(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084289
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】実施推奨支援項目提示システムおよびその制御方法ならびにプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240618BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198473
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】辻本 まりえ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】経験の浅いケアマネージャーであっても,適切な「想定される支援内容」を選択できるようにする。
【解決手段】要介護者の属性と,その属性を持つ要介護者に対して実施することが想定される一または複数の想定支援項目を含む想定支援項目セットとが互いに関連付けられて記憶された要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13,および要介護者の属性の入力を受け付ける携帯端末20を備えている。実施推奨支援項目提示装置11は,入力された要介護者の属性に関連付けられてデータベース13に記憶されている想定支援項目セットを読み出し,読み出した想定支援項目セットを実施推奨支援項目セットとして決定する。決定された推奨支援項目セットは携帯端末20に提示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要介護者の属性と,その属性を持つ要介護者に対して実施することが想定される一または複数の想定支援項目を含む想定支援項目セットとが互いに関連付けられて記憶された要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース,
要介護者の属性の入力を受け付ける要介護者属性受付手段,
上記要介護者属性受付手段によって受付けられた要介護者の属性に関連付けられて上記要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに記憶されている想定支援項目セットを読み出す想定支援項目読み出し手段,
上記想定支援項目読み出し手段によって読み出された想定支援項目セットを,実施することを推奨する推奨支援項目セットとして決定する推奨支援項目決定手段,および
上記推奨支援項目決定手段によって決定された推奨支援項目セットを提示する推奨支援項目提示手段を備えている,
実施推奨支援項目提示システム。
【請求項2】
上記要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに,一の要介護者の属性について,複数の上記想定支援項目セットが記憶されており,
上記推奨支援項目決定手段は,
上記想定支援項目読み出し手段によって複数の上記想定支援項目セットが読み出された場合に,読み出された複数の想定支援項目セットに含まれる複数の想定支援項目のうち数の多い一または複数の想定支援項目のセットを推奨支援項目セットとして決定する,
請求項1に記載の実施推奨支援項目提示システム。
【請求項3】
要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに,上記要介護者に対して実施することが想定される一または複数の想定支援項目を含む想定支援項目セットを登録したケアマネージャーの属性が,さらに関連付けられて記憶されている,
請求項1に記載の実施推奨支援項目提示システム。
【請求項4】
要介護者の属性と,その属性を持つ要介護者に対して実施することが想定される一または複数の想定支援項目を含む想定支援項目セットとを互いに関連付け要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに記憶しておき,
要介護者属性受付手段によって要介護者の属性の入力を受け付け,
想定支援項目読み出し手段によって,上記入力が受付けられた要介護者の属性に関連付けられて上記要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに記憶されている想定支援項目セットを読み出し,
推奨支援項目決定手段によって,上記読み出された想定支援項目セットを,実施することを推奨する推奨支援項目セットとして決定し,
推奨支援項目提示手段によって,上記決定された推奨支援項目セットを提示する,
実施推奨支援項目提示システムの制御方法。
【請求項5】
コンピュータに請求項4に記載の実施推奨支援項目提示システムの制御方法を実行させる,プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,介護支援専門員(以下,「ケアマネージャー」と呼ぶ),特に経験の浅い(少ない)ケアマネージャーが要介護者に実施すべき支援項目を決定(選択)するときに用いられる実施推奨支援項目提示システムに関する。またこの発明は実施推奨支援項目提示システムの制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケアマネージャーは,要介護者(要支援者)の相談や心身の状況に応じて要介護者が適切な介護サービス(訪問介護,デイサービスなど)を受けられるようケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う。ケアマネージャーの業務は一般には以下の(1)~(6)の工程に組み込まれる。
【0003】
(1)アセスメント
要介護者の置かれている状況の把握,生活上の支障・要望などに関する情報の収集,心身機能の低下の背景・要因の分析,解決すべき生活課題(ニーズ)と可能性の把握が行われる。
(2)ケアプラン原案の作成
総合的な援助方針,目標(達成時期等)の設定,目標達成のために必要なサービス種別,回数等の設定など,ケアプランの原案作成が行われる。
(3)サービス担当者会議等
ケアプラン原案に関してサービス提供事業者を含めて専門的な視点で検討調整が行われる。また,多職種間で認識が共有され,要介護者への説明・同意を経てケアプランが決定される。
(4)介護サービスの提供
決定したケアプランにしたがって,食事介助,入浴介助等の具体的な介護サービスが要介護者に対してサービス提供事業者によって行われる。
(5)給付管理
介護保険サービスの利用によって発生する介護給付費の管理が行われる。
(6)モニタリング(再アセスメント)
介護サービスの提供によって要介護者が自立した生活が送れているのか,短期目標をクリアできているのか等がチェックされる。
【0004】
上記(6)モニタリング(再アセスメント)を終え,短期目標が達成されていれば新たな短期目標が設定されて,新たな短期目標を達成するためのケアプランが新たに作成される。短期目標が達成されていなければ,短期目標が現状と合っているのか,問題点はないのか等が調査され,ケアプランの継続または変更が決定される。上記(2)ケアプラン原案の作成に戻ることになる。
【0005】
(1)アセスメントまたは(6)モニタリングにおいて,ケアマネージャーは,一般に要介護者の自宅等を訪問し,本人やその家族に会い,話を聞き,ケアプランの作成または変更に必要な情報の収集等を行う。しかしながら,ケアプランの作成または変更に必要な情報等を,要介護者を訪問している短時間のうちに過不足なく収集するのは簡単ではない。
【0006】
特許文献1は,地域包括支援センター,介護事業者,被介護者の家族等,介護に関連するあらゆる団体又は人が介護情報を共有すると共に,この共有された介護情報に基づいて適切な介護サービスを支援する介護支援システム及び介護支援プログラムを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【0008】
経験豊富なケアマネージャーは,普段の業務において「こんな支援が必要かも?」「もう少しこの辺りの話を詳しく聞いてみよう」といったことを半ば無意識で考え,実践している。しかしながら,経験の浅いケアマネージャーにとってこれは簡単なことではない。
【0009】
経験の浅いケアマネージャーであっても一定以上の水準のケアマネジメントが提供できるようにするために,経験豊富なケアマネージャーの知見を体系化した「想定される支援内容」を,大項目,中項目,小項目で整理したものが考えられている。たとえば,大項目は「現在の全体像の把握と生活上の将来予測,備え」,「意思決定過程の支援」,「予測に基づく新進機能の維持・向上,フレイルや重度化の予防の支援」など7つの項目が用意され,中項目では,「疾病や心身状態の理解」,「現在の生活の全体像の把握」,「目指す生活を踏まえたリスクの予測」,「緊急時の対応のための備え」,「本人の意思を捉える支援」など24個の項目が用意され,小項目では「疾患管理の理解の支援」,「併存疾患の把握の支援」,「口腔内の異常の早期発見と歯科受診機械の確保」,「転倒・骨折のリスクや経緯の確認」など44個の項目が用意される。「想定される支援内容」が用意されていることによって,支援内容の仮説やその必要性を判断するためのアセスメントの視点がうっかり抜け落ちてしまうことを防ぐことができる。
【0010】
しかしながら,44個の「想定される支援内容」の小項目があらかじめ用意されていることによって支援内容の仮説やその必要性を判断が補助できるとしても,要介護者にとって必要とされる支援内容を選択するのは容易ではない。44個の「想定される支援内容」のなかから対象の要介護者に適する項目を適切に選択しなければならないが,要介護者の状態は様々であり,要介護者によって選択すべき項目が異なるものとなるのが一般的であるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は,経験の浅いケアマネージャーであっても,要介護者に応じた適切な「想定される支援内容」(小項目,支援項目)を選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明による実施推奨支援項目提示システムは,要介護者の属性と,その属性を持つ要介護者に対して実施することが想定される一または複数の想定支援項目を含む想定支援項目セットとが互いに関連付けられて記憶された要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース,要介護者の属性の入力を受け付ける要介護者属性受付手段,上記要介護者属性受付手段によって受付けられた要介護者の属性に関連付けられて上記要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに記憶されている想定支援項目セットを読み出す想定支援項目読み出し手段,上記想定支援項目読み出し手段によって読み出された想定支援項目セットを,実施することを推奨する推奨支援項目セットとして決定する推奨支援項目決定手段,および上記推奨支援項目決定手段によって決定された推奨支援項目セットを提示する推奨支援項目提示手段を備えている。
【0013】
要介護者の属性は,たとえば要介護者の年齢,性別,要介護度,世帯,居住形態,既往歴等を含む。要介護者の属性に関連付けられて,その属性を持つ要介護者に対して実施することが想定される一または複数の想定支援項目を含む想定支援項目セットが要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに記憶されている。要介護者の年齢,性別,要介護度等,要介護者の属性が異なれば,要介護者に実施すべき支援項目は一般的には異なるからである。
【0014】
要介護者に実施することが想定される一または複数の想定支援項目は,たとえばあらかじめ用意される複数種類(たとえば44種類)の中から選択される。選択される想定支援項目は一種類であってもよいが,典型的には複数種類の想定支援項目が選択される。
【0015】
この発明によると,要介護者の属性の入力が受け付けられると,受け付けられた要介護者の属性に関連付けられている想定支援項目セット(一または複数の想定支援項目)が,実施することを推奨する推奨支援項目セットとして決定されて提示される。たとえば,経験豊富なケアマネージャーが要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースにおける要介護者の属性と想定支援項目セットの関連付けを行えば,実際に現場等において支援を実施するケアマネージャーの経験が浅いとしても,要介護者の属性を正確に入力しさえすれば,あたかも経験豊富なケアマネージャーが決定したかのようなその要介護者に適する推奨支援項目セットを提示することができる。提示される推奨支援項目セットを用いることによって要介護者の属性に適する支援を実施することができる。
【0016】
一実施態様では,上記要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに,一の要介護者の属性について,複数の上記想定支援項目セットが記憶されており,上記推奨支援項目決定手段は,上記想定支援項目読み出し手段によって複数の上記想定支援項目セットが読み出された場合に,読み出された複数の想定支援項目セットに含まれる複数の想定支援項目のうち数の多い一または複数の想定支援項目のセットを推奨支援項目セットとして決定する。様々な経験豊富なケアマネージャーの知見をいわば統合して提示することができる。
【0017】
好ましくは,要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースに,上記要介護者の属性と,その属性を持つ要介護者に対して実施することが想定される一または複数の想定支援項目を含む想定支援項目セットを登録したケアマネージャーの属性が,さらに関連付けられて記憶されている。ケアマネージャーの属性は,たとえば経験年数,所有資格,主任有無,受講済研修,習熟度等である。どの程度の経験を持つケアマネージャーの知見であるか,どのような資格を所有するケアマネージャーの知見であるかを知ることができる。
【0018】
この発明は,実施推奨支援項目提示システムを制御する方法およびコンピュータ装置を実施推奨支援項目提示システムとして動作させるためのプログラムも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ケアマネージャー業務支援システムのハードウエア構成を示すブロック図である。
【
図3】要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベースを示す。
【
図4】要介護者属性および実施想定支援項目の入力画面を示す。
【
図5】支援実施状況データベースに登録される支援実施状況ファイルを示す。
【
図6】実施推奨支援項目提示装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】実施推奨支援項目提示装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】実施推奨支援項目提示装置が実行する処理を説明する概念図である。
【
図11】ケアマネージャー(熟練者)へのフィードバック画面を示す。
【実施例0020】
図1はケアマネージャー業務支援システムのハードウエア構成を示すブロック図である。
【0021】
ケアマネージャー業務システムは,実施推奨支援項目提示システム10と携帯端末(タブレット端末,スマートフォンなど)20を含む。実施推奨支援項目提示システム10はたとえばシステムの運営会社の管理下に置かれる。携帯端末20はケアマネージャーによって携帯され,ケアマネージャーは携帯端末20を携帯して要介護者宅を訪問する。
【0022】
実施推奨支援項目提示システム10と携帯端末20とはネットワーク,たとえばインタネットによって相互に接続されている。実施推奨支援項目提示システム10によって作成される画面データが携帯端末20にネットワークを通じて送信され,その表示画面に表示される。携帯端末20において入力されるデータが実施推奨支援項目提示システム10に送信され,データ記憶等が行われる。
【0023】
実施推奨支援項目提示システム10は,実施推奨支援項目提示装置11,ケアマネージャーデータベース12,要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13,および支援実施状況データベース14を含む。
【0024】
実施推奨支援項目提示装置11はコンピュータ装置であり,その全体的な動作を統括的に制御する中央演算処理装置(CPU),ワークエリア,バッファエリアなどを提供するメモリ,入力装置(キーボードなど),表示装置(液晶ディスプレイなど),各種プログラムおよびデータを記憶する記憶装置(ハードディスクなど),およびネットワーク(インターネットなど)を通じてデータを送受信する通信装置が接続されている。記憶装置にコンピュータ装置を実施推奨支援項目提示装置11として機能させるためのプログラムをインストールし,これを実行することによって,コンピュータ装置が実施推奨支援項目提示装置11として動作する。
【0025】
実施推奨支援項目提示装置11に接続される記憶装置には複数のデータベース(DB),ここではケアマネージャーデータベース(DB)12,要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13および支援実施状況データベース14が構築されている。はじめに,これらのデータベース12~14を説明する。
【0026】
図2はケアマネージャーデータベース12を示している。
【0027】
ケアマネージャーデータベース12には,ケアマネージャー業務システムを利用可能なケアマージャーのそれぞれにあらかじめ付与される一意の識別番号(ID)が登録される。このケアマネージャーIDに関連付けられて,ケアマネージャー業務システムを利用するときの認証処理に用いられるパスワード(PSW),ケアマネージャーの氏名,経験年数,所有資格,主任有無(主任の経験があるかどうか),受講済研修の種類,および習熟度(熟練者または初心者)を表すデータがケアマネージャーデータベース12には登録される。熟練者および初心者を含む複数のケアマネージャーのデータが,ケアマネージャーデータベース12に登録される。
【0028】
図3は要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13を示している。
図4は
図3に示す要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13に記憶される登録データ(想定される支援項目セット)の入力に用いられる入力画面(要介護者属性/想定支援項目関連付け入力画面51)を示している。
【0029】
図3を参照して,要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13には,比較的経験を有する,たとえば4年以上の経験を持つケアマネージャーが,様々な属性(特徴)を持つ要介護者について,その要介護者に対して実施することが必要と考える「想定される支援項目」を選択した結果が登録される。ケアマネージャーが実際に経験した事実に基づく必要は必ずしもなく,それまでの経験に基づく選択結果であってもよい。
【0030】
要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13に登録されるデータ(列データ,想定支援項目セット)は,「A.ケアマネージャーの属性」,「B.要介護者の属性」および「C.想定される支援項目」を含む。「A.ケアマネージャーの属性」には上述したケアマネージャーデータベース12に登録されるケアマネージャーの経験年数,所有資格,主任有無,受講済研修および習熟度が登録され,「B.要介護者の属性」には要介護者の年齢,性別,要介護度,世帯,居住形態,既往歴,日常生活自立度,認知機能自立度,意欲の状況,疾患理解・必要性の理解(かかわり初期)および主な課題(※追加のキーワード)が登録され,「C.想定される支援項目」には経験豊富なケアマネージャーの知見を体系化した「想定される支援内容」の小項目(44個の想定される支援項目)のうち,「A.ケアマネージャーの属性」にデータ登録されている属性を持つケアマネージャーが,「B.要介護者の属性」に登録される属性を持つ要介護者に対して実施することが必要と考える想定支援項目(そのセット)が登録される。
図3に示すデータベース13では丸印によってそのような支援項目が示されている。
【0031】
図4に示す要介護者属性/想定支援項目関連付け入力画面51が,上述した要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13へのデータ登録に用いられる。要介護者属性/想定支援項目関連付け入力画面51は携帯端末20の表示画面に表示され,比較的経験が豊富なケアマネージャーによってデータ入力される。入力されたデータが携帯端末20から実施推奨支援項目提示システム10にネットワークを介して送信され,実施推奨支援項目提示装置11の制御の下,要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13に記憶される。
【0032】
要介護者属性/想定支援項目関連付け入力画面51は,「A.ケアマネージャーの属性」入力欄51A,「B.要介護者の属性」入力欄51Bおよび「C.想定される支援項目」入力欄51Cを含む。これらの入力欄51A~51Cを用いて入力されたデータが,
図3に示す要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13に記憶される(列データ,想定される支援項目セット)。要介護者属性/想定支援項目関連付け入力画面51を用いて,多数のケアマネージャーが,多数の要介護者の属性に対して,実施が想定される支援項目を選ぶことによって,
図3に示す要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13には多くの想定支援項目セットが登録される。
【0033】
図5は支援実施状況データベース14に登録される支援実施状況ファイル14Aを示している。
【0034】
支援実施状況データベース14に複数のファイル14Aが記憶され,ファイル14Aには,ケアマネージャーが要介護者に対して実際に支援項目の支援を実施したかどうかを表すデータが記憶される。
【0035】
支援実施状況データベース14に記憶されるファイル14Aは,支援実施者氏名(ID)でもよい,支援対象要介護者氏名(IDでもよい)および実施日のデータを含み,さらに支援対象要介護者の属性(上述した要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13の「B.要介護者の属性」と同じデータ項目のデータ)と,推奨された支援項目のそれぞれについての実施状況を表すデータが記録される。「推奨された支援項目」についての詳細は後述する。
【0036】
図6~
図7は実施推奨支援項目提示システム10の処理の流れを示すフローチャートである。
図8は実施推奨支援項目提示装置11の処理例を示すもので詳細は後述する。
図9~
図11は携帯端末20に表示画面に表示される画面例を示している。
【0037】
はじめに携帯端末20から要介護者の属性が入力される(ステップ31)。
図9は要介護者の属性入力画面52を示している。
【0038】
要介護者の属性入力画面52は,年齢,性別,要介護度,世帯,居住形態,既往歴,日常生活自立度,認識能自立度,意欲の状況,疾患理解・必要性の理解(かかわり初期),主な課題※追加のキーワードの11個の入力欄52Aを含む。これら11個の入力欄52Aに要介護者の年齢等(包括的に「属性」という)が入力される。
【0039】
要介護者の属性入力画面52の「決定」ボタン52Bがクリックされると,入力データが携帯端末20から実施推奨支援項目提示装置11に送信される。11個の入力欄52Aに入力される11種類の要介護者の属性(すべてでなくてもよい)が検索キーワードとして用いられて,44個の「想定される支援項目」の中から実施が推奨される推奨支援項目が決定される(ステップ32)。
【0040】
図7を参照して,推奨支援項目の決定処理(ステップ32)では,要介護者の属性入力画面52の11個の入力欄52Aに入力された要介護者の属性が検索キーワードとして用いられて,一致する要介護者の属性を持つ列データ(想定される支援項目セット)が,上述した要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13から読み出される(ステップ41)。
【0041】
入力欄52Aに入力される属性の内容によっては,要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13から読み出される列データが無い(ヒット数0)こともあるし,多数の列データが読み出されることもある。入力欄52Aは11種類のすべてについて属性を入力する必要は必ずしもなく空欄があってもよい。入力欄52Aに入力する属性データの種類を少なくすれば読み出される列データの数は多くなる。また,たとえば年齢については幅を持たせた入力値(たとえば75以上など)を受け付けるようにしてもよい。幅を持たせた入力値を受け付けることによっても読み出される列データの数を多くすることができる。
【0042】
要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13から読み出された列データは,上述したように,「A.ケアマネージャーの属性」にデータ登録されている属性を持つ比較的経験が豊富なケアマネージャーが,「B.要介護者の属性」に登録される属性を持つ要介護者に対して実施することが必要と考える支援項目セットが登録されている(
図3では丸印で示されている)。44個の想定される支援項目のそれぞれについて,読み出された列データを用いて「〇」の数がカウントされる(ステップ42)。
【0043】
図8を用いてステップ42の処理を説明する。
図8には,要介護者の属性入力画面52の入力欄52Aに入力された要介護者の属性に基づいて,要介護者属性/想定支援項目関連付けデータベース13から4つの列データ(想定される支援項目セット)が読み出された場合を示している。4つの列データのそれぞれに,経験が豊富なケアマネージャーが,入力された要介護者の属性を持つ要介護者に対して実施することが必要と考える支援項目が示されている(登録されている)。
【0044】
読み出される列データは,一般には様々な(別々の)ケアマネージャーによって作成(登録)されたものであり,同一の属性を持つ要介護者であっても,その要介護者に対して実施をすることが必要と考える支援項目は必ずしも完全には一致しない。
【0045】
44個の想定される支援項目のそれぞれについて「〇の数/読み出された列データ数」×100(%)が算出される(ステップ43)(
図8の右端にはこの分数が示されている)。これによって,44個の想定される支援内容のそれぞれについて,多くのケアマネージャーが実施することが必要と考えている支援項目かどうかが数値によって表される。
【0046】
図8を参照して,たとえば「疾患管理の理解の支援」の項目は4つの列データのすべてについて〇(要介護者に対して実施をすることが必要と考える支援項目であること)が登録されており,多くのケアマネージャーが実施をすることが必要と考えている項目である。他方,たとえば「口腔内の異常の早期発見と歯科受診機会の確保」は4つの列データのうちの一つに〇が登録されている。実施をすることが必要と考えているケアマネージャーの数が少ないことが分かる。
【0047】
ステップ43において算出された値が50%以上である支援項目が,推奨支援項目として決定される(ステップ44)。もちろん,さらに細かく分類して,ステップ43において算出された値が50~70%の支援項目を優先度低,70~80%の支援項目を優先度中,80%以上の支援項目を優先度高のように,推奨支援項目のそれぞれに実施の優先度を付加してもよい。
【0048】
図6に戻って,決定された推奨支援項目が携帯端末20の表示画面に表示される(ステップ33)。
【0049】
図10は実施推奨支援項目の表示画面53を示している。
【0050】
上述したように決定された実施が推奨される支援項目が,推奨支援項目表示欄53Aに優先度とともに表示される。ケアマネージャーとくには経験の浅いケアマネージャーであっても,経験豊富なケアマネージャーの知見を借りて要介護者に対して実施すべき支援項目を知ることができる。
【0051】
実施推奨支援項目の表示画面53には,決定された推奨支援項目のそれぞれに対応して,実施/未実施入力欄53Bが設けられている。ケアマネージャーが支援項目の支援を実施した場合には「実施」が,実施しなかった場合には「未実施」がそれぞれ入力される。「未実施」の推奨支援項目については実施をしなかった理由も記入される(ステップ34)。
【0052】
「登録」ボタン53Cをクリックすると,要介護者の属性入力画面52に入力された要介護者の属性と,実施推奨支援項目表示画面53に表示される推奨支援項目,および実施推奨支援項目表示画面に入力される実施状況(実施/未実施,未実施の場合の理由)が,支援実施状況データベース14(
図5参照)に登録される(ステップ35)。
【0053】
図11はケアマネージャー(熟練者)へのフィードバック画面54を示している。
【0054】
フィードバック画面54は,支援実施状況データベース14に登録される実施状況を表示するもので,要介護者の属性表示欄54Aおよび推奨支援項目の実施状況表示欄54Bを含む。実際の現場で特定の属性を持つ要介護者に対して実際にどのような支援項目が推奨されかつ実施されているかを知ることができる。