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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084284
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】圃場作業車
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240618BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240618BHJP
【FI】
A01B69/00 303J
G05D1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198465
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】三木 淳平
(72)【発明者】
【氏名】江戸 俊介
(72)【発明者】
【氏名】西山 峻史
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BB14
2B043EA26
2B043EA37
2B043EB08
2B043EB18
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043EC15
5H301BB01
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】圃場の植物によって障害物の下端部が隠れている場合に、機体と障害物との距離が精度良く推定されやすい圃場作業車を提供する。
【解決手段】機体の周囲を撮像して画像を生成するカメラ40と、圃場の植物Tの高さである植物高さを取得する高さ取得部と、障害物Qを示す領域である障害物領域F1を画像において特定する特定部と、植物高さ及び障害物領域F1に基づいて機体と障害物Qとの距離を推定する推定部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の周囲を撮像して画像を生成するカメラと、
圃場の植物の高さである植物高さを取得する高さ取得部と、
障害物を示す領域である障害物領域を前記画像において特定する特定部と、
前記植物高さ及び前記障害物領域に基づいて前記機体と前記障害物との距離を推定する推定部と、を備える圃場作業車。
【請求項2】
前記カメラと、前記障害物のうち前記障害物領域の下端部に対応する部位と、を結ぶ直線の鉛直方向に対する傾きに関する値である角度関連値を取得する角度取得部を備え、
前記推定部は、前記カメラの高さから前記植物高さを減じて得た値と、前記角度関連値と、に基づいて前記機体と前記障害物との距離を推定する請求項1に記載の圃場作業車。
【請求項3】
前記特定部が前記障害物領域を特定した場合に、前記障害物が前記圃場における植物が存在する領域に位置しているか否かを判定する位置判定処理を実行する判定部を備え、
前記位置判定処理によって前記障害物が前記圃場における植物が存在する領域に位置していると判定された場合、前記推定部は、前記植物高さ及び前記障害物領域に基づいて前記機体と前記障害物との距離を推定し、
前記位置判定処理によって前記障害物が前記圃場における植物が存在する領域に位置していないと判定された場合、前記推定部は、前記植物高さに基づくことなく、前記障害物領域に基づいて前記機体と前記障害物との距離を推定する請求項1または2に記載の圃場作業車。
【請求項4】
前記圃場における未作業領域を示す領域マップを取得するマップ取得部を備え、
前記判定部は、前記領域マップに基づいて前記位置判定処理を実行する請求項3に記載の圃場作業車。
【請求項5】
前記判定部は、前記画像に基づいて前記位置判定処理を実行する請求項3に記載の圃場作業車。
【請求項6】
前記機体の周囲の物体の三次元位置を検知する検知部を備え、
前記高さ取得部は、前記検知部による検知結果に基づいて前記植物高さを取得する請求項1または2に記載の圃場作業車。
【請求項7】
前記植物高さに関する人為操作入力を受け付ける受付部を備え、
前記高さ取得部は、前記受付部が受け付けた前記人為操作入力に基づいて前記植物高さを取得する請求項1または2に記載の圃場作業車。
【請求項8】
前記推定部により推定された距離に基づいて前記機体の動作を制御する機体制御部を備える請求項1または2に記載の圃場作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の周囲を撮像して画像を生成するカメラを備える圃場作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような圃場作業車として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この圃場作業車(特許文献1では「トラクタ」)は、機体の周囲を撮像するための複数のカメラを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-92445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、カメラによる撮像により得られた画像に基づいて、機体の周囲の障害物を検知することについては記載されていない。ここで、障害物が例えば人物である場合、カメラによる撮像により得られた画像に基づいて、カメラと、当該人物の足もとと、を結ぶ直線の鉛直方向に対する傾きを算出すると共に、当該傾きに基づいて、機体と当該人物との間の水平方向の距離を推定することが考えられる。
【0005】
より具体的には、当該傾き(角度)の正接とカメラの高さとの積が、機体(より具体的にはカメラ)と当該人物との間の水平方向の距離に相当する。カメラの高さが既知である場合に、このことを利用して、機体と当該人物との間の距離を推定することが考えられる。
【0006】
しかしながら、圃場の植物(例えば植立穀稈)によって当該人物の足もとが隠れている場合、カメラによる撮像により得られた画像に基づいて当該傾きを精度良く算出することが困難になりがちである。その結果、機体と当該人物との間の距離を精度良く推定することができない事態が想定される。
【0007】
このように、圃場の植物によって障害物の下端部(例えば人物の足もと)が隠れている場合、機体と障害物との間の距離を精度良く推定することが困難になりがちである。
【0008】
本発明の目的は、圃場の植物によって障害物の下端部が隠れている場合に、機体と障害物との距離が精度良く推定されやすい圃場作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、機体の周囲を撮像して画像を生成するカメラと、圃場の植物の高さである植物高さを取得する高さ取得部と、障害物を示す領域である障害物領域を前記画像において特定する特定部と、前記植物高さ及び前記障害物領域に基づいて前記機体と前記障害物との距離を推定する推定部と、を備えることにある。
【0010】
本構成によれば、植物高さに基づいて機体と障害物との距離が推定される。これにより、例えば、圃場の植物によって障害物の下端部が隠れている場合において、カメラと、障害物のうち障害物領域の下端部に対応する部位と、を結ぶ直線の鉛直方向に対する傾きを算出すると共に、当該傾き(角度)の正接と、カメラの高さから植物高さを減じて得た値と、の積を算出することにより、機体と障害物との間の距離を精度良く推定することができる。
【0011】
即ち、本構成によれば、圃場の植物によって障害物の下端部が隠れている場合に、機体と障害物との距離が精度良く推定されやすい圃場作業車を実現できる。
【0012】
さらに、本発明において、前記カメラと、前記障害物のうち前記障害物領域の下端部に対応する部位と、を結ぶ直線の鉛直方向に対する傾きに関する値である角度関連値を取得する角度取得部を備え、前記推定部は、前記カメラの高さから前記植物高さを減じて得た値と、前記角度関連値と、に基づいて前記機体と前記障害物との距離を推定すると好適である。
【0013】
本構成によれば、角度関連値が取得されるため、カメラと、障害物のうち障害物領域の下端部に対応する部位と、を結ぶ直線の鉛直方向に対する傾き(角度)の正接を確実に算出しやすい。そして、例えば、当該正接と、カメラの高さから植物高さを減じて得た値と、の積を算出することにより、機体と障害物との間の距離を精度良く推定することができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記特定部が前記障害物領域を特定した場合に、前記障害物が前記圃場における植物が存在する領域に位置しているか否かを判定する位置判定処理を実行する判定部を備え、前記位置判定処理によって前記障害物が前記圃場における植物が存在する領域に位置していると判定された場合、前記推定部は、前記植物高さ及び前記障害物領域に基づいて前記機体と前記障害物との距離を推定し、前記位置判定処理によって前記障害物が前記圃場における植物が存在する領域に位置していないと判定された場合、前記推定部は、前記植物高さに基づくことなく、前記障害物領域に基づいて前記機体と前記障害物との距離を推定すると好適である。
【0015】
本構成によれば、障害物が圃場における植物が存在する領域に位置しているか否かに応じて、適切な方法で、機体と障害物との距離が推定される構成を実現できる。
【0016】
さらに、本発明において、前記圃場における未作業領域を示す領域マップを取得するマップ取得部を備え、前記判定部は、前記領域マップに基づいて前記位置判定処理を実行すると好適である。
【0017】
本構成によれば、障害物が圃場における植物が存在する領域に位置しているか否かを精度良く判定しやすい。これにより、機体と障害物との距離の推定方法の使い分けが適切になりやすい。
【0018】
さらに、本発明において、前記判定部は、前記画像に基づいて前記位置判定処理を実行すると好適である。
【0019】
本構成によれば、例えば、画像において障害物の近傍に植物が存在しているか否かを画像解析によって判定することにより、位置判定処理を実行することができる。これにより、障害物が圃場における植物が存在する領域に位置しているか否かを精度良く判定しやすい。
【0020】
さらに、本発明において、前記機体の周囲の物体の三次元位置を検知する検知部を備え、前記高さ取得部は、前記検知部による検知結果に基づいて前記植物高さを取得すると好適である。
【0021】
本構成によれば、植物高さが自動的に取得される構成を実現できる。これにより、植物高さに関する情報(例えば、植物高さを示す値)を人為操作によって入力する必要がない構成を実現できる。
【0022】
さらに、本発明において、前記植物高さに関する人為操作入力を受け付ける受付部を備え、前記高さ取得部は、前記受付部が受け付けた前記人為操作入力に基づいて前記植物高さを取得すると好適である。
【0023】
本構成によれば、植物高さを検知するためのセンサを備えていない場合であっても、植物高さを取得することが可能となる。これにより、植物高さを検知するためのセンサを設けることによって製造コストが増大してしまう事態を回避しやすい。
【0024】
さらに、本発明において、前記推定部により推定された距離に基づいて前記機体の動作を制御する機体制御部を備えると好適である。
【0025】
本構成によれば、機体と障害物との距離に応じて機体が自動的に制御される構成を実現できる。これにより、例えば、機体と障害物との距離が比較的短い場合に機体の走行が停止される構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】制御部に関する構成を示すブロック図である。
図3】特定部による障害物検出の流れを示す図である。
図4】既作業領域及び未作業領域を示す図である。
図5】距離推定フローのフローチャートである。
図6】第1推定方法を説明する図である。
図7】第2推定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0028】
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、普通型のコンバイン1(本発明に係る「圃場作業車」に相当)は、収穫部H、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、搬送部16、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80を備えている。
【0029】
走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。また、走行装置11は、コンバイン1に搭載されたエンジン(図示せず)からの動力によって駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置11によって走行可能である。
【0030】
運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視するオペレータが搭乗可能である。尚、オペレータは、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
【0031】
運転部12は、運転座席12a及びキャビン12bを有している。運転座席12aは、キャビン12bの内側に設けられている。運転座席12aには、オペレータが着座可能である。
【0032】
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
【0033】
収穫部Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、搬送部16は、収穫部Hの後側に設けられている。収穫部Hは、搬送部16と共に、機体左右方向に延びる揺動軸芯(図示せず)周りに上下揺動可能に構成されている。これにより、収穫部Hは、昇降可能である。尚、当該揺動軸芯は、搬送部16の後端部に位置している。また、収穫部Hは、刈取装置15及びリール17を含んでいる。
【0034】
刈取装置15は、圃場の作物Pを刈り取る。特に限定されないが、作物Pは、例えば稲等であっても良い。また、リール17は、機体左右方向に沿うリール軸芯17b周りに回転駆動しながら収穫対象の作物Pを掻き込む。刈取装置15により刈り取られた作物Pは、搬送部16へ送られる。
【0035】
この構成により、収穫部Hは、圃場の作物Pを収穫する。そして、コンバイン1は、刈取装置15によって圃場の作物Pを刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。
【0036】
収穫部Hにより収穫された作物Pは、搬送部16によって機体後方へ搬送される。これにより、作物Pは脱穀装置13へ搬送される。
【0037】
脱穀装置13において、作物Pは脱穀処理される。脱穀処理により得られた収穫物(穀粒)は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された収穫物は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
【0038】
尚、コンバイン1は、圃場において自動走行可能に構成されていても良いし、自動走行できないように構成されていても良い。コンバイン1が自動走行する場合、例えば、コンバイン1は、生成された経路(図示せず)に沿って自動的に走行しても良い。
【0039】
〔障害物の検出〕
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、カメラ40を備えている。カメラ40は、運転部12の上面における前端部に取り付けられている。カメラ40は、前下方へ向けられている。
【0040】
カメラ40は、コンバイン1の機体の周囲を撮像して画像を生成する。より具体的には、カメラ40は、コンバイン1の機体の前方を撮像して画像を生成する。
【0041】
このように、コンバイン1は、機体の周囲を撮像して画像を生成するカメラ40を備えている。
【0042】
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、制御部20を備えている。図2に示すように、制御部20は、特定部21を有している。
【0043】
図2に示すように、カメラ40により生成された画像(撮像画像)は、特定部21へ送られる。特定部21は、カメラ40による撮像画像に基づいて機体周辺の障害物Q(図1参照)を検出する。このとき、特定部21は、深層学習を用いて学習されたニューラルネットワークを利用することによって機体周辺の障害物Qを検出する。
【0044】
図3には、特定部21による障害物検出の流れが示されている。以下では、特定部21における検出対象物が人物であるとして、特定部21による障害物Qの検出について説明する。
【0045】
図3に示すように、特定部21には、カメラ40による撮像画像に含まれる各画素の画素値が入力される。そして、特定部21から、推定結果(検出結果)を示すデータが出力される。このデータには、障害物Qである人物の存在領域と、その推定確率が含まれている。
【0046】
図3における推定結果には、人物(障害物Q)の存在領域である障害物領域F1が矩形の枠で示されている。障害物領域F1は、障害物Qを示す領域である。障害物領域F1には、推定確率がリンクされている。また、障害物領域F1は、4つのコーナ点により規定される。撮像画像におけるこれら4つのコーナ点の座標位置も、推定結果に含まれている。尚、撮像画像において検出対象物が推定されない場合には、障害物領域F1は出力されず、その推定確率はゼロとなる。
【0047】
以上で説明した構成により、特定部21は、カメラ40により生成された画像において、障害物領域F1を特定する。これにより、特定部21は、障害物Qを検出する。
【0048】
このように、コンバイン1は、障害物Qを示す領域である障害物領域F1を画像において特定する特定部21を備えている。
【0049】
尚、制御部20、及び、制御部20に含まれる特定部21等の各要素は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。
【0050】
〔位置判定処理〕
図2に示すように、制御部20は、位置算出部22、マップ取得部23、方位算出部24、判定部25を有している。
【0051】
衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GS(図1参照)からのGPS信号を受信する。そして、図2に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、コンバイン1の機体位置を示す測位データを位置算出部22へ送る。
【0052】
尚、本発明はこれに限定されない。衛星測位モジュール80は、GPSを利用するものでなくても良い。例えば、衛星測位モジュール80は、GPS以外のGNSS(GLONASS、Galileo、みちびき、BeiDou等)を利用するものであっても良い。
【0053】
位置算出部22は、衛星測位モジュール80により出力された測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、マップ取得部23、方位算出部24、判定部25へ送られる。
【0054】
マップ取得部23は、位置算出部22から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図4に示すように、既作業領域SA及び未作業領域CAを算出する。
【0055】
より具体的には、マップ取得部23は、圃場の外形を示すデータを取得する。当該データは、例えば、圃場の最外周領域においてコンバイン1が周回走行を行った際のコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて取得されても良い。そして、コンバイン1が圃場において刈取走行(作業走行)を行っている間、マップ取得部23は、位置算出部22から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場におけるコンバイン1の刈取走行軌跡を算出する。
【0056】
マップ取得部23は、コンバイン1の刈取走行軌跡に基づいて、コンバイン1が刈取走行を行った領域を既作業領域SAとして経時的に算出する。また、マップ取得部23は、圃場の外形を示すデータと、既作業領域SAと、に基づいて、未作業領域CAを経時的に算出する。このとき、マップ取得部23は、圃場のうち既作業領域SAでない部分を、未作業領域CAとして算出する。
【0057】
これにより、マップ取得部23は、圃場における既作業領域SA及び未作業領域CAを示す領域マップを経時的に生成する。その結果、マップ取得部23は、当該領域マップを取得する。
【0058】
このように、コンバイン1は、圃場における未作業領域CAを示す領域マップを取得するマップ取得部23を備えている。
【0059】
尚、本実施形態において、既作業領域SAは、刈り取られていない作物Pが存在しない領域である。また、未作業領域CAは、刈り取られていない作物Pが存在する領域である。
【0060】
図2に示すように、マップ取得部23により取得された領域マップは、判定部25へ送られる。
【0061】
また、図2に示すように、コンバイン1は、慣性計測装置81を備えている。慣性計測装置81は、コンバイン1の機体のヨー角度の角速度、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を経時的に検知する。慣性計測装置81による検知結果は、方位算出部24へ送られる。
【0062】
方位算出部24は、位置算出部22から、コンバイン1の位置座標を受け取る。そして、方位算出部24は、慣性計測装置81による検知結果と、コンバイン1の位置座標と、に基づいて、コンバイン1の機体方位を算出する。
【0063】
より具体的には、まず、コンバイン1の走行中に、現在のコンバイン1の位置座標、及び、直前に走行していた地点におけるコンバイン1の位置座標に基づいて、方位算出部24は、初期機体方位を算出する。次に、初期機体方位が算出されてからコンバイン1が一定時間走行すると、方位算出部24は、その一定時間の走行の間に慣性計測装置81により検知された角速度を積分処理することにより、機体方位の変化量を算出する。
【0064】
そして、このように算出された機体方位の変化量を初期機体方位に足し合わせることによって、方位算出部24は、機体方位の算出結果を更新する。その後、一定時間毎に、機体方位の変化量が同様に算出されると共に、順次、機体方位の算出結果が更新されていく。
【0065】
以上の構成により、方位算出部24は、コンバイン1の機体方位を算出する。方位算出部24による算出結果は、判定部25へ送られる。
【0066】
特定部21が障害物領域F1を特定した場合、図2に示すように、特定部21は、所定の信号を判定部25へ送る。この信号は、特定部21が障害物領域F1を特定したことを示す信号である。判定部25は、この信号を受け取ると、位置判定処理を実行する。位置判定処理とは、障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置しているか否かを判定する処理である。
【0067】
このように、コンバイン1は、特定部21が障害物領域F1を特定した場合に、障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置しているか否かを判定する位置判定処理を実行する判定部25を備えている。
【0068】
尚、作物Pは、植物Tの具体例である。ただし、植物Tの具体例は、作物Pに限定されない。植物Tは、例えば、雑草であっても良い。
【0069】
判定部25は、位置判定処理において、上述の領域マップと、現在のコンバイン1の位置座標と、現在のコンバイン1の機体方位と、に基づいて、障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置しているか否かを判定する。
【0070】
即ち、判定部25は、領域マップに基づいて位置判定処理を実行する。
【0071】
例えば、図4では、第1位置P1及び第2位置P2が示されている。コンバイン1が第1位置P1に位置しているとき、コンバイン1の前方には、未作業領域CAが存在している。このときに、特定部21が障害物領域F1を特定した場合、判定部25は、位置判定処理によって、障害物Qが圃場における植物T(作物P)が存在する領域(未作業領域CA)に位置していると判定する。
【0072】
また、図4に示す例において、コンバイン1が第2位置P2に位置しているとき、コンバイン1の前方には、未作業領域CAが存在していない。このときに、特定部21が障害物領域F1を特定した場合、判定部25は、位置判定処理によって、障害物Qが圃場における植物T(作物P)が存在する領域(未作業領域CA)に位置していないと判定する。
【0073】
〔植物高さ〕
図1に示すように、コンバイン1は、検知部41を備えている。検知部41は、運転部12の上面における前端部に取り付けられている。検知部41は、カメラ40に隣接した状態で配置されている。検知部41は、前下方へ向けられている。
【0074】
検知部41は、コンバイン1の機体の周囲の物体の三次元位置を検知する。より具体的には、検知部41は、コンバイン1の機体の前方の物体の三次元位置を検知する。これにより、検知部41は、植物T(作物P)の上端部の三次元位置を検知可能である。
【0075】
このように、コンバイン1は、機体の周囲の物体の三次元位置を検知する検知部41を備えている。
【0076】
本実施形態における検知部41は、ToF(Time of flight)測定方式の測定装置であるLiDAR(Light Detection And Ranging)センサである。尚、検知部41の測定方式は、ToF測定方式に限定されず、ステレオマッチング測定方式等であっても良い。
【0077】
図2に示すように、コンバイン1は、受付部42を備えている。受付部42は、植物高さに関する人為操作入力を受け付けるように構成されている。尚、植物高さとは、圃場の植物T(作物P)の高さである。
【0078】
このように、コンバイン1は、植物高さに関する人為操作入力を受け付ける受付部42を備えている。
【0079】
受付部42は、例えば、タッチパネルやキーボードやマウス等であっても良い。受付部42が人為操作入力によって受け付ける情報は、特に限定されないが、例えば植物T(作物P)の種(稲、大豆、小麦等)や品種を示す情報であっても良い。
【0080】
図2に示すように、制御部20は、高さ取得部26を有している。高さ取得部26は、検知部41による検知結果を取得する。また、高さ取得部26は、受付部42が人為操作入力によって受け付けた情報を取得する。そして、高さ取得部26は、検知部41による検知結果と、受付部42が人為操作入力によって受け付けた情報と、に基づいて、植物高さを算出する。これにより、高さ取得部26は、植物高さを取得する。
【0081】
このように、コンバイン1は、圃場の植物Tの高さである植物高さを取得する高さ取得部26を備えている。また、高さ取得部26は、検知部41による検知結果に基づいて植物高さを取得する。また、高さ取得部26は、受付部42が受け付けた人為操作入力に基づいて植物高さを取得する。
【0082】
〔距離の推定〕
図2に示すように、制御部20は、推定部27を有している。推定部27は、コンバイン1の機体と障害物Qとの間の距離を推定する。制御部20は、コンバイン1が圃場において走行しているとき、図5に示す距離推定フローに従って、機体と障害物Qとの距離の推定に関する処理を行うように構成されている。尚、この距離推定フローは、コンバイン1が手動走行しているときに実行されても良いし、自動走行しているときに実行されても良い。
【0083】
この距離推定フローが開始されると、まず、ステップS01の処理が実行される。ステップS01では、特定部21によって障害物領域F1が特定されたか否かが判定される。特定部21によって障害物領域F1が特定されていない場合(図5のステップS01にて「No」)、この距離推定フローは一旦終了する。特定部21によって障害物領域F1が特定された場合(図5のステップS01にて「Yes」)、処理はステップS02へ移行する。
【0084】
ステップS02では、判定部25によって、位置判定処理が実行される。位置判定処理による判定結果は、判定部25から推定部27へ送られる(図2参照)。
【0085】
位置判定処理によって障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置していると判定された場合(図5のステップS02にて「Yes」)、処理はステップS03へ移行する。位置判定処理によって障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置していないと判定された場合(図5のステップS02にて「No」)、処理はステップS04へ移行する。
【0086】
ステップS03では、推定部27が、第1推定方法によって、機体と障害物Qとの距離を推定する。第1推定方法とは、植物高さ及び障害物領域F1に基づいて機体と障害物Qとの距離を推定する方法である。以下では、第1推定方法について詳述する。
【0087】
図2に示すように、制御部20は、角度取得部28を有している。角度取得部28は、角度関連値を取得する。角度関連値とは、鉛直方向に対する基準直線Y(図6及び図7参照)の傾きに関する値である。基準直線Yとは、カメラ40と、障害物Qのうち障害物領域F1の下端部に対応する部位と、を結ぶ直線である。
【0088】
このように、コンバイン1は、カメラ40と、障害物Qのうち障害物領域F1の下端部に対応する部位と、を結ぶ直線の鉛直方向に対する傾きに関する値である角度関連値を取得する角度取得部28を備えている。
【0089】
本実施形態において、角度関連値は、鉛直方向に対する基準直線Yの傾きである。ただし、本発明はこれに限定されない。角度関連値は、例えば、水平方向に対する基準直線Yの傾き(俯角)であっても良いし、カメラ40の向きに対する基準直線Yの傾きであっても良い。
【0090】
本実施形態において、角度取得部28は、カメラ40による撮像画像の各画素と、対応角度と、の対応関係を示すデータである対応角度データを記憶している。対応角度とは、カメラ40の向きに対する、撮像画像における一つの画素に対応する方向の傾きである。例えば、撮像画像の中央に位置する画素の対応角度は、0度である。また、画素の対応角度は、撮像画像の中央から当該画素までの距離が長いほど大きくなる。当該対応角度データは、実験的に決定することができる。
【0091】
また、本実施形態において、角度取得部28は、鉛直方向に対するカメラ40の向きの傾きを記憶している。尚、本実施形態において、カメラ40の向きは固定されている。
【0092】
第1推定方法においては、まず、撮像画像における障害物領域F1の下端部に対応する画素を示す情報が、特定部21から角度取得部28へ送られる。次に、角度取得部28は、当該情報と、上述の対応角度データと、鉛直方向に対するカメラ40の向きの傾きと、に基づいて、鉛直方向に対する基準直線Yの傾きを算出する。これにより、角度取得部28は、鉛直方向に対する基準直線Yの傾きを取得する。
【0093】
次に、推定部27は、高さ取得部26から植物高さを取得すると共に、角度取得部28から鉛直方向に対する基準直線Yの傾きを取得する。そして、推定部27は、鉛直方向に対する基準直線Yの傾き(角度)の正接と、カメラ40の高さから植物高さを減じて得た値と、の積を算出することにより、コンバイン1の機体と障害物Qとの間の距離を推定する。言い換えれば、機体と障害物Qとの距離の推定値として、鉛直方向に対する基準直線Yの傾き(角度)の正接と、カメラ40の高さから植物高さを減じて得た値と、の積を算出する。尚、カメラ40の高さは、推定部27に予め記憶されている。
【0094】
以上で説明した処理により、第1推定方法によって機体と障害物Qとの距離が推定される。
【0095】
このように、コンバイン1は、植物高さ及び障害物領域F1に基づいて機体と障害物Qとの距離を推定する推定部27を備えている。また、推定部27は、カメラ40の高さから植物高さを減じて得た値と、角度関連値と、に基づいて機体と障害物Qとの距離を推定する。また、位置判定処理によって障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置していると判定された場合、推定部27は、植物高さ及び障害物領域F1に基づいて機体と障害物Qとの距離を推定する。
【0096】
例えば、図6に示す例では、障害物Qが、圃場における植物T(作物P)が存在する領域に位置している。この場合、第1推定方法によって機体と障害物Qとの距離が推定される。
【0097】
図6に示す例では、障害物Qである人物の下半身は、植物T(作物P)で隠れている。この場合、障害物領域F1は、当該人物のうち、隠れていない部分のみを囲む枠となる。そのため、当該人物のうち障害物領域F1の下端部に対応する部位は、当該人物の腰部である。従って、この例における基準直線Yは、カメラ40と、当該人物の腰部と、を結ぶ直線である。
【0098】
図6に示す例において、鉛直方向に対する基準直線Yの傾きは、A1であるとする。また、カメラ40の高さは、H1であるとする。また、植物高さは、H2であるとする。また、機体(より具体的にはカメラ40)と障害物Qとの距離は、D1であるとする。
【0099】
この場合、
D1=(H1-H2)×tanA1
である。このようにして、機体と障害物Qとの距離が推定される。
【0100】
図2に示すように、制御部20は、機体制御部29を有している。図5に示すステップS03にて、第1推定方法によって機体と障害物Qとの距離が推定されると、推定された距離が、推定部27から機体制御部29へ送られる。そして、処理はステップS05へ移行する。
【0101】
ステップS05では、機体制御部29が、推定部27により推定された距離に基づいて機体の動作を制御する。特に限定されないが、機体制御部29は、例えば、推定部27により推定された距離が所定距離以下である場合、機体の走行を停止させても良い。また、例えば、機体制御部29は、推定部27により推定された距離に応じて、コンバイン1が障害物Qを回避しながら走行するように、走行装置11及び収穫部Hのうち何れか一方または両方の動作を制御しても良い。このとき、例えば、機体制御部29は、収穫部Hを上昇させても良い。また、例えば、機体制御部29は、推定部27により推定された距離に応じて、障害物Q及びオペレータのうち何れか一方または両方に対して、音や光等による警告を発するように機体を制御しても良い。
【0102】
このように、コンバイン1は、推定部27により推定された距離に基づいて機体の動作を制御する機体制御部29を備えている。
【0103】
ステップS05の後、この距離推定フローは一旦終了する。
【0104】
ステップS04では、推定部27が、第2推定方法によって、機体と障害物Qとの距離を推定する。第2推定方法とは、植物高さに基づくことなく、障害物領域F1に基づいて機体と障害物Qとの距離を推定する方法である。以下では、第2推定方法について詳述する。
【0105】
第2推定方法においては、まず、撮像画像における障害物領域F1の下端部に対応する画素を示す情報が、特定部21から角度取得部28へ送られる。次に、角度取得部28は、当該情報と、上述の対応角度データと、鉛直方向に対するカメラ40の向きの傾きと、に基づいて、鉛直方向に対する基準直線Yの傾きを算出する。これにより、角度取得部28は、鉛直方向に対する基準直線Yの傾きを取得する。
【0106】
次に、推定部27は、角度取得部28から鉛直方向に対する基準直線Yの傾きを取得する。そして、推定部27は、鉛直方向に対する基準直線Yの傾き(角度)の正接と、カメラ40の高さと、の積を算出することにより、コンバイン1の機体と障害物Qとの間の距離を推定する。言い換えれば、機体と障害物Qとの距離の推定値として、鉛直方向に対する基準直線Yの傾き(角度)の正接と、カメラ40の高さと、の積を算出する。
【0107】
以上で説明した処理により、第2推定方法によって機体と障害物Qとの距離が推定される。
【0108】
このように、位置判定処理によって障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置していないと判定された場合、推定部27は、植物高さに基づくことなく、障害物領域F1に基づいて機体と障害物Qとの距離を推定する。
【0109】
例えば、図7に示す例では、障害物Qが、圃場における植物T(作物P)が存在する領域に位置していない。言い換えれば、障害物Qは、圃場における植物T(作物P)が存在しない領域に位置している。この場合、第2推定方法によって機体と障害物Qとの距離が推定される。
【0110】
図7に示す例では、障害物Qである人物のうち障害物領域F1の下端部に対応する部位は、当該人物の足もとである。そのため、この例における基準直線Yは、カメラ40と、当該人物の足もとと、を結ぶ直線である。
【0111】
図7に示す例において、鉛直方向に対する基準直線Yの傾きは、A2であるとする。また、カメラ40の高さは、H1であるとする。また、機体(より具体的にはカメラ40)と障害物Qとの距離は、D2であるとする。
【0112】
この場合、
D2=H1×tanA2
である。このようにして、機体と障害物Qとの距離が推定される。
【0113】
図5に示すステップS04にて、第2推定方法によって機体と障害物Qとの距離が推定されると、推定された距離が、推定部27から機体制御部29へ送られる。そして、処理はステップS05へ移行する。ステップS05における処理は、上述した通りである。
【0114】
以上で説明した構成によれば、植物高さに基づいて機体と障害物Qとの距離が推定される。これにより、例えば、圃場の植物Tによって障害物Qの下端部が隠れている場合において、カメラ40と、障害物Qのうち障害物領域F1の下端部に対応する部位と、を結ぶ直線の鉛直方向に対する傾きを算出すると共に、当該傾き(角度)の正接と、カメラ40の高さから植物高さを減じて得た値と、の積を算出することにより、機体と障害物Qとの間の距離を精度良く推定することができる。
【0115】
即ち、以上で説明した構成によれば、圃場の植物Tによって障害物Qの下端部が隠れている場合に、機体と障害物Qとの距離が精度良く推定されやすいコンバイン1を実現できる。
【0116】
〔その他の実施形態〕
(1)カメラ40は、コンバイン1の機体の前方だけでなく、他の方向を撮像しても良い。また、複数のカメラ40が設けられていても良い。複数のカメラ40は、互いに異なる方向へ向けられていても良い。
【0117】
(2)受付部42が人為操作入力によって受け付ける情報は、植物高さを示す値(より具体的には、植物高さそのもの)であっても良い。
【0118】
(3)検知部41は設けられていなくても良い。即ち、高さ取得部26は、検知部41による検知結果に基づくことなく、植物高さを取得しても良い。
【0119】
(4)受付部42は設けられていなくても良い。即ち、高さ取得部26は、受付部42が受け付けた人為操作入力に基づくことなく、植物高さを取得しても良い。
【0120】
(5)カメラ40の向きが可変であっても良い。この場合、障害物Qのうち障害物領域F1の下端部に対応する部位にカメラ40を向けた状態でのカメラ40の向きが検知されるように構成されていても良い。このとき、検知されたカメラ40の向きは、本発明に係る「角度関連値」に相当する。また、このとき、検知されたカメラ40の向きは、基準直線Yの延びる方向に一致する。即ち、検知されたカメラ40の向きに基づいて、機体と障害物Qとの距離を推定できる。
【0121】
(6)推定部27により推定される距離は、機体のいかなる部分と障害物Qとの距離であっても良い。例えば、推定部27により推定される距離は、機体前後方向におけるカメラ40の前端部と障害物Qとの間の距離であっても良いし、機体前後方向における収穫部Hの前端部と障害物Qとの間の距離であっても良い。尚、機体前後方向における収穫部Hの前端部と障害物Qとの間の距離は、例えば、図6に示すD1から、機体前後方向におけるカメラ40の前端部と収穫部Hの前端部との間の距離を減じることにより、算出(推定)することができる。
【0122】
(7)判定部25は、カメラ40の撮像により生成された画像に基づいて位置判定処理を実行しても良い。例えば、判定部25は、深層学習を用いて学習されたニューラルネットワークを利用して画像解析を行うことにより、障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置しているか否かを判定しても良い。
【0123】
(8)角度取得部28により取得される角度関連値が、水平方向に対する基準直線Yの傾き(俯角)である場合、推定部27は、例えば、カメラ40の高さから植物高さを減じて得た値を、当該傾き(角度)の正接で除することにより、コンバイン1の機体と障害物Qとの間の距離を推定しても良い。
【0124】
(9)基準直線Yの長さ(言い換えれば、カメラ40と、障害物Qのうち障害物領域F1の下端部に対応する部位と、の間の距離)を検知するセンサが備えられていても良い。この場合、推定部27は、例えば、カメラ40の高さから植物高さを減じて得た値と、基準直線Yの長さと、に基づいて、三平方の定理を利用して、コンバイン1の機体と障害物Qとの間の距離を推定しても良い。この場合、角度取得部28は設けられていなくても良い。
【0125】
(10)判定部25は設けられていなくても良い。この場合、推定部27は、障害物Qが圃場における植物Tが存在する領域に位置しているか否かにかかわらず、常に、植物高さ及び障害物領域F1に基づいて機体と障害物Qとの距離を推定しても良い。
【0126】
(11)障害物Qは、人物に限定されない。障害物Qは、例えば、鳥獣や樹木や建物等であっても良い。
【0127】
(12)障害物領域F1は、いかなる形状であっても良い。障害物領域F1は、例えば、円形であっても良いし、障害物Qの外形に沿う形状であっても良い。
【0128】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、普通型のコンバインだけではなく、自脱型のコンバイン、トラクタ、田植機、トウモロコシ収穫機、ジャガイモ収穫機、ニンジン収穫機等の種々の圃場作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 :コンバイン(圃場作業車)
21 :特定部
23 :マップ取得部
25 :判定部
26 :高さ取得部
27 :推定部
28 :角度取得部
29 :機体制御部
40 :カメラ
41 :検知部
42 :受付部
CA :未作業領域
F1 :障害物領域
Q :障害物
T :植物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7