抵抗率(Resistivity)は、各種の物質の抵抗特性を示す物理量であり、物質の電流に対する阻止作用の属性を反映するためのものである。電導率(conductivity)は物質における電荷の流動の難易度を説明するためのパラメーターである。いくつかの実施例では、本体部113の材料は銅層であり、銅層の抵抗率が低く(1.75×10-8Ω・m)、且つ金と銀と比べて、銅のコストが低い。且つ、銅の化学的安定性が高く、銅の強度が適切であり、溶接のための積層処理と封止のための積層処理で変形することがなく、接続部材11の遮断面積を小さくする。
【0039】
いくつかの実施例では、コーティング層114の材料は、錫合金のような、融点が本体部113より低い金属材料または合金材料であり、錫合金は、錫亜鉛合金、錫ビスマス合金または錫インジウム合金を含んでもよい。錫を溶接材料とする溶接では、錫の融点が低く、銅などの金属と良好な親和性を有し、溶接の堅牢度がよい。錫鉛合金における鉛がPVリボンの融点を低減することができ、錫と鉛は、融点が183℃の共晶点を形成することができ、良好な溶接性能と使用性能を有する。本願の開示実施例は、鉛の代わりにその他の金属元素を用いたり、錫鉛合金にはその他の元素、例えば、融点の温度を低減することができるビスマス元素を添加したりすることによって、表面の張力を低減することができる。低温溶接のニーズを満足するように、錫ビスマス合金の融点を139℃までに下げることができ、。
【0040】
いくつかの実施例では、コーティング層114内にはフラックスがあり、フラックスとは、溶接工程で溶接過程を補助かつ促進する同時に、保護作用を有し、酸化反応を阻止する化学物質を指す。フラックスは、無機フラックスと、有機フラックスと樹脂フラックスを含む。フラックスの融点がコーティング層114の融点より低く、溶融状態のコーティング層114の流動性を増加し、コーティング層114とグリッド線構造をよく合金化させることができる。
【0041】
いくつかの実施例では、接続部材11の横断面形状が円形であり、円形のPVリボンは、配向の問題と位置合わせの問題がなく、円形のPVリボンがより量産しやすい。いくつかの実施例では、接続部材11の横断面形状は三角形またはその他の任意の形状であってもよく、PVリボンとグリッド線構造との接触面積を増加し、かつ、接続部材11がグリッド線構造に位置合わせしてからずれてしまう問題を低減する。
【0042】
ここで、配向の問題とは、接続部材の鋭い角を持つ側が電池セルと接触することなく、接続部材の平坦面を有する側が電池セルと接触することを指す。位置合わせの問題とは、接続部材とグリッド線構造とは一定のレイアウトに従って配置されるものであり、接続部材とグリッド線構造との間の相対的な位置の位置合わせ問題である。位置合わせの問題とは、さらに、接続部材の平坦面を有する側が電池セルと平行に設置されかつ位置合わせられることを指す。
【0043】
いくつかの実施例では、接続部材11の電池セル10から遠い表面は光反射層を有し、光反射層がコーティング層114の電池セル及び本体部113から離れる外側面に位置する。光反射層は接続部材11の電池セル10に対する遮断面積を減らすために用いられる。いくつかの実施例では、コーティング層114の外面は光反射溝を有し、光反射溝はコーティング層114から本体部113の方向に向って凹んだ1つ1つの凹溝またはスロットであり、太陽光が光反射溝の側壁を経て電池セル10に反射され、太陽光の利用率を高めることができる。
【0044】
いくつかの実施例では、図2を参照すると、第1部111は、接続部材11とグリッド線構造を合金化する部分である。第1部111の製造過程は、積層処理中に、熱量が接続部材11に伝達され、電池セル10に当接する部分のコーティング層114(図11を参照)がコーティング層の溶融温度で溶融状態を呈し、さらにコーティング層114内の錫元素が電池セル10におけるグリッド線構造の銀と互いに拡散して合金を形成し、形成された合金を第1部111とすることを含む。
【0045】
いくつかの実施例では、図2を参照すると、第1部111が錫層であり、錫層の材料が錫合金であり、錫合金は、錫亜鉛合金、錫ビスマス合金または錫インジウム合金を含んでもよい。錫を溶接材料とする溶接では、錫の融点が低く、銅などの金属と良好な親和性を有し、溶接の堅牢度がよい。ビスマスの使用によって、融点温度を下げ、表面の張力を小さくすることができる。低温溶接のニーズを満足するように、錫ビスマス合金の融点を139℃までに下げることができる。第1部111には、さらに、一部のグリッド線構造である銀元素を有し、第1部111とグリッド線構造との間の接触を良好にし、第1部111がグリッド線構造と良好なオーミック接触を形成し、低い接触抵抗を有する一方、第1部111とグリッド線構造との間の溶接応力が大きく、第1部111とグリッド線構造との間の溶接が堅牢であり、以降の操作と移動ではグリッド線構造と第1部111との間の分離を招いてしまうことがなく、光起電力モジュールの歩留まりの向上に役立つ。
【0046】
いくつかの実施例では、図17及び図18を参照すると、図18は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの製造方法において積層後の光起電力モジュールの構成を示す図である。第1部111の形成過程では、隔離層121(図17を参照)または接着フィルムによって覆われたコーティング層114は溶融されることがなく、または、溶融状態のコーティング層114が隔離層によって被覆されて、最終的に第2部112を形成する。第2部112は、グリッド線構造と合金化しないコーティング層114の一部とも見なされてもよい。温度の伝達及び隔離層の密封性のため、第2部112の厚さは、電池セルの表面に垂直な方向に沿ってかつ電池セル10の表面から遠いほど、第2部112の厚さが厚くなるということが示されている。第2部112は、一部の厚さの遮断層として本体部113が封止層12を突き通すことを防止できる。接続部材11以外の封止層12は薄く設けられてもよく、グラム重が低い接着フィルムの効果を達成し、コストを削減することができる。また、第2部112は積層処理過程において溶融しなく、接続部材11の電池セル10における遮断面積が相応して小さくなり、接続部材11を製造する過程において、第2部112の厚さを第1部111の厚さより薄くなるように設定し、コストを削減する一方、接続部材11による陰影の遮断面積が小さく、電池セル10の光学的損失を低減し、電池の効率の向上に役立つ。
【0047】
いくつかの実施例では、第2部112の本体部113から離れる外側面の輪郭が内側面の輪郭に対向していることは、全ての箇所の第2部112外側面から本体部113の垂直二等分線までの距離がいずれも等しいか、または誤差が10%より小さいことを指す。第2部112が積層処理中に溶融しなく、即ち、第2部が積層処理の前(図14におけるコーティング層114を参照)と積層処理後(図2を参照)の様子は大きく変えていないかまたは全然に変えていない。
【0048】
いくつかの実施例では、第2部112の本体部113から離れる外側面の輪郭が内側面の輪郭に対向していることは、第2部112が、厚さの正負の公差の差が10%未満の均一な厚さを持つフィルム層である。例えば、一部の第2部の厚さが20μmであり、一部の第2部の厚さが19μmであり、一部の第2部の厚さが21μmであり、かつ他の一部の第2部の厚さが22μmである。ここで、本体部は円柱であり、第1部及び第2部は円柱の側面に位置し、第2部の厚さとは、本体部の径方向に沿って、第2部の外側面から本体部までの距離を指す。
【0049】
いくつかの実施例では、本体部の径方向とは、円柱の横断面積の直径または半径に沿った直線方向、または軸に垂直な直線方向を指す。円柱は、軸方向及び径方向を含み、軸方法とは、円柱の回転中心軸の方向、即ち中心軸と共通の方向を指す。径方向は、軸方向に垂直であり、即ち円柱の端面の円の半径または直径方向である。径方向は軸方向に対して空間的に垂直である。
【0050】
いくつかの実施例では、第2部112が錫層であり、錫層と本体部113との間の互換性がよく、錫層は第2部112と本体部113との間の電流の輸送損失を低減することができる。いくつかの実施例では、第2部112の材料は、抵抗が低い任意の材料であってもよく、第2部112と第1部111は、同一なコーティング層114によって変換されたものではない。第2部112は接続部材11の電気的損失を低減し、電池の効率の向上に役立つ。
【0051】
いくつかの実施例では、第2部112は、本体部113の第1部111から離れる表面と本体部113の電池セル10から離れる表面を覆う。これによって、隔離層121は同様に、本体部113の第1部111から離れる表面と本体部113の電池セル10から離れる表面を覆い、電池セル10がコーティング層114と合金化して第1部111と第2部112を形成しない前に、隔離層121は、封止層12が接続部材11とグリッド線構造との間に入ることを防止でき、さらに、グリッド線構造と接続部材11との間を絶縁させる。
【0052】
いくつかの実施例では、図2に示されるように、第1部111と第2部112が連続的なフィルム層であり、一部の領域のコーティング層及び電池セル10の表面にあるコーティング層を第1部111として定義し、残りのコーティング層を第2部112として定義する。いくつかの実施例では、第1部111と第2部112との間は連続的ではなく、即ち、コーティング層は溶接中に、一部のコーティング層が溶融して第1部111を形成し、一部のコーティング層が隔離層121の作用で保留されて第2部112を形成して、且つ第1部111と第2部112との間が分けて隔てられている。
【0053】
いくつかの実施例では、第2部112の占める割合が第1部111の占める割合より大きく、第2部112の占める割合が第1部111の占める割合より小さいか、または第2部112の占める割合が第1部111の占める割合と等しいことに対して、接続部材11とグリッド線構造が合金化して形成される遮断面積が小さくなり、光起電力モジュールの電気的な損失も小さくなる。溶融しない第2部112の占める割合が溶融された第1部111の占める割合より大きく、積層処理時の温度が低く設定することができる、高い温度による電池セル10の熱反り等の一連な問題を回避することができる。
【0054】
いくつかの実施例では、接続部材11の延在方向に垂直な横断面パターンにおいて、第1部111の占める割合が第2部112の占める割合の1/4~2/3倍である。第1部111の占める割合は第2部112の占める割合の1/4~1/3倍、1/4~1/2倍、1/3~1/2倍、1/3~4/9倍または1/2~2/3倍である。第1部111の占める割合は第2部112の占める割合の1/4倍、0.34倍、0.43倍、0.58倍または0.64倍である。第1部111と第2部112の割合の範囲については、第1部111が大きく設置される時に、接続部材11とグリッド線構造との間の接触面が大きく、接続部材11とグリッド線構造との間の接触領域が大きく、接触抵抗が低く、接続部材11の電流収集範囲がより大きく、発電の電力の向上に役立つ。第1部111が小さく設置される時に、接続部材11の遮断面積が小さく、電気的な損失が小さく、且つ積層処理の温度が低く、電池セル10が受かる熱応力の問題の程度も弱く、光起電力モジュールの歩留まりの向上に役立つ。
【0055】
いくつかの実施例では、第1部111の材料組成には第2部112の材料が含まれている。第1部111と第2部112が同一のコーティング層114によって変換されたものであり、接続部材11の量産のために用いられ、光起電力モジュールの製造の効率を高めることができる。第1部111の材料組成には第2部112の材料が含まれており、第1部と第2部が同一の最初の接続部材から変換されることができ、第1部111と第2部112との間にはグリッド線構造との配向問題がなく、接続部材11が任意の角度で電池セル10の表面に置かれることができ、第1部とグリッド線構造との位置合わせ問題がなく、光起電力モジュールの製造の難易度を低減する。
【0056】
なお、第1部111の材料組成には第2部112の材料が含まれていることとは、第1部111の材料には、第2部の材料に加えて、グリッド線構造の一部の材料を含むことを指す。例えば、第1部の材料には錫と銀を含むことができ、第2部の材料には錫を含み、グリッド線構造の材料には銀を含むことができる。
【0057】
いくつかの実施例では、第2部112の電導率が本体部113の電導率より大きい。本体部113が導電性能のためのものであり、第2部112が溶接のハンダとして用いられ、本願実施例では、第2部112の電導率を本体部113の電導率より大きくするように設定することで、電流輸送の経路が主に主体部にあり、電流の収集及びまとめに一層役立つ。
【0058】
いくつかの実施例では、図1~5を参照すると、第1方向が横方向Xであり、第1方向が第2方向Yと交差し、グリッド線構造が補助グリッド線101であり、電池セル10の表面には対応しているメイングリッド線が設けられておらず、これによって、メイングリッド線の遮断面積を小さくし、電池の効率の向上に役立つ。いくつかの実施例では、第1部111の少なくとも一部は、グリッド線構造と本体部113の重なる箇所に位置する。ここでの重なる箇所は、本体部113の電池セル10における正投影とグリッド線構造との重なる領域、または、本体部113とグリッド線構造との間の境界を指す。
【0059】
いくつかの実施例では、横方向Xが第2方向Yに対して互いに垂直であってもよいし、90度未満の角度、例えば、60度、45度、30度等を有してもよく、横方向Xと第2方向Yが同一な方向でなければよい。本願実施例は、説明と理解の便宜のために、横方向Xが第2方向Yに対して互いに垂直であることを例として説明するが、具体的な応用において、実際のニーズと応用シナリオに応じて、横方向Xと第2方向Yとの間の角度を調整することができ、本願実施例では、これについて制限しない。
【0060】
いくつかの実施例では、グリッド線構造と本体部113の重なる箇所の電池セル10における正投影が第1部111の電池セル10における正投影内にある。第1部111の電池セル10における領域が大きく、第1部111とグリッド線構造の接触面積が大きく、これによって、電池セル10と接続部材11の溶接効果が良好であり、電池の効率及び発電の電力が高い。
【0061】
いくつかの実施例では、図1から図3に示されるように、接続部材11のコーティング層114が本体部113の表面に均一に覆われており、電池セル10側に向かうコーティング層114がいずれも溶融状態を呈し、補助グリッド線101と接触する部分の表面の第1部111内には、銀元素がある。接続部材11の第1部111は均一なフィルム層であり、これによって、第1方向に沿う第1部111が連続的で均一なフィルム層であることを確保でき、接続部材11は各補助グリッド線101との間に良好なオーミック接触を形成し、半田付け不良を回避することができる。
【0062】
いくつかの実施例では、図13及び図5に示されるように、図4は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第2種の上面図であり、図5図4のB-B断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図であり、接続部材11のコーティング層114が均一で連続的なフィルム層ではなく、接続部材11のコーティング層114が補助グリッド線101に対応している本体部113の表面のみに位置し、接続部材11は本体部113と本体部113の延在方向に沿って間隔を空けて配列されるコーティング層114とを含み、コーティング層114は本体部113の表面を覆う。積層処理後、一部のコーティング層114が溶融されて第1部111を形成し、残りのコーティング層114が第2部112とされる。このように接続部材11を設計することで、コーティング層114の用量を減らし、光起電力モジュールの製造コストを削減する。積層処理後、補助グリッド線101がない領域の接続部材11の第2方向に沿った幅は、補助グリッド線101領域の接続部材11の幅より小さく、これによって、接続部材11の遮断面積を減らし、電池の効率を高めることができる。
【0063】
いくつかの実施例では、図6及び図7を参照すると、図6は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第3種の上面図であり、図7図6のC-C断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図であり、第1方向が第2方向Yに平行であり、各接続部材11はグリッド線構造と1対1で対応している。グリッド線構造がメイングリッド線102であり、電池セル10の表面には補助グリッド線101をさらに含み、補助グリッド線101の延在方向がメイングリッド線102の延在方向と交差しており、メイングリッド線102と補助グリッド線101はいずれも電池セル10に位置し、かつ、メイングリッド線102が少なくとも1つの補助グリッド線101と交差しかつ電気的に接触する。
【0064】
電池セルと接続部との間の位置及び接続関係を例示的に説明するために、図4及び図6には、封止層及びカバープレートがいずれも示されていないか、または、封止層及びカバープレートが透視状態である。図5及び図7に示す断面図は、電池セルの片方側の各フィルム層の構造のみを示しており、電池セルの他方側の各フィルム層の構造は対応する電池セルの片方側の各フィルム層の構造と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0065】
いくつかの実施例では、第1方向に沿って、第1部111の幅がグリッド線構造の幅より大きい。このように、第1部111はメイングリッド線102の幅を完全にカバーし、即ち、接続部材11の全体はメイングリッド線102の表面に覆われており、接続部材11がメイングリッド線102と接触する面積を最大化させ、メイングリッド線102と接続部材11と の接触抵抗を低減し、電気的損失を低減することができる。
【0066】
いくつかの実施例では、メイングリッド線102の第2方向Yにおける中点で構成される垂直二等分線は、本体部113の第2方向Yにおける中点で構成される垂直二等分線に対向している。または、図7に示されるように、本体部113の第2方向Yにおける中点で構成される垂直二等分線115は、メイングリッド線102の第2方向Yにおける中点で構成される垂直二等分線105と重なっている。接続部材11とメイングリッド線102との間が完全に位置合わせし、これによって、接続部材11はメイングリッド線102と良好な接触を構成することができ、半田付け不良及び溶接欠陥を回避する。いくつかの実施例では、本体部113の第2方向Yに沿う横断面における垂直二等分線115と、メイングリッド線102の第2方向Yに沿う横断面における垂直二等分線105との間には、20%未満の偏差がある。
【0067】
いくつかの実施例では、図8から図10を参照すると、図8は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第4種の上面図であり、図9図8のB-B断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図であり、図10図8のD-D断面に沿う光起電力モジュールの断面構成を示す図であり、光起電力モジュールは、複数の接続層104をさらに含み、接続層104は接続部材11の延在方向に沿って間隔を空けて配列されており、接続層104が電池セル10と接続部材11との間に位置する。接続層104が位置決め用の接着剤であり、接着スポットによって接続部材11の位置を位置決めし、接続部材11とグリッド線構造との間の位置関係を精確に位置決めして、これ以降の溶接処理または積層処理で接続部材11と電池との間をよく接触させ、さらに、電池の効率を最大化させる。また、位置決め用の接着剤によって、隣接する接続部材11の間にあるグリッド線構造の長さを接近させるようにし、電池セル10によって収集される電流の輸送経路が均一になり、経路の輸送ロスを低減することができる。
【0068】
電池セルと接続部との間の位置及び接続関係を例示的に説明するために、図8には、封止層及びカバープレートがいずれも示されていないか、または、封止層及びカバープレートが透視状態である。図9及び図10に示す断面図は、電池セルの片方側の各フィルム層の構造のみを示しており、電池セルの他方側の各フィルム層の構造は対応する電池セルの片方側の各フィルム層の構造と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0069】
他のいくつかの実施例に提供された光起電力モジュール(図9及び図10に示される光起電力モジュール)は、積層処理後の光起電力モジュールであり、接続部材11は、本体部113、第1部111、第2部112及び第3部116を含む。
【0070】
なお、第1部111の占める割合が第2部112の占める割合より小さいことについて、「第1部111の占める割合」とは、補助グリッド線に垂直な方向Zにおいて、接続部材の断面パターンにおける第1部の面積が接続部材の総面積に占める比率であり、同様に、「第2部112の占める割合」とは、補助グリッド線に垂直な方向Zにおいて、接続部材の断面パターンにおける第2部の面積が接続部材の総面積に占める比率である。ここで、いくつかの実施例では、図9図10に示されるように、接続部材11は、本体部113、第1部111、第2部112及び第3部116を含み、接続部材の総面積は、本体部の面積、第1部の面積、第2部の面積及び第3部の面積の和である。
【0071】
いくつかの実施例では、図10を参照すると、接続層104のコーティング層に対する被覆によって、接続層104に位置するコーティング層の一部は第3部116とされる。同一の接続部材11について、第3部116の占める割合が第1部111の占める割合より小さい。第3部116の占める割合が大きい場合、接続層104の厚さが厚く、接続層104の厚さによって、接続部材11が積層処理前の操作においてずれないようになる。第3部116の割合が小さい場合、第1部111の割合が同様に小さく、接続部材11の拡散面積及び遮断面積が小さく、電気的損失を低減することができる。
【0072】
いくつかの実施例では、図2または図9を引き続き参照すると、封止層12は、第1封止層と第2封止層とを含み、第1封止層は、太陽電池の正面または裏面のうちの一方を覆い、第2封止層は、太陽電池の正面または裏面の他方を覆い、具体的には、第1封止層または第2封止層の少なくとも一方は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレンオクテンエラストマー(POE)接着フィルムまたはポリビニル・ブチラール(PVB)接着フィルム等の有機封止接着フィルムであってもよい。
【0073】
いくつかの実施例では、図2または図9を引き続き参照すると、カバープレート13はガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレートであってもよい。具体的には、カバープレート13の封止層12に向かう表面は、凹凸面であってもよく、これによって入射光線の利用率を増加する。カバープレート13は、第1カバープレートと第2カバープレートを含み、第1カバープレートが第1封止層に対向しており、第2カバープレートが第2封止層に対向している。
【0074】
本願実施例では、光起電力モジュールが提供され、電池セル10は、第1方向に沿って間隔を空けて配列される複数のグリッド線構造を含み、接続部材11がグリッド線構造と電気的に接触し、接続部材11は、本体部113と、本体部113の表面に位置する第1部111及び第2部112とを含む。同一の接続部材11では、接続部材11の延在方向に垂直な断面パターンにおいて、第1部111の占める割合が第2部112の占める割合より小さく、これによって、接続部材11と電池セル10を製造する時の接続方式は、接続部材11のトップから電池セル10に向かう方向の加熱方式ではないことを自ずから導き出すことができ、接続部材11と電池セル10が良好なオーミック接触を形成することを確保するために起因する電池セル10破損、隠れクラック及び大きすぎる熱応力という問題を回避でき、第2部112は電池セル10の表面に位置しなく、これによって、低温積層処理で接続部材11とグリッド線構造との間の合金化を実現することができ、第2部112の一部が溶融しなく、第2部112は、一部の厚さ遮断層として本体部113が封止層12を突き通すことを防止するために用いられることができる。グラム重が低い接着フィルムの効果を達成し、コストを削減するように、接続部材以外の封止層は薄く設けられてもよい。また、第2部112が溶融しないと、接続部材11の電池セル10における遮断面積もそれに応じて少なくなり、接続部材11を設ける当初、第2部112の厚さを第1部111の厚さより薄く設定してコストを削減することができる一方、接続部材11による陰の遮断面積が小さく、電池セル10の光学的損失を低減し、電池の効率の向上に役立つ。
【0075】
なお、接続部材11と電池セル10との接続方式は、接続部材11のトップから電池セル10に向かう方向の加熱方式ではないこととは、接続部材11と電池セル10との間の接続方式が、周囲温度雰囲気中において、温度及び圧力の作用下でコーティング層が溶融状態を呈することである。一部のコーティング層が、被覆されて溶融状態を呈しておらず、または、溶融状態を呈しても封止層によって被覆されているため、電池セルの表面まで流れない。上記の理由で、電池セルのグリッド線構造と合金化接触していないコーティング層の部分を第2部とし、溶融状態を呈しかつグリッド線構造と合金化接触するコーティング層の部分を第1部とする。言い換えれば、接続部材11と電池セル10との接続方式は、接続部材11のトップから電池セル10に向かう方向の加熱方式ではないこととは、接続部材11と電池セル10との間の接続方式が、積層処理過程における周囲温度雰囲気によって一部のコーティング層をグリッド線構造と合金化して接触させることである。
【0076】
以上に対応して、本願実施例の別の形態では、上記実施例に提供される光起電力モジュールを製造するための光起電力モジュールの製造方法が提供され、上記実施例の同一または類似の素子については、ここで繰り返して説明する必要がない。
【0077】
図16を参照すると、電池セル10を提供し、電池セル10の表面には、第1方向に沿って間隔を空けて配列されるグリッド線構造を有する。図12に示されるグリッド線構造が補助グリッド線101である。いくつかの実施例では、電池セル10の表面には、第2方向Yに沿って延びる補助グリッド線101と第1方向に沿って延びるメイングリッド線102とを含んでもよい。
【0078】
図9図10図16を参照すると、間隔を空けて配列される接続層104を電池セル10の表面に設け、接続層104が隣接する補助グリッド線101の間に位置し、接続層104が第2方向に沿って間隔を空けて配列されてもよく、第2方向に沿ってずれて配列されてもよく、すなわち、第1接続層104が第1本の補助グリッド線101と第2本の補助グリッド線101との間にあり、第2接続層104は、第2本の補助グリッド線101と第3本の補助グリッド線101との間にあり、第3接続層104がは第3本の補助グリッド線101と第4本の補助グリッド線101との間にあり、このように順次に類推する。
【0079】
いくつかの実施例では、図16を参照すると、電池セル10の表面に図11図15に示されるような接続部材11を敷設し、接続層104の接着性を強くするように、接続層104を有する領域に対して紫外線硬化を行う。接続部材11の表面に隔離層121を覆い、完全な被覆性を形成するように、隔離層121の第2方向における長さがコーティング層114の外周の長さの2/3より大きい。さらに、隔離層121の長さがコーティング層114の外周の長さより大きく、且つ隔離層121の両端がいずれも電池セル10の表面にあり、理解できるように、隔離層121がある程度の靭性及び重力の作用を有するため、隔離層121と電池セル10及び接続部材11との間に一定の隙間を形成し、即ち、一部のコーティング層114が隔離層121によって完全に被覆されておらず、これによって、被覆されていないコーティング層114がこれ以降の積層で第1部111に変換され、隔離層121によって被覆されるコーティング層114が第2部112に変換される。
【0080】
いくつかの実施例では、隔離層121の材料が封止層12の材料と同じであり、これによって、隔離層121がこれ以降の積層処理で接着フィルムと結合して、隔離層121が封止層12の一部として、フィルム層とフィルム層が相容れないことがない。封止層12は、電池セル10を水気の侵入及び内部に隙間があることに起因する電池セル10破損のリスクから守ることができる。隔離層121が事前架橋接着フィルムであり、事前架橋度が50%~70%であり、事前架橋度がこの範囲にあると、隔離膜が積層処理の前に接続部材11を固定し、接続部材11の移動を防止することができ、隔離膜は、接続部材11と細いグリッドとを溶接する過程で、溶融状態の接着フィルムの駆動によるPVリボンのずれまたは接着フィルムがPVリボンと細いグリッドとの間までに溢れることに起因する電池セル10の破断または半田付け不良等の状況を回避するためにも用いられる。また、架橋度が85%より大きければ、これ以降積層処理で封止層12を架橋反応して接着性を増加しているため、隔離層121に対して一層架橋反応を行うと、隔離層121の架橋度が大きく、硬度が大きく、これによって、隔離層121、電池セル10及び接続部材11に隙間があるか、または、硬度が高い隔離層121が電池セル10の表面を損なう等の状況が存在し、電池の性能に影響してしまう。
【0081】
いくつかの実施例では、図17を参照すると、接着フィルム122を提供し、接着フィルム122は、電池セル10の表面に敷設され、かつ電池セル10、接続部材11及び隔離層121の表面を覆う。カバープレート13を提供し、カバープレート13が接着フィルム122の電池セル10から遠い表面に位置する。積層処理を行い、コーティング層を第1部及び第2部または第1部、第2部及び第3部に変換し、接着フィルムが隔離層と結合して封止層とされる。
【0082】
いくつかの実施例では、隔離層が設けられておらず、接続部材と電池セルの表面に接着フィルムを直接に敷設し、接着フィルムによって覆われるコーティング層が第2部とされ、一部のコーティング層がグリッド線構造と合金化して第1部とされる。
【0083】
いくつかの実施例では、図18を参照すると、隔離層121の材料が接着フィルムの材料と異なり、接着フィルムが封止層に変換され、隔離層121は依然として封止層と電池セルとの間、及び、封止層と接続部材との間に位置する。隔離層121の融点が積層処理時のラミネーターの融点及び接着フィルムの融点より大きく、これによって、溶融状態の接着フィルムが接続部材とグリッド線構造との間に浸入して電池セルと接続部材の溶接効果に影響することを防止する。
【0084】
本願は、好適な実施例で上記のように開示されているが、特許請求の範囲を限定するものではなく、いずれの当業者であれば、本願の着想から逸脱することなく、若干の可能な変動および修正を加えることができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項によって規定される範囲に従うべきである。また、本願明細書の実施例及び図面は例示的なものにすぎず、本願請求項によって保護されるすべての範囲ではない。
【0085】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。

図1
図2
図3
図4
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【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
表面に第1方向に沿って間隔を空けて配列される複数のグリッド線構造を有する電池セルと、
第2方向に沿って間隔を空けて配列される複数の接続部材であって、各前記接続部材が前記電池セルの表面に位置し、且つ少なくとも1つの前記グリッド線構造と電気的に接触し、積層処理後の前記接続部材が、本体部と、前記本体部の表面に位置する第1部及び第2部とを含み、前記第1部が前記電池セルの表面に位置し且つ前記グリッド線構造と合金化し、前記第2部が前記グリッド線構造と合金化しておらず、同一の前記接続部材について、前記接続部材の延在方向に垂直な横断面パターンにおいて、前記第1部の占める割合が前記第2部の占める割合より小さい接続部材と、
前記接続部材の表面及び前記電池セルの表面を覆う封止層と、
前記封止層の前記電池セルから遠い側に位置するカバープレートと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。