(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008432
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
F25B1/00 101F
F25B1/00 304P
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110307
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】廣崎 佑
(57)【要約】
【課題】圧縮機の負荷の増大を抑制しつつ、圧縮機から吐出される冷媒の温度を高くする。
【解決手段】空気調和機1は、圧縮機11と、吐出管18を介して圧縮機11に接続される中間熱交換器16と、吸入管17を介して圧縮機11に接続される室外熱交換器14と、中間熱交換器16から供給される冷媒を減圧して室外熱交換器14に供給するメイン膨張弁15と、吐出管18と吸入管17とを接続するバイパス路22の途中に設けられるバイパス膨張弁23と、圧縮機11が吸入管17の冷媒を圧縮して吐出管18に吐出している最中にバイパス膨張弁23を制御し、冷媒がバイパス路22を流れない第1状態と、冷媒がバイパス路22を介して吐出管18から吸入管17に流れる第2状態とを切り替える制御装置とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、
吐出管を介して前記圧縮機に接続される凝縮器と、
吸入管を介して前記圧縮機に接続される蒸発器と、
前記凝縮器から供給される冷媒を減圧して前記蒸発器に供給するメイン膨張弁と、
前記吐出管と前記吸入管とを接続するバイパス路の途中に設けられるバイパス膨張弁と、
前記圧縮機から吐出される吐出冷媒の温度である吐出温度を検出する吐出温度センサと、
前記凝縮器を流れる冷媒の圧力である凝縮圧力を算出する凝縮圧力算出部と、
前記バイパス膨張弁を制御し、冷媒が前記バイパス路を流れない第1状態と、冷媒が前記バイパス路を介して前記吐出管から前記吸入管に流れる第2状態とを切り替える制御部とを備え、
前記制御部は、
冷媒が前記バイパス路を流れないとき、前記吐出温度が所定の目標吐出温度となるように前記メイン膨張弁の開度を制御し、
冷媒が前記バイパス路を流れるとき、前記凝縮圧力が所定の目標凝縮圧力となるように前記メイン膨張弁の開度を制御する、
空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、
冷媒が前記バイパス路を流れないときで、かつ、前記凝縮器を流れる冷媒の温度である凝縮温度が凝縮温度閾値以上であるときで、かつ、前記吐出冷媒の過熱度が第1過熱度閾値以下であるときに、冷媒が前記バイパス路を流れるように、前記バイパス膨張弁を制御し、
冷媒が前記バイパス路を流れるときで、かつ、前記凝縮温度が前記凝縮温度閾値以下であるときで、かつ、前記吐出冷媒の過熱度が、前記第1過熱度閾値より大きい第2過熱度閾値以上であるときに、冷媒が前記バイパス路を流れないように、前記バイパス膨張弁を制御する
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、
冷媒が前記バイパス路を流れないときで、かつ、前記圧縮機が冷媒を圧縮する圧縮比が第1閾値より大きくなったときに、冷媒が前記バイパス路を流れるように、前記バイパス膨張弁を制御し、
冷媒が前記バイパス路を流れるときで、かつ、前記第1閾値より小さい第2閾値より前記圧縮比が小さくなったときに、冷媒が前記バイパス路を流れないように、前記バイパス膨張弁を制御する
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
室内機と室外機とを循環する他の冷媒と室内の空気とを熱交換する室内熱交換器をさらに備え、
前記凝縮器と前記蒸発器とのうちの一方は、前記冷媒と外気とを熱交換し、
前記凝縮器と前記蒸発器とのうちの他方は、前記冷媒と前記他の冷媒とを熱交換する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機の吐出側の冷媒を圧縮機の吸入側に供給するホットガスバイパスのためのバイパス路が設けられた空気調和機が知られている(特許文献1~3)。このような空気調和機は、バイパス路を介して圧縮機の吐出側の冷媒を圧縮機の吸入側に供給することにより、吸入側の冷媒のエンタルピーを増加させて液バック防止や冷媒の寝込み防止を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-112396号公報
【特許文献2】特開2004-020064号公報
【特許文献3】特開2003-156258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮機から吐出される冷媒の吐出温度は、冷媒が同じ圧縮比で圧縮された場合でも、冷媒の種類が異なると、異なることがある。たとえば、R290冷媒は、その性質から、同じ圧縮比で圧縮された場合でも、R32冷媒に比較して、吐出温度が低い。空気調和機は、吐出温度が低くなることにより、凝縮器において空気との温度差が小さくなるため熱交換量が低下する。空気調和機は、圧縮機の回転数を大きくすることで、吐出温度を高くすることができ、凝縮器における熱交換量の低下を抑制することができる。しかしながら、圧縮機の回転数を大きくすると圧縮比が大きくなることがあり、圧縮機の摺動部に加わる負荷が増大し、圧縮機の信頼性が低下するという問題がある。特許文献1~3のように、圧縮機の吐出側の冷媒を圧縮機の吸入側に供給するホットガスバイパスのためのバイパス路を設けることで圧縮機の回転数を大きくすることなく吐出温度を上昇させることが可能だが、何れも吐出温度の過昇を抑制する目的であるため、制御方法に改善の余地がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、圧縮機の負荷の増大を抑制しつつ、圧縮機から吐出される冷媒の温度を高くする空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による空気調和機は、圧縮機と、吐出管を介して前記圧縮機に接続される凝縮器と、吸入管を介して前記圧縮機に接続される蒸発器と、前記凝縮器から供給される冷媒を減圧して前記蒸発器に供給するメイン膨張弁と、前記吐出管と前記吸入管とを接続するバイパス路の途中に設けられるバイパス膨張弁と、前記圧縮機から吐出される吐出冷媒の温度である吐出温度を検出する吐出温度センサと、前記凝縮器を流れる冷媒の圧力である凝縮圧力を算出する凝縮圧力算出部と、前記バイパス膨張弁を制御し、冷媒が前記バイパス路を流れない第1状態と、冷媒が前記バイパス路を介して前記吐出管から前記吸入管に流れる第2状態とを切り替える制御部とを備え、前記制御部は、冷媒が前記バイパス路を流れないとき、前記吐出温度が所定の目標吐出温度となるように前記メイン膨張弁の開度を制御し、冷媒が前記バイパス路を流れるとき、前記凝縮圧力が所定の目標凝縮圧力となるように前記メイン膨張弁の開度を制御する。
【発明の効果】
【0007】
開示の空気調和機は、圧縮機の負荷の増大を抑制しつつ、圧縮機から吐出される冷媒の温度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の空気調和機を示す回路図である。
【
図2】
図2は、実施例1の空気調和機を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、メイン膨張弁とバイパス膨張弁との制御を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、バイパス路に冷媒が流れるときの冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。
【
図5】
図5は、バイパス路に冷媒が流れるときの冷媒の他の状態変化を示すモリエル線図である。
【
図6】
図6は、実施例2の空気調和機のメイン膨張弁とバイパス膨張弁との制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる空気調和機について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
実施例1の空気調和機1は、
図1に示されているように、室外機2と室内機3とを備えている。
図1は、実施例1の空気調和機1を示す回路図である。室外機2は、屋外に設置されている。室内機3は、空気調和機1により冷暖房される室内に設置されている。空気調和機1は、冷媒回路5と水回路6とをさらに備えている。冷媒回路5は、室外機2の内部に配置されている。冷媒回路5は、圧縮機11と四方弁12と室外熱交換器14とメイン膨張弁15と中間熱交換器16とを備えている。
【0011】
冷媒回路5は、吸入管17と吐出管18とを備えている。圧縮機11は、回転体を備え、回転体が回転することにより、吸入管17を介して圧縮機11に供給される気相冷媒を圧縮し、圧縮された気相冷媒を吐出管18に吐出する。圧縮機11が単位時間あたりに冷媒を吐出する量は、回転体の回転数が大きいほど大きい。圧縮機11の内部には、冷凍機油が貯留されている。冷凍機油は、圧縮機11の内部に設けられる摺動部を潤滑し、摺動部に摩耗、焼き付きが発生することを防止する。冷凍機油はさらに、圧縮機11の内部に形成されるクリアランス(微小な隙間)をシールし、クリアランスを介して圧縮機11内部の高圧側から低圧側へ冷媒が漏洩することを防止する。
【0012】
四方弁12は、第1接続口121と第2接続口122と第3接続口123と第4接続口124とを備えている。第1接続口121には、吸入管17が接続され、吸入管17を介して圧縮機11に接続されている。第2接続口122には、吐出管18が接続され、吐出管18を介して圧縮機11に接続されている。第3接続口123には、室外熱交換器14が接続されている。第4接続口124には、冷媒管を介して中間熱交換器16に接続されている。四方弁12は、弁体を備え、弁体が暖房位置に配置されることにより暖房位置に切り替えられ、弁体が冷房位置に配置されることにより冷房位置に切り替えられる。四方弁12が暖房位置に切り替えられているときに、第2接続口122は、第4接続口124と接続され、第3接続口123は、第1接続口121と接続される。四方弁12が冷房位置に切り替えられているときに、第2接続口122は、第3接続口123と接続され、第4接続口124は、第1接続口121と接続される。
【0013】
室外熱交換器14は、冷媒管を介してメイン膨張弁15と接続されている。中間熱交換器16は、冷媒管を介してメイン膨張弁15と接続されている。すなわち、室外熱交換器14は、メイン膨張弁15を介して中間熱交換器16と接続されている。メイン膨張弁15は、開度が調節されることにより、メイン膨張弁15を介して室外熱交換器14と中間熱交換器16との間を流れる冷媒の流量を変える。単位時間あたりに冷媒がメイン膨張弁15を流れる流量は、メイン膨張弁15の開度が大きいほど大きい。
【0014】
冷媒回路5は、バイパス回路21をさらに備えている。バイパス回路21には、バイパス路22が形成されている。バイパス路22の一端は、吐出管18に接続されている。バイパス路22の他端は、吸入管17に接続されている。バイパス回路21は、バイパス膨張弁23を備えている。バイパス膨張弁23は、バイパス路22の途中に設けられている。バイパス膨張弁23は、バイパス路22に冷媒が流れるように吐出管18と吸入管17とを接続したり、バイパス路22に冷媒が流れないようにバイパス路22を遮断したりする。バイパス膨張弁23は、さらに、開度が変更されることにより、単位時間あたりに冷媒がバイパス路22を流れる流量を変更する。単位時間あたりに冷媒がバイパス路22を流れる流量は、バイパス膨張弁23の開度が大きいほど大きい。
【0015】
水回路6は、室内熱交換器25とポンプ26とを備えている。室内熱交換器25は、室内機3の内部に配置されている。室内熱交換器25は、中間熱交換器16に接続されている。ポンプ26は、室外機2の内部に配置されている。ポンプ26は、中間熱交換器16に接続され、室内熱交換器25に接続されている。ポンプ26は、水回路6に水を循環させ、室内熱交換器25から供給される水を中間熱交換器16に供給する。
【0016】
空気調和機1は、吐出温度センサ31と中間熱交温度センサ32と室外熱交温度センサ33と室外熱交ガス側温度センサ34と吸込温度センサ35と戻り温度センサ36と往き温度センサ37と室内温度センサ38と吹出し温度センサ39とをさらに備えている。吐出温度センサ31は、圧縮機11から吐出管18に吐出される吐出冷媒の温度を計測する。中間熱交温度センサ32は、中間熱交換器16を流れる冷媒の温度を計測する。室外熱交温度センサ33は、室外熱交換器14を流れる冷媒の温度を計測する。室外熱交ガス側温度センサ34は、暖房運転時における室外熱交換器14から四方弁12に供給される室外熱交出口冷媒の温度を計測する。吸込温度センサ35は、吸入管17を介して圧縮機11に供給される吸入冷媒の温度を計測する。戻り温度センサ36は、ポンプ26から中間熱交換器16に供給される水の温度を計測する。往き温度センサ37は、中間熱交換器16から室内熱交換器25に供給される水の温度を計測する。室内温度センサ38は、室内機3が配置される室内の温度を計測する。吹出し温度センサ39は、室内機3が室内に吹出す空気の温度を計測する。
【0017】
空気調和機1は、吐出圧力センサ41をさらに備えている。吐出圧力センサ41は、圧縮機11から吐出管18に吐出される吐出冷媒の圧力を計測する。
【0018】
図2は、実施例1の空気調和機1を示すブロック図である。空気調和機1は、入力装置42と制御装置43とをさらに備えている。入力装置42は、ユーザに操作されることにより冷房運転、暖房運転の開始、及び、停止指示や、設定温度の変更等の情報を生成し、その生成された情報を制御装置43に出力する。
【0019】
制御装置43は、コンピュータであり、記憶装置44とCPU45(Central Processing Unit)とを備えている。記憶装置44は、制御装置43にインストールされるコンピュータプログラムを記憶し、CPU45により利用される情報を記憶する。CPU45は、制御装置43にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置44からデータの読み取りを行う。CPU45は、さらに、圧縮機11と四方弁12とメイン膨張弁15とバイパス膨張弁23とポンプ26と吐出温度センサ31と中間熱交温度センサ32と室外熱交温度センサ33と室内温度センサ38と吐出圧力センサ41と入力装置42とから情報を受け取る。
【0020】
空気調和機1が実行する動作は、暖房運転と冷房運転とを含んでいる。
[暖房運転]
暖房運転は、たとえば、空気調和機1がユーザにより暖房運転を実行するように操作されたときに実行される。制御装置43は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、四方弁12を制御し、四方弁12を第1接続口121と第3接続口123とが接続され第2接続口122と第4接続口124とが接続される(暖房位置)ように切り替える。制御装置43は、圧縮機11を制御し、吸入管17を介して供給された低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機11により圧縮され、高圧気相冷媒になる。圧縮機11は、さらに、高圧気相冷媒を吐出管18に吐出する。吐出管18に吐出された高圧気相冷媒は、四方弁12が暖房位置に切り替えられていることにより、中間熱交換器16に供給される。
【0021】
中間熱交換器16は、四方弁12から供給された高圧気相冷媒と、水回路6を循環する水とを熱交換する。高圧気相冷媒は、中間熱交換器16で水に放熱して、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、中間熱交換器16は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。中間熱交換器16から流出した高圧液相冷媒は、メイン膨張弁15に供給される。
【0022】
メイン膨張弁15は、中間熱交換器16から室外熱交換器14に流れる冷媒の流量を調節し、中間熱交換器16から供給された高圧液相冷媒を減圧させる。高圧液相冷媒は、メイン膨張弁15により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。メイン膨張弁15から流出した低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器14に供給される。
【0023】
室外熱交換器14は、メイン膨張弁15から供給された低圧気液二相冷媒と外気とを熱交換する。低圧気液二相冷媒は、室外熱交換器14で外気に放熱し、低圧気相冷媒になる。すなわち、室外熱交換器14は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。室外熱交換器14から流出した低圧気相冷媒は、四方弁12に供給される。四方弁12に供給された低圧気相冷媒は、四方弁12が暖房位置に切り替えられていることにより、吸入管17に供給され、吸入管17を介して圧縮機11に吸入される。
【0024】
制御装置43は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、さらに、ポンプ26を制御し、水を中間熱交換器16に供給し、水を水回路6に循環させる。中間熱交換器16で加熱された水は、室内熱交換器25に供給される。室内熱交換器25は、室内熱交換器25を流れる加熱された水と、室内機3が設置された室内の空気とを熱交換する。室内機3は、室内熱交換器25で、加熱された水と熱交換した空気を室内に吹き出すことにより、室内を暖房する。
【0025】
制御装置43は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、さらに、圧縮機11の回転数制御を実行する。圧縮機11の回転数制御では、制御装置43は、入力装置42を介して入力された設定温度と、室内温度センサ38により計測された室内温度との温度差に基づいて目標回転数を算出する。たとえば、目標回転数は、温度差の絶対値が大きいほど大きい。制御装置43は、圧縮機11の回転数が目標回転数に等しくなるように、圧縮機11を制御する。
【0026】
制御装置43は、空気調和機1が暖房運転を実行するときに、さらに、メイン膨張弁15とバイパス膨張弁23との制御を実行する。
図3は、メイン膨張弁15とバイパス膨張弁23との制御を示すフローチャートである。本制御は暖房運転中に実行される。制御装置43は、メイン膨張弁15の吐出温度制御を実行し、バイパス膨張弁23を閉鎖して、バイパス路22に冷媒が流れないようにバイパス路22を遮断する(ステップS1)。メイン膨張弁15の吐出温度制御では、制御装置43は、吐出温度センサ31を用いて、圧縮機11から吐出管18に吐出される吐出冷媒の温度を計測する。
【0027】
制御装置43は、吐出温度センサ31により計測された吐出温度が、予め定められた目標吐出温度より高いときに、メイン膨張弁15の開度を小さくする。メイン膨張弁15の開度が小さくなることにより、室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒の流量は、減少し、室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒の圧力は、低下する。目標吐出温度は、中間熱交温度センサ32の検出値(凝縮温度)と、室外熱交温度センサ33の検出値(蒸発温度)とに基づいて算出される。室外熱交換器14を流れる冷媒の温度を示す蒸発温度は、室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒の圧力が低下することにより、低下する。室外熱交換器14から吸入管17に供給される蒸発器出口冷媒の温度は、蒸発温度が低下することにより、低下する。吸入管17から圧縮機11に供給される吸入冷媒の温度は、蒸発器出口冷媒の温度が低下することにより、低下する。圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度は、吸入冷媒の温度が低下することにより、低下する。
【0028】
制御装置43は、吐出温度センサ31により計測された吐出温度が目標吐出温度より低いときに、メイン膨張弁15の開度を大きくする。メイン膨張弁15の開度が大きくなることにより、室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒の流量は増加し、室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒の圧力は、上昇する。蒸発温度は、室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒の圧力が上昇することにより、上昇する。蒸発器出口冷媒の温度は、蒸発温度が上昇することにより、上昇する。吸入管17から圧縮機11に供給される吸入冷媒の温度は、蒸発器出口冷媒の温度が上昇することにより、上昇する。圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度は、吸入冷媒の温度が上昇することにより、上昇する。すなわち、吐出冷媒の温度は、吐出温度が目標吐出温度より高いときを含めてメイン膨張弁15の吐出温度制御が実行されることにより、目標吐出温度に接近する。
【0029】
制御装置43は、メイン膨張弁15の吐出温度制御が実行されているときに、吐出温度センサ31を用いて、圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度を計測し、中間熱交温度センサ32を用いて、中間熱交換器16を流れる冷媒の凝縮温度を計測する。制御装置43は、吐出温度センサ31により計測された吐出温度と凝縮温度に基づいて、吐出冷媒の過熱度である吐出過熱度を算出する。制御装置43は、中間熱交温度センサ32により計測された凝縮温度が、凝縮温度閾値より小さいときに、または、吐出過熱度が、第1過熱度閾値より大きいときに(ステップS2、No)、バイパス路22が遮断された状態のまま、メイン膨張弁15の吐出温度制御を継続して実行する。凝縮温度閾値は、予め試験等により定められた圧縮機11の信頼性に影響を与える圧縮比になるおそれがある凝縮温度である。また、第1過熱度閾値は、予め試験等により定められた中間熱交換器16において水との熱交換量を十分に確保するために必要な吐出過熱度である。
【0030】
制御装置43は、中間熱交温度センサ32により計測された凝縮温度が凝縮温度閾値以上であるときで、かつ、吐出過熱度が第1過熱度閾値より以下であるときに(ステップS2、Yes)、メイン膨張弁15の圧力制御を実行し、バイパス膨張弁23の吐出温度制御を実行する(ステップS3)。
【0031】
メイン膨張弁15の圧力制御では、制御装置43は、吐出圧力センサ41を用いて、圧縮機11から吐出管18に吐出される吐出冷媒の圧力を計測する。制御装置43は、吐出圧力センサ41により計測された吐出圧力に基づいて、中間熱交換器16を流れる冷媒の圧力を示す凝縮圧力を算出する。制御装置43は、凝縮圧力が、予め定められた目標凝縮圧力より高いときに、メイン膨張弁15の開度を大きくする。メイン膨張弁15の開度が大きくなることにより、中間熱交換器16から室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒の流量は増加するため、凝縮圧力は、低下する。
【0032】
制御装置43は、凝縮圧力が目標凝縮圧力より低いときに、メイン膨張弁15の開度を小さくする。メイン膨張弁15の開度が小さくなることにより、中間熱交換器16から室外熱交換器14に供給される低圧気液二相冷媒の流量は、減少するため、凝縮圧力は、上昇する。すなわち、凝縮圧力は、凝縮圧力が目標凝縮圧力より高いときを含めてメイン膨張弁15の圧力制御が実行されることにより、目標凝縮圧力に接近する。
【0033】
バイパス膨張弁23の吐出温度制御では、制御装置43は、バイパス膨張弁23を開放し、バイパス路22に冷媒が流れるように吐出管18と吸入管17とを接続する。圧縮機11は、バイパス膨張弁23が開放される前に、
図4に示されているように、室外熱交換器14から吸入管17に供給された蒸発器出口冷媒51を圧縮する。
図4は、バイパス路22に冷媒が流れるときの冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。図中にはメイン膨張弁15とバイパス膨張弁23による減圧過程を模式的に示している。蒸発器出口冷媒51から流出した低圧の気相冷媒は、圧縮機11により圧縮され、吐出冷媒52になる。圧縮機11から吐出された吐出冷媒52の一部は、バイパス膨張弁23が開放されることにより、バイパス膨張弁23に供給される。バイパス膨張弁23は、バイパス路22を流れる冷媒の流量を調節し、バイパス膨張弁23に供給された一部の吐出冷媒52を減圧させる。一部の吐出冷媒52は、バイパス膨張弁23により減圧され、バイパス冷媒53になる。蒸発器出口冷媒51は、バイパス路22を流れて吸入管17に供給されたバイパス冷媒53と吸入管17で混合され、吸入冷媒54になる。吸入冷媒54の過熱度は、蒸発器出口冷媒51の過熱度より高い。圧縮機11は、吸入冷媒54を圧縮する。吸入冷媒54は、圧縮機11により圧縮され、他の吐出冷媒55になる。吐出冷媒55の温度は、吸入冷媒54の過熱度が蒸発器出口冷媒51の過熱度より高いことにより、バイパス膨張弁23が開放される前の吐出冷媒52の温度より高くなる。
【0034】
バイパス膨張弁23の吐出温度制御では、制御装置43は、さらに、吐出温度センサ31を用いて、圧縮機11から吐出管18に吐出される吐出冷媒の温度を計測する。制御装置43は、吐出温度センサ31により計測された吐出温度が目標吐出温度より低いときに、バイパス膨張弁23の開度を大きくする。バイパス路22を介して吸入管17に供給されるバイパス冷媒の流量は、バイパス膨張弁23の開度が大きくなることにより、増加する。圧縮機11に供給される吸入冷媒には、バイパス路22を介して吸入管17に供給されるバイパス冷媒の流量が増加することにより、より多くのバイパス冷媒が混合される。圧縮機11に供給される吸入冷媒の過熱度は、吸入冷媒に混合されるバイパス冷媒が多くなることにより、上昇する。圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度は、吸入冷媒の過熱度が上昇することにより、上昇する。
【0035】
制御装置43は、吐出温度センサ31により計測された吐出温度が目標吐出温度より高いときに、バイパス膨張弁23の開度を小さくする。バイパス路22を介して吸入管17に供給されるバイパス冷媒の流量は、バイパス膨張弁23の開度が小さくなることにより、減少する。圧縮機11に供給される吸入冷媒には、バイパス路22を介して吸入管17に供給されるバイパス冷媒の流量が減少することにより、より少ないバイパス冷媒が混合される。圧縮機11に供給される吸入冷媒の過熱度は、吸入冷媒に混合されるバイパス冷媒が少なくなることにより、低下する。圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度は、吸入冷媒の過熱度が低下することにより、低下する。すなわち、吐出冷媒の温度は、吐出温度が目標吐出温度より低いときを含めてバイパス膨張弁23の吐出温度制御が実行されることにより、目標吐出温度に接近する。
【0036】
制御装置43は、メイン膨張弁15の圧力制御とバイパス膨張弁23の吐出温度制御とが実行されているときに、吐出温度センサ31を用いて、圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度を計測し、中間熱交温度センサ32を用いて、中間熱交換器16を流れる冷媒の温度を計測する。制御装置43は、吐出温度センサ31により計測された吐出温度と中間熱交温度センサ32により計測された凝縮温度に基づいて、吐出冷媒の過熱度である吐出過熱度を算出する。
【0037】
制御装置43は、中間熱交温度センサ32により計測された凝縮温度が凝縮温度閾値より高いときに、または、吐出過熱度が、予め定められた第2過熱度閾値より低いときに(ステップS4、No)、メイン膨張弁15の圧力制御とバイパス膨張弁23の吐出温度制御とを継続して実行する。第2過熱度閾値は、第1過熱度閾値より大きく、バイパス膨張弁23を閉鎖しても中間熱交換器16において水との熱交換量を十分に確保するために必要な吐出過熱度を確保できる吐出過熱度が設定される。制御装置43は、凝縮温度が凝縮温度閾値以下であるときで、かつ、吐出過熱度が第2過熱度閾値以上であるときに(ステップS4、Yes)、バイパス膨張弁23を閉鎖して、メイン膨張弁15の吐出温度制御を実行する(ステップS1)。
【0038】
メイン膨張弁15の開度が大きくなったときに、
図5に示されているように、室外熱交換器14を流れる冷媒61の圧力は、メイン膨張弁15の開度が大きくなる前に室外熱交換器14から吸入管17に供給される蒸発器出口冷媒62の圧力より高くなる。
図5は、バイパス路22に冷媒が流れるときの冷媒の他の状態変化を示すモリエル線図である。冷媒61の温度は、メイン膨張弁15の開度が大きくなる前に室外熱交換器14を流れる冷媒63の温度より高い状態にある。冷媒61の温度が高くなることにより、冷媒61の温度と外気との温度差の絶対値が小さくなり、室外熱交換器14が冷媒61と外気とを熱交換する性能が小さくなる。室外熱交換器14が熱交換する性能が小さくなることにより、室外熱交換器14から吸入管17に供給される蒸発器出口冷媒64の過熱度は、低下し、または、冷媒61が蒸発し切らずに、蒸発器出口冷媒64は、過熱状態でない湿り状態になることがある。
【0039】
蒸発器出口冷媒64は、バイパス路22を流れて吸入管17に供給されたバイパス冷媒65と吸入管17で混合され、吸入冷媒66になる。すなわち、蒸発器出口冷媒64が過熱状態であったときに、吸入冷媒66の過熱度は、蒸発器出口冷媒64の過熱度より高く、蒸発器出口冷媒64が過熱状態でなかったとしても、蒸発器出口冷媒64は、過熱状態の吸入冷媒66になる。圧縮機11は、吸入冷媒66を圧縮する。すなわち、空気調和機1は、室外熱交換器14から吸入管17に供給される蒸発器出口冷媒が蒸発し切らなかった場合でも、湿り状態の冷媒が圧縮機11に供給されることを防止することができ、過熱状態の冷媒を圧縮機11に供給することができる。空気調和機1は、湿り状態の冷媒が圧縮機11に供給されることが防止されることにより、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
【0040】
空気調和機1は、ステップS1の処理で冷媒の吐出温度を目標吐出温度に上昇させることができないときでも、ステップS2の処理が実行されることにより、冷媒の吐出温度を目標吐出温度に上昇させることができる。たとえば、空気調和機1は、R32冷媒に比較して吐出温度が低くなるR290冷媒が用いられるときに、圧縮機11の回転数を大きくすることなく、冷媒の吐出温度を目標吐出温度に上昇させることができる。空気調和機1は、冷媒の吐出温度が目標吐出温度に上昇することにより、室内を適切に暖房することができる。
【0041】
[冷房運転]
冷房運転は、たとえば、空気調和機1が冷房運転を実行するようにユーザにより操作されたときに実行される。制御装置43は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、四方弁12を制御し、四方弁12を冷房位置に切り替える。制御装置43は、圧縮機11を制御し、吸入管17を介して供給された低圧気相冷媒を圧縮する。低圧気相冷媒は、圧縮機11により圧縮され、高圧気相冷媒になる。圧縮機11は、さらに、高圧気相冷媒を吐出管18に吐出する。吐出管18に吐出された高圧気相冷媒は、四方弁12が冷房位置に切り替えられていることにより、室外熱交換器14に供給される。
【0042】
室外熱交換器14は、四方弁12から供給された高圧気相冷媒と、外気を熱交換し、高圧気相冷媒から外気へ放熱する。高圧気相冷媒は、室外熱交換器14で放熱して、過冷却状態の高圧液相冷媒になる。すなわち、室外熱交換器14は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、凝縮器として機能する。高圧液相冷媒は、メイン膨張弁15に供給される。
【0043】
メイン膨張弁15は、室外熱交換器14から中間熱交換器16に流れる冷媒の流量を調節し、室外熱交換器14から供給された高圧液相冷媒を減圧させる。高圧液相冷媒は、メイン膨張弁15により減圧され、低圧気液二相冷媒になる。低圧気液二相冷媒は、中間熱交換器16に供給される。
【0044】
中間熱交換器16は、メイン膨張弁15から供給された低圧気液二相冷媒と、水回路6を循環する水とを熱交換する。低圧気液二相冷媒は、中間熱交換器16で水から吸熱して、低圧気相冷媒になる。すなわち、中間熱交換器16は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、蒸発器として機能する。低圧気相冷媒は、四方弁12に供給される。低圧気相冷媒は、四方弁12が冷房位置に切り替えられていることにより、吸入管17に供給され、吸入管17を介して圧縮機11に供給される。
【0045】
制御装置43は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、さらに、ポンプ26を制御し、水が水回路6を循環するように、水を中間熱交換器16に供給する。中間熱交換器16により冷却された水は、室内熱交換器25に供給される。室内熱交換器25は、水回路6を循環する水と、室内機3が設置された室内の空気とを熱交換する。室内機3は、室内熱交換器25で水と熱交換した空気を室内に吹き出すことにより、室内を冷房する。
【0046】
制御装置43は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、さらに、空気調和機1が暖房運転を実行するときと同様に、圧縮機11の回転数制御を実行する。制御装置43は、空気調和機1が冷房運転を実行するときに、さらに、空気調和機1が暖房運転を実行するときと同様に、
図3のメイン膨張弁15とバイパス膨張弁23との制御を実行する。
【0047】
空気調和機1は、冷房運転が実行される場合でも、暖房運転が実行されるときと同様に、冷媒の吐出温度を目標吐出温度に上昇させることができる。空気調和機1は、冷媒の吐出温度が目標吐出温度に上昇することにより、室内を適切に冷房することができる。
【0048】
[実施例1の空気調和機1の効果]
実施例1の空気調和機1は、圧縮機11と中間熱交換器16と室外熱交換器14とメイン膨張弁15とバイパス膨張弁23と吐出温度センサ31と吐出圧力センサ41と制御装置43とを備えている。中間熱交換器16は、吐出管18を介して圧縮機11に接続されている。室外熱交換器14は、吸入管17を介して圧縮機11に接続されている。メイン膨張弁15は、中間熱交換器16から供給される冷媒を減圧して室外熱交換器14に供給する。バイパス膨張弁23は、吐出管18と吸入管17とを接続するバイパス路22の途中に設けられている。吐出温度センサ31は、圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度である吐出温度を計測する。吐出圧力センサ41は、圧縮機11から吐出される吐出冷媒の圧力を計測する。制御装置43は、圧縮機11が吸入管17の冷媒を圧縮して吐出管18に吐出している最中にバイパス膨張弁23を制御し、冷媒がバイパス路22を流れない第1状態と、冷媒がバイパス路22を介して吐出管18から吸入管17に流れる第2状態とを切り替える。制御装置43は、さらに、吐出圧力センサ41により計測された吐出圧力に基づいて、中間熱交換器16を流れる冷媒の圧力である凝縮圧力を算出する。制御装置43は、冷媒がバイパス路22を流れないとき、吐出温度が所定の目標吐出温度となるようにメイン膨張弁15の開度を制御し、冷媒がバイパス路22を流れるとき、凝縮圧力が所定の目標凝縮圧力となるようにメイン膨張弁15の開度を制御する。
【0049】
このとき、実施例1の空気調和機1は、吐出冷媒の一部が吸入管17に供給されるときに、吸入冷媒の過熱度を高くすることができ、圧縮機11が冷媒を圧縮する圧縮比を増加させることなく吐出冷媒の温度を高くすることができる。このため、実施例1の空気調和機1は、吐出冷媒の温度を高くするときに、圧縮機11に加わる負荷を低減することができ、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
【0050】
また、実施例1の空気調和機1の制御装置43は、冷媒がバイパス路22を流れないときで、かつ、中間熱交換器16を流れる冷媒の温度である凝縮温度が凝縮温度閾値以上であるときで、かつ、吐出冷媒の過熱度が第1過熱度閾値以下であるときに、冷媒がバイパス路22を流れるように、バイパス膨張弁23を制御する。制御装置43は、冷媒がバイパス路22を流れるときで、かつ、凝縮温度が凝縮温度閾値以下であるときで、かつ、吐出冷媒の過熱度が、第1過熱度閾値より大きい第2過熱度閾値以上であるときに、冷媒がバイパス路22を流れないように、バイパス膨張弁23を制御する。
【0051】
また、実施例1の空気調和機1の制御装置43は、冷媒がバイパス路22を流れるときに、吐出温度が閾値以下になるように、バイパス膨張弁23を制御する。
制御装置43は、メイン膨張弁15とバイパス膨張弁23との制御が実行されているときに、中間熱交温度センサ32の検出値である凝縮温度と室外熱交温度センサ33の検出値である蒸発温度とに基づいて、圧縮機11が冷媒を圧縮する圧縮比を算出する。制御装置43は、圧縮比が、第1圧縮比閾値より小さいときに(ステップS12、No)、バイパス路22が遮断された状態のまま、メイン膨張弁15の吐出温度制御を継続して実行する。第1圧縮比閾値は、予め試験等により定められたこの圧縮比を超えて圧縮機11が動作すると圧縮機11の信頼性が低下することがわかっている圧縮比である。制御装置43は、圧縮比が第1圧縮比閾値以上であるときに(ステップS12、Yes)、メイン膨張弁15の圧力制御を実行し、バイパス膨張弁23の吐出温度制御を実行する(ステップS13)。
制御装置43は、圧縮比が、第2圧縮比閾値より大きいときに(ステップS14、No)、メイン膨張弁15の圧力制御と、バイパス膨張弁23の吐出温度制御とを継続して実行する。第2圧縮比閾値は、第1圧縮比閾値より小さく、バイパス膨張弁23を閉鎖しても圧縮比が増加したとしても圧縮機11の信頼性に影響を与えない圧縮比が設定される。制御装置43は、圧縮比が第2圧縮比閾値以下であるときに(ステップS14、Yes)、バイパス膨張弁23を閉鎖して、メイン膨張弁15の吐出温度制御を実行する(ステップS11)。
実施例2の空気調和機は、さらに、バイパス路22に冷媒を流すか否かを圧縮比に基づいて切り替えることにより、圧縮比が所定値より大きくなることをより確実に防止することができる。実施例2の空気調和機は、圧縮比が大きくなることが防止されることにより、圧縮機11に加わる負荷を低減することができ、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
ところで、既述の実施例1、2の空気調和機1の水回路6には、水が循環しているが、水と異なる他の熱媒体が循環してもよい。熱媒体としては、不凍液が例示される。空気調和機は、水と異なる他の熱媒体が水回路6に循環する場合でも、実施例1、2の空気調和機と同様に、圧縮機11の負荷の増大を抑制しつつ、圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度を高くすることができる。