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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084327
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】作業支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20240618BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240618BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20240618BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H04W64/00 110
H04W84/10 110
G01S5/02 Z
G08B21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198533
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】池上 誠
(72)【発明者】
【氏名】増田 英樹
【テーマコード(参考)】
5C086
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5C086AA53
5C086BA19
5C086CA06
5C086CA25
5C086EA08
5C086FA06
5C086FA17
5J062BB01
5J062BB08
5J062CC18
5J062HH09
5K067AA21
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE25
5K067FF19
5K067FF22
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】車両が接近対象物に接近したことを、簡易な手法で、より確実に報知することができる作業支援システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】作業支援システム10は、高さ方向に移動可能である可動部51を有する車両50の架線61への接近を報知する。作業支援システム10は、架線61に対応する位置に設けられ、予め設定される距離閾値に係る情報を含む情報信号Saを送信する第1子機30と、第1子機30からの情報信号Saを受信し、受信した情報信号Saのシグナル強度が情報信号Saに含まれる距離閾値以上であるときに接近を報知する親機20と、を備える。情報信号Saは、無線通信規格において複数の通信機器間で通信が確立する前に不特定多数の相手にデータを送信するブロードキャスト通信として第1子機30から親機20に送信される信号である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に移動可能である可動部を有する車両の接近対象物への接近を報知する作業支援システムであって、
前記接近対象物に対応する位置に設けられ、予め設定される距離閾値に係る情報を含む無線信号を送信する子機と、
前記子機からの前記無線信号を受信し、受信した前記無線信号のシグナル強度が前記無線信号に含まれる前記距離閾値以上であるときに前記接近を報知する親機と、を備え、
前記無線信号は、無線通信規格において複数の通信機器間で通信が確立する前に不特定多数の相手にデータを送信するブロードキャスト通信として前記子機から前記親機に送信される信号である、
作業支援システム。
【請求項2】
前記子機は、前記子機のバッテリ残量に係る情報を含ませた前記無線信号を送信し、
前記親機は、受信した前記無線信号に含まれる前記子機のバッテリ残量に係る情報に基づいて前記子機のバッテリ残量を報知する、
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
コンピュータに、
不特定多数の相手にデータを送信するブロードキャスト通信によって接近対象物に対応する位置に設けられる子機からの距離閾値に係る情報を含む無線信号を親機にて受信する機能、
受信した前記無線信号のシグナル強度が前記無線信号に含まれる前記距離閾値以上であるときに、高さ方向に移動可能である可動部を有する車両の前記接近対象物への接近を前記親機にて報知する機能を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の建設機械は、架線切断事故を抑制するため、ブームに傾斜センサを設け、ブームの傾斜角が設定値に至った場合に報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-154120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、建設機械が架線(接近対象物)に接近したことを検出できず、報知の精度に改善の余地があり、簡易な手法で、報知の精度の向上が求められている。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、車両が接近対象物に接近したことを、簡易な手法で、より確実に報知することができる作業支援システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る作業支援システムは、高さ方向に移動可能である可動部を有する車両の接近対象物への接近を報知する作業支援システムであって、前記接近対象物に対応する位置に設けられ、予め設定される距離閾値に係る情報を含む無線信号を送信する子機と、前記子機からの前記無線信号を受信し、受信した前記無線信号のシグナル強度が前記無線信号に含まれる前記距離閾値以上であるときに前記接近を報知する親機と、を備え、前記無線信号は、無線通信規格において複数の通信機器間で通信が確立する前に不特定多数の相手にデータを送信するブロードキャスト通信として前記子機から前記親機に送信される信号である。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係るプログラムは、コンピュータに、不特定多数の相手にデータを送信するブロードキャスト通信によって接近対象物に対応する位置に設けられる子機からの距離閾値に係る情報を含む無線信号を親機にて受信する機能、受信した前記無線信号のシグナル強度が前記無線信号に含まれる前記距離閾値以上であるときに、高さ方向に移動可能である可動部を有する車両の前記接近対象物への接近を前記親機にて報知する機能を実現させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両が接近対象物に接近したことを、簡易な手法で、より確実に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る作業支援システムの模式図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る作業支援システムのブロック図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る親機と第1子機の通信態様を示すシーケンス図である。
図4】比較例に係る親機と子機の通信態様を示すシーケンス図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る作業支援システムの模式図である。
図6】本開示の第2実施形態に係る作業支援システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に係る作業支援システム及びプログラムについて、図面を参照して説明する。
図1に示すように、作業支援システム10は、親機20と、第1子機30と、を備える。
作業支援システム10は、作業中に車両50が接近対象物である架線61に接近したことを親機20にて報知するシステムである。
車両50は、高さ方向に移動可能である可動部51を有する。本実施形態では、車両50は、建設機械の一種であるショベルカーであり、可動部51としてアーム、ブーム及びバケットを有する。
【0011】
第1子機30は、架線61の周辺の地面に設置される。第1子機30は、電柱60付近に設けられてもよいし、1本の架線61を支持する2つの電柱60の間に設置されてもよい。第1子機30の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。第1子機30は、自身の位置を親機20に知らせるために定期的(例えば、1秒毎)に無線信号(情報信号Sa)を発するビーコンである。
【0012】
図2に示すように、第1子機30は、制御部31と、無線通信部33と、バッテリ34と、を備える。
バッテリ34は、第1子機30の各部に電源を供給する。
無線通信部33は、アンテナ及び送信回路を有し、制御部31による制御のもと、無線信号(情報信号Sa)を送信可能に構成されている。
制御部31は、第1子機30全体を制御する。制御部31は、バッテリ34のバッテリ残量を検出する機能と、各コードA1,A2,A3を含む情報信号Saを生成し、生成した情報信号Saを無線通信部33を介して定期的に送信する機能と、を有する。
【0013】
情報信号Saは、第1子機30の固有のID(Identification)を含む固体識別コードA1と、予め設定される距離閾値Thに係る情報を含む距離閾値コードA2と、第1子機30のバッテリ34の残量に係る情報を含むバッテリ残量コードA3と、を含む。
距離閾値Thは、親機20の判断処理で利用される値であり、作業者により設定された後は不変である。距離閾値Thは、例えば、第1子機30が発する信号強度を100として所定距離離間した位置で受信される信号強度である。例えば、作業者は、親機20への操作により親機20に所望の離間距離(例えば、1~10mの任意の距離)に対応する距離閾値Thを入力し、その後、親機20と第1子機30の間での近距離無線通信(NFC: Near Field Communication)により第1子機30に距離閾値Thが設定されてもよい。これに限らず、距離閾値Thは、第1子機30に設けられる操作部(図示略)により設定されてもよい。
バッテリ残量コードA3は、バッテリ34の残量に応じて変化するコードである。
制御部31は、それぞれ不変のコードである固体識別コードA1及び距離閾値コードA2に、バッテリ24の残量に応じたバッテリ残量コードA3を付加して情報信号Saを生成する。
情報信号Saは、既存の無線通信規格(通信プロトコル)にて、複数の通信機器間で通信が確立する、すなわち、ペアリングされる前に送信されるアドバタイズパケットとして親機20に送信される信号である。このアドバタイズパケットは、第1子機30が不特定多数の相手にデータを送信する一方通行のブロードキャスト通信である。この既存の無線通信規格とは、例えば、Bluetooth(登録商標)であり、特に、消費電力を低減可能なBluetooth Low Energy(登録商標)であることが好ましい。
なお、既存の無線通信規格としては、Bluetooth(登録商標)に限らず、Wi-Fi(登録商標)が採用されてもよい。
【0014】
親機20は、例えば、スマートフォン等の携帯通信端末であり、車両50内に設置されているか、車両50の作業者により携帯されている。
なお、親機20は、車載装置として車両50に予め搭載されていてもよい。
【0015】
親機20は、制御部21と、操作入力部22と、無線通信部23と、バッテリ24と、報知部25と、を備える。親機20は、上述した既存の無線通信規格にて他の通信機器とペアリングされて通信接続可能に構成されているが、第1子機30との間ではペアリングされずに第1子機30から一方的に情報信号Saを受信する。
【0016】
バッテリ24は、親機20の各部に電源を供給する。
操作入力部22は、タッチセンサ等からなり、作業者により操作されると操作信号を制御部21に出力する。
無線通信部23は、アンテナ及び送受信回路を有し、情報信号Saを含む各種無線信号を受信可能に構成されている。
【0017】
報知部25は、スピーカー及び/又はディスプレイからなる。報知部25は、制御部21による制御のもと、親機20(車両50)が第1子機30(架線61)に接近したこととバッテリ24の残量低下を、音声及び/又は表示により報知する。
【0018】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)からなる処理部と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる記憶部と、を有する。この記憶部には、制御部21の機能を実現させるプログラムPGが格納されている。
【0019】
次に、図3を参照しつつ、親機20(制御部21)と第1子機30(制御部31)の通信態様について説明する。
第1子機30は、定期的に情報信号Saを送信する。
親機20は、第1子機30からアドバタイズパケットとして情報信号Saを受信すると、受信した情報信号Saのシグナル強度を計測するとともに、受信した情報信号Saに含まれる各コードA1,A2,A3を認識する。
詳しくは、親機20は、固体識別コードA1に基づき情報信号Saの送信元となるアドレスを認識する(ステップS101)。
また、親機20は、距離閾値コードA2に含まれる距離閾値Thを取得し、受信した情報信号Saのシグナル強度が距離閾値Th以上であるか否かを判別する。シグナル強度が距離閾値Th以上であるときには、親機20(車両50)が第1子機30(架線61)に接近したこと、すなわち、車両50Aの可動部51Aが架線61に接触するおそれがあることを報知部25により報知する(ステップS102)。シグナル強度が距離閾値Th未満であるときには報知しない。
【0020】
また、親機20は、バッテリ残量コードA3に含まれる第1子機30のバッテリ残量に係る情報を取得し、バッテリ残量が予め設定される残量閾値以下であるときには、バッテリ残量が低下していることを報知部25により作業者に報知する(ステップS103)。バッテリ残量が残量閾値を超えているときには報知しない。
親機20は、情報信号Saを受信する毎に、ステップS101~S103に係る処理を実行する。
【0021】
本実施形態では、第1子機30と親機20の間の通信は、既存の無線通信規格のうちアドバタイズパケットのみが利用されている。
比較例として図4に示すように、既存の無線通信規格では、子機130(ペリフェラル)は、アドバタイズパケットSpを定期的に無線送信する。親機120は、アドバタイズパケットSpを受信できるか否かをスキャンする(ステップS121)。
親機120は、アドバタイズパケットSpを受信すると、接続要求信号Srを子機130に無線送信する。子機130が接続要求信号Srを受信すると、親機120と子機130の間で通信が確立し、親機120と子機130の間で双方向での情報の送受信が可能となる(ステップS122,S123)。
【0022】
なお、親機120は、アドバタイズパケットSpのみでは情報が不足する場合には、追加情報を子機130に求める。すなわち、親機120は、アドバタイズパケットSpの受信後、スキャン要求信号を子機130に無線送信し、子機130は、スキャン要求信号を受信後、スキャン応答信号を親機120に無線送信してもよい。親機120は、スキャン応答信号を受信することにより追加情報を得られる。
本実施形態では、既存の無線通信規格のうちアドバタイズパケットSp以降の処理が不要となる。よって、第1子機30と親機20の間の通信を簡易化し、この通信に係る消費電力を低減することができる。
【0023】
(効果)
以上、説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)作業支援システム10は、高さ方向に移動可能である可動部51を有する車両50の接近対象物の一例である架線61への接近を報知する。作業支援システム10は、架線61に対応する位置に設けられ、予めシグナル強度値として設定される距離閾値Thに係る情報を含む無線信号の一例である情報信号Saを送信する第1子機30と、第1子機30からの情報信号Saを受信し、受信した情報信号Saのシグナル強度が情報信号Saに含まれる距離閾値Th以上であるときに接近を報知する親機20と、を備える。情報信号Saは、無線通信規格(無線通信プロトコル)において複数の通信機器間で通信が確立する前に送信されるアドバタイズパケットとして第1子機30から親機20に送信される信号である。
この構成によれば、第1子機30と親機20の間で通信を確立(ペアリング)させる必要がないため、作業支援システム10は、車両50が架線61に接近したことを、簡易な手法で、より確実に報知することができる。また、作業支援システム10のシステム導入及び運用も簡便となる。さらに、第1子機30と親機20の通信に係る消費電力を低減することができる。
また、従来、架線の周辺に、目印として、のぼり旗を立てていたが、作業者が、のぼり旗を見落とすことにより架線を断線させてしまうおそれがあったが、作業支援システム10では、作業者の近くにある親機20にて報知が行われるため、このような見落としによる架線の断線を抑制することができる。
【0024】
(2)第1子機30は、第1子機30のバッテリ残量に係る情報を含ませた情報信号Saを送信する。親機20は、受信した情報信号Saに含まれる第1子機30のバッテリ残量に係る情報に基づいて第1子機30のバッテリ残量を報知する。
この構成によれば、作業者は、第1子機30のバッテリ残量を知ることができ、第1子機30のバッテリ34の交換又は充電を適切なタイミングで行うことができる。
【0025】
(3)プログラムPGは、コンピュータの一例である親機20の制御部21に、架線61に対応する位置に設けられる第1子機30からの距離閾値Thに係る情報を含む情報信号Saを親機20の無線通信部23にて受信する機能、受信した情報信号Saのシグナル強度が情報信号Saに含まれる距離閾値Th以上であるときに、高さ方向に移動可能である可動部51を有する車両50の架線61への接近を親機20の報知部25にて報知する機能を実現させる。
この構成によれば、親機20は、第1子機30との間で通信を確立(ペアリング)させる必要がないため、車両50が架線61に接近したことを、簡易な手法で、より確実に報知することができる。
【0026】
(第2実施形態)
本開示に係る作業支援システム及びプログラムの第2実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、報知の条件に車両の可動部の高さを加えている点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0027】
図5に示すように、車両50Aは荷役運搬機械の一例であるダンプカーである。車両50Aの可動部51Aは荷台であり、可動部51A(荷台)の傾斜角度αを大きくすることにより積荷を降ろすことができる。
作業支援システム10Aは、親機20及び第1子機30に加えて、第2子機40を備える。
第2子機40は、可動部51Aに設けられ、可動部51Aの高さ、本例では、可動部51Aの傾斜角度αに係る情報を含む情報信号Sbを親機20に無線送信する。
【0028】
図6に示すように、第2子機40は、制御部41と、無線通信部43と、バッテリ44と、センサ45と、を備える。
第2子機40の無線通信部43及びバッテリ44は、第1子機30の無線通信部33及びバッテリ34と同様に構成されている。
センサ45は、傾斜センサであり、水平面に対する可動部51A(荷台)の傾斜角度αを検出し、検出結果を制御部41に出力する。可動部51Aの傾斜角度αは大きくなるほど、可動部51Aの最大高さHは高くなる。
【0029】
制御部41は、バッテリ44のバッテリ残量を検出する機能と、各コードB1,B2,B3を含む情報信号Sbを生成し、生成した情報信号Sbを無線通信部43を介して定期的に送信する機能と、を備える。
【0030】
情報信号Sbは、第2子機40の固有のIDを含む固体識別コードB1と、センサ45の検出結果(傾斜角度αに係る情報)を含む検出コードB2と、第2子機40のバッテリ44の残量に係る情報を含むバッテリ残量コードB3と、を含む。
制御部41は、不変のコードである固体識別コードA1に、可変のコードである検出コードB2及びバッテリ残量コードB3を付加して情報信号Sbを生成する。
情報信号Sbは、情報信号Saと同様に、既存の無線通信規格のアドバタイズパケットとして親機20に送信される信号である。
【0031】
親機20は、第1子機30から情報信号Saを受信するとともに、第2子機40から情報信号Sbを受信する。制御部21は、受信した情報信号Sbに含まれる検出コードB2から、可動部51A(荷台)の傾斜角度αを取得し、取得した傾斜角度αが予め設定される角度閾値以上であるか否かを判別する。この角度閾値は、可動部51Aの最大高さHが架線61に到達しない角度に設定される。親機20は、この判別とともに、上記第1実施形態で説明した受信した情報信号Saのシグナル強度が距離閾値Th以上であるか否かの判別も行う。
【0032】
親機20(制御部21)は、取得した傾斜角度αが角度閾値以上(すなわち、可動部51Aの最大高さHが高さ閾値以上)であり、かつ、情報信号Saのシグナル強度が距離閾値Th以上である(すなわち、車両50Aが第1子機30に接近している)ときには、報知部25を介して車両50Aの可動部51Aが架線61に接触するおそれがあることを作業者に報知する。これにより、可動部51Aが架線61に接触するおそれが高いときにのみ、精度高く作業者に報知することが可能となる。
一方、親機20は、取得した傾斜角度αが角度閾値未満である、及び/又は情報信号Saのシグナル強度が距離閾値Th未満であるときには報知しない。
【0033】
また、親機20は、バッテリ残量コードB3に含まれる第2子機40のバッテリ残量に係る情報を取得し、バッテリ残量が予め設定される残量閾値以下であるときには、バッテリ残量が低下していることを報知部25により作業者に報知する。バッテリ残量が残量閾値を超えているときには報知しない。
【0034】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0035】
(変形例)
第1実施形態においては、車両50はショベルカーであったが、ダンプカーであってもよい。
また、第2実施形態においては、車両50Aはダンプカーであったが、ショベルカーであってもよい。この場合、ショベルカーのバックホーにセンサ45が取り付けられてもよい。
さらに、第1と第2実施形態において、車両は、ショベルカー又はダンプカー以外、例えば、クレーン車、高所作業車等の建設機械であってもよい。
【0036】
上記各実施形態において、親機20は、バッテリ残量が残量閾値以下であるときにのみ、報知部25を通じて作業者に報知していたが、バッテリ残量が残量閾値を超えていてもバッテリ残量を作業者に報知してもよい。
また、上記各実施形態において、情報信号Sa,Sbに含まれるバッテリ残量コードB3は省略されてもよい。この場合、親機20は、バッテリ残量に関する報知を行わない。
上記各実施形態においては、接近対象物は、架線61であったが、架線61以外のもの、例えば、建造物であってもよい。
【0037】
上記第2実施形態において、制御部21又は制御部41は、センサ45により検出された傾斜角度αから三角関数を用いて可動部51Aの最大高さHを算出し、算出した最大高さHが高さ閾値以上となるか否かを判別してもよい。
【0038】
また、本発明の対象は親機20の機能を実現するためのプログラムPGであってもよい。この場合、当該プログラムPGは、ネットワークを介してコンピュータである制御部21にダウンロードされてもよいし、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disk Drive)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10,10A 作業支援システム
20 親機
21,31,41 制御部
22 操作入力部
23,33,43 無線通信部
24,34,44 バッテリ
25 報知部
30 第1子機
40 第2子機
45 センサ
50,50A 車両
51,51A 可動部
60 電柱
61 架線
120 親機
130 子機
α 傾斜角度
A1,B1 固体識別コード
A2 距離閾値コード
A3,B3 バッテリ残量コード
B2 検出コード
PG プログラム
Sa,Sb 情報信号
Sp アドバタイズパケット(ブロードキャスト通信)
Sr 接続要求信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6