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特開2024-84201車両支援システム、送信装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084201
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】車両支援システム、送信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/09 F
G08G1/09 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198340
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】花村 悠介
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF07
5H181FF13
5H181FF14
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】より適切に車両の運転を支援することができる車両支援システム、送信装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】車両支援システム1は、制御部10を備える。制御部10は、車線の進行方向に沿った位置座標点列を示す情報と、車線の繋がりを示す情報とを(車線ネットワークデータ22を)参照して、車両2が走行する予定の経路に沿った車線の位置座標点列を特定する。制御部10は、車線に付属して立設された地物(例えば信号機SG1)と関連する車線の位置座標点列上の地点である付与地点を示す情報(リンクデータ群25)を参照して、経路に沿った車線の位置座標点列上の付与地点を特定する。制御部10は、地物の位置又は表示内容を示す情報を含む地物情報を地物毎に有する地物データ群24を参照して、付与地点に関連する地物の位置又は表示内容を示す情報に基づいて、車両2の位置又は速度を制御する制御情報を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線の進行方向に沿った位置座標点列を示す情報と、車線の繋がりを示す情報とを参照して、車両が走行する予定の経路に沿った車線の位置座標点列を特定し、
車線に付属して立設された地物と関連する車線の位置座標点列上の地点である付与地点を示す情報を参照して、前記経路に沿った車線の位置座標点列上の前記付与地点を特定し、
地物の位置又は表示内容を示す情報を含む地物情報を地物毎に有する地物データ群を参照して、前記付与地点に関連する地物の位置又は表示内容を示す情報に基づいて、車両の位置又は速度を制御する制御情報を生成する制御部を備える、
車両支援システム。
【請求項2】
車両の前方にある地物と車両との位置関係に関する情報を検出する車両搭載センサを備え、
前記地物情報には、地物の位置を示す情報が含まれ、
前記制御部は、
前記車両搭載センサで検出された車両からの地物の位置関係に関する情報と、前記地物情報に含まれる地物の位置を示す情報と、に基づいて、車線上の車両の現在の位置情報を前記制御情報として検出する、
請求項1に記載の車両支援システム。
【請求項3】
前記付与地点に到達した車両の車両搭載センサにより前記付与地点に関連する地物を検出可能であるか否かを示す検出可否情報を有し、
前記制御部は、
車両が到達した付与地点に関連し、前記検出可否情報が検出不可を示す地物を、車線上の車両の現在の位置情報の検出対象から除外する、
請求項2に記載の車両支援システム。
【請求項4】
前記地物の表示内容に車両の速度規制情報が含まれ、
前記制御部は、
前記付与地点に関連する地物に表示された速度規制情報に基づいて、前記経路に沿った車両の速度プロファイルを前記制御情報として生成する、
請求項1に記載の車両支援システム。
【請求項5】
地図データを、車両に送信する送信部を備え、
前記地図データは、
車線の進行方向に沿った位置座標点列を示す情報と、車線の繋がりを示す情報とを含むデータ群と、
車線に付属して立設された地物と関連する車線の位置座標点列上の地点である付与地点を示す情報を地物毎に有するデータ群と、
地物の位置又は表示内容を示す情報を含む地物情報を地物毎に有するデータ群と、を含む、
送信装置。
【請求項6】
コンピュータを、
車線の進行方向に沿った位置座標点列を示す情報と、車線の繋がりを示す情報とを参照して、車両が走行する予定の経路に沿った車線の位置座標点列を特定し、
車線に付属して立設された地物と関連する車線の位置座標点列上の地点である付与地点を示す情報を参照して、前記経路に沿った車線の位置座標点列上の前記付与地点を特定し、
地物の位置又は表示内容を示す情報を含む地物情報を地物毎に有する地物データ群を参照して、前記付与地点に関連する地物の位置又は表示内容を示す情報に基づいて、車両の位置又は速度を制御する制御情報を生成する制御部として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両支援システム、送信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の位置を精度良く推定し、車両の運転を支援する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-293380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より適切に車両の運転を支援することができる車両支援システム、送信装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る車両支援システムは、
車線の進行方向に沿った位置座標点列を示す情報と、車線の繋がりを示す情報とを参照して、車両が走行する予定の経路に沿った車線の位置座標点列を特定し、
車線に付属して立設された地物と関連する車線の位置座標点列上の地点である付与地点を示す情報を参照して、前記経路に沿った車線の位置座標点列上の前記付与地点を特定し、
地物の位置又は表示内容を示す情報を含む地物情報を地物毎に有する地物データ群を参照して、前記付与地点に関連する地物の位置又は表示内容を示す情報に基づいて、車両の位置又は速度を制御する制御情報を生成する制御部を備える。
【0006】
この場合、車両の前方にある地物と車両との位置関係に関する情報を検出する車両搭載センサを備え、
前記地物情報には、地物の位置を示す情報が含まれ、
前記制御部は、
前記車両搭載センサで検出された車両からの地物の位置関係に関する情報と、前記地物情報に含まれる地物の位置を示す情報と、に基づいて、車線上の車両の現在の位置情報を前記制御情報として検出する、
こととしてもよい。
【0007】
前記付与地点に到達した車両の車両搭載センサにより前記付与地点に関連する地物を検出可能であるか否かを示す検出可否情報を有し、
前記制御部は、
車両が到達した付与地点に関連し、前記検出可否情報が検出不可を示す地物を、車線上の車両の現在の位置情報の検出対象から除外する、
こととしてもよい。
【0008】
前記地物の表示内容に車両の速度規制情報が含まれ、
前記制御部は、
前記付与地点に関連する地物に表示された速度規制情報に基づいて、前記経路に沿った車両の速度プロファイルを前記制御情報として生成する、
こととしてもよい。
【0009】
本発明の第2の観点に係る送信装置は、
地図データを、車両に送信する送信部を備え、
前記地図データは、
車線の進行方向に沿った位置座標点列を示す情報と、車線の繋がりを示す情報とを含むデータ群と、
車線に付属して立設された地物と関連する車線の位置座標点列上の地点である付与地点を示す情報を地物毎に有するデータ群と、
地物の位置又は表示内容を示す情報を含む地物情報を地物毎に有するデータ群と、を含む。
【0010】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
車線の進行方向に沿った位置座標点列を示す情報と、車線の繋がりを示す情報とを参照して、車両が走行する予定の経路に沿った車線の位置座標点列を特定し、
車線に付属して立設された地物と関連する車線の位置座標点列上の地点である付与地点を示す情報を参照して、前記経路に沿った車線の位置座標点列上の前記付与地点を特定し、
地物の位置又は表示内容を示す情報を含む地物情報を地物毎に有する地物データ群を参照して、前記付与地点に関連する地物の位置又は表示内容を示す情報に基づいて、車両の位置又は速度を制御する制御情報を生成する制御部として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より適切に車両の運転を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る車両支援システムの構成を示す模式図である。
図2】(A)は、道路ネットワークデータのデータ構造の一例を示す図である。(B)は、車線ネットワークデータのデータ構造の一例を示す図である。(C)は、属性データ群のデータ構造の一例を示す図である。(D)は、地物データ群のデータ構造の一例を示す図である。(E)は、リンクデータ群のデータ構造の一例を示す図である。
図3】信号機の一例を示す図である。
図4】(A)及び(B)は、信号機と車線との対応関係の一例を示す図である。
図5】(A)は、経路の一例を示す模式図である。(B)は、先読みテーブルの一例を示す図である。
図6】制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。
図7図1の車両支援システムによる自動走行処理のフローチャートである。
図8図7の位置特定処理のフローチャートである。
図9】本発明の実施の形態2に係る車両支援システムの構成を示す模式図である。
図10】(A)は、地物データ群のデータ構造の一例を示す図である。(B)は、リンクデータ群のデータ構造の一例を示す図である。
図11】(A)は、経路の一例を示す模式図である。(B)は、先読みテーブルの一例を示す図である。
図12図9の車両支援システムによる自動走行処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0014】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1について説明する。本実施の形態1に係る車両支援システム1は、例えば車両2の自動運転を支援する。具体的には、車両支援システム1は、車両2の自動運転のための制御情報を生成する。制御情報とは、車両2の位置又は速度の制御に用いられる情報である。本実施の形態では、制御情報として、車両2の現在の位置情報が生成される。
【0015】
[全体構成]
図1に示すように、車両支援システム1は、車両2に搭載されるコンピュータである制御部10と、例えば道路の交通状況を管理する道路管理センタに設置されるサーバコンピュータであるサーバ11と、を備える。
【0016】
制御部10は、車両2を統括制御する。サーバ11は、車両2の位置の制御に必要な地図データ20を有している。制御部10は送受信部18を有し、サーバ11は送受信部30を有する。送受信部18と送受信部30とは、無線通信ネットワーク3を介して、通信可能となっている。サーバ11の送受信部30は、無線通信ネットワーク3を介して、地図データ20を車両2に搭載される制御部10に送信する。制御部10は、サーバ11から受信した地図データ20に基づいて、車両2の制御情報を生成する。
【0017】
また、車両支援システム1は、車両搭載センサ16を備える。車両搭載センサ16は、車両2の前方に存在する立体構造を有する地物、例えば信号機SG1の車両2との相対位置に関する情報を検出する。車両2には、車両搭載センサ16として、ミリ波レーダ、LiDAR(Light Detection And Ranging)、カメラなどが搭載されている。本実施の形態では、車両搭載センサ16で検出された地物との相対位置に関する情報は、車両2の位置の検出に用いられる。なお、車両2には、GPS(Global Positioning System)システム等により車両2の位置情報を検出する位置取得部17も搭載されている。
【0018】
[地図データ]
地図データ20は、道路ネットワークデータ21、車線ネットワークデータ22、属性データ群23、地物データ群24及びリンクデータ群25を有する。
【0019】
[道路ネットワークデータ]
道路ネットワークデータ21は、車両2が走行する道路網の情報である。道路ネットワークデータ21は、交差点のような分岐点であるノードと、ノード間において車両2が走行可能な道路であるリンクとで構成される。道路ネットワークデータ21では、リンクとノードとが互いに連結されて、道路網が表現される。
【0020】
図2(A)に示すように、道路ネットワークデータ21は、リンク及びノード毎に、道路区間情報21aを有する。図1には、ノードN1と、その前後のリンクLR1、LR2、LR3とが示されている。ノードN1、リンクLR1、LR2、LR3それぞれに対応して、道路ネットワークデータ21では、図2(A)に示すように、ノードN1の道路区間情報21a、リンクLR1、LR2、LR3それぞれの道路区間情報21aが設定されている。以下では、リンク又はノードを道路区間とも呼ぶ。
【0021】
道路区間情報21aは、道路区間の識別情報である道路IDと、道路区間の代表点(例えば、道路区間の中心)の位置座標(緯度、経度)と、その道路区間に連結する道路区間のIDである連結IDとを含むデータ組である。制御部10は、道路ネットワークデータ21を構成する複数の道路区間情報21aに基づいて、車両2の出発地から目的地までの経路の情報を生成する。
【0022】
[車線ネットワークデータ]
車線データ群としての車線ネットワークデータ22は、図2(B)に示すように、複数の車線情報22aを有する。図1には、リンクLR1を構成する車線LL1、LL2と、リンクLR2を構成する車線LL3、LL7と、リンクLR3を構成する車線LL4、LL5、LL8、LL9と、が示されている。車線LL1~LL9に対応して、車線ネットワークデータ22は、図2(B)に示すように、車線LL1~LL9の車線情報22aをそれぞれ有する。すなわち車線情報22aは、車線毎に設定されている。
【0023】
車線情報22aは、車線の識別情報である車線IDと、その車線の進行方向に沿った位置座標点列と、その車線の後の車線IDを示す退出側車線IDと、その車線の前の車線IDを示す進入側車線IDと、を含むデータ組である。図1では、位置座標点列が各車線を示す線分上の点列として表されている。位置座標点列は、車両2の進行方向に延びる車線の中心線に沿って所定間隔で並ぶ点列の位置座標(緯度及び経度)であり、これが位置座標点列を示す情報に対応する。退出側車線ID及び進入側車線IDは、車線の繋がりを示す情報である。図1に示すように、例えば、車線LL5について、退出側車線は車線LL9となり、進入側車線は車線LL2となる。
【0024】
[属性データ群]
図2(C)に示すように、属性データ群23は、道路区間(ノード及びリンク)と車線とが関連付けられた属性情報23aを有する。図1に示す道路に関して、属性データ群23では、図2(C)に示すように、リンクLR1と車線LL1、LL2とを関連付ける属性情報23aと、リンクLR2と車線LL3、LL7とを関連付ける属性情報23aと、リンクLR3と車線LL4、LL5、LL8、LL9とを関連付ける属性情報23aと、が設定される。
【0025】
このように、属性情報23aには、道路区間の識別情報である道路IDと、車線の識別情報である車線IDとが関連付けて登録される。制御部10は、属性データ群23を参照して、特定した道路区間に対応する車線を読み出すことが可能である。
【0026】
[地物データ群]
地物データ群24は、車線に付属して立設された地物の位置を示す情報を有している。本実施の形態では、地物は信号機である。図1には、信号機SG1が示されているが、実際には、道路には多数の信号機が立設されている。図2(D)に示すように、地物データ群24は、信号機毎に地物情報24aを有する。地物情報24aは、信号機ID、信号機の左端座標と、右側座標と、高さと、地上からの高さとを含むデータ組である。
【0027】
図3に示すように、左端座標は、信号機を正面から見たときの左端の位置を示す情報(緯度、経度)である。右端座標は、信号機を正面から見たときの右端の位置に関する情報(緯度、経度)である。高さは、信号機の鉛直方向の幅であり、地上からの高さは、路面から信号機の下面までの高さである。高さ及び地上からの高さは、信号機の下面及び上面の鉛直方向の路面基準の位置に関する情報である。まとめると、地物情報24aは、信号機の識別情報と、信号機の位置を示す情報とのデータ組で構成されている。
【0028】
制御部10は、車両搭載センサ16で検出された車両2からの信号機の位置関係に関する情報と、地物情報24aに含まれる信号機の位置を示す情報と、に基づいて、車線上の車両2の現在の位置情報を検出する。例えば、図3に示すように、車両2(図1参照)が信号機SG1に向かって走行しており、位置(X1,Y1)に位置しているときに車両搭載センサ16(図1参照)で検出される信号機の像をS1とし、それより信号機に近い位置(X2,Y2)に車両2が位置しているときに車両搭載センサ16で検出される信号機の像をS2とする。像S1と像S2とでは、その位置及び大きさが異なる。制御部10は、これを利用して、地物情報24aに登録された信号機の左端、右端、下面、上面の位置座標に基づく実際の信号機の位置及び大きさと、車両搭載センサ16で検出される信号機の像の位置及び大きさとに基づいて、車線上の車両2の現在の位置情報を検出する。
【0029】
[リンクデータ群]
リンクデータ群25は、図2(E)に示すように、リンク情報25aを有する。リンク情報25aは、地物と車線とを関連付けるデータである。前述のように、本実施の形態では、地物は信号機である。リンク情報25aでは、車線IDと、信号機IDと、付与地点と、視認性関連フラグと、がそれぞれ一組となって信号機毎に設定される。基本的には、信号機は、最も近い車線と関連付けられる。例えば、図1に示す道路では、信号機SG1は、車線LL8、LL9と関連付けられる。
【0030】
ただし、図4(A)及び図4(B)に示すように、交差点内では様々な直進、左折及び右折の車線が錯綜しているため、交差点内の車線は、信号機と関連付けられる車線から除外される。交差点に設置された信号機は、交差点に入る前の車線または交差点から出た後の車線と関連付けられる。例えば、図4(A)に示すように、交差点の信号機SG2が交差点に進入する車線LL10、LL11の近くに設置されている場合、信号機SG2は、車線LL10、LL11とそれぞれ関連付けられる。また、図4(B)に示すように、交差点の信号機SG3が交差点から退出する車線LL12、LL13の近くに設置されている場合、信号機SG3は、車線LL12、LL13とそれぞれ関連付けられる。
【0031】
[付与地点]
付与地点は、地物と関連する車線の車線情報の位置座標点列上の地点である。例えば、図1に示すように、車線情報22aに含まれる位置座標点列のうち、信号機SG1からおろした垂線が路面と交差する点と最も近い点が、付与地点となる。リンク情報25aに登録される付与地点を示す情報は、車線IDが示す車線情報の位置座標点列のうち、進行方向に沿って何番目の点であるかを示す情報でよい。
【0032】
また、図4(A)に示すように、交差点の信号機SG2と、交差点に進入する車線LL10、LL11とが関連付けられている場合、車線LL10、LL11の車線情報22aに含まれる位置座標点列のうち、最後の地点P1、P2が付与地点となる。さらに、図4(B)に示すように、交差点内の信号機SG3と、交差点から退出する車線LL12、LL13とが関連付けられている場合、車線LL12、LL13の車線情報22aに含まれる位置座標点列のうち、最初の地点P3、P4が付与地点となる。
【0033】
[視認性関連フラグ]
視認性関連フラグは、付与地点に到達した車両2の車両搭載センサ16により地物を検出可能であるか否かを示す検出可否情報である。前述のように、車両搭載センサ16は、車両2の前方の地物を検出する。視認性関連フラグは、信号機が、付与地点に位置する車両2の車両搭載センサ16の検出範囲に収まるか否かによって決定される。
【0034】
例えば図4(A)に示すように、付与地点である地点P1、P2を有する車線LL10、LL11を走行する車両2の車両搭載センサ16で信号機SG2を検出可能な範囲SAに収まる場合、信号機SGと車線LL10、LL11とを関連付ける地物情報24aの視認性関連フラグは検出可能を示す0に設定される。一方、図4(B)に示すように、付与地点を有する車線LL12、LL13を走行する車両2の車両搭載センサ16で信号機SG3を検出可能な範囲SAに収まらない場合、地物情報24aの視認性関連フラグは検出不可を示す1に設定される。なお、視認性関連フラグは、検出可能を示す値として1を設定し、検出不可を示す値として0を設定するようにしてもよい。
【0035】
[制御部の機能構成]
図1に示すように、制御部10は、記憶部12と、点列特定部13と、付与地点特定部14と、制御情報生成部15と、を備える。記憶部12は、上述の道路ネットワークデータ21と、車線ネットワークデータ22と、属性データ群23と、地物データ群24と、リンクデータ群25と、を備える地図データ20を記憶する。
【0036】
点列特定部13は、図5(A)に示すように、道路ネットワークデータ21を参照して、車両2の出発地Sから目的地Gまでの道路上の経路MPを生成する。実際には、経路MPは、道路に沿って曲がっているが、図5(A)では、経路MPはすべて直線で示してある。経路MPは、リンクとノードとか連結されて構成されている。
【0037】
さらに、点列特定部13は、属性データ群23を参照して、図5(A)に示すように、車両2が走行する予定の道路上の経路MPに沿った車線上の経路MTを探索する。経路MTは、経路MPと地図上で同じ(道路と車線が一対一の関係)である場合もあり得る。点列特定部13は、車線ネットワークデータ22を参照して、探索した車線の車線IDに対応する位置座標点列を読み込み、車線上の経路MTに沿った位置座標点列を特定する。図5(A)では、黒丸の間の線分が車線を示しており、車線上の目盛りが、位置座標点列を示している。
【0038】
付与地点特定部14は、車線ネットワークデータ22およびリンクデータ群25を参照して、位置座標点列上の付与地点を特定する。すなわち、制御部10は、車両2がこれから走行する予定の経路である経路MTに沿った車線情報22aを、退出側車線IDを用いて順次特定するとともに、順次特定された車線情報22aに含まれる車線IDを持つリンク情報25aをリンクデータ群25から読み出して、付与地点を順次特定することにより、経路MTに沿った車線の位置座標点列上の付与地点を先読みする。図5(A)に示す例では、GP10~GP14が付与地点を示している。付与地点は、経路MT上の信号機SG10~SG14に最も近い位置座標点列上の地点となっている。付与地点特定部14は、例えば図5(B)に示す先読みテーブルを有する。この先読みテーブルは、地物ID、位置情報、付与地点及び視認性関連フラグの項目を有している。位置情報は、図2(D)に示す左端座標、右端座標、高さ及び地上からの高さをまとめたものである。付与地点特定部14は、経路MTを探索し、進行方向に沿って地物ID、位置情報、付与地点及び視認性関連フラグの項目を登録する。
【0039】
制御情報生成部15は、地物データ群24を参照して、先読みされた付与地点に関連する地物の位置情報に基づいて、車両2の位置を制御する制御情報を生成する。図5(A)に示すように、信号機SG1の手前の区間L1では、制御情報生成部15は、信号機SG10を車両搭載センサ16で検出し、その検出結果に基づいて、車両2の位置情報を検出する。同様に、区間L2~L5では、それぞれの区間で車両2にある信号機SG11~SG14を車両搭載センサ16で検出し、その検出結果に基づいて、車両2の位置情報を検出する。
【0040】
[ハードウエア構成]
図1に示す車両支援システム1の制御部10の機能は、例えば、図6に示すコンピュータのハードウエア構成によって実現される。制御部10は、1又は複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信インターフェイス104と、入出力インターフェイス105とを備える。プロセッサ101はオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを実行する。ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、又は取り出し可能な磁気ディスク、光ディスクのような記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。
【0041】
プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、上述の構成要素の機能を実現する。通信インターフェイス104は、プロセッサ101からの指令に従って、無線通信ネットワーク3を介してサーバ11との間でデータ通信を行う。入出力インターフェイス105は、プロセッサ101からの指令に従って、モニタ、タッチパネルなどの搭乗者が操作可能な入出力装置との間で電気信号の入出力を実行する。なお、制御部10のハードウエア構成は、図6に示すものに限られない。制御部10を、図1に示す記憶部12、点列特定部13、付与地点特定部14及び制御情報生成部15として機能させるプログラムを実行可能なハードウエア構成を有していればよい。なお、サーバ11のハードウエア構成も、図6に示す構成とほぼ同じである。地図データ20は、ストレージ103に記憶され、サーバ11の通信I/F104、無線通信ネットワーク3、制御部10の通信I/F104を介して、制御部10のストレージ103に記憶される。
【0042】
次に、本実施の形態に係る車両支援システム1の動作について説明する。ここでは、制御部10において実行される自動走行処理について説明する。
【0043】
図7に示すように、点列特定部13は、出発地Sから目的地Gまでの道路上の経路MP(図5(A)参照)を生成する(ステップS1)。ここで、出発地Sは、位置取得部17によって求められている車両2の現在位置から最も近い道路上の位置となり、目的地Gは、例えば図6の入出力I/Fを介して指定された位置とすることができる。
【0044】
続いて、点列特定部13は、道路ネットワークデータ21、車線ネットワークデータ22及び属性データ群23を参照して、道路上の経路MPに沿った車線上の経路MTを生成する(ステップS2)。さらに、点列特定部13は、車線ネットワークデータ22及び属性データ群23を参照して、車両2の車線上の経路MTに沿った車線の車線情報22aを先読みして経路MPに沿った車線の位置座標点列(図5(A)参照)を特定する(ステップS3)。
【0045】
付与地点特定部14は、リンクデータ群25を参照して、経路MTに沿った車線の位置座標点列を先読みして位置座標点列上の付与地点を特定する(ステップS4)。これにより、図5(B)に示すように、先読みテーブルに、経路MT上の信号機の地物ID、位置情報、付与地点及び視認性関連フラグが設定される。先読みテーブルを参照すれば、車両2がこれから走行する予定の経路MTに沿った位置座標点列のどこの点(どれくらい先)に信号機が存在しているのかを、車両2がその信号機の周辺位置に到達する前に(例えば、その信号機が視認できないくらいの、信号機の遥か前方の位置において)把握することができる。
【0046】
続いて、制御部10は、センサ検出、走行を開始する(ステップS5)。走行開始後、制御情報生成部15は、位置特定処理を行う(ステップS6)。位置特定処理では、走行する車両2の位置の特定が行われる。位置特定処理の詳細については、後述する。
【0047】
位置特定処理後、制御情報生成部15は、目的地に到着したか否かを判定する(ステップS7)。制御部10は、目的地に到着するまで(ステップS7;No)、ステップS6→S7を繰り返す。
【0048】
目的地Gに到着すると(ステップS7;Yes)、制御部10は、車両2の自動走行を停止し(ステップS8)、自動走行処理を終了する。
【0049】
[位置特定処理]
ステップS6の位置特定処理において、図8に示すように、まず、制御情報生成部15は、車両搭載センサ16のセンサ情報を取得する(ステップS11)。このセンサ情報は、車両2の前方に存在する3次元構造物を示す情報となっている。
【0050】
続いて、制御情報生成部15は、信号機の候補が有るか否かを判定する(ステップS12)。この場合、付与地点特定部14で生成された先読みテーブルに、未選定の信号機の候補が残されていれば判定が肯定され、残されていなければ判定は否定される。信号機の候補が有る場合(ステップS12;Yes)、制御情報生成部15は、信号機の候補を選定する(ステップS13)。この場合、制御情報生成部15は、先読みテーブルを参照して、車両2の現在の位置から車両搭載センサ16で検出可能な範囲内にある信号機のうち、上から順番に信号機の候補として選定する。図5(B)に示す例では、まず、信号機SG10が候補として選定される。
【0051】
続いて、制御情報生成部15は、車両搭載センサ16のセンサ情報に基づいて信号機が検出されたか否かを判定する(ステップS14)。車両搭載センサ16のセンサ情報で検出された地物のうち、形状の特徴が信号機に合致するものが信号機として検出される。信号機が複数検出された場合には、それらの中で一番大きいもの(車両2の近くにあるもの)が位置の検出対象として選択される。
【0052】
信号機が検出されたと判定された場合(ステップS14;Yes)、制御情報生成部15は、車両2が信号機の候補の付与地点に到達したか否かを判定する(ステップS15)。付与地点に到達していない場合(ステップS15;No)、制御情報生成部15は、信号機の候補による位置特定を行う(ステップS16)。この位置特定は、例えば、図3に示すように、信号機の位置及び大きさと、車両搭載センサ16で検出される信号機の像の位置及び大きさとを比較することにより行われる。ステップS16が完了すると、制御情報生成部15は、位置特定処理を終了する。
【0053】
一方、付与地点に到達している場合(ステップS15;Yes)、制御情報生成部15は、その付与地点に対応する視認性関連フラグが0であるか否かを判定する(ステップS17)。視認性関連フラグが0である場合(ステップS17;Yes)、制御情報生成部15は、信号機の候補による位置特定を行う(ステップS16)。ステップS16が完了すると、制御情報生成部15は、位置特定処理を終了する。
【0054】
例えば信号機の候補が信号機SG11である場合、先読みテーブルにおいて信号機SG11に対応する視認性関連フラグには検出不可を示す1がセットされている。この例のように、視認性関連フラグが0でない場合(ステップS17;No)、制御情報生成部15は、車両2が到達した付与地点と紐付けられ、視認性関連フラグが検出不可を示す信号機の候補を、車線上の車両2の現在の位置情報の検出対象から除外する(ステップS18)。続いて、制御情報生成部15は、新たな候補が有るか否かを判定する(ステップS12)。この場合、例えば図5(B)に示す先読みテーブルにおいて、まだ候補となっていた信号機がある場合(ステップS12;Yes)、制御情報生成部15は、ステップS13以降の処理を再び実行する。
【0055】
一方、先読みテーブルにおける信号機の候補がすべて選定されて、まだ選定されていない信号機の候補がなくなった場合(ステップS12;No)、制御情報生成部15は、他の方法による車両2の位置特定を行う(ステップS23)。ここで、特定される位置は、例えば、位置取得部17により取得された位置となる。ステップS23が完了すると、制御情報生成部15は、位置特定処理を終了する。
【0056】
車両搭載センサ16のセンサ情報において、信号機が検出されていない場合(ステップS14;No)、制御情報生成部15は、車両2が信号機の候補の付与地点に到達しているか否かを判定する(ステップS20)。車両2が付与地点に到達していなければ(ステップS20;No)、制御情報生成部15は、他の方法による車両2の位置特定を行う(ステップS23)。ステップS23が完了すると、制御情報生成部15は、位置特定処理を終了する。
【0057】
車両2が付与地点に到達しており(ステップS20;Yes)、視認性関連フラグが0でない場合も(ステップS21;No)、制御情報生成部15は、他の方法による車両2の位置特定を行う(ステップS23)。ステップS23が完了すると、制御情報生成部15は、位置特定処理を終了する。
【0058】
ただし、車両2が付与地点に到達しており(ステップS20;Yes)、視認性関連フラグが0である場合(ステップS21;Yes)、存在しているはずの信号機が検出できていない状態となっているため、制御情報生成部15は、存在しているはずの信号機が検出できなかった旨の情報を、無線通信ネットワーク3を介して、サーバ11に通報するか、感度を上げるなどの車両搭載センサ16の調整を行う(ステップS22)。この通報を受信すると、該当する信号機について調査が行われ、サーバ11において必要に応じて地物データ群24及びリンクデータ群25の更新が行われる。地物データ群24及びリンクデータ群25の更新が行われた地図データ20は、無線通信ネットワーク3を介して制御部10に送信され、記憶部12に記憶される。そして、制御情報生成部15は、他の方法による車両2の位置特定を行う(ステップS23)。ステップS23が完了すると、制御情報生成部15は、位置特定処理を終了する。
【0059】
制御部10は、上述の位置特定処理を含む自動走行処理を実行して、車両2の位置を特定し、その位置を更新しつつ、車両2を経路MTに沿って自動運転して、出発地Sから目的地Gまで移動する。基本的には、図5(A)に示すように、制御部10は、車両2の前方最直近の信号機の付与地点を先読みし、その信号機を車両搭載センサ16で検出し、車両2の現在の位置情報を算出する。車両2がその信号機を過ぎると、検出対象をその先の信号機に切り替えていく。
【0060】
なお、上述の自動走行処理においては、ステップS4において付与地点の先読みを行った後、ステップS5~S8が実行されるが、ステップS4とステップS5~S8とを並行して行うようにしてもよい。すなわち、制御部10は、付与地点の先読みを目的地Gまで行わず、出発地Sからある程度の距離まで行った後、さらなる付与地点の先読みを行いつつ、ステップS5~S8を実行するようにしてもよい。
【0061】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る車両支援システム1によれば、車両2の位置情報を精度良く検出することができるので、その車両2の位置を適切に制御することができる。
【0062】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図9に示すように、本実施の形態2に係る車両支援システム1は、車両2の速度に関する制御情報を生成する点が、上記実施の形態1に係る車両支援システム1と異なる。本実施の形態では、地物は、速度規制情報が表示される標識である。図9では、最高速度を50km/hに規制する標識が地物として図示されている。
【0063】
本実施の形態2に係る車両支援システム1は、制御部10、サーバ11、車両搭載センサ16及び位置取得部17を備える点は上記実施の形態1に係る車両支援システム1と同じである。地図データ20が道路ネットワークデータ21、車線ネットワークデータ22、属性データ群23、地物データ群24及びリンクデータ群25を有する点も、同様である。また、道路ネットワークデータ21、車線ネットワークデータ22、属性データ群23の内容も、図2(A)~図2(C)に示すものと同じである。
【0064】
[地物データ群]
本実施の形態では、地物は、速度規制情報を示す標識である。この標識には、「とまれ」と表示され車両2の停止を示す標識も含まれる。図9には、標識LB1が示されているが、実際には、道路には多数の速度規制情報を示す標識が立設されている。それぞれの標識に関して、地物データ群24は、図10(A)に示すように、地物情報24aを有する。
【0065】
地物データ群24は、標識毎に地物情報24aを有する。図10(A)に示すように、地物情報24aは、標識ID、標識の左端座標と、右側座標と、高さと、地上からの高さと、表示内容と、を含むデータ組である。表示内容は、標識に表示された速度規制情報を示している。表示内容には、最高速度、最低速度又は停止を促す「とまれ」が含まれる。このように、地物情報24aは、標識の識別情報と、標識の位置を示す情報と、表示内容を示す情報と、を含んでいる。
【0066】
[リンクデータ群]
リンクデータ群25は、図10(B)に示すように、リンク情報25aを有する。リンク情報25aは、地物と車線とを関連付けるデータである。前述のように、本実施の形態では、地物は標識である。例えば、図9に示すように、標識LB1は、リンクLR3を構成する車線を走行する車両2に対して設けられている。この場合、標識LB1と、リンクLR3とを関連付けるリンク情報25aが生成される。図10(B)に示すように、リンク情報25aでは、車線IDと、標識IDと、付与地点と、がそれぞれ一組となって標識毎に設定される。標識は、最も近い車線と関連付けられる。例えば、図9に示す道路では、標識LB1に関して、車線LL8、LL9が関連付けられる。また、標識が、交差点内の車線とは関連付けられない点も、上記実施の形態1と同じである。
【0067】
[付与地点]
付与地点は、上記実施の形態1と同様に、標識と関連する車線の位置座標点列上の地点である。例えば、図9に示すように、車線情報22aに含まれる位置座標点列のうち、標識LB1からおろした垂線が路面と交差する点と最も近い点が、付与地点となる。付与地点を示す情報は、位置座標点列のうち、進行方向に沿って何番目の点であるかを示すものとすることができる。
【0068】
[制御部の機能構成]
図1に示すように、制御部10は、記憶部12と、点列特定部13と、付与地点特定部14と、制御情報生成部15と、を備える点も、上記実施の形態1と同じである。
【0069】
点列特定部13は、図11(A)に示すように、道路ネットワークデータ21を参照して、車両2の出発地Sから目的地Gまでの道路上の経路MPを生成する。さらに、点列特定部13は、属性データ群23を参照して、図11(A)に示すように、車両2が走行する予定の道路上の経路MPに沿った車線上の経路MTを探索する。点列特定部13は、車線ネットワークデータ22を参照して、探索した車線の車線IDに対応する位置座標点列を読み込み、車線上の経路MTに沿った位置座標点列を特定する。
【0070】
付与地点特定部14は、車線ネットワークデータ22及びリンクデータ群25を参照して、位置座標点列上の付与地点を特定する。図11(A)に示す例では、GP10~GP14が付与地点を示している。付与地点は、経路MT上の標識LB10~LB14に最も近い位置座標点列上の地点となっている。また、付与地点特定部14は、例えば図11(B)に示す先読みテーブルを有する。この先読みテーブルは、地物ID、位置情報、付与地点及び表示内容の項目を有している。付与地点特定部14は、経路MTを探索し、進行方向に沿って地物ID、付与地点及び表示内容の項目を登録する。表示内容は、標識が設置された時点での車両2が遵守すべき速度に関する事項である。
【0071】
制御情報生成部15は、地物データ群24を参照して、先読みされた付与地点に紐付けされた地物の位置に基づいて、車両の出発地Sから目的地Gまでの速度プロファイルを、車両2の速度を制御する制御情報として生成する。図11(A)及び図11(B)に示すように、制御情報生成部15は、付与地点GP10~GP14に対応する標識LB10~LB14の速度に関する表示内容を先読みして、車両2の速度プロファイルを生成する。例えば、標識LB10の表示内容が最高速度V1であった場合、標識LB10の位置P10を抜けた後の車両2の速度は、速度V1以内となり、標識LB11の表示内容が最高速度V2であった場合、車両2が標識LB11の位置P11まで到達したときに、最高速度V2まで減速するような速度プロファイルが生成される。
【0072】
また、標識LB12の表示内容が「とまれ」であった場合、標識LB11の位置P12に到達したときに車両2が停止可能な速度プロファイルが生成される。以降、標識LB12と標識LB13との間では、速度標識がないため、一般道路に適用される法定速度を最高速度とする速度プロファイルが生成され、標識LB13に表示される最高速度V3、標識LB14に表示される最高速度V4を超えず、目的地Gで車両2の速度が0となる速度プロファイルが生成される。制御部10は、生成された速度プロファイルにしたがって、車両2の速度制御を行う。
【0073】
制御部10のハードウエア構成も、上記実施の形態1と同じである。サーバ11も同様である。
【0074】
次に、本実施の形態に係る車両支援システム1の動作について説明する。ここでは、制御部10において実行される自動走行処理について説明する。
【0075】
図12に示すように、点列特定部13は、出発地Sから目的地Gまでの経路MP(図11(A)参照)を生成する(ステップS21)。続いて、制御部10は、道路ネットワークデータ21、車線ネットワークデータ22及び属性データ群23を参照して、経路MPに沿った車線上の経路MTを生成する(ステップS22)。さらに、点列特定部13は、車線ネットワークデータ22及び属性データ群23を参照して、車両2の車線上の経路MTに沿った車線の車線情報22aを先読みして経路MPに沿った車線の位置座標点列(図11(A)参照)を特定する(ステップS23)。
【0076】
付与地点特定部14は、リンクデータ群25を参照して、経路MTに沿った車線の位置座標点列を先読みして位置座標点列上の付与地点を特定する(ステップS24)。これにより、図11(B)に示すように、先読みテーブルに、経路MT上の標識の地物ID、位置情報、付与地点及び表示内容が設定される。先読みテーブルを参照すれば、車両2がこれから走行する予定の経路MTに沿った位置座標点列のどこの点(どれくらい先)に標識が存在しているのかを、車両2がその標識の周辺位置に到達する前に(例えば、その標識が視認できないくらいの、その標識の遥か前方の位置において)把握することができる。
【0077】
続いて、制御部10は、先読みされた標識の付与地点及び表示内容に基づいて、出発地Sから目的地Gまでの速度プロファイルを生成する速度プロファイル生成処理を行う(ステップS25)。速度プロファイル生成処理後、制御部10は、車両2の自動走行を開始する(ステップS26)。制御部10は、生成した速度プロファイルに従って車両2の速度制御を行う。続いて、制御部10は、目的地Gに到着したか否かを判定する(ステップS27)。制御部10は、目的地に到着するまで(ステップS27;No)、ステップS27を繰り返す。このようにすれば、車両がこれから走行する予定の経路MPに沿った車線の位置座標点列のどこの位置(どれくらい先)に標識が存在しているのかを、車両2がその標識の周辺位置に到達する前に(例えば、その標識が視認できないくらいの、その標識の遥か前方の位置において)把握し、その標識の表示内容を先読みして、先読みした表示内容にしたがって、現在地点又は現在地点から一定距離進んだ地点において、速度規制情報に従った減速、加速又は停止などを行う速度制御を実現することができる。
【0078】
目的地Gに到着すると(ステップS27;Yes)、制御部10は、車両2の自動走行を停止し(ステップS28)、自動走行処理を終了する。
【0079】
制御部10は、上述の自動走行処理を実行して、経路MT上の速度に関する標識を先読みして速度プロファイルを生成し、その速度を更新しつつ、車両2を経路MTに沿って自動運転して、出発地Sから目的地Gまで移動する。この際、制御部10は、上記実施の形態1に係る車両支援システム1のように、地物(例えば信号機)の位置情報に基づいて車両2の位置情報を検出しながら、自動運転を行う。なお、制御部10は、位置取得部17で車両2の位置を取得しながら、すなわち、GPS情報により車両2の位置を特定する自動運転を行うようにしてもよい。
【0080】
なお、上述の自動走行処理では、ステップS24において付与地点の先読みを行った後に、ステップS25~S28が実行されるが、ステップS24とステップS25~S28とを並行して行うようにしてもよい。すなわち、制御部10は、付与地点の先読みを目的地Gまで行わず、途中まで行った後、さらに付与地点の先読みを継続しつつ、ステップS25~S28を実行するようにしてもよい。
【0081】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る車両支援システム1によれば、車両2の経路MT上の速度に関する標識を精度良く先読みすることができるので、その車両の速度を適切に制御することができる。
【0082】
なお、上記実施の形態に係る車両支援システム1では、自動運転を行う車両2を支援する場合について説明している。しかしながら、これには限られない。車両支援システム1は、手動で運転される車両2の支援を行うものであってもよい。
【0083】
また、上記実施の形態1では地物を信号機とし、上記実施の形態2では地物を標識としている。しかしながら、これには限られない。道路の近傍に設けられた3次元構造物であれば、それを地物として車両2の位置又は速度制御を行うことが可能である。例えば、標識を用いて車両2の位置を特定することも可能である。
【0084】
また、上記実施の形態では、左側通行の道路で車両支援システム1の説明を行ったが、右側通行の道路でも車両支援システム1を適用することができる。
【0085】
その他、車両支援システム1のハードウエア構成又はソフトウエア構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0086】
制御部10を機能させるためのプログラムは、制御部10を記憶部12、点列特定部13、付与地点特定部14、制御情報生成部15として機能させるためのプログラムコードを含む。
【0087】
制御部10の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する制御部10を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで制御部10を構成してもよい。
【0088】
制御部10の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムとの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0089】
搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS;Bulletin Board System)にコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0090】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0091】
1 車両支援システム、2 車両、3 無線通信ネットワーク、10 制御部、11 サーバ(送信装置)、12 記憶部、13 点列特定部、14 付与地点特定部、15 制御情報生成部、16 車両搭載センサ、17 位置取得部、18 送受信部、20 地図データ、21 道路ネットワークデータ、21a 道路区間情報、22 車線ネットワークデータ、22a 車線情報、23 属性データ群、23a 属性情報、24 地物データ群、24a 地物情報、25 リンクデータ群、25a リンク情報、30 送受信部(送信部)、101 プロセッサ、102 メモリ、103 ストレージ、104 通信インターフェイス(I/F)、105 入出力インターフェイス(I/F)、GP10,GP11,GP12,GP13,GP14 付与地点、L1,L2,L3,L4,L5 区間、LB1,LB10,LB11,LB12,LB13,LB14 標識、LL1,LL2,LL3,LL4,LL5,LL6,LL7,LL8,LL9,LL10,LL11 車線、LR1,LR2,LR3 リンク、MP,MT 経路、N1 ノード、P1,P2,P3,P4 地点、P10,P11,P12,P13,P14 位置情報、V1,V2,V3,V4,V5 速度、S1,S2 像、SA 検出範囲、SG,SG1,SG2,SG3,SG10,SG11,SG12,SG13,SG14 信号機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12