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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084298
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】入力表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20220101AFI20240618BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240618BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240618BHJP
【FI】
G06F3/0481
G06F3/041 400
G06F3/041 580
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198489
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】天野 崇
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA26
5E555BA02
5E555BA23
5E555BB02
5E555BB23
5E555BC01
5E555CA12
5E555CB12
5E555CB65
5E555DB03
5E555DC30
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 立体形状の操作部が存在する領域内に表示される画像の視認性を向上させる入力表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の入力表示装置100は、画像を表示可能なディスプレイ110と、表面に少なくとも1つの透明な立体UI部130を含むタッチパネル120と、タッチパネル120の静電容量の変化に基づきタッチパネルへのタッチ操作を検出するタッチ検出部150と、ディスプレイ110の立体UI部130が存在する領域に、操作に関する画像を表示可能な表示制御部170とを含む。立体UI部130は、上面と当該上面に接続された側面とを含み、側面には操作に関する画像を反射する機能が付与される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するためのディスプレイと、
前記ディスプレイ上に取り付けられ、表面に少なくとも1つの透明な立体形状の操作部を含む静電容量型のタッチパネルと、
前記タッチパネルへの近接を含むタッチ操作を検出する検出手段と、
前記ディスプレイの前記操作部が存在する領域に、操作に関する画像を表示可能な表示制御手段とを含み、
前記操作部は、上面と当該上面に接続された側面とを含み、前記側面には前記操作に関する画像を反射する機能が付与される、入力表示装置。
【請求項2】
前記側面は、鏡面加工された面を含む、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項3】
前記側面は、反射フィルムまたは鏡面コーティングを含む、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項4】
前記側面は、裏面側に反射面、表面側にテクスチャが形成されたフィルムを含む、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項5】
入力表示装置はさらに、ユーザーの視点または視線方向を検知する検知手段を含み、
前記表示制御手段は、前記検知手段により検知された視点または視線方向に応じて、前記操作に関する画像を変更する、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記操作に関する画像を拡張することで前記側面に反射される画像を拡張させる、請求項5に記載の入力表示装置。
【請求項7】
前記立体形状の操作部は、円筒状のノブであり、
前記検出手段は、前記ノブへの回転量を検出し、
前記表示制御手段は、検出された回転量に応じたゲージを前記ノブの外周に沿うように表示し、
前記ノブの側面は、前記ゲージを反射する、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項8】
前記ディスプレイは車両に搭載され、前記検知手段は、運転者および/または同乗者の視線位置を検知する、請求項5に記載の入力表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人と機械とのインターフェース機能を備えた入力表示装置に関し、特に、透明な立体形状の操作部を含む入力表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイに重畳して配置されたタッチパネル上に凸部を設け、当該凸部と重なる位置に操作アイコン等の画像を表示する入力表示装置が開示されている(例えば、特許文献1)。ユーザーは、凸部をタッチ操作することで入力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-190832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電容量型のタッチ操作を行うディスプレイ機器において、カバーガラスに凹凸形状を持たせることによりタッチ位置を触覚的に認知させ、注視せずともタッチ位置を理解することができるユーザーインタフェース(以降、立体UIと呼ぶ)の提案がなされている。
【0005】
図1(A)は、従来のフラットなタッチパネルの操作例であり、ユーザーUは、ディスプレイ10に表示された操作アイコン12を視認し、操作アイコン12(図の例は音符)の位置をタッチ操作することで入力を行う。
【0006】
図1(B)は、立体UIを有するタッチパネルの操作例、図1(C)は、立体UIの概略断面図である。タッチパネル24上には、凹凸形状の透明なカバーレンズ26が取り付けられ、ディスプレイ20は、カバーレンズ26と重なる位置に操作アイコン22を表示する。ユーザーUは、カバーガラス26上に指をタッチすることで入力を行う。タッチ検出には、センサから距離が離れていても指の静電容量(距離)を検出することができる高感度静電センサが用いられ、厚みのあるカバーレンズ26の上からでもタッチの有無を判定することが可能である。これにより、運転中の車載ディスプレイへの注視が難しい状況下において、タッチミス(操作ミス)を低減することが可能である。
【0007】
立体UIの中にアイコン等のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を表示する際、パーツデザインに応じた限られたエリアでの映像表現となる。図2(A)は、円筒状の透明なノブ(ボタン)30が存在する領域内に、ボリュームの調整を表すスピーカーアイコン32と、ノブ30への回転操作の回転量を示すゲージ(目盛り)34とが表示される例を示している。ユーザーは、指腹でノブ30の側面を滑らせて回転操作を行い、ゲージ34で回転量を確認する。ノブ30は、実際には回転しない。
【0008】
ノブ30の範囲内に表示エリアが限られるため、スピーカーアイコン32を大きくしたデザインには制限があり、また、ノブ径が小さい場合には、ゲージ34が小さくなってしまい、十分な視認性を確保することができない。
【0009】
図2(A)に示すように、ノブ30を正面から見た場合には、スピーカーアイコン32やゲージ34の視認性を確保することができるが、図2(B)に示すように、ノブ30を斜め右方向から見た場合には、スピーカーアイコン32やゲージ34が小さくなり、視認性が低下してしまう。例えば、車両の中央にディスプレイが配置されたとき、運転者等のユーザーの視線位置または視線方向が斜め右方向となる。
【0010】
このような課題は、ノブ形状やゲージ表現に限らず、高さのある立体パーツにおいてGUI表現をする場合に生じ得る。それ故、立体UIの映像表現において、立体パーツ内での視認性を確保するための表現方法が必要となる。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、立体形状の操作部が存在する領域内に表示される画像の視認性を向上させる入力表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る入力表示装置は、画像を表示するためのディスプレイと、前記ディスプレイ上に取り付けられ、表面に少なくとも1つの透明な立体形状の操作部を含む静電容量型のタッチパネルと、前記タッチパネルへの近接を含むタッチ操作を検出する検出手段と、前記ディスプレイの前記操作部が存在する領域に、操作に関する画像を表示可能な表示制御手段とを含み、 前記操作部は、上面と当該上面に接続された側面とを含み、前記側面には前記操作に関する画像を反射する機能が付与される。
【0013】
ある態様では、前記側面は、鏡面加工された面を含む。ある態様では、前記側面は、反射フィルムまたは鏡面コーティングを含む。ある態様では、前記側面は、裏面側に反射面、表面側にテクスチャが形成されたフィルムを含む。ある態様では、入力表示装置はさらに、ユーザーの視点または視線方向を検知する検知手段を含み、前記表示制御手段は、前記検知手段により検知された視点または視線方向に応じて、前記操作に関する画像を変更する。ある態様では、前記表示制御手段は、前記操作に関する画像を拡張することで前記側面に反射される画像を拡張させる。ある態様では、前記立体形状の操作部は、円筒状のノブであり、前記検出手段は、前記ノブへの回転量を検出し、前記表示制御手段は、検出された回転量に応じたゲージを前記ノブの外周に沿うように表示し、前記ノブの側面は、前記ゲージを反射する。ある態様では、前記ディスプレイは車両に搭載され、前記検知手段は、運転者および/または同乗者の視線位置を検知する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、立体形状の操作部の側面には、操作に関する画像を反射する機能が付与されるようにしたので、操作に関する画像の視認性を向上させることができ、また、操作に関する画像の表現に多様性を持たせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(A)は、フラットなタッチパネルの操作例を示し、図1(B)は、立体UIのタッチパネルの操作例を示し、図1(C)は、立体UIの概略断面図である。
図2】従来の立体UI部の課題を説明する図である。
図3】本発明の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。
図4図4(A)、(B)は、従来の立体UI部でGUI画像を視認するときの光の入射を説明する図であり、図5(A)、(B)は、本実施例の立体UI部でGUI画像を視認するときの光の入射を説明する図である。
図5】本発明の実施例に係る立体UI部でのGUI画像の非表示/表示の例を示す図である。
図6】本発明の実施例に係る立体UI部の他の構成例を示す図である。
図7】本発明の第2の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施例の入力表示装置を車両に搭載したときのレイアウト例である。
図9図9(A)は、ユーザーの視点または視線方向が変化したとき、側面にGUI画像の隙間が生じる例を示す図、図9(B)は、第2の実施例により視点または視線方向に基づき拡張されたGUI画像の例を示し、図9(C)は、第2の実施例により視点または視線方向に応じて拡張されたGUI画像が側面で反射される様子を示す図である。
図10】本発明の第2の実施例に係る視線検知部の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の入力表示装置は、人と機械との間のインターフェースを提供する。本発明の入力表示装置は、特に限定されないが、例えば、立体形状の操作部が形成されたタッチパネル付きディスプレイを搭載する電子装置などに適用される。タッチパネル付きディスプレイを搭載する電子装置は、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ機能などを備えた車載装置である。
【実施例0017】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図3は、本発明の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。本実施例の入力表示装置100は、画像や映像を表示するためのディスプレイ110と、ディスプレイ110上に搭載された静電容量型のセンサを含むタッチパネル120と、タッチパネル120の表面に取り付けられた1つまたは複数の立体形状を有する透明な立体UI部(または操作部)130と、ディスプレイ110の画像表示やタッチパネル120のタッチ検出などを制御するコントローラ140を含んで構成される。
【0018】
ディスプレイ110は、特に限定されないが、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルを含み、コントローラ140から提供される画像データを表示する。例えば、立体UI部130が存在する領域には、立体UI部130の操作に関するGUI画像(例えば、アイコン、ゲージなど多様な画像)が表示される。
【0019】
タッチパネル120は、例えば、複数のX側およびY側の電極ラインが交差する位置に形成された複数のセンサ(検出部)を含み、当該センサは、ユーザーの指や手などがタッチパネル120や立体UI部130に接近または接触したときの静電容量を検出する。タッチパネル120は、ディスプレイ110上に搭載され、ユーザーがディスプレイ110に表示されたアイコン等への入力を行うための入力インターフェースを提供する。
【0020】
タッチパネル120は、透明なパネル上にさらに、1つまたは複数の立体UI部130を含む。立体UI部130は、凹凸形状を有する透明な部材から構成され、その形状、大きさ、高さなどは特に限定されないが、ユーザーの手や指が立体UI部130に接近または接触したとき、その位置の静電容量が変化するように立体UI部130が構成される。
【0021】
図3には、4つの立体UI部130がタッチパネル120の下部に取付けられた例が示されている。ディスプレイ110の立体UI部130が存在する領域には、操作を表すアイコンやゲージなどのGUI画像が表示され、ユーザーは、GUI画像を視認し、立体UI部130を介して入力を行う。
【0022】
立体UI部130は、例えば、矩形状や円柱状の突出したノブやボタンであり、これらは、例えば、ガラス、アクリル、ポリカーボネートなどのクリアパーツ(透明な部材)から構成される。但し、ディスプレイ110に表示されたGUI画像の視認性に影響を及ぼさない範囲で、立体UI部130の表面の一部に文字や図形等が描画されてもよい。立体UI部130は、例えば、両面接着剤などを用いてタッチパネル120の決められた位置の表面に貼り付けられたり、あるいはタッチパネル120の表面に取付けられるカバーガラスに一体成型されてもよい。
【0023】
立体UI部130の位置や形状に関する情報(例えば、タッチパネル上の座標、底面や表面の形状や大きさ、高さなど)は、コントローラ140内のメモリ等に登録される。例えば、立体UI部130が円筒状のノブであれば、ノブの底面の中心の座標が位置に関する情報として登録される。また、ノブの底面の半径または直径、表面の半径または直径、側面の高さなどが形状に関する情報として登録される。立体UI部130が直方体状のノブであれば、矩形状の底面の対角線が交差する位置の座標が位置に関する情報として登録され、底面の縦横の長さ、表面の縦横の長さ、側面の高さなどが形状に関する情報として登録される。コントローラ140は、タッチパネル120に接近する指が検出されたとき、登録された立体UI部130の位置や形状に関する情報を参照し、当該指が立体UI部130へのタッチ操作か否かを判定する。
【0024】
コントローラ140は、ハードウエアおよび/またはソフトウエア資源を含み、例えば、演算処理部、ROM/RAMを含むマイクロコントローラなどを用いて、入力表示装置の処理全般を担う。例えば、ディスプレイ110の表示処理、タッチパネル120の出力値からタッチ検出やタッチ操作判定(タッチ位置や指距離の検出、タッチ操作の有無の判定)したり、それに応じて映像表示/映像切り替えの処理などを行う。
【0025】
コントローラ140は、図3に示すように、タッチ検出部150、操作判定部160、表示制御部170を含んで構成される。タッチ検出部150は、タッチパネル120のX側および/またはY側の複数の電極ラインを駆動し、駆動した電極ラインの検出部の静電容量を測定し、測定結果に基づきタッチ位置を検出し、その検出結果を操作判定部160に提供する。
【0026】
操作判定部160は、タッチ検出部150の測定結果に基づきタッチパネル120へのタッチ操作や立体UI部130へのタッチ操作の有無を判定する。ここで言うタッチとは、ユーザーの指がタッチパネル120や立体UI部130への接触のみならず、指がタッチパネル120や立体UI部130に接近することを含む。例えば、ユーザーの指がタッチパネル120に接触または接近したとき、操作判定部160は、対応する検出部の静電容量の変化に基づきタッチ操作の有無を判定し、同様に、ユーザーの指が立体UI部130に接触または接近したとき、対応する検出部の静電容量の変化に基づき立体UI部130へのタッチ操作の有無を判定する。
【0027】
表示制御部170は、ディスプレイ110に画像や映像を表示させたり、立体UI部130が存在する領域に、立体UI部130の操作に関するGUI画像を表示させる。また、表示制御部170は、操作判定部160によりタッチ操作があったと判定されたことに応じてディスプレイ110に表示する画像を別な画像に切替えたりする。
【0028】
次に、本実施例の入力表示装置の概要について図4を参照して説明する。図4(A)、(B)は、従来の立体UI部が存在する領域に表示されたGUI画像の視認を模式的に示し、図4(C)、(D)は、本実施例の立体UI部が存在する領域に表示されたGUI画像の視認を模式的に示している。なお、ここでは、立体UI部として円筒状のノブを例示し、GUI画像としてゲージ(図2のゲージ34を参照)を例示している。
【0029】
図4(A)に示すように、従来の立体UI部30においてディスプレイ110に表示されたGUI画像180を視認する場合、GUI画像180からの光L1(破線で示す)が立体UI部30を透過し、ユーザーの視点P1に入射される。また、図4(B)に示すように、ユーザーの視点P1が視点P2に移動した場合、GUI画像180からの光L2(破線で示す)が光L1よりも傾斜して視点P2に入射される。その結果、ユーザーにとっては、GUI画像180を斜め方向から視認することになるため、GUI画像180が小さく見え、視認性が低下する。
【0030】
これに対し、本実施例の立体UI部130では、立体UI部の側面の高さを利用し、その側面132にGUI画像180を鏡面反射させる機能を付与する。立体UI部130は、表面132と、底面134と、表面132と底面134を結合する側面136とを有し、側面132の一部または全部にGUI画像180を反射する機能が付加される。
【0031】
図4(C)に示すように、本実施例の立体UI部130においてディスプレイ110に表示されたGUI画像180を視認する場合、GUI画像180からの光L1に加えて、GUI画像180からの光L1aが側面136で鏡面反射された光L1aがユーザーの視点P1に入射される。また、図4(D)に示すように、ユーザーの視点P1が視点P2に移動した場合にも同様に、GUI画像180からの光L2に加えて、側面136で鏡面反射された光L2aが視点P2に入射される。その結果、ユーザーにとっては、GUI画像180からの光L1、L2に加え、立体UI部130の側面136で反射された光L1a、L2aによってGUI画像180を視認することになるため、GUI画像180の表示エリアが従来のときよりも拡張し、視認性が向上する。
【0032】
図5(A)は、本実施例の立体UI部のGUI画像(ゲージ)を非表示にしたときの例、図5(B)は、本実施例の立体UI部のGUI画像(ゲージ)を表示したときの例である。ここでは、GUI画像のより正確な鏡面反射のために、立体UI部130の側面136を垂直とし、側面136を鏡面仕上げの透明パーツ(アクリル製)を使用した例を示している。
【0033】
図5(A)に示すように、立体UI部130が存在する領域のほぼ中央部にボリュームのアイコン182が表示される。このとき、ボリュームの回転量を示すゲージは非表示であり、側面136には、ゲージの反射による画像は表示されない。一方、図5(B)に示すように、立体UI部130の底面134の外周に沿うようにゲージ(GUI画像)184がディスプレイ110上に表示されると、ゲージ184が立体UI130の側面136によって鏡面反射され、その反射した画像184Aが視認される。これにより、立体UI部130を斜め方向から見たとき、ゲージ184の表示エリアが側面136にまで拡張され、視認性が向上される。
【0034】
上記の例では、立体UI部130の側面136を鏡面処理したが、つまり、パーツ自体に鏡面処理を施したが、これは一例であり、他の方法を用いてGUI画像を反射させるようにしてもよい。例えば、図6(A)に示す立体UI部130Aでは、ノブ130の側面136に鏡面状光沢フィルムあるいは反射フィルム190を巻き付けたり、図6(B)に示す立体UI部130Bでは、側面136に鏡面コーティング194を施してもよい。さらに図6(C)に示すように、フィルム190の裏面側に鏡面または反射面192を形成し、表面側に、触り心地のためにすりガラス調のようなテクスチャ194を形成するようにしてもよく、これにより、フィルム190の表裏に触り心地と鏡面との両立を図ることができる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図7は、第2の実施例の入力表示装置の構成を示すブロック図であり、図3と同一構成については、同一参照番号を付している。第2の実施例に係る入力表示装置100Aはさらに、ユーザーの視点または視線方向(以下、視点と称す)を検知する視線検知カメラ200と、視線検知部210とを備える。
【0036】
図8は、入力表示装置100Aを車両に搭載したときのレイアウト例である。タッチパネル120を備えたディスプレイ110は、車両の中央のコンソールに取付けられ、視線検知カメラ200は、例えば、ディスプレイ110の上方に近接して取付けられる。運転者および助手席の乗員のそれぞれの視点を検知する場合には、視線検知カメラ200を2つ取付けるようにしてもよい。
【0037】
視線検知カメラ200は、運転者の顔を撮像し、撮像した画像データをコントローラ140の視線検知部210に提供する。視線検知部210は、視線検知カメラ200からの画像データを処理することで運転者の視点を検知する。視線検知部210は、例えば、顔を撮像した画像データから眼球の特徴点を抽出することにより行う。視線検知部210は、ディスプレイ110と運転者の顔との間の相対的な位置関係(例えば、座席の位置情報や人間の標準的な身体的特徴から相対的な位置関係は既知)に基づき、立体UI部130に対する運転者の視点を算出する。
【0038】
もし、助手席の同乗者の視点を検知する場合には、視線検知カメラ200は、同乗者の顔を撮像した画像データを視線検知部210に提供する。また、車両に運転者の状態を監視するためのドライバーモニタリングシステム(DMS)が搭載されている場合には、視線検知カメラ200の代わりに、DMSから提供される運転者の視点に関する情報を使用するようにしてもよい。
【0039】
表示制御部170は、視線検知部210により検知された視点に基づき、ユーザーの視点へのGUI画像の反射が適切になるようにGUI画像の表示を制御する。例えば、図9(A)に示すように、ユーザーの視点が変化したとき(例えば、さらに右方向に視点が移動したとき)、GUI画像の反射された画像184Aの大きさと側面136の大きさがと一致しないと、側面136の上縁の一部に隙間(空白領域)Bが生じ、GUI画像の拡張効果が薄れ、視認性が低下してしまう。
【0040】
本実施例では、表示制御部170は、ユーザーの視点に応じてGUI画像を変更し、ユーザーの視点が変化してもGUI画像の視認性が低下しないようにする。表示制御部170は、ユーザーの視点から、側面136のどの位置に、どの程度の大きさで隙間Bが生じるかを算出する。算出方法は、特に限定されないが、表示制御部170は、例えば、検知された視点、ディスプレイ上のGUI画像の表示位置や表示サイズ、立体UI部130の位置、側面136の位置や高さ等から隙間Bを算出するようにしてもよいし、あるいは、視点と隙間との関係をルックアップテーブル等に簡易的に登録しておき、これを参照するようにしてもよい。
【0041】
表示制御部170は、算出した隙間の一部または全部が解消されるように、つまり、算出した隙間と鏡面の位置関係にあるGUI画像を拡張されるように、GUI画像の表示を制御する。例えば、図9(B)に示すように、表示制御部170は、拡張されたGUI画像186をディスプレイ110上に表示させる。その結果、図9(C)に示すように、拡張されたGUI画像186が側面136によって鏡面反射され、ユーザーは、側面136によって反射された拡張されたGUI画像186Aを視認することができる。拡張されたGUI画像186Aによって側面136の隙間Bの少なくとも一部が解消され、ユーザーの視点が変化しても、GUI画像の視認性を保つことができる。
【0042】
また、ドライバーモニタリングシステム(DMS)において、運転者と助手席の同乗者の双方の視点を検知することが可能な場合、DMSは、ディスプレイ110へ視線を向けている方の視点を検出するようにし、両者が同時に視線を向けている際は、安全性を考慮し運転者の視線検知を優先させる。
【0043】
運転者と同乗者の双方の視線を検知する方法を図10に示す。図10(A)、(B)は、上方から見たときのディスプレイ110と、運転者U1および同乗者U2との位置関係を示しており、図10(A)は、ディスプレイ110の前面にレンチキュラーレンズ112を配置し、図10(B)は、ディスプレイ110の前面に視差バリア114を配置している。レンチキュラーレンズ112や視差バリア114を用いることで、視点よって表示する映像を分ける構造を持たせ、運転者と同乗者それぞれに二通りの映像出力を提供することができる。図の例では、運転者U1は、「右」で示した映像を見ることができ、同乗者U2は、「左」で示した映像を見ることができる。これにより、運転者、同乗者それぞれの視線または視線方向に適したGUI画像の表示制御が可能になる。
【0044】
上記実施例では、立体UI部として円筒状のノブ(ボタン)を例示したが、立体UI部は、これに限らず、他の形状であってもよい。また、立体UI部の側面は、必ずしも底面/表面に対して垂直である必要はなく、傾斜していてもよい。上記実施例では、GUI画像として、ボリュームのアイコンやゲージを例示したが、これらは一例であり、GUI画像は他の操作に関するアイコンや表示であってもよい。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
100:入力表示装置
110:ディスプレイ
120:タッチパネル
130:立体UI部(操作部)
132:表面
134:底面
136:側面
180、184:GUI画像
184A:反射されたGUI画像
186:拡張されたGUI画像
186A:反射された拡張されたGUI画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10