IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

特開2024-84179矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法
<>
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図1
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図2
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図3
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図4
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図5
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図6
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図7
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図8
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図9
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図10
  • 特開-矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084179
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240618BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240618BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H01L21/68 F
H01L21/68 A
B25J9/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198303
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 成樹
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707KS05
3C707KT01
3C707KT06
3C707LT12
3C707NS12
5F131AA12
5F131CA37
5F131CA38
5F131CA55
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DA54
5F131DA62
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB76
5F131DD03
5F131DD29
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD76
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131FA32
5F131FA33
5F131GA14
5F131KA14
5F131KA72
5F131KB07
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB54
5F131KB55
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】容器内、処理工程、搬送工程における矩形基板の位置ずれを、ロボットの構成に依存することなくアライナ側で対応可能とし、アライナと矩形基板の干渉も解消可能とした、アライメント装置を実現する。
【解決手段】アライメント装置3を、移動可能なステージ31aを備えたアライナ31と、ステージ31aの上方に搬送されて降下前の矩形基板Wの位置ずれを検出する位置ずれ検出手段であるカメラ32と、矩形基板Wの位置ずれが所定範囲外である場合にステージ31aをアライメント開始位置から矩形基板Wとの相対変位が解消する受取位置に移動させる制御手段とを備え、制御手段は矩形基板Wを受け取ったステージ31aをアライメント開始位置に復帰させるように構成した。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なステージを備えたアライナと、前記ステージの上方に搬送されて降下前の矩形基板の位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、前記矩形基板の位置ずれが所定範囲外である場合に前記ステージをアライメント開始位置から前記矩形基板との相対変位が解消する受取位置に移動させる制御手段とを備え、制御手段は矩形基板を受け取ったステージをアライメント開始位置に復帰させることを特徴とする、矩形基板のアライメント装置。
【請求項2】
前記位置ずれ検出手段は、アライメント開始位置に復帰した矩形基板の位置ずれを更に検出し、前記制御手段は、アライメント開始位置に復帰した矩形基板の位置ずれが所定範囲外である場合にステージを更に移動させて矩形基板の位置補正を行う、請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアライメント装置と、前記ロボットを含んで構成される、矩形基板の搬送システム。
【請求項4】
ロボットによって搬送される矩形基板の位置ずれを修正するものであって、
ロボットに保持させた矩形基板をアライナの上方に搬送する搬送工程と、
アライナ上方に搬送された矩形基板の位置ずれをアライナ側で検出する検出工程と、
アライメント開始位置からアライナのステージを前記検出工程で検出した位置ずれが解消する受取位置に移動させる補正工程と、
ロボットに保持させた矩形基板を受取位置に移動した前記ステージ上に載置する載置工程と、
矩形基板を載置した前記ステージを前記アライメント開始位置に復帰させる復帰工程と、
を実施することを特徴とする、矩形基板のアライメント方法。
【請求項5】
復帰工程ののち、
矩形基板の位置ずれが所定範囲内か否かを判定する判定工程と、
所定範囲外と判定した場合に前記ステージの位置補正を行う第2の補正工程と、
を更に実施する、請求項4に記載の矩形基板のアライメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形基板のアライメントのための構成や工程の簡素化を図った、矩形基板のアライメント装置、搬送システム及びアライメント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、容器やカセットに収納された矩形基板を搬送ロボットで取り出して次工程に搬送する際、基板は水平方向で傾いたりあるいは前後方向にずれたりして、必ずしも容器内で正規の位置に配置されていない。次工程で正規に位置に搬送するために、ずれ量を補正するアライナ装置の設置が必要である。このようなずれ量の補正の必要性は、処理装置から払い出された矩形基板を容器やカセットに搬送する際も同様である。
【0003】
例えば、特許文献1では、ロボットハンドリングステージ265においてロボット受け渡し位置に基板Sを移動させた後、第1センサ61D、61Eで基板Sの外形を計測し、外形が基準範囲内になるか否かを判断して、所定範囲内にない場合はステージ265にて基板Sの配置を調整するように構成されている(図7図14参照)。
【0004】
また、特許文献2のように、容器に収納されている基板の側面近傍にアライナが設けられることがある。アライナには、基板の側部端縁の位置を検出する第1位置センサ52が設けられ、ロボット3にはロボットハンド部33にガラス基板の前部端縁の位置を検出する第2の位置センサ35が設けられる。これらセンサ52、35により基板Wの傾き、ズレを検知される。そして、制御装置によってロボット3のロボットハンド33が基板Wの傾きに合わせて角度設定され(図9参照)、第2の位置センサ35によってロボットハンド33の伸長位置(X軸方向の位置)が設定され、その状態でロボットハンド33が移動して基板Wが吸着され、次工程に正規の位置で搬送されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-109984
【特許文献2】特開2001-144165
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置において、矩形基板のずれ量が大きい場合は、矩形基板の接触を好まない部位がロボットハンドリングステージ(アライナ)の基板支持部分に干渉するなどして適切に搬送できないことがあり、この場合、矩形基板をロボットハンドリングステージ(アライナ)に置く前に事前に位置補正をするための別装置・別機構が必要になるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2の装置では、別装置として、ロボットハンドにセンサ35を設ける必要があり、またロボットハンド/エンドエフェクタの角度が図9に示すように可変である必要があるため、専用のロボットを開発、採用する必要があり、コストアップとともに、装置サイズが大きくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、これらの課題に着目してなされたものであって、矩形基板の搬送時に発生するずれにより矩形基板を所定の位置に搬送できないという課題を、ロボットの構成に依存することなくアライナ側で対応可能とし、アライナと矩形基板の干渉も解消可能とした、アライメント装置、搬送システム及びアライメント方法を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明に係る矩形基板のアライメント装置は、移動可能なステージを備えたアライナと、前記ステージの上方に搬送されて降下前の矩形基板の位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、前記矩形基板の位置ずれが所定範囲外である場合に前記ステージをアライメント開始位置から前記矩形基板との相対変位が解消する受取位置に移動させる制御手段とを備え、制御手段は矩形基板を受け取ったステージをアライメント開始位置に復帰させることを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、アライナ側だけでアライメントを完了することができるので、ロボットに依存せず、矩形基板とアライナのステージとの干渉も有効に解消することが可能となる。
【0012】
前記位置ずれ検出手段は、アライメント開始位置に復帰した矩形基板の位置ずれを更に検出し、前記制御手段は、アライメント開始位置に復帰した矩形基板の位置ずれが所定範囲外である場合にステージを更に移動させて矩形基板の位置補正を行うことが好ましい。
【0013】
このようにすれば、アライメント精度が所定範囲にない場合や、矩形基板が位置ずれを検出された後にステージ上に載置されるまでの間に新たな位置ずれを起こした場合等にも、有効に対処することができる。
【0014】
上記アライメント装置と前記ロボットを含んで矩形基板の搬送システムを構成すれば、別のアライナ機構は不要となり、搬送システムのサイズの削減、コスト削減、タクトタイム削減を図ることができる。
【0015】
上記に対応して、本発明に係る矩形基板のアライメント方法は、ロボットによって搬送される矩形基板の位置ずれを修正するものであって、ロボットに保持させた矩形基板をアライナの上方に搬送する搬送工程と、アライナ上方に搬送された矩形基板の位置ずれをアライナ側で検出する検出工程と、アライメント開始位置からアライナのステージを前記検出工程で検出した位置ずれが解消する受取位置に移動させる補正工程と、ロボットに保持させた矩形基板を受取位置に移動した前記ステージ上に載置する載置工程と、矩形基板を載置した前記ステージを前記アライメント開始位置に復帰させる復帰工程と、を実施することを特徴とする。
【0016】
この場合も、復帰工程ののち、矩形基板の位置ずれが所定範囲内か否かを判定する判定工程と、所定範囲外と判定した場合に前記ステージの位置補正を行う第2の補正工程と、を更に実施することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本発明によれば、矩形基板の搬送時に発生するずれにより矩形基板を所定の位置に搬送できないという課題を、ロボットの構成に依存することなくアライナ側で対応可能とし、アライナと矩形基板の干渉も解消可能とした、アライメント装置、搬送システム及びアライメント方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るアライメント装置を含んだ矩形基板の搬送システムを示す概略図。
図2】同搬送システムの動作説明図。
図3】同搬送システムを構成するロボットとアライナの間における矩形基板の授受の様子を示す図。
図4】同矩形基板とロボットハンドの説明図。
図5】本実施形態のアライメント原理を示す図。
図6】同実施形態のアライナに用いる駆動装置の説明図。
図7】ロボット1からアライナ31を経てロボット2に矩形基板を受け渡す手順の一部を示すフローチャート図。
図8】ロボット1からアライナ31を経てロボット2に矩形基板を受け渡す手順の他の一部を示すフローチャート図。
図9図7に対応したロボット1とアライナ31の状態遷移図。
図10図8に対応したロボット2とアライナ31の状態遷移図。
図11】本発明の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、矩形基板Wのアライメント機能を含んだ基板搬送システムSを示している。
この実施形態は、例えばパターン配線や実装部品等が3次元的に積層される高密度パッケージ基板と称される矩形基板を対象とする。勿論、本発明の対象である矩形基板はこれに限定されるものではない。
【0021】
この基板搬送システムSは、ロードポート等に配置される基板容器(FOUP)Aと処理装置Bの間に第1の搬送ロボット(ロボット1)、第2の搬送ロボット(ロボット2)を有する搬送装置Cを介在させて矩形基板Wの搬送を行うように構成される。基板容器Aに格納されている矩形基板Wや、処理装置Bからステージb1上に払い出される矩形基板Wは、ロボット1、2の本来の起動に対して位置ずれした状態で配置されている場合があり、また、搬送途中に何等かの原因で搬送精度が落ちる場合もある。このため、ロボット1、2間にアライメント装置3を介在させ、ロボット1(2)が受け取った矩形基板Wの位置ずれをアライメント装置3で補正して、後工程を行うロボット2(1)に引き渡すようにしている。
【0022】
この実施形態で用いるロボット1、2は多関節ロボットであるが、ロボット1、2の種類は特に限定されない。また、ロボット1、2は単に矩形基板Wを捕獲して搬送する機能のみならず、必要に応じて矩形基板Wの表裏を反転させる反転機能を含んでもよい。
【0023】
搬送装置Cでは、図2の上から下に向かって、ロボット1のロボットハンド11は基板容器Aから取り出した矩形基板Wを180°水平旋回してアライメント装置3を構成するアライナ31に載置する。アライナ31に載置された矩形基板Wは、アライメントされた後、次工程として待機しているロボット2のロボットハンド21が捕捉し、アライナ31から離れた後、180°回転して矩形基板Wを処理装置Bのステージ上b1に載置する。ロボットハンド11、12はエンドエフェクタであってもよい。
【0024】
また、図2の下から上に向かって、ロボットハンド21は処理装置Bからステージ上b1に払い出された矩形基板Wを捕捉し、ステージb1から離れた後、180°回転して矩形基板Wをアライナ31上に載置する。アライナ31に載置された矩形基板Wは、アライメントされた後、次工程として待機しているロボットハンド11が捕捉し、アライナ31から離れた後、180°回転して矩形基板Wを基板容器Aに格納する。
【0025】
アライメント装置3のアライナ31は、図3(a)に示すようにステージ31aの上面の所定高さ位置で矩形基板Wを支持するための支持突起31bが設けてある。ロボットハンド11(21)は支持突起31bと干渉しないような略U字状を有していて(図4参照)、ロボットハンド11(21)が矩形基板Wをステージ31a上に載置する際は、先ず図3(a)に示すように矩形基板Wを図中実線位置からステージ31aの真上に搬送し、そこからロボットハンド11(21)を降下させて矩形基板Wを支持突起31b上に載置した後、ステージ31aと矩形基板Wの間からロボットハンド11(21)を退避させる。
【0026】
逆に、ロボットハンド11(21)で矩形基板Wを捕捉する際は、図3(b)に示すように、ロボットハンド11(21)を支持突起31bと干渉しないように図中実線位置から想像線位置に示すようにステージ31aと矩形基板Wの隙間に進入して矩形基板Wをすくい上げ、ステージ31aから退避する。
【0027】
この実施形態で取り扱う矩形基板Wは、可撓性を有するもので、図4に示すように「田」の字状をなす狭い接触許容エリアW1を除いて基本的に裏面が接触禁止エリアW2となっている。接触許容エリアW1は接触禁止エリアW2より少なくとも裏面側に僅かに凸となっており、ロボットハンド11(21)は接触許容エリアW1の複数個所に接触して矩形基板をすくい上げ、搬送することができる。
【0028】
この場合、矩形基板Wの位置ずれを防ぐためには、ロボットハンド11(21)は接触禁止エリアW2を非接触で保持する機能を備えていても良いし、真空吸着して接触保持する機能を備えていても良い。
【0029】
前述したように、矩形基板Wのずれ量が大きい場合は、接触禁止エリアW2が図3(a)に示すアライナ31の支持突起31b等と接触するなどしてアライナ31に適切に搬送できないことが起こり得る(例えば、後述する図9(b)の状態でロボットハンド11が矩形基板Wをアライナ31上に配置する場合等に起こり得る)。
【0030】
そこで、本実施形態のアライメント装置3は、アライナ31側のステージ31aを、載置前の矩形基板Wの位置ずれに応じて予め移動させて、相対的な位置ずれがない受取位置で矩形基板Wを受け取るようにすべく、図3(a)に示すようにアライナ31とともに位置ずれ検出手段32及び制御手段33を備えている。
【0031】
アライナ31は、図3(a)に示すように、基台310に対してX、Y、θ方向に駆動可能とされている。ここでは、例えば図1においてロボット1(2)からアライナ31に向かう方向をX(-X)方向、図1の上図(側面図)における紙面垂直方向(図1の下図(平面図)における上下方向)をY方向とする。また、X方向及びY方向に垂直な軸31d(図6参照)回りの回転角をθとする。
【0032】
本実施形態の位置ずれ検出手段32は、アライナ31の基台310に支持されたカメラである。カメラ32は図5(a)に示すように矩形基板Wの姿勢を認識するためのマークを撮影するためのもので、ここでのマークは矩形基板Wの対角線上の2つの角部である。カメラ32は、例えば所定範囲を撮像し得るエリアカメラで、図3(a)に示すようにロボット1(2)によって矩形基板Wが挿入される位置の上方に2つ配置されて、矩形基板Wの角部周辺を撮像する。撮影には、例えば矩形基板Wの裏面側にライトを配置して、白黒画像で撮影画像を取得する。
【0033】
カメラ32による撮像画像は制御手段33に送られ、制御手段33に備わる画像解析部によって矩形基板Wの位置が検出される。具体的には、図5(a)に示すように、角部の位置情報から矩形基板Wの仮想中心m、矩形基板Wのステージ31aに対する角度ズレαを算出する。
【0034】
アライメント開始位置にあるステージ31aの本来の基板配置領域をRとして、この基板配置領域Rの対角線上の2つの角部の位置R(X1、Y1)、R(X2、Y2)に対して矩形基板Wの対角線上の対応する角部の位置(X1、Y1)、(X2、Y2)にズレがある場合、アライメントの基本動作としては、ステージ31aの基板配置領域Rの中心Rmを矩形基板Wの仮想中心mに移動させ、角度ズレαがあれば更にステージ31aを角度ズレα分だけ図中矢印で示すように回転させる補正を行う。
【0035】
これにより、アライメント開始位置にあったステージ31aの基板配置領域Rは、図5(b)に示すように位置ずれした矩形基板Wに合致した状態になる。
【0036】
このようにしてステージ31aと矩形基板Wとの相対的な位置ずれを解消した状態で、矩形基板Wをステージ31a上の基板配置領域Rに載置し、ステージ31aを矩形基板Wとともに図5(c)に矢印で示すようにアライメント開始位置に向かって移動(復帰)させることによって、図5(d)に示すように矩形基板Wは位置ずれなく基板配置領域Rに配置される状態に補正される。
【0037】
ロボットハンド11(21)に保持された状態で矩形基板Wに撓みがあったとしても、ステージ31aに載置する前のアライメント精度として問題がない場合は、図5(a)~(d)がアライメントの基本動作となる。精度に問題がある場合は、後述ように第2のアライメント補正が追加で実施される。
【0038】
ステージの駆動方式は、例えば図3(a)、図6(a)に示すようにXYテーブル31cとθ方向回転軸31dの3軸のサーボモータを用い、ズレ量X、Y、θに基づいてパルス駆動する制御による。勿論、これ以外に、図6(b)に示すように、3つのアクチュエータ101、102、103を用いてXY方向の移動とθ方向の疑似回転を行うuvw方式によることもできる。
【0039】
図7図8は、ロボット1からアライメント装置3を経てアライメントされた矩形基板Wをロボット2が受け取る手順を示したフローチャートである。また、図9図10は、これらの手順に沿ったロボット1、2とアライメント装置3の状態遷移図である。
【0040】
先ず、ロボット1が基板搬送を開始する。矩形基板Wを基板容器Aからから受け取り(ステップS11)、向きを変えてアライナ31のステージ31aとカメラ32の間にロボットハンド11を挿入する(ステップS12)。
【0041】
アライナ31は、先ずロボットハンド11の挿入可能位置で待機し(ステップS21)、ロボットハンド11が挿入されたらカメラ32で矩形基板Wのマークすなわちここでは角部を撮影し(ステップS22)、制御手段33の画像解析部でずれ量を計算して(ステップS23)、ずれ量が所定範囲以下かどうかを判断し(ステップS23a)、NOであればステージ31aをアライメント開始位置から補正移動して(ステップS24)、ずれ量分だけ変位した受取位置に達するまで動作を繰り返す。
【0042】
ステップS23aでYESとなった場合、ロボットハンド11はステージ31a上に矩形基板Wを置き(ステップS13)、待機位置に戻る(ステップS14)。
【0043】
ステージ31aは、矩形基板Wを受け取った後にアライメント開始位置に移動(復帰)する(ステップS25)。勿論、アライメント開始位置からの補正移動が無ければ、ここでの復帰動作は行われない。ここで更に、カメラ32で矩形基板Wを撮影して中心位置、角度ズレβを計算する(ステップS26)。ここはステップS22、S23と同様である。そして、制御手段33はずれ量が所定範囲以下かどうかを判断して(ステップS27)、YESであればアライメントを終了する(ステップS28)。一方、ステップS27でNOであれば、ステージ31aを更にずれ量分だけ今度は矩形基板Wを載置したままの状態で補正移動して(ステップS29)、ステップS26に戻り、ずれ量が精度以下になるまで動作を繰り返す。ステップS27でYESであればアライメントを終了し、ステージ31aはロボット挿入可能位置で待機する(ステップS28)。
【0044】
ステップS27でNOとなる場合とは、基本アライメント動作の精度が許容値を超える場合のほか、撮影後に矩形基板Wを補正移動して矩形基板Wをステージ31a上に載置するまでの動作や受け渡し時に矩形基板Wがステージ31aに対して撓み等に起因して新たに位置ずれを起こす場合が挙げられる。上記のステップS29の補正移動は、このような残留する位置ずれを補正する。
【0045】
アライメントが終了した矩形基板Wに対しては、ロボット2がロボットハンド21を挿入して(ステップS31)、矩形基板Wを持ち上げて受け取り(ステップS32)、ロボットハンド21を戻し(ステップS33)、基板搬送を完了する(ステップS34)。ロボットハンド21は基板搬送が完了するまでの間に、矩形基板Wを処理装置Bのステージb1に載置する動作を行う。
【0046】
処理装置Bのステージb1から取り出された矩形基板Wを基板容器Aに搬送する際も、アライメント装置3の動作は上記に準じたものとなる。
【0047】
図10(e)と図10(f)では矩形基板Wとステージ31aが完全に一致しているように見えるが、実際は許容範囲内のわずかなズレがある場合がある。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る矩形基板のアライメント装置3は、移動可能なステージ31aを備えたアライナ31と、ステージ31aの上方に搬送されて降下前の矩形基板Wの位置ずれを検出する位置ずれ検出手段であるカメラ32と、矩形基板Wの位置ずれが所定範囲外である場合にステージ31aをアライメント開始位置から矩形基板Wとの相対変位が解消する受取位置に移動させる制御手段33とを備え、制御手段33は矩形基板Wを受け取ったステージ31aをアライメント開始位置に復帰させるものである。
【0049】
このようにすれば、アライナ31側だけでアライメントを完了することができるので、ロボット1、2に依存せず、矩形基板Wとアライナ31のステージ31aが干渉する問題も有効に解消することが可能となる。
【0050】
また、位置ずれ検出手段であるカメラ32は、アライメント開始位置に復帰した矩形基板Wの位置ずれを更に検出し、制御手段33は、アライメント開始位置に復帰した矩形基板Wの位置ずれが所定範囲外である場合にステージ31aを移動させて矩形基板Wの位置補正を行うようにしている。
【0051】
このようにすれば、矩形基板Wに対する基本アライメント動作の精度が許容範囲を超える場合や、矩形基板Wが位置ずれを検出された後にステージ31a上に載置されるまでの間に新たな位置ずれを起こした場合等にも、有効に対処することができる。
【0052】
そして、このようなアライメント装置3とロボット1(2)を含んで構成される矩形基板の搬送システムSであれば、別のアライナ機構は不要となり、搬送システムSのサイズの削減、コスト削減、タクトタイム削減を図ることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態に係る矩形基板のアライメント方法は、ロボット1(2)によって搬送される矩形基板Wの位置ずれを修正するものであって、ロボット1(2)に保持させた矩形基板をアライナ31の上方に搬送する搬送工程(ステップS12)と、アライナ31の上方に搬送された矩形基板Wの位置ずれをアライナ31側で検出する検出工程(ステップS22、S23)と、アライメント開始位置からアライナ31のステージ31aを検出工程で検出した位置ずれが解消する受取位置に移動させる補正工程(ステップS24)と、ロボット1(2)に保持させた矩形基板Wを受取位置に移動したステージ31上に載置する載置工程(ステップS13、14)と、矩形基板Wを載置したステージ31をアライメント開始位置に復帰させる復帰工程(ステップS25)と、を実施するものである。
【0054】
このような方法によれば、制御的に見て上記アライメント装置3と同様の作用効果を奏することができる。
【0055】
加えて本実施形態に係る矩形基板のアライメント方法は、復帰工程(ステップS25)ののち、矩形基板Wの位置ずれが所定範囲内か否かを判定する判定工程(ステップS26~S27)と、所定範囲外と判定した場合にステージ31の位置補正を行う第2の補正工程(ステップS29)と、を更に実施するようにしているので、制御的に見て上記アライメント装置3と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0057】
上記実施形態では、位置ずれ検出手段としてカメラを採用して矩形基板の角部を検出するようにしたが、矩形基板にマーカーが付してある場合には、そのカメラでそのマーカーを検出するようにしてもよい。カメラは上記実施形態では2台用いたが、1又は3台以上用いても良い。勿論、位置ずれ検出手段は、カメラ以外に透過センサや変位センサなど他の手段を用いることもできる。
【0058】
図11は、位置ずれ検出手段に変位センサを用いた例を示している。図11(a)に示すように、変位センサDSはレーザー方式の投光部α1と受光部α2を有し、その間に対象物である矩形基板Wが進入したときのエッジを光α3の透過状態から検出するもので、図11(b1)のようにY方向に並べた2つの変位センサDS1、DS2と、両センサDS1、DS2からXY方向に変位した位置に設けた変位センサDS3によってθ軸とXY方向の位置ずれを検出する。
【0059】
図11(b1)~(b4)は変位センサの検出に基づき、アクチュエータ101~103で図中破線で示すステージ31aを移動させて、図中実線で示す矩形基板Wの受取位置に移動する際の状態遷移を示している。図では矩形基板Wがステージ31aに向かって移動するように描画しているが、実際にはステージ31aが矩形基板Wに向かって移動するものであり、図はステージ31aとともに動く慣性系から見ている。
【0060】
図11(b1)で変位センサDS1、DS2が矩形基板Wのθ軸の位置ずれを検出すると、図11(b2)のように変位センサDS1、DS2がθ軸の位置ずれのないアライメント状態を検出するまでステージ31aのθ軸方向の移動を繰り返す。図11(b2)の状態が得られたら、次に図11(b3)のように変位センサDS1、DS2でX軸、変位センサDS3でY軸方向の位置ずれを検出し、図11(b4)のように変位センサDS1~DS3がXY軸方向の位置ずれのないアライメント状態を検出するまでステージ31aのX、Y方向の移動を繰り返す。図11(b4)の状態が得られたら、変位センサDS1、DS2、DS3でアライメント量を確認し、再び図11(b1)~(b4)を繰り返す。
【0061】
また、上記実施形態では処理装置Aから基板容器Bに矩形基板Wを搬送する流れについて説明したが、基板容器Bから処理装置Aに向かって矩形基板Wを搬送する流れについても同様である。また、処理装置Aから別の処理装置に矩形基板Wを搬送する流れについても同様である。
【0062】
また、例えば本実施形態のロボットが基板反転機能を備えたものであってもよく、周辺の構成が異なる他の基板搬送システムへの本発明の適用も可能である。
【0063】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、2…ロボット
3…アライメント装置
31…アライナ
31a…ステージ
32…位置ずれ検出手段(カメラ)
33…制御手段
DS1~DS3…位置ずれ検出手段(変位センサ)
S…搬送システム
S12…搬送工程
S13、S14…載置工程
S22、S23…検出工程
S24…補正工程
S25…復帰工程
S26、S27…判定工程
S29…第2の補正工程
W…矩形基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11