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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084235
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198394
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 拓真
(72)【発明者】
【氏名】力石 真
(72)【発明者】
【氏名】関戸 基生
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA03
3C064AA04
3C064AA05
3C064AA20
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA14
3C064BA40
3C064BB25
3C064BB83
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA09
3C064CA10
3C064CA24
3C064CA27
3C064CA29
3C064CA53
3C064CB03
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB18
3C064CB24
3C064CB25
3C064CB27
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB62
3C064CB72
3C064CB73
3C064CB83
(57)【要約】
【課題】作業対象を視認し易くすること。
【解決手段】電動工具は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を有するモータと、モータよりも前方に配置され、モータにより回転される出力軸と、モータを収容するモータ収容部と、モータ収容部の下方に配置されるグリップ部と、グリップ部の下方に配置されるバッテリ保持部と、バッテリ保持部に配置されるCOBライトと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、前記ステータに対して回転可能なロータと、を有するモータと、
前記モータよりも前方に配置され、前記モータにより回転される出力軸と、
前記モータを収容するモータ収容部と、
前記モータ収容部の下方に配置されるグリップ部と、
前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ保持部と、
前記バッテリ保持部に配置されるCOBライトと、を備える、
電動工具。
【請求項2】
前記COBライトは、前記バッテリ保持部の前部に配置される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記COBライトは、基板と、前記基板の前面に搭載されるLED素子と、を有し、
前記基板は、左右方向に長い、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項4】
前記LED素子は、左右方向に間隔をあけて複数搭載される、
請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記COBライトよりも前方に配置され、前記COBライトから射出された光が透過する光透過部を有する光学部材を備える、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項6】
前記光学部材は、前記バッテリ保持部に設けられたライト開口部に配置される、
請求項5に記載の電動工具。
【請求項7】
前記光学部材は、白色の拡散剤が含有されたポリカーボネート樹脂製である、
請求項5に記載の電動工具。
【請求項8】
前記光学部材の光透過率は、40%以上70%以下である、
請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記光学部材は、前記COBライトからの光が入射する入射面と、前記COBライトからの光を全反射させる全反射面と、前記入射面からの光及び前記全反射面からの光を射出する出射面と、を有する、
請求項5に記載の電動工具。
【請求項10】
前記全反射面は、前記入射面よりも上方に配置される、
請求項9に記載の電動工具。
【請求項11】
前記光学部材は、前記光透過部の上端部から後方に延びる上側包囲部と、前記上側包囲部から上方に突出する上側凸部と、を有し、
前記全反射面は、前記上側凸部に配置される、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項12】
前記光学部材は、前記光透過部の下端部から後方に延びる下側包囲部と、前記下側包囲部から下方に突出する下側凸部と、を有する、
請求項5に記載の電動工具。
【請求項13】
前記COBライトは、基板と、前記基板の前面に搭載されるLED素子と、を有し、
前記モータの回転軸と前記基板の前面の法線とがなす角度は、5度以上20度以下である、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項14】
前記COBライトは、基板と、前記基板の前面に搭載されるLED素子と、を有し、
前記LED素子は、左右方向に間隔をあけて少なくとも4つ搭載され、
第1のLED素子と第2のLED素子とを含む第1群のLED素子が直列接続され、
第3のLED素子と第4のLED素子とを含む第2群のLED素子が直列接続され、
第1群のLED素子と第2群のLED素子とが並列接続され、
左右方向において、第1のLED素子と第2のLED素子との間に、第2群のLED素子が配置される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項15】
第5のLED素子と第6のLED素子とを含む第3群のLED素子が直列接続され、
第1群のLED素子と第2群のLED素子と第3群のLED素子とが並列接続され、
左右方向において、第1のLED素子と第2のLED素子との間に、第2群のLED素子が配置され、第3のLED素子と第4のLED素子との間に第3群のLED素子が配置される、
請求項14に記載の電動工具。
【請求項16】
前記バッテリ保持部に保持されるバッテリの定格電圧は、25.2V以上である、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項17】
前記バッテリ保持部に保持されるバッテリの定格電圧は、21.6V以上であり、
前記バッテリの電圧は、降圧されることなく前記COBライトに印加される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項18】
ステータと、前記ステータに対して回転可能なロータと、を有するモータと、
前記ロータにより回転される出力軸と、
前記モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングに配置されるCOBライトと、を備え、
前記ハウジングのバッテリ保持部に保持されるバッテリの定格電圧は、25.2V以上である、
電動工具。
【請求項19】
ステータと、前記ステータに対して回転可能なロータと、を有するモータと、
前記ロータにより回転される出力軸と、
前記モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングに配置されるCOBライトと、を備え、
前記ハウジングのバッテリ保持部に保持されるバッテリの定格電圧は、21.6V以上であり、
前記バッテリの電圧は、降圧されることなく前記COBライトに印加される、
電動工具。
【請求項20】
前記COBライトは、基板と、前記基板に搭載されるLED素子と、を有し、
前記LED素子は、少なくとも6つ搭載され、
少なくとも6つのLED素子は、直列接続される、
請求項19に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具は、先端工具が装着される出力軸と、作業対象を照明するライトユニットとを備える。特許文献1には、照明部を有する電動工具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-024044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばライトユニットから射出された光の一部が先端工具に照射されると、作業対象に影ができてしまう可能性がある。作業対象に影ができてしまうと、作業者は、作業対象を視認し難くなる可能性がある。また、ライトユニットから射出される光の光度が低い場合、作業者は、作業対象を視認し難くなる可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、作業対象を視認し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動工具を開示する。電動工具は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を有するモータと、モータよりも前方に配置され、モータにより回転される出力軸と、モータを収容するモータ収容部と、モータ収容部の下方に配置されるグリップ部と、グリップ部の下方に配置されるバッテリ保持部と、バッテリ保持部に配置されるCOBライトと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、作業対象が視認し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るドライバドリルを示す前方からの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るドライバドリルを示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係るドライバドリルを示す断面図である。
図4図4は、実施形態に係るドライバドリルの上部を示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係るライトユニットを示す断面図である。
図6図6は、実施形態に係るライトユニットを示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るドライバドリルを示すブロック図である。
図8図8は、実施形態に係るドライバドリルを示すブロック図である。
図9図9は、実施形態に係る基板に搭載されたLED素子を示す図である。
図10図10は、実施形態に係るLED素子が4つの場合のLED回路の全回路構成を示す図である。
図11図11は、実施形態に係るLED素子が4つの場合のLED回路の回路構成を示す図である。
図12図12は、実施形態に係るLED素子が4つの場合のLED回路の回路構成を示す図である。
図13図13は、実施形態に係る基板に搭載されたLED素子を示す図である。
図14図14は、実施形態に係るLED素子が6つの場合のLED回路の全回路構成を示す図である。
図15図15は、実施形態に係るLED素子が6つの場合のLED回路の回路構成を示す図である。
図16図16は、実施形態に係るLED素子が6つの場合のLED回路の回路構成を示す図である。
図17図17は、実施形態に係る光学部材を示す斜視図である。
図18図18は、実施形態に係る光学部材の一部を拡大した図である。
図19図19は、実施形態に係るポリッシャを示す前方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を有するモータと、モータよりも前方に配置され、モータにより回転される出力軸と、モータを収容するモータ収容部と、モータ収容部の下方に配置されるグリップ部と、グリップ部の下方に配置されるバッテリ保持部と、バッテリ保持部に配置されるCOBライトと、を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、グリップ部よりも下方に配置されたCOBライトから高光度の光が射出される。これにより、作業対象が明るく照明される。また、先端工具の影が作業対象にでき難くなる。そのため、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、COBライトは、バッテリ保持部の前部に配置されてもよい。
【0012】
上記の構成では、バッテリ保持部の前方の作業対象が明るく照明される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、COBライトは、基板と、基板の前面に搭載されるLED素子と、を有してもよい。基板は、左右方向に長くてもよい。
【0014】
上記の構成では、作業対象の広い範囲を照明できる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、LED素子は、左右方向に間隔をあけて複数搭載されてもよい。
【0016】
上記の構成では、LED素子から射出された光の一部が先端工具に照射されても、LED素子が左右方向に間隔をあけて複数搭載されているので、先端工具の影を打ち消し合う。その結果、作業対象にできる影が目立たなくなる。したがって、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、COBライトよりも前方に配置され、COBライトから射出された光が透過する光透過部を有する光学部材を備えてもよい。
【0018】
上記の構成では、光学部材を透過した光が作業対象に照射される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光学部材は、バッテリ保持部に設けられたライト開口部に配置されてもよい。
【0020】
上記の構成では、光学部材を透過した光がロスなく作業対象に照射される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光学部材は、白色の拡散剤が含有されたポリカーボネート樹脂製でもよい。
【0022】
上記の構成では、光学部材が乳白色になるので、電動工具の外部からCOBライトのLED素子などの素子の外形が視認し難い。素子の外形が視認し難いので、電動工具の意匠性が良化される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光学部材の光透過率は、40%以上70%以下でもよい。
【0024】
上記の構成では、電動工具の外部からCOBライトの素子の外形が視認し難い。素子の外形が視認し難いので、電動工具の意匠性が良化される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光学部材は、COBライトからの光が入射する入射面と、COBライトからの光を全反射させる全反射面と、入射面からの光及び全反射面からの光を射出する出射面と、を有してもよい。
【0026】
上記の構成では、COBライトから射出された光の一部が光透過部の入射面に入射されなくても、全反射面で反射して出射面から射出されるので、COBライトから射出された光のロスが軽減される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、全反射面は、入射面よりも上方に配置されてもよい。
【0028】
上記の構成では、COBライトから射出された光の一部が光透過部の上方に進行しても、全反射面で反射して出射面から射出されるので、COBライトから射出された光のロスが軽減される。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光学部材は、光透過部の上端部から後方に延びる上側包囲部と、上側包囲部から上方に突出する上側凸部と、を有してもよい。全反射面は、上側凸部に配置されてもよい。
【0030】
上記の構成では、全反射面を有する上側凸部を、バッテリ保持部に対する光学部材の位置決め部として機能させることができる。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、光学部材は、光透過部の下端部から後方に延びる下側包囲部と、下側包囲部から下方に突出する下側凸部と、を有してもよい。
【0032】
上記の構成では、下側凸部を、バッテリ保持部に対する光学部材の位置決め部として機能させることができる。また、上側凸部及び下側凸部を、バッテリ保持部に対する光学部材の回転止め部として機能させることができる。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、COBライトは、基板と、基板の前面に搭載されるLED素子と、を有してもよい。モータの回転軸と基板の前面の法線とがなす角度は、5度以上20度以下でもよい。
【0034】
上記の構成では、先端工具を中心として作業対象を適正に照明することができる。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、COBライトは、基板と、基板の前面に搭載されるLED素子と、を有してもよい。LED素子は、左右方向に間隔をあけて少なくとも4つ搭載されてもよい。第1のLED素子と第2のLED素子とを含む第1群のLED素子が直列接続され、第3のLED素子と第4のLED素子とを含む第2群のLED素子が直列接続され、第1群のLED素子と第2群のLED素子とが並列接続されてもよい。左右方向において、第1のLED素子と第2のLED素子との間に、第2群のLED素子が配置されてもよい。
【0036】
上記の構成では、COBライトに供給される電流のアンバランスによって、第1群のLED素子から射出される光の光度と第2群のLED素子から射出される光の光度とにアンバランスが発生しても、作業対象における左右の照度差を小さくすることができる。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第5のLED素子と第6のLED素子とを含む第3群のLED素子が直列接続され、第1群のLED素子と第2群のLED素子と第3群のLED素子とが並列接続され、左右方向において、第1のLED素子と第2のLED素子との間に、第2群のLED素子が配置され、第3のLED素子と第4のLED素子との間に第3群のLED素子が配置されてもよい。
【0038】
上記の構成では、COBライトに供給される電流のアンバランスによって、第1群のLED素子から射出される光の光度と第2群のLED素子から射出される光の光度とにアンバランスが発生しても、作業対象における照度を均一化することができる。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を有するモータと、ロータにより回転される出力軸と、モータを収容するハウジングと、ハウジングに配置されるCOBライトと、を備えてもよい。ハウジングのバッテリ保持部に保持されるバッテリの定格電圧は、25.2V以上でもよい。
【0040】
上記の構成では、COBライトを高電圧で駆動することができるので、作業対象が明るく照明される。そのため、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を有するモータと、ロータにより回転される出力軸と、モータを収容するハウジングと、ハウジングに配置されるCOBライトと、を備えてもよい。ハウジングのバッテリ保持部に保持されるバッテリの定格電圧は、21.6V以上であり、バッテリの電圧は、降圧されることなくCOBライトに印加されてもよい。
【0042】
上記の構成では、COBライトを高電圧で駆動することができるので、作業対象が明るく照明される。そのため、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、COBライトは、基板と、基板に搭載されるLED素子と、を有してもよい。LED素子は、少なくとも6つ搭載されてもよい。少なくとも6つのLED素子は、直列接続されてもよい。
【0044】
上記の構成では、直列接続された少なくとも6つのLED素子により、作業対象が明るく照明される。そのため、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0045】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0046】
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動工具の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0047】
電動工具は、モータを有する。実施形態において、モータの回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0048】
実施形態において、回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向と前後方向とは一致する。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
【0049】
実施形態において、電動工具は、ねじ締め工具の一種であるドライバドリルである。電動工具を適宜、ドライバドリル、と称する。
【0050】
[ドライバドリルの概要]
図1は、実施形態に係るドライバドリル1を示す前方からの斜視図である。図2は、実施形態に係るドライバドリル1を示す側面図である。図3は、実施形態に係るドライバドリル1を示す断面図である。実施形態において、ドライバドリル1は、震動ドライバドリルである。
【0051】
図1図2、及び図3に示すように、ドライバドリル1は、ハウジング2と、リヤカバー3と、ケーシング4と、バッテリ装着部5と、モータ6と、動力伝達機構7と、出力部8と、ファン9と、トリガレバー10と、正逆転切換レバー11と、速度切換レバー12と、モード切換リング13と、ライトユニット14と、インタフェースパネル15と、ダイヤル16と、コントローラ18と、を備える。
【0052】
ハウジング2は、合成樹脂製である。実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、ねじ2Sにより固定される。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとが固定されることにより、ハウジング2が形成される。
【0053】
ハウジング2は、モータ収容部21と、グリップ部22と、バッテリ保持部23と、ライト保持部24とを有する。
【0054】
モータ収容部21は、モータ6を収容する。モータ収容部21は、筒状である。
【0055】
グリップ部22は、作業者に握られる。グリップ部22は、モータ収容部21の下方に配置される。グリップ部22は、モータ収容部21から下方に延びる。トリガレバー10は、グリップ部22の前部に配置される。
【0056】
バッテリ保持部23は、コントローラ18を収容する。バッテリ保持部23は、バッテリ装着部5を介してバッテリ20を保持する。バッテリ保持部23は、グリップ部22の下方に配置される。バッテリ保持部23は、グリップ部22の下端部に接続される。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、バッテリ保持部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
【0057】
ライト保持部24は、ライトユニット14を保持する。ライト保持部24は、バッテリ保持部23の前部にねじ5Sで固定される。ライト保持部24は、バッテリ保持部23の一部とみなされてもよい。バッテリ保持部23が第1のバッテリ保持部とみなされ、ライト保持部24が第2のバッテリ保持部とみなされてもよい。
【0058】
リヤカバー3は、合成樹脂製である。リヤカバー3は、モータ収容部21の後方に配置される。リヤカバー3は、ファン9を収容する。リヤカバー3は、モータ収容部21の後部の開口を覆うように配置される。リヤカバー3は、ねじ3Sによりモータ収容部21に固定される。
【0059】
モータ収容部21は、吸気口19Aを有する。リヤカバー3は、排気口19Bを有する。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19Aを介して、ハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口19Bを介して、ハウジング2の外部空間に流出する。
【0060】
ケーシング4は、動力伝達機構7を収容する。ケーシング4は、第1ケーシング4Aと、第2ケーシング4Bとを含む。第2ケーシング4Bは、第1ケーシング4Aの前方に配置される。モード切換リング13は、第2ケーシング4Bの前方に配置される。第1ケーシング4Aは、合成樹脂製である。第2ケーシング4Bは、金属製である。実施形態において、第2ケーシング4Bは、アルミニウム製である。ケーシング4は、モータ収容部21の前方に配置される。第1ケーシング4A及び第2ケーシング4Bのそれぞれは、筒状である。
【0061】
第1ケーシング4Aは、第2ケーシング4Bの後端部に固定される。第1ケーシング4Aの後端部の開口は、ブラケット板4Cで覆われる。第2ケーシング4Bの前端部の開口は、ストップ板4Dで覆われる。ストップ板4Dは、ねじ4Eにより第2ケーシング4Bの前端部に固定される。
【0062】
ケーシング4は、モータ収容部21の前部の開口を覆うように配置される。第1ケーシング4Aは、モータ収容部21の内側に配置される。第2ケーシング4Bは、ねじ4Sによりモータ収容部21に固定される。
【0063】
バッテリ装着部5は、バッテリ保持部23の下部に形成される。バッテリ装着部5は、バッテリ20に接続される。バッテリ20は、バッテリ装着部5に装着される。バッテリ20は、バッテリ装着部5に着脱可能である。バッテリ20は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリ20は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部5に装着されることにより、バッテリ20は、ドライバドリル1に電力を供給することができる。モータ6は、バッテリ20から供給される電力に基づいて駆動する。インタフェースパネル15及びコントローラ18は、バッテリ20から供給される電力に基づいて作動する。
【0064】
モータ6は、ドライバドリル1の動力源である。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、モータ収容部21に収容される。モータ6は、筒状のステータ61と、ステータ61の内側に配置されるロータ62とを有する。ロータ62は、軸方向に延伸するロータシャフト63を含む。ロータ62は、ステータ61に対して回転可能である。
【0065】
動力伝達機構7は、モータ6の前方に配置される。動力伝達機構7は、ケーシング4に収容される。動力伝達機構7は、ロータシャフト63と出力部8とを連結する。動力伝達機構7は、モータ6が発生した動力を出力部8に伝達する。動力伝達機構7は、複数のギヤを有する。
【0066】
動力伝達機構7は、減速機構30と、震動機構40とを有する。
【0067】
減速機構30は、ロータシャフト63の回転を減速し、ロータシャフト63よりも低い回転速度で出力部8を回転させる。実施形態において、減速機構30は、第1遊星歯車機構31と、第2遊星歯車機構32と、第3遊星歯車機構33とを有する。第2遊星歯車機構32は、第1遊星歯車機構31の前方に配置される。第3遊星歯車機構33は、第2遊星歯車機構32の前方に配置される。第1遊星歯車機構31、第2遊星歯車機構32、及び第3遊星歯車機構33を含む減速機構30は、ロータ62の前方に配置される。第1遊星歯車機構31、第2遊星歯車機構32、及び第3遊星歯車機構33のそれぞれのギヤは、ロータ62により回転される。
【0068】
震動機構40は、出力部8を軸方向に震動させる。震動機構40は、第1カム41と、第2カム42と、震動切換リング43とを有する。
【0069】
出力部8(出力軸)は、モータ6よりも前方に配置される。出力部8は、モータ6の回転力により回転する。出力部8は、動力伝達機構7を介してモータ6から伝達された回転力に基づいて、先端工具が取り付けられた状態で回転する。出力部8は、第1遊星歯車機構31、第2遊星歯車機構32、及び第3遊星歯車機構33を含む減速機構30の前方に配置され、減速機構30により回転される。出力部8は、モータ6から伝達された回転力に基づいて回転軸AXを中心に回転するスピンドル81と、先端工具が取り付けられるチャック82とを含む。
【0070】
ファン9は、モータ6の後方に配置される。ファン9は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン9は、ロータ62の少なくとも一部に固定される。ファン9は、ロータシャフト63の後部に固定される。ファン9は、ロータシャフト63の回転により回転する。ロータシャフト63が回転することにより、ファン9は、ロータシャフト63と一緒に回転する。ファン9が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口19Aを介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。ハウジング2の内部空間を流通した空気は、排気口19Bを介して、ハウジング2の外部空間に流出する。
【0071】
トリガレバー10は、モータ6を起動するために操作される。トリガレバー10は、グリップ部22の上部に設けられる。トリガレバー10の前端部は、グリップ部22の前部から前方に突出する。トリガレバー10は、前後方向に移動可能である。トリガレバー10は、作業者に操作される。トリガレバー10が後方に移動するように操作されることにより、トリガ信号生成回路17においてトリガ信号が生成され、モータ6が起動する。トリガレバー10の操作が解除されることにより、モータ6が停止する。
【0072】
正逆転切換レバー11は、モータ6の回転方向を切り換えるために操作される。正逆転切換レバー11は、グリップ部22の上部に設けられる。正逆転切換レバー11の左端部は、グリップ部22の左部から左方に突出する。正逆転切換レバー11の右端部は、グリップ部22の右部から右方に突出する。正逆転切換レバー11は、左右方向に移動可能である。正逆転切換レバー11は、作業者に操作される。正逆転切換レバー11が左方に移動するように操作されることにより、モータ6が正転方向に回転する。正逆転切換レバー11が右方に移動するように操作されることにより、モータ6が逆転方向に回転する。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル81の回転方向が切り換えられる。
【0073】
速度切換レバー12は、減速機構30の速度モードを変更するために操作される。速度切換レバー12は、モータ収容部21の上部に設けられる。速度切換レバー12は、前後方向に移動可能である。速度切換レバー12は、作業者に操作される。減速機構30の速度モードは、低速モードと高速モードとを含む。低速モードとは、出力部8を低速度で回転させる速度モードをいう。高速モードとは、出力部8を高速度で回転させる速度モードをいう。速度切換レバー12が前方に移動するように操作されることにより、減速機構30の速度モードが低速モードに設定される。速度切換レバー12が後方に移動するように操作されることにより、減速機構30の速度モードが高速モードに設定される。
【0074】
モード切換リング13は、震動機構40の作業モードを変更するために操作される。モード切換リング13は、ケーシング4の前方に配置される。モード切換リング13は、回転可能である。モード切換リング13は、作業者に操作される。モード切換リング13と一体で回転するモード検出用リング49が設けられる。モード検出用リング49は、モード切換リング13の内側に配置される。モード検出用リング49に永久磁石49Mが設けられる。震動機構40の作業モードは、震動モードと非震動モードとを含む。震動モードとは、出力部8を軸方向に震動させる作業モードをいう。非震動モードとは、出力部8を軸方向に震動させない作業モードをいう。モード切換リング13が回転方向の震動モード位置に配置されるように操作されることにより、震動機構40の作業モードが震動モードに設定される。モード切換リング13が回転方向の非震動モード位置に配置されるように操作されることにより、震動機構40の作業モードが非震動モードに設定される。
【0075】
ライトユニット14は、ドライバドリル1の前方を照明する照明光を射出する。ライトユニット14は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。ライトユニット14及びライトユニット14を保持するライト保持部24は、バッテリ保持部23の前部に設けられる。ライトユニット14は、バッテリ保持部23に配置されるとみなされてもよい。ライトユニット14は、バッテリ保持部23の前部に配置される。
【0076】
ライト保持部24にライト開口部29が設けられる。ライト開口部29は、ライト保持部24(バッテリ保持部23)の前面にに形成される。ライトユニット14の少なくとも一部は、ライト開口部29に配置される。
【0077】
インタフェースパネル15は、バッテリ保持部23に設けられる。インタフェースパネル15は、操作装置25Aと、表示装置25Bとを含む。インタフェースパネル15は、板状である。操作装置25Aは、操作ボタンを含む。表示装置25Bとして、複数のセグメント発光器を含むセグメント表示器、液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイ、及び複数の発光ダイオードが配置されたインジケータ型表示器が例示される。
【0078】
バッテリ保持部23にパネル開口27が形成される。パネル開口27は、グリップ部22よりも前方において、バッテリ保持部23の上面に形成される。インタフェースパネル15の少なくとも一部は、パネル開口27に配置される。
【0079】
操作装置25Aは、モータ6の駆動モードを変更するために操作される。操作装置25Aは、作業者に操作される。モータ6の駆動モードは、ドリルモード及びクラッチモードを含む。ドリルモードとは、モータ6の駆動においてモータ6に作用するトルクに関わらずモータ6を駆動させる駆動モードをいう。クラッチモードとは、モータ6の駆動においてモータ6に作用するトルクがトルク閾値を超えたときにモータ6を停止させる駆動モードをいう。
【0080】
ダイヤル16は、モータ6の駆動条件を変更するために操作される。ダイヤル16は、バッテリ保持部23の前部の右部に配置される。ダイヤル16は、左右方向に延伸するダイヤル軸を中心に回転可能である。ダイヤル16は、360[°]以上回転可能である。ダイヤル16は、作業者に操作される。モータ6の駆動条件は、トルク閾値を含む。ダイヤル16は、操作装置25Aにより設定されたクラッチモードにおいて、トルク閾値を変更するために操作される。
【0081】
バッテリ保持部23にダイヤル開口28が形成される。ダイヤル開口28は、バッテリ保持部23の前部に形成される。ダイヤル16の少なくとも一部は、ダイヤル開口28に配置される。
【0082】
コントローラ18は、コンピュータシステムを含む。コントローラ18は、モータ6を制御する制御指令を出力する。コントローラ18の少なくとも一部は、コントローラケース26に収容される。コントローラ18は、コントローラケース26に保持された状態で、バッテリ保持部23に収容される。コントローラ18は、複数の電子部品が実装されたコントローラ基板18Aを含む。コントローラ基板18Aに実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、トランジスタ、コンデンサ、及び抵抗器が例示される。
【0083】
コントローラ18は、ダイヤル16の操作に基づいて、モータ6の駆動条件を設定する。上述のように、モータ6の駆動条件は、トルク閾値を含む。コントローラ18は、クラッチモードにおいて、ダイヤル16の操作に基づいて、トルク閾値を設定する。
【0084】
また、コントローラ18は、クラッチモードにおいて、モータ6の駆動においてモータ6に作用するトルクが設定したトルク閾値を超えたときにモータ6を停止する。
【0085】
また、コントローラ18は、設定したモータ6の駆動条件を表示装置25Bに表示させる。コントローラ18は、設定したトルク閾値を表示装置25Bに表示させる。
【0086】
[モータ及び動力伝達機構]
図4は、実施形態に係るドライバドリル1の上部を示す断面図である。図4に示すように、モータ6は、筒状のステータ61と、ステータ61の内側に配置されるロータ62とを有する。ロータ62は、軸方向に延伸するロータシャフト63を含む。
【0087】
ステータ61は、積層された複数の鋼板を含むステータコア61Aと、ステータコア61Aの前部に配置される前インシュレータ61Bと、ステータコア61Aの後部に配置される後インシュレータ61Cと、前インシュレータ61B及び後インシュレータ61Cを介してステータコア61Aに巻かれる複数のコイル61Dと、前インシュレータ61Bに取り付けられるセンサ回路基板61Eと、コイル61Dに接続されるヒュージング端子61Fと、前インシュレータ61Bに支持される短絡部材61Gとを有する。センサ回路基板61Eは、ロータ62の回転を検出する複数の回転検出素子を有する。短絡部材61Gは、ヒュージング端子61Fを介して複数のコイル61Dを接続する。短絡部材61Gは、リード線を介してコントローラ18に接続される。
【0088】
ロータ62は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ62は、ロータシャフト63と、ロータシャフト63の周囲に配置されるロータコア62Aと、ロータコア62Aに保持される複数の永久磁石62Bとを有する。ロータコア62Aは、円筒状である。ロータコア62Aは、積層された複数の鋼板を含む。ロータコア62Aは、軸方向に延伸する貫通孔を有する。貫通孔は、周方向に複数形成される。永久磁石62Bは、ロータコア62Aの複数の貫通孔のそれぞれに配置される。
【0089】
センサ回路基板61Eの回転検出素子は、永久磁石62Bの磁界を検出することによって、ロータ62の回転を検出する。コントローラ18は、回転検出素子の検出データに基づいて、コイル61Dに駆動電流を供給する。
【0090】
ロータシャフト63は、回転軸AXを中心に回転する。ロータシャフト63の回転軸AXは、出力部8の回転軸と一致する。ロータシャフト63の前部は、ベアリング64に回転可能に支持される。ロータシャフト63の後部は、ベアリング65に回転可能に支持される。ベアリング64は、ステータ61の前方に配置されるブラケット板4Cに保持される。ベアリング65は、リヤカバー3に保持される。ロータシャフト63の前端部は、ベアリング64よりも前方に配置される。ロータシャフト63の前端部は、ケーシング4の内部空間に配置される。
【0091】
ロータシャフト63の前端部にピニオンギヤ31Sが設けられる。ロータシャフト63は、ピニオンギヤ31Sを介して、減速機構30の第1遊星歯車機構31に連結される。
【0092】
第1遊星歯車機構31は、ピニオンギヤ31Sの周囲に配置される複数のプラネタリギヤ31Pと、複数のプラネタリギヤ31Pを支持する第1キャリア31Cと、複数のプラネタリギヤ31Pの周囲に配置されるインターナルギヤ31Rとを有する。第1キャリア31Cの外周部にギヤが設けられる。
【0093】
第2遊星歯車機構32は、サンギヤ32Sと、サンギヤ32Sの周囲に配置される複数のプラネタリギヤ32Pと、複数のプラネタリギヤ32Pを支持する第2キャリア32Cと、複数のプラネタリギヤ32Pの周囲に配置されるインターナルギヤ32Rとを有する。サンギヤ32Sは、第1キャリア31Cの前方に配置される。サンギヤ32Sの直径は、第1キャリア31Cの直径よりも小さい。第1キャリア31Cとサンギヤ32Sとは一体である。第1キャリア31Cとサンギヤ32Sとは一緒に回転する。
【0094】
第3遊星歯車機構33は、サンギヤ33Sと、サンギヤ33Sの周囲に配置される複数のプラネタリギヤ33Pと、複数のプラネタリギヤ33Pを支持する第3キャリア33Cと、複数のプラネタリギヤ33Pの周囲に配置されるインターナルギヤ33Rとを有する。サンギヤ33Sは、第2キャリア32Cの前方に配置される。
【0095】
また、減速機構30は、速度切換レバー12に連結される速度切換リング34と、速度切換リング34の前方に配置される結合リング35とを有する。結合リング35は、第1ケーシング4Aの内面に固定される。結合リング35の内周部にギヤが設けられる。速度切換リング34は、上方に突出する凸部34Tを有する。凸部34Tの前方及び後方のそれぞれにコイルスプリング36が配置される。速度切換リング34は、コイルスプリング36を介して速度切換レバー12に連結される。
【0096】
速度切換リング34は、低速モードと高速モードとを切り換える。速度切換リング34は、インターナルギヤ32Rに連結される。速度切換レバー12は、速度切換リング34を介してインターナルギヤ32Rに連結される。速度切換レバー12と速度切換リング34とインターナルギヤ32Rとは一体で移動可能である。作業者により速度切換レバー12が操作されることにより、速度切換リング34は、第1ケーシング4Aの内側において前後方向に移動する。速度切換リング34は、インターナルギヤ32Rとプラネタリギヤ32Pとが噛み合った状態で、低速モード位置と低速モード位置よりも後方の高速モード位置との間を前後方向に移動することにより、低速モードと高速モードとを切り換える。速度切換レバー12が操作されることにより、低速モードと高速モードとが切り換えられる。
【0097】
インターナルギヤ32Rは、低速モード位置に配置されている状態で、結合リング35に接触する。インターナルギヤ32Rが結合リング35に接触することにより、インターナルギヤ32Rの回転が規制される。インターナルギヤ32Rは、高速モード位置に配置されている状態で、結合リング35から離れる。インターナルギヤ32Rが結合リング35から離れることにより、インターナルギヤ32Rの回転が許容される。
【0098】
また、インターナルギヤ32Rは、低速モード位置に配置されている状態で、プラネタリギヤ32Pに噛み合う。インターナルギヤ32Rは、高速モード位置に配置されている状態で、プラネタリギヤ32P及び第1キャリア31Cの両方に噛み合う。
【0099】
インターナルギヤ32Rが低速モード位置に配置されている状態で、モータ6の駆動によりロータシャフト63が回転すると、ピニオンギヤ31Sが回転し、プラネタリギヤ31Pがピニオンギヤ31Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ31Pの公転により、第1キャリア31C及びサンギヤ32Sは、ロータシャフト63の回転速度よりも低い回転速度で回転する。サンギヤ32Sが回転すると、プラネタリギヤ32Pがサンギヤ32Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ32Pの公転により、第2キャリア32C及びサンギヤ33Sは、第1キャリア31Cの回転速度よりも低い回転速度で回転する。このように、インターナルギヤ32Rが低速モード位置に配置されている状態において、モータ6が駆動すると、第1遊星歯車機構31の減速機能及び第2遊星歯車機構32の減速機能の両方が発揮され、第2キャリア32C及びサンギヤ33Sは、低速モードで回転する。
【0100】
インターナルギヤ32Rが高速モード位置に配置されている状態で、モータ6の駆動によりロータシャフト63が回転すると、ピニオンギヤ31Sが回転し、プラネタリギヤ31Pがピニオンギヤ31Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ31Pの公転により、第1キャリア31C及びサンギヤ32Sは、ロータシャフト63の回転速度よりも低い回転速度で回転する。インターナルギヤ32Rが高速モード位置に配置されている状態で、インターナルギヤ32Rはプラネタリギヤ32P及び第1キャリア31Cの両方に噛み合うため、インターナルギヤ32Rと第1キャリア31Cとは一緒に回転する。インターナルギヤ32Rの回転により、プラネタリギヤ32Pは、インターナルギヤ32Rの回転速度と同じ公転速度で公転する。プラネタリギヤ32Pの公転により、第2キャリア32C及びサンギヤ33Sは、第1キャリア31Cの回転速度と同じ回転速度で回転する。このように、インターナルギヤ32Rが高速モード位置に配置されている状態において、モータ6が駆動すると、第1遊星歯車機構31の減速機能は発揮されるものの、第2遊星歯車機構32の減速機能は発揮されず、第2キャリア32C及びサンギヤ33Sは、高速モードで回転する。
【0101】
第2キャリア32C及びサンギヤ33Sが回転すると、プラネタリギヤ33Pがサンギヤ33Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ33Pの公転により、第3キャリア33Cが回転する。
【0102】
スピンドル81は、ロックカム85を介して第3キャリア33Cに連結される。スピンドル81は、ロックカム85にスプライン結合される。ロックカム85は、ロックリング86に回転可能に支持される。ロックリング86は、第2ケーシング4Bの内側に配置される。ロックリング86は、第2ケーシング4Bに固定される。第3キャリア33Cの回転により、スピンドル81が回転する。
【0103】
スピンドル81は、ベアリング83及びベアリング84により回転可能に支持される。スピンドル81は、ベアリング83及びベアリング84に支持されている状態で、前後方向に移動可能である。
【0104】
スピンドル81は、フランジ部81Fを有する。フランジ部81Fとベアリング83との間にコイルばね87が配置される。コイルばね87は、スピンドル81を前方に移動させる弾性力を発生する。
【0105】
チャック82は、先端工具を保持可能である。チャック82は、スピンドル81の前部に連結される。スピンドル81が回転することにより、チャック82が回転する。チャック82は、先端工具を保持した状態で回転する。
【0106】
震動機構40の第1カム41及び第2カム42のそれぞれは、第2ケーシング4Bの内側に配置される。前後方向において、第1カム41及び第2カム42のそれぞれは、ベアリング83とベアリング84との間に配置される。
【0107】
第1カム41は、リング状である。第1カム41は、スピンドル81の周囲に配置される。第1カム41は、スピンドル81に固定される。第1カム41は、スピンドル81と一緒に回転する。第1カム41の後面にカム歯が設けられる。第1カム41は、ストップリング44に支持される。ストップリング44は、スピンドル81の周囲に配置される。前後方向において、ストップリング44は、第1カム41とベアリング83との間に配置される。コイルばね87の弾性力により、ストップリング44は、ベアリング83の後面に接触する。
【0108】
第2カム42は、リング状である。第2カム42は、第1カム41の後方に配置される。第2カム42は、スピンドル81の周囲に配置される。第2カム42は、スピンドル81と相対回転可能である。第2カム42の前面にカム歯が設けられる。第2カム42の前面のカム歯は、第1カム41の後面のカム歯に噛み合う。第2カム42の後面に爪が設けられる。
【0109】
前後方向において、第2カム42とベアリング84との間に支持リング45が配置される。支持リング45は、第2ケーシング4Bの内側に配置される。支持リング45は、第2ケーシング4Bに固定される。支持リング45の前面に複数のスチールボール46が配置される。スチールボール46と第2カム42との間にワッシャ47が配置される。第2カム42は、小径部402とワッシャ47とにより規定される空間において、前後移動を規制された状態で回転可能である。
【0110】
震動切換リング43は、震動モードと非震動モードとを切り換える。モード切換リング13は、カムリング48を介して震動切換リング43に連結される。モード切換リング13とカムリング48とは一体で回転可能である。震動切換リング43は、前後方向に移動可能である。震動切換リング43は、突起部43Tを有する。突起部43Tは、第2ケーシング4Bに設けられたガイド孔に挿入される。震動切換リング43は、第2ケーシング4Bに設けられたガイド孔にガイドされながら前後方向に移動可能である。突起部43Tにより、震動切換リング43の回転は規制される。作業者によりモード切換リング13が操作されることにより、震動切換リング43は、前後方向に移動する。震動切換リング43は、前進位置と前進位置よりも後方の後退位置との間を前後方向に移動することにより、震動モードと非震動モードとを切り換える。モード切換リング13が操作されることにより、震動モードと非震動モードとが切り換えられる。
【0111】
震動モードは、第2カム42の回転が規制される状態を含む。非震動モードは、第2カム42の回転が許容される状態を含む。震動切換リング43が前進位置に移動すると、第2カム42の回転が規制される。震動切換リング43が後退位置に移動すると、第2カム42の回転が許容される。
【0112】
震動モードにおいては、前進位置に移動した震動切換リング43の少なくとも一部が第2カム42に接触する。震動切換リング43と第2カム42とが接触することにより、第2カム42の回転が規制される。第2カム42の回転が規制されている状態で、モータ6が駆動すると、スピンドル81に固定されている第1カム41は、第2カム42のカム歯に当たりながら回転する。これにより、スピンドル81は、前後方向に震動しながら回転する。
【0113】
非震動モードにおいては、後退位置に移動した震動切換リング43が第2カム42から離れる。震動切換リング43と第2カム42とが離れることにより、第2カム42の回転が許容される。第2カム42の回転が許容されている状態で、モータ6が駆動すると、第2カム42は、第1カム41及びスピンドル81と一緒に回転する。これにより、スピンドル81は、前後方向に震動することなく回転する。
【0114】
震動切換リング43は、第1カム41及び第2カム42の周囲に配置される。また、震動切換リング43は、第2カム42の後面と対向する対向部43Sを有する。対向部43Sは、震動切換リング43の後部から径方向内側に突出する。
【0115】
モード切換リング13が操作され、震動切換リング43が前進位置に移動すると、第2カム42の後面の爪と震動切換リング43の対向部43Sとが接触する。これにより、第2カム42の回転が規制される。このように、モード切換リング13が操作され、震動切換リング43が前進位置に移動することにより、震動機構40は、震動モードに切り換えられる。
【0116】
モード切換リング13が操作され、震動切換リング43が後退位置に移動すると、震動切換リング43の対向部43Sが第2カム42から離れる。これにより、第2カム42の回転が許容される。このように、モード切換リング13が操作され、震動切換リング43が後退位置に移動することにより、震動機構40は、非震動モードに切り換えられる。
【0117】
[ライトユニット]
図5は、実施形態に係るライトユニット14を示す断面図である。図6は、実施形態に係るライトユニット14を示す斜視図である。
【0118】
ライトユニット14は、照明光を射出する。ライトユニット14は、出力部8に取り付けられるビットの先端及びビットの周辺を照明光で照明する。ライトユニット14は、出力部8の前端側を照明光で照明する。ライトユニット14は、ドライバドリル1の作業対象を照明光で照明する。
【0119】
ライトユニット14は、バッテリ保持部23の前部に配置される。実施形態において、ライトユニット14を保持するライト保持部24がバッテリ保持部23の前部に配置される。
【0120】
ライトユニット14は、チップオンボード発光ダイオード50(COB LED:chip on board light emitting diodes)と、光学部材57とを有する。実施形態において、チップオンボード発光ダイオード50を適宜、COBライト50、と称する。
【0121】
COBライト50は、基板51と、発光素子である複数のLED素子52と、バンク54と、蛍光体55とを有する。基板51として、アルミニウム基板、ガラス布基材エポキシ樹脂基板(FR-4基板)、又は複合基材エポキシ樹脂基板(CEM-3基板)が例示される。LED素子52と基板51とは、金ワイヤ(不図示)を介して接続される。金ワイヤは、複数のLED素子52を相互に接続する。バンク54は、基板51の表面に設けられる。バンク54は、LED素子52の周囲に配置される。バンク54は、蛍光体55が配置される区画空間を規定する。一対の電極(不図示)がバンク54の外側において基板51の表面(前面)に配置される。なお、電極は、基板51の裏面(後面)に配置されてもよい。一対の電極のうち、一方の電極が正極であり、他方の電極が負極である。バッテリ20から出力された電力は、電極に供給される。電極に供給された電力は、基板51及び金ワイヤを介してLED素子52に供給される。LED素子52は、バッテリ20から供給された電力に基づいて発光する。
【0122】
基板51は、左右方向に長い長方形状である。LED素子52は、基板51の表面(前面)に搭載される。LED素子52は、LED素子52は、左右方向に間隔をあけて複数配置される。実施形態において、LED素子52は、左右方向に等間隔に4個配置される。
【0123】
バンク54は、基板51の前面に設けられる。バンク54は、基板51の前面から前方に突出する。バンク54は、環状である。複数のLED素子52は、バンク54の内側に配置される。
【0124】
蛍光体55は、基板51の前面に配置される。蛍光体55は、バンク54の内側において、複数のLED素子52のそれぞれを覆うように配置される。
【0125】
不図示の一対のリード線が基板51に接続される。上述の電極は、リード線に接続される。バッテリ20から出力された電流は、コントローラ18及びリード線を介して電極に供給される。バッテリ20の電圧は、電極に印加される。電極に供給された電流は、基板51及び金ワイヤを介してLED素子52に供給される。LED素子52は、バッテリ20から供給された電流に基づいて発光する。
【0126】
光学部材57は、COBライト50に接続される。光学部材57は、基板51に固定される。光学部材57は、ポリカーボネート樹脂製である。実施形態において、光学部材57は、白色の拡散剤が含有されたポリカーボネート樹脂製である。光学部材57は、乳白色である。光学部材57の光透過率は、40%以上70%以下である。光学部材57が乳白色なので、インパクト工具1の外部からLED素子52の外形が視認し難い。LED素子52の外形が視認し難いので、インパクト工具1の意匠性が良化される。
【0127】
光学部材57の少なくとも一部は、COBライト50よりも前方に配置される。ライト保持部24に設けられたライト開口部29に配置される。上述のように、ライト保持部24とバッテリ保持部23とを一体とみなした場合、光学部材57は、バッテリ保持部23に設けられたライト開口部29に配置される。光学部材57は、光透過部57Aと、上側包囲部57Bと、下側包囲部57Cと、上側凸部57Dと、下側凸部57Eとを有する。
【0128】
光透過部57Aは、COBライト50よりも前側に配置される。COBライト50から射出された光は、光透過部57Aを透過する。光透過部57Aは、LED素子52よりも前方に配置される。光透過部57Aは、LED素子52に対向する。LED素子52から射出された光は、光透過部57Aを通過して、ライトユニット14の前方に照射される。
【0129】
光透過部57Aは、COBライト50のLED素子52からの光が入射する入射面57Gと、入射面57Gからの光を射出する出射面57Hとを有する。基板51の前面は、光透過部57Aの入射面57Gに対向する。入射面57Gは、LED素子52に対向する。入射面57Gは、実質的に後方を向く。出射面57Hは、実質的に前方を向く。
【0130】
上側包囲部57Bは、光透過部57Aの上端部から後方に延びる。上側凸部57Dは、上側包囲部57Bの前部から上方に突出する。下側包囲部57Cは、光透過部57Aの下端部から後方に延びる。下側凸部57Eは、下側包囲部57Cの後部から下方に突出する。
【0131】
上側凸部57Dに全反射面57Fが配置される。全反射面57Fは、入射面57Gよりも上方に配置される。全反射面57Fは、COBライト50のLED素子52からの光を前方に全反射させる。出射面57Hは、入射面57Gからの光及び全反射面57Fからの光を射出する。
【0132】
基板51は、光学部材57を介してライト保持部24に保持される。基板51は、モータ6の回転軸AXに対して傾斜した状態でライト保持部24に保持される。モータ6の回転軸AXと基板51の前面の法線とがなす角度は、5度以上20度以下である。実施形態において、モータ6の回転軸AXと基板51の前面の法線とがなす角度は、10度である。
【0133】
[コントローラ]
図7及び図8のそれぞれは、実施形態に係るドライバドリル1を示すブロック図である。図7は、ドライバドリル1の第1回路構成を示す。図8は、ドライバドリル1の第2回路構成を示す。図7及び図8に示すように、ドライバドリル1は、バッテリ20と、コントローラ基板18Aと、基板51(LED基板)とを有する。基板51には、電源回路18Bと、制御回路18Cと、定電流回路18Dとが設けられる。基板51には、LED回路53が設けられる。
【0134】
電源回路18Bは、少なくともバッテリ20から制御回路18Cに印加される電圧を調整する。図7に示す第1回路構成91においては、バッテリ20とLED回路53との間に電源回路18Bは存在しない。第1回路構成91においては、バッテリ20の電圧は、電源回路18Bにより例えば5Vに降圧された状態で制御回路18Cに印加される。第1回路構成91においては、バッテリ20の電圧は、降圧されること無くLED回路53を介してCOBライト50に印加される。図8に示す第2回路構成92においては、バッテリ20の電圧は、電源回路18Bにより例えば5Vに降圧された状態で制御回路18C及びLED回路53のそれぞれに印加される。実施形態において、ドライバドリル1の回路構成として、第1回路構成91又は第2回路構成92が採用される。
【0135】
制御回路18Cは、COBライト50をON/OFF制御する。制御回路18Cは、LED素子52を点灯又は消灯させる。定電流回路18Dは、LED回53に供給される電流を制御する。
【0136】
図9は、実施形態に係る基板51に搭載されたLED素子52を示す図である。基板51は、左右方向に長い。LED素子52は、左右方向に間隔をあけて基板51の前面に4つ搭載される、以下の説明において、4つのLED素子52のうち最も右側に配置されるLED素子52を適宜、LED1、と称し、LED1に次いで右側に配置されるLED素子52を適宜、LED3、と称し、LED3に次いで右側に配置されるLED素子52を適宜、LED4、と称し、最も左側に配置されるLED素子52を適宜、LED2、と称する。
【0137】
図10は、実施形態に係るLED素子52が4つの場合のLED回路53の全回路構成を示す図である。基板51にLED1、LED2、LED3、LED4が搭載される。抵抗器R1、抵抗器R2、及び抵抗器R3を基板51に搭載することができる。
【0138】
図11及び図12のそれぞれは、実施形態に係るLED素子52が4つの場合のLED回路53の回路構成を示す図である。基板51にLED1、LED2、LED3、LED4が搭載される。抵抗器R1、抵抗器R2、及び抵抗器R3を基板51に搭載することができる。図10を参照して説明したように、基板51においてLED1、LED2、LED3、LED4のそれぞれの位置が固定される。COBライト50の製造工程において、図11に示すように、抵抗器R2が基板51に搭載され、抵抗器R1及び抵抗器R2が基板51に搭載されないことにより、LED1とLED2とLED3とLED4とが直列接続される。図12に示すように、抵抗器R1及び抵抗器R3が基板51に搭載され、抵抗器R2が基板51に搭載されないことにより、LED1とLED2とを含む第1群のLED素子52が直列接続され、LED3とLED4とを含む第2群のLED素子52が直列接続される。
【0139】
COBライト50の製造工程において、バッテリ装着部5に装着されるバッテリ20の定格電圧に基づいて、第1回路構成91及び第2回路構成92のいずれか一方が選択される。また、バッテリ装着部5に装着されるバッテリ20の定格電圧に基づいて、図11及び図12を参照して説明したような、4つのLED素子52を直列接続することと、第1群のLED素子52(LED1,LED2)と第2群のLED素子52(LED3,LED4)とを並列接続することとのいずれか一方が選択される。
【0140】
例えば、バッテリ装着部5に装着されるバッテリ20の定格電圧が18Vである場合、第1回路構成91が選択される。バッテリ装着部5に装着されるバッテリ20の定格電圧が36Vである場合、第2回路構成92が選択される。
【0141】
図13は、実施形態に係る基板51に搭載されたLED素子52を示す図である。図13に示す例において、LED素子52は、左右方向に間隔をあけて基板51の前面に6つ搭載される、以下の説明において、6つのLED素子52のうち最も右側に配置されるLED素子52を適宜、LED1、と称し、LED1に次いで右側に配置されるLED素子52を適宜、LED3、と称し、LED3に次いで右側に配置されるLED素子52を適宜、LED5、と称し、LED5に次いで右側に配置されるLED素子52を適宜、LED6、と称し、LED6に次いで右側に配置されるLED素子52を適宜、LED4、と称し、6つのLED素子52のうち最も左側に配置されるLED素子52を適宜、LED2、と称する。
【0142】
図14は、実施形態に係るLED素子52が6つの場合のLED回路53の全回路構成を示す図である。基板51にLED1、LED2、LED3、LED4、LED5,LED6が搭載される。抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3、抵抗器R4、抵抗器R5、及び抵抗器R6を基板51に搭載することができる。
【0143】
図15及び図16のそれぞれは、実施形態に係るLED素子52が6つの場合のLED回路53の回路構成を示す図である。基板51にLED1、LED2、LED3、LED4,LED5,LED6が搭載される。抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3、抵抗器R4、抵抗器R5、及び抵抗器R5を基板51に搭載することができる。図14を参照して説明したように、基板51においてLED1、LED2、LED3、LED4、LED5、及びLED6のそれぞれの位置が固定される。COBライト50の製造工程において、図15に示すように、抵抗器R2及び抵抗器R5が基板51に搭載され、抵抗器R1、抵抗器R3、抵抗器R4、及び抵抗器R6が基板51に搭載されないことにより、LED1とLED2とLED3とLED4とLED5とLED6とが直列接続される。図16に示すように、抵抗器R1、抵抗器R3、抵抗器R4、及び抵抗器R6が基板51に搭載されないことにより、LED1とLED2とを含む第1群のLED素子52が直列接続され、LED3とLED4とを含む第2群のLED素子52が直列接続され、LED5とLED6とを含む第3群のLED素子52が直列接続される。
【0144】
COBライト50の製造工程において、バッテリ装着部5に装着されるバッテリ20の定格電圧に基づいて、第1回路構成91及び第2回路構成92のいずれか一方が選択される。また、バッテリ装着部5に装着されるバッテリ20の定格電圧に基づいて、図15及び図16を参照して説明したような、6つのLED素子52を直列接続することと、第1群のLED素子52(LED1,LED2)と第2群のLED素子52(LED3,LED4)と第3群のLED素子52(LED5,LED6)とを並列接続することとのいずれか一方が選択される。
【0145】
例えば、バッテリ装着部5に装着されるバッテリ20の定格電圧が18Vである場合、第1回路構成91が選択される。バッテリ装着部5に装着されるバッテリ20の定格電圧が36Vである場合、第2回路構成92が選択される。
【0146】
図10又は図14を参照して説明したような、1種類の基板51を予め準備しておくことにより、バッテリ20の定格電圧に基づいて、COBライト50の製造段階において、複数のLED素子52を直列接続するか並列接続するかが選択される。
【0147】
例えば、6つのLED素子52を直列接続する場合、第1回路構成91が選択される。第1群のLED素子52と第2群のLED素子52と第3群のLED素子52とを並列接続する場合、第2回路構成92が選択される。
【0148】
ハウジング2のバッテリ保持部23に保持されるバッテリ20の定格電圧が25.2V以上である場合、第1回路構成91が採用されてもよいし、第2回路構成92が採用されてもよい。バッテリ20の定格電圧が25.2V以上であり、LED素子52が4つの場合、4つのLED素子52が直列接続されてもよいし、第1群のLED素子52と第2群のLED素子52とが並列接続されてもよい。バッテリ20の定格電圧が25.2V以上であり、LED素子52が6つの場合、6つのLED素子52が直列接続されてもよいし、第1群のLED素子52と第2群のLED素子52と第3群のLED素子52とが並列接続されてもよい。バッテリ20の定格電圧は、36Vでもよいし40Vでもよい。
【0149】
ハウジング2のバッテリ保持部23に保持されるバッテリ20の定格電圧が21.6V以上である場合、第1回路構成91が採用されることが好ましい。バッテリ20の定格電圧が21.6V以上であり、LED素子52が6つの場合、6つのLED素子52が直列接続されることが好ましい。
【0150】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、ドライバドリル1は、ステータ61と、ステータ61に対して回転可能なロータ62と、を有するモータ6と、モータ6よりも前方に配置され、モータ6により回転される出力部8と、モータ6を収容するモータ収容部21と、モータ収容部21の下方に配置されるグリップ部22と、グリップ部22の下方に配置されるバッテリ保持部23と、バッテリ保持部23に配置されるCOBライト50と、を備える。
【0151】
上記の構成では、グリップ部22よりも下方に配置されたCOBライト50から高光度の光が射出される。これにより、作業対象が明るく照明される。また、先端工具の影が作業対象にでき難くなる。そのため、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0152】
実施形態において、COBライト50は、バッテリ保持部23の前部に配置される。
【0153】
上記の構成では、バッテリ保持部23の前方の作業対象が明るく照明される。
【0154】
実施形態において、COBライト50は、基板51と、基板51の前面に搭載されるLED素子52と、を有する。基板51は、左右方向に長い。
【0155】
上記の構成では、作業対象の広い範囲を照明できる。
【0156】
実施形態において、LED素子52は、左右方向に間隔をあけて複数搭載される。
【0157】
上記の構成では、LED素子52から射出された光の一部が先端工具に照射されても、LED素子52が左右方向に間隔をあけて複数搭載されているので、先端工具の影を打ち消し合う。その結果、作業対象にできる影が目立たなくなる。したがって、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0158】
実施形態において、ドライバドリル1は、COBライト50よりも前方に配置され、COBライト50から射出された光が透過する光透過部57Aを有する光学部材57を備える。
【0159】
上記の構成では、光学部材57を透過した光が作業対象に照射される。
【0160】
実施形態において、光学部材57は、バッテリ保持部23に設けられたライト開口部29に配置される。
【0161】
上記の構成では、光学部材57を透過した光がロスなく作業対象に照射される。
【0162】
実施形態において、光学部材57は、白色の拡散剤が含有されたポリカーボネート樹脂製である。
【0163】
上記の構成では、光学部材57が乳白色になるので、ドライバドリル1の外部からCOBライト50のLED素子52などの素子の外形が視認し難い。素子の外形が視認し難いので、ドライバドリル1の意匠性が良化される。
【0164】
実施形態において、光学部材57の光透過率は、40%以上70%以下である。
【0165】
上記の構成では、ドライバドリル1の外部からCOBライト50の素子の外形が視認し難い。素子の外形が視認し難いので、ドライバドリル1の意匠性が良化される。
【0166】
実施形態において、光学部材57は、COBライト50からの光が入射する入射面57Gと、COBライト50からの光を全反射させる全反射面57Fと、入射面57Gからの光及び全反射面57Fからの光を射出する出射面57Hと、を有する。
【0167】
上記の構成では、COBライト50から射出された光の一部が光透過部57Aの入射面57Gに入射されなくても、全反射面57Fで反射して出射面57Hから射出されるので、COBライト50から射出された光のロスが軽減される。
【0168】
実施形態において、全反射面57Fは、入射面57Gよりも上方に配置される。
【0169】
上記の構成では、COBライト50から射出された光の一部が光透過部57Aの上方に進行しても、全反射面57Fで反射して出射面57Hから射出されるので、COBライト50から射出された光のロスが軽減される。
【0170】
実施形態において、光学部材57は、光透過部57Aの上端部から後方に延びる上側包囲部57Bと、上側包囲部57Bから上方に突出する上側凸部57Dと、を有する。全反射面57Fは、上側凸部57Dに配置される。
【0171】
上記の構成では、全反射面57Fを有する上側凸部57Dを、バッテリ保持部23に対する光学部材57の位置決め部として機能させることができる。
【0172】
実施形態において、光学部材57は、光透過部57Aの下端部から後方に延びる下側包囲部57Cと、下側包囲部57Cから下方に突出する下側凸部57Eと、を有する。
【0173】
上記の構成では、下側凸部57Eを、バッテリ保持部23に対する光学部材57の位置決め部として機能させることができる。また、上側凸部57D及び下側凸部57Eを、バッテリ保持部23に対する光学部材57の回転止め部として機能させることができる。
【0174】
実施形態において、COBライト50は、基板51と、基板51の前面に搭載されるLED素子52と、を有する。モータ6の回転軸AXと基板51の前面の法線とがなす角度は、5度以上20度以下である。
【0175】
上記の構成では、先端工具を中心として作業対象を適正に照明することができる。
【0176】
実施形態において、COBライト50は、基板51と、基板51の前面に搭載されるLED素子52と、を有する。LED素子52は、左右方向に間隔をあけて少なくとも4つ搭載される。第1のLED素子52と第2のLED素子52とを含む第1群のLED素子52が直列接続され、第3のLED素子52と第4のLED素子52とを含む第2群のLED素子52が直列接続され、第1群のLED素子52と第2群のLED素子52とが並列接続される。左右方向において、第1のLED素子52と第2のLED素子52との間に、第2群のLED素子52が配置される。
【0177】
上記の構成では、COBライト50に供給される電流のアンバランスによって、第1群のLED素子52から射出される光の光度と第2群のLED素子52から射出される光の光度とにアンバランスが発生しても、作業対象における左右の照度差を小さくすることができる。
【0178】
実施形態において、第5のLED素子52と第6のLED素子52とを含む第3群のLED素子52が直列接続され、第1群のLED素子52と第2群のLED素子52と第3群のLED素子52とが並列接続され、左右方向において、第1のLED素子52と第2のLED素子52との間に、第2群のLED素子52が配置され、第3のLED素子52と第4のLED素子52との間に第3群のLED素子52が配置される。
【0179】
上記の構成では、COBライト50に供給される電流のアンバランスによって、第1群のLED素子52から射出される光の光度と第2群のLED素子52から射出される光の光度とにアンバランスが発生しても、作業対象における照度を均一化することができる。
【0180】
実施形態において、ドライバドリル1は、ステータ61と、ステータ61に対して回転可能なロータ62と、を有するモータ6と、ロータ62により回転される出力部8と、モータ6を収容するハウジング2と、ハウジング2に配置されるCOBライト50と、を備える。ハウジング2のバッテリ保持部23に保持されるバッテリ20の定格電圧は、25.2V以上である。
【0181】
上記の構成では、COBライト50を高電圧で駆動することができるので、作業対象が明るく照明される。そのため、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0182】
実施形態において、ドライバドリル1は、ステータ61と、ステータ61に対して回転可能なロータ62と、を有するモータ6と、ロータ62により回転される出力部8と、モータ6を収容するハウジング2と、ハウジング2に配置されるCOBライト50と、を備える。ハウジング2のバッテリ保持部23に保持されるバッテリ20の定格電圧は、21.6V以上であり、バッテリ20の電圧は、降圧されることなくCOBライト50に印加される。
【0183】
上記の構成では、COBライト50を高電圧で駆動することができるので、作業対象が明るく照明される。そのため、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0184】
実施形態において、COBライト50は、基板51と、基板51に搭載されるLED素子52と、を有する。LED素子52は、少なくとも6つ搭載される。少なくとも6つのLED素子52は、直列接続される。
【0185】
上記の構成では、直列接続された少なくとも6つのLED素子52により、作業対象が明るく照明される。そのため、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【0186】
[その他の実施形態]
図17は、他の実施形態に係る光学部材570を示す斜視図である。図18は、他の実施形態に係る光学部材570の一部を拡大した図である。図17及び図18に示すように、光学部材570の出射面570Hに複数の凸部570Tが設けられてもよい。複数の凸部570Tは、相互に隙間なく設けられる。凸部570Tの高さは、約0.1mmである。光学部材570に拡散剤は含有されていない。
【0187】
光学部材570に拡散剤が含有されていないので、照度のロスが少ない。これにより、作業対象を明るく照らすことが可能で、視認性が良くなる。
【0188】
出射面570Hに凹凸形状が設けることで、出射面570Hで光を拡散でき、ビットの影をぼやかすことができる。これにより、作業対象の均斉度が高くなり、視認性が良くなる。また、外観から基板51のパターンが見えないので、意匠性が良い。
【0189】
また、光学部材570に拡散剤が含有されないので、凹凸の寸法を変えるだけで拡散の度合いを変更できる。
【0190】
なお、光学部材570の形状は、長方形に限らず、円環COBなどの形状にも適用可能である。
【0191】
凸部570Tの高さが0.05mm未満だと拡散の度合いが小さくなり、外観から基板51が見やすくなるため、凸部570Tの高さは0.1mm以上が必要である。また、凸部570Tの高さを0.3mm以上にすると迷光が増えるため、照度ロスが大きくなる。
【0192】
光学部材570に拡散剤が含有されていないため、光学部材570の価格が安くなる。
【0193】
光学部材570に拡散剤が含有されていないため、光学部材570の材料の選択肢が広がるため、量産性が安定する。
【0194】
上述の実施形態においては、電動工具がドライバドリル1であることとした。電動工具は、ポリッシャでもよいし、ピンカッタでもよいし、ハンマドリルでもよいし、インパクトドライバでもよいし、インパクトレンチでもよい。
【0195】
図19は、実施形態に係るポリッシャ101を示す前方からの斜視図である。ポリッシャ101は、モータ106と、モータ106よりも前方に配置され、モータ106により回転される研磨部108(出力軸)と、モータ106を収容するモータ収容部121と、モータ収容部121の下方に配置されるグリップ部122と、グリップ部122の下方に配置されるバッテリ保持部123と、バッテリ保持部123に配置されるライトユニット14と、を備える。ライトユニット14は、COBライト50を含む。バッテリ保持部123は、バッテリ20を保持する。COBライト50は、ポリッシャ101の作業対象を明るく照らすことができるので、作業者は、作業対象を視認し易くなる。
【符号の説明】
【0196】
1…ドライバドリル(電動工具)、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、3…リヤカバー、3S…ねじ、4…ケーシング、4A…第1ケーシング、4B…第2ケーシング、4C…ブラケット板、4D…ストップ板、4E…ねじ、4S…ねじ、5S…ねじ、5…バッテリ装着部、6…モータ、7…動力伝達機構、8…出力部(出力軸)、9…ファン、10…トリガレバー、11…正逆転切換レバー、12…速度切換レバー、13…モード切換リング、14…ライトユニット、15…インタフェースパネル、16…ダイヤル、17…トリガ信号生成回路、18…コントローラ、18A…コントローラ基板、18B…電源回路、18C…制御回路、18D…定電流回路、19A…吸気口、19B…排気口、20…バッテリ、21…モータ収容部、22…グリップ部、23…バッテリ保持部、24…ライト保持部、25A…操作装置、25B…表示装置、26…コントローラケース、27…パネル開口、28…ダイヤル開口、29…ライト開口部、30…減速機構、31…第1遊星歯車機構、31C…第1キャリア、31P…プラネタリギヤ、31R…インターナルギヤ、31S…ピニオンギヤ、32…第2遊星歯車機構、32C…第2キャリア、32P…プラネタリギヤ、32R…インターナルギヤ、32S…サンギヤ、33…第3遊星歯車機構、33C…第3キャリア、33P…プラネタリギヤ、33R…インターナルギヤ、33S…サンギヤ、34…速度切換リング、34T…凸部、35…結合リング、36…コイルスプリング、40…震動機構、41…第1カム、42…第2カム、43…震動切換リング、43S…対向部、43T…突起部、44…ストップリング、45…支持リング、46…スチールボール、47…ワッシャ、48…カムリング、49…モード検出用リング、49M…永久磁石、50…COBライト(チップオンボード発光ダイオード)、51…基板、52…LED素子(発光素子)、53…LED回路、54…バンク、55…蛍光体、57…光学部材、57A…光透過部、57B…上側包囲部、57C…下側包囲部、57D…上側凸部、57E…下側凸部、57F…全反射面、57G…入射面、57H…出射面、61…ステータ、61A…ステータコア、61B…前インシュレータ、61C…後インシュレータ、61D…コイル、61E…センサ回路基板、61F…ヒュージング端子、61G…短絡部材、62…ロータ、62A…ロータコア、62B…永久磁石、63…ロータシャフト、64…ベアリング、65…ベアリング、81…スピンドル、81F…フランジ部、82…チャック、83…ベアリング、84…ベアリング、85…ロックカム、86…ロックリング、87…コイルばね、91…第1回路構成、92…第2回路構成、101…ポリッシャ(電動工具)、106…モータ、108…研磨部(出力軸)、121…モータ収容部、122…グリップ部、123…バッテリ保持部、570…光学部材、570H…出射面、570T…凸部、AX…回転軸。
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