(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084221
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】海ぶどうの容器への封入方法
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20240618BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A23L17/60 Z
B65D85/50 150
B65D85/50 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198378
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】522457416
【氏名又は名称】勝山工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522457427
【氏名又は名称】松本 充
(74)【代理人】
【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有
(72)【発明者】
【氏名】勝山 広幸
(72)【発明者】
【氏名】松本 充
【テーマコード(参考)】
3E035
4B019
【Fターム(参考)】
3E035AA11
3E035AB01
3E035BA02
3E035BC02
3E035BD02
3E035DA02
4B019LE09
4B019LK18
4B019LP03
4B019LP16
4B019LP17
(57)【要約】
【課題】海ぶどうのパックへの封入方法を提供する。
【解決手段】
タンク内1内には、所定の寸法、即ちパック詰めされた状態で折り曲げられることがない寸法に切断された海ぶどう6が養生のために入れられている。また、タンク1の上方には海ぶどう6が光合成を行えるように、植物育成ランプ(LED)7が配置されている。海ぶどう6に光合成を行わせることで養生時間が短縮(約24時間)され切断面が自己再生で塞がり、海ぶどう6内から養分(旨味成分)が漏れなくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンシートなどからなる容器の長さよりも短い長さに海ぶどうを切断し、この切断した海ぶどうを海水または人工海水中で養生し、切り口が自己再生により塞がった後に前記容器内に切断した海ぶどうを入れ、この後、前記容器内にオゾンガスを充填した後に、前記容器の開口部をシールするようにしたことを特徴とする海ぶどうの容器への封入方法。
【請求項2】
請求項1に記載の海ぶどうの容器への封入方法において、前記容器への封入手順は、両端が解放されたプラスチック製二重シートの一端を左右から段違いで途中までシールすることで、左右の段違いシール間に小孔を形成し、この小孔が形成された袋状プラスチック容器内に養生後の海ぶどうを充填し、次いで前記左右の段違いシール間に形成される小孔から袋状プラスチック容器内にオゾンを封入し、この後前記段違いシールよりも外側を全幅に亘ってシールすることを特徴とする海ぶどうの容器への封入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵送(宅配)するのに好適なパックなどのプラスチック容器(袋)への海ぶどう(学名:クビレヅタまたはクビレズタ)の封入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの発達により、最近では中間業者を介さず産地から直接消費者に生鮮食品が届けられる通信販売システムが普及している。
【0003】
特許文献1には、生カキの真空パックとして、殻付き生カキの2枚の殻のうち深い方の殻を下面にかつ靱帯を左側に配置した状態で見たとき、靱帯を通る長手方向のほぼ中心に直交する軸が下方で当接する箇所近辺の2枚の殻の接合部に貝柱切断用の孔が開けられ殻付き生カキが収納袋に減圧密封される内容が開示されている。
【0004】
特許文献2には、生カキのパックとして、貝柱切断用の孔が開けられた殻付き生カキが海水と共に、蓋あるいはシート付き箱状、または袋状などの容器に収納、密封されたものが開示されている。
【0005】
特許文献3には、海産物の鮮度を維持しつつ配送するシステムとして、システムのサーバーが、氷スラリーに物品を浸漬して急速冷凍をする氷スラリー冷凍処理の対象の物品のステータスを記憶する記憶部と、氷スラリー冷凍処理を受注したことを示す受注情報と、氷スラリー冷凍処理された物品の発送に応じて発送したことを示す発送完了情報と、を送信する通信部と、記憶部を制御する制御部であって、受注情報を送信したときには、受注中であることを示すステータスを記憶部に記憶させ、氷スラリー冷凍処理の終了に応じて氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを記憶部に記憶させ、発送完了情報を送信したときには、発送が完了したことを示すステータスを記憶部に記憶させる制御部とを備えることが開示されてる。
【0006】
特許文献4には、アンチョビなどの海産物の包装方法として、トレーの上にアンチョビを並べ、窪みにトレーを配置し、次に、上部シートをアンチョビを乗せたトレーを覆いながら下部シートの上に被せ、3辺を熱溶着することによりできたポケットから空気を抜いた後、窒素ガス(N2)を注入し、更に下部シートと上部シートの熱溶着を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-75488号公報
【特許文献2】特開平7-75487号公報
【特許文献3】特開2022-13139号公報
【特許文献4】実用新案登録第3221285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した先行技術を適用して、海ぶどうを真空パックや窒素ガスなどを封入したパック、或いは冷凍パックとすると、海ぶどうは水分を維持できずプチプチ感がなくなり鮮度が落ちてしまう。したがって、
図5に示すように、光合成可能な常温でプラスチック容器などに詰めて、販売或いは郵送している。
【0009】
しかしながら、常温でプラスチック容器に詰めた状態だと、空気中の細菌が繁殖しやすく、郵送や長期の保存には適さない。
また、海ぶどう特有の問題として、ポリ袋などに封入する際に、茎の部分を折り曲げた状態で封入すると、折れた箇所から養分(旨味成分)が漏出してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するため、本発明に係る海ぶどうの容器への封入方法は、ポリエチレンシートなどからなる容器(袋)の長さよりも短い長さに海ぶどうを切断し、この切断した海ぶどうを海水(人工海水)中で養生し、切り口が自己再生により塞がった後に容器内に切断した海ぶどうを入れ、この後、容器内にオゾンガスを充填した後に、容器の開口部をシールするようにした。
【0011】
上記封入手順は、例えば、両端が解放されたプラスチック製二重シートの一端を左右から段違いで途中までシールすることで、左右の段違いシール間に小孔を形成し、この小孔が形成された袋状プラスチック容器内に養生後の海ぶどうを充填し、次いで前記左右の段違いシール間に形成される小孔から袋状プラスチック容器内にオゾンを封入し、この後前記段違いシールよりも外側を全幅に亘ってシールする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る海ぶどうのプラスチック容器への封入方法によれば、所定の長さに切断した海ぶどうをそのまま封入するのではなく、一旦海水(人工海水)で養生させて切り口が自己再生して塞がった後にプラスチック容器に封入するので、切り口から栄養分を含んだ養分(旨味成分)が漏れずに、海ぶどう独特のプチプチ感をそのまま食卓まで届けることができる。
【0013】
また本発明では、殺菌用のオゾンを封入するにあたり、袋状プラスチック容器の一端を左右から段違いで途中までシールし、左右の段違いシール間に形成される小孔から袋状プラスチック容器内にノズルを介してオゾンを封入するようにしている。このように、段違いシール間に小孔を形成することで、オゾンガス封入後に容器自体がオゾンで膨れて小孔を塞ぎ、袋状プラスチック容器を膨らんだ状態でシールしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】(a)~(e)はパック詰め(袋詰め)の過程を説明した図
【発明を実施するための形態】
【0015】
養生装置は、深さ30cm程度の浅いタンク1を台2の上に設置し、このタンク1内に配管3を介して海水(人工海水)を供給し、配管4を介してタンク1内の海水(人工海水)を抜く構造になっている。
【0016】
タンク1内には海水(人工海水)が満たされ、この中に所定の寸法、即ちパック詰めされた状態で折り曲げられることがない寸法に切断された海ぶどう6が養生のために入れられている。また、タンク1の上方には海ぶどう6が光合成を行えるように、植物育成ランプ(LED)5が配置されている。海ぶどう6に光合成を行わせることで養生時間が短縮(約24時間)され切断面が自己再生で塞がり、海ぶどう6内から養分(旨味成分)が漏れなくなる。
【0017】
図2(a)~(e)は、パック詰め(袋詰め)の手順を示している。先ず、(a)に示すような、左右の辺を閉じたプラスチック製の2重シート7を用意し、この2重シート7の一端寄りの部分を左右から段違いになるようにヒートシール8を行う。
【0018】
次いで
図2(b)に示すように、ヒートシール8の部分が下になるようにして、シート7内に、養生が終了した海ぶどう6をヒートシール8の部分とは反対側の2重シート7の端部を開いて2重シート7内に入れる。このとき、ヒートシール8の部分は左右からのシール部が段違いになっているので、シール部間に隙間9が形成されている。この隙間9が形成されていることで、海ぶどう6を2重シート7内に入れた際に海水が隙間9を介して外部に排出される。
【0019】
2重シート7内に海水が残らないことで、パック自体が軽量化され郵送にかかるコストを削減でき、且つ後述するように2重シート7内にオゾンを充填しやすくなり殺菌効果が高まる。
【0020】
2重シート7内に所定量の海ぶどう6を入れたならば、
図2(c)に示すようにヒートシール8とは反対側の端部をヒートシール10で密閉する。
【0021】
次いで、
図2(d)に示すように、ヒートシール8に形成された隙間9を介してノズル11を用いて2重シート7内に殺菌用のオゾンガスを充填する。オゾンガスを充填した後、2重シート7はオゾンで膨らむ。オゾンで膨らんだことで、2重シート7内のヒートシール8の隙間9は一時的に塞がり、この状態を利用して、
図2(e)に示すように、ヒートシール8の外側端部をヒートシール12で密封する。密封後は郵送中も膨らんだ状態を保持する。
【0022】
このようにして得られた2重シート7を集めて郵送用の箱に詰めた状態を
図4で示している。尚、
図3では分かりやすくするため、海ぶどう6が入っていない状態の2重シート7を示しているが、実際には
図4に示すように海ぶどう6が充填された状態で郵送する。
【0023】
図示例では、海ぶどう6の房の部分を茎から切断し、これを2重シート7内に充填するようにしているが、茎の部分のみを所定長さ(2重シート7の長さ以下)に切断してパックにしてもよい。この場合も茎の切断箇所から養分が抜けるため、一旦養生用のタンクに入れ、切断面が自己再生した後にパックにする。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る海ぶどうの養殖装置及び養殖方法は、実施場所の自由度が高く、養殖専用のハウス内に限らず、ビルの内部などにおいても養殖を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1…タンク、2…台、3、4…配管、5…植物育成ランプ(LED)、6…海ぶどう、7…2重シート7、9…隙間、8、10、12…ヒートシール。