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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084295
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】門扉
(51)【国際特許分類】
   E05D 11/10 20060101AFI20240618BHJP
   E06B 11/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
E05D11/10
E06B11/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198484
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 隆光
【テーマコード(参考)】
2E032
2E038
【Fターム(参考)】
2E032BA05
2E032CA02
2E038CA25
2E038CB04
(57)【要約】
【課題】外装部材に損傷を来す事態を未然に防止する。
【解決手段】ヒンジ1を介して扉体20が門柱10に開閉可能に支持され、門柱10及び扉体20には、開き側となる表面にそれぞれ外装部材が突出する状態で設けられた門扉であって、門柱10と扉体20との間には、閉じ位置に配置された扉体20の開き方向への移動を許容し、かつ門柱10の外装部材と扉体20の外装部材との隙間cが予め設定した寸法となった場合には扉体20の開き方向への更なる移動を阻止するストッパ部材40が設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材を介して扉体が門柱に開閉可能に支持され、
前記門柱及び前記扉体には、開き側となる表面にそれぞれ外装部材が突出する状態で設けられた門扉であって、
前記門柱と前記扉体との間には、閉じ位置に配置された前記扉体の開き方向への移動を許容し、かつ前記門柱の外装部材と前記扉体の外装部材との隙間が予め設定した寸法となった場合には前記扉体の開き方向への更なる移動を阻止するストッパ部材が設けられていることを特徴とする門扉。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、前記扉体の外装部材及び前記門柱の外装部材の少なくとも一方に設けられ、他方に当接することによって前記門柱の外装部材と前記扉体の外装部材とに隙間を確保することを特徴とする請求項1に記載の門扉。
【請求項3】
前記門柱及び前記扉体には、それぞれ前記外装部材として縦格子が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の門扉。
【請求項4】
前記縦格子の上端部及び下端部にそれぞれ前記ストッパ部材が取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、門扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扉体が門柱に開閉可能に支持された門扉には、扉体として枠状のものを適用するとともに、道路に面する表面に縦格子等の外装部材を設けたものがある。この種の門扉では、パネル状の扉体を適用する場合に比べて採光性及び通風性を確保することができるようになる。また、同じ外装部材を門柱の表面に設けることにより、外観品質を向上させることも可能となる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-166251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の門扉では、扉体を道路側に向けて開くように設置した場合、扉体の外装部材が門柱の外装部材に当接し、双方に損傷を来す懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、外装部材に損傷を来す事態を未然に防止することのできる門扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る門扉は、支持部材を介して扉体が門柱に開閉可能に支持され、前記門柱及び前記扉体には、開き側となる表面にそれぞれ外装部材が突出する状態で設けられた門扉であって、前記門柱と前記扉体との間には、閉じ位置に配置された前記扉体の開き方向への移動を許容し、かつ前記門柱の外装部材と前記扉体の外装部材との隙間が予め設定した寸法となった場合には前記扉体の開き方向への更なる移動を阻止するストッパ部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、扉体を開き方向に移動させた場合に、扉体の外装部材が門柱の外装部材に当接する以前に扉体の開き方向への移動が阻止され、外装部材が相互に当接する事態が未然に防止されるため、外装部材に損傷を来す懸念がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である門扉を開き側から見た姿図である。
図2図1に示した門扉の平面図である。
図3図1に示した門扉の側面図である。
図4図1に示した門扉の要部を示すもので、(a)は扉体が閉じ位置に配置された状態の平面図、(b)は扉体が開き方向へ移動した状態の平面図である。
図5図1に示した門扉に適用するストッパ部材を示すもので、(a)は外表面側から見た図、(b)は断面図、(c)は外装部材に取り付けた状態の断面平面図である。
図6】本発明の変形例である門扉を示すもので、(a)は扉体が閉じ位置に配置された状態の平面図、(b)は扉体が開き方向へ移動した状態の平面図である。
図7図6に示した門扉の要部を示す拡大断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る門扉の好適な実施の形態について詳細に説明する。図1図4は、本発明の実施の形態である門扉を示したものである。ここで例示する門扉は、2つの門柱10の間に2枚の扉体20が道路側に向けて観音開きとなるように設けられたものである。
【0010】
2つの門柱10は、柱本体11と、補助柱体12とを備えて構成したものである。柱本体11は、略正方形断面の筒状を成すもので、地中に埋設したコンクリート製の基礎Bから鉛直方向に沿って上方に延在している。補助柱体12は、長辺が柱本体11の一辺よりも長さの短い略長方形断面の筒状を成すもので、2つ柱本体11の互いに対向する側面11aに、個々の短辺を介して固定してある。この補助柱体12は、長手に沿った寸法が柱本体11において地面から上方に延在した部分よりも短い長さに設定してあり、下端が地面から上方に離隔した位置となり、かつ上端が柱本体11の上端よりもわずかに下方となる位置に配設してある。補助柱体12の一方の長辺となる表面12aは、柱本体11において道路に臨む表面11bとほぼ同一の平面上に位置している。柱本体11、補助柱体12は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。
【0011】
2枚の扉体20は、それぞれ左右の縦枠21,22及び上下の横枠23,24を四周組することによって構成したもので、一方の縦枠21と補助柱体12との間にヒンジ(支持部材)1を介在させることにより、上下に沿ったヒンジ軸1aを中心に回転可能となるように門柱10に支持してある。扉体20の縦枠21,22は、略長方形断面の筒状を成し、長手に沿った寸法が補助柱体12とほぼ同じ長さとなるように構成したもので、補助柱体12とほぼ同じ高さとなる位置に配設してある。縦枠21,22において道路に臨む表面21a,22aは、扉体20を閉じ位置に配置した場合に、補助柱体12とほぼ同一の平面上に位置している。横枠23,24は、短辺が縦枠21,22よりもわずかに長さの短い略長方形断面の筒状を成すもので、縦枠21,22の上端よりもわずかに下方となる部分の相互間を連結し、かつ縦枠21,22の下端よりもわずかに上方となる部分の相互間を連結するように配設してある。2つの扉体20においてそれぞれの戸先側に配置される縦枠22には、横枠23,24の相互間となる高さ位置にハンドル25が設けてある。また、図には明示していないが、一方の扉体20の戸先となる縦枠22には、他方の扉体20の戸先となる縦枠22に施解錠可能となるように錠装置が設けてある。図中の符号26は、錠装置を施解錠する際にキーを差し込む鍵穴である。扉体20を構成する縦枠21,22、横枠23,24についても、門柱10同様、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。
【0012】
上述した門扉には、門柱10の柱本体11、補助柱体12、扉体20の縦枠21,22、横枠23,24においてそれぞれの道路側(開き側)となる表面11b,12a,21a,22a,23a,24aに縦格子30が設けてあるとともに、縦格子30にストッパ部材40が設けてある。縦格子30は、略長方形断面の筒状を成すもので、門柱10から扉体20の戸先となる縦枠21,22までの間に互いにほぼ等間隔となるように配設してある。より具体的に説明すると、縦格子30は、縦横の寸法がいずれも補助柱体12よりも小さい長方形状を成すもので、個々の短辺を介して門柱10の柱本体11、補助柱体12、扉体20の縦枠21,22、横枠23,24に取り付けてある。縦格子30の上下に沿った長手寸法は、縦枠21,22とほぼ同じである。縦格子30の相互間には、縦格子30の長辺よりもわずかに短く、短辺よりも長い間隔が確保してある。但し、ヒンジ軸1aを挟んで隣接する補助柱体12の縦格子(以下において便宜上、区別する場合に固定側接近縦格子30Aという)と、縦枠22の縦格子以下においては便宜上、区別する場合に可動側接近縦格子30Bという)との間については、間隔が少し拡大してある。また、戸先の縦枠21,22においてハンドル25が可動する範囲には縦格子30は設けていない。縦格子30は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。
【0013】
ストッパ部材40は、ゴムや樹脂等のように、縦格子30に比較して弾性に富む材料によって成形したブロック状を成すもので、図1図5に示すように、複数のネジ挿通孔40aを介してネジ41を螺合することにより上述した可動側接近縦格子30Bの上下両端部に固定してある。より具体的に説明すると、ストッパ部材40は、外形が略長方形状を成し、短辺が縦格子30の道路側に臨む表面(以下、外表面30aという)の幅とほぼ一致するように構成したもので、縦格子30においてヒンジ1よりも上方となる外表面30a及びヒンジ1よりも下方となる外表面30aにそれぞれ縦長となる姿勢で可動側接近縦格子30Bに固定してある。このストッパ部材40は、ヒンジ軸1aを中心として扉体20を道路側に開くように90°程度移動させた場合に、固定側接近縦格子30Aに当接することにより、扉体20の更なる開き方向への移動を阻止し、固定側接近縦格子30Aと可動側接近縦格子30Bとの間に手指が挟まれない程度の隙間cを確保するものである。
【0014】
上記のように構成した門柱10によれば、道路側から見た場合、門柱10から扉体20のすべてにわたって縦格子30が設けてあるため、外観品質の点で好ましいものとなる。しかも、扉体20を開き方向に移動させた場合には、固定側接近縦格子30Aと可動側接近縦格子30Bとが相互に接近することになるものの、相互の距離が隙間c程度になった時点でストッパ部材40が固定側接近縦格子30Aに当接し、以降の扉体20の開き方向への移動が阻止される。従って、これら固定側接近縦格子30A及び可動側接近縦格子30Bが相互に当接する事態が未然に防止され、それぞれに損傷を来す事態を防止することができる。また、可動側接近縦格子30Bを把持した状態で扉体20を開き方向に移動させた場合にも、固定側接近縦格子30Aと可動側接近縦格子30Bとの間に手指が挟まれるような事態を招来する懸念がない。
【0015】
なお、上述した実施の形態では、外装部材である縦格子30にストッパ部材40を設けるようにしているが、本発明はこれに限定されず、扉体20や門柱10に直接ストッパ部材を設けても良い。因に、外装部材にストッパ部材40を設ける場合に上述した実施の形態では扉体20の可動側接近縦格子30Bにのみ設けるようにしているが、可動側接近縦格子30B及び固定側接近縦格子30Aの双方にストッパ部材40を設けても良いし、図6図7に示す変形例のように、門柱10側の固定側接近縦格子30Aにのみストッパ部材40を設けても同様の作用効果を奏することが可能である。すなわち、変形例においては、固定側接近縦格子30Aにおいて扉体20側に位置する側面30bにストッパ部材40が設けてある。図には明示していないが、ストッパ部材40を設ける位置は、実施の形態と同様、固定側接近縦格子30Aの上端部及び下端部であることが好ましい。変形例において実施の形態と同様の構成については同一の符号が付してある。この変形例においても、扉体20を開き方向に移動させた場合には、固定側接近縦格子30Aと可動側接近縦格子30Bとが相互に接近することになるものの、相互の距離が隙間c程度になった時点でストッパ部材40が可動側接近縦格子30Bに当接し、以降の扉体20の開き方向への移動が阻止される。従って、これら固定側接近縦格子30A及び可動側接近縦格子30Bが相互に当接する事態が未然に防止され、それぞれに損傷を来す事態や固定側接近縦格子30A及び可動側接近縦格子30Bの間に手指が挟まれる事態を招来する懸念がない。加えて、固定側接近縦格子30Aの道路側に臨む外表面30aが全長にわたって露出されるため、外観品質の点でも好ましいものとなる。
【0016】
また、上述した実施の形態では、ストッパ部材40を2つ設けるようにしているが、ストッパ部材40の数は1つでも良いし、3以上であっても構わない。さらに、2つの門柱10の間に2枚の扉体20を備えた門扉を例示しているが、1枚の扉体20を備えるものにも適用することは可能である。また、外装部材として縦格子30を例示しているが、本発明はこれに限定されず、横格子やパネル等、門柱10や扉体20から突出するように外装部材が設けられているものであれば同様に適用することが可能である。この場合、必ずしも門柱の外装部材と扉体の外装部材とが同じものである必要はない。なお、門柱として柱本体11及び補助柱体12を備えて構成したものを例示しているが、単に柱本体からなるものであっても良い。
【0017】
以上のように、本発明に係る門扉は、支持部材を介して扉体が門柱に開閉可能に支持され、前記門柱及び前記扉体には、開き側となる表面にそれぞれ外装部材が突出する状態で設けられた門扉であって、前記門柱と前記扉体との間には、閉じ位置に配置された前記扉体の開き方向への移動を許容し、かつ前記門柱の外装部材と前記扉体の外装部材との隙間が予め設定した寸法となった場合には前記扉体の開き方向への更なる移動を阻止するストッパ部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、扉体を開き方向に移動させた場合に、扉体の外装部材が門柱の外装部材に当接する以前に扉体の開き方向への移動が阻止され、外装部材が相互に当接する事態が未然に防止されるため、外装部材に損傷を来す懸念がない。
【0018】
また本発明は、上述した門扉において、前記ストッパ部材は、前記扉体の外装部材及び前記門柱の外装部材の少なくとも一方に設けられ、他方に当接することによって前記門柱の外装部材と前記扉体の外装部材とに隙間を確保することを特徴としている。
この発明によれば、外装部材に設けたストッパ部材が他方の外装部材に当接することによって外装部材の相互間に隙間が確保されることになる。
【0019】
また本発明は、上述した門扉において、前記門柱及び前記扉体には、それぞれ前記外装部材として縦格子が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、門柱及び扉体に縦格子が設けられた門扉において縦格子が相互に当接して干渉する事態を防止することができる。
【0020】
また本発明は、上述した門扉において、前記縦格子の上端部及び下端部にそれぞれ前記ストッパ部材が取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、ストッパ部材が2カ所以上で当接するため、縦格子に過負荷が加えられる懸念がない。
【符号の説明】
【0021】
1 ヒンジ、10 門柱、11b,12a,21a,22a,23a,24a 開き側となる表面、20 扉体、30 縦格子、30A 固定側接近縦格子、30B 可動側接近縦格子、40 ストッパ部材、c 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7