(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084328
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】作業支援方法、作業支援システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240618BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198534
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】宮内 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】効率的に作業者を支援する。
【解決手段】作業支援方法は、対象圃場を含む複数の圃場で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報に基づいて、複数の圃場のうち、対象圃場と共通のスケジュールで作業が行われる共通圃場を決定することを含む。作業支援方法は、スケジュール情報のうち、共通圃場において行われた作業のスケジュールを示す作業情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた共通圃場の数を示す集計情報を生成することと、集計情報を出力することと、を更に含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圃場で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報に基づいて、前記複数の圃場のうち、対象圃場と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場を示す情報を決定することと、
前記スケジュール情報のうち、前記共通圃場において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた前記共通圃場の数を示す集計情報を生成することと、
前記集計情報を含む出力情報を出力することと、
を含む、
作業支援方法。
【請求項2】
前記スケジュール情報が、前記複数の圃場で行われた作業の作業時刻を示し、
前記共通圃場を示す情報を決定することが、
前記スケジュール情報が示す前記複数の圃場での作業日に基づいて、前記複数の圃場の作型を推定することと、
推定した前記複数の圃場の作型に基づいて、前記共通圃場を決定することと、
を含む、
請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項3】
前記複数の圃場の作型を推定することが、複数の作型における典型的な作業スケジュールを示す作型テンプレート情報が示す前記複数の作型における作業の作業期間と、前記スケジュール情報が示す前記複数の圃場で行われた作業の作業時刻と、を比較した結果に基づいて、前記作型を推定することを含む、
請求項2に記載の作業支援方法。
【請求項4】
出力した前記出力情報に基づいて、前記共通圃場のうち、前記1以上の区分期間において作業が行われた圃場の数に関する支援画像を表示することを更に含む、
請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項5】
前記支援画像が、前記1以上の区分期間における気象情報を含む、
請求項4に記載の作業支援方法。
【請求項6】
前記共通圃場における作業の実績を示す実績情報を取得することと、
取得した前記実績情報に基づいて、前記共通圃場のうち前記作業の実績が所定の基準を満たす優良圃場を決定することと、
前記1以上の区分期間のうち、決定された前記優良圃場において作業が行われた区分期間を示す優良情報を生成することと、
を更に含み、
前記出力情報を出力することが、前記優良情報を更に含む出力情報を出力することを含む、
請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項7】
前記出力情報に基づいて、前記共通圃場のうち前記優良圃場で作業が行われた区分期間を、前記優良圃場で作業が行われていない区分期間と識別可能に示す支援画像を表示することと、
を更に含む、
請求項6に記載の作業支援方法。
【請求項8】
前記集計情報を生成することが、前記共通圃場のうち一つの共通圃場において複数の区分期間で作業が行われたときには、前記複数の区分期間それぞれにおいて前記一つの共通圃場で1回作業が行われたとして前記集計情報を生成することを含む、
請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項9】
前記集計情報を生成することが、前記共通圃場のうち一つの共通圃場において複数の区分期間で作業が行われたときには、前記複数の区分期間のそれぞれにおいて前記一つの共通圃場で1回未満の回数だけ作業が行われたとして前記集計情報を生成することを含む、
請求項1に記載の作業支援方法。
【請求項10】
複数の圃場で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報に基づいて、前記複数の圃場のうち、対象圃場と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場を示す情報を決定する共通決定部と、
前記スケジュール情報のうち、前記共通圃場において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた前記共通圃場の数を示す集計情報を生成する集計生成部と、
前記集計情報を含む出力情報を出力する出力部と、
を備える、
作業支援システム。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の圃場で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報に基づいて、前記複数の圃場のうち、対象圃場と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場を示す情報を決定することと、
前記スケジュール情報のうち、前記共通圃場において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた前記共通圃場の数を示す集計情報を生成することと、
前記集計情報を含む出力情報を出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援方法、作業支援システム、及び、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
農業の情報化が進む近年、圃場で行うべき作業のスケジュールを管理する技術が開発されている。
【0003】
これに関連して、特許文献1は、複数の圃場を過去の作業データに基づいてクラス分けして、作物が同一の作型で栽培されている圃場を推定する技術を開示している。特許文献1の技術では、同一の作型で作業していると推定された圃場については同一の作業計画でスケジュールを管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、農作業はその年の気象条件等によって、圃場での好適な作業時期は毎年異なり得る。一方で、特許文献1の技術では、過去の作業データに基づいて圃場のクラス分けを行い、過去の作業データに基づいて作業計画を制定し、作業スケジュールを管理する。そのため、特許文献1の技術で圃場での作業を支援するとしても、作業者の経験や知識に基づいて、その年の気象条件に合わせたスケジュールを調節する必要がある場合があり、作業者の負担となっていた。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、圃場での作業スケジュールを管理するにあたって、効率的に作業者を支援することを目的の一つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
実施形態に係る作業支援方法は、複数の圃場(F)で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報(D2)に基づいて、複数の圃場(F)のうち、対象圃場(F1)と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場(F2~Fn)を示す情報を決定することと、スケジュール情報(D2)のうち、共通圃場(F2~Fn)において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた共通圃場(F2~Fn)の数を示す集計情報を生成することと、集計情報を含む出力情報を出力することと、を含む。
【0009】
実施形態に係る作業支援システム(1)は、複数の圃場(F)で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報(D2)に基づいて、複数の圃場(F)のうち、対象圃場(F1)と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場(F2~Fn)を示す情報を決定する共通決定部(130)と、スケジュール情報(D2)のうち、共通圃場(F2~Fn)において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた共通圃場(F2~Fn)の数を示す集計情報を生成する集計生成部(140)と、集計情報を含む出力情報を出力する出力部(170)と、を備える。
【0010】
実施形態に係るプログラム(P1、P2)は、コンピュータに、複数の圃場(F)で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報(D2)に基づいて、複数の圃場(F)のうち、対象圃場(F1)と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場(F2~Fn)を示す情報を決定することと、スケジュール情報(D2)のうち、共通圃場(F2~Fn)において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた共通圃場(F2~Fn)の数を示す集計情報を生成することと、集計情報を含む出力情報を出力することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の形態によれば、圃場での作業スケジュールを管理するにあたって、効率的に作業者を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る、作業支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る、作業支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る、端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る、作業支援装置及び端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る、スケジュール情報の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る、作型テンプレート情報の一例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る、作業支援システムの処理を表すフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る、作業支援システムの処理を表すフローチャートである。
【
図9】一実施形態に係る、支援情報を表示する画面の一例を示す図である。
【
図10】一実施形態に係る、支援情報を表示する画面の一例を示す図である。
【
図11】一実施形態に係る、支援情報を表示する画面の一例を示す図である。
【
図12】一実施形態に係る、支援情報を表示する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態による作業支援システム1を、図面を参照して説明する。本実施形態において、
図1に示すように、作業支援システム1は、作業支援装置10と、端末装置20と、を備える。作業支援装置10は、端末装置20と、複数の圃場Fのそれぞれで作業を行う作業装置30と、ネットワークNTを介して通信可能に接続されている。ネットワークNTの例として、インターネット、イントラネットが挙げられる。
【0014】
本実施形態の作業支援システム1は、例えば圃場F1で作業を行うユーザを支援するために、作業装置30が圃場で作業を行ったスケジュールを示すスケジュール情報に基づいて、圃場F1と共通のスケジュールで農作業が行われるべき共通圃場を決定する。共通圃場は、例えば、圃場F1と同じ作型で農作業が行われるべき1以上の圃場F(例えば、圃場F2、圃場F3、・・・、圃場Fn)を含む。作業支援システム1は、現在より以前の1以上の区分期間内において、共通圃場のうち作業が行われた圃場の数を集計した数を示す支援画像を表示する。例えば、1以上の区分期間はそれぞれ、現在から所定時間前(例えば、5日前)までの時間を所定の基準で分割した期間であってよい。本実施形態では、区分期間は本日から所定期間前の期間を基準時刻(例えば、午前0時)で区分した、今日、前日、2日前、…、5日前の各日の0時から24時までの各期間を含む。区分期間は、午前と午後毎に区分された区間であってもよい。あるいは、区分期間は現在時刻から所定期間(例えば、1か月)前までの期間を所定時間(例えば、3日)毎に区切った区間であってもよい。更に、区分期間は、例えば現在時刻が含まれる週、月、又は、年の始まりから現在までの期間を、所定の基準(例えば、一日ごと、週ごと)で区切った複数の区間であってもよい。
【0015】
作業支援システム1が表示した支援画像を見たユーザは、例えば2日前と1日前に多くの共通圃場で作業が行われていた場合には自らも作業を行うなど、共通のスケジュールで農作業が行われるべき圃場Fでの作業の多寡に基づいて自らがいつ作業を行うべきか判断をすることができる。更に、本実施形態では、作業支援システム1は過去の農作業の実績が優れている優良圃場(例えば、圃場F2)において作業が行われた区分期間を、優良圃場で作業が行われていない区分期間とは識別可能に表示する。そのため、作業支援システム1が表示した支援画像を見たユーザは、共通のスケジュールで農作業が行われるべき共通圃場のうち規範となり得る優良圃場で作業が行われた区分期間に基づいて自らの作業すべき日時を判断することができる。このように、作業支援システム1は、圃場での作業を行う作業者を効率的に支援することができる。
【0016】
作業支援システム1の構成を説明する。作業支援システム1に含まれる作業支援装置10は、
図2に示すように、入出力装置12と、演算装置14と、通信装置16と、記憶装置18と、を備える。作業支援装置10は、例えば、クラウドを含めたコンピュータやサーバ装置である。
【0017】
入出力装置12には、演算装置14が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置12は、演算装置14が処理を実行した結果を出力する。入出力装置12は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置12は省略されてもよい。
【0018】
通信装置16は、ネットワークNTと通信可能に接続され、ネットワークNTを介して作業支援装置10の外部の装置(例えば、作業装置30及び端末装置20)との通信を行う。通信装置16は、複数の作業装置30と、端末装置20と、から取得した情報を演算装置14に転送する。また、演算装置14が生成した情報を作業装置30と、端末装置20とのいずれか又は両方に転送する。通信装置16は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0019】
記憶装置18は、本実施形態の作業支援システム1が後述する処理を実行するための様々なデータ及び命令を含むプログラムP1等を記憶する。記憶装置18は、これらのデータ及び命令を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。プログラムP1は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体M1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよい。または、記憶媒体M1は、プログラムP1を記憶した外部のサーバの記憶装置であってもよい。この場合、プログラムP1を含むデータはサーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供され得る。
【0020】
演算装置14は、作業装置30がユーザの作業を支援するための命令及びデータを含むプログラムP1を記憶装置18から読み出して実行する。例えば、演算装置14は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。演算装置14は、プログラムP1を読み出し実行することで、作業支援装置10の後述する機能単位を実現する。
【0021】
端末装置20は、
図3に示すように、入出力装置22と、演算装置24と、通信装置26と、記憶装置28と、を備える。端末装置20の例として、コンピュータ、タブレット、携帯電話等が挙げられる。入出力装置22には、演算装置24が出力情報に基づく画面を表示する処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置22は、演算装置24が処理を実行した結果を出力する。入出力装置22は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0022】
通信装置26は、ネットワークNTと通信可能に接続され、ネットワークNTを介して外部装置(例えば、作業支援装置10、作業装置30等)との通信を行う。通信装置26は、作業支援装置10から取得した情報を演算装置24に転送する。また、演算装置24が生成した情報を作業支援装置10に転送する。通信装置26は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0023】
記憶装置28は、作業支援装置10から取得された出力情報に基づく画面を表示するための様々なデータ、例えばプログラムP2を格納する。記憶装置28は、プログラムP2を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。プログラムP2は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体M2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよい。または、記憶媒体M2は、プログラムP2を記憶した外部のサーバの記憶装置であってもよい。この場合、プログラムP2はサーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供され得る。
【0024】
演算装置24は、プログラムP2を読み出し実行することで、後述するように、入出力装置22と協働して、作業支援装置10からの出力情報に基づく画面を表示する機能等を実現する。
【0025】
本実施形態では、
図1に示す作業装置30は、圃場での作業を実行する農機である。作業装置30の例として、収穫機、耕耘機、施肥機等の各種作業機を牽引するトラクター、田植え機等の苗移植機など、圃場で農作業を行う車両が挙げられる。作業装置30のほかの例には、農作業を行うドローンなど、飛行可能な農業用の機器等が挙げられる。作業装置30は、例えば、全球測位衛星システム(GNSS)のような位置測量システムを用いて、自身の位置と現在の時刻(例えば、日付、時、分、秒など)を、繰り返し取得する測位装置を有する。本実施形態の測位装置は、例えば、所定の周期(例えば、5秒ごと)に作業装置30の位置及び時刻を計測する。また、作業装置30は、圃場での稼働状態(例えば、速度、エンジン回転数、クラッチのオンオフ状態、及び、各時刻における農薬や肥料の散布量、等)を計測するセンサを有する。そして、作業装置30は、圃場において作業を行った位置及びその時刻を示す位置情報と、計測されたその時刻における稼働状態を示す作業情報と、を含む稼働情報を作業支援装置10に出力する。
【0026】
図2及び
図3に示したような物理構成により、作業支援装置10及び端末装置20は、
図4に示す機能単位を実現する。一例として、作業支援装置10の演算装置14は、プログラムP1を実行することで、情報取得部110、作型推定部120、共通決定部130、集計生成部140、優良決定部150、優良生成部160、出力部170、及び、情報記憶部180の各機能を実現する。
【0027】
情報記憶部180は、例えば、圃場情報D1、スケジュール情報D2、作型テンプレート情報D3、実績情報D4、及び、稼働情報D5を含む後述する処理に必要な情報を予め記憶している。また情報記憶部180は、情報取得部110、作型推定部120、共通決定部130、集計生成部140、優良決定部150、及び、優良生成部160が取得又は生成した情報を一時的に記憶する場合がある。
【0028】
圃場情報D1は、例えば、作業支援システム1の処理対象となる複数の圃場Fのそれぞれについて、地理的な位置及び範囲を示す情報を含む。また、圃場情報D1は、複数の圃場Fのそれぞれについて、圃場F全体の面積を示す情報を含んでいてもよい。
【0029】
スケジュール情報D2は、例えば
図5に示すように、圃場Fのそれぞれについて、複数の作業装置30のいずれかが作業を行った日時を示す情報と、行われた作業の種別を示す情報と、を格納する。
図5の例では、スケジュール情報D2は、その作業を特定する情報を示す「作業ID」と、作業が行われた圃場を示す「圃場ID」と、作業が行われた日を示す「作業日」と、作業の種類を示す「作業種別」と、を対応付けて格納する。本実施形態では、情報記憶部180は、それぞれの圃場Fにおいて、例えば、現在栽培中の作物のために農地の整備から始めて収穫終了までを含む一度の栽培期間の開始から終了までの作業についての情報を含むスケジュール情報D2を記憶する。
【0030】
作型テンプレート情報D3は、例えば
図6に示すように、複数の作型について、圃場Fで行われるべき農作業の典型的な作業期間を示す情報を格納している。1つの作型は、例えば「ほうれん草」を「早春蒔き夏秋穫り」で「抑制栽培」するなど、ある作物をある時期にあるやり方で栽培する際の栽培手法に対応する。
図6の例では、作型テンプレート情報D3は、作型を特定する情報を示す「作型ID」と、作物の名称を示す「作物」と、栽培時期や栽培手法といった作型の具体的な内容を示す「詳細」と、各作型で実行されるべき作業の種類を示す「作業種別」と、各作業種別が実行されるべき典型的な期間を示す「作業期間」と、を対応付けて格納する。
【0031】
図6の例では、「作型ID」が「ID01」である作型は、「作物」が「ダイズ」であり、「詳細」が「春まき」であり、「耕起」と「整地」と「播種」といった作業を必要とし、典型的には「作業期間」の各セルが示す時期に作業が行われる。一方、「作型ID」が「ID02」である作型は、「作物」が「ほうれん草」であり、「詳細」が「春まき」であり、「耕起」と「整地」と「播種」といった作業を必要とし、典型的には「作業期間」の各セルが示す時期に作業が行われる。
【0032】
図4に示す実績情報D4は、例えば、複数の圃場Fにおいての作業実績を示す情報を格納している。本実施形態では、実績情報D4は、複数の圃場Fのそれぞれについて、たとえば昨年度の単位面積あたりの収穫量といった、過去の収穫量の実績に関する情報を含む。
【0033】
図4に示す稼働情報D5は、複数の圃場Fにおいて作業した作業装置30が出力した稼働情報をそれぞれ記憶した情報である。
【0034】
図4に示す情報取得部110は、情報記憶部180から、圃場情報D1、スケジュール情報D2、作型テンプレート情報D3、実績情報D4、稼働情報D5といった後述の処理のための情報を取得する。あるいは、情報取得部110は、記憶装置18、入出力装置12を用いたユーザ入力、外部のサーバ装置、又は、端末装置20等からこれらの情報を取得してもよい。
【0035】
作型推定部120は、後述するように、スケジュール情報D2と作型テンプレート情報D3に基づいて、圃場情報D1が示す複数の圃場Fで栽培されている作物の作型を推定する。
【0036】
共通決定部130は、複数の圃場Fのうち、作型推定部120が推定した作型に基づき、行われるべき作業のスケジュールが処理対象の圃場F1と共通する1以上の共通圃場(例えば、圃場F2~圃場Fnなど)を決定する。
【0037】
集計生成部140は、後述するように、現在時刻より以前の1以上の区分期間において、作業が行われた共通圃場の数を集計した集計情報を生成する。
【0038】
優良決定部150は、後述するように、実績情報D4に基づいて、共通圃場のうち過去の作業実績が所定の基準を満たす優良圃場(例えば、圃場F2)を決定する。
【0039】
優良生成部160は、後述するように、1以上の区分期間のうち、優良圃場において作業が行われた期間を示す優良情報を生成する。
【0040】
出力部170は、集計生成部140が生成した集計情報と、優良生成部160が生成した優良情報と、を含む出力情報を出力する。
【0041】
端末装置20は、演算装置24がプログラムP2を実行することで、入出力装置22と協働して、表示部210を実現する。表示部210は、出力情報に基づいて、圃場F1での作業を支援するための支援画像を表示する。支援画像の内容については後述する。
【0042】
(作業支援システムの動作)
作業支援システム1は、上述した機能構成により、
図7及び
図8に示す処理を実行して支援画像を表示する。例えば、作業支援装置10は、例えば1日ごとに所定の時刻(例えば、午前0時)になったときに、
図7の処理を開始する。あるいは、作業支援装置10は、入出力装置12を介して圃場Fの分類処理を行う旨のユーザ操作を受け付けたときに
図7の処理を開始してもよい。
【0043】
作業支援装置10の情報取得部110は、まず、ステップS1002において、圃場情報D1と稼働情報D5を取得する。例えば情報取得部110は、情報記憶部180から圃場情報D1を取得する。圃場情報D1は、例えば、入出力装置22を用いた処理対象の圃場Fを示す情報を入力するユーザ操作により、予め情報記憶部180に記憶されている。また、情報記憶部180は、各圃場Fにおいて作業を行った作業装置30が稼働情報を出力するたびに、稼働情報D5としてまとめて記憶する。
【0044】
次に、情報記憶部180は、ステップS1004において、圃場情報D1と稼働情報D5に基づいて、スケジュール情報D2を生成する。例えば、情報記憶部180は、稼働情報D5に、圃場情報D1が示す各圃場Fの地理的範囲に含まれる位置を示す稼働情報が存在すると、稼働情報が測位された日にその圃場Fで作業が行われたと判別する。そして、情報記憶部180は、当該圃場Fを示す情報を「圃場ID」に、作業日を示す情報を「作業日」に、スケジュール情報D2に登録する。更に情報記憶部180は、例えば、ユーザ入力に基づいてその作業日に行われた農作業の種別を決定して、当該作業の種別を示す情報を「作業種別」に格納する。例えば、端末装置20が、入出力装置22を用いて、ユーザがその日行った各圃場Fでの作業の作業種別を示すユーザ入力を受け付ける。そして、情報記憶部180が、各圃場Fで作業を行った作業装置30の稼働情報に加えて、当該ユーザ入力の作業種別を示す情報を取得する。そして、情報記憶部180が稼働情報に基づいてスケジュール情報D2を登録する際に、その日に圃場Fで行われた作業種別を示す情報を登録する。情報記憶部180がこのような登録処理を、作業装置30が稼働情報を出力するたびに行うことで、スケジュール情報D2は情報記憶部180に予め記憶される。また、情報記憶部180は、作業装置30からの稼働情報を収集する外部のサーバからスケジュール情報D2を取得してもよい。
【0045】
次にステップS1006において、作業支援装置10の作型推定部120が、スケジュール情報D2と作型テンプレート情報D3に基づき、複数の圃場Fの作型を推定する。例えば作型推定部120は、各圃場Fについて、作型テンプレート情報D3に登録された作型の「作業種別」の「作業期間」と、スケジュール情報D2が示すその「作業種別」に対応する種類の作業が行われた作業日と、を比較して各圃場Fの作型を推定する。一例として、作型推定部120は、スケジュール情報D2が示すある圃場Fの作業日が、作型テンプレート情報D3に登録されたある作型に対応する「作業種別」の「作業期間」内にすべて含まれる場合、当該作型をその圃場Fの作型として推定する。スケジュール情報D2が示すある圃場Fのある種類の作業の作業日が、作型テンプレート情報D3に登録されたいずれの作型に対応する「作業種別」の「作業期間」とも完全には一致しない場合、作型推定部120は、各作型について、「作業期間」内に含まれない作業日それぞれについて、当該作業日から「作業期間」の期限(最も早い日又は最も遅い日)のうち作業日に近い日との誤差を求める。そして、作型推定部120は、「作業期間」内に含まれない作業日と「作業期間」の差異の累計が最も小さい作型を、その圃場Fの作型と推定する。
【0046】
そして、情報記憶部180が各圃場Fについて推定された作型の情報を一時記憶して、作業支援装置10は
図7の処理を終了する。
【0047】
作業支援装置10は、例えば、処理対象の圃場F1の作業を支援する支援画像を表示する旨のユーザ入力に基づき、
図8の処理を開始する。本実施形態では、まず端末装置20が入出力装置22を用いて、圃場F1の支援画像を表示する旨のユーザ入力を受け付ける。圃場F1の支援画像を表示する旨のユーザ入力の例として、端末装置20の入出力装置22が複数の圃場Fの地図画像を表示した画面上で、圃場F1をタップする操作が含まれる。そして、端末装置20の通信装置26が出力した当該ユーザ入力を示す情報を受信すると、作業支援装置10は
図8の処理を開始する。
【0048】
図8の処理では、ステップS2002において、作業支援装置10の共通決定部130が処理対象の圃場F1の共通圃場を決定する。例えば、共通決定部130は、圃場情報D1が示す複数の圃場Fのうち、
図7のステップS1006において推定された作型が処理対象の圃場F1と共通する圃場Fを圃場F1の共通圃場として決定する。
【0049】
次に、ステップS2004において、集計生成部140が、共通圃場の作業に関する集計情報を生成する。例えば、集計生成部140は、スケジュール情報D2に基づき、1以上の区分期間のそれぞれにおいて、ステップS2002で決定された共通圃場のうち作業が行われた圃場Fの数を集計する。例えば集計生成部140は、今日~5日前の各日が区分期間であり、共通圃場として圃場F2~Fnとして決定された場合、圃場F2~Fnのうち今日~5日前の各日で作業が行われた圃場の数をそれぞれ集計した集計情報を生成する。本実施形態では、集計生成部140は、ステップS2004の処理において、各区分期間で行われた作業の種類を区別せず、作業が行われた圃場の数を集計する。なお、集計生成部140は、圃場F1自身を含めた作型が共通の圃場F1~Fnを集計対象としてもよい。
【0050】
次に、ステップS2006において、優良決定部150が、実績情報D4に基づいて優良圃場を決定する。例えば、優良決定部150は、ステップS2002で決定した共通圃場のうち、実績情報D4が示す作業実績が最も優れた圃場(例えば、圃場F2)を優良圃場として決定する。一例として、実績情報D4が、作業実績を示す指標値として前年度の各圃場Fの単位面積当たりの収穫量の情報を含む場合、優良決定部150は当該単位面積当たりの収穫量が最も高い圃場F1を優良圃場として決定し得る。あるいは、優良決定部150は、実績情報D4が示す作業実績が所定の条件を満たしている共通圃場全てを優良圃場として決定してもよい。
【0051】
次に、ステップS2008において、優良生成部160が、1以上の区分期間のうち、ステップS2006で決定された優良圃場において作業が行われた区分期間を示す優良情報を生成する。例えば優良生成部160は、スケジュール情報D2が、優良圃場である圃場F2おいて3日前に作業が行われていることを示す場合、3日前の一日の期間中に優良圃場で作業が行われたことを示す優良情報を生成する。なお、優良圃場が複数ある場合、優良情報は、区間期間ごとに作業が行われた優良圃場の数を集計した情報であってもよい。
【0052】
次に、ステップS2010において、出力部170が、ステップS2004で生成された集計情報と、ステップS2008で生成された優良情報と、を含む出力情報を出力する。例えば出力部170は、通信装置16を用いて、出力情報を端末装置20に出力する。
【0053】
次に、ステップS2012において、端末装置20の表示部210が、出力情報に基づいて支援画像を表示する。支援画像には、例えば
図9に示すように、1以上の区分期間(今日~5日前)を示す情報と、各区分期間において作業が行われた共通圃場(圃場F2~圃場Fn)の数を示す情報TIと、が含まれる。一例として、表示部210は、集計情報に基づいて、各区分期間を、その区分期間内で作業が行われた圃場Fの数の多寡で分類する。例えば、作業が行われた圃場Fの数が所定の第1閾値(例えば、5個)よりも多い区分期間、所定の第2閾値(例えば、2個)よりも少ない区分期間、第1閾値と第2閾値の間である区分期間に分類する。そして、表示部210は、各区分期間における作業が行われた圃場の数の多寡を示す情報を識別可能に表示する。
図9の例では、表示部210は、支援画像において、その日に作業が行われた共通圃場の数の多寡を示す情報TIとして、作業が行われた圃場Fの少ないことを示す「少」、圃場Fの数が多いことを示す「多」、両者の中間であることを示す「中」の記号が、区分期間を示す円の下に付して表示する。
【0054】
また
図9の例では、支援画像は、優良圃場(例えば圃場F2)で作業が行われた区分期間を優良圃場で作業が行われていない区分期間と識別可能にする情報EIを含む。例えば表示部210は、優良情報に基づいて、優良圃場で作業が行われた日を示す情報の上にのみ情報EIとして「!」のマークを表示してもよい。
【0055】
このように、作業支援システム1は、処理対象の圃場F1と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場のうち、1以上の区分期間ごとに作業が行われた圃場Fの数を示す支援画像を表示する。そのため、圃場F1での作業を担当するユーザは、共通のスケジュールで農作業が行われるべき圃場F2~圃場Fnでの作業の進行度合いを集計した情報に基づいて自らがいつ作業を行うべきか判断をすることができる。また、作業支援システム1は、優良圃場である圃場F2で作業が行われた区分期間を示す情報EIを含む支援画像を表示する。このため、ユーザは優秀な作業効率を達成している他のユーザの作業スケジュールを参照して圃場F1の作業を行うことができる。よって作業支援システム1は圃場Fでの作業を効率よく支援し得る。
【0056】
(変形例)
実施形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態の作業支援システム1の共通決定部130は、スケジュール情報D2と、稼働情報D5に基づき生成された作型テンプレート情報D3と、に基づいて各圃場Fの作型を推定して、共通の作型に対応する圃場Fを共通圃場として決定した。しかしこれに限らず、共通決定部130はスケジュール情報D2に基づき複数の圃場Fを分類することで、作型テンプレート情報D3を用いることなく共通圃場を決定してもよい。一例として、共通決定部130は、スケジュール情報D2が示す作業日の類似性に基づいて、複数の圃場Fを、それぞれ共通のスケジュールで作業が行われるべき1以上の圃場を含む複数のグループに分類する。例えば共通決定部130は、本年度中の1日目~m日目についての作業状況を示すn次元のデータを用意する。このn次元のデータは、例えば、圃場Fk:{d1,d2,d3,…、dm}のように、圃場Fkの1日目の作業に対応する値d1、2日目の作業に対応する値d2、…、m日目の作業に対応する値dmを含む。各値d1~dmは、対応する日に圃場Fkで作業が行われていた場合1の値を、行われていない場合には0の値をとる。共通決定部130は、各圃場F1~圃場Fnのn次元のデータを、データ間の類似性が高いデータを同じクラスに分類するように、教師なしクラスタリングを実行して、共通のクラスに分類された圃場Fをそれぞれ共通圃場として決定してもよい。
【0058】
また、例えば今季の作業スケジュールを示すスケジュール情報D2に代えて、共通決定部130は、去年以前の同時期のスケジュール情報D2に基づいて共通圃場を決定してもよい。この変形例では、圃場Fでの今季の作業があまり進行していない場合でも、以前の実績に基づき圃場F1の共通圃場を決定することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、優良決定部150が用いる実績情報D4は、作業実績を示す指標値として、前年度の各圃場Fの単位面積当たりの収穫量の情報を含んでいた。しかしこれに限らず、実績情報D4は指標値として各圃場Fにおける品質情報(例えば、圃場Fで生産された作物の糖度又は酸度を示す情報)や単位面積毎の売上高の情報を含んでいてもよい。あるいは、実績情報D4は、圃場F1~圃場Fnの経営者が選別した優良作業者が作業する圃場Fを示す情報を含んでいてもよい。例えば優良作業者は、他の作業者と比べて、より高い品質の作物を、より多く収穫する作業者として経営者が選別した作業者であってもよい。この場合、優良決定部150は、ステップS2006において、実績情報D4が示す優良作業者が作用する圃場Fを、優良圃場として決定してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、情報記憶部180は、ユーザ入力に基づいてスケジュール情報D2の「作業種別」を決定した。しかしこれに限らず、情報記憶部180は稼働情報に基づいて「作業種別」が示すその作業の種類を推定してもよい。例えば、情報記憶部180が、既知の種類の作業を行う作業装置30の稼働情報と、その作業の種類を示すデータと、を含む教師データを用いて学習した機械学習モデルを記憶していてもよい。そして、情報記憶部180は、稼働情報D5のうち、各圃場Fで作業を行った作業装置30の作業日毎の稼働情報をこの機械学習モデルに入力することで、各圃場Fでの各日の作業の種類を推定してもよい。あるいは、例えば、作業装置30がトラクターである場合、トラクターが牽引する作業機(例えば、収穫機、耕耘機、又は、施肥機等)の種類を示す情報を含む稼働情報を出力する場合、作業装置30は製品の型式を示す情報を含む稼働情報を出力する。情報記憶部180は、稼働情報に含まれる作業機の種類や作業装置30の型式を示す情報に基づいて、作業装置30が行った作業の種類を推定して、推定された作業の種類を「作業種別」に格納してもよい。
【0061】
また、作型推定部120は
図7のステップS1006で説明した処理とは別の処理で各圃場Fの作型を推定してもよい。例えば作型推定部120は、ステップS1006において、機械学習モデルを用いて圃場Fの作型を推定してもよい。一例として、情報記憶部180が、既知の作型と、その作型について作業を行った作業装置30の稼働情報と、を含む教師データを用いて学習した機械学習モデルを記憶していてもよい。そして、作型推定部120は、ステップS1006において、各圃場Fについて作業を行った作業装置30の稼働情報をこの機械学習モデルに入力して、得られた出力により作型を推定してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、
図8のステップS2004において、作業支援システム1は各圃場Fで行われる作業の作業種別を区別せず処理を行った。しかし、作業支援システム1は作業種別を考慮して集計情報を生成する処理を行ってもよい。例えば、集計生成部140が、
図8のステップS2004において、処理対象の圃場F1で次に行われるべき作業種別を決定する。このとき、集計生成部140は、スケジュール情報D2に基づいて、作型テンプレート情報D3が示す圃場F1の作型で行われるべき複数の「作業種別」の作業のうち、未だ圃場F1で行われていない作業のうち「作業期間」に最も近い種類の作業を、次に行われるべき作業種別として決定する。そして、ステップS2004において、共通圃場(圃場F2~圃場Fn)のうち、決定された次に行われるべき作業種別が行われた圃場Fの数を集計した集計情報を生成してもよい。同様に、優良生成部160は、ステップS2008において、優良圃場である圃場F2で次に行われるべき作業種別が実行された区分期間を示す優良情報を決定してもよい。
【0063】
情報記憶部180は、ステップS1004においてスケジュール情報D2を作業装置30が出力する稼働情報に基づいて取得した。しかし、情報記憶部180はスケジュール情報D2をユーザ操作に基づいて記憶してもよい。例えば、各圃場Fで作業を行ったユーザが、端末装置20の入出力装置22を用いてその日に作業を行った旨の情報を端末装置20に入力する。そして、端末装置20は、作業が行われた圃場Fを示す情報と、作業が行われた日と、を示す情報を作業支援装置10に出力する。情報記憶部180は、この情報をスケジュール情報D2に登録することで、スケジュール情報D2を記憶してもよい。
【0064】
また、表示部210が表示する支援画像は、
図9に示す画像に限定されない。例えば、表示部210が表示する支援画像は、各区分期間における天候を示す気象情報を更に含んでいてもよい。例えば、端末装置20の表示部210は、通信装置26を用いて、気象情報を提供するサーバから各区分期間の気象情報を取得する。気象情報は、例えば、その区間期間の天気が雨か晴れかを示す情報、降水量、最高気温、最低気温、等の情報を含んでいてもよい。そして、表示部210は、
図9の各区分期間を示す情報に付して、気象情報を示す情報として、例えば、雨を示す傘マーク又は晴れを示す太陽マークの情報、降水量、最高気温及び最低気温を示す数字情報を含む支援画像を表示してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、作業支援システム1は各圃場Fの地理的な位置を考慮せず集計情報を生成した。しかしこれに限らず、作業支援システム1は処理対象の圃場F1から所定の範囲に位置する圃場Fのみを対象に集計情報を生成してもよい。この場合、例えば共通決定部130は、
図8のステップS2002において、圃場情報D1に含まれるすべての圃場Fについて共通圃場を決定してもよい。一方、集計生成部140は、ステップS2004において、圃場情報D1に基づき、圃場F1から地理的な近傍にある共通圃場(例えば、圃場F1と同じ都道府県内、市町村内に存在する共通圃場、圃場F1から半径dキロメートル内に存在する共通圃場、任意に設定された多角形の領域(矩形)に存在する共通圃場等)について集計情報を生成してもよい。
【0066】
また、表示部210は、
図10に示すように、処理対象の圃場F1の周囲の地理情報を示す情報AIを含む支援画像を表示してもよい。表示部210は、所定の距離の範囲(例えば、半径dキロメートル)内に存在する複数の圃場Fのうちの共通圃場であるF2~Fnが占める地理的な領域が、他の領域とは識別可能に(例えば、違う色で)示された情報AIを表示してもよい。
【0067】
表示部210は、
図11に示すように、集計情報を示す情報として棒グラフG1を含む支援画像を表示してもよい。
図11の例では、各日の圃場の数を表す棒が、作業が行われた共通圃場の数の多寡を示す情報TIに対応する。また、
図11の支援画像では、優良圃場である圃場F2で作業が行われた日に対応する棒グラフが、他の棒グラフとは異なる色で表示されている。この棒グラフは、優良圃場(圃場F2)で作業が行われた区分期間を優良圃場で作業が行われていない区分期間と識別可能に表示しているため、
図9の情報EIに対応する。
【0068】
更に、作業支援システム1は処理対象の圃場F1から所定の範囲外に位置する圃場Fを別途集計対象として、第2の集計情報を生成してもよい。この場合、例えば集計生成部140は、
図8のステップS2004において、圃場情報D1に基づき、圃場F1からとは異なる地域に位置する共通圃場について第2の集計情報を生成してもよい。第2の集計情報の集計対象となる圃場は、例えば、圃場F1と異なる行政区画(例えば、市又は県)に位置する共通圃場、圃場F1が含まれる地域とは気候条件が異なる地域(例えば、圃場F1が属する地域とは異なる地域の平野)に位置する共通圃場、又は、圃場F1が含まれる地域よりも同じ作型の同じ種類の作業に最適な作業日が早い地域に位置する共通圃場であってよい。
【0069】
この場合、表示部210は、
図12に示すように、
図11の棒グラフG1に加えて、第2の集計情報を示す棒グラフG2を含む支援画像を表示してもよい。
図12の例では、棒グラフG2は、処理対象の圃場F1とは地理的に離れているが作型等が共通する共通圃場のうち、1以上の区分期間で作業が行われた圃場の数を示す。このような変形例では、ユーザは地理的に近い共通圃場と、異なる地域の共通圃場と、の集計結果を示す情報を比較して、圃場F1での作業の計画を立てることができる。
【0070】
また、一つの共通圃場において複数の区分期間にわたって作業が行われた場合、作業支援システム1の集計生成部140は、
図8のステップS2004において、複数の区分期間それぞれにおいてその共通圃場で1回作業が行われたとして集計情報を生成してもよい。例えば、3日前と、2日前と、1日前それぞれにおいて圃場F3で作業が行われた場合、集計生成部140は、3日前と、2日前と、1日前それぞれについて、1回作業が行われたとカウントして、集計情報を生成してもよい。
【0071】
一つの共通圃場において複数の区分期間にわたって作業が行われた場合、作業支援システム1の集計生成部140は、
図8のステップS2004において、その共通圃場において作業が行われた複数の区分期間において、それぞれ1回未満の数の作業が行われたとして集計情報を生成してもよい。例えば、集計生成部140は、複数の区分期間において同一の圃場Fで作業が行われた場合、その圃場Fにおいて合計で1回作業が行われたとカウントして、集計情報を生成してもよい。一例として、集計生成部140は、3日前と、2日前と、1日前それぞれにおいて圃場F3で作業が行われた場合、集計生成部140は、3日前と、2日前と、1日前それぞれについて、1/3回作業が行われたとカウントして、集計情報を生成してもよい。
【0072】
あるいは、集計生成部140は、作業が行われた共通圃場全体の面積と、それぞれの区分期間において作業が行われた面積と、に基づいて求められた1未満の数値を、その区分期間においてその共通圃場で行われた作業の数として集計情報を生成してもよい。例えば、3日前において圃場F3全体のうち1/4の面積について作業が行われた場合、集計生成部140は、3日前について、圃場F3において0.25回作業が行われたとカウントして、集計情報を生成してもよい。この場合、集計生成部140は、稼働情報D5が示すその区分期間においてその圃場Fで作業を行った作業装置30の位置に基づいて、その区分期間で行われた作業面積を求めてもよい。一例として、集計生成部140は、稼働情報D5が示すその区分期間においてその圃場Fで作業を行った作業装置30の位置に基づいて、各位置を含む凸包を求めて、この凸包の面積をその作業区分における作業面積として決定してもよい。集計生成部140は、決定した圃場Fにおけるその作業区分での作業面積が、圃場情報D1が示すその圃場Fの全体面積に占める割合を、その作業区分で行われた作業回数を示す1以下の数値として決定してもよい。
【0073】
なお、作業装置30の作業幅の情報が得られる場合、集計生成部140は圃場Fにおける移動距離と作業幅とに基づいて、各区分期間での作業面積を求めてもよい。例えば、作業装置30が、自らの作業幅を示す稼働情報を作業支援装置10に出力する。そして、情報記憶部180が、各作業装置30の作業幅を稼働情報D5に記憶する。集計生成部140は、
図8のステップS2004において、稼働情報D5が示す位置のうち、その区分期間におけるその圃場Fに含まれる作業装置30の位置に基づいて、その区分期間においてその圃場F内で作業装置30が移動した距離を求める。そして、集計生成部140は求めた移動距離と、稼働情報D5が示す作業幅と、を乗算した数値を作業面積として、作業面積が圃場Fの全体面積に占める割合を求めてもよい。
【0074】
(付記)
各実施の形態で記載した作業管理方法と、作業支援システムと、プログラムとは以下のように言うことができる。
【0075】
第1の態様に係る作業支援方法は、
複数の圃場で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報に基づいて、前記複数の圃場のうち、対象圃場と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場を示す情報を決定することと、
前記スケジュール情報のうち、前記共通圃場において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた前記共通圃場の数を示す集計情報を生成することと、
前記集計情報を含む出力情報を出力することと、
を含む。
【0076】
第2の態様に係る作業支援方法は、第1の態様に係る作業支援方法であって、
前記スケジュール情報が、前記複数の圃場で行われた作業の作業時刻を示し、
前記共通圃場を示す情報を決定することが、
前記スケジュール情報が示す前記複数の圃場での作業日に基づいて、前記複数の圃場の作型を推定することと、
推定した前記複数の圃場の作型に基づいて、前記共通圃場を決定することと、
を含む。
【0077】
第3の態様に係る作業支援方法は、第1の態様に係る作業支援方法であって、
前記複数の圃場の作型を推定することが、複数の作型における典型的な作業スケジュールを示す作型テンプレート情報が示す前記複数の作型における作業の作業期間と、前記スケジュール情報が示す前記複数の圃場で行われた作業の作業時刻と、を比較した結果に基づいて、前記作型を推定することを含む。
【0078】
第4の態様に係る作業支援方法は、第1~第3の態様のうち何れかに係る作業支援方法であって、
出力した前記出力情報に基づいて、前記共通圃場のうち、前記1以上の区分期間において作業が行われた圃場の数に関する支援画像を表示することを更に含む。
【0079】
第5の態様に係る作業支援方法は、第4の態様に係る作業支援方法であって、
前記支援画像が、前記1以上の区分期間における気象情報を含む。
【0080】
第6の態様に係る作業支援方法は、第1~第5の態様のうち何れかに係る作業支援方法であって、
前記共通圃場における作業の実績を示す実績情報を取得することと、
取得した前記実績情報に基づいて、前記共通圃場のうち前記作業の実績が所定の基準を満たす優良圃場を決定することと、
前記1以上の区分期間のうち、決定された前記優良圃場において作業が行われた区分期間を示す優良情報を生成することと、
を更に含み、
前記出力情報を出力することが、前記優良情報を更に含む出力情報を出力することを含む。
【0081】
第7の態様に係る作業支援方法は、第6の態様に係る作業支援方法であって、
前記出力情報に基づいて、前記共通圃場のうち前記優良圃場で作業が行われた区分期間を、前記優良圃場で作業が行われていない区分期間と識別可能に示す支援画像を表示することと、
を更に含む。
【0082】
第8の態様に係る作業支援方法は、第1~第7の態様のうち何れかに係る作業支援方法であって、
前記集計情報を生成することが、前記共通圃場のうち一つの共通圃場において複数の区分期間で作業が行われたときには、前記複数の区分期間それぞれにおいて前記一つの共通圃場で1回作業が行われたとして前記集計情報を生成することを含む。
【0083】
第9の態様に係る作業支援方法は、第1~第7の態様のうち何れかに係る作業支援方法であって、
前記集計情報を生成することが、前記共通圃場のうち一つの共通圃場において複数の区分期間で作業が行われたときには、前記複数の区分期間のそれぞれにおいて前記一つの共通圃場で1回未満の回数だけ作業が行われたとして前記集計情報を生成することを含む。
【0084】
第10の態様に係る作業支援システムは、
複数の圃場で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報に基づいて、前記複数の圃場のうち、対象圃場と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場を示す情報を決定する共通決定部と、
前記スケジュール情報のうち、前記共通圃場において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた前記共通圃場の数を示す集計情報を生成する集計生成部と、
前記集計情報を含む出力情報を出力する出力部と、
を備える。
【0085】
第11の態様に係るプログラムは、
コンピュータに、
複数の圃場で行われた作業のスケジュールを示すスケジュール情報に基づいて、前記複数の圃場のうち、対象圃場と共通のスケジュールで作業が行われるべき共通圃場を示す情報を決定することと、
前記スケジュール情報のうち、前記共通圃場において行われた作業のスケジュールを示す情報に基づいて、現在より以前の1以上の区分期間において作業が行われた前記共通圃場の数を示す集計情報を生成することと、
前記集計情報を含む出力情報を出力することと、
を実行させる。
【符号の説明】
【0086】
1 作業支援システム
10 作業支援装置
12 入出力装置
14 演算装置
16 通信装置
18 記憶装置
110 情報取得部
120 作型推定部
130 共通決定部
140 集計生成部
150 優良決定部
160 優良生成部
170 出力部
180 情報記憶部
20 端末装置
22 入出力装置
24 演算装置
26 通信装置
28 記憶装置
210 表示部
30 作業装置
P1、P2 プログラム
M1、M2 記憶媒体
NT ネットワーク
D1 圃場情報
D2 スケジュール情報
D3 作型テンプレート情報
D4 実績情報
D5 稼働情報
F1~Fn 圃場
TI 情報
EI 情報
G1、G2 棒グラフ