IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車載用電源装置 図1
  • 特開-車載用電源装置 図2
  • 特開-車載用電源装置 図3
  • 特開-車載用電源装置 図4
  • 特開-車載用電源装置 図5
  • 特開-車載用電源装置 図6
  • 特開-車載用電源装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084315
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】車載用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/00 20060101AFI20240618BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240618BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240618BHJP
【FI】
H02H7/00 L
H02J7/00 P
H02J7/00 S
B60L3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198517
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昂大
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】柳田 泰次
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G053AA05
5G053BA04
5G053DA01
5G053EC01
5G053FA05
5G503BA01
5G503BB01
5G503BB02
5G503BB03
5G503FA06
5G503FA17
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BB00
5H125EE68
(57)【要約】
【課題】リレーを含む装置の長寿命化を図りやすくする。
【解決手段】車載用電源装置10は、車載用電源システム100に用いられる。車載用電源システム100は、バッテリ20と、コンデンサ22と、バッテリ20とコンデンサ22との間に設けられる電力路21と、を備える。車載用電源装置10は、リレー51と、リレー51に対して並列に設けられる並列回路52と、を備える。並列回路52は、並列リレー53と抵抗部54を直列に接続した構成をなす。リレー51と並列回路52で構成されるリレー回路50は、バッテリと20コンデンサ22との間において電力路21に複数設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、コンデンサと、前記バッテリと前記コンデンサとの間に設けられる電力路と、を備える車載用電源システムに用いられる車載用電源装置であって、
リレーと、
前記リレーに対して並列に設けられる並列回路と、を備え、
前記並列回路は、並列リレーと抵抗部を直列に接続した構成をなし、
前記リレーと前記並列回路で構成されるリレー回路は、前記バッテリと前記コンデンサとの間において前記電力路に複数設けられる
車載用電源装置。
【請求項2】
複数の前記リレー回路を制御する制御部を備え、
複数の前記リレー回路は、前記電力路において互いに直列に設けられ、
前記制御部は、
前記バッテリの充放電を開始させる開始条件が成立した場合に、複数の前記リレー回路のうち切替対象の前記リレー回路の前記並列リレーをオン状態に制御し且つ前記切替対象でない前記リレー回路の前記リレーをオン状態に制御する第1制御を実行し、
前記第1制御の実行中に切替条件が成立した場合に、前記切替対象の前記リレー回路の前記リレーをオン状態に切り替える第2制御を実行する
請求項1に記載の車載用電源装置。
【請求項3】
複数の前記リレー回路を制御する制御部を備え、
複数の前記リレー回路は、前記電力路において互いに並列に設けられ、
前記制御部は、前記バッテリの充放電を開始させる開始条件が成立した場合に、複数の前記リレー回路のうち少なくとも一部の前記リレー回路の前記並列リレーをオン状態に制御した後、複数の前記リレー回路のうち切替対象の前記リレー回路の前記リレーをオン状態に切り替える
請求項1に記載の車載用電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、各々の前記リレーの劣化度を比較し、比較結果に基づいて前記切替対象の前記リレー回路を選択する
請求項2又は請求項3に記載の車載用電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記劣化度の最も小さい前記リレーを有する前記リレー回路を、前記切替対象の前記リレー回路として選択する
請求項4に記載の車載用電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記劣化度として、各々の前記リレーについてオン状態のときの抵抗値を特定する
請求項4に記載の車載用電源装置。
【請求項7】
前記制御部は、所定の順序に従って前記切替対象の前記リレー回路を選択する
請求項2又は請求項3に記載の車載用電源装置。
【請求項8】
前記電力路は、前記バッテリの正極と前記コンデンサの一端との間に設けられる正極側電力線と、前記バッテリの負極と前記コンデンサの他端との間に設けられる負極側電力線と、を有し、
複数の前記リレー回路は、前記正極側電力線に設けられる前記リレー回路と、前記負極側電力線に設けられる前記リレー回路と、を含む
請求項2に記載の車載用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される電池システムは、プリチャージ回路による事前の充電の後、負荷装置と電池とを電気的に接続させるリレーを閉じる。この構成によれば、リレーを閉じたときにリレーに流れる突入電流が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-78196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、突入電流が抑えられたとしても、リレーのオンオフが繰り返されることで、リレーの劣化が進行する。リレーの劣化が進行すると、やがてリレーが使用不能な状態となり、リレーを含む装置の交換が必要となる。
【0005】
本開示は、リレーを含む装置の長寿命化を図りやすい技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載用電源装置は、
バッテリと、コンデンサと、前記バッテリと前記コンデンサとの間に設けられる電力路と、を備える車載用電源システムに用いられる車載用電源装置であって、
リレーと、
前記リレーに対して並列に設けられる並列回路と、を備え、
前記並列回路は、並列リレーと抵抗部を直列に接続した構成をなし、
前記リレーと前記並列回路で構成されるリレー回路は、前記バッテリと前記コンデンサとの間において前記電力路に複数設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術は、リレーを含む装置の長寿命化を図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の車載用電源装置を備えた車載用電源システムを概略的に示す回路図である。
図2図2は、車載用電源装置が切替対象のリレー回路として第1リレー回路を選択して第1制御を実行したときの動作を説明するための説明図である。
図3図3は、車載用電源装置が第2制御を実行したときの動作を説明するための説明図である。
図4図4は、車載用電源装置が切替対象のリレー回路として第2リレー回路を選択して第1制御を実行したときの動作を説明するための説明図である。
図5図5は、第1実施形態の車載用電源装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態の車載用電源装置を備えた車載用電源システムを概略的に示す回路図である。
図7図7は、第3実施形態の車載用電源装置を備えた車載用電源システムを概略的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
【0010】
〔1〕バッテリと、コンデンサと、前記バッテリと前記コンデンサとの間に設けられる電力路と、を備える車載用電源システムに用いられる車載用電源装置であって、
リレーと、
前記リレーに対して並列に設けられる並列回路と、を備え、
前記並列回路は、並列リレーと抵抗部を直列に接続した構成をなし、
前記リレーと前記並列回路で構成されるリレー回路は、前記バッテリと前記コンデンサとの間において前記電力路に複数設けられる
車載用電源装置。
【0011】
上記車載用電源装置は、いずれかのリレー回路の並列回路を利用して電流を抑えつつコンデンサを充電するプリチャージを行うことができる。そして、上記車載用電源装置は、プリチャージ後に当該リレー回路のリレーをオン状態に切り替えることで、リレーに突入電流が流れることを抑えることができる。しかも、上記車載用電源装置は、プリチャージ後にオン状態に切り替えるリレーを、複数のリレー回路の各リレーから選択的に使用することができるため、リレーを含む装置の長寿命化を図りやすい。
【0012】
〔2〕複数の前記リレー回路を制御する制御部を備え、
複数の前記リレー回路は、前記電力路において互いに直列に設けられ、
前記制御部は、
前記バッテリの充放電を開始させる開始条件が成立した場合に、複数の前記リレー回路のうち切替対象の前記リレー回路の前記並列リレーをオン状態に制御し且つ前記切替対象でない前記リレー回路の前記リレーをオン状態に制御する第1制御を実行し、
前記第1制御の実行中に切替条件が成立した場合に、前記切替対象の前記リレー回路の前記リレーをオン状態に切り替える第2制御を実行する
〔1〕に記載の車載用電源装置。
【0013】
上記車載用電源装置は、複数のリレー回路が直列に設けられた構成において、第1制御を実行することでプリチャージを行うことができる。そして、上記車載用電源装置は、プリチャージ後に第2制御を実行することで、リレーに突入電流が流れることを抑えることができる。
【0014】
〔3〕複数の前記リレー回路を制御する制御部を備え、
複数の前記リレー回路は、前記電力路において互いに並列に設けられ、
前記制御部は、前記バッテリの充放電を開始させる開始条件が成立した場合に、複数の前記リレー回路のうち少なくとも一部の前記リレー回路の前記並列リレーをオン状態に制御した後、複数の前記リレー回路のうち切替対象の前記リレー回路の前記リレーをオン状態に切り替える
〔1〕に記載の車載用電源装置。
【0015】
上記車載用電源装置は、複数のリレー回路が並列に設けられた構成において、少なくとも一部の並列リレーをオン状態に制御することでプリチャージを行うことができる。そして、上記車載用電源装置は、プリチャージ後に切替対象のリレー回路のリレーをオン状態に切り替えることで、リレーに突入電流が流れることを抑えることができる。
【0016】
〔4〕前記制御部は、各々の前記リレーの劣化度を比較し、比較結果に基づいて前記切替対象の前記リレー回路を選択する
〔2〕又は〔3〕に記載の車載用電源装置。
【0017】
上記車載用電源装置は、切替対象のリレー回路の選択に、リレーの劣化度の比較結果を反映させることができる。
【0018】
〔5〕前記制御部は、前記劣化度の最も小さい前記リレーを有する前記リレー回路を、前記切替対象の前記リレー回路として選択する
〔4〕に記載の車載用電源装置。
【0019】
上記車載用電源装置は、各リレーを均等に劣化させやすいため、リレーを含む装置の長寿命化をより確実に実現することができる。
【0020】
〔6〕前記制御部は、前記劣化度として、各々の前記リレーについてオン状態のときの抵抗値を特定する
〔4〕又は〔5〕に記載の車載用電源装置。
【0021】
上記車載用電源装置は、各リレーのオン状態のときの抵抗値を劣化度として用いることができる。
【0022】
〔7〕前記制御部は、所定の順序に従って前記切替対象の前記リレー回路を選択する
〔2〕又は〔3〕に記載の車載用電源装置。
【0023】
上記車載用電源装置は、所定の順序に従って切替対象のリレー回路を選択するため、各リレーを均等に劣化させやすい。
【0024】
〔8〕前記電力路は、前記バッテリの正極と前記コンデンサの一端との間に設けられる正極側電力線と、前記バッテリの負極と前記コンデンサの他端との間に設けられる負極側電力線と、を有し、
複数の前記リレー回路は、前記正極側電力線に設けられる前記リレー回路と、前記負極側電力線に設けられる前記リレー回路と、を含む
〔2〕、〔4〕から〔7〕のいずれか一つに記載の車載用電源装置。
【0025】
上記車載用電源装置は、正極側電力線と負極側電力線の各々にリレーを設けることができ、各々に設けたリレーを利用して複数のリレー回路を構成することができる。
【0026】
<第1実施形態>
1.車載用電源システム100の構成
図1には、車載用電源装置10を備えた車載用電源システム100が示されている。車載用電源システム100は、図示しない車両に用いられる。車両は、電気自動車であってもよいし、エンジン車であってもよいし、ハイブリッド車であってもよい。車載用電源システム100は、車載用電源装置10の他に、バッテリ20と、電力路21と、コンデンサ22と、を備える。
【0027】
バッテリ20は、リチウムイオンバッテリであってもよいし、鉛バッテリであってもよいし、その他のバッテリであってもよい。
【0028】
電力路21は、バッテリ20に基づく電力が供給される電気経路である。電力路21は、バッテリ20とコンデンサ22との間に設けられる。電力路21は、正極側電力線30と、負極側電力線31と、を有する。正極側電力線30は、バッテリ20の正極とコンデンサ22の一端との間に設けられる。正極側電力線30には、バッテリ20の正極側の端子が電気的に接続される。負極側電力線31は、バッテリ20の負極とコンデンサ22の他端との間に設けられる。負極側電力線31には、バッテリ20の負極側の端子が電気的に接続される。バッテリ20の負極側の端子は、グラウンドに電気的に接続される。電力路21(より具体的には、正極側電力線30)には、バッテリ20の出力電圧が印加される。なお、本明細書において、電圧とは、特に記載が無い限り、グラウンド電位を基準とした電位差のことである。
【0029】
コンデンサ22は、電力路21に電気的に接続される。コンデンサ22は、正極側電力線30と負極側電力線31との間に設けられる。コンデンサ22の一端は、正極側電力線30に電気的に接続される。コンデンサ22の他端は、負極側電力線31に電気的に接続される。コンデンサ22には、バッテリ20に基づく電力が、電力路21を介して供給される。コンデンサ22は、バッテリ20に基づいて電力路21に印加された電圧を平滑化する。
【0030】
コンデンサ22は、本実施形態では、車載用電源システム100に設けられる駆動部40の一部として構成される。駆動部40は、コンデンサ22の他に、インバータ41と、モータ42と、を含む。コンデンサ22は、インバータ41よりもバッテリ20側に設けられる。コンデンサ22は、バッテリ20に基づく電圧を平滑化してインバータ41に供給する。インバータ41は、電力路21に電気的に接続される。インバータ41は、バッテリ20から供給される電圧に基づく直流電圧から交流電圧(例えば三相交流)を生成し、モータ42に供給する。モータ42は、例えば主機系モータである。モータ42は、バッテリ20から供給される電力に基づいて回転し、車両の車輪に対して回転力を与える装置である。
【0031】
車載用電源装置10は、車載用電源システム100に用いられる。車載用電源装置10は、複数のリレー回路50を備える。リレー回路50は、リレー51と、リレー51に対して並列に設けられる並列回路52と、を備える。リレー51は、接点を有する機械式のリレーである。並列回路52は、リレー51に対して並列に接続される。並列回路52は、並列リレー53と抵抗部54を直列に接続した構成をなす。並列リレー53は、接点を有する機械式のリレーであってもよいし、FET(Field Effect Transistor)などの半導体スイッチを含むリレーであってもよい。抵抗部54は、例えば公知の抵抗器によって構成される。
【0032】
複数のリレー回路50は、バッテリ20とコンデンサ22との間において電力路21に設けられる。複数のリレー回路50は、電力路21において直列に設けられる。複数のリレー回路50は、正極側電力線30に設けられる第1リレー回路50Aと、負極側電力線31に設けられる第2リレー回路50Bと、を含む。
【0033】
第1リレー回路50Aは、リレー51の一例に相当する第1リレー51Aと、並列回路52の一例に相当する第1並列回路52Aと、を備える。第1リレー51Aは、バッテリ20(より具体的には、バッテリ20の正極)とコンデンサ22(より具体的には、コンデンサ22の一端)との間に設けられる。第1リレー51Aは、オン状態のときにバッテリ20(より具体的には、バッテリ20の正極)とコンデンサ22(より具体的には、コンデンサ22の一端)とを導通させ、オフ状態のときにバッテリ20(より具体的には、バッテリ20の正極)とコンデンサ22(より具体的には、コンデンサ22の一端)との間を遮断する。第1リレー51Aは、システムメインリレーである。第1並列回路52Aは、第1並列リレー53Aと第1抵抗部54Aを直列に接続した構成をなす。第1並列リレー53Aは、並列リレー53の一例に相当する。第1抵抗部54Aは、抵抗部54の一例に相当する。
【0034】
正極側電力線30は、第1リレー51Aよりもバッテリ20側に設けられる第1正極側電力線32と、第1リレー51Aよりもコンデンサ22側に設けられる第2正極側電力線33と、を有する。第1正極側電力線32の一端は、バッテリ20の正極側の端子に電気的に接続される。第1正極側電力線32の他端は、第1リレー51Aの一端に電気的に接続される。第2正極側電力線33の一端は、第1リレー51Aの他端に電気的に接続される。第2正極側電力線33の他端は、コンデンサ22の一端に電気的に接続される。
【0035】
第1リレー51Aの一端は、バッテリ20の正極側の端子に短絡した構成でバッテリ20の正極側の端子に電気的に接続される。第1リレー51Aの他端は、コンデンサ22の一端に短絡した構成でコンデンサ22の一端に電気的に接続される。第1リレー51Aがオン状態のときに、第1正極側電力線32と第2正極側電力線33が第1リレー51Aを介して導通する。第1リレー51Aがオフ状態のときに、第1リレー51Aを介した第1正極側電力線32と第2正極側電力線33との導通状態が解除される。第1並列回路52Aの一端は、第1正極側電力線32に短絡した構成で第1正極側電力線32に電気的に接続される。つまり、第1並列回路52Aの一端は、バッテリ20の正極側の端子及び第1リレー51Aの一端に短絡した構成でバッテリ20の正極側の端子及び第1リレー51Aの一端に電気的に接続される。第1並列回路52Aの他端は、第2正極側電力線33に短絡した構成で第2正極側電力線33に電気的に接続される。つまり、第1並列回路52Aの他端は、第1リレー51Aの他端及びコンデンサ22の一端に短絡した構成で第1リレー51Aの他端及びコンデンサ22の一端に電気的に接続される。
【0036】
第2リレー回路50Bは、リレー51の一例に相当する第2リレー51Bと、並列回路52の一例に相当する第2並列回路52Bと、を備える。第2リレー51Bは、バッテリ20(より具体的には、バッテリ20の負極)とコンデンサ22(より具体的には、コンデンサ22の他端)との間に設けられる。第2リレー51Bは、オン状態のときにバッテリ20(より具体的には、バッテリ20の負極)とコンデンサ22(より具体的には、コンデンサ22の他端)とを導通させ、オフ状態のときにバッテリ20(より具体的には、バッテリ20の負極)とコンデンサ22(より具体的には、コンデンサ22の他端)との間を遮断する。第2リレー51Bは、システムメインリレーである。第2並列回路52Bは、第2並列リレー53Bと第2抵抗部54Bを直列に接続した構成をなす。第2並列リレー53Bは、並列リレー53の一例に相当する。第2抵抗部54Bは、抵抗部54の一例に相当する。
【0037】
負極側電力線31は、第2リレー51Bよりもバッテリ20側に設けられる第1負極側電力線34と、第2リレー51Bよりもコンデンサ22側に設けられる第2負極側電力線35と、を有する。第1負極側電力線34の一端は、バッテリ20の負極側の端子に電気的に接続される。第2負極側電力線35の他端は、第2リレー51Bの一端に電気的に接続される。第2負極側電力線35の一端は、第2リレー51Bの他端に電気的に接続される。第2負極側電力線35の他端は、コンデンサ22の他端に電気的に接続される。
【0038】
第2リレー51Bの一端は、バッテリ20の負極側の端子に短絡した構成でバッテリ20の負極側の端子に電気的に接続される。第2リレー51Bの他端は、コンデンサ22の他端に短絡した構成でコンデンサ22の他端に電気的に接続される。第2リレー51Bがオン状態のときに、第1負極側電力線34と第2負極側電力線35が第2リレー51Bを介して導通する。第2リレー51Bがオフ状態のときに、第1負極側電力線34と第2負極側電力線35の第2リレー51Bを介した導通状態が解除される。第2並列回路52Bの一端は、第1負極側電力線34に短絡した構成で第1負極側電力線34に電気的に接続される。つまり、第2並列回路52Bの一端は、バッテリ20の負極側の端子及び第2リレー51Bの一端に短絡した構成でバッテリ20の負極側の端子及び第2リレー51Bの一端に電気的に接続される。第2並列回路52Bの他端は、第2負極側電力線35に短絡した構成で第2負極側電力線35に電気的に接続される。つまり、第2並列回路52Bの他端は、第2リレー51Bの他端及びコンデンサ22の他端に短絡した構成で第2リレー51Bの他端及びコンデンサ22の他端に電気的に接続される。
【0039】
2.制御部71の構成
車載用電源装置10は、制御部71と、電流検出部72と、電圧検出部74と、コンデンサ電圧検出部76と、温度検出部77と、を備える。
【0040】
制御部71は、例えば集積回路などの制御回路を含んで構成される。制御部71は、CPUなどの処理部、メモリなどの記憶部、入出力部などを含む。
【0041】
電流検出部72は、例えば公知の電流センサとして構成される。電流検出部72は、電力路21を流れる電流の値を検出する。電流検出部72は、電力路21のうちリレー回路50を除く経路を流れる電流の値を検出する。電流検出部72は、第1並列リレー53Aがオン状態で第2リレー51Bがオン状態のときに、第1並列回路52Aを流れる電流の値を検出する。また、電流検出部72は、第2並列リレー53Bがオン状態で第1リレー51Aがオン状態のときに、第2並列回路52Bを流れる電流の値を検出する。電流検出部72は、検出値を特定可能な信号を出力する。制御部71は、電流検出部72の出力信号に基づいて、電力路21(より具体的には、電力路21のうちリレー回路50を除く経路)を流れる電流の値を特定する。制御部71は、第1並列回路52Aを用いてコンデンサ22を充電しているときの検出値を特定することで、第1並列回路52Aを流れる電流の値を特定する。また、制御部71は、第2並列回路52Bを用いてコンデンサ22を充電しているときの検出値を特定することで、第2並列回路52Bを流れる電流の値を特定する。
【0042】
電圧検出部74は、例えば公知の電圧検出回路として構成される。電圧検出部74は、各々のリレー51に対して個別に設けられ、対応するリレー51の両端の電位差を検出する。電圧検出部74は、第1リレー51Aに対して設けられる第1電圧検出部74Aと、第2リレー51Bに対して設けられる第2電圧検出部74Bと、を含む。各々の電圧検出部74は、検出値を特定可能な信号を出力する。制御部71は、各々の電圧検出部74の出力信号に基づいて、各々のリレー51の両端の電位差を特定する。
【0043】
コンデンサ電圧検出部76は、例えば公知の電圧検出回路として構成される。コンデンサ電圧検出部76は、コンデンサ22の電圧を検出する。コンデンサ電圧検出部76は、検出値を特定可能な信号を出力する。制御部71は、コンデンサ電圧検出部76の出力信号に基づいて、コンデンサ22の電圧を特定する。
【0044】
温度検出部77は、各々のリレー51に対して個別に設けられ、対応するリレー51のオン状態のときの接点の温度を検出する。温度検出部77は、第1リレー51Aに対して設けられる第1温度検出部77Aと、第2リレー51Bに対して設けられる第2温度検出部77Bと、を含む。各々の温度検出部77は、検出値を特定可能な信号を出力する。制御部71は、各々の温度検出部77の出力信号に基づいて、各々のリレー51のオン状態のときの接点の温度を特定する。
【0045】
制御部71は、第1リレー回路50Aと、第2リレー回路50Bとを制御する。つまり、制御部71は、第1リレー51A、第1並列リレー53A、第2リレー51B、及び第2並列リレー53B、を制御する。
【0046】
制御部71は、バッテリ20の充放電を開始させる開始条件が成立した場合に第1制御を実行する。開始条件は、例えば車両が始動状態に切り替わったことである。車両の始動状態とは、例えば、始動スイッチ(例えば、イグニッションスイッチ、パワースイッチなど)がオン状態に切り替わったことである。制御部71は、例えば、始動スイッチのオンオフ状態を示すオンオフ信号を直接又は他の制御装置を介して取得することで、始動スイッチのオンオフ状態を特定する。
【0047】
開始条件が成立した時点では、第1リレー51A、第1並列リレー53A、第2リレー51B、及び第2並列リレー53Bがオフ状態になっている。第1制御は、いずれかの並列回路52を用いて、電流を抑えつつコンデンサ22を充電するための制御である。第1制御は、複数のリレー回路50のうち切替対象のリレー回路50の並列リレー53をオン状態に制御し且つ切替対象でないリレー回路50のリレー51をオン状態に制御する制御である。より具体的には、第1制御は、複数のリレー回路50のうち切替対象のリレー回路50についてリレー51をオフ状態に維持しつつ並列リレー53をオン状態に切り替え、且つ切替対象でないリレー回路50について並列リレー53をオフ状態に維持しつつリレー51をオン状態に切り替える制御である。第1制御が実行されることで、抵抗部54で電流を抑えつつコンデンサ22が充電され、コンデンサ22の電圧が次第に上昇する。コンデンサ22の電圧が上昇するにつれて、コンデンサ22の電圧とバッテリ20の電圧との差が小さくなる。その結果、切替対象のリレー回路50のリレー51の両端の電位差が小さくなる。
【0048】
制御部71は、第1制御の実行中に切替条件が成立した場合に、第2制御を実行する。第2制御は、切替対象のリレー回路50のリレー51をオン状態に切り替える制御である。第2制御は、切替対象でないリレー回路50についてリレー51をオン状態に維持しつつ並列リレー53をオフ状態に維持し、切替対象のリレー回路50についてリレー51をオン状態に切り替えるとともに並列リレー53をオフ状態に切り替える制御である。並列リレー53をオフ状態に切り替えるタイミングは、リレー51をオン状態に切り替えるタイミングよりも後であることが好ましい。第2制御が実行されることで、より大きい電力がバッテリ20側からコンデンサ22側に供給される。
【0049】
切替条件は、切替対象のリレー回路50のリレー51の両端の電位差が所定値以下になったことであってもよいし、切替対象のリレー回路50の並列リレー53を流れる電流の値が所定値以下になったことであってもよいし、第1制御の開始から所定時間が経過したことであってもよいし、コンデンサ22の電圧が所定値以上になったことであってもよいし、その他の条件であってもよい。
【0050】
制御部71は、切替対象のリレー回路50が第1リレー回路50Aである場合、以下の様に第1制御及び第2制御を実行する。制御部71は、第1制御において、第1リレー回路50Aの第1並列リレー53Aをオン状態に制御し且つ第2リレー回路50Bの第2リレー51Bをオン状態に制御する。より具体的には、制御部71は、第1リレー51Aをオフ状態に維持しつつ第1並列リレー53Aをオン状態に切り替え、第2並列リレー53Bをオフ状態に維持しつつ第2リレー51Bをオン状態に切り替える。これにより、図2に示すように、バッテリ20からの電流が第1抵抗部54Aで抑えられ、コンデンサ22に供給される。制御部71は、第1制御の実行中に切替条件が成立した場合に、第2制御を実行する。制御部71は、第2制御において、第1リレー回路50Aの第1リレー51Aをオン状態に切り替える。より具体的には、制御部71は、第2リレー51Bのオン状態及び第2並列リレー53Bのオフ状態を維持しつつ、第1リレー51Aをオン状態に切り替え、第1並列リレー53Aをオフ状態に切り替える。これにより、図3に示すように、第1リレー51Aへの突入電流を抑えつつ、第1リレー51Aをオン状態に切り替えることができる。そして、より大きな電力がバッテリ20側からコンデンサ22側に供給される。
【0051】
制御部71は、切替対象のリレー回路50が第2リレー回路50Bである場合、以下の様に第1制御及び第2制御を実行する。制御部71は、第1制御において、第2リレー回路50Bの第2並列リレー53Bをオン状態に制御し且つ第1リレー回路50Aの第1リレー51Aをオン状態に制御する。より具体的には、制御部71は、第2リレー51Bをオフ状態に維持しつつ第2並列リレー53Bをオン状態に切り替え、第1並列リレー53Aをオフ状態に維持しつつ第1リレー51Aをオン状態に切り替える。これにより、図4に示すように、バッテリ20からの電流が第2抵抗部54Bで抑えられ、コンデンサ22に供給される。制御部71は、第1制御の実行中に切替条件が成立した場合に、第2制御を実行する。制御部71は、第2制御において、第2リレー回路50Bの第2リレー51Bをオン状態に切り替える。より具体的には、制御部71は、第1リレー51Aのオン状態及び第1並列リレー53Aのオフ状態を維持しつつ、第2リレー51Bをオン状態に切り替え、第2並列リレー53Bをオフ状態に切り替える。これにより、第2リレー51Bへの突入電流を抑えつつ、第2リレー51Bをオン状態に切り替えることができる。そして、より大きな電力がバッテリ20側からコンデンサ22側に供給される。
【0052】
制御部71は、各々のリレー51の劣化度を比較し、比較結果に基づいて切替対象のリレー回路50を選択する。制御部71は、劣化度の最も小さいリレー51を有するリレー回路50を、切替対象のリレー回路50として選択する。
【0053】
3.劣化度について
リレー51の劣化度は、例えば、リレー51がオン状態であるときのリレー51の両端の電位差、リレー51のオン状態のときの抵抗値、リレー51の動作回数、リレー51のオン状態のときの温度(より具体的には、リレーの接点の温度)、これらの複数の組み合わせ、などに基づいて特定される。リレー51の劣化度は、これらの値そのものであってもよいし、これらの値を演算式に代入して得られる値であってもよい。
【0054】
リレー51の劣化度は、リレー51の両端の電位差が大きいほど大きい。リレー51の劣化度は、リレー51のオン状態のときの抵抗値が大きいほど大きい。リレー51の劣化度は、リレー51の動作回数が大きいほど大きい。リレー51の劣化度は、リレー51を流れる電流の値が一定と仮定した場合、リレー51のオン状態のときの温度が大きいほど大きい。
【0055】
制御部71は、リレー51の両端の電位差を特定する方法として、例えば第2制御の実行中(つまり、第1リレー51A及び第2リレー51Bがオン状態であるとき)において、第1リレー51A及び第2リレー51Bの両端の電位差を特定する。
【0056】
制御部71は、リレー51のオン状態のときの抵抗値を特定する方法として、例えば第2制御の実行中(つまり、第1リレー51A及び第2リレー51Bがオン状態であるとき)において、第1リレー51A及び第2リレー51Bの両端の電位差、及び電力路21を流れる電流の値を特定する。そして、制御部71は、特定した電位差と電流の値とに基づいて各々のリレー51の抵抗値を特定する。なお、第2制御の実行中とは、第1制御の実行後のことであり、車両が始動状態に切り替わった後のことである。
【0057】
制御部71は、リレー51の動作回数を特定する方法として、例えば、第2制御においてオン状態に切り替わった回数をリレー51ごとにカウントする。
【0058】
制御部71は、リレー51のオン状態のときの接点の温度を特定する方法として、例えば第2制御の実行中(つまり、第1リレー51A及び第2リレー51Bがオン状態であるとき)において、温度検出部77の出力信号に基づいて各々のリレー51のオン状態のときの接点の温度を特定する。
【0059】
4.車載用電源装置10の動作
制御部71は、例えば制御部71を構成する制御回路の起動時に、図5に示す処理を開始する。制御部71は、ステップS101にて、バッテリ20の充放電を開始させる開始条件が成立したか否かを判定する。制御部71は、開始条件が成立していない場合(ステップS101にてNoの場合)、開始条件が成立するまでステップS101の処理を繰り返す。制御部71は、開始条件が成立した場合(ステップS101にてYesの場合)、ステップS102にて、切替対象のリレー回路50を選択する。
【0060】
制御部71は、前回のステップS106の処理で特定したリレー51の劣化度に基づいて、切替対象のリレー回路50を選択する。つまり、制御部71は、前回の第2制御の実行中に特定したリレー51の劣化度に基づいて、切替対象のリレー回路50を選択する。なお、制御部71は、最初に切替対象のリレー回路50を選択する場合、予め定められたリレー回路50を、切替対象のリレー回路50として選択する。
【0061】
制御部71は、切替対象のリレー回路50を選択した後、ステップS103にて、上述した第1制御を開始する。制御部71は、第1制御の開始後、ステップS104にて、上述した切替条件が成立したか否かを判定する。制御部71は、切替条件が成立していないと判定した場合(ステップS104にてNoの場合)、切替条件が成立するまでステップS104の処理を繰り返す。制御部71は、切替条件が成立したと判定した場合(ステップS104にてYesの場合)、ステップS105にて、上述した第2制御を開始する。
【0062】
制御部71は、第2制御の開始後、ステップS106にて、各々のリレー51の劣化度を特定する。制御部71は、各々のリレー51の劣化度を特定した後、ステップS107にて、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件は、例えば、バッテリ20の充放電を終了させる条件である。制御部71は、終了条件が成立していないと判定した場合(ステップS107にてNoの場合)、終了条件が成立するまでステップS107の処理を繰り返す。制御部71は、終了条件が成立したと判定した場合(ステップS107にてYesの場合)、ステップS108にて、終了処理を行う。終了処理は、例えば、リレー及び並列リレーの全て(本実施形態では、第1リレー51A、第1並列リレー53A、第2リレー51B、及び第2並列リレー53Bの全て)をオフ状態に制御する処理である。制御部71は、終了処理後、ステップS101の処理に戻る。
【0063】
5.効果の例
車載用電源装置10は、いずれかのリレー回路50の並列回路52を利用して電流を抑えつつコンデンサ22を充電するプリチャージを行うことができる。そして、車載用電源装置10は、プリチャージ後に切替対象のリレー回路50のリレー51をオン状態に切り替えることで、リレー51に突入電流が流れることを抑えることができる。しかも、車載用電源装置10は、プリチャージ後にオン状態に切り替えるリレー51を、複数のリレー回路50の各リレー51から選択的に使用することができるため、リレー51を含む装置の長寿命化を図りやすい。
【0064】
車載用電源装置10は、複数のリレー回路50が直列に設けられた構成において、第1制御を実行することで電流を抑えつつコンデンサ22を充電するプリチャージを行うことができる。そして、車載用電源装置10は、プリチャージ後に第2制御を実行することで、リレー51に突入電流が流れることを抑えることができる。
【0065】
車載用電源装置10は、切替対象のリレー回路50の選択に、リレー51の劣化度の比較結果を反映させることができる。
【0066】
車載用電源装置10は、各リレー51を均等に劣化させやすいため、リレー51を含む装置の長寿命化をより確実に実現することができる。
【0067】
車載用電源装置10は、各リレー51のオン状態のときの抵抗値を劣化度として用いることができる。
【0068】
車載用電源装置10は、正極側電力線30と負極側電力線31の各々にリレー51を設けることができ、各々に設けたリレー51を利用して複数のリレー回路50を構成することができる。
【0069】
<第2実施形態>
第2実施形態では、複数のリレー回路50が正極側電力線30において直列に設けられる例について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0070】
図6には、第2実施形態の車載用電源装置210を備えた車載用電源システム200が示されている。車載用電源システム200は、車載用電源装置210の他に、バッテリ20と、電力路21と、コンデンサ22と、を備える。車載用電源装置210は、複数のリレー回路50と、第3リレー60と、制御部71と、電流検出部72と、電圧検出部74と、コンデンサ電圧検出部76と、温度検出部77と、を備える。複数のリレー回路50は、正極側電力線30において互いに直列に設けられている。
【0071】
第3リレー60は、負極側電力線31に設けられている。第3リレー60は、システムメインリレーである。第3リレー60は、接点を有する機械式のリレーである。第3リレー60は、制御部71によって制御される。
【0072】
制御部71は、第1実施形態で説明した図5の処理を行う。但し、制御部71は、ステップS103にて第1制御を実行する際、第1実施形態で説明した動作に加え、第3リレー60をオン状態に切り替える点で異なる。また、制御部71は、ステップS108にて終了処理を実行する際、第1実施形態で説明した動作に加え、第3リレー60をオフ状態に切り替える点で異なる。制御部71の動作は、その他の点で第1実施形態の制御部71の動作と同じである。
【0073】
第2実施形態の車載用電源装置210においても、いずれかのリレー回路50の並列回路52を利用して電流を抑えつつコンデンサ22を充電するプリチャージを行うことができる。そして、車載用電源装置210は、プリチャージ後に当該リレー回路50のリレー51をオン状態に切り替えることで、リレー51に突入電流が流れることを抑えることができる。しかも、車載用電源装置210は、プリチャージ後にオン状態に切り替えるリレー51を、複数のリレー回路50の各リレー51から選択的に使用することができるため、リレー51を含む装置の長寿命化を図りやすい。
【0074】
<第3実施形態>
第3実施形態では、複数のリレー回路50が電力路21において互いに並列に設けられる例について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0075】
図7には、第3実施形態の車載用電源装置310を備えた車載用電源システム300が示されている。車載用電源システム300は、車載用電源装置310の他に、バッテリ20と、電力路21と、コンデンサ22と、を備える。車載用電源装置310は、複数のリレー回路50と、第3リレー60と、制御部71と、電流検出部72と、電圧検出部74と、コンデンサ電圧検出部76と、温度検出部77と、を備える。複数のリレー回路50は、正極側電力線30において互いに並列に設けられている。
【0076】
第3リレー60は、負極側電力線31に設けられている。第3リレー60は、システムメインリレーである。第3リレー60は、接点を有する機械式のリレーである。第3リレー60は、制御部71によって制御される。
【0077】
制御部71は、バッテリ20の充放電を開始させる開始条件が成立した場合に、複数のリレー回路50のうち少なくとも一部のリレー回路50の並列リレー53をオン状態に制御する。また、制御部71は、第3リレー60もオン状態に制御する。これにより、いずれかの並列回路52を介してバッテリ20からコンデンサ22に電力が供給される。つまり、抵抗部54で電流を抑えられた状態でコンデンサ22が充電される。その後、制御部71は、複数のリレー回路50のうち切替対象のリレー回路50のリレー51をオン状態に切り替える。これにより、より大きい電流がバッテリ20側からコンデンサ22側に供給される。
【0078】
制御部71は、例えば第1実施形態で説明した図5の処理を行う。但し、制御部71は、ステップS103にて第1制御を実行する際、切替対象であるか否かに関わらず少なくとも一部のリレー回路50の並列リレー53をオン状態に切り替え、且つ第3リレー60をオン状態に切り替える。また、制御部71は、ステップS108にて終了処理を実行する際、第1実施形態で説明した動作に加え、第3リレー60をオフ状態に切り替える。制御部71の動作は、その他の点で第1実施形態の制御部71の動作と同じである。
【0079】
第3実施形態の車載用電源装置310は、複数のリレー回路50が並列に設けられた構成において、少なくとも一部の並列リレー53をオン状態に制御することで、電流を抑えつつコンデンサ22を充電するプリチャージを行うことができる。そして、車載用電源装置310は、プリチャージ後に切替対象のリレー回路50のリレー51をオン状態に切り替えることで、リレー51に突入電流が流れることを抑えることができる。
【0080】
<第4実施形態>
第4実施形態では、切替対象のリレー回路50を所定の順序に従って選択する例について説明する。なお、第4実施形態の車載用電源システムは、第1実施形態で説明した図1の構成と同じであるため、図1を参照して説明する。
【0081】
第4実施形態では、制御部71は、所定の順序に従って切替対象のリレー回路50を選択する。例えば、制御部71は、第1リレー回路50A、第2リレー回路50Bの順に切替対象のリレー回路50を選択してもよい。制御部71は、例えば、第1実施形態で説明した図5の処理を行う。制御部71は、切替対象のリレー回路50を、所定の順序に従って毎回切り替えてもよいし、所定条件が成立するごとに所定の順序に従って切り替えてもよい。所定条件は、例えば、切替対象となっているリレー回路50のリレー51を所定回数連続でオン状態に切り替えたことであってもよいし、切替対象となっているリレー回路50のリレー51の劣化度が閾値を超えたことであってもよいし、別の条件であってもよい。
【0082】
第4実施形態の車載用電源装置10は、所定の順序に従って切替対象のリレー回路50を選択するため、各リレー51を均等に劣化させやすい。
【0083】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0084】
上記各実施形態では、リレー回路50の数が2であったが、3以上であってもよい。
【0085】
上記第2実施形態では、複数のリレー回路50が正極側電力線30において直列に設けられる構成であったが、負極側電力線31において直列に設けられる構成であってもよい。
【0086】
上記第3実施形態では、複数のリレー回路50が正極側電力線30において並列に設けられる構成であったが、負極側電力線31において並列に設けられる構成であってもよい。
【0087】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、請求の範囲によって示された範囲内又は請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
10…車載用電源装置
20…バッテリ
21…電力路
22…コンデンサ
30…正極側電力線
31…負極側電力線
32…第1正極側電力線
33…第2正極側電力線
34…第1負極側電力線
35…第2負極側電力線
40…駆動部
41…インバータ
42…モータ
50…リレー回路
50A…第1リレー回路
50B…第2リレー回路
51…リレー
51A…第1リレー
51B…第2リレー
52…並列回路
52A…第1並列回路
52B…第2並列回路
53…並列リレー
53A…第1並列リレー
53B…第2並列リレー
54…抵抗部
54A…第1抵抗部
54B…第2抵抗部
60…第3リレー
71…制御部
72…電流検出部
74…電圧検出部
74A…第1電圧検出部
74B…第2電圧検出部
76…コンデンサ電圧検出部
77…温度検出部
77A…第1温度検出部
77B…第2温度検出部
100…車載用電源システム
200…車載用電源システム
210…車載用電源装置
300…車載用電源システム
310…車載用電源装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7