(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084208
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20240618BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G01N21/88 H
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198352
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】野澤 洋人
(72)【発明者】
【氏名】広田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修
(72)【発明者】
【氏名】石渡 研志
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB06
2G051AB07
2G051BA06
2G051BA10
2G051BA20
2G051BB01
2G051BB03
2G051BB05
2G051CA03
2G051CB01
2G051CB05
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】検出速度及び検出感度を向上させることができる検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る検査装置1は、照明光LLの波長を切り替える切替部LS2を含む光源LSと、検査光学系100と、レビュー光学系200と、を備え、検査光学系100は、暗視野照明された試料SMPからの光を集光する第1対物レンズ121を含み、レビュー光学系200は、明視野照明された試料SMPからの光を集光する第2対物レンズ216を含み、第2対物レンズ216の倍率は、第1対物レンズ121の倍率よりも大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光の波長を切り替える切替部を含む光源と、
第1照明光学系、第1検出光学系及び第1検出器を含む検査光学系と
第2照明光学系、第2検出光学系及び第2検出器を含むレビュー光学系と、
を備え、
前記第1照明光学系は、前記光源から出射した前記照明光で試料を暗視野照明し、
前記第1検出光学系は、前記第1照明光学系によって照明された前記試料からの光を集光する第1対物レンズを含み、
前記第1検出器は、前記第1照明光学系及び第1検出光学系の暗視野観察による前記試料からの光を検出し、
前記第2照明光学系は、前記照明光で前記試料を明視野照明する第2対物レンズを含み、
前記第2検出光学系は、前記第2照明光学系によって照明された前記試料からの光を集光する前記第2対物レンズを含み、
前記第2検出器は、前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系の明視野観察による前記試料からの光を検出し、
前記第2対物レンズの倍率は、前記第1対物レンズの倍率よりも大きい、
検査装置。
【請求項2】
前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系は、共焦点光学系を構成する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記照明光は、近赤外線を含む、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記光源は、前記照明光の波長を変化させることにより、前記試料における欠陥の検出位置を前記試料の表面から深さ方向に変化させる、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記第1照明光学系は、前記試料に対する前記照明光の主軸の角度を変更する照明旋回軸を有する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記レビュー光学系は、第3照明光学系をさらに含み、
前記第3照明光学系は、前記照明光で前記試料を暗視野照明し、
前記第2検出光学系は、前記第3照明光学系によって照明された前記試料からの光を集光する前記第2対物レンズを含み、
前記第2検出器は、前記第3照明光学系及び前記第2検出光学系の暗視野観察による前記試料からの光を検出する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
前記第3照明光学系は、前記試料に対する前記照明光の角度を変更する照明旋回軸を有する、
請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記第3照明光学系は、
前記照明光を平行光に変換する第1レンズと、
前記第1レンズによって前記平行光に変換された前記照明光を集光する第2レンズと、
前記第2レンズで集光された前記照明光を収束光として反射させるミラーと、
前記ミラーに入射する前記照明光に対する前記ミラーの傾きを変更する角度変更手段と、
前記ミラーで反射した前記照明光が集光点で収束した後、発散光として入射する第3レンズであって、前記発散光を前記平行光に変換した前記照明光で前記試料を照明する前記第3レンズと、
を含み、
前記角度変更手段は、前記試料に対する前記照明光の前記角度が前記照明旋回軸を軸として変更するように、前記ミラーに入射する前記照明光に対する前記ミラーの前記傾きを変更し、
前記第2レンズの焦点と、前記第3レンズの焦点とは、前記ミラーと前記第3レンズとの間の前記集光点で一致する、
請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記試料は、前記試料の表面に所定の周期で形成されたパターンを有し、
前記第1検出光学系及び前記第2検出光学系の少なくともいずれかは、前記試料からの前記光に含まれる偏光を透過させる偏光フィルタを有する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項10】
前記試料の前記表面に直交する方向に延びた回転軸の周りで前記試料を回転させる駆動手段またはステージ上に所定の回転角度で前記試料を設置する設置手段をさらに備え、
前記第1照明光学系及び前記第2照明光学系は、前記試料に対する前記照明光の入射角及び入射方向を変更可能である、
請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記検査光学系で検出した欠陥に対して、前記第2対物レンズの焦点位置を変化させることにより、前記第2検出器が検出した画像から、前記試料における前記欠陥の深さ方向の位置を特定する特定手段をさらに備えた、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項12】
光源において照明光の波長を切り替えるステップと、
第1照明光学系、第1検出光学系及び第1検出器を含む検査光学系において暗視野照明を用いて検査するステップと、
第2照明光学系、第2検出光学系及び第2検出器を含むレビュー光学系において明視野照明を用いて検査するステップと、
を備え、
前記検査光学系において前記暗視野照明を用いて検査するステップは、
前記第1照明光学系において前記照明光で試料を暗視野照明するステップと、
前記第1照明光学系によって照明された前記試料からの光を前記第1検出光学系の第1対物レンズで集光するステップと、
前記第1照明光学系及び前記第1検出光学系の暗視野観察による前記試料からの前記光を前記第1検出器で検出するステップと、
を有し、
前記レビュー光学系において明視野照明を用いて検査するステップは、
前記第2照明光学系において前記照明光で前記試料を明視野照明するステップと、
前記第2照明光学系によって照明された前記試料からの光を前記第2検出光学系の第2対物レンズで集光するステップと、
前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系の明視野観察による前記試料からの前記光を前記第2検出器で検出するステップと、
を有し、
前記第2対物レンズの倍率は、前記第1対物レンズの倍率よりも大きい、
検査方法。
【請求項13】
前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系は、共焦点光学系を構成する、
請求項12に記載の検査方法。
【請求項14】
前記照明光は、近赤外線を含む、
請求項12に記載の検査方法。
【請求項15】
前記照明光の前記波長を切り替えるステップでは、
前記照明光の前記波長を変化させることにより、前記試料における欠陥の検出位置を前記試料の表面から深さ方向に変化させる、
請求項12に記載の検査方法。
【請求項16】
前記第1照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップでは、
前記第1照明光学系の照明旋回軸によって、前記試料に対する前記照明光の主軸の角度を変更する、
請求項12に記載の検査方法。
【請求項17】
第3照明光学系を含む前記レビュー光学系において暗視野照明を用いて検査するステップをさらに備え、
前記レビュー光学系において前記暗視野照明を用いて検査するステップは、
前記第3照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップと、
前記第3照明光学系によって照明された前記試料からの光を前記第2検出光学系の前記第2対物レンズで集光するステップと、
前記第3照明光学系及び前記第2検出光学系の前記暗視野観察による前記試料からの前記光を前記第2検出器で検出するステップと、
を有する、
請求項12に記載の検査方法。
【請求項18】
前記第3照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップでは、
前記第3照明光学系の照明旋回軸によって、前記試料に対する前記照明光の主軸の角度を変更する、
請求項17に記載の検査方法。
【請求項19】
前記第3照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップでは、
前記第3照明光学系は、
前記照明光を平行光に変換する第1レンズと、
前記第1レンズによって前記平行光に変換された前記照明光を集光する第2レンズと、
前記第2レンズで集光された前記照明光を収束光として反射させるミラーと、
前記ミラーに入射する前記照明光に対する前記ミラーの傾きを変更する角度変更手段と、
前記ミラーで反射した前記照明光が集光点で収束した後、発散光として入射する第3レンズであって、前記発散光を前記平行光に変換した前記照明光で前記試料を照明する前記第3レンズと、
を含むようにし、
前記角度変更手段は、前記試料に対する前記照明光の前記角度が前記照明旋回軸を軸として変更するように、前記ミラーに入射する前記照明光に対する前記ミラーの前記傾きを変更し、
前記第2レンズの焦点と、前記第3レンズの焦点とは、前記ミラーと前記第3レンズとの間の前記集光点で一致する、
請求項18に記載の検査方法。
【請求項20】
前記試料は、前記試料の表面に所定の周期で形成されたパターンを有し、
前記第1検出光学系及び前記第2検出光学系の少なくともいずれかは、前記試料からの前記光に含まれる偏光を透過させる偏光フィルタを有する、
請求項12に記載の検査方法。
【請求項21】
前記第1照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップ及び前記第2照明光学系において前記照明光で前記試料を明視野照明するステップの少なくともいずれかでは、前記試料の前記表面に直交する方向に延びた回転軸の周りで前記試料を回転させ、または、ステージ上に所定の回転角度で前記試料を設置させ、前記試料に対する前記照明光の入射角及び入射方向を変更させる、
請求項20に記載の検査方法。
【請求項22】
前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系の明視野観察による前記試料からの前記光を前記第2検出器で検出するステップでは、前記検査光学系で検出した欠陥に対して前記第2対物レンズの焦点位置を変化させることにより、前記第2検出器が検出した画像から、前記試料における前記欠陥の深さ方向の位置を特定する、
請求項12に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体基板上に順次回路パターンを積み重ねることにより半導体装置を製造するプロセスにおいて、各工程のアライメントを検出する照明光の波長を変化させることにより、コントラストが最大の条件でアライメントを検出するアライメント装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、半導体装置を暗視野照明で照明することにより、半導体装置の欠陥による散乱光を複数の方向から検出する欠陥検出装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、半導体装置の欠陥による散乱光を複数のセンサを用いて検出する検査装置が記載されている。
【0005】
特許文献4には、半導体装置を照明する照明光の入射角度を変化させながら、半導体装置の欠陥による散乱光を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04-003413号公報
【特許文献2】特開2005-156537号公報
【特許文献3】特表2014-524033号公報
【特許文献4】特開2007-192759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体基板等の内部欠陥を高倍率で検査する検査装置において、内部欠陥を高速で検査することは困難である。
【0008】
半導体基板等の明視野観察を行う検査装置では、深さ方向の検出領域を拡大させると面内方向の検査感度が低下する。これに対して、面内方向の検査感度を向上させると、深さ方向の検出領域が縮小する。このように、明視野観察を行う検査装置では、深さ方向の検出領域と面内方向の検査感度がトレードオフとなっている。
【0009】
一方、暗視野観察を行う検査装置では、欠陥の形状の分類及び深さ方向の分類を行うことが困難である。また、SEM(Scanning Electron Microscope)は、表面の欠陥を検出することはできるが、非破壊で内部欠陥を検出することは困難である。
【0010】
このように、既存の検査装置では、それぞれ課題を有していて、検出速度及び検出感度を向上させることができる検査装置が所望されている。
【0011】
本開示の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、検出速度及び検出感度を向上させることができる検査装置及び検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示に係る検査装置は、本開示に係る検査装置は、照明光の波長を切り替える切替部を含む光源と、第1照明光学系、第1検出光学系及び第1検出器を含む検査光学系と第2照明光学系、第2検出光学系及び第2検出器を含むレビュー光学系と、を備え、前記第1照明光学系は、前記光源から出射した前記照明光で試料を暗視野照明し、前記第1検出光学系は、前記第1照明光学系によって照明された前記試料からの光を集光する第1対物レンズを含み、前記第1検出器は、前記第1照明光学系及び第1検出光学系の暗視野観察による前記試料からの光を検出し、前記第2照明光学系は、前記照明光で前記試料を明視野照明する第2対物レンズを含み、前記第2検出光学系は、前記第2照明光学系によって照明された前記試料からの光を集光する前記第2対物レンズを含み、前記第2検出器は、前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系の明視野観察による前記試料からの光を検出し、前記第2対物レンズの倍率は、前記第1対物レンズの倍率よりも大きい。
【0013】
上記検査装置では、前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系は、共焦点光学系を構成してもよい。
【0014】
上記検査装置では、前記照明光は、近赤外線を含んでもよい。
【0015】
上記検査装置では、前記光源は、前記照明光の波長を変化させることにより、前記試料における欠陥の検出位置を前記試料の表面から深さ方向に変化させてもよい。
【0016】
上記検査装置では、前記第1照明光学系は、前記試料に対する前記照明光の主軸の角度を変更する照明旋回軸を有してもよい。
【0017】
上記検査装置では、前記レビュー光学系は、第3照明光学系をさらに含み、前記第3照明光学系は、前記照明光で前記試料を暗視野照明し、前記第2検出光学系は、前記第3照明光学系によって照明された前記試料からの光を集光する前記第2対物レンズを含み、前記第2検出器は、前記第3照明光学系及び前記第2検出光学系の暗視野観察による前記試料からの光を検出してもよい。
【0018】
上記検査装置では、前記第3照明光学系は、前記試料に対する前記照明光の角度を変更する照明旋回軸を有してもよい。
【0019】
上記検査装置では、前記第3照明光学系は、前記照明光を平行光に変換する第1レンズと、前記第1レンズによって前記平行光に変換された前記照明光を集光する第2レンズと、前記第2レンズで集光された前記照明光を収束光として反射させるミラーと、前記ミラーに入射する前記照明光に対する前記ミラーの傾きを変更する角度変更手段と、前記ミラーで反射した前記照明光が集光点で収束した後、発散光として入射する第3レンズであって、前記発散光を前記平行光に変換した前記照明光で前記試料を照明する前記第3レンズと、を含み、前記角度変更手段は、前記試料に対する前記照明光の前記角度が前記照明旋回軸を軸として変更するように、前記ミラーに入射する前記照明光に対する前記ミラーの前記傾きを変更し、前記第2レンズの焦点と、前記第3レンズの焦点とは、前記ミラーと前記第3レンズとの間の前記集光点で一致してもよい。
【0020】
上記検査装置では、前記試料は、前記試料の表面に所定の周期で形成されたパターンを有し、前記第1検出光学系及び前記第2検出光学系の少なくともいずれかは、前記試料からの前記光に含まれる偏光を透過させる偏光フィルタを有してもよい。
【0021】
上記検査装置では、前記試料の前記表面に直交する方向に延びた回転軸の周りで前記試料を回転させる駆動手段またはステージ上に所定の回転角度で前記試料を設置する設置手段をさらに備え、前記第1照明光学系及び前記第2照明光学系は、前記試料に対する前記照明光の入射角及び入射方向を変更可能でもよい。
【0022】
上記検査装置では、前記検査光学系で検出した欠陥に対して、前記第2対物レンズの焦点位置を変化させることにより、前記第2検出器が検出した画像から、前記試料における前記欠陥の深さ方向の位置を特定する特定手段をさらに備えてもよい。
【0023】
本開示に係る検査方法は、光源において照明光の波長を切り替えるステップと、第1照明光学系、第1検出光学系及び第1検出器を含む検査光学系において暗視野照明を用いて検査するステップと、第2照明光学系、第2検出光学系及び第2検出器を含むレビュー光学系において明視野照明を用いて検査するステップと、を備え、前記検査光学系において前記暗視野照明を用いて検査するステップは、前記第1照明光学系において前記照明光で試料を暗視野照明するステップと、前記第1照明光学系によって照明された前記試料からの光を前記第1検出光学系の第1対物レンズで集光するステップと、前記第1照明光学系及び前記第1検出光学系の暗視野観察による前記試料からの前記光を前記第1検出器で検出するステップと、を有し、前記レビュー光学系において明視野照明を用いて検査するステップは、前記第2照明光学系において前記照明光で前記試料を明視野照明するステップと、前記第2照明光学系によって照明された前記試料からの光を前記第2検出光学系の第2対物レンズで集光するステップと、前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系の明視野観察による前記試料からの前記光を前記第2検出器で検出するステップと、を有し、前記第2対物レンズの倍率は、前記第1対物レンズの倍率よりも大きい。
【0024】
上記検査方法では、前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系は、共焦点光学系を構成してもよい。
【0025】
上記検査方法では、前記照明光は、近赤外線を含んでもよい。
【0026】
上記検査方法では、前記照明光の前記波長を切り替えるステップでは、前記照明光の前記波長を変化させることにより、前記試料における欠陥の検出位置を前記試料の表面から深さ方向に変化させてもよい。
【0027】
上記検査方法では、前記第1照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップでは、前記第1照明光学系の照明旋回軸によって、前記試料に対する前記照明光の主軸の角度を変更させてもよい。
【0028】
上記検査方法では、第3照明光学系を含む前記レビュー光学系において暗視野照明を用いて検査するステップをさらに備え、前記レビュー光学系において前記暗視野照明を用いて検査するステップは、前記第3照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップと、前記第3照明光学系によって照明された前記試料からの光を前記第2検出光学系の前記第2対物レンズで集光するステップと、前記第3照明光学系及び前記第2検出光学系の前記暗視野観察による前記試料からの前記光を前記第2検出器で検出するステップと、を有してもよい。
【0029】
上記検査方法では、前記第3照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップでは、前記第3照明光学系の照明旋回軸によって、前記試料に対する前記照明光の主軸の角度を変更してもよい。
【0030】
上記検査方法では、前記第3照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップでは、前記第3照明光学系は、前記照明光を平行光に変換する第1レンズと、前記第1レンズによって前記平行光に変換された前記照明光を集光する第2レンズと、前記第2レンズで集光された前記照明光を収束光として反射させるミラーと、前記ミラーに入射する前記照明光に対する前記ミラーの傾きを変更する角度変更手段と、前記ミラーで反射した前記照明光が集光点で収束した後、発散光として入射する第3レンズであって、前記発散光を前記平行光に変換した前記照明光で前記試料を照明する前記第3レンズと、を含むようにし、前記角度変更手段は、前記試料に対する前記照明光の前記角度が前記照明旋回軸を軸として変更するように、前記ミラーに入射する前記照明光に対する前記ミラーの前記傾きを変更し、前記第2レンズの焦点と、前記第3レンズの焦点とは、前記ミラーと前記第3レンズとの間の前記集光点で一致してもよい。
【0031】
上記検査方法では、前記試料は、前記試料の表面に所定の周期で形成されたパターンを有し、前記第1検出光学系及び前記第2検出光学系の少なくともいずれかは、前記試料からの前記光に含まれる偏光を透過させる偏光フィルタを有してもよい。
【0032】
上記検査方法では、前記第1照明光学系において前記照明光で前記試料を暗視野照明するステップ及び前記第2照明光学系において前記照明光で前記試料を明視野照明するステップの少なくともいずれかでは、前記試料の前記表面に直交する方向に延びた回転軸の周りで前記試料を回転させ、または、ステージ上に所定の回転角度で前記試料を設置させ、前記試料に対する前記照明光の入射角及び入射方向を変更させてもよい。
【0033】
上記検査方法では、前記第2照明光学系及び前記第2検出光学系の明視野観察による前記試料からの前記光を前記第2検出器で検出するステップでは、前記検査光学系で検出した欠陥に対して前記第2対物レンズの焦点位置を変化させることにより、前記第2検出器が検出した画像から、前記試料における前記欠陥の深さ方向の位置を特定してもよい。
【発明の効果】
【0034】
本開示によれば、検出速度及び検出感度を向上させることができる検査装置及び検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施形態1に係る検査装置を例示した構成図である。
【
図2】実施形態1に係る暗視野照明を行う第3照明光学系を例示した構成図である。
【
図3】実施形態1に係る検査方法を例示したフローチャート図である。
【
図4】実施形態1に係る検査光学系において、暗視野照明を用いて検査する方法を例示したフローチャート図である。
【
図5】実施形態1に係るレビュー光学系において、明視野照明を用いて検査する方法を例示したフローチャート図である。
【
図6】実施形態1の別の例に係る検査方法を例示したフローチャート図である。
【
図7】実施形態1の別の例に係るレビュー光学系において、暗視野照明を用いて検査する方法を例示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本開示の好適な実施の形態を示すものであって、本開示の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0037】
(実施形態の概要)
実施形態の概要を説明する。本実施形態の検査装置は、半導体装置等の試料の欠陥を検査する際に、試料を照明する照明光である近赤外光(Near Infra Red、以下、NIR光と呼ぶ。)等の波長を変化させつつ、低倍率の暗視野観察による検査と、高倍率の明視野観察または暗視野観察による検査とを組み合わせる。
【0038】
NIR光を用いた低倍率の暗視野観察による検査は、高速検査及びフォーカス依存性が抑制された試料の検査を高感度で実施することができる。NIR光及び共焦点光学系を用いた高倍率の明視野観察または暗視野観察による検査は、試料の欠陥の形状分類及び深さ方向分布の検査を実施することができる。
【0039】
光源は、例えば、半導体レーザダイオード(Laser Diode、以下、LDと呼ぶ。)を含み、450nm、650nm、750nm、825nm及び925nm等の波長を有する照明光に切り替えることができる。また、光源は、光スイッチと組み合わせたファイバ光学系を含んでいる。なお、照明光に含まれる波長は、450nm、650nm、750nm、825nm及び925nmに限らず、他の波長を含んでもよい。なお、光源は、発光ダイオード(Light-Emitting Diode、以下、LEDと呼ぶ。)を含んでもよい。
【0040】
低倍率の暗視野観察による検査光学系を、単に、検査光学系と呼び、高倍率の明視野観察または暗視野観察による検査光学系をレビュー光学系と呼ぶ場合がある。その場合には、本実施形態の検査装置は、検査光学系とレビュー光学系とを一体化している。光源は、検査光学系とレビュー光学系とで共用してもよい。光源は、検査光学系とレビュー光学系とで切り替えて使用してもよい。
【0041】
検査光学系は、暗視野観察のみ行ってもよい。検査光学系の暗視野照明は、例えば、ビームホモジナイザーを用いる。これにより、均一なライン状の照明を形成する。
【0042】
レビュー光学系は、暗視野観察及び明視野観察を行ってもよい。レビュー光学系に共焦点光学系を使用することで、試料の深さ方向のセクショニング効果を有するようにすることができる。レビュー光学系の暗視野照明は、2f光学系とガルバノミラー(第3照明光学系として後述する。)を用いて照明角度を変化させた小型の照明装置を実現する。これにより、暗視野に適した欠陥についてもレビューが可能になる。ステージは、レビュー光学系と共焦点光学系とで共有してもよい。以下、図面を参照して、検査装置及び検査方法の詳細を説明する。
【0043】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る検査装置を例示した構成図である。
図1に示すように、検査装置1は、光源LS、ステージST、検査光学系100及びレビュー光学系200を備えている。検査装置1は、処理装置300をさらに備えてもよい。光源LS、ステージST及び処理装置300は、検査光学系100及びレビュー光学系200で共用されてもよい。なお、光源LS、ステージST及び処理装置300は、検査光学系100及びレビュー光学系200において別々に設けられてもよい。
【0044】
検査装置1は、半導体装置等の試料SMPに存在する欠陥を検査する。
図1では、説明の便宜上、ステージST及びサンプルSMPは、検査光学系100及びレビュー光学系200にそれぞれ1個ずつ記載されている。しかしながら、ステージST及びサンプルSMPは、検査光学系100による検査及びレビュー光学系200による検査に対応して、検査光学系100とレビュー光学系200との間で移動してもよい。
【0045】
検査光学系100は、第1照明光学系110、第1検出光学系120及び第1検出器130を含む。第1照明光学系110は、照明光LLで試料SMPを暗視野照明する。よって、検査光学系100は、第1照明光学系110、第1検出光学系120及び第1検出器130を用いて、暗視野観察による検査を行う。検査光学系100は、低倍率で高速の暗視野観察による検査を行ってもよい。
【0046】
レビュー光学系200は、第2照明光学系210、第2検出光学系220、第3照明光学系230及び第2検出器240を含む。第2照明光学系210は、照明光LLで試料SMPを明視野照明する。よって、レビュー光学系200は、第2照明光学系210、第2検出光学系220及び第2検出器240を用いて、明視野観察による検査を行う。第2照明光学系210及び第2検出光学系220は、共焦点光学系を構成してもよい。よって、レビュー光学系200は、高倍率の明視野観察による共焦点光学系を用いた検査を行ってもよい。一方、第3照明光学系230は、照明光LLで試料SMPを暗視野照明する。よって、レビュー光学系200は、第3照明光学系230、第2検出光学系220及び第2検出器240を用いて、暗視野観察による検査を行う。
【0047】
以下で、<光源>、<ステージ>、<試料>、<低倍率の暗視野観察を行う検査光学系>、<高倍率の明視野観察を行うレビュー光学系>、<高倍率の暗視野観察を行うレビュー光学系>及び<検査方法>を説明する。
【0048】
<光源>
光源LSは、光源部LS1、切替部LS2、光スイッチLS4を含む。光源LSは、さらに、スペックルキラーLS3を含んでもよい。
【0049】
光源部LS1は、照明光LLを生成する。例えば、光源部LS1は、LDまたはLEDである。光源部LS1は、複数の中心波長を有する照明光LLを生成する。例えば、複数のLD等がそれぞれ異なる中心波長を有する照明光LLを生成してもよい。このようにして、光源部LS1は、複数の中心波長を有する照明光LLを生成する。照明光LLは、NIR光を含んでもよい。照明光LLの複数の中心波長は、例えば、450nm、650nm、750nm、825nm及び925nm等を含む。光源部LS1は、これ以外の中心波長を有する照明光LLを生成してもよい。
【0050】
切替部LS2は、照明光LLの波長を切り替える。具体的には、切替部LS2は、上記のいずれかの中心波長を有する照明光LLから他の中心波長を有する照明光LLに切り替える。切替部LS2は、光源部LS1におけるLD等を切り替えることにより、照明光LLの波長を切り替えてもよいし、バンドパスフィルタ等により、照明光LLの波長を切り替えてもよい。このようにして、光源LSは、照明光LLの波長を変化させることにより、試料SMPにおける欠陥の検出位置を試料SMPの表面から深さ方向に変化させる。
【0051】
スペックルキラーLS3は、照明光LLに含まれるスペックルを低減させる。光スイッチLS4は、照明光LLの出射先を、第1照明光学系110、第2照明光学系210及び第3照明光学系230のいずれかに切り替える。
【0052】
<ステージ>
ステージSTは、検査対象である試料SMPを載置する。ステージSTの上面をステージ面ST1と呼ぶ。試料SMPは、ステージ面ST1上に載置される。
【0053】
ここで、検査装置1の説明の便宜のために、XYZ直交座標軸系を導入する。ステージ面ST1に直交する方向をZ軸方向とし、+Z軸方向を上方、-Z軸方向を下方とする。ステージ面ST1をXY面とする。なお、上方及び下方は、説明の便宜のためのものであり、検査装置1が配置される方向を示すものではない。
【0054】
ステージSTは、ステージ面ST1をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能である。また、ステージSTは、Z軸方向に延びた回転軸の周りで回転可能である。ステージSTは、駆動手段ST2を有してもよい。駆動手段ST2は、ステージ面ST1及び試料SMPをX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。X軸方向及びY軸方向の移動をスキャンと呼んでもよい。また、駆動手段ST2は、ステージ面ST1及び試料SMPをZ軸方向(試料SMPの表面に直交する方向)に延びた回転軸の周りで回転させる。これにより、第1照明光学系110及び第2照明光学系210は、試料SMPに対する照明光LLの入射角及び入射方向を変更可能である。また、ステージSTは、ステージST上に所定の回転角度で試料SMPを設置する設置手段を備えてもよい。駆動手段ST2は、例えば、モータ、ピエゾ素子等を用いたアクチュエータ等である。なお、駆動手段ST2は、ステージ面ST1及び試料SMPをX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させることができれば、モータ、ピエゾ素子等を用いたアクチュエータ等にかぎらない。
【0055】
駆動手段ST2は、試料SMPに対する第1照明光学系110及び第1検出光学系120の相対位置を変化させる。これにより、駆動手段ST2は、照明光LLで、試料SMPをX軸方向及びY軸方向にスキャンすることができる。また、駆動手段ST2は、第1対物レンズ121のZ軸方向のフォーカスを合わせてもよい。なお、試料SMPに対する第1照明光学系110及び第1検出光学系120の相対位置を変化させることができれば、駆動手段ST2は、ステージSTに設けられる代わりに、第1照明光学系110及び第1検出光学系120に設けられてもよい。すなわち、駆動手段ST2は、第1照明光学系110及び第1検出光学系120をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能とするとともに、Z軸方向に延びた回転軸の周りに回転可能としてもよい。
【0056】
<試料>
試料SMPは、材料として、例えば、シリコン(Silicon)を含んでもよい。試料SMPがシリコンを含む場合には、NIR光を含む照明光LLは、波長に応じて、試料SMPの深さ方向の検出位置を変えることができる。例えば、波長を短くすることにより、試料SMPの表面及び表面付近に存在する欠陥(表面欠陥)を検出することができる。波長を長くすることにより、試料SMPの深さ方向に存在する欠陥(内部欠陥)を検出することができる。なお、試料SMPは、材料として、シリコンを含むものに限らず、他の半導体材料等、シリコン以外の半導体材料を含んでもよいし、絶縁材料、導電材料等を材料に含んでもよい。
【0057】
試料SMPは、表面に、Z軸方向に延びた溝及び柱等の構造を有してもよいし、配線等のライン及びスペースを有する構造を有してもよい。試料SMPの表面に形成された溝、柱、ライン及びスペース等は、X軸方向、Y軸方向、並びに、X軸方向及びY軸方向から傾いた方向に延びた構造を有してもよい。このように、試料SMPは、試料SMPの表面に所定の周期で形成された溝、柱、配線及びスペースの少なくともいずれかを有してもよい。試料SMPの表面に所定の周期で形成された溝、柱、配線及びスペースをパターンと呼んでもよい。
【0058】
例えば、3次元トランジスタや3次元フラッシュメモリー等のように、試料SMPの表面の面内方向におけるサイズが波長と同等以下の構造がシリコンにより形成されている場合には、可視光と同程度の波長の照明光LLは、そのような周期的な構造の影響を受けるので、試料SMPの表面欠陥及び内部欠陥を検出することが困難な場合がある。一方、NIR光を含む照明光LLは、そのような周期的な構造に影響を受けずに試料SMPの内部に透過されるので、試料SMPの表面欠陥及び内部欠陥を検出することができる。
【0059】
<低倍率の暗視野観察を行う検査光学系>
次に、低倍率の暗視野観察を行う検査光学系100を説明する。第1照明光学系110は、光源LSから出射した照明光LLで試料SMPを照明する。第1照明光学系110は、照明光LLが試料SMPの少なくとも一部を透過するように、照明光LLで試料SMPを照明してもよい。第1照明光学系110は、インテグレーション光学系を含んでもよい。第1照明光学系110は、これ以外のレンズ及びミラー等の光学部材を含んでもよい。
【0060】
インテグレーション光学系は、例えば、ビームホモジナイザーである。ビームホモジナイザーは、均一なライン状の照明光を形成することができる。ビームホモジナイザーは、ファイバFB、コリメータ111及びレンズ112を含んでもよい。ファイバFBは、断面が円形のファイバでもよいし、断面が矩形のファイバでもよい。コリメータ111は、コンデンサレンズを含んでもよい。レンズ112は、マイクロレンズアレイ及び凸レンズを含んでもよい。
【0061】
ファイバFBは、光スイッチLS4に接続されている。光スイッチLS4で照明光LLの出射先が第1照明光学系110に切り替えられた場合に、ファイバFBは、照明光LLをコリメータ111に導く。コリメータ111は、ファイバFBによって導かれた照明光LLを平行光に変換する。レンズ112は、コリメータ111によって平行光に変換された照明光LLを均一なライン状の照明光に成形する。レンズ112は、第1検出光学系120の第1対物レンズ121のNAの外側から試料SMPを照明する。
【0062】
第1照明光学系110は、照明旋回軸113を有してもよい。照明旋回軸113は、試料SMPに対する照明光LLの主軸の角度を変更する。第1照明光学系110は、照明旋回軸113を軸として鉛直方向に旋回することにより、照明光LLの主軸と、ステージ面ST1と、のなす角度を変化させることができる。試料SMPの表面に特定の方向に延びた周期的な構造が形成されている場合には、そのような周期的な構造は、回折格子と同様の作用を起こすことがある。そのような周期的な構造による回折光の影響で、試料SMPの欠陥の検出感度が低減する場合がある。そこで、第1照明光学系110を、照明旋回軸113を軸として鉛直方向に旋回させることにより、回折光を低減させる。
【0063】
第1検出光学系120は、第1対物レンズ121及び偏光切替え部122を含んでいる。第1検出光学系120は、これ以外のレンズ及びミラー等の光学部材を含んでもよい。第1対物レンズ121は、第1照明光学系110によって照明された試料SMPからの光を集光する。第1照明光学系110は、対物121レンズのNAの外側から試料SMPを照明するので、第1対物レンズ121は、照明光LLが試料SMPの欠陥で散乱した散乱光を集光する。よって、試料SMPからの光は、散乱光を含む。第1検出光学系120は、暗視野観察における試料SMPの欠陥の散乱光を集光する。
【0064】
偏光切替え部122は、P偏光素子、S偏光素子及び無偏光素子を含んでもよい。P偏光素子は、P偏光成分を透過させる。S偏光素子は、S偏光成分を透過させる。無偏光素子は、P偏光成分及びS偏光成分のいずれも透過させる。偏光切替え部122は、P偏光素子、S偏光素子及び無偏光素子のうち、いずれかの偏光素子を選択可能に設けられている。偏光切替え部122は、P偏光素子、S偏光素子及び無偏光素子のいずれかの偏光素子を選択することにより、散乱光等の試料SMPからの光に含まれるP偏光及びS偏光等を透過させる。試料SMPの表面に形成された溝、柱、ライン及びスペース等の構造の配列方向によっては、偏光方向により資料内部への侵入長が変わることがある。この場合には、散乱光を検出するのに適切な偏光フィルタ素子が偏光切替え部122によって選択される。
【0065】
第1検出器130は、第1照明光学系110及び第1検出光学系120の暗視野観察による試料SMPからの光を検出する。例えば、第1検出器130は、第1検出光学系120で導かれた試料SMPからの光を検出することにより、暗視野観察による欠陥の散乱光を検出する。第1検出器130は、例えば、TDI(Time Delay Integration)を含む。暗視野観察により検出される散乱光は、光量が小さい場合がある。したがって、第1検出器130は、光量を積算して検出するTDIであることが望ましい。なお、第1検出器130は、TDIに限らず、ラインセンサ等の他の検出器を含んでもよい。試料SMPを照明する照明光LLがライン状である場合には、試料SMPからの光は、第1検出器130の受光面にライン状に集光される。第1検出器130は、検出結果のデータを処理装置300に出力する。
【0066】
<高倍率の明視野観察を行うレビュー光学系>
次に、高倍率の明視野観察を行うレビュー光学系200を説明する。レビュー光学系200において、第2照明光学系210及び第2検出光学系220は、共焦点光学系を構成してもよい。すなわち、共焦点光学系は、第2照明光学系210及び第2検出光学系220を含む。第2照明光学系210は、第2検出光学系220を構成する光学部材を含んでいる。よって、第2照明光学系210は、第2検出光学系220を兼ねている。
【0067】
第2照明光学系210は、照明光LLで試料SMPを照明する。第2照明光学系210は、例えば、ファイバFB、ビームスプリッタ211、レンズ212、ミラー213、レンズ214、レンズ215、第2対物レンズ216及び偏光切替え部217を含む。第2照明光学系210は、さらに、レンズ及びミラー等の他の光学部材を含んでもよい。
【0068】
ファイバFBは、光スイッチLS4に接続されている。光スイッチLS4で照明光LLの出射先が第2照明光学系210に切り替えられた場合に、ファイバFBは、照明光LLをビームスプリッタ211に導く。ビームスプリッタ211は、ハーフミラーでもよい。ビームスプリッタ211は、入射した照明光LLの一部を透過し、一部を反射する。ビームスプリッタ211がハーフミラーの場合には、入射した照明光LLの半分を透過して、残り半分を反射する。ビームスプリッタ211で反射された照明光LLは、レンズ212によって平行光に変換される。平行光に変換された照明光LLは、ミラー213に入射する。ミラー213は、照明光LLをレンズ214の方向に反射する。
【0069】
ミラー213には、走査手段213aが取り付けられてもよい。走査手段213aは、ミラー213の傾きを変化させ、ミラー213に入射する照明光LLの入射角及び反射角を変化させる。走査手段213aは、例えば、ガルバノモータ、ポリゴンモータ等のアクチュエータ等である。なお、走査手段213aは、ミラー213に入射する照明光LLの入射角及び反射角を変化させることができれば、ガルバノモータ、ポリゴンモータ等のアクチュエータ等に限らない。
【0070】
走査手段213aが取り付けられたミラー213は、例えば、ガルバノミラーである。走査手段213aは、第2対物レンズ216の視野において、試料SMPの照明位置を走査する。具体的には、走査手段213aは、ミラー213の傾きを変えることにより、試料SMPの照明位置をX軸方向及びY軸方向に走査する。照明光LLがライン状の場合には、走査手段213aは、ラインに直交する方向に走査してもよい。
【0071】
ミラー213で反射した照明光LLは、レンズ214で収束光に変換される。レンズ214を透過した照明光LLは、集光点で集光された後、発散光としてレンズ215に入射する。レンズ215は、照明光LLを平行光に変換する。レンズ214及びレンズ215は、例えば、リレーレンズである。レンズ215を透過した照明光LLは、第2対物レンズ216に入射する。
【0072】
第2対物レンズ216は、照明光LLで試料SMPを明視野照明する。第2対物レンズ216は、照明光LLが試料SMPの少なくとも一部を透過するように、照明光LLで試料SMPを明視野照明してもよい。第2対物レンズ216は、駆動手段216aを取り付けられてもよい。駆動手段216aは、第2対物レンズ216を光軸方向に移動させる。駆動手段216aは、試料SMPに対する第2対物レンズ216の相対位置を変化させる。第2対物レンズ216の光軸方向は、第2対物レンズ216のフォーカス軸である。よって、駆動手段216aは、第2対物レンズ216の焦点位置を光軸方向に移動させる。これにより、照明光LLの焦点位置Fに対して、試料SMPを光軸方向にスキャンすることができる。
【0073】
駆動手段216aは、例えば、モータ、ピエゾ素子等を用いたアクチュエータ等である。なお、駆動手段216aは、第2対物レンズ216を光軸方向に移動させることができれば、モータ、ピエゾ素子等を用いたアクチュエータ等にかぎらない。また、ステージSTの駆動手段ST2によって、第2対物レンズ216の焦点位置を光軸方向に移動させることができれば、駆動手段216aは必ずしも設けられなくてもよい。
【0074】
共焦点光学系10を構成するため、照明光LLは、第2対物レンズ216の焦点面(フォーカス面)に照明領域を形成する。なお、焦点面は、焦点Fを通って、第2対物レンズ216の光軸に直交する平面である。照明領域は、例えば、ライン状である。例えば、スリットやシリンドリカルレンズを用いることで、ライン状の照明光を生成してもよい。なお、照明領域は、点状でもよい。
【0075】
第2照明光学系210及び第2検出光学系220は、第3対物レンズ218をさらに含んでもよい。第3対物レンズ218は、第2対物レンズ216と倍率が異なる。第3対物レンズ218が第2対物レンズ216よりも低倍率の場合には、第2検出光学系220は、広い視野での欠陥の撮像が可能となる。一方、第3対物レンズ218が第2対物レンズ216よりも高倍率の場合には、第2検出光学系220は、高分解能での欠陥の撮像が可能となる。第2対物レンズ216及び第3対物レンズ218の倍率は、第1検出光学系120の第1対物レンズ121の倍率よりも大きい。一例として、第1対物レンズ121の倍率は、1~10倍程度であり、第2対物レンズ216の倍率は、100倍程度であり、第3対物レンズ218の倍率は、10倍~50倍程度である。
【0076】
例えば、第2対物レンズ216及び第3対物レンズ218は図示しないレボルバ等に取り付けられている。第2対物レンズ216及び第3対物レンズ218は、照明光LLの光路中に選択的に挿入される。つまり、第2対物レンズ216及び第3対物レンズ218の一方が光路中に挿入され、他方が光路中から取り出される。
【0077】
照明光LLは、試料SMPを照明する。そして、照明光LLで照明された試料SMPからの光は、第2検出光学系220を戻っていく。第2検出光学系220は、第2照明光学系210と同様の光学部材を含んでいる。よって、第2検出光学系220は、第2照明光学系210によって照明された試料SMPからの光を集光する第2対物レンズ216を含む。照明光LLで照明された試料SMPからの光は、例えば、試料SMPの表面及び試料SMPの内部で反射した反射光、試料SMPの回折光、及び、試料SMPの欠陥の散乱光を含んでもよい。
【0078】
試料SMPからの光は、第2対物レンズ216で平行光に変換される。第2対物レンズ216を透過した平行光は、レンズ215に入射する。レンズ215は、試料SMPからの光を収束光に変換する。レンズ215を透過した光は、集光点で集光された後、発散光としてレンズ214に入射する。レンズ214は、発散光を平行光に変換する。
【0079】
レンズ214を透過した光は、ミラー213で反射されて、レンズ212に入射する。ミラー213に走査手段213aが取り付けられている場合には、試料SMPからの光は、ミラー213でデスキャンされる。そして、ミラー213で反射された光は、レンズ212で集光されて、ハーフミラー等のビームスプリッタ211に入射する。ビームスプリッタ211を透過した光は、第2検出器240に入射する。
【0080】
なお、試料SMPからの光は、偏光切替え部217を介して第2検出器240に入射してもよい。偏光切替え部217の機能は、検査光学系100における偏光切替え部122の機能と同様である。
【0081】
レンズ212は、結像レンズであり、試料SMPからの光を第2検出器240の受光面に集光している。第2検出器240は、例えば、ラインセンサを含む。照明領域がライン状である場合には、ラインCCDまたはラインCMOSセンサを用いてもよい。この場合には、第2検出器240の受光面には、複数の画素がライン列に配列されている。
【0082】
第2検出器240は、照明光LLで照明した試料SMPからの光を検出する。よって、第2検出器240は、第2照明光学系210及び第2検出光学系220の明視野観察による試料SMPからの光を検出する。第2検出器240は、検出結果のデータを処理装置300に出力する。
【0083】
第2検出器240の受光面は、第2対物レンズ216の焦点面とは互いに共役な位置に配置されている。第2対物レンズ216で集光された照明光LLが、焦点面において、ライン状の照明領域を形成する。なお、第2対物レンズ216で集光された照明光LLが、焦点面において、点状の照明領域を形成してもよい。第2検出器240の受光面では、試料SMPからの光がライン状または点状に集光される。焦点面から光軸方向にずれた面からの光は、第2検出器240の画素の外側に入射する。このようにすることで、共焦点光学系を構成することができる。
【0084】
上記の例では、第2対物レンズ216の焦点面から共役な位置に第2検出器240を配置していたが、スリットまたはピンホールを用いて共焦点光学系を構成してもよい。例えば、ライン状の照明領域に沿ったスリット、または、点状の照明領域に対応したピンホールを焦点面と共役な位置に配置する。第2検出器240がスリットまたはピンホールを通過した光を検出するように、スリットまたはピンホールの後ろ側に第2検出器240を配置する。ライン状の照明光LLの場合には、第2検出器240は、スリット方向に沿って複数の画素が配列されたラインセンサとする。
【0085】
このような構成とすることにより、焦点面からの光がスリットまたはピンホールを通過し、焦点面からずれた面で反射された反射光は、遮光される。よって、共焦点光学系を構成することができる。
【0086】
本実施形態の検査装置1において、第2検出器240は、共焦点光学系を介して、試料SMPからの光を検出する。共焦点光学系では、駆動手段ST2または216aにより、フォーカス方向にスキャンして、試料SMPに対する第2対物レンズ216の相対位置を変化させる。これにより、試料SMPの欠陥の深さ情報を得ることができる。
【0087】
<高倍率の暗視野観察を行うレビュー光学系>
次に、高倍率の暗視野観察を行うレビュー光学系200を説明する。第3照明光学系230は、照明光LLで試料SMPを照明する。
図2は、実施形態1に係る暗視野照明を行う第3照明光学系230を例示した構成図である。
図2に示すように、第3照明光学系230は、レンズ231、レンズ232、ミラー233、角度変更手段233a及びレンズ234を含んでもよい。第3照明光学系230は、これら以外のレンズ及びミラー等の光学部材を含んでもよい。
【0088】
レンズ231は、ファイバFBから出射した照明光LLを集光する。レンズ231は、例えば、コリメートレンズであり、ファイバFBから出射した照明光LLを平行光に変換する。レンズ232は、レンズ231によって平行光に変換された照明光LLを集光する。レンズ232は、照明光LLをミラー233に対して集光する。ミラー233は、レンズ232によって集光された照明光LLを収束光として反射させる。
【0089】
ミラー233は、角度変更手段233aを取り付けられてもよい。角度変更手段233aは、ミラー233に入射する照明光LLに対するミラー233の傾きを変更する。具体的には、角度変更手段233aは、照明光LLのステージ面ST1及び試料SMPに対する角度を変化させるように、ミラー233の傾きを変化させる。よって、第3照明光学系230は、試料SMPに対する照明光LLの角度を変更する照明旋回軸235を有している。角度変更手段233aは、試料SMPに対する照明光LLの主軸の角度が照明旋回軸235を軸として変更するように、ミラー233に入射する照明光LLに対するミラー233の傾きを変更する。
【0090】
このように、照明旋回軸235を軸として鉛直方向に照明光LLを旋回させることにより、照明光LLの主軸と、ステージ面ST1と、のなす角度を変化させることができる。角度変更手段233aは、例えば、ガルバノモータ、ステッピングモータ等のアクチュエータ等である。なお、角度変更手段233aは、照明光LLのステージ面ST1及び試料SMPに対する角度を変化させるように、ミラー233の傾きを変化させることができれば、ガルバノモータ、ステッピングモータ等のアクチュエータ等に限らない。
【0091】
角度変更手段233aが取り付けられたミラー233は、例えば、ガルバノミラーである。角度変更手段233aは、第2対物レンズ216の視野において、試料SMPの照明位置を変更させる。試料SMPの表面に特定の方向に延びた周期的な構造が形成されている場合には、そのような周期的な構造は、回折格子と同様の作用を起こすことがある。そのような周期的な構造による回折光の影響で、試料SMPの欠陥の検出感度が低減する場合がある。そこで、照明光LLの主軸を、照明旋回軸235を軸として鉛直方向に旋回させることにより、回折光を低減させることができる。
【0092】
ミラー233で反射した照明光LLは、レンズ234に入射する。レンズ234には、ミラー233で反射した照明光LLが集光点で収束した後、発散光として入射する。レンズ234は、入射した発散光を平行光に変換した照明光で試料SMPを照明する。つまり、レンズ234は、平行光の照明光LLで試料SMPを照明する。
【0093】
本実施形態の第3照明光学系230は、暗視野照明する照明光LLの照明角をなるべく広い範囲で任意に変更できる構成とされている。具体的には、レンズ234の像面位置A1は、レビュー光学系200の第2対物レンズ216の視野位置とする。また、レンズ234の物体面位置A2は、ミラー233の位置とする。そして、ミラー233に対して、照明光LLを入射する。角度変更手段233aは、ミラー233の傾きを変更する。レンズ234の物体面位置A2で出射角度を変えることで、照明位置を変えずに照明角度だけを変化させる。レンズ234の焦点位置A3にレンズ232の焦点位置A4を置くことで、照明位置に平行光を入射させることができる。すなわち、第3照明光学系230は、レンズ232の焦点と、レンズ234の焦点とは、ミラー233とレンズ234との間の集光点で一致させている。これにより、第2対物レンズ216の視野領域内で照明角度が均一となり、試料SMPを均一に照明することができる。
【0094】
このようにして、第3照明光学系230は、照明光LLで試料SMPを暗視野照明する。第3照明光学系230は、照明光LLが試料SMPの少なくとも一部を透過するように照明光LLで試料SMPを暗視野照明してもよい。第2対物レンズ216は、第3照明光学系230によって照明された試料SMPからの光を集光する。第2検出器240は、第3照明光学系230及び第2検出光学系220の暗視野観察による試料SMPからの光を検出する。
【0095】
なお、第3照明光学系230において、第2検出器240のフレームレート(ラインセンサではラインレート)に同期させて、ミラー233を狭い角度で高速に振ることで、スペックルノイズを軽減させることもできる。
【0096】
処理装置300は、例えば、プロセッサとメモリなどを備えたコンピュータであり、試料SMPの欠陥を検出するための処理を実行する。処理装置300は、例えば、PC(Personal Computer)及びサーバ等の情報処理装置である。処理装置300は、検出結果を表示するためのモニタや、ユーザからの入力を受け付けるためのキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力機器を備えている。処理装置300は、走査手段213a、角度変更手段233a、駆動手段ST2及び駆動手段216aを制御する。処理装置300は、検査光学系100及びレビュー光学系200で検出された検出データを収集する。例えば、処理装置300は、検査光学系100で検出した欠陥に対して、第2対物レンズ216の焦点位置を変化させることにより、第2検出器240が検出した画像から、試料SMPにおける欠陥の深さ方向の位置を特定してもよい。よって、処理装置300は、試料SMPにおける欠陥の深さ方向の位置を特定する特定手段としての機能を有している。
【0097】
<検査方法>
次に、検査方法を説明する。
図3は、実施形態1に係る検査方法を例示したフローチャート図である。
図3のステップS10に示すように、照明光LLを切り替える。照明光LLの出射先を検査光学系100の第1照明光学系110とする。例えば、光源LSにおいて、切替部ST2は、光源部ST11が生成する照明光LLの波長を切り替えてもよい。
【0098】
次に、ステップS20に示すように、第1照明光学系110、第1検出光学系120及び第1検出器130を含む検査光学系100において暗視野照明を用いて検査する。次に、ステップS30に示すように、照明光LLの出射先を検査光学系100からレビュー光学系200に切り替える。次に、ステップS40に示すように、第2照明光学系210、第2検出光学系220及び第2検出器240を含むレビュー光学系200において明視野照明を用いて検査する。
【0099】
図4は、実施形態1に係る検査光学系100において暗視野照明を用いて検査する方法を例示したフローチャート図である。
図4のステップS21に示すように、第1照明光学系110において照明光LLで試料SMPを暗視野照明する。光源LSから出射した照明光LLが試料SMPの少なくとも一部を透過するように、第1照明光学系110において照明光LLで試料SMPを暗視野照明してもよい。ステップS21では、第1照明光学系110の照明旋回軸113によって、試料SMPに対する照明光LLの主軸の角度を変更させてもよい。
【0100】
次に、ステップS22に示すように、第1照明光学系110によって照明された試料SMPからの光を第1検出光学系120の第1対物レンズ121で集光する。次に、ステップS23に示すように、第1照明光学系110及び第1検出光学系120の暗視野観察による試料SMPからの光を第1検出器130で検出する。
【0101】
なお、検査光学系100において暗視野照明を用いて検査する際には、照明光LLの波長を変化させることにより、試料SMPの深さ方向において、広範囲に欠陥の検査を行ってもよい。また、欠陥の検査のために、試料SMPの表面に平行な方向へスキャンさせてもよいし、試料SMPの表面に直交する方向に延びた回転軸の周りで試料SMPを回転させてもよい。
【0102】
図5は、実施形態1に係るレビュー光学系200において明視野照明を用いて検査する方法を例示したフローチャート図である。
図5のステップS31に示すように、第2照明光学系210において照明光LLで試料SMPを明視野照明する。光源LSから出射した照明光LLが試料SMPの少なくとも一部を透過するように、共焦点光学系を構成する第2照明光学系210において照明光LLで試料SMPを明視野照明してもよい。例えば、検査光学系100による検査で欠陥を検出した際の照明光LLの波長を用いて検査する。
【0103】
次に、ステップS32に示すように、第2照明光学系210によって照明された試料SMPからの光を第2検出光学系220の第2対物レンズ216で集光する。次に、ステップS33に示すように、第2照明光学系210及び第2検出光学系220の明視野観察による試料SMPからの光を第2検出器240で検出する。
【0104】
なお、レビュー光学系200において明視野照明を用いて検査する際には、検査光学系100による検査で欠陥を検出した際の照明光LLの波長を用いて検査してもよいし、照明光LLの波長を変化させてもよい。また、検査光学系100で検出した欠陥に対して第2対物レンズ216の焦点位置を変化させることにより、試料SMPにおける欠陥の深さ方向の位置を特定してもよい。さらに、試料SMPの表面に平行な方向へスキャンさせてもよいし、試料SMPの表面に直交する方向に延びた回転軸の周りで試料SMPを回転させてもよい。
【0105】
ステップS33では、処理装置300を用いて、検査光学系100で検出した欠陥に対して第2対物レンズ216の焦点位置を変化させることにより、第2検出器240が検出した画像から、試料SMPにおける欠陥の深さ方向の位置を特定してもよい。
【0106】
図6は、実施形態1の別の例に係る検査方法を例示したフローチャート図である。
図6のステップS50及びS60に示すように、本実施形態の検査方法は、
図3の検査方法に加えて、さらに、照明光を切り替えるステップ及び第3照明光学系を含むレビュー光学系において暗視野照明を用いて検査するステップを備えてもよい。ステップS50及びS60は、ステップS40の後に行ってもよい。また、ステップS50及びS60は、ステップS20とステップ30との間に行ってもよい。
【0107】
図7は、実施形態1の別の例に係るレビュー光学系200において暗視野照明を用いて検査する方法を例示したフローチャート図である。
図7のステップS41に示すように、第3照明光学系230において照明光LLで試料SMPを暗視野照明する。光源LSから出射した照明光LLが試料SMPの少なくとも一部を透過するように、第3照明光学系230において照明光LLで試料SMPを暗視野照明してもよい。
【0108】
次に、ステップS42に示すように、第3照明光学系230によって照明された試料SMPからの光を第2検出光学系220の第2対物レンズ216で集光する。次に、ステップS43に示すように、第3照明光学系230及び第2検出光学系220の暗視野観察による試料SMPからの光を第2検出器240で検出する。ステップS41では、第3照明光学系230の照明旋回軸235によって、試料SMPに対する照明光LLの主軸の角度を変更してもよい。
【0109】
次に、本実施形態の検査装置1の効果を説明する。本実施形態の検査装置1は、低倍率の暗視野観察による検査光学系100と、高倍率の明視野観察または暗視野観察によるレビュー光学系200とを一体化させている。これにより、試料SMPの欠陥の検出速度と検出感度とを共に向上させることができる。
【0110】
例えば、高倍率の明視野の検査とレビューを兼ねた光学系を用いていたが、倍率を上げるとスループットが低下し、検査可能な深さが浅くなり、倍率を下げると検査感度も低下するというトレードオフの関係にあった。
【0111】
これに対して、本実施形態では、検査光学系100によって欠陥を高速に検出し、レビュー光学系200によって非破壊で欠陥の形状等を検出することができる。よって、検査のスループットを向上させ、高感度で検査することができる。
【0112】
レビュー光学系200は、共焦点光学系を含む。よって、試料SMPの欠陥の深さ方向の分布及び形状の検出感度を向上させることができ、セクショニング効果を有するようにすることができる。また、本来、トレードオフとされている試料SMPの欠陥の深さ方向における検出領域の拡大と、面内方向の検査感度の向上とを両立させることができる。
【0113】
検査装置1は、照明光LLの波長を切り替える切替部LS2を含む。照明光LLの波長によって、照明光LLが到達する試料SMP中の深さを変えるがことできる。これにより、試料SMPにおける欠陥の検出位置を試料SMPの表面から深さ方向に変化させることができる。
【0114】
第1照明光学系110及び第3照明光学系230は、試料SMPに対する照明光LLの主軸の角度を変更する照明旋回軸113及び235を有している。試料SMPが溝、柱、配線及びスペース等の周期構造を有する場合に、周期構造による回折光の影響を低減することができる。
【0115】
第3照明光学系230は、レンズ231、レンズ232、ミラー233及びレンズ234を含み、レンズ232の焦点と、レンズ234の焦点とは、ミラー233とレンズ234との間の集光点で一致させている。これにより、第2対物レンズ216の視野領域内で照明角度を均一とし、試料SMPを均一に平行光で照明することができる。
【0116】
また、第3照明光学系230は、レンズ234の位置を変化させなくても、ミラー233の角度変更手段233aにより、試料SMPに対する照明光LLの主軸の角度を変更することができる。よって、第2検出光学系220における第2対物レンズ216の近傍の狭い空間にも第3照明光学系230を配置させることができ、レビュー光学系200を小型化することができる。
【0117】
また、第1検出光学系120及び第2検出光学系220は、偏光切替え部122及び217を有するので、試料SMPが溝、柱、配線及びスペース等の周期構造を有する場合に、周期構造による偏光の影響を低減することができる。
【0118】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。また、実施形態の概要及び実施形態1の各構成は、適宜、組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 検査装置
100 検査光学系
110 第1照明光学系
111 コリメータ
112 レンズ
113 照明旋回軸
120 第1検出光学系
121 第1対物レンズ
122 偏光切替え部
130 第1検出器
200 レビュー光学系
210 第2照明光学系
211 ビームスプリッタ
212 レンズ
213 ミラー
213a 走査手段
214、215 レンズ
216 第2対物レンズ
216a 駆動手段
217 偏光切替え部
218 第3対物レンズ
220 第2検出光学系
230 第3照明光学系
231、232 レンズ
233 ミラー
233a 角度変更手段
234 レンズ
235 照明旋回軸
240 第2検出器
300 処理装置
FB ファイバ
LL 照明光
LS 光源
LS1 光源部
LS2 切替部
LS3 スペックルキラー
LS4 光スイッチ
SMP 試料
ST ステージ
ST1 ステージ面
ST2 駆動手段