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特開2024-84149熱プレス用クッション材、熱プレス用クッション材の製造方法、および多層基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084149
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】熱プレス用クッション材、熱プレス用クッション材の製造方法、および多層基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/32 20060101AFI20240617BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B29C43/32
H05K3/46 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209622
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2022197982
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114710
【氏名又は名称】ヤマウチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】尾関 孝充
【テーマコード(参考)】
4F204
5E316
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AD08
4F204AD16
4F204AG03
4F204AH36
4F204AJ05
4F204FA01
4F204FB01
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ01
4F204FQ17
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316CC04
5E316CC08
5E316DD02
5E316DD12
5E316EE01
5E316GG28
5E316HH31
5E316HH33
(57)【要約】
【課題】ピンラミネーション方式の熱プレスに用いられるクッション材について、熱プレス時に付着する材料による汚染や破損を抑制することで、長期間繰り返しの熱プレスに利用できるようにする。
【解決手段】熱プレス用クッション材1は、平板形状であり、位置合わせ用ガイドピン51をプレス対象物に設けられた貫通孔または切欠きに挿入して熱プレスを行う、ピンラミネーション方式の熱プレスに使用される。熱プレス用クッション材1は、ガイドピン51を挿入するための複数の貫通孔2aまたは切欠き2fが、外縁2d近傍の所定の位置に、厚さ方向に形成されたクッション材本体2と、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cならびに貫通孔2aの側面2eまたは切欠き2fの側面2eで形成される貫通孔2aの周囲を覆う保護材3と、を備えている。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置合わせ用ガイドピンをプレス対象物に設けられた貫通孔または切欠きに挿入して熱プレスを行う、ピンラミネーション方式の熱プレスに使用される平板形状の熱プレス用クッション材であって、
前記ガイドピンを挿入するための複数の貫通孔または切欠きが、外縁近傍の所定の位置に、厚さ方向に形成されたクッション材本体と、
前記クッション材本体の表面および裏面ならびに前記貫通孔の側面または前記切欠きの側面で形成される前記貫通孔または前記切欠きの周囲を覆う保護材と、
を備えている、熱プレス用クッション材。
【請求項2】
前記保護材は、前記貫通孔または前記切欠きの前記側面の全域を保護している、請求項1に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項3】
前記保護材は、前記クッション材本体の表面に貼り付けられた可撓性シート状の保護シールと、前記クッション材本体の裏面に貼り付けられた可撓性シート状の保護シールが、前記貫通孔内部または前記切欠き内部において互いに接触した構成を有している、請求項2に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項4】
前記保護材には、前記ガイドピンを挿入するための孔または切り込みが形成されている、請求項1に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項5】
前記保護材は、前記貫通孔または前記切欠きの前記側面を覆う覆い部材と、前記クッション材本体の表面に貼り付けられて前記覆い部材の表面の少なくとも外縁部を覆う可撓性シート状の保護シールと、前記クッション材本体の裏面に貼り付けられて前記覆い部材の裏面の少なくとも外縁部を覆う可撓性シート状の保護シールと、を備えている、請求項1に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項6】
前記覆い部材は、前記貫通孔または前記切欠きの前記側面に接着されており、前記熱プレス用クッション材の外部に露呈している部分における液滴の接触角は、前記クッション材本体における液滴の接触角よりも大きい、請求項5に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項7】
前記覆い部材は、フッ素樹脂で形成され可撓性を有する多孔質部材である、請求項5に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項8】
前記保護材における液滴の接触角は、前記クッション材本体における液滴の接触角よりも大きい、請求項1に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項9】
前記保護材は、離型層と、前記離型層を前記クッション材本体に貼り付ける接着層と、を有している、請求項1に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項10】
前記離型層は、フッ素樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる、請求項9に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項11】
前記離型層がフッ素樹脂であり、前記接着層がフッ素ゴムである、請求項9に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項12】
前記離型層がフッ素樹脂であり、前記接着層がシリコーンゴムである、請求項9に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項13】
繊維材料によって前記離型層が補強されている、請求項9に記載の熱プレス用クッション材。
【請求項14】
クッション材本体の外縁近傍の所定の位置に、厚さ方向に貫通孔または切欠きを複数形成し、
前記各貫通孔または各前記切欠きに対してそれぞれ2枚の可撓性シート状の保護シールを準備し、
前記クッション材本体の表面に、各前記貫通孔または各前記切欠きの一方の開口部の周囲を覆うように前記保護シールを貼り付け、前記クッション材本体の裏面に、各前記貫通孔または各前記切欠きの他方の開口部の周囲を覆うように別の前記保護シールを貼り付け、前記各貫通孔または各前記切欠きにおいて向かい合う2枚の前記保護シールを接着することで、前記クッション材本体の表面および裏面ならびに前記貫通孔または前記切欠きの側面で形成される前記貫通孔または前記切欠きの周囲を覆う保護材を形成し、
前記保護材に、位置合わせ用ガイドピンを通すための孔または切り込みを形成する、
ピンラミネーション方式の熱プレスに使用される平板形状の熱プレス用クッション材の製造方法。
【請求項15】
クッション材本体の外縁近傍の所定の位置に、厚さ方向に貫通孔または切欠きを複数形成し、
前記各貫通孔または各前記切欠きに対してそれぞれ2枚の可撓性シート状の保護シールおよび覆い部材を準備し、
前記各貫通孔または各前記切欠きの側面を前記覆い部材で覆い、前記クッション材本体の表面に、各前記貫通孔または各前記切欠きの一方の開口部の周囲および前記覆い部材の外縁部を覆うように前記保護シールを貼り付け、前記クッション材本体の裏面に、各前記貫通孔または各前記切欠きの他方の開口部の周囲および前記覆い部材の外縁部を覆うように別の前記保護シールを貼り付けることで、前記クッション材本体の表面および裏面ならびに前記貫通孔または前記切欠きの側面で形成される前記貫通孔または前記切欠きの周囲を覆う保護材を形成する、
ピンラミネーション方式の熱プレスに使用される平板形状の熱プレス用クッション材の製造方法。
【請求項16】
基板層、接着層および導体層が積層された構成を有し、外縁近傍の所定の位置に、複数の貫通孔または複数の切欠きが厚さ方向に形成された製造中間体に、請求項1~請求項13の何れか1項に記載の熱プレス用クッション材を重ね、
前記製造中間体に形成された前記貫通孔または前記切欠きおよび前記熱プレス用クッション材に形成された前記貫通孔または前記切欠きに位置合わせ用ガイドピンを通した状態で、プレス機の熱盤からの圧力および熱を、前記熱プレス用クッション材を介して前記製造中間体に付与する、多層基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱プレス用クッション材、熱プレス用クッション材の製造方法、および多層基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層基板、銅張積層板、プリント基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレックスプリント基板等の積層板や、ICカード、液晶表示板、電池などの精密機器部品(以下、総称して「積層板」という)の製造において、素材に対するプレス成形や熱圧着が行われる。その際、熱と圧力をプレス対象物に均一に伝達するために、熱プレス用クッション材が用いられる。熱プレス用クッション材としては、1回のプレスで使い捨てされる紙製のクッション材のほか、耐熱性繊維、耐熱性ゴム、耐熱性樹脂などの複合材からなり、繰り返し使用することのできるクッション材が用いられている。
【0003】
熱プレスにて成形される積層板の中でも、特に高密度に回路が設計された多層基板は、高多層化および回路パターンの高精細化により、各層材料の位置合わせに高い精度が要求される。多層基板は、内層プリント基板と、プリプレグとを交互に多層に重ね合わせ、更に最上部および最下部に銅箔(導体)を重ねた状態で加熱および加圧処理を行うことによって製造される。プリプレグは、ガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸させて半硬化状態にした樹脂シートである。加熱および加圧処理の際、プリプレグは、半硬化状態の樹脂が溶融し、接着材の役割を果たす。多層基板の製造方式として、各層材料の位置を精密に合わせるため、多層基板の素材(製造中間体)に開けた孔にガイドピンを挿入し、位置合わせをするピンラミネーション方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。積層板の素材(製造中間体)をピンラミネーション方式でプレス成形や熱圧着する際にも、温度と圧力を均一に伝達するために熱プレス用クッション材が用いられる。熱プレスの際に、熱盤と製造中間体の間にクッション材を敷き、製造中間体の各部に熱盤からの熱および圧力を均一にかつ適正速度に加えることで、高品質な積層板を製造することができる。
【0004】
ピンラミネーション方式では、クッション材にも同様な孔を開け、この孔にガイドピンを挿入した状態で、熱プレスが施されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-282857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ピンラミネーション方式での熱プレスにおいては、熱によって溶けたプリプレグの樹脂が、ガイドピンをつたって、ガイドピンを通す孔の部分から流出してしまうという問題がある。流出した樹脂は、クッション材の表面、裏面および孔内面に付着し、固着してしまう。クッション材の表面、裏面および孔内面に樹脂が付着し、固着してしまうと、クッション性が低下し、製造中間体への不均一な加圧や汚染の原因になり、またクッション材が破損する原因にもなるので、そのようなクッション材は繰り返し使用できなくなってしまう。そのため、ピンラミネーション方式の熱プレスでは、熱プレス用クッション材は主に1回のプレスで使い捨てされる紙製のクッション材が使用されていた。繰り返し使用することのできる熱プレス用クッション材は、ピンラミネーション方式で使用することが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、ピンラミネーション方式の熱プレスに用いられる熱プレス用クッション材について、熱プレス時に溶融した樹脂が付着および固着することを抑制することで、製造中間体への汚染を防止し、長期間繰り返し使用できる熱プレス用クッション材を提供することにある。また、本発明の目的は、そのような熱プレス用クッション材の製造方法、および熱プレス用クッション材を使用した多層基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の熱プレス用クッション材、熱プレス用クッション材の製造方法、および多層基板の製造方法を要旨とする。
【0009】
(1)位置合わせ用ガイドピンをプレス対象物に設けられた貫通孔または切欠きに挿入して熱プレスを行う、ピンラミネーション方式の熱プレスに使用される平板形状の熱プレス用クッション材であって、
前記ガイドピンを挿入するための複数の貫通孔または切欠きが、外縁近傍の所定の位置に、厚さ方向に形成されたクッション材本体と、
前記クッション材本体の表面および裏面ならびに前記貫通孔の側面または前記切欠きの側面で形成される前記貫通孔または前記切欠きの周囲を覆う保護材と、
を備えている、熱プレス用クッション材。
【0010】
(2)前記保護材は、前記貫通孔または前記切欠きの前記側面の全域を保護している、前記(1)に記載の熱プレス用クッション材。
【0011】
(3)前記保護材は、前記クッション材本体の表面に貼り付けられた可撓性シート状の保護シールと、前記クッション材本体の裏面に貼り付けられた可撓性シート状の保護シールが、前記貫通孔内部または前記切欠き内部において互いに接触した構成を有している、前記(1)または前記(2)に記載の熱プレス用クッション材。
【0012】
(4)前記保護材には、前記ガイドピンを挿入するための孔または切り込みが形成されている、前記(1)~前記(3)の何れか1項に記載の熱プレス用クッション材。
【0013】
(5)前記保護材は、前記貫通孔または前記切欠きの前記側面を覆う覆い部材と、前記クッション材本体の表面に貼り付けられて前記覆い部材の表面の少なくとも外縁部を覆う可撓性シート状の保護シールと、前記クッション材本体の裏面に貼り付けられて前記覆い部材の裏面の少なくとも外縁部を覆う可撓性シート状の保護シールと、を備えている、前記(1)または前記(2)に記載の熱プレス用クッション材。
【0014】
(6)前記覆い部材は、前記貫通孔または前記切欠きの前記側面に接着されており、前記熱プレス用クッション材の外部に露呈している部分における液滴の接触角は、前記クッション材本体における液滴の接触角よりも大きい、前記(5)に記載の熱プレス用クッション材。
【0015】
(7)前記覆い部材は、フッ素樹脂で形成され可撓性を有する多孔質部材である、前記(5)に記載の熱プレス用クッション材。
【0016】
(8)前記保護材における液滴の接触角は、前記クッション材本体における液滴の接触角よりも大きい、前記(1)~前記(7)の何れか1項に記載の熱プレス用クッション材。
【0017】
(9)前記保護材は、離型層と、前記離型層を前記クッション材本体に貼り付ける接着層と、を有している、前記(1)~前記(8)の何れか1項に記載の熱プレス用クッション材。
【0018】
(10)前記離型層は、フッ素樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる、前記(9)に記載の熱プレス用クッション材。
【0019】
(11)前記離型層がフッ素樹脂であり、前記接着層がフッ素ゴムである、前記(9)に記載の熱プレス用クッション材。
【0020】
(12)前記離型層がフッ素樹脂であり、前記接着層がシリコーンゴムである、前記(9)に記載の熱プレス用クッション材。
【0021】
(13)繊維材料によって前記離型層が補強されている、前記(9)に記載の熱プレス用クッション材。
【0022】
(14)クッション材本体の外縁近傍の所定の位置に、厚さ方向に貫通孔または切欠きを複数形成し、
前記各貫通孔または各前記切欠きに対してそれぞれ2枚の可撓性シート状の保護シールを準備し、
前記クッション材本体の表面に、各前記貫通孔または各前記切欠きの一方の開口部の周囲を覆うように前記保護シールを貼り付け、前記クッション材本体の裏面に、各前記貫通孔または各前記切欠きの他方の開口部の周囲を覆うように別の前記保護シールを貼り付け、前記各貫通孔または各前記切欠きにおいて向かい合う2枚の前記保護シールを接着することで、前記クッション材本体の表面および裏面ならびに前記貫通孔または前記切欠きの側面で形成される前記貫通孔または前記切欠きの周囲を覆う保護材を形成し、
前記保護材に、位置合わせ用ガイドピンを通すための孔または切り込みを形成する、
ピンラミネーション方式の熱プレスに使用される平板形状の熱プレス用クッション材の製造方法。
【0023】
(15)クッション材本体の外縁近傍の所定の位置に、厚さ方向に貫通孔または切欠きを複数形成し、
前記各貫通孔または各前記切欠きに対してそれぞれ2枚の可撓性シート状の保護シールおよび覆い部材を準備し、
前記各貫通孔または各前記切欠きの側面を前記覆い部材で覆い、前記クッション材本体の表面に、各前記貫通孔または各前記切欠きの一方の開口部の周囲および前記覆い部材の外縁部を覆うように前記保護シールを貼り付け、前記クッション材本体の裏面に、各前記貫通孔または各前記切欠きの他方の開口部の周囲および前記覆い部材の外縁部を覆うように別の前記保護シールを貼り付けることで、前記クッション材本体の表面および裏面ならびに前記貫通孔または前記切欠きの側面で形成される前記貫通孔または前記切欠きの周囲を覆う保護材を形成する、
ピンラミネーション方式の熱プレスに使用される平板形状の熱プレス用クッション材の製造方法。
【0024】
(16)基板層、接着層および導体層が積層された構成を有し、外縁近傍の所定の位置に、複数の貫通孔または複数の切欠きが厚さ方向に形成された製造中間体に、前記(1)~前記(13)の何れか1項に記載の熱プレス用クッション材を重ね、
前記製造中間体に形成された前記貫通孔または複数の切欠きおよび前記熱プレス用クッション材に形成された前記貫通孔または複数の切欠きに位置合わせ用ガイドピンを通した状態で、プレス機の熱盤からの圧力および熱を、前記熱プレス用クッション材を介して前記製造中間体に付与する、多層基板の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明の熱プレス用クッション材によれば、ピンラミネーション方式での熱プレス時に溶融した樹脂が付着することを抑制することで、製造中間体への汚染が防止でき、熱プレス用クッション材を長期間繰り返し使用できる。また、そのような熱プレス用クッション材を用いることによって、高い精度の多層基板を効率よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施形態における熱プレス用クッション材の模式的な斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態における熱プレス用クッション材の1つの貫通孔の周辺の断面図である。
図3図3(A)は、本発明の実施形態における熱プレス用クッション材の一部を拡大して示す平面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す熱プレス用クッション材の変形例である変形例1の一部を拡大して示す平面図である。
図4図4(A)~図4(C)は、クッション材の製造方法を説明するための図である。
図5図5(A)は、ピンラミネーション方式による多層基板の製造方法を説明するための模式図であり、図5(B)は、図5(A)の製造中間体を拡大した図である。
図6図6(A)は、本発明の実施形態の変形例2における熱プレス用クッション材の1つの貫通孔の周辺の断面図である。図6(B)は、本発明の実施形態の変形例3における熱プレス用クッション材の1つの切欠きの周辺の平面図である。
図7図7(A)および図7(B)は、本発明の実施形態の変形例4における熱プレス用クッション材の一部を拡大して示す斜視図である。
図8図8(A)~図8(C)は、本発明の実施形態の変形例4における保護材をクッション材本体に形成する作業の一例を示す図である。
図9図9(A)~図9(C)は、本発明の実施形態の変形例4における保護材をクッション材本体に形成する作業の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態の変形例4における熱プレス用クッション材の1つの貫通孔の周辺の断面図である。
図11図11は、本発明の実施形態の変形例5における熱プレス用クッション材の一部を拡大して示す平面図である。
図12図12は、本発明の実施形態の変形例6における熱プレス用クッション材の1つの貫通孔の周辺の断面図である。
図13図13(A)~図13(C)は、本発明の実施形態の変形例6における保護材をクッション材本体に形成する作業の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態の変形例7における熱プレス用クッション材の一部を拡大して示す平面図である。
図15図15(A)は、本発明の実施形態の変形例8における熱プレス用クッション材の1つの貫通孔の周辺の断面図である。図15(B)は、本発明の実施形態の変形例8における保護シールの一部を拡大した模式的な断面図である。図15(C)は、覆い部材の組織を説明するための模式的な拡大図である。
図16図16は、本発明の実施形態の変形例8における保護材をクッション材本体に形成する作業の一例を示す図である。
図17図17(A)~図17(C)は、本発明の実施形態の変形例8の保護材の製造方法の変形例を示す図である。
図18図18は、本発明の実施形態の変形例9における熱プレス用クッション材の一部を拡大して示す平面図である。
図19図19(A)は、実施例におけるクッション材本体の貫通孔の形成箇所を示す図であり、図19(B)は、試験方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態における熱プレス用クッション材1の模式的な斜視図である。図2は、本発明の実施形態における熱プレス用クッション材1の1つの貫通孔2aの周辺の断面図である。熱プレス用クッション材1は、プレス機に設けられた位置合わせ用ガイドピン51をプレス対象物に設けられた貫通孔に挿入して熱プレスを行う、ピンラミネーション方式の熱プレスに使用される平板形状の熱プレス用クッション材である。熱プレス用クッション材1(以下、単にクッション材ともいう)は、たとえば矩形の平板である。
【0029】
クッション材1は、複数の貫通孔2aが形成されたクッション材本体2と、それぞれの貫通孔2aの周囲を覆う保護材3と、を有している。
【0030】
<クッション材本体>
クッション材本体2は、平板形状の部材である。クッション材本体2は、本体層4と、本体層4の表面および裏面に設けられる表面層5と、を有している。
【0031】
本体層4は、たとえば、織布と、この織布に含浸したゴムとからなる繊維-ゴム複合材料の層である。本体層4の厚みは0.5mm~5mm程度である。なお、本体層4は、必ずしも織布-ゴム複合材料の層である必要はなく、従来、本体層として用いられている構造とすることができる。すなわち、本体層は、織布、不織布、ゴムおよび合成樹脂の何れかの単体または2種以上の複合体の、単層構造あるいは同種または異種の層の積層構造であってもよい。
【0032】
表面層5は、クッション材本体2において主として離型性を付与するために設けられる。表面層5は、たとえば、耐熱繊維材料の織布または不織布から形成されるコア層と、コア層の表面全体を覆う表面樹脂層と、コア層の裏面全体を覆い本体層4に接着される裏面ゴム層と、を有する。
【0033】
上述の表面樹脂層は、コア層の繊維の凹凸が表れる程度の薄膜であり、表面層5のうちクッション材1の外表面を形成している。表面樹脂層にコア層の繊維の凹凸が表れているため、クッション材は、後述する熱盤52やステンレス板55との密着を抑制されている。表面樹脂層、すなわち、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cの材質としては、離型性を有する樹脂であれば特に限定はされないが、フッ素樹脂またはポリイミド樹脂が好ましい。
【0034】
上記の構成を有するクッション材本体2において、複数の貫通孔2aには、位置合わせ用ガイドピン51が挿入される。ガイドピン51の断面は円形または長円形などであり、その最大外径は、たとえば、3mm~15mmである。貫通孔2aの内径は、たとえば、5mm~20mmである。貫通孔2aの平面視形状は、円形または長円形などであり、具体的な形状は限定されない。複数の貫通孔2aは、クッション材本体2の外縁2dの近傍の所定の位置に、厚さ方向に形成されている。この場合の「所定の位置」とは、たとえば、外縁2dから数mm~10cmの範囲である。貫通孔2aが形成される所定の位置は、ピンラミネーション方式で熱プレスされる対象製品ごとに決められる位置であって、ガイドピン51が設置される位置に対応している。
【0035】
<保護材>
保護材3は、ピンラミネーション方式の熱プレスにおいて、プレス対象物である製造中間体の樹脂が熱によって溶融し、ガイドピン51とクッション材1の貫通孔2aの側面2eとの間に流出した際、溶融した樹脂がクッション材本体2に直接付着することを防止するために設けられている。
【0036】
保護材3は、1つの貫通孔2a対して1つ設けられている。保護材3は、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cならびに貫通孔2aの側面2eで形成される貫通孔2aの周囲を覆っている。保護材3がクッション材本体2の表面2bと裏面2cにおける貫通孔2aの周囲を覆う範囲は、熱プレス時の温度、圧力、製造中間体に用いられるプリプレグの材質などに応じて決められる。保護材3は、少なくとも、樹脂が流出する可能性がある範囲を覆うことで、溶融した樹脂がクッション材本体2の表面2bおよび裏面2cと貫通孔2aの側面2eに直接接触しないようにされている。
【0037】
保護材3は、貫通孔2aの側面2eの全域を保護している。これにより、熱プレス時において、ガイドピン51も、溶融した樹脂も、貫通孔2aの側面2eでクッション材本体2に直接接触するのを避けることができる。よって、クッション材1が熱プレスに複数回使用された場合でも、樹脂の染み込みに起因するクッション材本体2の破損を抑制できる。
【0038】
上記の構成により、クッション材本体2は、貫通孔2aの周囲において、保護材3によって完全に覆われており、溶融した樹脂がクッション材本体2に到達しないようにされている。
【0039】
本実施形態では、保護材3は、シート状に形成されている。保護材3は、クッション材本体2の表面2bに貼り付けられた可撓性シート状の保護シール31と、クッション材本体2の裏面2cに貼り付けられた可撓性シート状の保護シール32が、貫通孔2aにおいて互いに接触した構成を有している。このように、2枚の保護シール31,32をクッション材本体2に貼り合わせる簡易な構成で、熱プレス時に溶融した樹脂がクッション材本体2に直接付着することを抑制できる。
【0040】
各保護シール31,32は、同じ構成を有していることが、保護シールの汎用性を高くできる点で好ましい。各保護シール31,32の厚みは、0.01mm~0.50mm、好ましくは0.03mm~0.20mm程度である。保護シール31,32を素材に応じて適度な厚みとすることで、保護シール31,32を破れ難くできるとともに、適度な可撓性を確保できる。保護シール31,32は、貫通孔2aにおいて、貫通孔2aの全長(クッション材1の厚み)の少なくとも50%~100%の範囲で伸びることができると、2枚の保護シール31,32を貼り合わせる際に保護シール31,32が破れることなくスムーズに接着できる点で好ましい。このため、保護シール31,32は、破断伸度が100%~500%のものが特に好ましい。各保護シール31,32の引張強さは、たとえば、30N/mm以上であることが、破損防止に好ましい。各保護シール31,32の剥離強度は、3.0N/mm以上あることが、保護シール31,32とクッション材本体2との接着力を十分に確保できる点で好ましい。
【0041】
保護材3は、溶融して付着した後に固まった樹脂に対する保護シール31,32の離型性が、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2c(表面層5)の離型性よりも高くなる材質のものを使用する。
【0042】
本実施形態では、各保護シール31,32は、外表面を構成する離型層33と、離型層33をクッション材本体2に貼り付ける接着層34とで構成されている。保護シール31,32の厚さは、プレス時において熱盤52,52からの圧力を均等にプレス対象物に付与する機能を損なわない程度の薄さとするのが好ましい。
【0043】
離型層33は、溶融した後に付着して固まった樹脂に対する離型性に優れた材質で形成されている。離型層33における離型性が、保護シール31,32における離型性となる。離型性を特定する指標として、液滴の接触角を測定するぬれ性を用いることができる。
【0044】
本実施形態では、離型層33(保護材3)における液滴の接触角は、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2c(表面層5)における液滴の接触角よりも大きい。液滴の接触角の測定は、水滴を用いて行う。接触角が大きいほど、疎水性が高いといえる。つまり、接触角が大きいほど、離型性が優れている。離型層33における接触角は、クッション材本体2の接触角よりも大きく、疎水性が高い。これにより、溶融した後保護材3に付着して固まった樹脂は、クッション材本体2に付着する樹脂よりも容易に剥がすことができる。
【0045】
ぬれ性は、たとえば、JIS(日本産業規格)R 3257(基板ガラス表面のぬれ性試験方法)に準じた試験方法によって評価できる。ぬれ性の評価対象として、
(1)クッション材1自体
(2)平滑面上に配置された、保護シール31,32のいずれかの単体、または、
(3)平滑面上に配置された、保護シール31,32のいずれかの離型層33単体
を例示できる。上記(1)のクッション材1自体を評価対象とする場合、クッション材1が新品の状態でもよいし、クッション材1が一定回数熱プレスを施された使用後の状態でもよい。
【0046】
離型層33は、フッ素樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれることが好ましい。フッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)などを例示できる。シリコーン樹脂として、メチルシリコーン、フェニルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、変性シリコンなどを例示できる。これらの材質を離型層33に用いることで、溶融した後付着し、固まった樹脂に対する離型性を高くできる。なお、クッション材本体2の表面樹脂層には、前述のとおり、離型性を有する樹脂が用いられるが、保護シール31,32の離型層33には、クッション材本体2の表面樹脂層よりも液滴の接触角が大きい材料を選択することで、溶融した後保護材3に付着して固まった樹脂は、クッション材本体2に付着する樹脂よりも容易に剥がすことができる。
【0047】
接着層34は、離型層33をクッション材本体2の表面層5に接合するために設けられており、表面層5への接着性に優れ、かつ、熱プレスの温度(たとえば、190℃~230℃程度)に耐えられる材質であることが好ましい。接着層34は、接着剤または粘着剤によって構成されている。接着層34に用いられる材料として、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、水素化ニトリルゴム、およびブチルゴムからなる群から選ばれた1種または2種以上の混合物を例示できる。
【0048】
離型層33がフッ素樹脂であり、かつ接着層34がフッ素ゴムであるか、または、離型層33がフッ素樹脂であり、かつ接着層34がシリコーンゴムである場合、溶融した後付着し、固まった樹脂に対する離型性が良く、耐熱性も高く、且つ、クッション材本体2に対する十分な接着力も得られるので好ましい。
【0049】
保護シール31は、接着層34が少なくともクッション材本体2の表面2bに接着されており、保護シール32は、接着層34が少なくともクッション材本体2の裏面2cに接着されている。保護シール31,32は、貫通孔2aの側面2eと接着していてもよいし、側面2eから離隔していてもよい。保護シール31,32とクッション材本体2とは、たとえば、粘着または加硫接着などによって接合される。
【0050】
本実施形態では、保護シール31,32の互いの接着層34,34は、貫通孔2a内部において、加硫接着などによって互いに接着されることで、2枚の保護シール31,32が一体になっている。保護シール31,32の接着層34,34同士の接着方法は、加硫接着でもよいし、粘着であってもよい。保護シール31,32の互いの接着位置は、クッション材1の厚み方向における貫通孔2aの中心付近であることが、2枚の保護シール31,32の伸びと負担の偏りを抑制できるので、保護材3としての耐久性をより高くできる。
【0051】
保護シール31,32は、たとえば、クッション材1の製造工場から出荷される前の時点で、クッション材1の貫通孔2aに位置する部分が強固に接着されて一体化されていてもよいし、出荷時点では軽く付着した状態であってもよい。保護シール31,32が出荷時点で強固に接着されていない場合、保護シール31,32は、プレス対象物である製造中間体の熱プレス前に加硫接着などによって貫通孔2aにおいて接着、一体化すればよい。また、クッション材本体2と保護シール31,32とが別々に出荷され、プレス対象物である製造中間体の熱プレス前に、保護シール31,32をクッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに接着し、さらに、貫通孔2aにおいて保護シール31,32同士を接着してもよい。
【0052】
図3(A)は、本発明の実施形態における熱プレス用クッション材1の一部を拡大して示す平面図である。図2および図3(A)を参照して、保護材3には、クッション材1の貫通孔2aにガイドピン51を挿入するための孔3aが形成されている。この孔3aは、保護シール31,32を貫通する孔である。孔3aは、貫通孔2aと同心であることが好ましい。孔3aの内側面は、保護材3のうちガイドピン51と直接接触する部分である。保護材3に孔3aが形成されていることで、貫通孔2aにスムーズにガイドピン51を挿入できる。なお、孔3aの縁部に、切り込み3bが孔3aの円周方向に1または複数形成されていると、ガイドピン51と保護シール31,32との引っかかりを抑制し易い。
【0053】
図3(B)は、図3(A)に示す熱プレス用クッション材1の変形例である変形例1の一部を拡大して示す平面図である。図3(B)では、図3(A)に示す孔3aに代えて、保護材3に、ガイドピン51を挿入するための切り込み3cが形成されている。この切り込み3cは、貫通孔2aに配置されており、保護材3にガイドピン51を通過させることが可能な形状とされている。切り込み3cは、保護シール31,32を貫通しており、たとえば「+」形状に形成されている。なお、切り込み3cは、ガイドピン51を通過させることが可能な形状に形成されていればよく、「+」形状以外の形状、たとえば。「-」(マイナス)形状であってもよいし、「*」(アスタリスク)形状などであってもよい。保護材3に切り込み3cが形成されていることで、貫通孔2aにスムーズにガイドピン51を挿入できる。
【0054】
以上が、クッション材1の全体構成である。次に、クッション材1の製造方法を説明する。
【0055】
<熱プレス用クッション材の製造方法>
図4(A)~図4(C)は、クッション材1の製造方法を説明するための図である。クッション材1を製造する際には、まず、クッション材本体2の外縁2d近傍の所定位置に、厚さ方向の貫通孔2aを、打ち抜き加工等によって複数形成する。また、貫通孔2aを形成する数に対し、2倍の枚数の保護シール31,32を準備しておく。次に、図4(A)に示すように、クッション材本体2の表面2bに、貫通孔2aの一方の開口部の周囲を覆うように一方の保護シール31を貼り付け、クッション材本体2の裏面2cに、貫通孔2aの他方の開口部の周囲を覆うように他方の保護シール32を貼り付ける。
【0056】
次に、図4(B)に示すように、貫通孔2aにおいて2枚の保護シール31,32同士を接着する。具体的には、たとえば、クッション材本体2の表面2b側から貫通孔2aに、上側治具61を挿入するとともに、クッション材本体2の裏面2c側からも貫通孔2aに、下側治具62を挿入する。これにより、上側治具61および下側治具62によって、保護シール31,32が挟まれ、接着される。上側治具61および下側治具62が、加熱するヒータ機能を備えている場合、加熱によって接着層34,34どうしを加硫接着できるので、保護シール31,32を強固に一体化できる。これにより、クッション材本体2の表面2b、裏面2cおよび貫通孔2aの側面2eで形成される貫通孔2aの周囲を覆う保護材3が形成される。
【0057】
次に、図4(C)に示すように、保護材3に対して、ガイドピン51を通すための孔3aまたは切り込み3c(図3(B)参照)を形成する。孔3aまたは切り込み3cは、たとえば、パンチ、錐やカッターなどの工具を用いて形成できる。これにより、クッション材1が完成する。
【0058】
以上が、クッション材1の製造方法の一例である。次に、クッション材1を用いた多層基板の製造方法の一例を説明する。
【0059】
図5(A)は、ピンラミネーション方式による多層基板の製造方法を説明するための模式図であり、図5(B)は、図5(A)の製造中間体40を拡大した図である。図5(A)および図5(B)を参照して、プレス対象物である多層基板の製造中間体40を熱プレス機で熱プレスすることで、多層基板が製造される。
【0060】
熱プレス機は、上下一対の熱盤52,52を有している。製造中間体40は、基板層41、接着層42、および導体層43が積層された構成を有している。基板層41は、内層となるプリント基板である。接着層42は、たとえばガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸させて半硬化状態にしたプリプレグである。図5(A)では、複数の製造中間体40が、上下をステンレス板55で挟まれながら多段に積み重ねられ、複数の製造中間体40およびステンレス板55全体の上下に一対のクッション材1が積層され、さらにそれらを上下から一対の治具54,54で挟み込み、全体が熱盤52,52の間に配置されている。各積層物の位置合わせのために、ガイドピン51が用いられている。図5(A)では、複数の製造中間体40が一括して熱プレスされる例が示されているが、1回の熱プレスの対象物が1つの製造中間体40であってもよい。
【0061】
クッション材1、ステンレス板55、製造中間体40のそれぞれの外縁2d近傍の所定の位置には、位置合わせ用ガイドピン51を通すための孔が、厚さ方向に複数箇所(たとえば四隅)に形成されている。上下の治具54,54の間で、ガイドピン51は、クッション材1,ステンレス板55および製造中間体40の各部材に形成された位置合わせ用の孔を貫通している。ガイドピン51の両端は、上側の治具54および下側の治具54に形成された孔に嵌合している。
【0062】
上下一対の熱盤52,52は、上下一対の治具54,54を挟むようにして加圧および加熱を行う。加圧は、図示しない油圧シリンダなどを用いて行われ、加熱は各熱盤52に備えられたヒータによって行われる。これにより、熱盤52,52からの圧力および熱は、上下の治具54,54、および上下のクッション材1,1、およびステンレス板55を介して各製造中間体40に付与される。これにより、製造中間体40の基板層41、接着層42、および導体層43が、接着層42を形成するプリプレグの溶融した樹脂によって一体化され、製造中間体40が多層基板となる。このとき、接着層42から溶融した樹脂の一部は、ガイドピン51を伝ってクッション材1に到達し、保護材3に到達する。しかしながら、保護材3は離型性が良いため、保護材3に付着した樹脂は、手などで容易に除去することができる。クッション材1は、多層基板のプレス成形に再び用いられる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によると、保護材3は、クッション材本体2の貫通孔2aの側面2eと、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cとで形成される貫通孔2aの周囲を覆っている。これにより、プレス対象物である製造中間体40をピンラミネーション方式で熱プレスしたときに製造中間体40からガイドピン51を伝って流れてくる樹脂がクッション材本体2に付着し、固着することを抑制できる。このため、熱プレス後においても製造中間体40からの樹脂がクッション材本体2に染み込まずに済み、クッション材本体2の性能低下や破損を抑制できる。これにより、クッション材1を数十回~数百回、繰り返して製造中間体40の熱プレス工程に使用できる。
【0064】
なお、上述の実施形態では、保護材3がクッション材本体2の表面2bおよび裏面2cの一部に配置された形態を例に説明したが、保護材3は、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cの少なくとも一方において、全面に配置するようにしてもよい。また、保護材3が2枚の保護シール31,32で構成されている形態を示したが、1枚の保護シールによって保護材3を構成してもよい。また、図6(A)に示す本発明の実施形態の変形例2のように、離型層33を構成する材料と同じ材料や離型性が優れている材料をクッション材本体2の貫通孔2aの側面2eとクッション材本体2の表面2bおよび裏面2cにコーティング(塗布)することで、保護材3を形成してもよい。この場合、保護材3は、保護シール31,32で形成された場合と同じ範囲に形成するのが好ましいが、クッション材1のクッション性や熱伝達性に悪影響を与えない場合は、保護材3を、クッション材本体2の貫通孔2aの側面2eとクッション材本体2の表面2bおよび裏面2cの全面に形成しても構わない。
【0065】
また、上記の実施形態では、クッション材本体2の貫通孔2aの周囲を保護材3で覆う形態を例に説明したが、例えば、図6(B)に示す本発明の実施形態の変形例(変形例3)のように、貫通孔2aに代えて切欠き2fを設け、この切欠き2fの周囲を保護材3で覆ってもよい。この場合、切欠き2fの形状は、例えば平面視で溝形形状であり、クッション材本体2の外縁2dに開放されている。切欠き2fには、ガイドピン51が挿入される。保護材3は、保護シール31,32で形成されてもよいし、クッション材本体2へのコーティングによって形成されていてもよい。図6(B)では、保護材3が保護シール31,32で構成された例を示している。保護材3は、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cならびに切欠き2fの側面2eで形成される切欠きの周囲を覆う。保護シール31,32の接着層34同士が切欠き2f内において接触している。保護シール31,32のうち、切欠き2f内で接着層34同士が接触している箇所の縁部は、切欠き3dとされており、この切欠き3dをガイドピン51が通過する。切欠き3dは、平面視において溝形形状であり、クッション材本体2の外縁2d側に開放されている。なお、保護シール31,32の切欠き3dに代えて、切欠き2f内において保護シール31,32に貫通孔を形成し、この貫通孔をガイドピン51が通過するようにしてもよい。熱プレス時にプリプレグから溶融した樹脂がクッション材本体2の外縁2dまで到達する場合には、保護材3は、クッション材本体2の外縁2dを覆ってもよい。この場合、シール材31,32のうち外縁2dの付近の部分は、クッション材本体2の外側において互いに接着されてもよい。また、1つのクッション材本体2に貫通孔2aと切欠き2fが混在していてもよい。
【0066】
なお、本発明の実施形態の保護材3では、貫通孔2a内において保護シール31,32同士が貼り合わされる形態を例に説明した。この構成では、特に厚みの大きいクッション材本体2が使用される場合、保護シール31,32同士の貼り合わせ作業に伴い貫通孔2a内において保護シール31,32に応力ひずみが生じ易い。以下では、このような応力ひずみを抑制できる構成を説明する。
【0067】
<変形例4>
本発明の実施形態では、保護材3が2枚の保護シール31,32で構成された例を説明したが、図7(A)および図7(B)に示す本発明の実施形態の変形例4のように、保護材3は、2枚の保護シール431,432を、貫通孔2aの内周を保護するように貼り付けられて構成されてもよい。保護シール431,432は、それぞれ、本発明の実施形態の保護シール31,32と同じ素材で形成されており、外表面を構成する離型層33と、離型層33をクッション材本体2に貼り付ける接着層34とで構成されている。なお、図7において変形例4の保護シール431,432については、保護シール431,432を識別し易くするために、図面において離型層33と接着層34とを区別せず、参照符号33,34を付さずに示している。
【0068】
<変形例4の保護シール431,432をクッション材本体2に取り付ける作業>
保護シール431,432をクッション材本体2に取り付ける作業の一例は、以下の通りである。まず、保護シール431が準備される。保護シール431は、クッション材本体2に装着される前は、図8(A)に示すように、円筒状である。円筒状の保護シール431の外径は、貫通孔2aの直径以下で且つ貫通孔2aの直径と略同じとされている。円筒状の保護シール431の全長(長さ)は、クッション材本体2の厚みより長くされており、円筒状の保護シール431は、貫通孔2aに挿入されたときに、クッション材本体2から表面2bおよび裏面2c側にたとえば10mmずつ飛び出す。保護シール431は、真っ直ぐなテープの状態から曲げられることで円筒状に形成されてもよいし、保護シール431の成形時に円筒状に形成されてもよい。円筒状の保護シール431は、クッション材本体2の貫通孔2aに挿入された後、貫通孔2aの側面2eに押しつけられることでクッション材本体2に接着される。
【0069】
次いで、図8(B)に示すように、円筒状の保護シール431へ、縦向きの切り込み部431aをカッターなどで入れる。切り込み部431aを、円筒状の保護シール431の周方向に複数箇所(たとえば5箇所)に入れる。切り込み部431aを、円筒状の保護シール431のうち、クッション材本体2から飛び出している箇所に入れる。すなわち、切り込み部431aを、保護シール431のうち、表面2bから突出している部分と、裏面2cから突出している部分のそれぞれに入れる。切り込み部431aを、円筒状の保護シール431を貫通孔2aに挿入する前に入れていてもよい。
【0070】
次に、図8(C)に示すように、保護シール431のうち切り込み部431aによって分かれた片部431bが、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに貼り付けられる。その結果、保護シール431は、貫通孔2aの側面2eの全周に亘って貼り付けられるとともに、表面2bおよび裏面2cに放射状に貼られる。
【0071】
次に、保護シール432が準備される。保護シール432をクッション材本体2に貼り付ける作業は、保護シール431をクッション材本体2に貼り付ける作業と概ね同じである。具体的には、保護シール432は、クッション材本体2に装着される前は、図9(A)に示すように、円筒状である。円筒状の保護シール432の外径は、円筒状の保護シール431の内径以下で且つ保護シール431の内径と略同じとされている。円筒状の保護シール432の全長(高さ)は、保護シール432の全長と同様であり、保護シール432は、貫通孔2aに挿入されたときに、クッション材本体2から表面2bおよび裏面2c側にたとえば10mmずつ飛び出す。保護シール432は、真っ直ぐなテープの状態から曲げられることで円筒状に形成されてもよいし、保護シール432の成形時に円筒状に形成されてもよい。
【0072】
円筒状の保護シール432は、クッション材本体2の貫通孔2aに挿入された後、保護シール431のうち貫通孔2aの側面2eに貼り付けられている箇所に押しつけられることで保護シール431に接着される。次いで、円筒状の保護シール432へ、縦向きの切り込み部432aをカッターなどで入れる。切り込み部432aは、円筒状の保護シール432の周方向に沿って、保護シール431の切り込み部431aの数と同じ数入れられる。貫通孔2aの周方向における切り込み部432aの位置は、保護シール431の切り込み部431aの位置とはずらされており、保護シール431の片部431bのうち貫通孔2aの周方向の中央の位置とされることが好ましい。切り込み部432aは、円筒状の保護シール432のうち、クッション材本体2から飛び出している箇所に入れられる。すなわち、切り込み部432aは、保護シール432のうち、表面2bから突出している部分と、裏面2cから突出している部分のそれぞれに入れられる。切り込み部432aは、円筒状の保護シール432を貫通孔2aに挿入する前に入れられていてもよい。
【0073】
次に、図9(B)に示すように、保護シール432のうち切り込み部432aによって分かれた片部432bが、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに貼り付けられる。その結果、保護シール432は、貫通孔2aの側面2eの全周に亘って貼り付けられるとともに、表面2bおよび裏面2cに放射状に配置される。保護シール432の片部432bは、保護シール431の片部431bと貫通孔2aの周方向に交互に配置されている。
【0074】
図10は、本発明の実施形態の変形例4における熱プレス用クッション材1の1つの貫通孔2aの周辺の断面図である。上述した工程を経て、保護シール431,432は、保護材3となる。変形例4の保護材3は、図7(A)、図7(B)および図10に示すように、クッション材本体2の表面2b、裏面2c、および貫通孔2aの側面2eで形成される貫通孔2aの周囲を覆っている。より具体的には、保護シール431,432の双方が、貫通孔2aの側面2eを覆っている。また、保護シール431,432は、貫通孔2aの近傍において、互いに重なるようにしてクッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに貼り付けられていることで、協働して、表面2bおよび裏面2cのそれぞれにおける貫通孔2aの周囲を周方向全域に亘って覆っている。本発明の実施形態の変形例4の保護材3は、貫通孔2a内において保護シール431,432同士が接着している構成ではないので、貫通孔2a内における保護シール431,432の剥離は生じず、このような剥離に起因する溶融樹脂の側面2eへの付着が生じずに済む。
【0075】
<変形例5>
変形例4に関連して、図11の平面図で示す変形例5のように、クッション材本体2に貫通孔2aに代えて切欠き2fを設け、この切欠き2fの周囲を1枚の保護シール431および2枚の保護シール432,432で覆ってもよい。この場合、保護シール431は、切欠き2fの3つの辺部2f1,2f2,2f3での側面2eに貼り付けられているとともに、片部431bが、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに貼り付けられている。2枚の保護シール432,432は、切欠き2fの2つのコーナー部2f4,2f5付近において保護シール431に重なるように貼り付けられているとともに、片部432bが、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに貼り付けられている。図11では、クッション材本体2の表面2b側を示しているが、クッション材本体2の裏面2c側の構成も表面2b側の構成と同様であるので、図示を省略している。なお、熱プレス時にプリプレグから溶融した樹脂がクッション材本体2の外縁2dまで到達する場合には、辺部2f1,2f3における保護シール431を外縁2d側に延長し、表面2b側の保護シール431と裏面2c側の保護シール431とを接着することで、樹脂が外縁2dに付着することを防いでもよい。
【0076】
<変形例6>
図12は、本発明の実施形態の変形例6における熱プレス用クッション材1の1つの貫通孔2aの周辺の断面図である。変形例4,5では、保護材3が2種類の保護シール431,432で構成された例を説明したが、図12に示す本発明の実施形態の変形例6のように、保護材3は、2枚の保護シール631,632および覆い部材633で構成されてもよい。すなわち、保護材3は、貫通孔2aの側面2eを覆う覆い部材633と、クッション材本体2の表面2bに貼り付けられて覆い部材633の表面の少なくとも外縁部を覆う可撓性シート状の保護シール631と、クッション材本体2の裏面2cに貼り付けられて覆い部材633の裏面の少なくとも外縁部を覆う可撓性シート状の保護シール632と、を備えていてもよい。保護シール631,632は、それぞれ、実施形態の保護シール31,32と同じ素材で形成されており、外表面を構成する離型層33と、離型層33をクッション材本体2に貼り付ける接着層34とで構成されている。
【0077】
保護シール631,632は、それぞれ、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに貼り付けられており、貫通孔2aの周囲を覆っている。変形例6における貫通孔2aの直径は、ガイドピン51の直径より大きい。保護シール631,632には、それぞれ、貫通孔631a,632aが形成されている。これらの貫通孔631a,632aの側面は、覆い部材633の後述する保護シール634とクッション材本体2の厚み方向に向かい合っている。保護シール631,632は、覆い部材633の後述するアンカー635の全体をクッション材本体2の表面2b側および裏面2c側から覆っており、アンカー635はクッション材本体2の外部に露呈していない。
【0078】
覆い部材633は、円筒状に形成されており、貫通孔2aに挿入されている。覆い部材633は、貫通孔2aの中心側に配置された保護シール634と、保護シール634を貫通孔2aの側面2eに結合するアンカー635と、を備えている。
【0079】
保護シール634は、保護シール631と同様の材料および厚みを有する円筒状部分であり、貫通孔2aの中心に配置された離型層33と、貫通孔2aの側面2e側に配置された接着層34とを備えている。アンカー635は、加熱されることで膨張するとともに貫通孔2aの側面2eに接着する材料で形成された筒状部分である。アンカー635の材質として、発泡材料を例示できる。発泡材料として、発泡フッ素ゴムを例示できる。アンカー635の内周部分は、保護シール634の接着層34に接着されており、アンカー635の外周部分は貫通孔2aの側面2eに接着されている。保護シール634は、貫通孔2aの側面2eに加圧による接着および加硫接着によって接着されている。
【0080】
このような構成により、変形例6の保護材3は、クッション材本体2の表面2b、裏面2c、および貫通孔2aの側面2eで形成される貫通孔2aの周囲を覆っている。貫通孔2a内において保護シール631,632同士が接着している構成ではないので、貫通孔2a内における保護シール631,632の剥離は生じず、このような剥離に起因する溶融樹脂の側面2eへの付着が生じずに済む。
【0081】
また、覆い部材633が貫通孔2aの側面2eに接着されていることにより、側面2eへの溶融した樹脂の付着をより確実に抑制できる。
【0082】
また、保護材3のうち熱プレス用クッション材1の外部に露呈している部分(保護シール631,632,634の各離型層33)における液滴の接触角は、クッション材本体2の表面2b,裏面2c,側面2eにおける液滴の接触角よりも大きい。これにより、保護材3へ溶融した樹脂が付着した場合でも、この樹脂を容易に取り除くことができる。
【0083】
<変形例6の保護シール631,632および覆い部材633をクッション材本体2に取り付ける作業>
図13(A)に示すように、覆い部材633の保護シール634が、帯状の状態から円柱状のジグ670に巻かれる。ジグ670は、たとえば金属製である。保護シール634は、真っ直ぐなテープ状の状態からジグ670に巻かれることで円筒状に形成される。保護シール634がジグ670に巻かれるとき、接着層34が外側を向くようにする。次に、図13(B)に示すように、アンカー635を、帯状の状態から保護シール634に重なるようにしてジグ670に巻く。次に、保護シール634とアンカー635が巻かれたジグ670を、図13(C)に示すように、クッション材本体2の貫通孔2aに挿入し、この状態で、アンカー635を加熱処理する。
【0084】
たとえば、加熱炉を用いてアンカー635を180℃で約1時間加熱する。これにより、発泡材料であるアンカー635が、図13(D)に示すように加熱によって膨張し、アンカー635が貫通孔2aの側面2eにアンカー接着される。その結果、貫通孔2aの側面2eが覆い部材633で覆われる。アンカー635の加熱処理後、ジグ670が抜き取られる。
【0085】
次に、図12に示すように、クッション材本体2の表面2bに、貫通孔2aの一方の開口部の周囲および覆い部材633のアンカー635を覆うように保護シール631を貼り付ける。さらに、クッション材本体2の裏面2cに、貫通孔2aの他方の開口部の周囲および覆い部材633のアンカー635を覆うように保護シール632を貼り付ける。これにより、貫通孔2aの周囲を覆う保護材3が完成する。
【0086】
<変形例7>
変形例6に関連して、図14の平面図で示す変形例7のように、クッション材本体2に貫通孔2aに代えて切欠き2fを設け、この切欠き2fの周囲を保護シール631,632および覆い部材633で覆ってもよい。この場合、覆い部材633の保護シール634およびアンカー635は、切欠き2fの側面2eの形状に沿った形状の部分を有する平面視U字状に形成されており、アンカー635が側面2eに接着されている。保護シール631,632は、覆い部材633の保護シール634の形状に対応した形状に切り欠きが形成されており、この切欠きの縁部が覆い部材633の少なくともアンカー635を覆っている。図14では、クッション材本体2の表面2b側を示しているが、クッション材本体2の裏面2c側の構成も表面2b側の構成と同様であるので、図示を省略している。なお、熱プレス時にプリプレグから溶融した樹脂がクッション材本体2の外縁2dまで到達する場合には、保護シール631,632を外縁2d側に延長し、外縁2dの側方において、保護シール631,632同士を接着することで、樹脂が外縁2dに付着することを抑制できる。
【0087】
<変形例8>
図15(A)は、変形例8における熱プレス用クッション材1の1つの貫通孔2aの周辺の断面図である。変形例6,7では、保護材3が2枚の保護シール631,632および覆い部材633で構成された例を説明したが、図15(A)に示す本発明の実施形態の変形例8のように、保護材3は、2枚の保護シール831,832および覆い部材833で構成されてもよい。すなわち、変形例8の保護材3は、貫通孔2aの側面2eを覆う覆い部材833と、クッション材本体2の表面2bに貼り付けられて覆い部材833の表面の少なくとも外縁部を覆う可撓性シート状の保護シール831と、クッション材本体2の裏面2cに貼り付けられて覆い部材833の裏面の少なくとも外縁部を覆う可撓性シート状の保護シール832と、を備えていてもよい。図15(B)は、本発明の実施形態の変形例8における保護シール831の一部を拡大した模式的な断面図である。保護シール831,832は、それぞれ、実施形態の保護シール31,32の離型層33を繊維材料で補強した構成に相当する構成を有している。具体的には、保護シール831,832は、保護シール831,832の外表面を構成する離型層836と、離型層836をクッション材本体2に貼り付ける接着層34とで構成されている。
【0088】
離型層836は、繊維材料からなる基材837と、この基材837に含浸された離型材838との複合体であり、繊維材料によって離型層836が補強されている。基材837を構成する繊維材料として、ガラス、ロックウール、炭素、セラミックス、金属といった材料や、ポリエステル、ポリアミドといった合成樹脂材料などを例示できる。基材837は、適度な可撓性、耐熱性および強度を有している点で、ガラスクロスであることが好ましい。基材837の繊維は、縦向きと横向きに格子状に配列されていてもよいし、横向きにのみ配列されていてもよいし、規則性なく配列されていてもよい。離型材838は、実施形態の保護シール31,32の離型層33と同様の材質で構成されている。離型材838は、基材837の繊維の凹凸が表れる程度の薄膜である。離型材838に基材837の繊維の凹凸が表れているため、保護シール831は、熱盤52やステンレス板55との密着を抑制されている。
【0089】
なお、変形例8において、保護シール831,832は、それぞれ、実施形態の保護シール31,32と同じ素材で形成されていてもよく、この場合、保護シール831,832は、それぞれ、実施形態で説明した離型層33と、離型層33をクッション材本体2に貼り付ける接着層34とで構成される。
【0090】
保護シール831,832は、接着層34がクッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに貼り付けられており、貫通孔2aの周囲を覆っている。保護シール831,832には、それぞれ、貫通孔831a,832aが形成されている。これらの貫通孔831a,832aの側面は、覆い部材833とクッション材本体2の厚み方向に向かい合っている。貫通孔831a,832aの直径は、貫通孔2aの内径未満で且つガイドピン51の直径より大きい。保護シール831,832に挟まれていることによって、覆い部材833は、貫通孔2a内に保持されており、貫通孔2aの側面2eの全体を覆っている。覆い部材833は、貫通孔2aの側面2eに接着されていない。
【0091】
覆い部材833は、円筒状に形成されて貫通孔2aに挿入されており、ガイドピン51用の貫通孔833aが形成されている。覆い部材833の内径は、ガイドピン51の外径以上で且つガイドピン51の外径と略同じとされている。覆い部材833は、フッ素樹脂で形成され可撓性を有する多孔質部材である。
【0092】
図15(C)は、覆い部材833の組織を説明するための模式的な拡大図である。図15(C)に示すように、覆い部材833は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で形成されており、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工する工程を経て作成されている。覆い部材833は、内部に互いに連続した空隙が存在していることで、柔軟性が確保されている。覆い部材833内の空隙は、互いに独立しているのではなく、つながっており、覆い部材833は連続多孔質構造である。これにより、覆い部材833は、弾性変形し易く、かつ、加工し易くされている。また、覆い部材833に圧力をかけることで容易に潰れ(弾性変形)が生じ、高いシール性を発揮できる。
【0093】
覆い部材833は、たとえば、日本ゴア合同会社のゴア(登録商標)ハイパーシート(登録商標)ガスケットを覆い部材833の形状に加工することで形成される。覆い部材833は、-60℃~230℃まで使用することができ、また、315℃まで使用することもできる。覆い部材833の機械的性質の一例は、密度が0.6(g/cm)であり、引張強度が25MPaであり、JIS R 3453(2001)に準じて測定された圧縮率が63%であり、復元率が10(%)であり、応力緩和率が35%であり、硬度がデュロメータA硬度でA67である。このような例示の構成であることで、覆い部材833は、厚み方向のへの荷重(せん断荷重)が作用したときの可撓性が高くされており、ガイドピン51の移動に対する追従性が高い。これにより、ガイドピン51が覆い部材833に通されたときに、覆い部材833の貫通孔833aの側面(ガイドピン51と接触する部分)が、覆い部材833の外周部に対してクッション材本体2の厚み方向にしなやかに移動することができる。その結果、覆い部材833に対するガイドピン51の挿入動作および抜き取り動作に対して覆い部材833を破損しにくくできる。しかも、保護シール831,832も可撓性のシールであることから、覆い部材833のせん断変形に合わせて保護シール831,832もしなやかに変形できる。
【0094】
本変形例8においても、保護材3のうち熱プレス用クッション材1の外部に露呈している部分(保護シール831,832の離型層836、および覆い部材833)における液滴の接触角は、クッション材本体2の表面2b,裏面2c,側面2eにおける液滴の接触角よりも大きい。これにより、保護材3へ溶融した樹脂が付着した場合でも、この樹脂を容易に取り除くことができる。
【0095】
上述した構成により、変形例8の保護材3は、クッション材本体2の表面2b、裏面2c、および貫通孔2aの側面2eで形成される貫通孔2aの周囲を覆っている。貫通孔2a内において保護シール831,832同士が接着している構成ではないので、貫通孔2a内における保護シール831,832の剥離による、溶融樹脂の側面2eへの付着をより確実に抑制できる。また、覆い部材833が貫通孔2aの側面2eを覆っていることにより、側面2eへの溶融した樹脂の付着をより確実に抑制できる。
【0096】
<変形例8の保護シール831,832および覆い部材833をクッション材本体2に取り付ける作業>
保護シール831,832および覆い部材833をクッション材本体2に取り付ける作業の一例は、以下の通りである。まず、保護シール831,832および覆い部材833が準備される。より具体的には、図16に示すように、リング状に形成された覆い部材833が、貫通孔2aに挿入されて貫通孔2aの側面2eを覆う。保護シール831,832がクッション材本体2に貼り付けられる前の覆い部材833の厚みは、クッション材本体2の厚みよりも大きくされており、覆い部材833の一部がクッション材本体2から飛び出している。
【0097】
次に、図15(A)に示すように、クッション材本体2の表面2bに、貫通孔2aの一方の開口部の周囲および覆い部材833の外縁部を覆うように保護シール831を貼り付ける。さらに、クッション材本体2の裏面2cに、貫通孔2aの他方の開口部の周囲および覆い部材833の外縁部を覆うように保護シール832を貼り付ける。これにより、覆い部材833は、圧縮された状態で貫通孔2aの側面2eに押しつけられるとともに、貫通孔2aから飛び出さないように配置され、より高いシール性能を発揮できる。覆い部材833は、保護シール831,832によって、たとえば半分の厚みまで圧縮される。このようにして、貫通孔2aの周囲を覆う保護材3が完成する。
【0098】
たとえば、覆い部材833が、延伸ポリテトラフルオロエチレンと比べて硬いことで可撓性の低いポリテトラフルオロエチレンなどで構成されている場合、保護シール831,832によって覆い部材833を挟み込んだ場合でも、覆い部材833を圧縮することができず、覆い部材833がクッション材本体2から飛び出したままの状態となり得る。一方で、覆い部材833を延伸ポリテトラフルオロエチレンで形成することで、覆い部材833を保護シール831,832で圧縮して、クッション材本体2から飛び出さないようにする作業を容易に行うことができる。その結果、クッション材1を用いたプレス成形時において、覆い部材833に熱盤52からの余計な負荷が作用することを抑制できる。
【0099】
変形例8では、保護材3を製造する際、予めリング状に形成された覆い部材833を貫通孔2aに挿入する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、本発明の実施形態の変形例8の保護材3の製造方法の変形例である図17(A)~図17(C)に示すように、円盤状の覆い部材833を貫通孔2aに挿入した後、クッション材本体2の表面2bおよび裏面2cに、貫通孔が形成されていない保護シール831,832(保護シール832は図17では図示せず)を貼り付けて覆い部材833を貫通孔2a内に取り付ける。その後、パンチなどで保護シール831,832および覆い部材833に貫通孔831a,832a,833aを形成することで、保護材3を形成してもよい。
【0100】
また、変形例8において、覆い部材833の貫通孔833aの上端および下端のそれぞれの開口部に、環状の鍔部分を形成してもよい。この場合、覆い部材833における貫通孔の周囲を他の部分よりも厚肉にしておき、プレス加工によって当該厚肉部分を押し広げることで、環状の鍔部分を形成できる。
【0101】
<変形例9>
変形例8に関連して、図18の平面図で示す本発明の実施形態の変形例9のように、クッション材本体2に貫通孔2aに代えて切欠き2fを設け、この切欠き2fの周囲を保護シール831,832および覆い部材833で覆ってもよい。この場合、覆い部材833は、切欠き2fの側面2eの形状に沿った形状の部分を有する平面視U字状に形成されており、この側面2eを覆っている。保護シール831,832は、覆い部材833を挟んでおり、保護シール831,832によって、覆い部材833が切欠き2f内に保持されている。保護シール831,832は、覆い部材833を切欠き2f内に保持できる程度に覆い部材833と接着していればよく、平面視において、覆い部材833の少なくとも一部を覆っていればよい。図18では、クッション材本体2の表面2b側を示しているが、クッション材本体2の裏面2c側の構成も表面2b側の構成と同様であるので、図示を省略している。なお、熱プレス時にプリプレグから溶融した樹脂がクッション材本体2の外縁2dまで到達する場合には、保護シール831,832を外縁2d側に延長し、外縁2dの側方において、保護シール831,832を互いに接着することで、樹脂が外縁2dに付着することを抑制してもよい。
【0102】
また、クッション材本体2にガイドピン51を挿入するための貫通孔2aが設けられている場合と、切欠き2fが設けられている場合の何れの場合でも、製造中間体40やステンレス板55は、ガイドピン51を挿入するための貫通孔が形成されてもよいし、部材の外縁に開放された切欠きが形成されていてもよい。
【0103】
以上、プレス対象製品として多層基板を例に説明したが、プレス対象製品は、ピンラミネーション方式の熱プレスの対象となる製品であれば、フレキシブルプリント基板、リジッドフレックスプリント基板、ICカード、液晶表示板、電池など、特に限定されない。
【実施例0104】
保護材を備えるクッション材を実施例1~実施例3として作製し、保護材を備えていないクッション材を比較例として作製した。実施例1~3および比較例の構成は、以下の通りである。
【0105】
<実施例1>
クッション材本体2:ヤマウチ株式会社製のクッション材(YOM02VGR:30cm角、厚み2mm)を準備し、このクッション材の外縁近傍に、ガイドピン挿入用の貫通孔2a(直径9mm)を開けた。貫通孔2aは、図19(A)に示すように、クッション材1の四隅と、四辺の中央の合計8箇所に開けた。
保護材3:片面にシリコーン粘着剤を塗布したフッ素樹脂(PTFE)テープ(中興化成工業株式会社製、ASF121FR、厚み0.08mm)を保護シールとして2枚準備し、クッション材本体2の表面および裏面にそれぞれ貼った。次いで、一対の凸状の治具を用意し、2枚の保護シールのシリコーン粘着剤面がクッション材本体の貫通孔2aの内部で貼り合うよう両表面より凸状の治具で加圧し、2枚の保護シールを接着した。次いで、クッション材本体2の貫通孔2aの内部において、2枚の保護シールの貼り合わせ部分に直径5mmの孔を開けた。
【0106】
<実施例2>
クッション材本体2:ヤマウチ株式会社製のクッション材(YOM02VGR:30cm角、厚み2mm)を準備し、このクッション材の外縁近傍に、ピン挿入用の貫通孔2a(直径9mm)を開けた。貫通孔2aは、図19(A)に示すように、クッション材の四隅と、四辺の中央の合計8箇所に開けた。
保護材3:片面に未加硫フッ素ゴム接着剤(硬度60°)を塗布したフッ素樹脂(FEP)フィルム(ダイキン工業株式会社製NF0050B1)を保護シールとして2枚準備し、クッション材本体2の表面および裏面に加熱加圧によって貼りつけた。このときの加熱温度は、110℃~190℃であり、加圧力は、保護シールが破損しない程度の圧力とし、加熱加圧時間は、5~10秒とした。次いで、一対の凸状の治具を用意し、保護シールのフッ素ゴム接着剤面がクッション材本体2の貫通孔2aの内部で貼り合うように両表面より凸状の治具で加熱加圧した。このときの加熱温度、加圧力、および加熱加圧時間は、上記と同じ範囲とした。次いで、クッション材本体2の貫通孔2aの内部において、2枚の保護シールで貼り合わせ部分に直径5mmの孔を開けた。
【0107】
<実施例3>
クッション材本体2:ヤマウチ株式会社製のクッション材(YOM02VGR:30cm角、厚み2mm)を準備し、このクッション材の外縁近傍に、ピン挿入用の貫通孔2a(直径9mm)を開けた。貫通孔2aは、図19(A)に示すように、クッション材の四隅と、四辺の中央の合計8箇所に開けた。
保護材3:クッション材本体2の貫通孔2aの側面2e、および表面と裏面における貫通孔の周囲にフッ素樹脂コート剤をスプレーにより塗布することで形成した。フッ素樹脂コート剤は、ファインケミカルジャパン株式会社製のFC-103耐熱フッ素樹脂(TFE)コートであった。塗布後に、クッション材本体を200℃で30分間加熱した。保護材の厚みは、0.04mmであった。
【0108】
<比較例>
クッション材本体2:ヤマウチ株式会社製のクッション材(YOM02VGR:30cm角、厚み2mm)を準備し、このクッション材の外縁近傍に、ピン挿入用の貫通孔2a(直径9mm)を開けた。貫通孔2aは、図19(A)に示すように、クッション材の四隅と、四辺の中央の合計8箇所に開けた。
【0109】
<試験方法>
図19(B)は、試験方法を説明するための模式図である。図19(B)に示すように、プレス対象物である製造中間体40として、厚さ0.1mmのプリプレグを4枚積層し、さらに、厚さ18μmの銅箔を2枚準備してこれら4枚のプリプレグの下面および上面にそれぞれ銅箔を重ねたものを準備した。製造中間体40を厚さ1.2mmのステンレス板55で上下から挟み、さらに、上下一対のステンレス板55,55を、実施例1~3または比較例のクッション材(実施例1~3においては、クッション材1)の2枚で上下に挟んだ。一対のステンレス板55,55、および製造中間体40には、実施例1~3または比較例のクッション材における貫通孔2aに対応する箇所に合計8箇所の貫通孔が形成されており、平面視における貫通孔の位置を揃えるように各部材を配置した。そして、上下に並ぶ貫通孔のそれぞれに、直径9mmのガイドピン51を挿入し、上下一対のクッション材と、上下一対のステンレス板55,55と、製造中間体40との積層体とした。次いで、板形状の下治具54および上治具54で、積層体を上下に挟んだ状態で、上下一対の熱盤を用いて熱プレスを実施した。なお、ガイドピン51、およびステンレス板55には、樹脂が付着しないように離型剤を塗布した。
【0110】
熱プレスの条件は、以下である。
温度:210℃
圧力:4MPa
プレス時間:熱プレス60分(昇温20分、高温維持40分)、冷却15分
【0111】
上記の熱プレス条件で、実施例1~3および比較例のクッション材を用いて、製造中間体40の熱プレスを繰り返し、プリプレグから溶融した樹脂の、クッション材本体2および保護材3への付着状況、および付着した樹脂が手で容易に取り除けたかどうかを評価した。評価結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
評価結果の◎は、クッション材本体2には樹脂が付着しておらず、保護材3に付着した樹脂は容易に取り除けたことを示す。評価結果の○は、クッション材本体2には樹脂が付着しておらず、保護材3に樹脂は付着していたものの、クッション材本体2の破損はみられなかったことを示す。評価結果の×は、クッション材本体2に樹脂が固着し、特に貫通孔2aの側面への樹脂の染み込みなどに起因して、クッション材本体2が破損したことを示す。
【0114】
実施例1,2は、保護シールで構成された保護材3を有している結果、樹脂の固着を防止でき、熱プレスを150回行っても◎の評価であり、多数回の熱プレスに耐えられることが実証された。実施例3は、少なくとも10回の熱プレスに耐えられることが実証され、繰り返しの熱プレスに耐えられることが実証された。比較例は、熱プレスを10回繰り返したとき、プリプレグから溶融した樹脂がクッション材本体2の表面に樹脂が固着し、特に貫通孔2aの側面から樹脂が染み込んだ結果、ガイドピンをクッション材から抜いた際にクッション材が破損した。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、熱プレス用クッション材、熱プレス用クッション材の製造方法、および多層基板の製造方法として適用できる。
【符号の説明】
【0116】
1 熱プレス用クッション材
2 クッション材本体
2a 貫通孔
2b クッション材本体の表面
2c クッション材本体の裏面
2d 外縁
2e 貫通孔の側面
2f 切欠き
3 保護材
3a 保護材の孔
3c 切り込み
31,32 保護シール
33 離型層
34 接着層
40 製造中間体(プレス対象物)
51 ガイドピン
431,432 保護シール
631,632 保護シール
633 覆い部材
831,832 保護シール
833 覆い部材
837 基材(繊維材料)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19