(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084301
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】食材冷凍システム及び食材冷凍方法
(51)【国際特許分類】
A23L 3/36 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
A23L3/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198492
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】521061391
【氏名又は名称】株式会社ロックフローズン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】増田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】増田 湧希
【テーマコード(参考)】
4B022
【Fターム(参考)】
4B022LA01
4B022LA03
4B022LA05
4B022LA06
4B022LA07
4B022LA08
4B022LN10
4B022LT06
(57)【要約】
【課題】解凍後の食材の再現性が良く、かつコスト的に有利な食材冷凍システムを提供する。
【解決手段】食材冷凍システムは、-30℃以下まで食材を冷凍することが可能な第1急速冷凍機30と、-50℃以下まで食材を冷凍することが可能な第2急速冷凍機40と、を備え、第1急速冷凍機30は、食材を0℃まで冷却し、第2急速冷凍機40は、0℃から-5℃までの間を10分以下の冷凍速度で冷凍する。第1急速冷凍機30は、冷風を食材に吹き付けて冷却を行い、第2急速冷凍機40は、冷風を食材に吹き付けて冷凍を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-30℃以下まで食材を冷凍することが可能な第1急速冷凍機と、
-50℃以下まで食材を冷凍することが可能な第2急速冷凍機と、
を備え、
前記第1急速冷凍機は、食材を0℃まで冷却し、
前記第2急速冷凍機は、0℃から-5℃までの間を10分以下の冷凍速度で冷凍する食材冷凍システム。
【請求項2】
前記第1急速冷凍機は、冷風を食材に吹き付けて冷却を行い、
前記第2急速冷凍機は、冷風を食材に吹き付けて冷凍を行う請求項1に記載の食材冷凍システム。
【請求項3】
前記第1急速冷凍機は、加熱されて調理された食材をそのまま0℃まで冷却する請求項1又は2に記載の食材冷凍システム。
【請求項4】
-30℃以下まで食材を冷凍することが可能な第1急速冷凍機と、
-50℃以下まで食材を冷凍することが可能な第2急速冷凍機と、
を備えた食材冷凍システムを用いた食材冷凍方法であって、
前記第1急速冷凍機によって、食材を0℃まで冷却し、
前記第2急速冷凍機によって、0℃から-5℃までの間を10分以下の冷凍速度で冷凍する食材冷凍方法。
【請求項5】
前記第1急速冷凍機によって、加熱されて調理された食材をそのまま0℃まで冷却する請求項4に記載の食材冷凍方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材冷凍システム及び食材冷凍方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、食材を冷却部で約1~4℃まで冷却した後に、冷凍部で-60℃~-89℃程度まで冷凍することが開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には、約1~4℃まで冷却部で食材を冷却し、それ以降の冷凍を冷凍部で行うことが開示されているものの、解凍後の食材の再現性の良い冷凍方法については具体的な開示がない。
また、特許文献1では、食材の冷却と冷凍を行う場合に、どのような冷凍機を組み合わせればコスト的に有利であるかについての検討もなされていない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、解凍後の食材の再現性が良く、かつコスト的に有利な食材冷凍システム及び食材冷凍方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の食材冷凍システムは、-30℃以下まで食材を冷凍することが可能な第1急速冷凍機と、-50℃以下まで食材を冷凍することが可能な第2急速冷凍機と、を備え、前記第1急速冷凍機は、食材を0℃まで冷却し、前記第2急速冷凍機は、0℃から-5℃までの間を10分以下の冷凍速度で冷凍する。
【0007】
-50℃以下まで食材を冷凍することが可能な第2急速冷凍機によって0℃から-5℃までの間を10分以下の冷凍速度で急速冷凍するので、冷凍された食材を解凍したときの再現性を高くすることができる。特に、0℃から-5℃までの潜熱を食材から奪う場合に、第1急速冷凍機よりも冷凍能力が高い第2急速冷凍機を用いることとしたので、冷凍速度を大きくすることができる。
食材を0℃まで冷却する冷凍機として-30℃以下まで食材を冷凍することが可能な第1急速冷凍機を用いることとしたので、既存の食材冷凍システムとして第1急速冷凍機に相当する冷凍装置を備えている場合には、第2急速冷凍機を追設するだけで本発明の食材冷凍システムを実現することができ、コスト的に有利である。
第2急速冷凍機で行われる冷凍速度は、より好ましくは、0℃から-5℃までの間を5分以下の冷凍速度とされる。
【0008】
本発明の食材冷凍システムでは、前記第1急速冷凍機は、冷風を食材に吹き付けて冷却を行い、前記第2急速冷凍機は、冷風を食材に吹き付けて冷凍を行う。
【0009】
食材に冷風を吹き付けるエアブラストによって冷却ないし冷凍を行うこととした。例えば-35℃程度のアルコール等のブラインを食材に接触させて冷却する場合には、冷却速度を大きくできるものの、食材とブラインを直接接触させないために食材を袋で覆う必要がある。これに比べて、本発明によれば食材を袋で覆う必要がないので、食材の種類や形態に依存しない冷凍を行うことができる。例えば、盛付けした見た目の美しさを保ったままの状態で食材をそのまま冷凍することができる。
【0010】
本発明の食材冷凍システムでは、前記第1急速冷凍機は、加熱されて調理された食材をそのまま0℃まで冷却する。
【0011】
第1急速冷凍機によって、加熱されて調理された食材をそのまま0℃まで冷却する。すなわち、調理されて湯気が立った状態の食材を急冷する。これにより、湯気が出ている間に急速冷却して湯気を閉じ込めることで、食材の美味しさをできたての状態で保存することができる。
【0012】
本発明の食材冷凍方法は、-30℃以下まで食材を冷凍することが可能な第1急速冷凍機と、-50℃以下まで食材を冷凍することが可能な第2急速冷凍機と、を備えた食材冷凍システムを用いた食材冷凍方法であって、前記第1急速冷凍機によって、食材を0℃まで冷却し、前記第2急速冷凍機によって、0℃から-5℃までの間を10分以下の冷凍速度で冷凍する。
【0013】
本発明の食材冷凍方法では、前記第1急速冷凍機によって、加熱されて調理された食材をそのまま0℃まで冷却する。
【発明の効果】
【0014】
解凍後の食材の再現性が良く、かつコスト的に有利な食材冷凍システム及び食材冷凍方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る食材冷凍システムを用いた工程を示したフローチャートである。
【
図2】
図1の食材冷凍システムを用いて食材を凍結させた際の食材の温度履歴を示したグラフである。
【
図3】
図2のグラフの0℃から-5℃までの氷結生成温度帯における温度履歴を示したグラフである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る食材冷凍システムを用いた工程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態の食材冷凍システム1が示されている。食材としては、野菜、魚介類、食肉、フルーツ、米、麦等のあらゆる食材が含まれる。
図1に示すように、食材冷凍システム1は、前処理装置10と、加温装置20と、第1急速冷凍機30と、第2急速冷凍機40とを備えている。前処理装置10、加温装置20、第1急速冷凍機30及び第2急速冷凍機40は、この順番で接続されている。
【0017】
前処理装置10は、前処理工程を行い、食材を洗浄し、且つ/又は、食材を切断する。
【0018】
加温装置20は、加温工程を行い、食材を所定温度まで加温して処理する。例えば、食材を75℃以上89℃以下、好ましくは85℃以上89℃以下に加温する。
【0019】
第1急速冷凍機30は低温急速凍結機とも称される。第1急速冷凍機30は、冷却工程を行い、加温工程にて加温された食材を0℃まで冷却する。第1急速冷凍機30は、例えば庫内で冷風を循環させて食材を冷凍するものであり、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが用いられる。この場合、第1急速冷凍機30は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、これらを制御する制御装置とを備えている。蒸発器によって冷媒が熱を奪うことによって冷風が生成される。第1急速冷凍機30は、食材を-35℃以下、例えば-35℃から-40℃の範囲まで食材を冷凍する能力を有している。
【0020】
第1急速冷凍機30として、食品冷凍工場にて既に導入されている低温急速凍結機をそのまま用いることができる。この場合には、新たに第1急速冷凍機30として低温急速凍結機を導入する必要がない。
【0021】
第2急速冷凍機40は超低温急速凍結機とも称される。第2急速冷凍機40は、冷凍工程を行い、食材を冷凍する。第2急速冷凍機40は、例えば庫内で冷風を循環させて食材を冷凍するものであり、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが用いられる。この場合、第2急速冷凍機40は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、これらを制御する制御装置とを備えている。蒸発器によって冷媒が熱を奪うことによって冷風が生成される。
【0022】
第2急速冷凍機40は、食材を-50℃以下、例えば-60℃から-70℃の範囲まで冷凍する能力を有している。第2急速冷凍機40は、食材を0℃から-5℃までを30分以下で食材を急速冷凍できる冷凍速度が用いられる。好ましくは、0℃から-5℃までの間を10分以下、より好ましくは5分以下の冷凍速度で急速冷凍する。
【0023】
第1急速冷凍機30として食品冷凍工場にて既に低温急速凍結機が導入されている場合には、第2急速冷凍機40として新たに超低温急速凍結機を導入するだけでよい。
【0024】
第2急速冷凍機40で冷凍された食材は、図示しない冷凍庫にて冷凍保存される。冷凍庫の保存温度としては、-15℃以下とされる。なお、-18℃以下で保存しても良い。マグロ、カツオ、ブリなどのように-18℃程度でも変色する食材の場合は、-50℃以下または-60℃以下で保存することが好ましい。
【0025】
上述した第1急速冷凍機30及び第2急速冷凍機40を制御する制御装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0026】
図2には、
図1で説明した第1急速冷凍機30及び第2急速冷凍機40を用いて食材の冷凍を行った場合の食材の温度履歴が示されている。
図2に示されているように、冷却工程では、第1急速冷凍機30によって0℃まで食材の冷却が行われる。このように、0℃までの顕熱を第1急速冷凍機30によって冷却する。
【0027】
第1急速冷凍機30によって0℃まで冷却された食材は、第2急速冷凍機40へと導かれ冷凍が行われる。冷凍工程では、
図2に示されているように、急速冷凍が行われる。具体的には、
図3に示したように、0℃から-5℃までの温度域を10分以下、好ましくは5分以下で通過するように食材から潜熱を奪い急速冷凍する。これにより、0℃から-5℃までの氷結生成温度帯を素早く通過させる。
【0028】
0℃から-5℃までの温度域を通過した後は、第2急速冷凍機40によって所望の到達温度まで冷却される(顕熱冷却)。食材によって到達温度が予め決定され、この到達温度となるように制御部が第2急速冷凍機40を制御する。
【0029】
本実施形態による作用効果は以下の通りである。
-50℃以下まで食材を冷凍することが可能な第2急速冷凍機40によって0℃から-5℃までの間を10分以下の冷凍速度で冷凍するので、冷凍された食材を解凍したときの再現性を高くすることができる。特に、0℃から-5℃までの潜熱を食材から奪う場合に、第1急速冷凍機30よりも冷凍能力が高い第2急速冷凍機40を用いることとしたので、冷凍速度を大きくすることができる。
食材を0℃まで冷却する冷凍機として-30℃以下まで食材を冷凍することが可能な第1急速冷凍機30を用いることとしたので、既存の食材冷凍システムとして第1急速冷凍機30に相当する冷凍機を備えている場合には、第2急速冷凍機40を追設するだけで本実施形態の食材冷凍システム1を実現することができ、コスト的に有利である。
【0030】
第1急速冷凍機30及び第2急速冷凍機40を用いて食材に冷風を吹き付けて冷却ないし冷凍を行うこととした。例えば-35℃程度のアルコール等のブラインを食材に接触させて冷却する場合には、冷却速度を大きくできるものの、食材とブラインを直接接触させないために食材を袋で覆う必要がある。これに比べて、本実施形態によれば食材を袋で覆う必要がないので、食材の種類や形態に依存しない冷凍を行うことができる。例えば、盛付けした見た目の美しさを保ったままの状態で食材をそのまま冷凍することができる。
【0031】
<実施例1>
氷結生成温度帯(0℃から-5℃)を-50℃以下の超低温急速凍結機(第2急速冷凍機40)を用いて最短時間で通過させた場合の再現性の確認、すなわち美味しさの官能検査を行った。
【0032】
以下の表1は、参考例を示し、本実施形態の第2急速冷凍機40の位置に、-35℃から-40℃の低温急速凍結機を用いた場合を示す。
以下の表において、◎は良い、△は許容範囲、×は悪い、を示す。
食材の解凍方法については、使用するシチュエーションを想定し、レンジアップ、湯煎、流水、氷水、冷蔵庫、自然解凍で行った。
【0033】
【0034】
以下の表2は、本実施形態に相当し、-50℃以下まで食材を冷凍することが可能な第2急速冷凍機40を用いて氷結生成温度帯(0℃から-5℃)を参考例よりも速く(10分以下で)通過させた場合を示す。
【0035】
【0036】
上記の表2の通り、氷結生成温度帯を超低温の-50℃以下で通過させた場合、美味しさ、食味、食感、ドリップ無し、色の綺麗さなど凍結前と遜色ないレベルであり、高い再現性が確認された。
【0037】
このように、氷結生成温度帯を如何に短時間で通過させるのかが美味しさを決定する要因となることが分かる。表1の結果と比較すれば明らかなように、氷結生成温度帯をできるだけ短時間で通過させることが冷凍食品の美味しさに繋がる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、第1急速冷凍機30として-35℃から-40℃の範囲まで冷却する能力を有している低温急速凍結機を使用したが、
図4に示すように、第1急速冷凍機30として-60℃から-70℃の範囲まで冷却する能力を有している超低温急速凍結機を使用しても良い。例えば、食品冷凍工場にて既に第2急速冷凍機40と同等の能力を有する超低温急速凍結機を有している場合には、その超低温急速凍結機を第1急速冷凍機30として流用し、新規の第2急速冷凍機40を追設するだけで良い。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、第1実施形態のように食材を前処理して加温した後に冷却及び冷凍を行うのではなく、加熱調理した食材をそのまま冷却及び冷凍を行う。
【0040】
第1急速冷凍機30によって0℃まで冷却を行い、第2急速冷凍機40によって急速凍結する点は第1実施形態と同様なので、その説明を省略する。
【0041】
図5に示すように、食材冷凍システム1’は、加熱調理装置50と、第1急速冷凍機30と、第2急速冷凍機40とを備えている。本実施形態では、加熱調理装置50によって食材を調理したのち、そのまま自然冷却せず(粗熱をとらずに)に例えば湯気が立った状態で食材を第1急速冷凍機30によって急速冷却する。食材としては、フライパンやオーブンで調理した肉料理や魚料理、フライヤーで揚げた揚げ物や天ぷら、鍋料理、ラーメン、うどん、そば、焼きたての焼き芋やパンなども含まれる。また、皿に盛り付けした状態の料理も含まれる。
【0042】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
第1急速冷凍機30によって、加熱されて調理された食材をそのまま0℃まで冷却することとした。すなわち、調理されて湯気が立った状態の食材を急冷することとした。これにより、湯気が出ている間に急速冷却して湯気を閉じ込めることで、食材の美味しさをできたての状態で保存することができる。
【0043】
本発明者等は、解凍後にでき立ての状態を再現するためには、第2急速冷凍機40による本冷凍前の第1急速冷凍機30による冷却が急速であることが有効であることを見出した。すなわち、湯気が立った状態の熱々で第1急速冷凍機30へ投入することで風味を閉じ込めることができる。
従来の常識ないし慣習では、粗熱除去を行うことに急速凍結機を使用していなかった。従来は、室内放置などで冷ましてから急速凍結していたので、美味しさ(風味)ができ立てより落ちていた。
好ましくは、湯気が立ちのぼる状態で、-60℃まで冷却可能な第1急速冷凍機30の冷風が有効である。こちらの方が有効に湯気を閉じ込めて美味しさを再現することができるからである。凍結時に氷結サイズが超微細なパウダーアイスに近づき食感が良くなるからである。もちろん、-35℃程度の冷凍能力の第1急速冷凍機30でも良い。
これに対して、液体(アルコール)を用いた凍結では、熱々の食材を入れると、液体に熱が移り連続的に冷却を行うことが困難となる。
本実施形態のようにエアブラストによる冷却ないし凍結を行う場合は、庫内温度は熱々の物を入れるほど、冷却時間が多少長くなるだけで、食材の表面は常に、例えば-60℃の冷風が連続して当たっています。これにより、食材から湯気が立ち上るのを最小限度で閉じ込めることができ、解凍時にはでき立ての美味しさが再現されます。
【0044】
<実施例2>
・焼芋(紅はるか)
オーブンでじっくり焼き上げた焼き芋を、自然冷却せずにそのまま第1急速冷凍機30によって急速冷却し、第2急速冷凍機40によって急速凍結した。これを解凍して美味しさの官能検査を行った。焼きたての美味しさに再現され、風味を閉じ込められていることが確認できた。
これに対して、焼き上げた焼き芋を自然冷却で冷ました後に、第1急速冷凍機30で急速冷却し、第2急速冷凍機40で急速冷凍を行った。しかし、上記ほど美味しさは再現されなかった。
【0045】
・フランスパン
焼きたてのフランスパンを、自然冷却せずにそのまま第1急速冷凍機30によって急速冷却し、第2急速冷凍機40によって急速凍結した。これを解凍して美味しさの官能検査を行った。焼きたての美味しさに再現され、風味を閉じ込められていることが確認できた。
これに対して、焼きたてのフランスパンを自然冷却で冷ました後に、第1急速冷凍機30で急速冷却し、第2急速冷凍機40で急速冷凍を行った。しかし、上記ほど美味しさは再現されなかった。
【符号の説明】
【0046】
1 食材冷凍システム
10 前処理装置
20 加温装置
30 第1急速冷凍機
40 第2急速冷凍機
50 加熱調理装置