(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084222
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】車両における荷台ボックスの換気構造
(51)【国際特許分類】
B62D 33/04 20060101AFI20240618BHJP
B62D 25/06 20060101ALI20240618BHJP
B60H 3/06 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B62D33/04 D
B62D25/06 C
B60H3/06 611Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198379
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】二反田 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】檜垣 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】土屋 弘輔
【テーマコード(参考)】
3D203
3L211
【Fターム(参考)】
3D203AA13
3D203BB59
3D203CB26
3D203DA18
3L211AA08
3L211BA56
3L211DA75
(57)【要約】
【課題】導入通路を介して荷台ボックスの内部に導入される外気から効果的に異物を分離させることができる車両における荷台ボックスの換気構造を提供する。
【解決手段】車両における荷台ボックス12の換気構造では、車両の走行風を外気として荷台ボックス12の内部に導入する導入通路19が形成されている。上記換気構造は、導入通路19における外気の流通断面に対応するように配置されたフィルタ部材21を備える。フィルタ部材21は、外気を通過させつつ、外気に含まれる異物を外気から分離するものとされる。フィルタ部材21を外気が通過する際には、外気に含まれている水等の異物がフィルタ部材21に付着することにより、外気からの水等の異物の分離が行われる。これにより、導入通路19を介して荷台ボックス12の内部に導入される外気から効果的に異物を分離させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行風を外気として荷台ボックスの内部に導入する導入通路が形成されている車両における荷台ボックスの換気構造において、
前記導入通路における前記外気の流通断面に対応するように配置されたフィルタ部材を備え、
前記フィルタ部材は、前記外気を通過させつつ、前記外気に含まれる異物を前記外気から分離するものである車両における荷台ボックスの換気構造。
【請求項2】
前記荷台ボックスのルーフパネルよりも上側には、前記ルーフパネルとの間に前記導入通路を形成するカバーパネルが配置され、
前記カバーパネルにおける車両前側の端部には、車両の走行時に前記荷台ボックスのフロントパネルに当たって上方に流れる外気を前記導入通路内に案内する庇が形成されている請求項1に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【請求項3】
前記荷台ボックスのルーフパネルよりも上側には、前記ルーフパネルとの間に前記導入通路を形成するカバーパネルが配置され、
前記ルーフパネルには、前記導入通路と前記荷台ボックスの内部とを繋ぐ連通孔が形成されており、
前記フィルタ部材は、車両の走行時に前記導入通路を流れる外気の流れ方向において、前記連通孔よりも上流に位置し、
前記導入通路における前記連通孔よりも車両後側には、前記ルーフパネルと前記カバーパネルとの間を塞ぐ遮蔽板が配置されている請求項1に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【請求項4】
前記導入通路は、車両前側から車両後側に向けて延びており、
前記導入通路には、前記ルーフパネルの前記連通孔よりも車両前側の箇所から突出して前記連通孔の上方で車両後側に向けて延びる防水カバーが配置されている請求項3に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【請求項5】
前記荷台ボックスのルーフパネルよりも上側には、前記ルーフパネルとの間に前記導入通路を形成するカバーパネルが配置され、
前記ルーフパネルには、前記導入通路と前記荷台ボックスの内部とを繋ぐ連通孔が形成されており、
前記導入通路には、前記ルーフパネルから突出することにより、前記ルーフパネルに沿った前記連通孔に向かう水の流れを阻止する止水板が設けられている請求項1に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【請求項6】
前記導入通路は、連通孔を介して、前記荷台ボックスの内部と繋がっており、
前記荷台ボックスの内部には、前記連通孔を覆うように開口パネルが取り付けられ、
前記開口パネルは、前記荷台ボックスの内部に対し、異なる方向に開口する複数の開口部を備えている請求項1に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【請求項7】
前記荷台ボックスの内部の空気を外部に導出する導出通路が形成されており、
前記導出通路にも、その導出通路における前記空気の流通断面に対応するように前記フィルタ部材が配置されている請求項1~6のいずれか一項に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における荷台ボックスの換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の荷台ボックスの内部を換気する換気構造が記載されている。この換気構造では、車両の走行風を外気として荷台ボックスに導入する導入通路が形成されている。導入通路には、その導入通路における外気の流通面積を狭めることにより、通過する外気から水等の異物を分離する侵入阻止体が形成されている。導入通路を通過する外気は、侵入阻止体での異物の分離後に荷台ボックスの内部に導入され、更に荷台ボックスの内部を通ってから外部に導出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した車両における荷台ボックスの換気構造では、導入通路を通過する外気に含まれる水等の異物を、侵入阻止体によってある程度は外気から分離できるものの、外気から効果的に異物を分離させる点で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決する車両における荷台ボックスの換気構造の各態様について記載する。
(態様1)
車両の走行風を外気として荷台ボックスの内部に導入する導入通路が形成されている車両における荷台ボックスの換気構造において、前記導入通路における前記外気の流通断面に対応するように配置されたフィルタ部材を備え、前記フィルタ部材は、前記外気を通過させつつ、前記外気に含まれる異物を前記外気から分離するものとした。
【0006】
上記構成によれば、車両の走行時に外気が導入通路を通って荷台ボックスの内部に導入される。導入通路には、外気から異物を分離するためのフィルタ部材が、導入通路における外気の流通断面に対応するように配置されている。従って、導入通路から荷台ボックスの内部に導入される外気は、導入通路に配置された上記フィルタ部材を通過する。フィルタ部材を外気が通過する際には、外気に含まれている水等の異物がフィルタ部材に付着することにより、外気からの異物の分離が行われる。これにより、導入通路を介して荷台ボックスの内部に導入される外気から効果的に異物を分離させることができる。その結果、外気とともに異物が荷台ボックスの内部に入ることを効果的に抑制できる。
【0007】
(態様2)
前記荷台ボックスのルーフパネルよりも上側には、前記ルーフパネルとの間に前記導入通路を形成するカバーパネルが配置され、前記カバーパネルにおける車両前側の端部には、車両の走行時に前記荷台ボックスのフロントパネルに当たって上方に流れる外気を前記導入通路内に案内する庇が形成されている(態様1)に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【0008】
上記構成によれば、車両の走行時、外気が荷台ボックスのフロントパネルに当たって上方に流れる。このように上方に流れた外気は、庇に当たることにより、荷台ボックスのルーフパネルとカバーパネルとの間にある導入通路内に案内される。従って、車両の走行時に効率良く外気を導入通路内に導入することができる。
【0009】
(態様3)
前記荷台ボックスのルーフパネルよりも上側には、前記ルーフパネルとの間に前記導入通路を形成するカバーパネルが配置され、前記ルーフパネルには、前記導入通路と前記荷台ボックスの内部とを繋ぐ連通孔が形成されており、前記フィルタ部材は、車両の走行時に前記導入通路を流れる外気の流れ方向において、前記連通孔よりも上流に位置し、前記導入通路における前記連通孔よりも車両後側には、前記ルーフパネルと前記カバーパネルとの間を塞ぐ遮蔽板が配置されている(態様1)又は(態様2)に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【0010】
上記構成によれば、導入通路を通過する外気が連通孔を介して荷台ボックスの内部に導入される前に、フィルタ部材によって外気から異物を分離させることができる。また、導入通路の連通孔よりも車両後側では、ルーフパネルとカバーパネルとの間が遮蔽板によって閉塞されている。このため、導入通路を通過する外気が、連通孔を介して荷台ボックスの内部に流れずに連通孔よりも車両後側に流れることは、上記遮蔽板によって抑制される。その結果、外気を効率よく連通孔を介して荷台ボックスの内部に流すことができる。
【0011】
(態様4)
前記導入通路は、車両前側から車両後側に向けて延びており、前記導入通路には、前記ルーフパネルの前記連通孔よりも車両前側の箇所から突出して前記連通孔の上方で車両後側に向けて延びる防水カバーが配置されている(態様3)に記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【0012】
上記構成によれば、外気が導入通路内を車両前側から車両後側に向けて流れた後、防水カバーを車両後側から車両前側に回り込んでから、連通孔を介して荷台ボックスの内部に導入される。このため、上記外気にフィルタ部材で分離しきれない水が含まれていても、防水カバーを上記外気が回り込む際に水が外気から分離される。このように水が分離した外気を荷台ボックスの内部に導入することができる。
【0013】
(態様5)
前記荷台ボックスのルーフパネルよりも上側には、前記ルーフパネルとの間に前記導入通路を形成するカバーパネルが配置され、前記ルーフパネルには、前記導入通路と前記荷台ボックスの内部とを繋ぐ連通孔が形成されており、前記導入通路には、前記ルーフパネルから突出することにより、前記ルーフパネルに沿った前記連通孔に向かう水の流れを阻止する止水板が設けられている(態様1)~(態様4)のいずれか一つに記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【0014】
上記構成によれば、外気が導入通路を通過する際、外気に含まれる水が外気から分離すると、その水が荷台ボックスのルーフパネルの上に溜まる。こうした水が連通孔に向かって流れることを上記止水板によって阻止することができる。従って、上記水が連通孔を介して荷台ボックスの内部に入ることを抑制できる。
【0015】
(態様6)
前記導入通路は、連通孔を介して、前記荷台ボックスの内部と繋がっており、前記荷台ボックスの内部には、前記連通孔を覆うように開口パネルが取り付けられ、前記開口パネルは、前記荷台ボックスの内部に対し、異なる方向に開口する複数の開口部を備えている(態様1)~(態様5)のいずれか一つに記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【0016】
上記構成によれば、荷台ボックスに荷物を積み込んだとき、荷物によって開口パネルのうちのいずれかの開口部がふさがれたとしても、その開口部とは開口方向の異なる別の開口部は、上記荷物によって塞がれる可能性が低くなる。従って、荷台ボックス内の荷物により、連通孔が閉塞されることを抑制できる。
【0017】
(態様7)
前記荷台ボックスの内部の空気を外部に導出する導出通路が形成されており、前記導出通路にも、その導出通路における前記空気の流通断面に対応するように前記フィルタ部材が配置されている(態様1)~(態様6)のいずれか一つに記載の車両における荷台ボックスの換気構造。
【0018】
上記構成によれば、車両の走行時、導入通路から荷台ボックスの内部に導入された外気は、荷台ボックスの内部を通過した後に導出通路から外部に導出される。車両の停車時の自然の風や車両の後進時の走行風により、外気が導出通路を介して荷台ボックスの内部に入るとしても、フィルタ部材によって上記外気から水等の異物を分離できるため、上記外気が異物と共に荷台ボックスの内部に入ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1の車両における吸気ダクト及びその周辺の構造を示す断面図である。
【
図5】
図1の車両の荷台ボックスにおける第2連通孔周りの構造を示す断面図である。
【
図6】
図5の第2連通孔近傍に配置された開口パネルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、車両における荷台ボックスの換気構造の一実施形態について、
図1~
図6を参照して説明する。
図1に示すように、トラック等の車両11として、荷物が積み込まれる荷台ボックス12を備えたものが知られている。こうした車両11における荷台ボックス12の内部は、小型モバイル冷凍庫13の廃熱等によって熱がこもりやすく温度が上昇しやすくなる。このため、車両11では、走行風を外気として荷台ボックス12の内部に導入する換気構造が採用されている。この換気構造では、走行風を外気として荷台ボックス12の内部に導入することにより、荷台ボックス12の内部を効率良く換気する、言い換えれば荷台ボックス12内の熱を効率良く外に逃がすようにしている。
【0021】
次に、上記換気構造について詳しく説明する。
この換気構造では、荷台ボックス12における車両11の前端側に設けられた吸気ダクト14及び第1連通孔15を用いて、車両11の走行風が外気として荷台ボックス12の内部に導入される。荷台ボックス12の内部に導入された外気は、荷台ボックス12の内部を車両11の前側から後側に向けて通過する。更に、上記外気は、荷台ボックス12における車両11の後端側に設けられた第2連通孔16を用いて外部に導出される。以下、上記換気構造における吸気ダクト14及び第1連通孔15周りの構造、及び、第2連通孔16周りの構造について、個別に詳しく述べる。
【0022】
<吸気ダクト14及び第1連通孔15周りの構造>
図2に示すように、吸気ダクト14は、荷台ボックス12のルーフパネル17に取り付けられている。吸気ダクト14の天井は、ルーフパネル17よりも上側に位置し、ルーフパネル17との間に導入通路19を形成するカバーパネルとしての役割を担う。吸気ダクト14の天井には、太陽光発電を行うソーラーパネル18が取り付けられている。吸気ダクト14は、ソーラーパネル18及びそのソーラーパネル18をルーフパネル17に支持する構造を利用して実現されている。ルーフパネル17には、導入通路19と荷台ボックス12の内部とを繋ぐ上記第1連通孔15が形成されている。
【0023】
吸気ダクト14の前端部、すなわち
図2の左端部には、導入通路19における外気の導入口20が形成されている。導入口20にはフィルタ部材21が取り付けられている。フィルタ部材21は、導入通路19(導入口20)における外気の流通断面に対応するように配置されている。言い換えれば、フィルタ部材21は、導入通路19における外気の流通断面全体に亘るように配置されている。フィルタ部材21は、外気を通過させつつ、外気に含まれる水等の異物を外気から分離する。
【0024】
フィルタ部材21としては、
図3に示すパンチングメタル22を採用することが考えられる。パンチングメタル22は、多数の孔22aを有する板によって形成されている。外気は、パンチングメタル22の多数の孔22aを通過することが可能である。外気が孔22aを通過する際、パンチングメタル22における孔22aの周囲の箇所に対し外気に含まれる水等の異物が付着する。これにより、外気から異物が分離される。
【0025】
また、フィルタ部材21としては、
図4に示す不織布23を採用することも考えられる。不織布23は、多数の繊維23aによって形成されている。外気は、不織布23の多数の繊維23aの隙間を通過することが可能である。外気が多数の繊維23aの隙間を通過する際、不織布23における多数の繊維23aに対し外気に含まれる水等の異物が付着する。これにより、外気から異物が分離される。
【0026】
図2に示すように、吸気ダクト14の天井における前側の端部、すなわち
図2の左端には、車両11の走行時に荷台ボックス12のフロントパネル24に当たって上方に流れる外気を、導入通路19の導入口20に案内する庇25が形成されている。庇25は、吸気ダクト14の天井における前側の端部であって、導入口20の上端に対応する位置から前方に突出し、更に前方に向かうほど下方に位置するように傾斜している。これにより、庇25は、上記外気を導入通路19の内部に案内することが可能となっている。
【0027】
導入通路19は、車両前側から車両後側に向けて延びている、すなわち
図2の左側から右側に向けて延びている。従って、車両11の走行時に導入通路19内に案内された外気は、導入通路19を通って第1連通孔15に入り、更に第1連通孔15を介して荷台ボックス12の内部に導入される。このことから分かるように、上記フィルタ部材21は、車両11の走行時に導入通路19を流れる外気の流れ方向において、第1連通孔15よりも上流に位置する。
【0028】
吸気ダクト14における車両後側の端部、すなわち
図2の右側の端部には、ソーラーパネル18の架台として機能するエアダム26が設けられている。エアダム26は、導入通路19における第1連通孔15よりも車両後側、すなわち
図2の右側で、ルーフパネル17とソーラーパネル18との間を塞ぐように配置される遮蔽板としての役割を担う。
【0029】
導入通路19における第1連通孔15よりも車両後側、且つ、エアダム26よりも前側には、ルーフパネル17から突出してルーフパネル17とソーラーパネル18との間を塞ぐエアリターンプレート27が配置されている。このエアリターンプレート27も、エアダム26と同様、上記遮蔽板としての役割を担う。
【0030】
導入通路19には、ルーフパネル17における第1連通孔15よりも車両前側の箇所から突出して第1連通孔15の上方で車両後側に向けて延びる防水カバー28が配置されている。このため、導入通路19に導入された外気は、導入通路19を車両前側から車両後側に向けて流れた後、防水カバー28を車両後側から車両前側に回り込んでから、第1連通孔15を介して荷台ボックス12の内部に導入される。
【0031】
導入通路19には、ルーフパネル17から突出することにより、ルーフパネル17に沿った第1連通孔15に向かう水の流れを阻止する止水板29,30が設けられている。止水板29は、第1連通孔15の周囲を囲むように位置しており、車両11の幅方向に延びている。止水板30は、第1連通孔15とエアリターンプレート27との間に位置しており、車両11の幅方向に延びている。
【0032】
ルーフパネル17は、車両11の幅方向両側に向かって下るように傾斜している。従って、外気が第1連通孔15に流れる前に、導入通路19内で外気から水が分離されると、その水はルーフパネル17の上を止水板29,30等に沿って車両11の幅方向両側に向かって流れる。更に、上記水は、車両11の幅方向両側で車両11の前方に向かって流れ、ルーフパネル17の前端から下方に排出される。
【0033】
荷台ボックス12の内部には、第1連通孔15を覆うように開口パネル32が取り付けられている。開口パネル32は、荷台ボックス12の内部に対し、異なる方向に開口する複数の開口部32a,32bを備えている。従って、導入通路19から第1連通孔15に流れた外気は、第1連通孔15を介して開口パネル32の内部に流れ、更に開口パネル32の開口部32a,32bを介して荷台ボックス12の内部に流れる。開口部32aは、車両11の前方に向けて開口している。このため、開口部32aを通過する外気は、荷台ボックス12の内部において車両前側に向かって吹き出される。また、開口部32bは、車両11の後方に向けて開口している。このため、開口部32bを通過する外気は、荷台ボックス12の内部において車両後側に向かって吹き出される。
【0034】
<第2連通孔16周りの構造>
図5に示すように、荷台ボックス12のサイドパネル33における車両後端付近には、上記第2連通孔16が形成されている。サイドパネル33には、荷台ボックス12の内部の空気を外部に導出する導出通路34が形成されている。第2連通孔16は、導出通路34における荷台ボックス12の内部に対する開口部に位置している。従って、車両11の走行時に外気が荷台ボックス12の内部に導入されることに伴い、荷台ボックス12の内部の空気が第2連通孔16を介して導出通路34に導出され、更に導出通路34から外部に導出される。
【0035】
導出通路34における荷台ボックス12の内部に対する開口部、すなわち第2連通孔16には、上記フィルタ部材21と同様のフィルタ部材35が取り付けられている。更に、導出通路34における空気の流れ方向について上記フィルタ部材35よりも下流には、フィルタ部材21と同様のフィルタ部材36が取り付けられている。これらフィルタ部材35,36は、導出通路34における空気の流通断面に対応するように配置されている。言い換えれば、フィルタ部材35,36は、導出通路34における空気の流通断面全体に亘るように配置されている。
【0036】
荷台ボックス12の内部には、第2連通孔16を覆うように開口パネル37が取り付けられている。
図6に示すように、開口パネル37は、荷台ボックス12の内部に対し、異なる方向に開口する複数の開口部37a,37b,37c,37d,37eを備えている。開口部37aは車両11の前方に向けて開口しており、開口部37bは車両11の後方に向けて開口しており、開口部37cは車両11の幅方向中央に向けて開口している。更に、開口部37dは上方に向けて開口しており、開口部37eは下方に向けて開口している。
【0037】
荷台ボックス12の内部の空気は、開口パネル37の開口部37a,37b,37c,37d,37eを介して開口パネル37の内部に流れる。このため、開口部37a,37b,37c,37d,37eには、それぞれ異なる方向から荷台ボックス12の空気が流れ込む。この空気は、
図5に示す第2連通孔16を介して導出通路34に導出される。導出通路34に導出された空気は、導出通路34内を車両前側から車両後側に向かって通過することにより、荷台ボックス12の外部に導出される。
【0038】
次に、本実施形態の車両11における荷台ボックス12の換気構造の作用効果について説明する。
(1)車両11の走行時に外気が導入通路19を通って荷台ボックス12の内部に導入される。導入通路19の導入口20には、外気から異物を分離するためのフィルタ部材21が、導入通路19における外気の流通断面に対応するように配置されている。従って、導入通路19から荷台ボックス12の内部に導入される外気は、導入通路19に配置された上記フィルタ部材21を通過する。フィルタ部材21を外気が通過する際には、外気に含まれている水等の異物がフィルタ部材21に付着することにより、外気からの水等の異物の分離が行われる。これにより、導入通路19を介して荷台ボックス12の内部に導入される外気から効果的に異物を分離させることができる。その結果、外気とともに異物が荷台ボックス12の内部に入ることを効果的に抑制できる。
【0039】
(2)車両11の走行時、外気が荷台ボックス12のフロントパネル24に当たって上方に流れる。このように上方に流れた外気は、庇25に当たることにより、荷台ボックス12のルーフパネル17と吸気ダクト14の天井との間にある導入通路19内に案内される。従って、車両11の走行時に効率良く外気を導入通路19内に導入することができる。
【0040】
(3)車両11の走行時、導入口20から導入通路19に導入された外気は、導入通路19を通って第1連通孔15内に流れ、更に第1連通孔15を介して荷台ボックス12に導入される。導入通路19の導入口20にはフィルタ部材21が配置されている。このため、導入通路19を通過する外気が第1連通孔15を介して荷台ボックス12の内部に導入される前に、フィルタ部材21によって外気から水等の異物を分離させることができる。また、導入通路19の第1連通孔15よりも車両後側では、ルーフパネル17と吸気ダクト14の天井との間がエアダム26及びエアリターンプレート27によって閉塞されている。このため、導入通路19を通過する外気が、第1連通孔15を介して荷台ボックス12の内部に流れずに第1連通孔15よりも車両後側に流れることは、エアダム26及びエアリターンプレート27によって抑制される。その結果、外気を効率よく第1連通孔15を介して荷台ボックス12の内部に流すことができる。
【0041】
(4)外気は、導入通路19内を車両前側から車両後側に向けて流れた後、防水カバー28を車両後側から車両前側に回り込んでから、第1連通孔15を介して荷台ボックス12の内部に導入される。このため、上記外気にフィルタ部材21で分離しきれない水が含まれていても、防水カバー28を上記外気が回り込む際に水が外気から分離される。このように水が分離した外気を荷台ボックス12の内部に導入することができる。
【0042】
(5)導入通路19には、ルーフパネル17から突出することにより、ルーフパネル17に沿った第1連通孔15に向かう水の流れを阻止する止水板29,30が設けられている。外気が導入通路19を通過する際、外気に含まれる水が外気から分離すると、その水が荷台ボックス12のルーフパネル17の上に溜まる。こうした水が第1連通孔15に向かって流れることを上記止水板29,30によって阻止することができる。従って、上記水が第1連通孔15を介して荷台ボックス12の内部に入ることを抑制できる。
【0043】
(6)荷台ボックス12の内部には、第1連通孔15を覆うように開口パネル32が取り付けられている。開口パネル32は、荷台ボックス12の内部に対し、異なる方向に開口する複数の開口部32a,32bを備えている。このため、荷台ボックス12に荷物を積み込んだとき、荷物によって開口パネル32のうちのいずれかの開口部32a,32bがふさがれても、開口方向の異なる別の開口部32a,32bは上記荷物によって塞がれる可能性が低くなる。従って、荷台ボックス12内の荷物により、第1連通孔15が閉塞されることを抑制できる。
【0044】
(7)車両11の走行時、導入通路19から荷台ボックス12の内部に導入された外気は、荷台ボックス12の内部を通過した後に第2連通孔16を介して導出通路34から外部に導出される。この導出通路34には、フィルタ部材21と同様のフィルタ部材35,36が取り付けられている。このため、車両11の停車時の自然の風や車両11の後進時の走行風により、外気が導出通路34を介して荷台ボックス12の内部に入るとしても、フィルタ部材35,36によって上記外気から水等の異物を分離できる。従って、上記外気が異物と共に荷台ボックス12の内部に入ることを抑制できる。
【0045】
(8)荷台ボックス12の内部には、第2連通孔16を覆うように開口パネル37が取り付けられている。開口パネル37は、荷台ボックス12の内部に対し、異なる方向に開口する複数の開口部37a,37b,37c,37d,37eを備えている。開口パネル32のうちのいずれかの開口部37a,37b,37c,37d,37eは、荷台ボックス12に積み込まれた荷物によってふさがれる可能性がある。しかし、荷物によって塞がれた開口部37a,37b,37c,37d,37eとは開口方向の異なる別の開口部37a,37b,37c,37d,37eは、上記荷物によって塞がれる可能性が低くなる。従って、荷台ボックス12内の荷物により、第2連通孔16が閉塞されることを抑制できる。
【0046】
(9)吸気ダクト14は、ソーラーパネル18及びそのソーラーパネル18をルーフパネル17に支持するための構造を利用して実現されている。このため、吸気ダクト14を荷台ボックス12に設置するためのコストを小さく抑えることができる。
【0047】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・荷台ボックス12における外気を導入するための構造は、荷台ボックス12から空気を導出する構造における空気の流れの上流と下流とを反転した構造を荷台ボックス12のフロントパネル24に設けることによって実現されるものであってもよい。
【0048】
・荷台ボックス12から空気を導出する構造において、開口パネル37については必ずしも設ける必要はない。
・荷台ボックス12から空気を導出する構造において、フィルタ部材35とフィルタ部材36との一方もしくは両方を省略してもよい。
【0049】
・荷台ボックス12に外気を導入するための吸気ダクト14は、必ずしもソーラーパネル18及びそのソーラーパネル18をルーフパネル17に支持するための構造を利用するものである必要はない。
【0050】
・止水板29と止水板30との一方もしくは両方を省略してもよい。
・防水カバー28については、必ずしも設ける必要はない。
・エアダム26とエアリターンプレート27との一方を省略してもよい。
【0051】
・庇25については、必ずしも設ける必要はない。
【符号の説明】
【0052】
11…車両
12…荷台ボックス
14…吸気ダクト
15…第1連通孔
16…第2連通孔
17…ルーフパネル
18…ソーラーパネル
19…導入通路
20…導入口
21…フィルタ部材
24…フロントパネル
25…庇
26…エアダム
27…エアリターンプレート
28…防水カバー
29,30…止水板
32…開口パネル
32a,32b…開口部
33…サイドパネル
34…導出通路
35,36…フィルタ部材
37…開口パネル
37a,37b,37c,37d,37e…開口部