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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084286
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20240618BHJP
   F23L 1/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F24H9/02 301B
F23L1/00 A
F23L1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198467
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【テーマコード(参考)】
3K023
3L037
【Fターム(参考)】
3K023AA05
3L037AA02
3L037AB07
3L037AC01
(57)【要約】
【課題】防雨板と筐体内部の配管との干渉を抑制可能な給湯器を提供する。
【解決手段】給湯器1は、載置面に載置される据置型の給湯器1であって、前面に開口が設けられた筐体2と、熱交換器と、複数の内部配管20と、開口を前側から閉塞するフロントカバー40と、フロントカバー40に取り付けられ、筐体2とフロントカバー40との間に配される防雨板50と、を備え、防雨板50は、フロントカバー40に対向して配される本体部52と、本体部52からフロントカバー40側に凹む凹部53と、を備え、複数の内部配管20の一部は凹部53内に配設されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置される据置型の給湯器であって、
前面に開口が設けられた筐体と、
熱交換器と、
複数の内部配管と、
前記開口を前側から閉塞するフロントカバーと、
前記フロントカバーに取り付けられ、前記筐体と前記フロントカバーとの間に配される防雨板と、を備え、
前記防雨板は、前記フロントカバーに対向して配される本体部と、前記本体部から前記フロントカバー側に凹む凹部と、を備え、
前記複数の内部配管の一部は前記凹部内に配設されている、給湯器。
【請求項2】
前記フロントカバーには、燃焼用空気を前記筐体内に取り込むための給気孔が設けられ、
燃焼用空気は、前記フロントカバーと前記防雨板との間に設けられる流通空間を通って前記筐体の奥方へと流れ、
前記流通空間の下流部には、前記フロントカバーと前記凹部との間に設けられ、幅狭とされる隙間部が配されている、請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記凹部は、その下流端部に、前記本体部から立ち上がり、下流側に向かうにつれて左右中央側に向けて傾斜する傾斜縁部を有する、請求項1または請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記凹部は、前記防雨板における前記筐体の一側面に寄った位置に配され、
前記複数の内部配管は、前記熱交換器の前面から前記筐体の前記一側面へと延びる第1配管を含み、
前記第1配管の少なくとも一部は前記凹部内に配されている、請求項1または請求項2に記載の給湯器。
【請求項5】
前記防雨板は、前記本体部から前記フロントカバー側に凹む絞り部を備え、
前記絞り部は前記フロントカバーに固定されている、請求項1または請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面に取り付けられる給湯器の内部への雨水の浸入を抑制する構成として、特開2001-263824号公報(下記特許文献1)に記載の防雨板が知られている。この防雨板は、筐体の前面の開口を前側から閉塞するフロントカバーに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-263824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記のような壁面固定型給湯器の他、地面等の載置面に載置される据置型給湯器も知られている。据置型給湯器では、その設置態様のため、筐体の一側面にガス管や水管等の接続具が設けられる。このため、筐体内の一側面付近には、内部配管や各種アクチュエータ等の多くが密集して配設される。よって、筐体の前面の開口近傍まで配管が配設される場合がある。このような場合、筐体前面にフロントカバーを装着する際に、防雨板と配管とが干渉するおそれがある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、防雨板と筐体内部の配管との干渉を抑制可能な給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の給湯器は、載置面に載置される据置型の給湯器であって、前面に開口が設けられた筐体と、熱交換器と、複数の内部配管と、前記開口を前側から閉塞するフロントカバーと、前記フロントカバーに取り付けられ、前記筐体と前記フロントカバーとの間に配される防雨板と、を備え、前記防雨板は、前記フロントカバーに対向して配される本体部と、前記本体部から前記フロントカバー側に凹む凹部と、を備え、前記複数の内部配管の一部は前記凹部内に配設されている、給湯器である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、防雨板と筐体内部の配管との干渉を抑制可能な給湯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかるフロントカバーを除いた給湯器の正面図である。
図2図2は、フロントカバーを除いた給湯器の側面図である。
図3図3は、内部配管について示す給湯器の正面図である。
図4図4は、図3のA-A断面図である。
図5図5は、図3のB-B断面においてフロントカバーと内部配管との配置を示す図である。
図6図6は、図3のC-C断面においてフロントカバーと内部配管との配置を示す図である。
図7図7は、フロントカバーの後方斜視図である。
図8図8は、フロントカバーの前方斜視図である。
図9図9は、フロントカバーの背面図である。
図10図10は、図9のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示の給湯器は、載置面に載置される据置型の給湯器であって、前面に開口が設けられた筐体と、熱交換器と、複数の内部配管と、前記開口を前側から閉塞するフロントカバーと、前記フロントカバーに取り付けられ、前記筐体と前記フロントカバーとの間に配される防雨板と、を備え、前記防雨板は、前記フロントカバーに対向して配される本体部と、前記本体部から前記フロントカバー側に凹む凹部と、を備え、前記複数の内部配管の一部は前記凹部内に配設されている、給湯器である。
【0011】
このような構成によると、防雨板は凹部を備え、凹部内に内部配管が配設されるから、筐体の開口をフロントカバーにより閉塞する際、防雨板と内部配管との干渉を回避することができる。
【0012】
(2)前記フロントカバーには、燃焼用空気を前記筐体内に取り込むための給気孔が設けられ、燃焼用空気は、前記フロントカバーと前記防雨板との間に設けられる流通空間を通って前記筐体の奥方へと流れ、前記流通空間の下流部には、前記フロントカバーと前記凹部との間に設けられ、幅狭とされる隙間部が配されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、流通空間の下流部に隙間部が設けられるから、筐体内への燃焼用空気の流通を適度に許容しつつ、雨水の浸入を抑制することができる。また、流通空間の下流部に隙間部を形成するには、例えば防雨板を折り返して形成される折り返し構造を採用することが考えられるが、凹部はこのような折り返し構造と比較して受傷しにくい構成である。
【0014】
(3)前記凹部は、その下流端部に、前記本体部から立ち上がり、下流側に向かうにつれて左右中央側に向けて傾斜する傾斜縁部を有することが好ましい。
【0015】
このような構成によると、凹部は傾斜縁部を備えるから、燃焼用空気をより円滑に筐体内部に導くことができる。
【0016】
(4)前記凹部は、前記防雨板における前記筐体の一側面に寄った位置に配され、前記複数の内部配管は、前記熱交換器の前面から前記筐体の前記一側面へと延びる第1配管を含み、前記第1配管の少なくとも一部は前記凹部内に配されていることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、特に防雨板と干渉しやすい第1配管を凹部内に配設することができる。
【0018】
(5)前記防雨板は、前記本体部から前記フロントカバー側に凹む絞り部を備え、前記絞り部は前記フロントカバーに固定されていることが好ましい。
【0019】
このような構成によると、絞り部が設けられるから、防雨板をフロントカバーに安定的に固定することができる。また、雨水の浸入を抑制し、燃焼用空気を整流させることができる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<実施形態>
本開示の実施形態について、図1から図10を参照しつつ説明する。以下の説明において前後方向、上下方向、および左右方向は、各図において矢印で示す方向を基準とする。
【0022】
[給湯器の全体構造]
図1は、給湯器1を前方から見た正面図で、前面のフロントカバー40(図7参照)を外した状態を示している。給湯器1は、前面に開口が設けられた四角箱状の筐体2と、燃焼装置3と、一次熱交換器4と、二次熱交換器5と、複数の内部配管20と、筐体2の前面の開口を塞ぐフロントカバー40と、を備えて構成されている。筐体2内には、下から順に、燃焼装置3、一次熱交換器4、二次熱交換器5が配置されている。複数の内部配管20は、筐体2及びフロントカバー40により構成される閉鎖空間内に配される複数の配管である。複数の内部配管20は、入水管21、出湯管22、戻り管23、往き管24、バイパス管25、落とし込み管26等を含んでいる(図3参照)。各内部配管20の詳細な構成については、他の部材との接続や給湯器1における配置等を示しつつ、後述する。
【0023】
給湯器1は、地面や建物の床面等の載置面に載置される据置型とされている。このため、入水口11、出湯口12、湯入口13、湯出口14、オーバーフロー口15、ガス入口16等の複数の接続具10は、筐体2の一側面2A(左側の側面)に形成されている。この結果、複数の接続具10に接続される複数の内部配管20の一部は、筐体2の一側面2Aに寄った位置に密集して配されている。
【0024】
給湯器1は、二次熱交換器5で生じたドレンを中和するための中和器6を備える。中和器6は、ドレン導入管27を介して二次熱交換器5と接続されるとともに、ドレン排出管28を介して筐体2の一側面2Aに設けられたオーバーフロー口15と接続されている。二次熱交換器5で生じたドレンは、ドレン導入管27を通じて中和器6に送られる。中和器6で中和されたドレンはドレン排出管28を通じてオーバーフロー口15から給湯器1の外部に排出される。
【0025】
給湯器1は、制御装置としてのコントローラ7を備える。コントローラ7は燃焼装置3の下側に設置されている。コントローラ7は電装基板ケースと、電装基板ケース内に収容される電装基板と、を備えて構成されている。コントローラ7は、例えば、公知のマイクロコンピュータ等として構成されており、給湯器1に設けられた様々なセンサからの信号を取得可能に構成されており、給湯器1に設けられた様々なアクチュエータを制御し得る構成となっている。例えば、給湯器1は、通水センサによって入水管21内の通水を検知した場合に、燃焼装置3を動作させて湯を生成することを行う。
【0026】
本実施形態の給湯器1は、回路構成的には、給湯回路及び風呂回路の2つの回路を備えて構成されている。給湯回路は、水道等からの水を加熱して湯として流出させる回路である。風呂回路は、浴槽内の湯を循環加熱する回路である。詳細には図示しないものの、後述する燃焼装置3、経路部材8、一次熱交換器4、及び二次熱交換器5は、それぞれ左右に区画されており、右側に給湯側の構成、左側に風呂側の構成が設けられている。
【0027】
[燃焼装置]
燃焼装置3は、一次熱交換器4の下部に接続されている。燃焼装置3の前面には、燃焼装置3内の図示しないバーナユニットに燃料ガスを分配供給するためのガス分配ユニット9が組み付けられている。燃焼装置3の下面には、バーナユニットに燃焼用空気を供給する給気ファンが組み付けられている。燃焼装置3は、バーナユニットに供給された燃料ガスと空気とを、バーナユニット内で混合させるとともに、この混合ガスを、下流端に形成された炎孔より上方に噴出させて燃焼させ、燃焼排気を発生させる。
【0028】
一次熱交換器4と二次熱交換器5の間には経路部材8が配設されている。経路部材8は、一次熱交換器4と二次熱交換器5を連結する部材である。経路部材8は、下端部が下方に向かって開口して一次熱交換器4内の空間に連通している。また、経路部材8は、上部が前方に向かって開口して二次熱交換器5内の空間に連通している。
【0029】
給湯器1は、燃焼装置3で発生させた燃焼排気を燃焼装置3の上方の一次熱交換器4に流通させる。一次熱交換器4では、一次熱交換器4内の通水と燃焼排気とを熱交換させる。給湯器1は、一次熱交換器4によって燃焼排気の顕熱を回収する。
【0030】
給湯器1においては、燃焼装置3の燃焼排気が一次熱交換器4から経路部材8を経て二次熱交換器5に導かれる。一次熱交換器4を通過した燃焼排気は、経路部材8を経て二次熱交換器5に後方から進入する。すなわち、二次熱交換器5は、一次熱交換器4に対して、燃焼排気の経路の下流側に配されている。二次熱交換器5では、二次熱交換器5の通水と燃焼排気とを熱交換させる。給湯器1は、二次熱交換器5によって燃焼排気の潜熱を回収する。
【0031】
[一次熱交換器]
一次熱交換器4は、その下端部が燃焼装置3に連なり、上端部が二次熱交換器5に連なって設けられている。一次熱交換器4は、燃焼装置3からの燃焼排気が通過する一次ケーシング4Aと、一次ケーシング4Aの内部に配され、蛇行状に形成された一次伝熱管4Bと、を備えている。一次ケーシング4Aは上下方向に貫通する四角筒状をなしている。給湯側の一次伝熱管4Bの下流端には、出湯管22が接続されている。風呂側の一次伝熱管4Bの下流端には、往き管24が接続されている。
【0032】
[二次熱交換器]
一次熱交換器4からの燃焼排気は、経路部材8を通って二次熱交換器5の内部へと導入される。二次熱交換器5は、一次熱交換器4からの燃焼排気が通過する二次ケーシング5Aと、二次ケーシング5Aの内部に収容される複数の二次伝熱管5Bと、を備えている。二次ケーシング5Aの前面には、燃焼排気を外部へ排気するための排気筒5Cが設けられている。二次熱交換器5は、耐食性に優れたステンレス製とすることができる。給湯側の二次伝熱管5Bの上流端は、入水管21の下流端に接続されている。給湯側の二次伝熱管5Bの下流端は、給湯側中継管29を介して、給湯側の一次伝熱管4Bの上流端に接続されている。風呂側の二次伝熱管5Bの上流端は、戻り管23の下流端に接続されている。風呂側の二次伝熱管5Bの下流端は、風呂側中継管30を介して、風呂側の一次伝熱管4Bの上流端に接続されている。
【0033】
給湯回路においては、入水口11から供給された水が、入水管21、二次熱交換器5、給湯側中継管29、一次熱交換器4を流通する間に加熱され、湯となる。湯は、出湯管22を流通し、出湯口12から流出する。
【0034】
風呂回路においては、浴槽内の開口に連通する湯入口13から循環ポンプPによって浴槽内の湯が戻り管23に吸い込まれる。湯は戻り管23を通り、二次熱交換器5、風呂側中継管30、一次熱交換器4を流通し、再加熱される。より高温となった湯は、往き管24を経由して湯出口14から浴槽に吐出される。
【0035】
本実施形態では、出湯管22(第1配管の一例)は、一次熱交換器4(熱交換器の一例)の前面から筐体2の一側面2Aへと延びている。詳細には、出湯管22は、一次熱交換器4の前面から前方に延びた後、左方へと延び、バイパス管25(第1配管の一例)との分岐部31を有している。バイパス管25は、出湯管22との分岐部31からさらに左下へと延びている。なお、バイパス管25は、入水管21と出湯管22との間をバイパスする配管である。バイパス管25を介して入水管21から出湯管22へと水を送ることにより出湯口12から流出する湯の温度を調節することができる。図4に示すように、出湯管22及びバイパス管25は筐体2の前面(図4の破線)よりも前方に飛び出している。
【0036】
図1に示すように、筐体2の一側面2Aに近い位置には、落とし込み管26が設けられている。落とし込み管26は、出湯管22における分岐部31より下流側と、戻り管23における循環ポンプPよりも上流側との間に接続されている。戻り管23からの逆圧によって、落とし込み管26内の湯水の内圧が過度に高まった場合、落とし込み管26から逆流した湯水はオーバーフロー口15から給湯器1の外部に排出されるようになっている。図2に示すように、落とし込み管26は筐体2の前面よりも若干前方に飛び出している。
【0037】
[フロントカバー]
図10に示すように、フロントカバー40は後方に開口するトレイ状をなしている。図9に示すように、フロントカバー40の前面の上部には、前後方向に貫通する収容孔41が形成されている。収容孔41には二次熱交換器5の排気筒5Cが収容されるようになっている。図8に示すように、フロントカバー40の前面の下部、両側の側面、下面には、それぞれ給気孔42が形成されている。給気孔42は、燃焼用空気を筐体2内に取り込むための孔である。
【0038】
[防雨板]
図7に示すように、フロントカバー40の後部には、防雨板50が取り付けられている。防雨板50はフロントカバー40の前面に固定される固定部51をその上端部に備えている。図5に示すように、防雨板50の上端は一次熱交換器4の下端とほぼ一致する位置に配されている。図10に示すように、防雨板50の下縁部及び両側の側縁部は、略直角に折り返されたフロントカバー40の下面及び両側の側面に固定されている。フロントカバー40と防雨板50とは、燃焼用空気の流通空間FSを構成している。図7に示すように、流通空間FSは上方に開口しており、燃焼用空気は給気孔42から流通空間FSに取り込まれ、上方へと流通するようになっている。すなわち、流通空間FSにおいて燃焼用空気は概ね下方から上方へと流れる。
【0039】
[凹部]
防雨板50は、フロントカバー40に対向する本体部52と、本体部52からフロントカバー40側に凹む凹部53と、を備えている。本体部52は平板状をなしている。凹部53は、流通空間FSの下流側かつ筐体2の一側面2Aに寄った位置(左側)に配されている。図10に示すように、フロントカバー40と凹部53との間には、流通空間FSが前後方向に幅狭となっている隙間部54が設けられている。隙間部54が設けられることにより、燃焼用空気の流量を調整しつつ、雨水の筐体2内への浸入を抑制することができる。
【0040】
図7に示すように、凹部53は、その縁部に傾斜縁部55を備える。傾斜縁部55は、本体部52から立ち上がり、流通空間FSの下流側に向かうにつれて左右中央側に向けて傾斜している。傾斜縁部55が設けられることにより、燃焼用空気をより円滑に筐体2内部に導くことができる。
【0041】
凹部53は、流通空間FSの下流端部に形成され、左右方向に長い第1凹部53Aと、第1凹部53Aよりフロントカバー40側にさらに凹み、第1凹部53Aから左下に延びる第2凹部53Bと、を備える。図5に示すように、フロントカバー40が筐体2の前面に取り付けられた状態で、出湯管22の一部は第1凹部53A内に配設されている。また、図6に示すように、バイパス管25の一部は第2凹部53B内に配設されるようになっている。よって、フロントカバー40を筐体2の前面に取り付ける際、筐体2の前面から飛び出した出湯管22の一部及びバイパス管25の一部が防雨板50と干渉することを回避することができる。
【0042】
図7に示すように、防雨板50は、第2凹部53Bよりも上流側に配され、本体部52からフロントカバー40側に凹む窪み部56を備える。図6に示すように、フロントカバー40が筐体2の前面に取り付けられた状態で、落とし込み管26の一部は窪み部56内に配設されるようになっている。よって、フロントカバー40を筐体2の前面に取り付ける際、筐体2の前面から飛び出した落とし込み管26の一部が防雨板50と干渉することを回避することができる。
【0043】
図7に示すように、防雨板50は、本体部52からフロントカバー40側に凹む絞り部57を備えている。絞り部57は第1凹部53Aの上流側に連続して設けられている。図10に示すように、絞り部57はフロントカバー40の前面に固定されている。
【0044】
[実施形態の作用効果]
以上のように、実施形態にかかる給湯器1は、載置面に載置される据置型の給湯器1であって、前面に開口が設けられた筐体2と、熱交換器(一次熱交換器4)と、複数の内部配管20と、開口を前側から閉塞するフロントカバー40と、フロントカバー40に取り付けられ、筐体2とフロントカバー40との間に配される防雨板50と、を備え、防雨板50は、フロントカバー40に対向して配される本体部52と、本体部52からフロントカバー40側に凹む凹部53と、を備え、複数の内部配管20の一部は凹部53内に配設されている。
【0045】
このような構成によると、防雨板50は凹部53を備え、凹部53内に内部配管20が配設されるから、筐体2の開口をフロントカバー40により閉塞する際、防雨板50と内部配管20との干渉を回避することができる。
【0046】
実施形態では、フロントカバー40には、燃焼用空気を筐体2内に取り込むための給気孔42が設けられ、燃焼用空気は、フロントカバー40と防雨板50との間に設けられる流通空間FSを通って筐体2の奥方へと流れ、流通空間FSの下流部には、フロントカバー40と凹部53との間に設けられ、幅狭とされる隙間部54が配されている。
【0047】
このような構成によると、流通空間FSの下流部に隙間部54が設けられるから、筐体2内への燃焼用空気の流通を適度に許容しつつ、雨水の浸入を抑制することができる。また、流通空間FSの下流部に隙間部54を形成するには、例えば防雨板50を折り返して形成される折り返し構造を採用することが考えられるが、凹部53はこのような折り返し構造と比較して受傷しにくい構成である。
【0048】
実施形態では、凹部53は、その下流端部に、本体部52から立ち上がり、下流側に向かうにつれて左右中央側に向けて傾斜する傾斜縁部55を有する。
【0049】
このような構成によると、凹部53は傾斜縁部55を備えるから、燃焼用空気をより円滑に筐体2内部に導くことができる。
【0050】
実施形態では、凹部53は、防雨板50における筐体2の一側面2Aに寄った位置に配され、複数の内部配管20は、熱交換器の前面から筐体2の一側面2Aへと延びる第1配管(出湯管22及びバイパス管25)を含み、第1配管の少なくとも一部は凹部53内に配されている。
【0051】
このような構成によると、特に防雨板50と干渉しやすい第1配管を凹部53内に配設することができる。
【0052】
実施形態では、防雨板50は、本体部52からフロントカバー40側に凹む絞り部57を備え、絞り部57はフロントカバー40に固定されている。
【0053】
このような構成によると、絞り部57が設けられるから、防雨板50をフロントカバー40に安定的に固定することができる。また、雨水の浸入を抑制し、燃焼用空気を整流させることができる。
【0054】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、凹部53は第1凹部53Aと、第1凹部53Aよりもフロントカバー40側に凹む第2凹部53Bと、を備えていたが、凹部は深さの異なる複数の部分から構成されなくてもよい。
【0055】
(2)上記実施形態では、凹部53は流通空間FSの下流側かつ筐体2の一側面2A寄りの位置に設けられていたが、防雨板において凹部が設けられる位置は適宜変更することができる。
【0056】
(3)上記実施形態では、出湯管22及びバイパス管25が凹部53内に配設される構成としたが、凹部内に配設される内部配管は出湯管及びバイパス管に限られない。
【0057】
(4)上記実施形態では、絞り部57は凹部53と連続して設けられていたが、絞り部は凹部と不連続に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:給湯器
2:筐体、2A:一側面
3:燃焼装置
4:一次熱交換器、4A:一次ケーシング、4B:一次伝熱管
5:二次熱交換器、5A:二次ケーシング、5B:二次伝熱管、5C:排気筒
6:中和器
7:コントローラ
8:経路部材
9:ガス分配ユニット
10:接続具、11:入水口、12:出湯口、13:湯入口、14:湯出口、15:オーバーフロー口、16:ガス入口
20:内部配管、21:入水管、22:出湯管、23:戻り管、24:往き管、25:バイパス管、26:落とし込み管、27:ドレン導入管、28:ドレン排出管、29:給湯側中継管、30:風呂側中継管、31:分岐部
40:フロントカバー、41:収容孔、42:給気孔
50:防雨板、51:固定部、52:本体部、53:凹部、53A:第1凹部、53B:第2凹部、54:隙間部、55:傾斜縁部、56:窪み部、57:絞り部
FS:流通空間
P:循環ポンプ
図1
図2
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図7
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図10