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特開2024-84244車載装置、起動制御方法および起動制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084244
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】車載装置、起動制御方法および起動制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240618BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20240618BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
B60R16/023 P
H02J1/00 308A
H02J1/00 306K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198403
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山根 卓真
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165CA01
5G165DA01
5G165DA02
5G165DA07
5G165EA02
5G165GA04
5G165GA09
5G165HA05
5G165HA07
5G165JA07
5G165JA09
5G165KA02
5G165MA10
5G165NA10
(57)【要約】
【課題】新たな構成の車載ネットワークにおいて、車載機器を確実に起動する。
【解決手段】複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置であって、前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択する選択部と、各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記起動方法情報に基づいて、前記選択部によって選択された前記給電対象機器を起動する起動処理を行う制御部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置であって、
前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択する選択部と、
各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記起動方法情報に基づいて、前記選択部によって選択された前記給電対象機器を起動する起動処理を行う制御部とを備える、車載装置。
【請求項2】
前記取得部は、さらに、前記各車載機器の動作特性を示す特性情報を取得し、
前記制御部は、前記取得部によって取得された前記起動方法情報および前記特性情報に基づいて、前記起動処理を行う、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記特性情報は、前記動作特性として、前記各車載機器の消費電流を示し、
前記選択部は、前記複数の車載機器の中から複数の前記給電対象機器を選択し、
前記制御部は、前記特性情報の示す各前記給電対象機器の前記消費電流に基づいて、前記複数の給電対象機器の中から給電しない前記給電対象機器である非給電機器を選択し、
前記制御部は、前記複数の給電対象機器のうち、選択した前記非給電機器以外の前記給電対象機器である特定機器を、前記起動方法情報の示す前記特定機器の前記起動方法に従って起動する、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記車載ネットワークが搭載される車両において、対応する1または複数の前記車載機器に電力を供給するか否かを切り替える切替部が複数設けられ、
前記車載装置は、さらに、
前記切替部ごとに、前記切替部に接続された前記1または複数の車載機器の前記消費電流の合計値を算出する算出部を備え、
前記複数の給電対象機器は、前記複数の切替部のうちのいずれか1つの前記切替部に接続されており、
前記制御部は、前記合計値が所定条件を満たす前記切替部、に接続された前記複数の給電対象機器の中から前記非給電機器を選択する、請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記取得部は、さらに、各前記切替部の許容電流を示す許容電流情報を取得し、
前記制御部は、前記取得部によって取得された前記許容電流情報に基づいて、前記所定条件を設定する、請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記車載装置は、さらに、
前記各車載機器と通信を行う通信部を備え、
前記特性情報は、前記動作特性として、前記各車載機器が通信可能となるまでの起動時間を示し、
前記制御部は、前記選択部によって選択された前記給電対象機器への電力供給が開始された後、前記特性情報の示す前記給電対象機器の前記起動時間が経過するまで前記通信部に前記給電対象機器との通信を待機させ、前記起動時間の経過後に前記通信部に前記給電対象機器との通信を開始させる、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記起動方法情報は、さらに、前記各車載機器の前記車載ネットワークにおける位置を示す、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項8】
複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置における起動制御方法であって、
前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択するステップと、
各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得するステップと、
取得した前記起動方法情報に基づいて、選択した前記給電対象機器を起動する起動処理を行うステップとを含む、起動制御方法。
【請求項9】
複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置において用いられる起動制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択する選択部と、
各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記起動方法情報に基づいて、前記選択部によって選択された前記給電対象機器を起動する起動処理を行う制御部、
として機能させるための、起動制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、起動制御方法および起動制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて、当該車載ネットワークが搭載される車両の状態に応じて各車載機器を制御する技術が提案されている。たとえば、特許文献1(特開2013-192108号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、車載通信システムは、車両に配策される複数の通信バスと、該複数の通信バスのいずれかに夫々接続されており、1又は複数の情報をまとめた情報群を送受信する複数の通信装置と、前記複数の通信バスに夫々接続された複数の通信部を備え、該複数の通信部により情報群を送受信し、異なる通信バス間での情報の中継を行なう中継装置とを含む車載通信システムにおいて、前記中継装置と通信し、該中継装置から送信される情報に基づき1又は複数の車載機器の電源制御を夫々行なう1又は複数の電源制御装置を更に備え、前記中継装置は、前記車両について予め定めてある複数の車両状況別に、各車両状況下で前記1又は複数の車載機器があるべき電源状態を示す電源状態テーブルを、書き換え可能に記憶する記憶手段と、受信した1又は複数の情報群夫々から、前記1又は複数の車載機器の電源制御に要する情報を抽出する抽出手段と、該抽出手段が抽出した情報に基づき、車両状況を特定する特定手段と、該特定手段が特定した車両状況、及び前記記憶手段により記憶されてある電源状態テーブルに基づき、前記1又は複数の車載機器のあるべき電源状態を決定する決定手段と、該決定手段が決定した電源状態を指示する制御情報を含む情報群を作成する手段と、該手段が作成した情報群を、前記電源制御装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-192108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別が増加する傾向にある。サービスの種別の増加に伴い、たとえば、車載ネットワークにおいて、ECU(Electronic Control Unit)等の車載機器の追加、または車載機器の接続先の変更を行う場合がある。このように、車載ネットワークの構成が変更された場合であっても、車載機器を確実に起動することが可能な技術が望まれる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、新たな構成の車載ネットワークにおいて、車載機器を確実に起動することが可能な中継装置、起動制御方法および起動制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載装置は、複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置であって、前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択する選択部と、各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記起動方法情報に基づいて、前記選択部によって選択された前記給電対象機器を起動する起動処理を行う制御部とを備える。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、車載装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、新たな構成の車載ネットワークにおいて、車載機器を確実に起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおける新規ネットワークの構成の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する機器選択テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する起動テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する更新後の機器選択テーブルの一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する更新後の起動テーブルの一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存するリレーテーブルの一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する給電優先度テーブルの一例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施の形態に係る中継装置が起動処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載装置は、複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置であって、前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択する選択部と、各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記起動方法情報に基づいて、前記選択部によって選択された前記給電対象機器を起動する起動処理を行う制御部とを備える。
【0011】
このように、複数の車載機器の中から選択した給電対象機器を、起動方法情報を用いて起動する構成により、車載ネットワークの構成が変更された場合であっても、起動方法情報の示す起動方法に従って当該給電対象機器を起動することができる。したがって、新たな構成の車載ネットワークにおいて、車載機器を確実に起動することができる。
【0012】
たとえば、新たな構成の車載ネットワークにおいて、選択した給電対象機器を起動するにあたって、当該車載ネットワークに対応する起動方法情報を新たに取得し、給電対象機器の起動方法を特定することができる。これにより、起動方法情報の更新を行い、車載ネットワークの構成の変更に対応することができる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記取得部は、さらに、前記各車載機器の動作特性を示す特性情報を取得してもよく、前記制御部は、前記取得部によって取得された前記起動方法情報および前記特性情報に基づいて、前記起動処理を行ってもよい。
【0014】
このような構成により、給電対象機器を起動するにあたって、当該給電対象機器の動作特性を考慮して給電対象機器を適切な方法で起動することができる。
【0015】
(3)上記(2)において、前記特性情報は、前記動作特性として、前記各車載機器の消費電流を示してもよく、前記選択部は、前記複数の車載機器の中から複数の前記給電対象機器を選択してもよく、前記制御部は、前記特性情報の示す各前記給電対象機器の前記消費電流に基づいて、前記複数の給電対象機器の中から給電しない前記給電対象機器である非給電機器を選択してもよく、前記制御部は、前記複数の給電対象機器のうち、選択した前記非給電機器以外の前記給電対象機器である特定機器を、前記起動方法情報の示す前記特定機器の前記起動方法に従って起動してもよい。
【0016】
このような構成により、各給電対象機器の消費電力に応じて、給電すべきでない機器を選択することができる。
【0017】
(4)上記(3)において、前記車載ネットワークが搭載される車両において、対応する1または複数の前記車載機器に電力を供給するか否かを切り替える切替部が複数設けられてもよく、前記車載装置は、さらに、前記切替部ごとに、前記切替部に接続された前記1または複数の車載機器の前記消費電流の合計値を算出する算出部を備えてもよく、前記複数の給電対象機器は、前記複数の切替部のうちのいずれか1つの前記切替部に接続されてもよく、前記制御部は、前記合計値が所定条件を満たす前記切替部、に接続された前記複数の給電対象機器の中から前記非給電機器を選択してもよい。
【0018】
このように、切替部に接続された複数の給電対象機器の消費電流の合計値が所定条件を満たす場合、当該複数の給電対象機器の中から給電しない機器を選択する構成により、当該切替部を通して流れる電流を小さくすることができるため、当該切替部の故障の発生を抑制することができる。したがって、車載ネットワークの構成変更の自由度を向上させることができる。
【0019】
(5)上記(4)において、前記取得部は、さらに、各前記切替部の許容電流を示す許容電流情報を取得してもよく、前記制御部は、前記取得部によって取得された前記許容電流情報に基づいて、前記所定条件を設定してもよい。
【0020】
このような構成により、たとえば、切替部に接続された複数の給電対象機器の消費電流の合計値が当該切替部の許容電流を超えることを抑制するために、給電しない機器を選択することができるため、当該切替部の故障の発生を抑制することができる。また、許容電流情報を用いて、給電しない機器を選択するか否かを決定するための条件を容易に設定することができる。
【0021】
(6)上記(2)から(5)のいずれかにおいて、前記車載装置は、さらに、前記各車載機器と通信を行う通信部を備えてもよく、前記特性情報は、前記動作特性として、前記各車載機器が通信可能となるまでの起動時間を示してもよく、前記制御部は、前記選択部によって選択された前記給電対象機器への電力供給が開始された後、前記特性情報の示す前記給電対象機器の前記起動時間が経過するまで前記通信部に前記給電対象機器との通信を待機させ、前記起動時間の経過後に前記通信部に前記給電対象機器との通信を開始させてもよい。
【0022】
このような構成により、給電対象機器が確実に起動したタイミングにおいて当該給電対象機器と通信を行うことができるため、当該給電対象機器との通信をより安定して開始させることができる。
【0023】
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記起動方法情報は、さらに、前記各車載機器の前記車載ネットワークにおける位置を示してもよい。
【0024】
このような構成により、起動処理の対象となる給電対象機器の車載ネットワークにおける位置を特定し、当該給電対象機器を適切な方法でより確実に起動することができる。
【0025】
(8)本開示の実施の形態に係る起動制御方法は、複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置における起動制御方法であって、前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択するステップと、各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得するステップと、取得した前記起動方法情報に基づいて、選択した前記給電対象機器を起動する起動処理を行うステップとを含む。
【0026】
このように、複数の車載機器の中から選択した給電対象機器を、起動方法情報を用いて起動する構成により、車載ネットワークの構成が変更された場合であっても、起動方法情報の示す起動方法に従って当該給電対象機器を起動することができる。したがって、新たな構成の車載ネットワークにおいて、車載機器を確実に起動することができる。
【0027】
たとえば、新たな構成の車載ネットワークにおいて、選択した給電対象機器を起動するにあたって、当該車載ネットワークに対応する起動方法情報を新たに取得し、給電対象機器の起動方法を特定することができる。これにより、起動方法情報の更新を行い、車載ネットワークの構成の変更に対応することができる。
【0028】
(9)本開示の実施の形態に係る起動制御プログラムは、複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置において用いられる起動制御プログラムであって、コンピュータを、前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択する選択部と、各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記起動方法情報に基づいて、前記選択部によって選択された前記給電対象機器を起動する起動処理を行う制御部、として機能させるためのプログラムである。
【0029】
このように、複数の車載機器の中から選択した給電対象機器を、起動方法情報を用いて起動する構成により、車載ネットワークの構成が変更された場合であっても、起動方法情報の示す起動方法に従って当該給電対象機器を起動することができる。したがって、新たな構成の車載ネットワークにおいて、車載機器を確実に起動することができる。
【0030】
たとえば、新たな構成の車載ネットワークにおいて、選択した給電対象機器を起動するにあたって、当該車載ネットワークに対応する起動方法情報を新たに取得し、給電対象機器の起動方法を特定することができる。これにより、起動方法情報の更新を行い、車載ネットワークの構成の変更に対応することができる。
【0031】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0032】
[車載システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。図1を参照して、車載システム301は、中継装置101と、複数の車載機器201と、電源部51と、複数の電源リレー61と、複数の制御リレー71とを備える。車載システム301は、車両1に搭載される。中継装置101は、車載装置の一例である。電源リレー61は、切替部の一例である。
【0033】
車載機器201は、たとえば、自動運転ECU、エンジンECU、ボディ制御ECU、TCU(Telematics Communication Unit)、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインターフェース、およびカメラである。
【0034】
中継装置101および複数の車載機器201は、車載ネットワーク401を構成する。複数の車載機器201は、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)の規格に従うCANバス2、またはイーサネット(登録商標)ケーブル3を介して中継装置101と接続されている。
【0035】
車載機器201である車載機器201Aは、CANバス2であるCANバス2Aを介して中継装置101と接続されている。車載機器201である車載機器201Bは、CANバス2であるCANバス2Bを介して中継装置101と接続されている。
【0036】
また、車載機器201である車載機器201C,201Dは、イーサネットケーブル3を介して中継装置101と接続されている。
【0037】
以下、CANバス2を介して中継装置101と接続される車載機器201を「CAN機器」とも称する。また、イーサネットケーブル3を介して中継装置101と接続される車載機器201を「イーサネット機器」とも称する。また、CANバス2Aを「CAN1」とも称し、CANバス2Bを「CAN2」とも称する。
【0038】
CAN機器は、ウェイクアップモードからスリープモードへ遷移し、また、スリープモードからウェイクアップモードへ遷移する。CAN機器は、ウェイクアップモードにおいて、車載システム301における他の装置と通信を行い、スリープモードにおいて、車載システム301における他の装置との通信を停止する。ここで、スリープモードとは、CAN機器の一部の機能の停止、CAN機器への電力供給の停止、またはCAN機器におけるクロック周波数の低下等により、ウェイクアップモードよりも消費電力が小さいモードである。
【0039】
以下、車載ネットワーク401に新たに追加される車載機器201を「新規機器」とも称し、新規機器が追加される前の車載ネットワーク401に含まれる車載機器201を「既存機器」とも称する。また、新規機器を含む車載ネットワーク401、および既存機器機の接続先が変更された車載ネットワーク401を「新規ネットワーク」とも称する。
【0040】
中継装置101は、複数の車載機器201を含む車載ネットワーク401において用いられる。中継装置101は、たとえば、車両1のイグニッション電源から供給される電力を用いて動作する。中継装置101は、自己に接続される複数の車載機器201間のフレームを中継する中継処理を行う。
【0041】
中継装置101および各車載機器201は、後述する各種情報を含むフレームを生成し、他の車載機器201または中継装置101へ送信する。
【0042】
車載機器201は、車両1に関する車両情報を他の車載機器201または中継装置101へ送信する。各車載機器201からCANバス2を介して伝送される車両情報は、データの種別等を示すCAN-ID(Identifier)が付されたCANフレームに格納される。
【0043】
車載システム301における各車載機器201は、互いに通信を行うことにより、車載ネットワーク401において各種サービスを提供する。
【0044】
たとえば、車載ネットワーク401において、ヘッドライトの点灯タイミングを制御するサービスが実行されると仮定する。この場合、車載機器201であるセンサが、車両1の走行状態または周囲の状態に関するセンサ情報を、中継装置101経由で他の車載機器201であるボディ制御ECUへ送信する。ボディ制御ECUは、センサから受信したセンサ情報を用いて、車両1のヘッドライトの点灯タイミングを制御する。
【0045】
電源部51は、車両1において電力を供給する。電源部51は、たとえば、イグニッション電源、アクセサリ電源およびバッテリを含む。
【0046】
電源部51は、電源線4を介して中継装置101と接続されている。電源部51は、電源線4を介して中継装置101に電力を供給する。
【0047】
電源部51は、電源線5を介して各車載機器201と接続されている。電源部51は、電源線5を介して各車載機器201に電力を供給する。
【0048】
電源部51におけるバッテリは、たとえば、電源線5である電源線5Aを介して、CANバス2Aに接続された各車載機器201と接続されている。CANバス2Aに接続された各車載機器201は、バッテリにより供給される電力を用いて動作する。
【0049】
また、電源部51におけるバッテリは、たとえば、電源線5である電源線5Bを介して、CANバス2Bに接続された各車載機器201と接続されている。CANバス2Bに接続された各車載機器201は、バッテリにより供給される電力を用いて動作する。
【0050】
電源部51におけるアクセサリ電源は、たとえば、電源線5である電源線5Cを介して車載機器201Cと接続されている。電源部51におけるイグニッション電源は、たとえば、電源線5である電源線5Dを介して車載機器201Dと接続されている。
【0051】
電源リレー61は、車載ネットワーク401が搭載される車両1において、対応する1または複数の車載機器201に電力を供給するか否かを切り替える。
【0052】
図1において、電源リレー61である電源リレー61Aは、アクセサリ電源用のリレーである。具体的には、電源リレー61Aは、車載機器201Cとアクセサリ電源とを接続する電源線5Cに設けられている。電源リレー61Aの状態は、車両1のアクセサリ電源がオフ状態からオン状態へ遷移した状態において、オン状態である。この場合、車載機器201Cは、アクセサリ電源により供給される電力を用いて動作する。
【0053】
電源リレー61である電源リレー61Bは、イグニッション電源用のリレーである。具体的には、電源リレー61Bは、車載機器201Dとイグニッション電源とを接続する電源線5Dに設けられている。電源リレー61Bの状態は、車両1のイグニッション電源がオフ状態からオン状態へ遷移した状態において、オン状態である。この場合、車載機器201Dは、イグニッション電源により供給される電力を用いて動作する。
【0054】
制御リレー71は、後述する中継装置101における制御部24の制御に従い、オン状態およびオフ状態を切り替える。車載システム301は、たとえば、制御リレー71である制御リレー71A,71B,71Cを備える。
【0055】
制御リレー71Aは、車載機器201Cと電源リレー61Aとの間に接続されている。制御リレー71Aの状態は、たとえば、車両1のアクセサリ電源がオフ状態からオン状態へ遷移した状態において、オフ状態である。
【0056】
制御リレー71Bは、車載機器201Dと電源リレー61Bとの間に接続されている。制御リレー71Cには、車載機器201が接続されていない。制御リレー71B,71Cの状態は、たとえば、車両1のイグニッション電源がオフ状態からオン状態へ遷移した状態において、オフ状態である。
【0057】
なお、車載システム301では、2つのCANバス2が設けられる構成に限らず、1つまたは3つ以上のCANバス2が設けられる構成であってもよい。
【0058】
また、複数の車載機器201は、CANバス2およびイーサネットケーブル3を介して中継装置101と接続される構成に限らず、たとえば、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oritend System Transport)(登録商標)およびLIN(Local Interconnect Network)の通信規格に従うバスを介して中継装置101と接続される構成であってもよい。
【0059】
[中継装置]
図2は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成の一例を示す図である。図2を参照して、中継装置101は、複数の通信ポート11と、スイッチ部12と、処理部13と、記憶部14とを備える。処理部13は、サービス検知部21と、選択部22と、取得部23と、制御部24と、算出部25とを含む。スイッチ部12および処理部13の一方または両方は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部14は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。スイッチ部12は、通信部の一例である。
【0060】
通信ポート11は、イーサネットケーブル3を接続可能な端子である。各通信ポート11は、イーサネットケーブル3を介して対応の車載機器201に接続されている。
【0061】
より詳細には、中継装置101は、たとえば、通信ポート11である通信ポート11A,11B,11Cを備える。通信ポート11Aには、車載機器201Cがイーサネットケーブル3を介して接続され、通信ポート11Bには、車載機器201Dがイーサネットケーブル3を介して接続されている。
【0062】
(スイッチ部)
スイッチ部12は、たとえば、複数の通信ポート11にそれぞれ接続される図示しない複数の端子を含む。各端子には、固有のポート番号が割り当てられている。
【0063】
ここでは、通信ポート11A,11B,11Cに接続された各端子のポート番号は、それぞれ#1,#2,#3である。
【0064】
スイッチ部12は、各車載機器201と通信を行う。より詳細には、スイッチ部12は、車載機器201間で送受信されるフレームを中継する。
【0065】
スイッチ部12は、通信プロトコルの変換を伴う中継処理を行うことが可能である。具体的には、スイッチ部12は、CANの通信規格に従ってCAN機器からフレームを受信すると、受信したフレームのフォーマットをイーサネットの通信規格に従うフォーマットに変更し、フォーマット変更後のフレームをイーサネットの通信規格に従ってイーサネット機器へ送信する。
【0066】
また、スイッチ部12は、イーサネットの通信規格に従ってイーサネット機器からフレームを受信すると、受信したフレームのフォーマットをCANの通信規格に従うフォーマットに変更し、フォーマット変更後のフレームをCANの通信規格に従ってCAN機器へ送信する。
【0067】
また、スイッチ部12は、通信プロトコルの変換を伴わない中継処理を行うことが可能である。具体的には、スイッチ部12は、イーサネットの通信規格に従ってイーサネット機器からフレームを受信すると、受信したフレームをイーサネットの通信規格に従って他のイーサネット機器へ送信する。
【0068】
スイッチ部12は、CANの通信規格に従ってCAN機器からフレームを受信すると、受信したフレームをCANの通信規格に従って他のCAN機器へ送信する。
【0069】
(制御部)
制御部24は、CAN機器をウェイクアップモードへ遷移させる制御を行う。より詳細には、たとえば、制御部24は、スリープモードで動作するCAN機器がウェイクアップ対象のCAN機器である場合、CAN-IDとウェイクアップ要求とを含むCANフレームを作成する。そして、制御部24は、作成したCANフレームをスイッチ部12およびCANバス2経由で、当該CANバス2に接続された複数のCAN機器へ送信する。
【0070】
CAN機器は、中継装置101からウェイクアップ要求を受信すると、ウェイクアップモードへ遷移する。
【0071】
より詳細には、各CAN機器は、中継装置101からCANフレームを受信した場合、当該CANフレームに自己のCAN-IDが含まれているか否かを確認する。ここで、上述した通り、CAN機器は、自己の動作モードがスリープモードである場合、自己の一部の機能を停止する一方で、CANフレームを受信することは可能である。
【0072】
スリープモードで動作するCAN機器は、自己のCAN-IDを含まないCANフレームを破棄する。一方、スリープモードで動作するCAN機器は、自己のCAN-IDを含むCANフレームを受信した場合、当該CAN機器に設けられた図示しない電源IC(Integrated Circuitry)を起動し、ウェイクアップモードへ遷移する。これにより、CAN機器は、電源ICの出力電圧を用いて、車載システム301における他の装置との通信を行う。この場合、CAN機器の起動方法は「通信」である。
【0073】
制御部24は、イーサネット機器に接続された制御リレー71をオフ状態からオン状態へ切り替える稼働制御を行う。これにより、当該イーサネット機器は、電源部51から電力が供給され、動作を開始する。すなわち、中継装置101は、イーサネット機器に接続された制御リレー71をオフ状態からオン状態に切り替える制御を行うことにより、当該イーサネット機器を起動する。この場合、イーサネット機器の起動方法は「リレー」である。なお、中継装置101は、「通信」および「リレー」以外の他の起動方法によって車載機器201を起動してもよい。
【0074】
[課題の説明]
車載ネットワーク401において、ユーザのニーズに応じたサービスを実行するために、車載機器201を新たに追加する場合がある。
【0075】
図3は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおける新規ネットワークの構成の一例を示す図である。図3は、図1に示される車載ネットワーク401に新たに車載機器201Eが追加された車載ネットワーク401の構成を示している。すなわち、車載機器201Eは、新規機器の一例である。
【0076】
図2および図3を参照して、車載機器201Eは、たとえば、イーサネットケーブル3を介して中継装置101の通信ポート11Cに接続されている。
【0077】
また、車載機器201Eは、制御リレー71Cを介して電源リレー61Bに接続されている。すなわち、車載機器201Eの起動方法は「リレー」である。このように、車載ネットワーク401において、車載機器201Eが新たに追加された場合であっても、車載機器201Eの接続先に応じて、当該車載機器201Eを確実に起動することが望まれる。
【0078】
また、車載ネットワーク401において、ユーザのニーズに応じたサービスを実行するために、既存機器の接続先を変更する場合がある。
【0079】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。図4は、車載機器201Bの接続先が変更された車載ネットワーク401の構成を示している。
【0080】
図2および図4を参照して、車載機器201Bは、たとえば、イーサネットケーブル3を介して中継装置101の通信ポート11Cに接続されている。すなわち、図4に示す新規ネットワークにおいて、車載機器201Bの接続先は、CANバス2Bからイーサネットケーブル3に変更されている。なお、車載機器201Bの接続先は、CANバス2BからCANバス2Aに変更される場合もある。また、中継装置101の通信ポート11に接続されている車載機器201の接続先が、他の通信ポート11に変更される場合もある。
【0081】
また、車載機器201Bは、制御リレー71Cを介して電源リレー61Bに接続されている。すなわち、図4に示す新規ネットワークにおいて、車載機器201Bの起動方法は、車載機器201Bの接続先の変更に伴い、「通信」から「リレー」に変更されている。
【0082】
このように、車載ネットワーク401において、車載機器201の接続先が変更された場合、または車載機器201の起動方法が変更された場合であっても、当該車載機器201を確実に起動することが望まれる。
【0083】
また、各電源リレー61には、許容電流が設定されている。図4に示す新規ネットワークにおいて、電源リレー61Bに接続される車載機器201の数は、車載機器201Bが当該電源リレー61Bに接続されたため、増加している。この場合、電源リレー61Bを通して流れる電流は、図1に示す電源リレー61Bを通して流れる電流よりも大きく、電源リレー61Bの許容電流を超える可能性がある。そのため、車載機器201の起動方法が「通信」から「リレー」に変更された場合、電源リレー61を通して流れる電流が許容電流を超えることを抑制する必要がある。
【0084】
また、車載機器201の起動方法が「通信」である場合における当該車載機器201が通信可能となるまでの起動時間は、当該車載機器201に設けられた電源ICの起動時間である。当該起動時間は、たとえば、数十ミリ秒である。
【0085】
一方、車載機器201の起動方法が「リレー」である場合における当該車載機器201が通信可能となるまでの起動時間は、制御リレー71がオフ状態からオン状態へ遷移するまでに要する時間と、電源部51から電力が供給されてから車載機器201が起動するまでの時間とを加算した時間である。当該起動時間は、たとえば、数百ミリ秒である。
【0086】
このように、車載機器201の起動方法が「通信」から「リレー」に変更された場合、当該車載機器201が通信可能となるまでの時間が長くなるため、当該車載機器201が起動していない状態において、中継装置101が当該車載機器201との通信を開始しようとすると、当該通信が失敗する可能性がある。
【0087】
これに対して、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
【0088】
[中継装置の構成]
(サービス検知部)
再び図2を参照して、中継装置101におけるサービス検知部21は、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別を検知する。
【0089】
より詳細には、たとえば、記憶部14は、サービスごとの、サービスの開始条件とサービスの終了条件とを示す図示しないサービス情報を記憶する。
【0090】
サービス検知部21は、電源部51の状態が所定の開始条件を満たしていると判断すると、記憶部14におけるサービス情報を参照することにより、当該開始条件に対応するサービスを車載ネットワーク401において実行されるサービス(以下、「実行サービス」とも称する。)の種別として検知する。
【0091】
具体的には、サービス検知部21は、たとえば定期的に、電源部51のアクセサリ電源の出力電圧を監視することにより、当該アクセサリ電源のオンおよびオフを検知する。サービス検知部21は、計測した電圧値が所定の閾値以上である場合、アクセサリ電源がオン状態であると判断し、計測した電圧値が当該閾値未満である場合、アクセサリ電源がオフ状態であると判断する。サービス検知部21は、アクセサリ電源がオン状態であると判断した場合、電源リレー61Aに接続された車載機器201を用いるサービスを実行サービスとして検知する。
【0092】
また、サービス検知部21は、たとえば定期的に、電源部51のイグニッション電源の出力電圧を監視することにより、当該イグニッション電源のオンおよびオフを検知する。サービス検知部21は、計測した電圧値が所定の閾値以上である場合、イグニッション電源がオン状態であると判断し、計測した電圧値が当該閾値未満である場合、イグニッション電源がオフ状態であると判断する。サービス検知部21は、イグニッション電源がオン状態であると判断した場合、電源リレー61Bに接続された車載機器201を用いるサービスを実行サービスとして検知する。
【0093】
サービス検知部21は、検知結果を示す検知情報を選択部22へ出力する。なお、サービス検知部21は、たとえば、ユーザの所望するサービスの種別を示す種別情報を、車両1に設けられた図示しないナビゲーション装置等からスイッチ部12経由で受信してもよい。この場合、サービス検知部21は、受信した種別情報を検知情報として選択部22へ出力する。
【0094】
(選択部)
選択部22は、サービス検知部21から検知情報を受けると、複数の車載機器201の中から、当該検知情報の示す種別のサービスを実行するために車載機器201を選択する選択処理を行う。
【0095】
より詳細には、選択部22は、複数の車載機器201の中から給電すべき車載機器201(以下、「給電対象機器」とも称する。)を選択する。あるいは、選択部22は、複数の車載機器201の中から給電を遮断すべき車載機器201(以下、「遮断対象機器」とも称する。)を選択する。
【0096】
図5は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する機器選択テーブルの一例を示す図である。
【0097】
図2および図5を参照して、記憶部14は、サービスごとの、給電対象機器または遮断対象機器を示す機器選択テーブルTb1を記憶する。機器選択テーブルTb1は、たとえば、車両1の出荷時に、車両1の製造事業者によって記憶部14に登録される。
【0098】
機器選択テーブルTb1において、サービスAおよびサービスBの実行時における給電対象機器は、車載機器201B、車載機器201Cおよび車載機器201Dである。サービスCの実行時における遮断対象機器は、車載機器201Aである。サービスDの実行時における遮断対象機器は、車載機器201Bである。サービスEの実行時における遮断対象機器は、車載機器201Cである。
【0099】
選択部22は、サービス検知部21から検知情報を受けると、記憶部14における機器選択テーブルTb1を読み出す。そして、選択部22は、当該機器選択テーブルTb1を参照することにより、検知情報の示す種別に対応するサービスに対応する給電対象機器または遮断対象機器を選択する。選択部22は、選択結果を取得部23へ出力する。
【0100】
機器選択テーブルTb1は、さらに、サービスごとの、車載機器201の優先度を示す。機器選択テーブルTb1において、サービスAの実行時における車載機器201Bの優先度は低く、サービスAの実行時における車載機器201C,201Dの優先度は高い。サービスBの実行時における車載機器201B,201C,201Dの優先度は高い。サービスCの実行時における車載機器201Aの優先度は高い。サービスDの実行時における車載機器201Bの優先度は高い。サービスEの実行時における車載機器201Cの優先度は高い。
【0101】
機器選択テーブルTb1において、車載機器201Bは、サービスAの実行時における給電対象機器であり、かつサービスDの実行時における遮断対象機器である。選択部22は、たとえば、サービス検知部21から受けた検知情報の示すサービスの種別がサービスAおよびサービスDである場合、機器選択テーブルTb1を参照することにより、サービスAの実行時における車載機器201Bの優先度と、サービスDの実行時における車載機器201Bの優先度とを確認する。そして、選択部22は、サービスAの実行時における車載機器201Bの優先度は低く、サービスDの実行時における車載機器201Bの優先度は高いため、車載機器201Bを遮断対象機器として選択する。
【0102】
また、車載機器201が、たとえば、あるサービスの実行時において、優先度の高い給電対象機器であり、かつ他のサービスの実行時において優先度の高い遮断対象機器である場合、当該車載機器201は、遮断対象機器として選択される。
【0103】
たとえば、機器選択テーブルTb1において、車載機器201Bは、サービスBおよびサービスDの実行時における優先度がいずれも高い。選択部22は、サービス検知部21から受けた検知情報の示すサービスの種別がサービスBおよびサービスDである場合、車載機器201Bを給電対象機器ではなく遮断対象機器として選択する。
【0104】
(取得部)
取得部23は、各車載機器201の起動方法と、各車載機器201の車載ネットワーク401における位置(以下、「接続位置」とも称する。)とを示す起動方法情報を取得する。
【0105】
より詳細には、記憶部14は、起動方法情報を含む起動テーブルTb2を記憶する。起動テーブルTb2は、たとえば、車両1の出荷時に、車両1の製造事業者によって記憶部14に登録される。
【0106】
取得部23は、給電対象機器を示す選択結果を選択部22から受けると、起動テーブルTb2を記憶部14から読み出す。そして、取得部23は、当該起動テーブルTb2を参照することにより、当該給電対象機器の起動方法および接続位置を特定する。
【0107】
図6は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する起動テーブルの一例を示す図である。
【0108】
図6を参照して、起動テーブルTb2において、車載機器201Aおよび車載機器201Bの起動方法は、「通信」である。車載機器201Cおよび車載機器201Dの起動方法は、「リレー」である。
【0109】
起動テーブルTb2は、接続位置として、車載機器201が接続されるCANバス2と、車載機器201が接続される通信ポート11のポート番号とを示す。
【0110】
起動テーブルTb2において、車載機器201Aが接続されるCANバス2は「CAN1」である。車載機器201Bが接続されるCANバス2は「CAN2」である。車載機器201Cが接続される通信ポート11のポート番号は「#1」である。車載機器201Dが接続される通信ポート11のポート番号は「#2」である。
【0111】
起動テーブルTb2は、さらに、起動方法が「通信」である車載機器201から送信されるCANフレームのCAN-IDを示す。起動テーブルTb2において、車載機器201Aから送信されるCANフレームのCAN-IDは「100」であり、車載機器201Bから送信されるCANフレームのCAN-IDは「200」である。
【0112】
たとえば、取得部23は、さらに、各車載機器201の動作特性を示す特性情報を取得する。より詳細には、取得部23は、たとえば、記憶部14に保存されている起動テーブルTb2は、さらに、特性情報を含む。
【0113】
ここでは、起動テーブルTb2に含まれる特性情報は、動作特性として、各車載機器201の消費電流と、各車載機器201が通信可能となるまでの起動時間とを示す。
【0114】
起動テーブルTb2において、車載機器201Aの消費電流は「3A」であり、車載機器201Aが通信可能となるまでの起動時間は「10ms」である。車載機器201Bの消費電流は「5A」であり、車載機器201Bが通信可能となるまでの起動時間は「30ms」である。車載機器201Cの消費電流は「2A」であり、車載機器201Cが通信可能となるまでの起動時間は「300ms」である。車載機器201Dの消費電流は「2A」であり、車載機器201Dが通信可能となるまでの起動時間は「200ms」である。
【0115】
取得部23は、給電対象機器を示す選択結果を選択部22から受けると、記憶部14における起動テーブルTb2を読み出す。そして、取得部23は、当該起動テーブルTb2を参照することにより、選択部22から受けた選択結果の示す給電対象機器の動作特性、具体的には給電対象機器の消費電流および起動時間を特定する。
【0116】
取得部23は、特定した起動方法が「リレー」である場合、当該起動方法と、特定した接続位置と、消費電流と、起動時間とを示す制御情報を制御部24へ出力する。
【0117】
また、取得部23は、特定した起動方法が「通信」である場合、当該起動方法と、特定した接続位置と、CAN-IDと、消費電流と、起動時間とを示す制御情報を制御部24へ出力する。
【0118】
取得部23は、選択部22から受けた選択結果が複数の給電対象機器を示す場合、各給電対象機器の制御情報を制御部24へ出力する。すなわち、取得部23は、選択部22によって複数の給電対象機器が選択された場合、複数の制御情報を制御部24へ出力する。取得部23は、たとえば、起動方法が「リレー」であることを示す複数の制御情報、または起動方法が「通信」であることを示す複数の制御情報を制御部24へ出力する。なお、取得部23は、たとえば、起動方法が「リレー」であることを示す1または複数の制御情報と、起動方法が「通信」であることを示す1または複数の制御情報とを制御部24へ出力してもよい。
【0119】
(機器選択テーブルおよび起動テーブルの更新)
機器選択テーブルTb1および起動テーブルTb2は、たとえば更新可能である。より詳細には、たとえば、ディーラは、車両1の出荷後に車載ネットワーク401の構成が変更された場合、記憶部14における機器選択テーブルTb1および起動テーブルTb2を更新する。具体的には、ディーラは、たとえば、新規機器が車載ネットワーク401に追加された場合、既存機器の接続先が変更された場合、または既存機器の起動方法が変更された場合、記憶部14における機器選択テーブルTb1および起動テーブルTb2を更新する。
【0120】
図7は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する更新後の機器選択テーブルの一例を示す図である。図7は、車載機器201Eが車載ネットワーク401に追加された場合の機器選択テーブルTb1の一例を示す。
【0121】
図7を参照して、更新後の機器選択テーブルTb1において、車載機器201Eは、サービスAの実行時における給電対象機器であることが登録されている。また、サービスAの実行時における車載機器201Eの優先度が高いことが登録されている。
【0122】
図8は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する更新後の起動テーブルの一例を示す図である。図7は、車載機器201Eが車載ネットワーク401に追加された場合の起動テーブルTb2の一例を示す。
【0123】
図8を参照して、更新後の起動テーブルTb2において、車載機器201Eが接続される通信ポート11のポート番号は「#3」であることが登録されている。また、車載機器201Eの消費電流は「2A」であり、車載機器201Cが通信可能となるまでの起動時間は「300ms」であることが登録されている。
【0124】
(起動処理)
制御部24は、取得部23によって取得された起動方法情報および特性情報に基づいて、選択部22によって選択された給電対象機器を起動する起動処理を行う。
【0125】
より詳細には、制御部24は、制御情報を取得部23から受けると、当該制御情報の示す起動方法に基づいて、当該給電対象機器を起動する。
【0126】
具体的には、制御部24は、取得部23から受けた制御情報の示す起動方法が「リレー」であり、かつ当該制御情報の示す接続位置がポート番号である場合、当該ポート番号の通信ポート11に接続された給電対象機器を特定する。そして、制御部24は、特定した給電対象機器に接続された制御リレー71をオフ状態からオン状態へ切り替える制御を行う。これにより、給電対象機器は、電源部51から電力が供給され、起動する。
【0127】
また、制御部24は、取得部23から受けた制御情報の示す起動方法が「通信」であり、かつ当該制御情報の示す接続位置がCANバス2である場合、当該制御情報の示すCAN-IDと、ウェイクアップ要求とを含むCANフレームを作成する。そして、制御部24は、作成したCANフレームをスイッチ部12および当該CANバス2経由で、当該CANバス2に接続された複数のCAN機器へ送信する。
【0128】
複数のCAN機器のうち、自己のCAN-IDを含むCANフレームを受信した場合CAN機器は、当該CANフレームに含まれるウェイクアップ要求に従い、ウェイクアップモードへ遷移する。
【0129】
(待機制御)
たとえば、制御部24は、選択部22によって選択された給電対象機器への電力供給が開始された後、特性情報の示す給電対象機器の起動時間が経過するまでスイッチ部12に給電対象機器との通信を待機させ、起動時間の経過後にスイッチ部12に給電対象機器との通信を開始させる。
【0130】
より詳細には、制御部24は、取得部23から受けた制御情報の示す起動方法が「リレー」である場合、給電対象機器との通信の待機を要求する旨、および当該給電対象機器が接続された通信ポート11のポート番号を示す待機通知をスイッチ部12へ出力する。具体的には、制御部24は、給電対象機器に接続された制御リレー71をオフ状態からオン状態へ切り替えた後、当該待機通知をスイッチ部12へ出力する。
【0131】
スイッチ部12は、制御部24から待機通知を受けると、当該待機通知の示すポート番号の通信ポート11に接続された給電対象機器との通信を待機する。具体的には、たとえば、スイッチ部12は、当該給電対象機器を制御するためのフレームの送信を待機する。
【0132】
また、制御部24は、給電対象機器に接続された制御リレー71をオフ状態からオン状態へ切り替えたタイミングから、取得部23から受けた制御情報の示す起動時間が経過したことを確認すると、当該給電対象機器との通信を許可する旨、および当該給電対象機器が接続された通信ポート11のポート番号を示す許可通知をスイッチ部12へ出力する。
【0133】
スイッチ部12は、制御部24から許可通知を受けると、当該許可通知の示すポート番号の通信ポート11に接続された給電対象機器との通信を開始する。
【0134】
(給電しない給電対象機器の選択)
たとえば、制御部24は、選択部22によって選択された複数の給電対象機器が複数の電源リレー61のうちのいずれか1つの電源リレー61に接続されている場合、起動テーブルTb2に含まれる特性情報の示す各給電対象機器の消費電流に基づいて、当該複数の給電対象機器の中から給電しない給電対象機器(以下、「非給電機器」とも称する。)を選択する。
【0135】
より詳細には、制御部24は、起動方法が「リレー」であることを示す複数の制御情報を取得部23から受けた場合、各制御情報の示す給電対象機器の起動方法、接続位置および消費電流を算出部25へ出力する。
【0136】
算出部25は、各制御情報の示す給電対象機器の起動方法、接続位置および消費電流を制御部24から受けると、電源リレー61ごとに、電源リレー61に接続された1または複数の車載機器201の消費電流の合計値を算出する。
【0137】
より詳細には、記憶部14は、通信ポート11のポート番号と電源リレー61との対応関係を示すリレーテーブルTb3を記憶する。
【0138】
図9は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存するリレーテーブルの一例を示す図である。
【0139】
図9を参照して、リレーテーブルTb3において、ポート番号「#1」に対応する電源リレー61は、電源リレー61Aである。ポート番号「#2,#3」に対応する電源リレー61は、電源リレー61Bである。図9に示す「許容電流」については、後述する。
【0140】
図2および図9を参照して、算出部25は、各制御情報の示す給電対象機器の起動方法、接続位置および消費電流を制御部24から受けると、記憶部14におけるリレーテーブルTb3を読み出す。そして、算出部25は、当該リレーテーブルTb3を参照することにより、当該接続位置、すなわちポート番号に対応する電源リレー61を特定する。
【0141】
そして、算出部25は、制御部24から受けた各制御情報の示す消費電流を用いて、特定した電源リレー61に接続された1または複数の給電対象機器の消費電流の合計値を算出する。算出部25は、算出結果を制御部24へ通知する。
【0142】
制御部24は、算出部25から受けた算出結果の示す消費電流の合計値が所定条件を満たす電源リレー61、に接続された複数の給電対象機器(以下、「接続機器群」とも称する。)の中から非給電機器を選択する。
【0143】
より詳細には、取得部23は、各電源リレー61の許容電流を示す許容電流情報を取得する。
【0144】
具体的には、記憶部14に保存されているリレーテーブルTb3は、さらに、電源リレー61と許容電流との対応関係を示す。
【0145】
リレーテーブルTb3において、アクセサリ電源用の電源リレー61Aの許容電流は「C1」であり、イグニッション電源用の電源リレー61Bの許容電流は「C2」である。
【0146】
取得部23は、上述のように起動テーブルTb2を用いて特定した起動方法が「リレー」であり、かつ特定した接続位置がポート番号である場合、記憶部14におけるリレーテーブルTb3を読み出す。そして、取得部23は、当該リレーテーブルTb3を参照することにより、ポート番号に対応する電源リレー61の許容電流を特定し、特定した許容電流と当該ポート番号とを示すリレー情報を制御部24へ出力する。
【0147】
たとえば、制御部24は、取得部23によって取得された許容電流情報に基づいて、非給電機器を選択するための所定条件を設定する。
【0148】
具体的には、制御部24は、取得部23からリレー情報を受けると、記憶部14におけるリレーテーブルTb3を参照することにより、当該リレー情報の示すポート番号に対応する電源リレー61を特定する。そして、制御部24は、特定した電源リレー61に接続される複数の車載機器201の消費電流の合計値が、当該リレー情報の示す許容電流以上であることを所定条件として設定する。
【0149】
そして、制御部24は、算出部25から受けた算出結果を示す消費電流の合計値が許容電流以上である場合、記憶部14における給電優先度テーブルTb4を参照することにより、非給電機器を選択する。なお、制御部24は、算出部25から受けた算出結果の示す消費電流の合計値が許容電流から所定のマージンを差し引いた値以上であることを所定条件として設定してもよい。
【0150】
図10は、本開示の実施の形態に係る中継装置が保存する給電優先度テーブルの一例を示す図である。
【0151】
図10を参照して、給電優先度テーブルTb4は、各車載機器201の優先度を示す。給電優先度テーブルTb4において、車載機器201A、車載機器201Cおよび車載機器201Dの優先度は高く、車載機器201Bおよび車載機器201Eの優先度は低い。
【0152】
たとえば、制御部24は、図3に示す新規ネットワークにおいて、電源リレー61Bに接続された車載機器201Dおよび車載機器201Eの消費電流の合計値が許容電流以上である場合、給電優先度テーブルTb4を参照することにより、優先度の低い車載機器201Eを非給電機器として選択する。
【0153】
また、たとえば、制御部24は、図4に示す新規ネットワークにおいて、電源リレー61Bに接続された車載機器201Dおよび車載機器201Bの消費電流の合計値が許容電流以上である場合、給電優先度テーブルTb4を参照することにより、優先度の低い車載機器201Bを非給電機器として選択する。
【0154】
そして、制御部24は、接続機器群を構成する複数の給電対象機器のうち、選択した非給電機器以外の給電対象機器(以下、「特定機器」とも称する。)を、起動テーブルTb2の示す特定機器の起動方法に従って起動する。
【0155】
図3に示す新規ネットワークにおいて、制御部24は、たとえば、車載機器201Eを非給電機器として選択した場合、車載機器201Dを特定機器であると判断する。そして、制御部24は、記憶部14における起動テーブルTb2の示す車載機器201Dの起動方法に従って、車載機器201Dを起動する。具体的には、制御部24は、車載機器201Dに接続された制御リレー71Bをオフ状態からオン状態へ切り替える制御を行う。これにより、車載機器201Dは、電源部51から電力が供給され、動作を開始する。
【0156】
図4に示す新規ネットワークにおいて、制御部24は、たとえば、車載機器201Bを非給電機器として選択した場合、図3に示す新規ネットワークと同様に、車載機器201Dを特定機器であると判断する。
【0157】
一方、制御部24は、算出部25によって算出された消費電流の合計値が許容電流未満である場合、非給電機器を選択しない。この場合、制御部24は、選択部22によって選択された複数の給電対象機器にそれぞれ接続された複数の制御リレー71をオフ状態からオン状態へ切り替える制御を行う。
【0158】
(サービスの終了)
サービス検知部21は、電源部51の状態が所定の終了条件を満たしていると判断すると、記憶部14における上記サービス情報を参照することにより、当該終了条件に対応するサービスを終了すべき旨を示す終了通知を制御部24へ出力する。
【0159】
制御部24は、サービス検知部21から終了通知を受けると、当該終了通知の示すサービスに対応する車載機器201の動作を停止する停止制御を行う。
【0160】
たとえば、制御部24は、停止制御として、当該終了通知の示すサービスに対応するCAN機器の動作モードをウェイクアップモードからスリープモードへ遷移するためのスリープ要求をスイッチ部12およびCANバス2経由でCAN機器へ送信する。
【0161】
具体的には、制御部24は、取得部23から受けた制御情報の示すCAN-IDと、スリープ要求とを含むCANフレームを当該制御情報の示すCANバス2に接続された複数のCAN機器へ送信する。
【0162】
複数のCAN機器のうち、自己のCAN-IDを含むCANフレームを受信したCAN機器は、当該CANフレームに含まれるスリープ要求に従い、スリープモードへ遷移する。これにより、当該CAN機器は、車載システム301における他の装置との通信を停止する。
【0163】
また、たとえば、制御部24は、停止制御として、当該終了通知の示すサービスに対応するイーサネット機器に接続された制御リレー71をオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行う。これにより、当該イーサネット機器は、電源部51からの電力の供給が遮断されることにより、動作を停止する。
【0164】
[動作の流れ]
図11は、本開示の実施の形態に係る中継装置が起動処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0165】
図11を参照して、まず、中継装置101は、電源部51から電力が供給されると、起動する(ステップS101)。
【0166】
次に、中継装置101は、電源部51の状態がサービスの開始条件を満たす場合(ステップS102においてYES)、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別を検知する(ステップS103)。
【0167】
次に、中継装置101は、複数の車載機器201の中から給電対象機器を選択する。たとえば、上述した通り、中継装置101は、記憶部14における機器選択テーブルTb1を参照することにより、検知したサービスの種別に対応する給電対象機器を選択する。ここでは、中継装置101は、複数の給電対象機器を選択するものとする(ステップS104)。
【0168】
次に、中継装置101は、各給電対象機器の起動方法および動作特性を特定する。たとえば、上述した通り、中継装置101は、記憶部14における起動テーブルTb2を参照することにより、各給電対象機器の起動方法および動作特性を特定する(ステップS105)。
【0169】
次に、中継装置101は、特定した起動方法が「リレー」である場合(ステップS106においてYES)、電源リレー61ごとに、電源リレー61に接続された1または複数の給電対象機器の消費電流の合計値を算出する。ここでは、中継装置101は、選択した複数の給電対象機器のうち、電源リレー61Bに接続された複数の給電対象機器である接続機器群、における消費電流の合計値を算出するものとする(ステップS107)。
【0170】
次に、中継装置101は、算出した消費電流の合計値が許容電流以上である場合(ステップS108においてYES)、記憶部14における給電優先度テーブルTb4を参照することにより、接続機器群における各給電対象機器の優先度を確認する(ステップS109)。
【0171】
次に、中継装置101は、接続機器群の中に優先度の低い給電対象機器が含まれている場合(ステップS110においてYES)、当該給電対象機器を非給電機器として選択する(ステップS111)。
【0172】
次に、中継装置101は、接続機器群における非給電機器以外の給電対象機器、の消費電流の合計値を算出し(ステップS107)、算出した消費電流の合計値が許容電流以上である場合(ステップS108においてYES)、電源リレー61Bに接続された各給電対象機器の優先度を再度確認する(ステップS109)。
【0173】
次に、中継装置101は、複数の給電対象機器の中に優先度の低い給電対象機器がさらに含まれている場合(ステップS110においてYES)、当該給電対象機器を非給電機器として新たに選択する(ステップS111)。
【0174】
一方、中継装置101は、算出した消費電流の合計値が許容電流未満である場合(ステップS108においてNO)、複数の給電対象機器のうち、選択した非給電機器以外の給電対象機器を起動する。たとえば、上述した通り、中継装置101は、選択した非給電機器以外の給電対象機器に接続された制御リレー71をオフ状態からオン状態へ切り替える制御を行う(ステップS112)。
【0175】
また、中継装置101は、特定した給電対象機器の起動方法が「リレー」でない場合、すなわち当該起動方法が「通信」である場合(ステップS106においてNO)、複数の給電対象機器を起動する。たとえば、上述した通り、中継装置101は、ウェイクアップ要求を含むCANフレームを給電対象機器へ送信する(ステップS112)。
【0176】
次に、中継装置101は、給電対象機器との通信を待機する。たとえば、上述した通り、中継装置101は、給電対象機器への電力供給が開始された後、起動テーブルTb2の示す給電対象機器の起動時間が経過するまで、当該給電対象機器との通信を待機する(ステップS113)。
【0177】
次に、中継装置101は、給電対象機器の起動時間の経過後に当該給電対象機器との通信を開始する(ステップS114)。
【0178】
次に、中継装置101は、電源部51の状態が実行中のサービスの終了条件を満たす場合(ステップS115においてYES)、当該サービスに対応する給電対象機器の動作を停止させる(ステップS116)。そして、中継装置101は、電源部51の状態が他のサービスの開始条件を満たすことを待ち受ける(ステップS102においてNO)。
【0179】
他方、中継装置101は、接続機器群の中に優先度の低い給電対象機器が含まれていない場合(ステップS110においてNO)、処理を終了する。
【0180】
なお、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、中継装置101がサービス検知部21、選択部22、取得部23、制御部24および算出部25を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、中継装置101以外の他の車載装置が、サービス検知部21、選択部22、取得部23、制御部24および算出部25を備え、上述のような処理を行ってもよい。
【0181】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、記憶部14に保存されている起動テーブルTb2は、起動方法情報と特性情報とを含む構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、記憶部14は、起動テーブルTb2の代わりに、起動方法情報を含むテーブルと、特性情報を含むテーブルとを別々に記憶する構成であってもよい。
【0182】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、記憶部14に保存されている起動テーブルTb2に含まれる特性情報は、各車載機器201の動作特性として、各車載機器201の消費電流と、各車載機器201が通信可能となるまでの起動時間とを示す構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、当該特性情報は、各車載機器201の消費電流、および各車載機器201の起動時間以外の動作特性を示す構成であってもよい。
【0183】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、記憶部14に保存されている起動テーブルTb2は、特性情報を含む構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、起動テーブルTb2は、特性情報を含まない構成であってもよい。この場合、中継装置101における制御部24は、特性情報を用いずに起動処理を行う。
【0184】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、制御部24は、取得部23によって取得された許容電流情報に基づいて、非給電機器を選択するための所定条件を設定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、制御部24は、記憶部14に予め登録された所定条件を取得する構成であってもよい。
【0185】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、記憶部14に保存されている起動テーブルTb2に含まれる起動方法情報は、各車載機器201の起動方法と、各車載機器201の車載ネットワーク401における位置とを示す構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、当該起動方法情報は、各車載機器201の車載ネットワーク401における位置を示さない構成であってもよい。
【0186】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0187】
上述の実施の形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0188】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択し、
各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得し、
取得した前記起動方法情報に基づいて、選択した前記給電対象機器を起動する起動処理を行う、車載装置。
【0189】
[付記2]
複数の車載機器と、
前記複数の車載機器を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載装置とを備え、
前記車載装置は、
前記複数の車載機器の中から給電すべき前記車載機器である給電対象機器を選択する選択部と、
各前記車載機器の起動方法を示す起動方法情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記起動方法情報に基づいて、前記選択部によって選択された前記給電対象機器を起動する起動処理を行う制御部とを含む、車載システム。
【符号の説明】
【0190】
1 車両
2,2A,2B CANバス
3 イーサネットケーブル
4,5,5A,5B,5C,5D 電源線
11,11A,11B,11C 通信ポート
12 スイッチ部
13 処理部
14 記憶部
21 サービス検知部
22 選択部
23 制御部
25 算出部
51 電源部
61,61A,61B 電源リレー
71,71A,71B,71C 制御リレー
101 中継装置
201,201A,201B,201C,201D,201E 車載機器
301 車載システム
401 車載ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11