(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084164
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】会計経理情報入力支援方法、会計経理情報入力支援プログラム及び会計経理情報入力支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240618BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198277
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】712005584
【氏名又は名称】株式会社Donuts
(74)【代理人】
【識別番号】230116539
【弁護士】
【氏名又は名称】恩田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】西村 啓成
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】従来技術は、各種データの表示態様まで意識したものではなく、例えば各データが仕訳処理をするための画面表示に重畳して表示されてしまうような場合には、却って業務の支障にすらなりえ、真に好適な表示態様が提供できているとは言い難い。
【課題を解決するための手段】会計情報を含む証憑データの読み取り、その結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別するための処理を行い、前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像とを直接又は間接的に紐づけて取得するとともに、会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付けると、当該会計経理情報を用いて、前記証憑データの画像を一又は複数抽出し、当該画像を前記会計経理情報の近傍に表示する処理をコンピュータにて実行する会計経理情報入力支援方法などを提案する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計情報を含む証憑データの読み取りを行う証憑データ読取ステップと、
前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別するための文字識別ステップと、
前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像とを直接又は間接的に紐づけて保持する関連付けステップと、
会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける会計経理処理情報入力受付ステップと、
前記入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記証憑データの画像を一又は複数抽出する画像抽出ステップと、
前記抽出された画像を前記会計経理情報の近傍に表示する近傍表示ステップと、
をコンピュータにて実行する会計経理情報入力支援方法。
【請求項2】
画像抽出ステップは、
前記入力を受け付けた会計経理情報との関連性の程度に応じて証憑データを抽出可能とする関連度判定サブステップをさらに有し、
近傍表示ステップは、
前記抽出された証憑データを、前記入力された会計経理情報との関連性の程度に応じて表示する関連度依存サブステップをさらに有する請求項1に記載の会計経理情報入力支援方法。
【請求項3】
文字識別ステップは、
証憑データに含まれる文字とともに当該証憑データの発行元の情報である発行元情報をも取得する発行元情報取得サブステップをさらに有し、
関連付けステップは、
前記発行元情報をも用いて文字と証憑データの画像との紐づけを行う発行元情報利用サブステップをさらに有する請求項1に記載の会計経理情報入力支援方法。
【請求項4】
証憑データ読取ステップにて読み取った証憑データの画像を所定単位ごとに区分しそれぞれを区分画像として取得する区分画像取得ステップをさらに有し、
関連付けステップは、
前記識別された文字と、当該文字に応じた区分画像とを直接又は間接的に紐づけて保持する区分画像関連付けサブステップをさらに有し、
画像抽出ステップは、
前記入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記区分画像を一又は複数抽出する区分画像抽出サブステップをさらに有し、
近傍表示ステップは、
前記抽出された区分画像を前記会計経理情報の近傍に表示する区分画像表示サブステップをさらに有する請求項1に記載の会計経理情報入力支援方法。
【請求項5】
文字識別ステップは、
識別した文字を所定単位ごとに区分し、それぞれを証憑データにおける配置位置を示す情報である配置位置情報とともに区分文字として識別する区分文字識別サブステップをさらに有し、
近傍表示ステップにて表示された画像のうち所定領域の指定を受け付ける指定受付ステップをさらに有し、
会計経理処理情報入力受付ステップは、
前記指定を受け付けた領域に対応する配置位置情報を用いて、会計経理情報の入力を受け付ける、区分文字利用サブステップをさらに有する請求項1に記載の会計経理情報入力支援方法。
【請求項6】
会計情報を含む証憑データの読み取りを行う証憑データ読取ステップと、
前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別するための文字識別ステップと、
前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像とを直接又は間接的に紐づけて保持する関連付けステップと、
会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける会計経理処理情報入力受付ステップと、
前記入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記証憑データの画像を一又は複数抽出する画像抽出ステップと、
前記抽出された画像を前記会計経理情報の近傍に表示する近傍表示ステップと、
をコンピュータにて実行可能とする会計経理情報入力支援プログラム。
【請求項7】
会計情報を含む証憑データの読み取りを行う証憑データ読取部と、
前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別するための文字識別部と、
前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像とを直接又は間接的に紐づけて取得する関連付け部と、
会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける会計経理処理情報入力受付部と、
前記入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記証憑データの画像を一又は複数抽出する画像抽出部と、
前記抽出された画像を前記会計経理情報の近傍に表示する近傍表示部と、
を有する会計経理情報入力支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計情報や経理情報を入力する際の好適なエビデンス参照のための方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
事業者における日々の取引においては、必然的に様々な入出金がなされ、それらの記録の管理は、税務・会計は言うに及ばず、日々のキャッシュフローの把握その他様々な観点から極めて重要である。ただ、そのいっぽうで、多くの従業員がいる企業においては、日々多くの取引がなされるし、逆に個人事業主においては、日々の業務に割く経営資源に制約があるため、なかなかタイムリーに入出金の情報を管理しきれない。
【0003】
そのため、事業者内部で経理担当者がそれらの取引情報の管理業務を担当したりするケースが多く、それらの者による好適な業務遂行を可能にするための各種支援システムの存在が知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、仕訳処理をおこなう際に、元帳に表示されている番号に基づいて関連する証憑データの画像と取引情報を取得して表示するための技術が開示されており、当該技術を用いることにより、仕訳伝票から取引発生時の明細を確認することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ただ、このような技術は、仕訳処理が予め適正になされていることを前提とするものであり、それであれば、わざわざ証憑データと文字データの両方を出力する必要性に乏しい。また、従来技術は、各種データの表示態様まで意識したものではなく、例えば各データが仕訳処理をするための画面表示に重畳して表示されてしまえば、却って業務の支障にすらなりえ、真に好適な表示態様が提供できているとは言い難かった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決すべく、本発明は、会計情報を含む証憑データの読み取りを行う証憑データ読取ステップと、前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別するための文字識別ステップと、前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像とを直接又は間接的に紐づけて保持する関連付けステップと、会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける会計経理処理情報入力受付ステップと、前記入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記証憑データの画像を一又は複数抽出する画像抽出ステップと、前記抽出された画像を前記会計経理情報の近傍に表示する近傍表示ステップと、をコンピュータにて実行する会計経理情報入力支援方法などを提案する。
【0008】
また上記発明に関連して、画像抽出ステップが前記入力を受け付けた会計経理情報との関連性の程度に応じて証憑データを抽出可能とする関連度判定サブステップをさらに有し、近傍表示ステップが、前記抽出された証憑データを、前記入力された会計経理情報との関連性の程度に応じて表示する関連度依存サブステップをさらに有する会計経理情報入力支援方法なども提案する。
【0009】
また上記各発明に関連して、文字識別ステップが証憑データに含まれる文字とともに当該証憑データの発行元の情報である発行元情報をも取得する発行元情報取得サブステップをさらに有し、関連付けステップが前記発行元情報をも用いて文字と証憑データの画像との紐づけを行う発行元情報利用サブステップをさらに有する会計経理情報入力支援方法なども提案する。
【0010】
また上記各発明に関連して、証憑データ読取ステップにて読み取った証憑データの画像を所定単位ごとに区分しそれぞれを区分画像として取得する区分画像取得ステップをさらに有し、関連付けステップが前記識別された文字と、当該文字に応じた区分画像とを直接又は間接的に紐づけて保持する区分画像関連付けサブステップをさらに有し、画像抽出ステップが前記入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記区分画像を一又は複数抽出する区分画像抽出サブステップをさらに有し、近傍表示ステップが前記抽出された区分画像を前記会計経理情報の近傍に表示する区分画像表示サブステップをさらに有する会計経理情報入力支援方法なども提案する。
【0011】
また上記各発明に関連して、文字識別ステップが識別した文字を所定単位ごとに区分し、それぞれを証憑データにおける配置位置を示す情報である配置位置情報とともに区分文字として識別する区分文字識別サブステップをさらに有し、近傍表示ステップにて表示された画像のうち所定領域の指定を受け付ける指定受付ステップをさらに有し、会計経理処理情報入力受付ステップが、前記指定を受け付けた領域に対応する配置位置情報を用いて、会計経理情報の入力を受け付ける、区分文字利用サブステップをさらに有する会計経理情報入力支援方法なども提案する。
【0012】
さらに、上記各方法に関連したプログラムやシステムなどに関する発明も提案する。
【発明の効果】
【0013】
主に以上のような構成をとる本発明によって、仕訳処理を始めとする各種業務の遂行に際し、好適な視覚環境のもと、各種情報の入力を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の会計経理情報入力支援システムの概略図
【
図2】実施形態1の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図
【
図3】証憑データ取得対象たりうるレシートの一例を示す図
【
図4】実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおける関連付け処理の一例を示す図
【
図5】実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおけるディスプレイへの近傍表示の一例を示す図
【
図6】実施形態1の会計経理情報入力支援システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図
【
図7】実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおける初期の処理の流れの一例を示す図
【
図8】実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図
【
図9】実施形態2の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図
【
図10】実施形態2の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図
【
図11】実施形態3の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図
【
図12】実施形態3の会計経理情報入力支援システムにおける初期の処理の流れの一例を示す図
【
図13】実施形態3の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図
【
図14】実施形態4の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図
【
図15】実施形態4の会計経理情報入力支援システムにおける初期の処理の流れの一例を示す図
【
図16】実施形態4の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図
【
図17】実施形態5の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図
【
図18】実施形態5の会計経理情報入力支援システムにおける初期の処理の流れの一例を示す図
【
図19】実施形態5の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず
図1を示す。
図1は本発明の概要を示す図である。同図に示されているように、本発 明は、一又は複数のサービスサーバ0101、0102と、事業者が管理する端末である事業者端末0111、当該事業者の出金状況や会計処理を管理するための外部サーバ0121、そしてそれらの各処理を確認する会計士等の外部専門家の管理する端末である外部専門家端末0131などとの間で行われるネットワークを介した情報の送受信を通じて実現されうる。
【0016】
なお、さきに述べたとおり、本発明は一又は複数のサービスサーバ0101、0102により実現されうる。複数のサービスサーバを用いる場合の具体例を上げると、事業者端末0111や外部サーバ0121から証憑データを取得するための読取サーバ、前記取得した証憑データの画像を種々のデータを紐づけて保持するデータサーバ、会計経理情報の入力を受けつけて保持する会計経理処理サーバなどを相互にオンライン又はオフラインのネットワークを介して接続することで用いることが考えられ、一部の機能を外部サーバにて処理したうえで、APIその他の態様にて当該処理結果である情報を取得するような構成も考えられる。
【0017】
次に、事業者端末や外部専門家端末については、その種別を特に限定することはなく、例えば、パソコン0111やスキャナ0112、スマートフォン0113、タブレット0114などが考えられ、その他にもスマートペンなどが考えられる。
【0018】
なお、ここまでは
図1を用いて、各種サービスサーバが事業者端末とは別個に構成され、ネットワークを介しクラウドコンピューティングの形式にて提供されているケースを想定した説明を行ったが、本発明はかかる使用形態に限られるものではない。すなわち、本発明の機能を実行可能なプログラムを事業者端末にインストールすることにより、本発明において提供可能な機能の全部又は一部の処理を事業者端末において実行する、いわゆるオンプレミス型の形態にて提供されてももちろんよい。また、ここで述べたようなプログラムが格納された記録媒体を用いることによっても実現可能である。
【0019】
以下、本発明の各実施形態について図面とともに説明する。まず実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は主に請求項1、6、7などに対応する。実施形態2は主に請求項2などに対応する。実施形態3は主に請求項3などに対応する。実施形態4は主に請求項4などに対応する。実施形態5は主に請求項5などに対応する。ただし、各実施形態にて説明する技術的特徴は、他の実施形態にて説明する技術的特徴と組み合わせて用いられることも可能である。
【0020】
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、技術常識に従って特許請求の範囲の各請求項に記載の技術的思想を有し、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施し得る。
【0021】
<<実施形態1>>
<概要>
図2は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「会計経理情報入力支援システム」0200は、「証憑データ読取部」0201と、「文字識別部」0202と、「関連付け部」0203と、「会計経理処理情報入力受付部」0204と、「画像抽出部」0205と、「近傍表示部」0206と、を有する。
【0022】
なお、以下で詳しく説明する会計経理情報入力支援システムは、その機能の一又は複数の機能を複数の装置にて実現するようにも構成され得るものであって、その機能ブロックは、いずれもハードウェア又はソフトウェアとして実現され得る。コンピュータを用いるものを例にすれば、CPUやメインメモリ、GPU、TPU、画像メモリ、バス、二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ)、キーボードやマイク、タッチパネル、タッチパネルをタッチするための電子ペンなどの各種入力デバイス、スピーカ、ディスプレイその他各種出力デバイス、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他のアプリケーションプログラムなどが挙げられる。
【0023】
そしてメインメモリ上に展開したプログラムに従った演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が作成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムをクラウドコンピューティングその他の方法により組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0024】
<機能的構成>
「証憑データ読取部」0201は、会計情報を含む証憑データの読み取りを行うように構成されている。ここでいう会計情報は、事業所において行われる会計処理に必要な支出金額や支出日時、支出場所、支出先その他の情報を含んで構成され、レシートや領収証など出金先から発行された証票に記録されていたり、出金伝票や報告書など事業者内部にて作成された文書に記録されていたりする。これらの会計情報が記録された文書等をデータとして読み取りする具体的な手段としてはスキャナを用いた光学読取(OCR)機能を用いることが考えられ、その詳細な機能については特に限定はしない。ただ、OCR機能として提供される機能の一部として、後述する文字識別部に対応するような機能が提供される場合も考えられる。
【0025】
また、会計情報を含む証憑データは外部のサーバに保持されていてもよく、当該外部のサーバから取得することで読み取りを行う構成であってもよい。例えば、外部の経理システムに予め記録された証憑データを取得したり、出金先が管理するサーバとの通信を通じて証憑データを取得したりする構成があってもよい。
【0026】
ここで
図3を示す。同図は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける証憑データ取得対象たりうるレシート0300の一例を示す図である。同図に示されているように、証票には様々な情報が表示されており、本発明を用いてこれらの情報を効率的に管理することができる。同図で示されているレシート0300は、「ABCスタンド」というガソリンスタンドの千代田中央店でガソリンを入れた際のレシートであり、以下の各機能の説明においては、必要に応じて適宜、本レシートにまつわる取引の管理のための種々の処理を例に挙げて説明することとする。
【0027】
「文字識別部」0202は、前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別するための機能を備えるように構成されている。文書等紙面を読み取った場合であれば、当該紙面に記載される文字を識別することになり、外部サーバに記録された情報を読み取った場合であれば、当該情報を構成する文字を識別することとなる。
【0028】
なお、ここで行う識別処理は、当該証憑データに含まれる全ての文字を識別することまでを要求するものではない。すなわち、証憑データの一部のみを識別する処理もまた、ここでいう文字識別部の処理の内容となりうる。証憑データの一部を識別する一例としては、読取りを行った証憑データのうち予め指定された所定領域部分のみを識別対象とする処理や、外部サーバにて特定の項目と紐づけられて保持されている証憑データのみを識別対象とするような場合が考えられる。識別対象を限定することで、その後に行われる種々の処理を効率化し、情報量を必要最低限にとどめた状態で表示可能とすることを通じ、利用者による視認性の向上が可能となる。
【0029】
ここで識別された文字は、以後の各処理を通じて事業者等の利用者によって文字検索の対象となる。すなわち、特定の日付や支出先、支出費目、金額その他の情報として検索可能となり、係る処理を可能なように文字識別処理がなされることにより、会計経理処理及びその適正判断を円滑に行うことができるようになる。
【0030】
以上の処理について、
図3に示した例を用いて改めて説明する。証憑データの対象たる同図のレシートには、複数の領域ごとに文字・数字・図形などが記載されているところ、OCR処理などによってこれらの文字を読み取り識別することが考えられるし、当該証票がレシートであることが事前の設定等により判明している場合には、一般的なレシートにおける各文字の配置位置に応じた文字のみを識別するような処理をしてもよい。例えば、レシート最上部の領域には、発行元の情報が表示されている場合が多いことから、当該レシートの一部である当該領域0301内の文字のみを識別するように構成されてもよい。同様に、同図中0302で囲われた領域については証憑データの性質(領収書)、0303で囲われた領域については発行日時(2022年9月1日16時8分)、0304で囲われた領域については取引種別(現金)、0305で囲われた領域については取引内容(レギュラーガソリン22.34リットルの給油)、0306で囲われた領域については取引価額(3,620円)、0307で囲われた領域については当該発行元である事業者にて利用可能なポイントの明細(新規取得ポイントや利用可能ポイントの内訳)などがそれぞれ記載されており、これらの文字をそれぞれの領域単位で識別するような構成が考えられる。
【0031】
「関連付け部」0203は、前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像とを直接又は間接的に紐づけて保持するように構成されている。具体的には、文字と画像とを直接紐づけて一のサーバ等の記憶装置に保持するような処理や、共通のIDを介して文字と画像とを間接的に紐づけて同一又は別個のサーバ等の記憶装置に保持するような処理をおこなうことが考えられる。また、予め複数の定形語をリストアップしておき、識別された文字と類似すると判定される一又は複数の定形語をタグ付けしたうえで、当該タグを証憑データの画像と紐づけるような構成も考えられる。タグ付け処理をする構成を採用することで、後記画像抽出部における処理においてタグを用いた検索を行うことが可能となり、抽出処理の円滑化を図ることができる。
【0032】
なお、ここでは証憑データの画像が文字と紐づけられる対象となるが、前記読み取られた証憑データを画像処理する具体的な態様は、当該証憑データの読取処理の経緯に応じて種々考えられる。すなわち、紙面をスキャナ等の機器を用いて読み取る構成の場合には、当該読取処理の過程で画像処理がなされる。また、外部サーバに記録された証憑データを読み取るように当初の読取処理において画像処理がなされない構成の場合には、関連付け部における処理以前のいずれかあるいは関連付け部において当該証憑データの画像処理を行う。
【0033】
ここで
図4を示す。同図は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける関連付け処理の一例を示す図である。同図では、
図3を用いて説明しているガソリン給油取引に関する関連付け処理を行う場合の一例が示されている。すなわち、文字識別部での処理を通じて識別された文字が、当該識別処理結果に応じて所定の項目と紐づけて記録されており、それらの文字の情報が、表右端欄に表示されている「画像」欄記載のリンクと紐付けられている。当該リンク先には、外部サーバにて保持されている証憑データの画像が格納されている。文字と画像とは共通のIDである「管理ID」を通じて紐付けられているほか、文字識別処理の過程でタグ付けされた「車両費」「燃料費」「交通費」「ABCスタンド」などのタグとともに紐付けられており、当該処理により以後の検索・抽出処理の実効性を向上させている。
【0034】
「会計経理情報入力受付部」0204は、会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付けるように構成されている。かかる会計経理情報の入力受付は、基本的には事業者端末から行われる場合が想定されるが、外部専門家端末を通じて行われてもよい。また、事業者端末は、同一事業者内において前記証憑データの読み取り処理や関連付け処理において種々の情報の送受信を行う事業者端末とは異なる端末であってもよい。具体的には、読取処理等に関与する事業者端末が事業部門にて管理される端末であって、会計経理情報の入力受付は経理部門にて管理される端末であるような場合が考えられる。
【0035】
会計経理情報の入力受付処理は、事業者内における仕訳処理として行われる場合もあれば、伝票の作成、各種の予算管理などのための種々の経理処理として行われる場合もあり、それらの処理を行うための検索要求を受け付けるような場合にも行われ得る。本実施形態においては、特に入力受付処理の目的を限定はしないが、例えば検索要求を受け付けるような場合には、支出先、支出日時、支出金額、支出費目その他所定の性質を有する情報として上記関連付け部にて関連付けの対象となった項目等を指定して検索要求可能とするような構成が考えられる。
【0036】
「画像抽出部」0205は、前記入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記証憑データの画像を一又は複数抽出するように構成されている。上述の検索要求を受け付ける場合であれば、受け付けた会計経理情報をクエリとして検索処理を行い、当該処理結果としてヒットした文字と紐づけて保持される証憑データの画像を抽出する。仕訳処理や経理処理の一環として受け付けた会計経理情報については、当該入力内容に応じた検索処理を行ってもよいし、別途当該入力者からの検索要求を受け付けたうえで検索処理を行ってもよい。当該検索処理結果複数の証憑データの画像が抽出対象の候補となれば、それらを複数抽出する。ただし、所定のアルゴリズムに基づいてそれら複数の画像のうち、特定の画像のみを抽出するような構成があっても構わない。当該構成を採用することで、事業者において所定の情報を入力すれば、当該入力内容に応じて過去に保持された証憑データを抽出することが可能となる。
【0037】
「近傍表示部」0206は、前記抽出された画像を前記会計経理情報の近傍に表示するように構成されている。ここでいう「前記会計経理情報の近傍」との位置関係について、会計経理情報の全てに重畳しないように画像を表示することが望ましい。なお、ごく一部のみが重畳するような場合であっても、当該重畳の程度が会計経理情報の視認性が損なわれない程度のものであれば、本発明における近傍表示として許容されうる。そのような構成をとることで、表示された証憑データの画像と入力した会計経理情報とを並べて見比べることが可能となり、当該会計経理情報の内容が、証憑データの画像と整合性の取れている内容かを容易に把握可能に視認することができる。また、当該構成を採用していれば、仮に会計経理情報の内容が証憑データの画像と不整合である場合に、いちいち画面切り替え等の手間をかけることなく、当該証憑データの画像を見ながら会計経理情報の修正入力処理を行うことができる。
【0038】
このように、近傍表示においては、入力された会計経理情報の適否を判断するための処理を行うことになるため、「近傍」と判断されるのも、利用者が特段の困難性なく会計経理情報と証憑データの画像とを比較可能に視認できる相対位置に表示することが求められる。会計経理情報の真上、真下又は真横に表示するような構成が好ましく、例えばウェブブラウザを用いて当該表示を行うような場合には、画像を会計経理情報とは別のブラウザページに表示するような構成は避けることが望ましい。これらの構成を採用することで、事業者の経理担当者等においていちいち証憑データを読み出したり紙面たる証憑を持参したりせずとも、証憑との整合性の把握を容易にしながら会計経理処理を行うことが可能となる。
【0039】
ここで
図5を示す。同図は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける近傍表示の一例を示す図である。同図に示した例の場合、会計経理情報として、
図3を用いて説明したガソリン給油取引に関する仕訳処理に関する情報の入力を受け付けている。当該受け付けた入力内容に基づき、例えば、「燃料費」「3,261円」「現金」「ABCスタンド」などの各語の一又は複数を用いた検索処理を行いた結果として、
図3にて示したレシートの画像を抽出する。そして、当該抽出されたレシート画像を、上記会計経理情報の近傍である真下位置に表示する様子が示されている。レシート画像は、その全体が表示されているものの、記載内容の視認をより容易にするために、適宜拡大表示をすることも可能である。また、本図を用いた説明では
図3を用いて示したレシートの画像のみを表示させているが、画像抽出部における処理の結果如何では、複数の画像を抽出することも当然想定され、その場合には、本図の画像表示領域の左右下側に表示されているボタンを押すことにより、当該抽出結果の画像を切替表示することができる。このように、仕訳処理をする際に、当該仕訳の原因となる取引の証憑データ画像を特に目線を大きく動かすことなく簡易に確認することができることで、仕訳処理の誤入力や、確認作業の効率化を実現できる。
【0040】
ちなみに、
図5においては、会計経理情報の内容である金額として「3,261」円と入力されているところ、近傍表示された画像を確認することで、正しい取引金額は「3,260円」であることが容易に視認できる。そのため利用者は、例えば同表示画面右側にある『詳細確認』ボタンを押して入力済みの会計経理情報の修正処理を行ったり、同表示ページにおいて直接修正処理を行ったりすることができ、かかる処理ののち「入力完了」ボタンを押すなどして、当該取引の仕訳処理を完了させる。
【0041】
<具体的な構成>
ここで
図6を示す。同図は本実施形態の会計経理情報入力支援システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図である。各装置はいずれも、それぞれ各種演算処理を実行するための「CPU」0601と、「記憶装置(記憶媒体)」0602と、「メインメモリ」0603と、「入出力インタフェース」0604、「ネットワークインタフェース」0605と、を備え、入出力インタフェースを介して、例えば「キーボード」0606などの外部周辺装置と情報の送受信を行う。
【0042】
また、本実施形態の会計経理情報入力支援システムは、ネットワークインタフェースを介して複数の「事業者端末」0607や「外部専門家端末」0608、あるいは外部サービスを運営する「外部サーバ」0609などの外部装置と情報の送受信を行いうる。このネットワークインタフェースの具体的な態様は有線、無線を問わず、また通信の方法も、両端末間で直接、間接なされるかを問わない。よって特定の外部装置ないし同装置の利用者と紐づけられた第三者の管理するサーバとの間で情報の送受信を行ういわゆるクラウドコンピューティングの形式を採用することも可能である。
【0043】
記憶装置には以下で説明するような各種プログラムが格納されており、CPUはこれら各種プログラムをメインメモリのワーク領域内に読み出して展開、実行する。なお、これらの構成は、「システムバス」0699などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う(以上の構成の基本的な構成は、以下で説明する他の装置のいずれについても同様である。
【0044】
(証憑データ読取部の具体的な構成)
証憑データ読取部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「証憑データ読取プログラム」0610をメインメモリに読み出して実行し、会計情報を含む証憑データの読み取りを行い、当該結果をメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0045】
(文字識別部の具体的な構成)
文字識別部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「文字識別プログラム」0620をメインメモリに読み出して実行し、証憑データ読取プログラムの実行結果に応じて読み取られた証憑データに含まれる文字を識別する処理を行い、当該処理結果をメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0046】
(関連付け部の具体的な構成)
関連付け部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「関連付けプログラム」0630をメインメモリに読み出して実行し、前記文字識別プログラムの実行により識別された文字と、前記証憑データ読取プログラムの実行により読み取られた証憑データの画像とを直接又は間接的に紐づける処理を行う。
【0047】
(会計経理処理情報入力受付部の具体的な構成)
会計経理処理情報入力受付部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付けると、CPUが記憶装置から「会計経理処理情報入力受付プログラム」0640をメインメモリに読み出して実行し、当該入力内容を取得しメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0048】
(画像抽出部の具体的な構成)
画像抽出部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「画像抽出プログラム」0650をメインメモリに読み出して実行し、会計経理処理情報入力受付プログラムの実行により受け付けた会計経理情報を用いて、サーバの所定領域への検索処理を実行し、前記証憑データの画像を一又は複数抽出する。
【0049】
(近傍表示部の具体的な構成)
近傍表示部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「近傍表示プログラム」0660をメインメモリに読み出して実行し、前記画像抽出プログラムの実行により抽出された画像を前記会計経理情報の近傍に表示出力する。
【0050】
<処理の流れ>
図7は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0701では、会計情報を含む証憑データの読み取りを行い(証憑データ読取ステップ)、ステップS0702では、前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別する(文字識別ステップ)。その後ステップS0703として、前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像とを直接又は間接的に紐づけて保持する(関連付けステップ)。その後は外部から会計経理情報の入力を受け付けるまでは特段の処理を行わず、必要に応じてステップS0701の処理に戻る。
【0051】
図8は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける関連付けステップ以降の処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。まずステップS0801において会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける(会計経理処理情報入力受付ステップ)と、ステップS0802にて、前記入力を受け付けた会計経理情報を用いた検索処理をおこなう。ここでの検索処理の結果が、関連する証憑データの画像が抽出可能との内容である場合には、ステップS0803にて当該証憑データの画像を一又は複数抽出する(画像抽出ステップ)とともにステップS0804の処理に移行する。該当する証憑データの不存在その他の判断理由で抽出が不可能との内容である場合には、その旨の情報を出力したうえで、ステップS0801の処理にもどるか、以後の処理を行わない。
【0052】
ステップS0804では、前記抽出された画像を前記会計経理情報の近傍に表示する(近傍表示ステップ)。ここで抽出された画像が複数ある場合には、それら複数の画像を所定タイミングで順次表示するような表示制御を行ったり、表示幅に応じて複数の画像を一覧視できるような表示制御を行ったりしてもよい。
【0053】
<効果>
以上の構成を採用する会計経理情報入力支援システムを利用することにより、仕訳処理を始めとする各種業務の遂行に際し、好適な視覚環境のもと、各種情報の入力や確認を支援することができる。
【0054】
<<実施形態2>>
<概要>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムは、基本的には実施形態1に記載の会計経理情報入力支援システムの技術的特徴と同様であるが、証憑データの画像を抽出する際に、前記入力を受け付けた会計経理情報との関連性の程度に応じて証憑データを抽出可能とし、当該抽出された証憑データの近傍に表示する際に、当該証憑データを、前記入力された会計経理情報との関連性の程度に応じて表示する点において更なる特徴を有している。
【0055】
<機能的構成>
図9は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「会計経理情報入力支援システム」0900は、「証憑データ読取部」0901と、「文字識別部」0902と、「関連付け部」0903と、「会計経理処理情報入力受付部」0904と、「画像抽出部」0905と、「近傍表示部」0906と、を有し、画像抽出部は「関連度判定手段」0915を、近傍表示部は「関連度依存手段」0916をさらに有する。基本的な構成は、実施形態1の
図2を用いて説明した会計経理情報入力支援システムと共通するため、以下では相違点である「関連度判定手段」0915と「関連度依存手段」0916の機能について説明する。
【0056】
「関連度判定手段」0915は、画像抽出部において、前記入力を受け付けた会計経理情報との関連性の程度に応じて証憑データを抽出可能とするように構成されている。ここでの関連性は、例えば、入力された会計経理情報と、証憑データと紐づけられる文字との一致又は類否を基準に判断することが考えられる。例えば、「ガソリン代」「2022年9月」などの会計経理情報が入力された場合には、それらの全部又は一部を含む文字と紐づけられる証憑データを全て抽出するといった具合である。会計経理情報の一部を含む文字と紐づけられる証憑データをも抽出することにより、記入の曖昧な出金記録が存在する場合であっても、近傍表示による比較を通じて、適正な経理処理への修正等をおこなうことが可能となる。
【0057】
「関連度依存手段」0916は、近傍表示部において、前記抽出された証憑データを、前記入力された会計経理情報との関連性の程度に応じて表示するように構成されている。関連性の程度としては、上述した例の場合で言えば、まず「ガソリン代」「2022年9月」の語を両方含む文字と紐づけられる証憑データが最も関連性が強いことになる。ただ、それ以外の関連性の判定については適宜のルールを設けてもよい、例えば、「ガソリン代」などの費目については、予め当該費目に対応して計上される金額に一定の幅(例えば1000円~10000円など)を設けておき、仮に「ガソリン代」との語と紐づいていない証憑データであっても、当該金額の幅内の金額が形状されている文字と紐づけられている証憑データであれば、一定の関連性があると判定してもよい。また、日時についても、「2022年9月」との語と直接紐づいていなくても、近接した日付(例えば「2022年8月」など)との語と紐づいていれば一定の関連性があると判定してもよいし、そもそも全く日付をあらわす語と紐づいていない証憑データについては、低いながらも一定の関連性はあると判定する(この場合は日付の読取処理が失敗しているなどの原因が想定されるため)ことも可能である。これらのように、関連性判定のためのルールをあらかじめ保持しておき、かかるルールを用いて関連性判定をおこなうことで、読取処理が不十分であったような場合であっても、事後の会計経理処理の際の人的確認を行う際のチェック漏れを抑止することが可能となる。
【0058】
なお、関連性の程度に応じた表示の具体例としては、最も関連性が高いと判定された証憑データから順に、関連性の高い順に抽出された証憑データを一つずつ切り替え可能に表示させるような構成が望ましい。当該構成を採用することで、会計経理情報の近傍に複数の証憑データを表示させるよりも高い視認性を確保でき、利用者にとってストレスの少ない表示環境を提供できる。
【0059】
<具体的な構成>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、
図6を用いて説明した実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「関連度判定手段」及び「関連度依存手段」の具体的な処理について説明する。
【0060】
(関連度判定手段の具体的な構成)
関連度判定手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、画像抽出プログラムの実行に際し、CPUが記憶装置から「関連度判定サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、入力を受け付けた会計経理情報と関連付けプログラムの実行を通じて記録されている文字との比較処理を行うとともに、当該比較処理の結果に応じて、当該文字と紐づけられた証憑データの関連度合いを判定する処理を行う。
【0061】
(関連度依存手段の具体的な構成)
関連度依存手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、近傍表示プログラムの実行に際し、CPUが記憶装置から「関連度依存サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、関連度判定サブプログラムを含む画像抽出プログラムの実行により抽出された証憑データを読み出し、入力された会計経理情報との関連性の程度に応じて表示出力する。
【0062】
<処理の流れ>
図10は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図である。なお、本実施形態の会計経理情報入力支援システムのうちステップS1001までの処理については、
図7を用いて説明した実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおけるステップS0701からステップS0703までの処理の流れと同様であるため、以下では異なる処理の流れに関するステップS0703以降の処理の流れについて説明する。
【0063】
同図の処理の流れは以下のステップからなる。まずステップS1001において会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける(会計経理処理情報入力受付ステップ)と、ステップS1002にて、前記入力を受け付けた会計経理情報を用いた検索処理をおこなう。ここでの検索処理の結果が、関連する証憑データの画像が抽出可能との内容である場合には、ステップS1003として、前記入力を受け付けた会計経理情報との関連性の程度を判定し、当該判定結果に応じて証憑データを抽出可能とし(関連度判定サブステップ)、当該証憑データの画像を一又は複数抽出する(画像抽出ステップ)とともにステップS1004の処理に移行する。該当する証憑データの不存在その他の判断理由で抽出が不可能との内容である場合には、その旨の情報を出力したうえで、ステップS1001の処理にもどるか、以後の処理を行わない。
【0064】
ステップS1004では、前記抽出された画像を、前記抽出された証憑データの画像を、前記入力された会計経理情報との関連性の程度に応じて前記会計経理情報の近傍に表示する(関連度依存表示ステップ)。ここで抽出された画像が複数ある場合には、それら複数の画像を所定タイミングで順次表示するような表示制御を行ったり、表示幅に応じて複数の画像を一覧視できるような表示制御を行ったりしてもよい。
【0065】
<効果>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムを用いることにより、実施形態1の会計経理情報入力支援システムを用いる場合に比べて、関連付け処理や同処理に先立つ証憑データ読取処理、文字識別処理に一定の不備がある場合であっても、事後的な人的確認の余地を残すことができる。
【0066】
<<実施形態3>>
<概要>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムは、基本的には実施形態1に記載の会計経理情報入力支援システムの技術的特徴と同様であるが、証憑データに含まれる文字を識別する際に、証憑データに含まれる文字とともに当該証憑データの発行元の情報である発行元情報を取得し、前記発行元情報をも用いて文字と証憑データの画像との紐づけを行う点を更なる特徴として備えている。
【0067】
<機能的構成>
図11は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「会計経理情報入力支援システム」1100は、「証憑データ読取部」1101と、「文字識別部」1102と、「関連付け部」1103と、「会計経理処理情報入力受付部」1104と、「画像抽出部」1105と、「近傍表示部」1106と、を有し、文字識別部は「発行元情報取得手段」1112を、関連付け部は「発行元情報利用手段」1113をさらに有する。基本的な構成は、実施形態1の
図2を用いて説明した会計経理情報入力支援システムと共通するため、以下では相違点である「発行元情報取得手段」1112と「発行元情報利用手段」1113の機能について説明する。
【0068】
「発行元情報取得手段」1112は、文字識別部において、証憑データに含まれる文字とともに当該証憑データの発行元の情報である発行元情報をも取得するように構成されている。具体的な取得の態様の一例としては、証憑データに含まれる文字のうち事業者を意味するキーワードが含まれている単語を識別するような処理を行うことが考えられる。たとえば、「会社」など商号の一部に使われるような語や「店」「商店」「屋」などの屋号に使われるような語、「法人」のように事業主体に付されるような語などが含まれている単語を事業者を意味するキーワードとして識別子、当該単語を発行元として取り扱うような処理が考えられる。
図3を用いた例の場合で言えば、上述した領域0301に含まれる情報を発行元情報として取得するような具合である。
【0069】
また、証憑データにおける各文字の配置ないし記載の位置にもとづいて発行元情報を取得するような構成も考えられる。例えば、数字やアルファベットの羅列により表記されるのが通常である電話番号やFAX番号、電子メールアドレスなどの文字が識別される場合、当該文字のすぐ近くに表示されている文字を発行元として取り扱うような処理が考えられる。また、領収証や請求書などの定型書式からなる証憑データの場合、予め当該書式における発行元情報の記載位置を記憶しておき、当該記憶に基づいて発行元情報を取得するような構成があってもよい。また、予め所定の事業者の登録商標やロゴマークその他の標章画像データを当外事業者に関する情報と紐づけて保持しておき、証憑データ上に標章画像データがあると判定した場合に、当該画像データを発行元情報取得に用いる事も考えられる(
図3の領域0301右側にも、ABCスタンドのロゴマートと思しき標章が表示されている。)。これらの構成を単独であるいは複数組み合わせて備えることにより、証憑データを読み取る際に、特段の入力処理や選択処理を要することなく、当該証憑データの発行主体を識別することが可能になる。
【0070】
なお、発行元情報は、発行元に関する情報として、証憑データ上の文字以外の情報を含んで構成されてももちろんよい。すなわち、証憑データ上に発行元に関する情報が表示されている場合に、当該情報をキーとしてサービスサーバと情報の送受信を行い、かかるキーと関連する発行元に関する情報を取得してそれらすべての情報をまとめて発行元情報をして構成させるようなことも可能である。具体的には、証憑データ上に特定の事業者名称が表示されていると判断される場合に、当該事業者名称をキーに、当該事業者名称と紐付けられる事業者との過去の取引実績などの情報を取得しそれらの情報をまとめて発行元情報とすることも可能である。当該構成を採用することにより、後に会計経理情報を入力した際の確認作業の精度をより高めるための処理が実行可能になる。
【0071】
「発行元情報利用手段」1113は、関連付け部において、前記発行元情報をも用いて文字と証憑データの画像との紐づけを行うように構成されている。具体的には、文字と画像に加え、発行元情報をも紐づけてともに一のサーバ等の記憶装置に保持するような処理や、共通のタグやID等の識別子を介して文字と画像と発行元情報とを間接的に紐づけて同一又は別個のサーバ等の記憶装置に保持するような処理をおこなうことが考えられる。当該構成を採用することにより、会計経理情報の入力を受け付けた際に、文字を用いた検索処理だけにとどまらず、当該文字と紐付けられた発行元情報を用いた検索処理を通じて前記証憑データの画像を一又は複数抽出することも可能となり、検索精度の向上が企図できる。
【0072】
<具体的な構成>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、
図6を用いて説明した実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「発行元情報取得手段」及び「発行元情報利用手段」の具体的な処理について説明する。
【0073】
(発行元情報取得手段の具体的な構成)
発行元情報取得手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、文字識別プログラムの処理に際し、CPUが記憶装置から「発行元情報取得プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、証憑データに含まれる文字とともに当該証憑データの発行元の情報である発行元情報をも取得してメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0074】
(発行元情報利用手段の具体的な構成)
発行元情報利用手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、関連付けプログラムの処理に際し、CPUが記憶装置から「発行元情報利用プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、文字と証憑データの画像とに加え前記発行元情報をも用いて相互の紐づけのための処理を行う。
【0075】
<処理の流れ>
図12は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS1201では、会計情報を含む証憑データの読み取りを行い(証憑データ読取ステップ)、ステップS1202では、前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別する(文字識別ステップ)。その際ステップS1212として、当該文字とともに当該証憑データの発行元の情報である発行元情報を取得する(発行元情報取得サブステップ)。その後ステップS1203として、前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像と、前記発行元情報とを直接又は間接的に紐づけて保持する(発行元情報利用関連付けステップ)。その後は外部から会計経理情報の入力を受け付けるまでは特段の処理を行わず、必要に応じてステップS1201の処理に戻る。
【0076】
図13は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける関連付けステップ以降の処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。まずステップS1301において会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける(会計経理処理情報入力受付ステップ)と、ステップS1302にて、前記入力を受け付けた会計経理情報や発行元情報を用いた検索処理をおこなう。ここでの検索処理の結果が、関連する証憑データの画像が抽出可能との内容である場合には、ステップS1303として、当該証憑データの画像を一又は複数抽出する(画像抽出ステップ)とともにステップS1304の処理に移行する。該当する証憑データの不存在その他の判断理由で抽出が不可能との内容である場合には、その旨の情報を出力したうえで、ステップS1301の処理にもどるか、以後の処理を行わない。なお、ステップS1304の処理については、
図8を用いて説明した近傍表示ステップ(S0803)の処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0077】
<効果>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムを用いることにより、実施形態1の会計経理情報入力支援システムを用いる場合に比べて、同一発行元と想定される事業者による過去の証憑データを参照しつつ会計経理情報の入力当否を視覚的に容易に判断できるようにすることができる。
【0078】
<<実施形態4>>
<概要>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムは、基本的には実施形態1に記載の会計経理情報入力支援システムの技術的特徴と同様であるが、証憑データを読み取る際に、画像を所定単位ごとに区分しそれぞれを区分画像として取得し、前記識別された文字と、当該文字に応じた区分画像とを直接又は間接的に紐づけて保持するとともに、入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記区分画像を一又は複数抽出したうえで、前記会計経理情報の近傍に表示する点を更なる特徴として備えている。
【0079】
<機能的構成>
図14は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「会計経理情報入力支援システム」1400は、「証憑データ読取部」1401と、「文字識別部」1402と、「関連付け部」1403と、「会計経理処理情報入力受付部」1404と、「画像抽出部」1405と、「近傍表示部」1406と、「区分画像取得部」1407を有し、関連付け部は「区分画像関連付け手段」1413を、画像抽出部は「区分画像抽出手段」1415を、近傍表示部は「区分画像表示手段」1416をさらに有する。基本的な構成は、実施形態1の
図2を用いて説明した会計経理情報入力支援システムと共通するため、以下では相違点である「区分画像取得部」1407、「区分画像関連付け手段」1413、「区分画像抽出手段」1415、及び「区分画像表示手段」1416の機能について説明する。
【0080】
「区分画像取得部」1407は、証憑データ読取部にて読み取った証憑データの画像を所定単位ごとに区分しそれぞれを区分画像として取得するように構成されている。例えば、ある領収証を証憑データとして読取処理したような場合、当該証憑データのうち支出先、支出日時、支出金額、支出費目その他所定の性質を有する情報として表記されている個々の文字について、かかる性質に対応する所定単位ごとに区分した領域に区分し、当該区分された領域内の文字の画像とともに紐づけられる。
図3を用いて説明してきたレシートに置いても、上述の0301ないし0307の各領域の画像を区分画像として取得するような処理が考えられる。
【0081】
証憑データの画像を識別された文字と対応する範囲において紐づける具体的な処理の一例としては、証憑データの画像のうち利用者からの前記所定単位を画するための範囲選択要求及び所定の文字との関連付け要求を受付け、かかる要求に応じて共通のIDを付与するなどの関連付けを行う構成が考えられる。また、OCRなどの光学読取処理を行う場合には、所定領域内に存在すると読取判断される文字について、当該読取判断の前提となった領域の画像と紐づけるような処理が考えられる。
【0082】
なおこの場合、単位ごとに細分化された区分画像は、それぞれもととなる証憑データの画像と紐付けられるよう、証憑データとの間で親子関係を示すための識別子を付与することが考えられる。
図3を用いたレシートの画像を区分画像として取得する場合には、
図4において同図と紐付けられた管理IDとして「101467」が割り当てられており、例えば区分画像ごとに「101467-1」「101467-2」などといった、同IDと関連付けられたIDを付与するような構成がその一例である。また、識別子は単に親子関係を示すことのみを内容とするにとどまらず、証憑データの画像のうち当該区分画像の相対位置を表すための情報(例えば座標情報など)を把握可能な情報として付与されることも考えられる。当該構成を採用することにより、以後の区分画像の配置位置に対応した処理の円滑化を実現できるようになる。
【0083】
「区分画像関連付け手段」1413は、関連付け部において、前記識別された文字と、当該文字に応じた区分画像とを直接又は間接的に紐づけて保持するように構成されている。具体的な紐づけの処理は、実施形態1において関連付け部の機能として説明した処理を、区分画像において同様に適用することにおいて実現可能である。
【0084】
「区分画像抽出手段」1415は、画像抽出部において、前記識別された文字と、当該文字に応じた区分画像とを直接又は間接的に紐づけて保持するように構成されている。具体的な検索処理及び抽出処理はいずれも、実施形態1において画像抽出部の機能として説明した処理を、区分画像において同様に適用することにおいて実現可能である。
【0085】
「区分画像表示手段」1416は、近傍表示部において、前記抽出された区分画像を前記会計経理情報の近傍に表示するように構成されている。具体的な近傍表示処理はいずれも、実施形態1において近傍表示部の機能として説明した処理を、区分画像において同様に適用することにおいて実現可能である。
【0086】
<具体的な構成>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、
図6を用いて説明した実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「区分画像取得部」、「区分画像関連付け手段」、「区分画像抽出手段」及び「区分画像表示手段」の具体的な処理について説明する。
【0087】
(区分画像取得部の具体的な構成)
区分画像取得部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「区分画像取得プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、証憑データ読取プログラムの実行により読み取った証憑データの画像を所定単位ごとに区分しそれぞれを区分画像として取得するとともに、メインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0088】
(区分画像関連付け手段の具体的な構成)
区分画像関連付け手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、関連付けプラグラムの実行に際してCPUが記憶装置から「区分画像関連付けサブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、文字識別プログラムの実行により識別された文字と、区分画像取得プログラムの実行により当該文字に応じて取得した区分画像とを直接又は間接的に紐づける処理を行うとともに、メインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0089】
(区分画像抽出部の具体的な構成)
区分画像抽出手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、画像抽出プラグラムの実行に際してCPUが記憶装置から「区分画像抽出サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、会計経理情報入力受付プログラムの実行を通じて入力を受け付けた会計経理情報を用いて、前記区分画像を一又は複数抽出する処理を行う。
【0090】
(区分画像表示手段の具体的な構成)
区分画像表示手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、近傍表示プラグラムの実行に際してCPUが記憶装置から「区分画像表示サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、前記抽出された区分画像を前記会計経理情報の近傍に表示出力する。
【0091】
<処理の流れ>
図15は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS1501では、会計情報を含む証憑データの読み取りを行うが(証憑データ読取ステップ)、このときステップS1502として、読み取った証憑データの画像を所定単位ごとに区分しそれぞれを区分画像として取得する(区分画像取得ステップ)。その後ステップS1503では、前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別する(文字識別ステップ)。その後ステップS1504として、前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像のうち当該文字と紐付けられる区分画像とを直接又は間接的に紐づけて保持する(区分画像関連付けステップ)。その後は外部から会計経理情報の入力を受け付けるまでは特段の処理を行わず、必要に応じてステップS1501の処理に戻る。
【0092】
図16は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける関連付けステップ以降の処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。まずステップS1601において会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける(会計経理処理情報入力受付ステップ)と、ステップS1602にて、前記入力を受け付けた会計経理情報を用いた検索処理をおこなう。ここでの検索処理の結果が、関連する証憑データの画像のうち所定の区分画像が抽出可能との内容である場合には、ステップS1603として当該区分画像を一又は複数抽出する(区分画像抽出サブステップ)とともにステップS1604の処理に移行する。該当する証憑データの不存在その他の判断理由で抽出が不可能との内容である場合には、その旨の情報を出力したうえで、ステップS1601の処理にもどるか、以後の処理を行わない。
【0093】
ステップS1604では、前記抽出された区分画像を前記会計経理情報の近傍に表示する(区分画像近傍表示ステップ)。ここで抽出された画像が複数ある場合には、それら複数の画像を所定タイミングで順次表示するような表示制御を行ったり、表示幅に応じて複数の画像を一覧視できるような表示制御を行ったりしてもよい。
【0094】
<効果>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムを用いることにより、実施形態1の会計経理情報入力支援システムを用いる場合に比べて、利用者にとって真に必要な情報のみを比較可能に表示し、会計経理処理の効率化を図ることが可能となる。
【0095】
<<実施形態5>>
<概要>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムは、基本的には実施形態1に記載の会計経理情報入力支援システムの技術的特徴と同様であるが、証憑データの文字を識別する際に当該識別した文字を所定単位ごとに区分し、それぞれを証憑データにおける配置位置を示す情報である配置位置情報とともに区分文字として識別するとともに、会計経理情報の近傍に表示された画像のうち所定領域の指定を受け付けると、前記指定を受け付けた領域に対応する配置位置情報を用いて会計経理情報の入力を受け付ける点を更なる特徴として備えている。
【0096】
<機能的構成>
図17は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「会計経理情報入力支援システム」1700は、「証憑データ読取部」1701と、「文字識別部」1702と、「関連付け部」1703と、「会計経理処理情報入力受付部」1704と、「画像抽出部」1705と、「近傍表示部」1706と、「指定受付部」1707を有し、文字識別部は「区分文字識別手段」1712を、会計処理情報入力受付部は「区分文字利用手段」1714をさらに有する。基本的な構成は、実施形態1の
図2を用いて説明した会計経理情報入力支援システムと共通するため、以下では相違点である「指定受付部」1707、「区分文字識別手段」1712と「区分文字利用手段」1714の機能について説明する。
【0097】
「区分文字識別手段」1712は、文字識別部において、識別した文字を所定単位ごとに区分し、それぞれを証憑データにおける配置位置を示す情報である配置位置情報とともに区分文字として識別するように構成されている。所定単位の区分方法については、実施形態4にて説明した区分画像の取得態様と同様の処理を行うことが考えられる。当該構成を採用することにより、後日の会計経理処理の実務を担う利用者による、区分文字の利用に関し利便性の向上を図ることが可能となる。
【0098】
「指定受付部」1707は、近傍表示部にて表示された画像のうち所定領域の指定を受け付けるように構成されている。事業者端末の表示画面上の所定利用域の指定をクリックその他の選択処理を通じて受付けることとなる。
【0099】
「区分文字利用手段」1714は、文字識別部において、前記指定を受け付けた領域に対応する配置位置情報を用いて、会計経理情報の入力を受け付けるように構成されている。具体的には、既に入力されている会計経理情報に対し、指定を受け付けた所定領域に記載される区分文字を上書き処理するような構成が考えられる。実施形態1において説明したように、文字の読取り処理は種々の機能を通じて実現可能であるところ、後に会計経理処理を行う際、例えば仕訳処理を行う場合に、区分文字利用手段のもとで区分文字を読み取ることにより、所定取引の仕訳処理に必要な種々の情報を利用者の手による入力受付の煩雑さを回避し、既に保持する情報からの転記処理という形式にて便宜に実現することが可能となる。
【0100】
<具体的な構成>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、
図7を用いて説明した実施形態1の会計経理情報入力支援システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「指定受付部」、「区分文字識別手段」及び「区分文字利用手段」の具体的な処理について説明する。
【0101】
(区分文字識別手段の具体的な構成)
区分文字識別手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、文字識別プログラムの実行に際し、CPUが記憶装置から「区分文字識別サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、識別した文字を所定単位ごとに区分し、それぞれを証憑データにおける配置位置を示す情報である配置位置情報とともに区分文字として識別する。
【0102】
(指定受付部の具体的な構成)
指定受付部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「指定プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、近傍表示プログラムの実行により表示された画像の所定領域の指定ないし選択を受け付ける。
【0103】
(区分文字利用手段の具体的な構成)
区分文字利用手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、会計経理処理情報入力受付プログラムの実行に際し、CPUが記憶装置から「区分文字利用サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、前記指定受付プログラムの実行により指定ないし選択を受け付けた領域に対応する配置位置情報を用いて、会計経理情報の入力を受け付ける。
【0104】
<処理の流れ>
図18は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS1801では、会計情報を含む証憑データの読み取りを行うが(証憑データ読取ステップ)、このときステップS1802として、読み取った証憑データの画像を所定単位ごとに区分しそれぞれを区分画像として取得する(区分画像取得ステップ)。その後ステップS1803では、前記読み取りの結果に応じて当該証憑データに含まれる文字を識別する(文字識別ステップ)。その後ステップS1804として、前記識別された文字と、前記読み取られた証憑データの画像のうち当該文字と紐付けられる区分画像とを直接又は間接的に紐づけて保持する(区分画像関連付けステップ)。その後は外部から会計経理情報の入力を受け付けるまでは特段の処理を行わず、必要に応じてステップS1801の処理に戻る。
【0105】
図19は、本実施形態の会計経理情報入力支援システムにおける関連付けステップ以降の処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。まずステップS1901において会計又は経理処理のための所定の情報である会計経理情報の入力を受け付ける(会計経理処理情報入力受付ステップ)と、ステップS1902にて、前記入力を受け付けた会計経理情報を用いた検索処理をおこなう。ここでの検索処理の結果が、関連する証憑データの画像のうち所定の区分画像が抽出可能との内容である場合には、ステップS1903として当該区分画像を一又は複数抽出する(区分画像抽出サブステップ)とともにステップS1904の処理に移行する。該当する証憑データの不存在その他の判断理由で抽出が不可能との内容である場合には、その旨の情報を出力したうえで、ステップS1901の処理にもどるか、以後の処理を行わない。
【0106】
ステップS1904では、前記抽出された区分画像を前記会計経理情報の近傍に表示する(区分画像近傍表示ステップ)。ここで抽出された画像が複数ある場合には、それら複数の画像を所定タイミングで順次表示するような表示制御を行ったり、表示幅に応じて複数の画像を一覧視できるような表示制御を行ったりしてもよい。
【0107】
そしてその後、ステップS1905にて当該近傍に表示された画像のうち所定領域の指定があるか否かを判断する。ここで指定があると判断した場合は、ステップS1901の処理に戻り、当該指定領域内の文字の入力処理を行う。指定があるとの判断結果に至らない場合は、特にその後の処理は行わない。
【0108】
<効果>
本実施形態の会計経理情報入力支援システムを用いることにより、実施形態1の会計経理情報入力支援システムを用いる場合に比べて、仕訳処理を始めとする会計経理情報の入力処理において利用者の利便性向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0109】
0200・・・会計経理情報入力支援システム、0201・・・証憑データ読取部、0202・・・文字識別部、0203・・・関連付け部、0204・・・会計情報入力受付部、0205・・・画像抽出部、0206・・・近傍表示部