(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084308
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】自動製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
F25C1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198501
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】真田 智之
(72)【発明者】
【氏名】門脇 静馬
(72)【発明者】
【氏名】富永 祐之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐真
(57)【要約】
【課題】薬剤の供給部材を必要なときに探す手間と時間を短かくすることができると共に、供給部材を紛失等するのを防ぐことができる自動製氷機を提供する。
【解決手段】箱体12の内部に、製氷水タンク18が配設される。フロントパネル14に、収納部24が設けられる。収納部24には、箱体12の内部および外部に延出する挿通部26が設けられ、挿通部26の挿入孔に前側から供給部材32を差し込むことで、供給部材32の通路34が製氷水タンク18に連通し、通路34を介して薬剤を製氷水タンク18に供給可能となる。収納部24に係止部が設けられ、挿入孔から抜き外した供給部材32は、係止部によって収納部24内に保持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷水タンクが箱体の内部に配設された自動製氷機であって、
前記箱体に、箱体外部に開口する挿入孔が設けられ、該挿入孔に箱体外部から差し込んだ供給部材を介して前記製氷水タンクに薬剤を供給するよう構成されると共に、
前記箱体に、前記供給部材を収納可能な収納部を設けた
ことを特徴とする自動製氷機。
【請求項2】
前記収納部の内部に、前記挿入孔を設けた請求項1記載の自動製氷機。
【請求項3】
前記収納部の内部に、前記供給部材に設けた被係止部を着脱可能に係止する係止部を設けた請求項1または2記載の自動製氷機。
【請求項4】
前記供給部材に、該供給部材を前記挿入孔に差し込んだ際に該挿入孔の開口端に当接して位置決めする前記被係止部としての規制部が設けられ、
前記挿入孔から抜き外した前記供給部材は、前記係止部に前記規制部を係止することで収納部内に保持されるよう構成した請求項3記載の自動製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製氷水の循環経路に、供給部材を介して薬剤を供給するよう構成した自動製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
喫茶店やレストラン等の施設その他の厨房で好適に使用される自動製氷機として、外部水道源から製氷水タンクに供給して貯留した製氷水を、冷凍機構により冷却される製氷部に循環ポンプで供給して該製氷部で氷を生成し、製氷部で氷結しなかった製氷水を製氷水タンクに回収して再循環するよう構成された水循環式の自動製氷機が知られている。製氷水タンクと製氷部との間で製氷水を循環する自動製氷機では、製氷水として用いる水道水に含まれるカルキやミネラル分などの不純物が、製氷水の循環経路にスケールとして経時的に付着するため、薬液を用いた定期的な洗浄を行い得るように、薬液を製氷水タンクに自動で供給する薬液供給手段を設けた自動製氷機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の自動製氷機では、薬液を貯留する薬液タンク、薬液タンクから製氷水タンクへ薬液を供給する薬液ポンプ、その他の電磁弁や配管等からなる薬液供給手段を配設するために構造が複雑になると共に、薬液供給手段のメンテナンスが必要となる難点が指摘される。
【0005】
そこで本出願人は、上記問題を解決するため、先に出願した特願2022-52775号において、製氷部および製氷水タンクが内部に配設される箱体に、外部に開口する挿入孔を設け、該挿入孔に対して箱体外部から差し込んだ供給部材によって、製氷水タンクに液状や固形状の薬剤を供給するよう構成した発明を提案した。しかし、供給部材は、薬液洗浄を行う際に必要となるものであることから、当該供給部材を使用しないときに箱体外部に載置したり自動製氷機から離れた別の場所に保管しておくと、供給部材が必要なときに該供給部材を探す手間と無駄な時間が掛かってしまったり、供給部材を紛失等したりする課題があった。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、薬剤の供給部材を必要なときに探す手間と時間を短かくすることができると共に、供給部材を紛失等するのを防ぐことができる自動製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る自動製氷機は、
製氷水タンク(18)が箱体(12)の内部に配設された自動製氷機であって、
前記箱体(12)に、箱体外部に開口する挿入孔(26a)が設けられ、該挿入孔(26a)に箱体外部から差し込んだ供給部材(32)を介して前記製氷水タンク(18)に薬剤を供給するよう構成されると共に、
前記箱体(12)に、前記供給部材(32)を収納可能な収納部(24)を設けたことを要旨とする。
請求項1の発明では、箱体に、薬剤の供給部材を収納する収納部を設けたので、供給部材を必要なときに探す手間や時間を短かくすることができると共に、供給部材が紛失等するのを効果的に防ぐことができる。また、供給部材を自動製氷機から離れた別の場所に保管する場合は、該供給部材が誤って廃棄されてしまうおそれがあるが、自動製氷機自体に設けた収納部に供給部材を収納しておくことで、該供給部材が誤って廃棄されるのを防ぐことができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記収納部(24)の内部に、前記挿入孔(26a)を設けたことを要旨とする。
請求項2の発明では、収納部に、供給部材を用いて製氷水タンクに薬剤を供給するための挿入孔を設けたので、供給部材が必要なときに該供給部材を探す手間や時間を省くことができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記収納部(24)の内部に、前記供給部材(32)に設けた被係止部(36,41,44,46)を着脱可能に係止する係止部(37,40,42,44,45,47)を設けたことを要旨とする。
請求項3の発明では、供給部材を、収納部内に係止して収納保管するようにしたので、供給部材が収納部内から落下して破損したり、汚れたりするのを防ぐことができる。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記供給部材(32)に、該供給部材(32)を前記挿入孔(26a)に差し込んだ際に該挿入孔(26a)の開口端に当接して位置決めする前記被係止部としての規制部(36)が設けられ、
前記挿入孔(26a)から抜き外した前記供給部材(32)は、前記係止部(37,47)に前記規制部(36)を係止することで収納部(32)内に保持されるよう構成したことを要旨とする。
請求項4の発明では、挿入孔に差し込んだ供給部材を位置決めするよう供給部材に設けた規制部を利用し、該供給部材を収納部内に係止するようにしたので、係止部に係止するための専用の被係止部を供給部材に設ける必要はなく、供給部材の構成を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る自動製氷機によれば、薬剤の供給部材を必要なときに探す手間や時間を短かくすることができると共に、供給部材が紛失等するのを効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の自動製氷機を切り欠いて示す概略斜視図である。
【
図2】実施例1の自動製氷機の要部縦断側面図である。
【
図3】実施例1の供給部材を収納部から取り外した状態で示す概略斜視図である。
【
図4】実施例1の供給部材を収納部に収納した状態で示す概略正面図である。
【
図6】収納部と供給部材との係止構造の第1別実施例を示す縦断面図である。
【
図7】収納部と供給部材との係止構造の第2別実施例を示す横断面図である。
【
図8】収納部と供給部材との係止構造の第3別実施例を示す横断面図である。
【
図9】収納部と供給部材との係止構造の第4別実施例を示す概略斜視図である。
【
図10】実施例2の自動製氷機を示す要部概略斜視図である。
【
図11】実施例2の自動製氷機を、供給部材を挿入孔に差し込んだ状態で示す要部縦断側面図である。
【
図12】実施例2の自動製氷機を、挿入孔の入口を栓で塞いた状態で示す要部縦断側面図である。
【
図13】実施例2の箱状部材の別実施例を正面から見た概略斜視図である。
【
図14】
図13に示す別実施例の箱状部材を横断して示す概略斜視図である。
【
図15】
図13に示す別実施例の箱状部材を縦断して示す概略斜視図である。
【
図16】実施例3の自動製氷機を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る自動製氷機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、自動製氷機として、所謂クローズドセルタイプの製氷機構を備えた噴射式の自動製氷機を挙げて説明する。
【実施例0014】
実施例1の自動製氷機は、内部に貯氷室が画成された図示しない貯氷庫に、
図1に示す製氷ユニット10を載置したスタックオンタイプであって、製氷ユニット10は、製氷機構11および冷凍機構(図示せず)と、両機構11を内部に収容する箱体12とから構成される。箱体12は、前方、上方および下方に開口する本体13と、該本体13の前部開口13aを塞ぐように本体13に着脱自在に取り付けられるフロントパネル(壁部材)14と、該本体13の上部開口13bを塞ぐように本体13に着脱自在に取り付けられるトップパネル(壁部材)15と、から構成され、製氷機構11で製造された氷塊(氷)は、本体13の下部開口を介して貯氷室内に放出される。
【0015】
前記製氷機構11は、
図1、
図2に示す如く、製氷部16、水皿17および製氷水タンク18等から構成され、前記箱体12(本体13)の内部上方に水平に配設した取付部材19の下方に、下向き(一方)に開口する多数の製氷小室(製氷室)を画成した製氷部16が固定支持される。製氷部16の上面には、冷凍機構を構成する蒸発器20が密着的に蛇行配置され、製氷工程時に冷媒を循環させて製氷部16を強制冷却し、除氷工程時に高温冷媒(ホットガス)を循環させて製氷部16を加熱するよう構成される。また、製氷部16の下方に、取付部材19に回動可能に枢支された水皿17が位置し、該水皿17の下側に、外部水道源から供給される製氷水を貯留する製氷水タンク18が一体的に配設されている。水皿17は、図示しない傾動機構によって、製氷部16の各製氷小室の下面を塞いだ閉成位置と、製氷小室の下面を開放して該製氷小室からの氷塊の放出を許容する開放位置との間で傾動される。
【0016】
前記水皿17には、各製氷小室と対応する位置に、製氷水タンク18内の製氷水を製氷部16の各製氷小室へ噴射するための噴射孔および製氷部16へ供給されて氷結に至らなかった製氷水(未氷結水)を製氷水タンク18へ戻す戻り孔が夫々開設されている。また、製氷水タンク18に、該製氷水タンク18に貯留されている製氷水を水皿17に供給する循環ポンプ21が配設されており、該循環ポンプ21によって水皿17に供給された製氷水は、該水皿17に設けた噴射孔から製氷部16の各製氷小室に噴射供給される。そして、製氷部16で氷結しなかった製氷水は、戻り孔を介して製氷水タンク18に回収され、再度の循環に供される。実施例1では、製氷水タンク18、製氷部16、水皿17および製氷水タンク18と水皿17とを循環ポンプ21を介して接続して製氷水が流通する管体(図示せず)が、製氷水タンク18と製氷部16との間で製氷水が循環する循環経路となる。また、前記製氷機構11の下方には、該製氷機構11から流下する排水(製氷残水、オーバーフロー水、結露水等)を受けるドレンパン22が配設されており、該ドレンパン22で受けた排水は機外へ排出される。
【0017】
図1、
図2に示す如く、前記製氷水タンク18における前記フロントパネル14を向く前壁(後述する挿入孔26aに臨む部位)18aには、前後および上方に開放する略U字状の受容部23が、前方に向けて所定長さで延出するように設けられている。また、フロントパネル14(箱体12)には、製氷水タンク18の受容部23と対応する位置に、収納部24が設けられている。収納部24は、
図3、
図4に示す如く、フロントパネル14に取り付けられる箱状部材25と、該箱状部材25に設けられて箱体12の内部および外部に延出する筒状の挿通部26と、箱状部材25に回動自在に支持されて該箱状部材25の前方に開放する開口(前開口)25aを開閉可能に塞ぐ開閉部材27と、を備え、該開閉部材27で前開口25aを塞ぐことで箱状部材25内に収納室28が画成される。箱状部材25は、前方に開口する箱状に形成された本体部29の前側外周縁に、外方に延出するフランジ30が形成された部材であって、フロントパネル14に形成されて内外方向に貫通する貫通孔に本体部29を前側から挿入し、フランジ30がフロントパネル14の前面に当接した状態でフロントパネル14に取り付けられている。すなわち、収納部24に画成される収納室28は、フロントパネル14の前面より箱体内側に位置している。なお、本体部29における箱体内に臨む外面には断熱材50が貼り付けられている。
【0018】
図1~
図4に示す如く、前記箱状部材25の本体部29における奥壁29aに、前記挿通部26が設けられている。挿通部26に内部画成される挿入孔26aは、箱体12の内外で開口し、後述する供給部材32における筒状本体33を、箱体外部から挿脱可能に差し込み得るよう構成される。なお、挿入孔26aの断面形状は、供給部材32の後述する筒状本体33の短手方向の断面形状と同じ長円形に形成されている。挿通部26は、奥壁29aから後側(箱体内側)に延出する後側部分26bが箱体12の内部に所定長さで延出すると共に、挿通部26における前側(箱体外側)に延出する前側部分26cの前端は、前記収納室28内に位置するよう設定されている。また、挿通部26は、前記受容部23より上方に位置すると共に、該挿通部26は、箱体12の外側(前側)から内側(後側)に向けて下方傾斜するよう形成されており、挿入孔26aに差し込まれた供給部材32を、外側端(入口側端部)から内側端(出口側端部)に向けて下方傾斜する姿勢で支持するよう構成される。また、挿通部26の上部側には、前端から後方に向けて所定長さで延在するガイド溝26dが形成されている。挿通部26の前側部分26cは、挿通部26における上下方向の下半分を樋状にして前側に延出するように形成された部分であって、挿通部26の上半分の前端は、奥壁29aの内面と面一となっており、ガイド溝26dの前端(入口)も奥壁29aの内面と面一になっている。
【0019】
図3、
図4に示す如く、前記開閉部材27は、左右方向の一側縁(実施例1では右側縁)が箱状部材25に枢支されており、該開閉部材27の他側縁(左側縁)には、開閉部材27の開放用の引っ掛け部27aが設けられている。また、箱状部材25における開閉部材27の他側縁と対応する側縁に弾性変形可能な係止爪31が設けられており、開閉部材27を閉成した際に他側縁が係止爪31に係止されて、開閉部材27は閉成状態に保持されるよう構成される。そして、引っ掛け部27aに指を引っ掛けて手前側に引くことで、係止爪31による係止が解除されて開閉部材27が回動して前開口25aが開放される。
【0020】
前記挿入孔26aに挿脱可能な供給部材32は、
図3~
図5に示す如く、所定長さ寸法の筒状に形成された筒状本体33を備え、該筒状本体33内に、長手方向に沿って通路34が画成されており、筒状本体33の長手方向の一端部(入口側端部)が、通路34の入口34aとされると共に、他端部が通路34の出口34bとされる。筒状本体33は、短手方向(径方向)の断面が小判状の長円形に形成されている。また、筒状本体33の一端部(入口側端部)には、長円における長軸方向の一端側から樋状の受部33aが所定長さで設けられ、該受部33aで受けた薬剤が入口34aから通路34に入るよう構成される。筒状本体33における出口側の上側(長軸方向の他端側)に、前記挿通部26におけるガイド溝26dに挿入可能な突条部35が、長手方向に沿って所定長さで形成されている。また、筒状本体33の外周には、入口側端から出口側端側に所定長さ離れた位置に、外方に向けて突出する被係止部としての規制部36が全周に亘って設けられている。そして、突条部35をガイド溝26dに挿入可能な周方向の向き(筒状本体33の長軸方向が上下方向となる向き)で供給部材32を挿入孔26aに差し込み、規制部36が挿通部26の前側部分26cにおける前端(挿入孔26aの開口端)に当接した位置で、供給部材32は、出口側端部が前記受容部23に支持された位置に位置決めされると共に、箱体12の外部に臨む受部33aは開放部が斜め上向きとなるように支持される(
図2参照)。すなわち、挿入孔26aに供給部材32を差し込み、箱体12の外部に臨む入口34a(受部33a)から固形状または液状の薬剤を供給することで、該薬剤は供給部材32の通路34を通って製氷水タンク18に供給される。実施例1では、突条部35およびガイド溝26dが、挿入孔26aに供給部材32を差し込む際の該供給部材32の周方向の向きを規定する手段として構成される。なお、前記挿通部26の傾斜角度は、挿入孔26aに差し込まれた供給部材32の入口側から出口側に向けた傾斜角度が、入口34aに供給された固形状の薬剤(錠剤)がスムーズに出口34bから製氷水タンク18内に落下し得る角度となるよう設定される。
【0021】
図3、
図4に示す如く、前記箱状部材25には、前記供給部材32を、前記収納室28の内部に収納可能に保持する係止部37が設けられている。実施例1では、前記挿通部26の配設位置より下側において、前記奥壁29aから前方に突出すると共に左右方向に離間する2つの係止片37a,37aから係止部37が構成される。2つの係止片37a,37aは、供給部材32における筒状本体33の挿通は可能で、かつ前記規制部36は挿通できない距離で離間し、係止片37a,37aの間に挿入した筒状本体33の規制部36を係止片37a,37aの上側に係止することで、供給部材32は収納室28内において縦向きの姿勢で保持される。実施例1では、2つの係止片37a,37aの離間距離は、筒状本体33の短軸方向の長さより長く、かつ長軸方向の長さより短く設定されており、筒状本体33を長軸方向が前後方向となる向きとすることで、2つの係止片37a,37aの間を筒状本体33が前後方向に挿脱可能に構成される。なお、係止部37は、奥壁29aにおいて左右方向の一方側(左側)に偏った位置に設けられて、係止部37に規制部36が係止された供給部材32の規制部36から上方に延在する部分(入口側部分)が前記挿通部26に接触しないよう構成される。また、箱状部材25における本体部29の底壁29bから係止部37までの高さは、該係止部37に規制部36が係止された供給部材32の下端(出口側端)が底壁29bに接触しない寸法に設定されている。更に、収納室28の奥行き(前後長さ)は、係止部37で保持された供給部材32が、閉成した開閉部材27に接触しない寸法に設定されている。箱状部材25には、供給部材32の不使用時において、前記挿通部26における挿入孔26aの入口を塞ぐためのゴム製の栓38が、チェーン39を介して自由に移動可能に取り付けられている。
【0022】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係る自動製氷機の作用について説明する。
【0023】
自動製氷機において薬液洗浄運転を行う場合は、前記開閉部材27を開放し、前記フロントパネル14(箱体12)の外側から前記供給部材32を、筒状本体33における出口側端部から前記挿通部26の挿入孔26aに差し込む。この際に、供給部材32の突条部35を挿通部26のガイド溝26dに挿入し、前記規制部36が挿通部26の前側部分26cに当接するまで供給部材32を挿入孔26aに差し込むことで、
図2に示す如く、該供給部材32の出口側端部は、前記製氷水タンク18の受容部23に受容される位置に位置決めされる。また、挿通部26に挿通された供給部材32は、前記受部33aが、開放部を斜め上向きとした姿勢でフロントパネル14(箱体12)の前方に所定長さで突出するので、該受部33aに、固形状あるいは液状の薬剤を供給すると、該薬剤は、供給部材32の通路34を通って製氷水タンク18に供給される。供給された薬剤が固形状であれば、製氷水タンク18に供給される水に溶けて薬液となり、供給された薬剤が液状であれば、製氷水タンク18に供給される水で稀釈された薬液となって製氷水タンク18内に貯留される。
【0024】
薬剤を供給後、供給部材32を挿入孔26aから抜き外し、縦向き姿勢とした供給部材32の筒状本体33を前記係止片37a,37aの間に前側から挿入したもとで、該係止片37a,37aの上側に前記規制部36を係止することで、当該供給部材32は収納室28内に収納保持される。そして、開閉部材27を閉成して前開口25aを塞ぐことで、供給部材32は衛生的に保管される。
【0025】
実施例1の自動製氷機では、前記フロントパネル14(箱体12)に、薬剤を製氷水タンク18に供給するために用いられる供給部材32を収納する収納部24を設けたので、供給部材32を必要なときに探す手間や時間を短かくすることができると共に、供給部材32が紛失等するのを効果的に防ぐことができる。また、収納部24に、製氷水タンク18に薬剤を供給するために供給部材32を差し込む挿入孔26aを設けてあるので、供給部材32が必要なときに該供給部材32を探す手間や時間を省くことができる。なお、供給部材32を自動製氷機から離れた別の場所に保管する場合は、該供給部材32が誤って廃棄されてしまうおそれがあるが、自動製氷機自体に設けた収納部24に供給部材32を収納しておくことで、該供給部材32が誤って廃棄されるのを防ぐことができる。
【0026】
実施例1の自動製氷機では、供給部材32は、規制部36と係止部37との係止構造によって収納室28内に保持されるので、供給部材32の収納室28からの出し入れが容易であると共に、開閉部材27を開放した際に収納室28内から供給部材32が落下することもなく、供給部材32が床に落ちて破損したり汚れたりするのを防ぐことができる。また、収納部24に、前記前開口25aを常には閉成する開閉部材27を設けているので、挿入孔26aや供給部材32を使用しないときには、開閉部材27を開成しておけば挿入孔26aや供給部材32が塵埃等により汚れるのを防ぐことができ、衛生的である。また、挿通部26の前側部分26cは収納室28内に位置して箱体12の外部に突出しないので、薬液洗浄運転を行う以外の場合に、挿通部26に使用者の手指が誤って引っ掛かったり触れるのを防ぐことができる。更に、開閉部材27を閉成しておけば、挿入孔26aを隠すことができ、見た目を良好とすることができる。
【0027】
実施例1の自動製氷機では、挿入孔26aに差し込んだ供給部材32の差し込み方向の位置決めを行う規制部36を、前記係止部37に係止する被係止部として用いているので、該係止部37に係止する専用の被係止部を供給部材32に設ける必要はなく、供給部材32の構成が複雑となったりコストが高くなるのを抑えることができる。また、挿入孔26aに差し込んだ供給部材32は、規制部36によって出口側端部が、受容部23で受容される位置に位置決めされるので、供給部材32を差し込み過ぎたり、差し込み不足となって薬剤が適切に製氷水タンク18に供給されない事態が生ずるのを防ぐことができる。更に、供給部材32は、前記突条部35が前記挿通部26のガイド溝26dに挿入可能な周方向の向きでないと挿入孔26aに差し込みできないので、挿入孔26aに対して供給部材32を差し込む周方向の向きを誤まることはない。また、供給部材32の筒状本体33は、短手方向の断面が長円形となるよう形成してあるので、対応する断面形状の挿入孔26aに筒状本体33が差し込まれた供給部材32が周方向に変位するのは規制され、供給部材32は、受部33aが開放部を斜め上向きとした姿勢に保持される。
【0028】
(別実施例について)
図6~
図9は、実施例1の別実施例を示すものである。
図6~
図9に示す別実施例は、実施例1における供給部材32を収納部24に係止保持する構造が異なるのみで、その他の構成は同じであるので、各別実施例に関しては、実施例1と異なる部分のついてのみ説明し、実施例1と同一部材には同じ符号を付して説明は省略する。
【0029】
(第1別実施例について)
図6に示す第1別実施例では、前記箱状部材25における本体部29の奥壁29aに、前方に向けて突出する係止部としての1つのボス40が設けられている。また、前記供給部材32の筒状本体33には、前記規制部36より入口側の外周部に、前記ボス40が挿脱可能な被係止部としての係止孔41が形成されている。なお、係止孔41は、前記挿入孔26aに筒状本体33を差し込んだ姿勢において、上側に位置する部分(前記突条部35が設けられている同じ側)に設けられ、供給部材32を介して液状の薬剤を供給する場合に該薬剤が係止孔41から滴下しないよう構成される。
【0030】
ここで、第1別実施例の供給部材32を収納室内に係止保持させる際は、前記係止孔41が後側に位置するために作業者から見え難い。そこで、第1別実施例では、ボス40と、該ボス40の真下に位置する前記箱状部材25の底壁29bとの離間高さを、供給部材32の係止孔41から下端までの高さと一致するよう構成した。これにより、供給部材32の下端を底壁29bに当接すれば、供給部材32の係止孔41をボス40の高さに一致させることができ、係止孔41が後側に位置する姿勢であっても該係止孔41にボス40を容易に挿入させることができ、供給部材32の係止作業が容易となる。
【0031】
(第2別実施例について)
図7に示す第2別実施例では、前記箱状部材25における本体部29の奥壁29aに、前方に向けて突出する係止部42が設けられている。該係止部42は、左右方向に離間する2つの係止部材43,43から構成され、各係止部材43には、相互に離反する側に係止溝43aが形成されている。また、前記供給部材32の筒状本体33に、該筒状本体33から外方に突出すると共に左右方向に離間する被係止部としての一対の爪部材44,44が弾性変形可能に設けられている。各爪部材44の突出端部側には、相互に対向する側に突出する爪44aが形成されており、各爪部材44の爪44aを、対応する係止部材43の係止溝43aに係止することで、供給部材32を収納室28内に係止保持し得るよう構成される。そして、爪部材44または係止部材43を弾性変形して爪44aと係止溝43aとの係止状態を解除することで、供給部材32を係止部42から取り外すことができる。
【0032】
(第3別実施例について)
図8に示す第3別実施例では、前記箱状部材25における本体部29の奥壁29aに、上下方向に延在する係止部としてのあり溝45が形成されると共に、前記供給部材32の筒状本体33に、前記あり溝45に摺動可能に嵌り込むT字形状の被係止部としての突部46が設けられている。なお、あり溝45は、上端が開放すると共に下端は閉塞されている。そして、供給部材32の突部46をあり溝45に上方から嵌め込むことで、該供給部材32は収納室28内に係止保持され、該突部46をあり溝45から上方に引き抜くことで、供給部材32を収納室28から取り出すことができる。なお、奥壁29aのあり溝45を、左右方向に延在する構成として、該あり溝45に左右方向の何れか一方の端から嵌り込むT字形状の突部46を供給部材32に設ける構成を採用することもできる。
【0033】
前記第2別実施例における係止部材43と爪部材44、第3別実施例におけるあり溝45と突部46は、供給部材32および奥壁29aの何れか一方に係止部材43やあり溝45を設け、他方に爪部材44や突部46を設ける構成を採用することができる。
【0034】
(第4別実施例について)
図9に示す第4別実施例では、前記箱状部材25における本体部29における幅方向に対向する側壁間に、板状の補強部材47が架設されると共に、該補強部材47に、前端から奥側に向けて凹む切欠き47aが設けられる。第4別実施例では、前記供給部材32における筒状本体33を切欠き47aに前側に挿入し、前記規制部36を補強部材47の上面に係止することで、供給部材32を収納室28内に係止保持することができ、筒状本体33を切欠き47aから前方に引き抜くことで、供給部材32を収納室28から取り出すことができる。第4別実施例では、切欠き47aを画成する補強部材47が係止部として機能する。
【0035】
第4別実施例の自動製氷機では、箱状部材25に補強部材47を設けたので、該箱状部材25の成形時のソリ発生を防ぐことができ、開閉部材27が閉まらなくなったり、外観が悪くなるのを防ぐことができる。また、補強部材47を、供給部材32を収納室28内に係止保持する係止部として用いることで、供給部材32を係止保持するための専用の部材を箱状部材25に設ける必要はなく、構成を簡単にできる。なお、補強部材47は、本体部29の上下方向に離間して複数設けることができる。
【0036】
実施例1、第1別実施例~第3別実施例で示した供給部材32を収納部24に係止保持する構成における係止部は、図示例では箱状部材25の奥壁29aに設けたが、該係止部を箱状部材25の側壁または開閉部材27の裏面(収納室側を向く面)に設ける構成を採用することができる。
実施例2に係る自動製氷機によれば、実施例1と同様な作用効果が得られる。また、箱状部材25内に溜った結露水等をガイド溝26dを介してドレンパン22に排出し得るよう構成したので、箱状部材25の内部や収納室28に収納した供給部材32等が、溜った結露水等で汚れるのを防ぐことができる。また、供給部材32の周方向の向きを規定するためのガイド溝26dを、結露水等を排出する排水孔として機能するよう構成したので、結露水等を排出する専用の排水孔を箱状部材25の奥壁29a等に設ける場合に比べて、構成が簡単でコストアップにならない。
ここで、箱状部材25の本体部29における箱体内に臨む外面には断熱材50が貼り付けられているため、箱状部材25の奥壁29aにおける挿通部26が設けられる箇所以外の部分に排水孔を設けようとすると、断熱材50の形状が複雑となるが、挿通部26に設けたガイド溝26dを排水孔として機能させることで、断熱材50の形状が複雑にならずに箱状部材25の内部から結露水等を排出することができる。
実施例2では、ガイド溝26dからドレンパン22に結露水等を直接排出するよう構成したが、ドレンパン22とは別に、水を箱体外またはドレンパン22に排出する排水経路を箱体内に設け、該排水経路にガイド溝26dからの結露水等を排出する構成を採用することができる。
別実施例に係る箱状部材25は、奥壁29aに、箱状部材25内で生じた結露水等を挿通部26に設けたガイド溝26dに向けて流下するよう案内する排水溝51を設けたので、箱状部材25内に結露水等が溜るのを効果的に防ぐことができ、箱状部材25の内部や収納室28に収納されている供給部材32を汚すことなく衛生的に保つことができる。