(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084345
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ゴム組成物の分析方法及び学習済みモデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
G06V 10/82 20220101AFI20240618BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240618BHJP
【FI】
G06V10/82
G06T7/00 610Z
G06T7/00 350C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198564
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100210251
【弁理士】
【氏名又は名称】大古場 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和加奈
(72)【発明者】
【氏名】近藤 節
(72)【発明者】
【氏名】石澤 善雄
(72)【発明者】
【氏名】坂元 直人
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋貴
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096FA02
5L096HA11
5L096JA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】ゴム組成物に含まれる配合物に対応する領域を、当該ゴム組成物の顕微鏡画像において適切に画定するための分析方法等を提供する。
【解決手段】ゴム組成物の分析方法は、以下のことを含む。(1)ゴム組成物を顕微鏡で撮影した顕微鏡画像であって、前記ゴム組成物に含まれる配合物が現れた顕微鏡画像から生成した入力データを取得すること。(2)前記入力データを、学習済みの機械学習モデルに入力すること。(3)前記学習済みの機械学習モデルから出力データを導出すること。なお、前記出力データは、前記配合物に対応して前記顕微鏡画像に現れる領域を画定するデータである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム組成物を顕微鏡で撮影した顕微鏡画像であって、前記ゴム組成物に含まれる配合物が現れた顕微鏡画像から生成した入力データを取得することと、
前記入力データを、学習済みの機械学習モデルに入力することと、
前記学習済みの機械学習モデルから出力データを導出することと
を含み、
前記出力データは、前記配合物に対応して前記顕微鏡画像に現れる領域を画定するデータである、
ゴム組成物の分析方法。
【請求項2】
前記出力データに基づいて、前記ゴム組成物の構造及び物性の少なくとも一方に関する特徴量を導出すること
をさらに含む、
請求項1に記載の分析方法。
【請求項3】
前記学習済みの機械学習モデルは、セグメンテーションモデルとして構成される、
請求項1または2に記載の分析方法。
【請求項4】
前記学習済みの機械学習モデルは、アテンションネットワーク、SegNet、特徴ピラミッドネットワーク、UNet、PSPNet、TransNet、及びTransUNetからなる群から選択されるモデル、または前記群から選択されるモデルをベースとするモデルとして構成される、
請求項3に記載の分析方法。
【請求項5】
前記学習済みの機械学習モデルは、TransformerエンコーダとUNetエンコーダとを含むモデルとして構成される、
請求項4に記載の分析方法。
【請求項6】
前記入力データを学習済みの機械学習モデルに入力することは、前記入力データに基づくデータを前記Transformerエンコーダに入力することと、前記入力データを前記UNetエンコーダに入力することとを含む、
請求項5に記載の分析方法。
【請求項7】
前記顕微鏡は、反射電子顕微鏡である、
請求項1または2に記載の分析方法。
【請求項8】
前記特徴量は、前記配合物の分散状態、前記配合物が形成する組織の形状及び前記配合物が形成する組織のサイズの少なくとも1つに関する、
請求項2に記載の分析方法。
【請求項9】
前記特徴量は、前記ゴム組成物の粘度、硬度、トルエン膨潤指数、比重、ガラス転移温度(Tg)、温度分散(TD)、モジュラス、引張強さ、伸び、貯蔵弾性率、及び損失弾性率の少なくとも1つに関する、
請求項2に記載の分析方法。
【請求項10】
ゴム組成物を顕微鏡で撮影した顕微鏡画像であって、前記ゴム組成物に含まれる配合物が現れた顕微鏡画像から生成される第1データと、前記配合物に対応して前記顕微鏡画像に現れる領域を画定する第2データとが複数組み合わせられた学習用データを準備することと、
前記学習用データを、訓練用データと検証用データとに分割することと、
前記訓練用データを用いて、前記第1データに対応するデータを入力すると、前記第2データに対応するデータが出力されるように、機械学習モデルを定義するパラメータを調整することと
を含む、
学習済みモデルの生成方法。
【請求項11】
前記パラメータが調整された前記機械学習モデルに、前記検証用データに含まれる第1データを入力することにより、前記第2データに対応する出力データを導出することと、
前記第2データに対する前記出力データの誤差を算出することと、
前記誤差が比較的小さくなる前記検証用データに含まれる第1データを特定することと
をさらに含む、
請求項10に記載の学習済みモデルの生成方法。
【請求項12】
前記特定された第1データとの類似度が高い類似データを新たに準備することと、
前記パラメータが調整された前記機械学習モデルに、前記類似データを入力することにより、出力データを導出することと、
前記導出された出力データを疑似正解データとして、前記類似データと前記疑似正解データとが組み合わせられた疑似学習用データを作成することと、
前記パラメータが調整された前記機械学習モデルに、前記類似データを入力すると、前記疑似正解データに対応するデータが出力されるように、前記パラメータをさらに調整することと
をさらに含む、
請求項11に記載の学習済みモデルの生成方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載の分析方法を実行するように構成された1または複数のプロセッサを備える、
分析装置。
【請求項14】
請求項10または11に記載の学習済みモデルの生成方法を実行するように構成された1または複数のプロセッサを備える、
学習済みモデルの生成装置。
【請求項15】
1または複数のプロセッサに、請求項1または2に記載の分析方法を実行させる、
分析プログラム。
【請求項16】
1または複数のプロセッサに、請求項10または11に記載の学習済みモデルの生成方法を実行させる、
学習済みモデルの生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物の分析方法及び学習済みモデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム組成物についての知見を深めるべく、ゴム組成物を顕微鏡により撮影し、得られた顕微鏡画像を解析するための技術が提供されている。例えば特許文献1は、ゴム組成物の顕微鏡画像から、当該顕微鏡画像の特徴を示す指標を算出し、これに基づいてゴム組成物の特性を推定する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、ゴム組成物の顕微鏡画像から算出される特徴ベクトルと、ゴム組成物の特定の特性とが関連付けられている。一方、ゴム組成物の顕微鏡画像には、ゴム組成物に含まれる配合物が輝度の差として現れており、ゴム組成物の物性や構造に対する定量的なデータを抽出すべく、特定の配合物に対応する領域をまず区別したい場合がある。しかしながら、ゴム組成物の顕微鏡画像において、このような領域を適切に画定することは容易ではなく、そのような技術はこれまで提供されてこなかった。
【0005】
本発明は、ゴム組成物に含まれる配合物に対応する領域を、当該ゴム組成物の顕微鏡画像において適切に画定するためのゴム組成物の分析方法、及び学習済みモデルの生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係るゴム組成物の分析方法は、以下のことを含む。
(1)ゴム組成物を顕微鏡で撮影した顕微鏡画像であって、前記ゴム組成物に含まれる配合物が現れた顕微鏡画像から生成した入力データを取得すること
(2)前記入力データを、学習済みの機械学習モデルに入力すること
(3)前記学習済みの機械学習モデルから出力データを導出すること
なお、前記出力データは、前記配合物に対応して前記顕微鏡画像に現れる領域を画定するデータである。
【0007】
第2観点に係る分析方法は、第1観点に係る分析方法であって、前記出力データに基づいて、前記ゴム組成物の構造及び物性の少なくとも一方に関する特徴量を導出することをさらに含む。
【0008】
第3観点に係る分析方法は、第1観点または第2観点に係る分析方法であって、前記学習済みの機械学習モデルは、セグメンテーションモデルとして構成される。
【0009】
第4観点に係る分析方法は、第1観点から第3観点のいずれかに係る分析方法であって、前記学習済みの機械学習モデルは、アテンションネットワーク、SegNet、特徴ピラミッドネットワーク、UNet、PSPNet、TransNet、及びTransUNetからなる群から選択されるモデル、または前記群から選択されるモデルをベースとするモデルとして構成される。
【0010】
第5観点に係る分析方法は、第1観点から第4観点のいずれかに係る分析方法であって、前記学習済みの機械学習モデルは、TransformerエンコーダとUNetエンコーダとを含むモデルとして構成される。
【0011】
第6観点に係る分析方法は、第5観点に係る分析方法であって、前記入力データを学習済みの機械学習モデルに入力することは、前記入力データに基づくデータを前記Transformerエンコーダに入力することと、前記入力データを前記UNetエンコーダに入力することとを含む。
【0012】
第7観点に係る分析方法は、第1観点から第6観点のいずれかに係る分析方法であって、前記顕微鏡は、反射電子顕微鏡である。
【0013】
第8観点に係る分析方法は、第2観点に係る分析方法であって、前記特徴量は、前記配合物の分散状態、前記配合物が形成する組織の形状及び前記配合物が形成する組織のサイズの少なくとも1つに関する。
【0014】
第9観点に係る分析方法は、第2観点に係る分析方法であって、前記特徴量は、前記ゴム組成物の粘度、硬度、トルエン膨潤指数、比重、ガラス転移温度(Tg)、温度分散(TD)、モジュラス、引張強さ、伸び、貯蔵弾性率、及び損失弾性率の少なくとも1つに関する。
【0015】
第10観点に係る学習済みモデルの生成方法は、以下のことを含む。
(1)ゴム組成物を顕微鏡で撮影した顕微鏡画像であって、前記ゴム組成物に含まれる配合物が現れた顕微鏡画像から生成される第1データと、前記配合物に対応して前記顕微鏡画像に現れる領域を画定する第2データとが組み合わせられた学習用データを準備すること
(2)前記学習用データを、訓練用データと検証用データとに分割すること
(3)前記訓練用データを用いて、前記第1データに対応するデータを入力すると、前記第2データに対応するデータが出力されるように、機械学習モデルを定義するパラメータを調整すること
【0016】
第11観点に係る学習済みモデルの生成方法は、第10観点に係る学習済みモデルの生成方法であって、以下のことをさらに含む。
(4)前記パラメータが調整された前記機械学習モデルに、前記検証用データに含まれる第1データを入力することにより、前記第2データに対応する出力データを導出すること
(5)前記第2データに対する前記出力データの誤差を算出すること
(6)前記誤差が比較的小さくなる前記検証用データに含まれる第1データを特定すること
【0017】
第12観点に係る学習済みモデルの生成方法は、第11観点に係る学習済みモデルの生成方法であって、以下のことをさらに含む。
(7)前記特定された第1データとの類似度が高い類似データを新たに準備すること
(8)前記パラメータが調整された前記機械学習モデルに、前記類似データを入力することにより、出力データを導出すること
(9)前記導出された出力データを疑似正解データとして、前記類似データと前記疑似正解データとが組み合わせられた疑似学習用データを作成すること
(10)前記パラメータが調整された前記機械学習モデルに、前記類似データを入力すると、前記疑似正解データに対応するデータが出力されるように、前記パラメータをさらに調整すること
【0018】
第13観点に係る分析装置は、第1観点から第9観点のいずれかに係る分析方法を実行するように構成された1または複数のプロセッサを備える。また、第15観点に係る分析プログラムは、第1観点から第9観点のいずれかに係る分析方法を1または複数のプロセッサに実行させる。
【0019】
第14観点に係る学習済みモデルの生成装置は、第10観点から第12観点のいずれかに係る学習済みモデルの生成方法を実行するように構成された1または複数のプロセッサを備える。また、第16観点に係る学習済みモデルの生成プログラムは、第10観点から第12観点のいずれかに係る学習済みモデルの生成方法を1または複数のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ゴム組成物を顕微鏡で撮影した顕微鏡画像において、学習済みの機械学習モデルにより、ゴム組成物に含まれる配合物に対応する領域が画定される。これにより、機械学習を含まない画像処理アルゴリズムでは困難な領域分割が可能となり、ひいてはゴム組成物の構造及び物性の少なくとも一方に対する知見を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】ゴム組成物を電子顕微鏡で撮影した顕微鏡画像の一例。
【
図1B】ゴム組成物を電子顕微鏡で撮影した顕微鏡画像の一例。
【
図1C】従来の画像処理により領域分割を行った画像の一例。
【
図2】一実施形態に係る分析装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図3】一実施形態に係る機械学習モデルの構造を説明する図。
【
図4】分析装置による分析方法の流れを示すフローチャート。
【
図5】一実施形態に係る特徴量の導出原理を説明する図。
【
図6】一実施形態に係る特徴量の導出原理を説明する図。
【
図7】
図5及び6に基づいて生成されるヒストグラムの例。
【
図8】ヒストグラム上のプロット点の位置から抽出される特徴を説明する図。
【
図9】機械学習モデルの生成方法の流れを示すフローチャート。
【
図10A】実施例に係るモデルの精度指標を示す図。
【
図10B】別の実施例に係るモデルの精度指標を示す図。
【
図11】入力データ、正解データ及び出力データを比較する図。
【
図12】異なる配合の顕微鏡画像と領域分割画像とを比較する図。
【
図13】配合物の特徴量と、物性との相関を可視化する図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、一実施形態に係る分析装置により実行されるゴム組成物の分析方法、ならびに学習済みモデルの生成装置により実行される学習済みモデルの生成方法について説明する。
【0023】
<1.概要>
ゴム組成物は、弾性を有する高分子化合物であり、典型的には、複数の配合物が共に混練されることにより生成される。配合物の種類としては、例えばポリマー、フィラー(シリカ、カーボン等)、及び架橋剤等が挙げられる。ここで、ゴム組成物は、架橋前のものであってもよいし、架橋後のものであってもよい。このようなゴム組成物を顕微鏡により撮影した顕微鏡画像には、その配合物の少なくとも一部が、各画素の輝度の差として現れる。
図1A及び
図1Bは、ともにこのような顕微鏡画像の一例である。
図1Aは反射電子顕微鏡によりゴム組成物を撮影した顕微鏡画像の例であり、
図1Bは二次電子顕微鏡によりゴム組成物を撮影した顕微鏡画像の例である。
図1Aでは、輝度が相対的に高い領域がシリカの凝集体に対応し、輝度が相対的に低い領域がカーボンの凝集体に対応し、中間的な輝度の領域が1または複数のポリマーに対応する。
図1Bでは、輝度が相対的に高い領域がシリカの凝集体に対応する。このように、ゴム組成物の顕微鏡画像には、例えば配合物が形成する組織の形状及びサイズ、ならびに組織間の距離(配合物の分散状態)等、主としてゴム組成物の構造に関する情報が現れる。
【0024】
上記の情報を定量的なデータとして抽出するためには、顕微鏡画像上で少なくとも1種類の配合物に対応する領域を画定し、他の領域から分割することが必要となる。しかしながら、顕微鏡画像の各画素の輝度に基づいて領域を分割する公知の画像処理アルゴリズムによっては、ゴム組成物に対する従来の知見に沿った領域分割を行うことが困難であった。例えば、1つの顕微鏡画像内に、輝度が相対的に高く、第1の配合物に対応する高輝度領域と、輝度が相対的に低く、第2の配合物に対応する低輝度領域と、輝度が中間的な範囲であり、第3の配合物に対応する中間領域とが存在する場合を仮定する。このような場合、公知の画像処理アルゴリズムでは、高輝度領域と低輝度領域との間に存在する境界的な領域と、第3の配合物に対応する中間領域とを区別することができず、配合物の実際の様子にそぐわない領域分割結果が生じ得る(
図1C参照)。
【0025】
分析装置1は、このような課題に鑑み、後述する学習済みの機械学習モデル131(以下、単に「モデル131」とも称する)を用いて、ゴム組成物の顕微鏡画像に対する領域分割を実行するように構成される。これに加えて、本実施形態の分析装置1は、機械学習モデルを学習させ、モデル131を生成する学習済みモデルの生成装置としても構成される。以下、分析装置1の構成について説明する。
【0026】
<2.分析装置の構成>
図2は、分析装置1の電気的な構成を示すブロック図である。分析装置1は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップパソコン、ラップトップパソコン、タブレット、スマートフォン等の情報処理装置として実現される。分析装置1は、CD-ROM、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体133から、あるいはネットワークを介して、プログラム132を汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。プログラム132は、分析装置1に後述する動作を実行させる。
【0027】
分析装置1は、制御部10、表示部11、入力部12、記憶部13、及び通信部14を備える。これらの部10~14は、互いにバス線15を介して接続されており、相互に通信可能である。表示部11、入力部12及び記憶部13の少なくとも一部は、分析装置1の本体(制御部10等を収容する筐体)に一体的に組み込まれていてもよく、外付けであってもよい。
【0028】
表示部11は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等で構成することができ、制御部10により生成される各種の画面を表示する。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、分析装置1に対するユーザの操作を受け付ける。表示部11及び入力部12は、ともに同じタッチパネルディスプレイで構成されてもよい。通信部14は、様々な形式の通信接続を確立する通信インターフェースとして機能する。
【0029】
記憶部13は、ハードディスク及びフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリで構成することができる。記憶部13内には、プログラム132が格納されている他、モデル131の構造(アーキテクチャ)を規定する情報、後述する学習処理により調整されるモデル131のパラメータ、及び学習処理に用いられる学習用データも格納される。
【0030】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の1または複数のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)ならびにRAM(Random Access Memory)等で構成することができる。制御部10は、記憶部13内のプログラム132を読み出して実行することにより、仮想的に取得部10A、出力導出部10B、特徴量導出部10C及び学習部10Dとして動作する。取得部10Aは、入力部12や通信部14等を介して、ゴム組成物の顕微鏡画像のデータ及びこれに基づいて加工されたデータの少なくとも一方を取得する。出力導出部10Bは、取得部10Aが取得したデータをモデル131に入力し、モデル131からの出力データを導出するとともに、これを表す画面を生成する。特徴量導出部10Cは、出力データに基づき、ゴム組成物の構造及び物性の少なくとも一方に関する1または複数の特徴量を導出する。学習部10Dは、後述する処理により、機械学習モデルのパラメータを調整する。学習により調整されたパラメータは、モデル131を定義するパラメータであるということができる。
【0031】
<3.機械学習モデルの構成>
図3は、モデル131の構造を説明する図である。本実施形態のモデル131は、画像のセグメンテーション、特にセマンティックセグメンテーションに適用される深層学習モデルであり、より詳細には、TransUNetモデルをベースとするモデルである。モデル131は、Transformerモデルに従うTransformerエンコーダ1310(以下、単に「Tエンコーダ1310」とも称する)と、UNetモデルに従うUNetエンコーダ1311(以下、単に「Uエンコーダ1311」とも称する)とを備える。モデル131は、UNetモデルに従うUNetデコーダ1312(以下、単に「Uデコーダ1312」とも称する)をさらに備え、Uデコーダ1312からは入力データと同じサイズを有する出力データが出力される。
【0032】
モデル131へ入力される入力データは、縦×横のピクセル数(H×W)で規定される所定のサイズを有する画像のデータである。入力データは、ゴム組成物を顕微鏡で撮影した顕微鏡画像のデータに基づいて生成されるデータであり、H×Wの顕微鏡画像のデータそのものであってもよいし、上記顕微鏡画像から切り出された、H×Wのピクセル数を有する複数のパッチ画像であってもよい。また、入力データは、RGB画像のデータであってもよいし、グレースケール画像のデータであってもよい。後述するように、入力データは、線形射影等の処理を施された後にTエンコーダ1310に入力されるとともに、Uエンコーダ1311にも入力される。つまり、モデル131に入力データを入力することは、入力データに基づいて生成されたデータをTエンコーダ1310に入力することと、上記入力データをUエンコーダ1311に入力することとを含む。
【0033】
なお、ゴム組成物を撮影する顕微鏡の種類は特に限定されないが、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡が好ましく、反射電子顕微鏡や二次電子顕微鏡等の走査型電子顕微鏡がより好ましい。また、二次電子顕微鏡では主としてシリカの情報が得られるのに対し、反射電子顕微鏡ではカーボン、ポリマー及びシリカの情報が得られるため、より多くの配合物の情報が得られるという観点では、反射電子顕微鏡がさらに好ましい。顕微鏡画像の拡大倍率は、特に限定されないが、2500倍から100000倍であることが好ましい。
【0034】
モデル131への入力データが、1枚の画像から切り出された一連のパッチ画像である場合、これらのパッチ画像は、Tエンコーダ1310への入力に先立ち、それぞれ1次元のベクトルに変換された後、より低次元のテンソルへとさらに線形射影される。線形射影に使用する行列(フィルタ)は、後述する学習処理により調整されるパラメータを有する。一方、モデル131への入力データが一連のパッチ画像でない場合は、入力データに基づいて所定のサイズを有する一連のパッチ画像を生成し、各パッチ画像を1次元のベクトルに変換した後、これをより低次元のテンソルへと線形射影するようにしてもよい。また、これらの線形射影されたテンソルには、元の画像における位置情報を付加するようにしてもよい。上述のように、入力データに基づいて生成されたデータ(トークンとも称される)が、続くメタ構造(MetaFormer layer)を有するTエンコーダ1310への入力となる。Tエンコーダ1310は、入力データの全体的な特徴を抽出するエンコーダである。
【0035】
Tエンコーダ1310は、入力されたトークンに対し、チャネル方向及び空間方向の混合を繰り返し行うことにより、チャネル方向及び空間方向にわたる特徴を抽出するように構成される。より具体的には、Norm層では入力されたトークンの正規化処理を施され、続くTokenMixer層において、空間位置が異なるパッチに対応する特徴量の混合が行われる。また、もう1つのNorm層ではデータの正規化が行われ、続く多層パーセプトロン(MLP)により、トークンごとに、異なるチャネル間での特徴量が混合される。MLPの層数や繰り返しの回数は、適宜設定することができる。また、Tエンコーダ1310は、MLPの重みづけ係数やバイアス等、学習により調整されるパラメータを有し、これらのパラメータは、後述する学習処理により調整済みである。本実施形態では、処理の高速化及び領域分割の精度向上の観点から、空間方向の特徴抽出を行うTokenMixer層では、平均プーリングが採用されているが、TokenMixer層で行われる処理は、これに限定されない。
【0036】
Tエンコーダ1310からの出力は、入力データの大域的な特徴を表す特徴量である。Tエンコーダ1310には、1つの転置畳み込み層が接続されており、Tエンコーダ1310の出力は、この転置畳み込み層に入力される。転置畳み込み層では、所定のサイズを有するカーネルが適用され、入力データに対し、転置畳み込みの演算が行われる。カーネルが持つパラメータは、後述する学習処理により調整済みである。これにより、入力されたデータの特徴を保持しつつ、元のデータに対してサイズが増大した2次元データ(特徴マップ)が出力される。この特徴マップは、後述するUエンコーダ1311の最も下の階層における出力と同じサイズを有する。転置畳み込み層のカーネルサイズは特に限定されず、適宜設定することができる。また、転置畳み込みの演算の際には、ReLU関数が適用されることが好ましい。
【0037】
一方、Uエンコーダ1311は、連続する2つの2次元畳み込み層が、これに連続するプーリング層で連結され、これにより複数の階層を形成する構造を有する。なお、各階層は、後述するUデコーダ1312において対応する階層にそれぞれスキップ結合されている。Uエンコーダ1311の各階層における畳み込み層では、入力された画像の特徴抽出が行われる。より詳細には、各畳み込み層には、所定のサイズを有する2次元のデータが入力され、畳み込みフィルタによる畳み込みが行われる。これにより、各畳み込み層からは、入力された画像の特徴を表す2次元のデータ(特徴マップ)が出力される。畳み込みフィルタは、入力された画像の特徴を抽出するためのフィルタであり、フィルタが持つパラメータは、後述する学習処理により調整済みである。また、畳み込みの演算の際には、ReLU関数が適用されることが好ましく、これにより、抽出された特徴がより強調される。畳み込み層におけるフィルタ数、フィルタサイズ、フィルタにより入力データをスキャンする間隔、及び作成される特徴マップのサイズ調整のためのパディング方法等は、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0038】
各階層において、2番目の畳み込み層から出力された特徴マップは、プーリング層に入力され、ダウンサンプリングされる。これにより、階層が下に進むごとに、畳み込み層に入力される2次元のデータのサイズが、上の階層で出力された特徴マップのサイズと比較して小さくなる。本実施形態のプーリング層では、最大値プーリングが行われる。すなわち、入力された特徴マップに対し、特徴マップよりも小さなサイズのカーネルによるスキャンが行われ、カーネル内における最大値が抽出される。カーネルのサイズや、特徴マップをスキャンする間隔は、適宜設定することができる。本実施形態では、カーネルのサイズは2×2であり、特徴マップの空間解像度が半分になるように設定される。なお、プーリング層は、学習により調整されるパラメータを有さない。
【0039】
Uエンコーダ1311では、上記畳み込み層とプーリング層との組み合わせによる処理が進行する度に、より小さな特徴を捉えた、小さなサイズの特徴マップが出力される。Uエンコーダ1311の最後の階層で出力される特徴マップは、Tエンコーダ1310の後に接続される転置畳み込み層から出力される特徴マップと同数であるとともに、同じサイズを有する。これらの特徴マップを結合したデータ(以下、「結合マップ」とも称する)が、Uデコーダ1312への入力となる。このように作成された結合マップをUデコーダ1312に入力することにより、入力データにおける大域情報と、強い局所情報とを共に反映させた領域分割が可能となる。
【0040】
Uデコーダ1312は、Uエンコーダ1311の各階層にスキップ結合される階層が形成された構造を有し、各階層では、連続する2つの2次元畳み込み層の後に、1つの転置畳み込み層が接続されている。2次元畳み込み層及び転置畳み込み層で行われる処理については、上述した通りである。ただし、最終的なモデル131の出力データが出力される最も上の階層では、連続する2つの2次元畳み込み層の後に、転置畳み込み層ではなく、1つの1×1の畳み込み層が接続される。
【0041】
Uデコーダ1312の最も下の階層の1番目の畳み込み層には、上述した結合マップが入力される。そして、続く畳み込み層と転置畳み込み層とにおける処理により、入力された結合マップの特徴を保持しつつ、当該結合マップよりも大きなサイズの2次元データが生成される。
【0042】
最も下の階層の転置畳み込み層から出力された2次元データは、スキップ結合されているUエンコーダ1311の畳み込み層から出力された2次元データ(特徴マップ)とともに、1つ上の階層の1番目の畳み込み層へ受け渡される。これにより、Uエンコーダ1311により抽出された局所的な特徴の位置情報を保持しつつ、受け渡された2次元データよりも大きな2次元データを生成することができる。Uデコーダ1312では、この処理が階層ごとに繰り返され、繰り返されるごとに、出力される2次元データのサイズがモデル131の入力データのサイズに近付いていく。
【0043】
上述したように、Uデコーダ1312の最も上の階層における1×1の畳み込み層からは、最終的にモデル131の出力となるデータが出力される。この出力データは、モデル131の入力データにおいて、各配合物の組織が占める領域に、互いに異なる輝度が割り当てられた画像のデータである。すなわち、出力データは、ゴム組成物の顕微鏡画像において、ゴム組成物の配合物に対応して現れる領域を画定するデータであり、各画素に対し、当該画素が対応する配合物を表すラベル付けが行われたデータであるとも言うことができる。なお、ラベルの数は特に限定されず、モデル131の学習の際に適宜設定することができる。
【0044】
<4.分析方法>
図4は、分析装置1により実行される、ゴム組成物の顕微鏡画像の領域分割処理と、領域分割の結果に基づく特徴量の導出処理とを含む分析方法の流れを示すフローチャートである。以下、
図4を参照しつつ、分析装置1の動作について説明する。
【0045】
まず、取得部10Aが入力データを取得する(ステップS1)。入力データは、上述したように、ゴム組成物を顕微鏡により撮影した顕微鏡画像から生成されるデータである。取得部10Aによる入力データの取得は、例えばCD-ROM、USBメモリ等の記録媒体を介して行われてもよいし、ネットワーク通信を介して、外部装置が保有するデータを読み出すことにより行ってもよい。入力データが、ゴム組成物の顕微鏡画像から切り出されるパッチ画像である場合、取得部10Aは、まずゴム組成物の顕微鏡画像を取得し、これを切り出してパッチ画像を作成してもよい。
【0046】
続いて、出力導出部10Bが、ステップS1で取得した入力データをモデル131に入力するとともに、モデル131から出力データを導出する(ステップS2)。上述したように、出力は、ゴム組成物の配合物に対応して現れる領域を画定するデータであり、入力データに対し、配合物ごとに領域が分割されたデータである。
【0047】
続いて、特徴量導出部10Cが、ステップS2で出力された出力データに基づき、ゴム組成物の構造及び物性の少なくとも一方に関する特徴量を導出する(ステップS3)。特徴量の導出方法は、特に限定されないが、本実施形態では、パーシステントホモロジーを用いた手法(以下、「PH法」とも称する)により実行される。以下で説明するように、本実施形態では、PH法を用いて、特定の配合物により形成される組織の分散状態、配合物が形成する組織の形状及び配合物が形成する組織のサイズに関する特徴量が導出される。
【0048】
図5は、PH法による特徴量の導出原理を説明する図である。まず、特徴量導出部10Cが、ステップS2で出力された領域分割済みの画像に基づき、注目する注目配合物に対応する領域と、それ以外の領域とを区別する二値化画像を作成する。
図5の左に示す例では、注目配合物に対応する領域の画素が白で、それ以外の領域の画素がグレーで表されている。これにより、画像全体における注目配合物の組織が、島構造として表現される。
【0049】
続いて、特徴量導出部10Cが、島構造の輪郭を構成する画素を-1の画素として、これらの画素から島構造の内部に向かって1画素分離れるに従い、隣接する画素の値から1を引いた値を割り当てていき、島構造の全ての画素に-1以下の値を割り当てる。具体的には、特徴量導出部10Cが、島構造の最も外側に位置する画素に-1を割り当て、-1の画素に隣接する島構造内部の画素に-2を割り当て、-2の画素に隣接する島構造内部の画素に-3を割り当てる。このようにして、島構造を形成する全ての画素に、マンハッタン距離を表す値が割り当てられたとき、割り当てられた値が最も小さくなる画素を島構造の中心と定める。
図5の右に示す例では、二値化画像の左上にある島構造の-3の画素と、右下にある島構造の-2の画素が、それぞれの島構造の中心の画素と定められる。
【0050】
次に、特徴量導出部10Cが、二値化画像内で最も小さい値の画素を基準として、白い領域を単位時間あたり1画素ずつ膨張させたときの白い領域の生成や結合の過程をヒストグラム化する。
図6を例として、このアルゴリズムを説明する。まず、基準とした画素の値に対応する時刻(-3)を島構造の中心の生成時間とし、この時点では-3の画素のみが白であり、それ以外の画素がグレーであるとする。次の時刻(-2)では、基準の画素から画素1つ分だけ白い領域を膨張させ、-2の画素を新たに白とする。結果、基準とした画素を含む島構造に加え、新たに2つの島構造が生成される。島構造が新たに生成された時刻(-2)を生成時刻とする。同様の要領で、次の時刻(-1)でさらに画素1つ分だけ白い領域を膨張させる。結果、時刻(-2)で独立していた2つの島構造が結合し、1つの島構造を形成する。次の時刻(1)では、元々の島構造の外部に、画素1つ分だけ白い領域を膨張させる。
図6において、新たに白い領域となった画素には1が表示される。同様に、次の時刻(2)では、1が表示された画素から、さらに画素1つ分だけ白い領域を膨張させる。
図6において、新たに白い領域となった画素には2が表示される。また次の時刻(3)では、2が表示された画素から、さらに画素1つ分だけ白い領域を膨張させる。これにより、元々独立していた2つの島構造が結合し、1つの島構造となる。
【0051】
図7に示すように、横軸を生成時刻、縦軸を結合時刻とするプロット平面に、上記アルゴリズムにより島構造が新たに生成した生成時刻と、独立していた2つの島構造が結合した結合時刻とをプロットすることにより、2次元ヒストグラムが生成される。
図7の例では、生成時刻-2に対し、結合時刻が-1と3であったため、上記プロット平面には(-2,-1)及び(-2,3)の2点がプロットされる。本実施形態では、このヒストグラムをベクトル化したものがゴム組成物の構造に関する特徴量となる。
【0052】
図8は、上記2次元ヒストグラムにプロットされた点の位置が表す情報を示す図である。
図8に示すように、プロット点が横軸から上方向に離れれば離れるほど、注目配合物により形成される島構造が少なく、あるいは注目配合物の分散度合いが大きいことを表す。島構造同士がより離れていると、上記アルゴリズムにおいて、2つの島構造が結合するまでにより長い時間を要するからである。一方、横軸よりも下にあるプロット点は、注目配合物により形成される組織が凹凸を有することを表す。この場合、元々は1つである島構造が、上記アルゴリズムにおいて、2以上の島構造の結合により生成されることを示すからである。また、プロット点が縦軸から左方向に離れれば離れるほど、注目配合物により形成される島構造のサイズが大きいことを表す。島構造のサイズが大きいと、上記アルゴリズムにおいて島構造が新たに生成される時刻が、元々の島構造の輪郭に至る時刻(-1)からより遡った時刻となるからである。さらに、プロット点がプロット平面の対角線に近ければ近いほど、注目配合物により形成される組織の凹凸がより微小であることを表す。組織の凹凸が微小であると、上記アルゴリズムにおいて、島構造の生成時刻と結合時刻との差が小さくなるからである。なお、元々1つの島構造の形状に凹凸が多く、くびれが多い形状であると、結合時刻(-1)の付近にプロット点が多くなる。特徴量導出部10Cは、以上のようにして、ゴム組成物の構造に関する特徴量を導出する。
【0053】
特定の配合物の構造と、ゴム組成物の物性との相関が判明している場合、特徴量導出部10Cは、上記ゴム組成物の構造に関する特徴量から、ゴム組成物の物性に関する特徴量をさらに導出することができる。本発明者らの検討によれば、特定の配合物についての分散状態、凝集体の形状及びサイズの少なくとも1つに関連する特徴量は、ゴム組成物のムーニー粘度、タイプA硬度(Hs)、Swell(トルエン膨潤指数)、比重、M100(100%伸長時のモジュラス)、M200(200%伸長時のモジュラス)、M300(300%伸長時のモジュラス)、TB(引張強さ)、EB(伸び)、E*(貯蔵弾性率、0℃、0.25%)、tanδ(損失弾性率、0℃、2.5%)、E*(30℃、1%)、tanδ(30℃、1%)、TD(温度分散)、Tg(ガラス転移温度)、TDtanδ及びTD1/2W等の物性と相関を有することが判明している。なお、TDtanδは、温度分散に基づき算出され、TD1/2Wは、温度分散カーブの波形の半値幅を表す。このように、特定の配合物についての上記特徴量のうち少なくとも1つと、特定の物性との相関が判明している場合、上記特徴量を導出することは、ゴム組成物の物性に関する特徴量を導出することでもあると言える。
【0054】
ステップS3の後、特徴量導出部10Cは、導出された特徴量を示す結果表示画面を生成し、表示部11にこれを表示させてもよい(ステップS4)。結果表示画面には、モデル131による出力データを含めてもよい。
【0055】
<5.学習方法>
図9は、生成装置1により実行される機械学習モデルの学習方法、すなわちモデル131の生成方法の流れを示すフローチャートである。以下、
図9を参照しつつ、
図3に示す構造を有するモデルの学習方法について説明する。
【0056】
まず、機械学習モデルを学習させるための学習用データが準備される(ステップS11)。学習用データは、ゴムの組成物を顕微鏡で撮影した顕微鏡画像から生成されるデータ(以下、「第1データ」とも称する)と、正解データ(第2データ)とが組み合わせられた複数のデータである。第1データは、H×Wの規定のサイズを有する顕微鏡画像そのものであってもよいし、顕微鏡画像から切り出された、H×Wの規定のサイズを有するパッチ画像であってもよい。顕微鏡画像には、配合(配合物の種類及び配合割合の少なくとも一方)や、混練条件等が異なる複数のゴム組成物の顕微鏡画像が含まれる。本実施形態では、顕微鏡画像の顕微鏡の拡大倍率は画像によらず一定であるが、顕微鏡の拡大倍率は画像により異なっていてもよい。また、例えば、同じゴム組成物についても、顕微鏡の拡大倍率や、撮影範囲が異なる複数の顕微鏡画像が含まれていてもよい。その他、ゴム組成物を撮影する顕微鏡については、モデル131への入力データについての説明で述べた通りである。
【0057】
正解データは、第1データにおいて、ゴム組成物の各配合物に対応して現れる各領域を画定するデータである。言い換えると、正解データは、第1データの全ての画素に対し、当該画素がいずれの配合物の組織が占める領域に属するかを示すラベル付け(アノテーション)が行われたデータである。ラベルの数は、顕微鏡画像に現れるゴム組成物の配合物の種類の数とすることができる。アノテーションは、公知の方法によって行うことができるが、アノテーションの基準となる第1データの領域分割は、異なる島構造間にある境界的な画素の輝度をグラデーションとせず、これらの画素にも何らかの配合物に対応するラベルを割り当てる。このため、アノテーションは、ゴム組成物の観察に熟練した者によるラベル付けが反映されることが好ましい。これにより、正解データは、より従来の知見に即したものとなる。
【0058】
本実施形態では、準備された学習用データは、記憶媒体やネットワークを介して分析装置1に取り込まれ、学習部10Dによって学習用データ134として記憶部13に保存される。学習部10Dは、学習用データ134を、パラメータ調整用の訓練用データと、精度検証用のテスト用データとに予め分けて保存する。両者の割合は、適宜設定することができる。
【0059】
続いて、学習部10Dが、訓練用データを所定の数のデータごとに分割し、複数のサブセットとする(ステップS12)。所定の数は、次のステップS13で1回当たりに機械学習モデルに入力するデータの数であり、適宜設定することができる。
【0060】
続いて、学習部10Dがサブセットの1つを選択し、選択したサブセットに含まれる第1データを機械学習モデルに入力し、機械学習モデルからの出力データを導出する(ステップS13)。出力データは、入力された第1データに組み合わされている正解データに対応するデータであり、本実施形態では、配合物に対応する領域が画定されたデータである。なお、ステップS13では、各畳み込み層において、畳み込み演算の後、ReLU関数の適用前に、バッチ正規化の処理が導入されてもよい。これにより、学習の安定化及び速度向上を図ることができる。
【0061】
続いて、学習部10Dが、ステップS13で導出された出力と、ステップS13で入力された第1データに組み合わせられている正解データとの誤差関数の値が最小となるようにパラメータを調整する(ステップS14)。誤差関数としては、例えばクロスエントロピー誤差関数等が挙げられる。学習部10Dは、例えば確率的勾配降下法に従い、機械学習モデルの線形射影行列、Tエンコーダ、各畳み込み層におけるバイアス、及び畳み込みフィルタ等が有するパラメータを調整し、更新する。
【0062】
続いて、学習部10Dが、1エポックの学習が完了したか否かを判断する(ステップS15)。本実施形態では、ステップS12で作成された各サブセットについて、ステップS13及びS14が1巡した場合に、1エポックの学習が完了したと判断される。1エポックの学習が完了していないと判断された場合(NO)、学習部10Dは、まだ使用されていないサブセットを用いて、ステップS13~ステップS14を繰り返す。一方、1エポックの学習が完了したと判断された場合(YES)、ステップS16が実行される。
【0063】
ステップS16では、学習部10Dが、全エポックの学習が完了したか否かを判断する。全エポック数は、特に限定されず、適宜設定することができる。全エポックの学習が完了していないと判断された場合(NO)、学習部10Dは、前回のエポックと同じ順でサブセットを選択しながら、ステップS13~ステップS15を繰り返す。一方、全エポックの学習が完了したと判断された場合(YES)、学習部10Dは、最新のパラメータを記憶部13に格納する。つまり、以上の手順により、教師あり学習が完了したモデル131が生成される。しかし、本実施形態では、モデル131の出力データの精度を高めるべく、学習部10Dがさらに半教師あり学習を実行する。そこで、以下では教師あり学習が完了した後であって、半教師あり学習が完了する前のモデルを、「仮モデル」と区別して称することがある。
【0064】
続いて、学習部10Dが、検証用データの第1データを仮モデルに入力することにより、仮モデルから、入力された第1データに組み合わせられている正解データに対応する出力データを導出する(ステップS17)。
【0065】
続いて、学習部10Dが、ステップS17で導出した出力データの、正解データに対する誤差を算出する(ステップS18)。誤差の算出方法は特に限定されず、公知の手法に従って行うことができる。
【0066】
続いて、学習部10Dが、ステップS18で算出した誤差が比較的小さくなる検証用データに含まれる第1データを特定する(ステップS19)。学習部10Dは、予め定められた閾値に基づき、算出された誤差が閾値以下となるか閾値未満となる検証用データの第1データを特定してもよい。あるいは、ステップS16で仮モデルから導出された出力データの中で、相対的に誤差が小さくなる第1データを特定してもよい。なお、ここで特定される第1データは、仮モデルによる適切な領域分割が比較的困難と考えられるデータであることが好ましい。後述する類似データを、仮モデルにとって領域分割の難易度が比較的高い一方で、正解データとの誤差が比較的小さくなるような第1データと類似するデータとすることにより、モデル131のさらなる精度向上が図れる。
【0067】
次に、ステップS19で特定された第1データと同じサイズを有し、かつ第1データとの類似度が高い類似データが準備される(ステップS20)。類似データは、例えば、ステップS11で準備された学習用データには含まれていない、ゴム組成物の顕微鏡画像から生成されるデータであってよい。第1データとの類似度の判定方法は特に限定されず、例えば輝度分布が第1データとより近いデータを類似データとして準備することができる。第1データとは異なり、類似データには、正解データが組み合わせられていない。学習部10Dは、記憶媒体やネットワークを介して類似データを分析装置1に取り込み、記憶部13に保存する。
【0068】
続いて、学習部10Dが、類似データを仮モデルに入力することにより、仮モデルからの出力データを導出する(ステップS21)。
【0069】
続いて、学習部10Dは、導出された出力データを、疑似正解データとし、これを元の類似データと組み合わせて疑似学習用データを作成する(ステップS22)。作成された疑似学習用データは、学習用データと同様、記憶部13に保存される。
【0070】
学習部10Dは、ステップS22で作成された疑似学習用データを用いて、仮モデルの学習をさらに継続する(ステップS23)。すなわち、以下の処理では、疑似学習用データと学習用データとを合わせたデータに対し、ステップS12~ステップS16と同様の処理が行われ、仮モデルのパラメータがさらに調整される。これにより、仮モデルよりもさらに領域分割の難易度が高い入力データに対応した、精度の高いモデル131を生成することができる。なお、仮モデルの学習は、誤差がある程度まで小さくなり、安定したとみなせる場合、全エポック数の学習の完了を待たずに終了してもよい。
【0071】
<6.特徴>
上記実施形態の分析装置1では、ゴム組成物の顕微鏡画像と、顕微鏡画像上に現れる領域との関係を学習したモデル131により、入力された顕微鏡画像の領域分割が行われる。モデル131は、ゴム組成物の実態に即したラベル付けが行われた学習用データを用いて学習済みであるため、従来の画像処理アルゴリズムによる領域分割と比較すると、より信頼性の高い領域分割を行うことができる。このため、モデル131の出力データに基づいて、信頼性がより高い特徴量を抽出することができ、顕微鏡画像に基づくゴム組成物の構造や物性の推定精度が向上する。加えて、顕微鏡画像に現れる特徴と、ゴム組成物の構造や物性との相関について、新たな知見が得られることが期待される。
【0072】
<7.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下に示す変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0073】
(1)上記実施形態では、モデル131としてTransUNetモデルをベースとしたモデルが用いられたが、モデル131の構造はこれに限定されない。モデル131は、例えば、セマンティックセグメンテーションのカテゴリに属するモデルである、アテンションネットワーク、SegNet、全層畳み込みネットワーク(FCN)、特徴ピラミッドネットワーク、PSPNet、RefineNet、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)ベースのモデル、UNet、USegnet、TransNet、TransUNet、Large Kernel Matters、Deeplabv3+等をベースとするモデル、及びこれらを適宜組み合わせたモデルであってもよい。また、上記カテゴリに属する以外のモデル、例えば、ResNet、サポートベクタ―マシン(SVM)、ニューラルネットワーク(NN)モデル、K-NNモデル、クラスタリング、k-means、決定木、ロジスティック回帰モデルをベースとしたモデルやこれらを適宜組み合わせたモデル等が用いられてもよい。また、モデル131の層構成も上記実施形態のものに限られない。例えば、Tエンコーダ1310の構成を適宜変更してもよく、Uエンコーダ1311及びUデコーダ1312の畳み込み層の追加または省略を行ってもよく、これらの階層の増減を行ってもよい。
【0074】
(2)上記実施形態に係る学習方法はあくまで一例であり、上記実施形態の方法に限られない。例えば、出力データと正解データとの誤差算出方法や、パラメータ調整のアルゴリズムは、適宜変更することができる。
【0075】
(3)上記実施形態では、分析装置1は1つの装置として構成されたが、各部10A~10D、及び記憶部13の機能は、複数の装置に分散されていてもよい。従って、上記分析方法及び学習済みモデルの生成方法は、1または複数のコンピュータによって各ステップが分散して実行されてもよい。
【0076】
(4)分析装置1の制御部10は、CPUやGPUの他、ベクトルプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他人工知能専用チップ等を含んで構成されてもよい。また、制御部10の動作は、1または複数のプロセッサにより実行されてもよい。
【0077】
(5)モデル131の出力データに基づくゴム組成物の構造及び物性に関する特徴量の導出方法は、上記実施形態の方法に限られず、PH法以外の方法により実行されてもよい。例えば、モデル131の出力データに基づいて、公知の画像処理アルゴリズムにより、特定の配合物に対応する領域の平均サイズや、領域間の距離、領域の形状を示す指標及びこれらに相関する物性に関する指標を導出することもでき、これら指標も本発明の特徴量に含まれる。また、モデル131の出力データと、ゴム組成物の構造及び物性の少なくとも一方に関する特徴量との関係を学習した新たな機械学習モデルを構築し、この機械学習モデルの出力データに基づいてゴム組成物の構造及び物性の少なくとも一方に関する特徴量を導出してもよい。
【実施例0078】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されない。
【0079】
<実験1>
互いに配合が異なる複数のゴム組成物の顕微鏡画像から生成した入力データと、正解データとが組み合わせられた学習用データを準備し、これらを訓練用データと検証用データとに分割した。訓練用データを用いて、
図3に示す構造を有するモデル1と、公知のUNetモデルに従うモデル2とをそれぞれ学習させた。なお、モデル1の学習には、上記実施形態の疑似学習データを用いた学習を適用し、これを20回繰り返した。ゴム組成物の配合は、配合01、配合02、配合03、配合04及びその他とし、正解データに付したラベルは、カーボン(CB)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、シリカ(Si)に対応する4種類とした。学習済みのモデル1及び2に、それぞれ検証用データの画像データを入力し、出力データを導出した。導出された出力データに対し、配合及びラベルごとにF値を算出した。F値は、適合率と再現率の調和平均で算出される指標であり、1に近ければ近いほどモデルの精度が高いと言ってよい。
【0080】
<結果1>
モデル1及び2に対し、配合及びラベルごとに算出されたF値は、それぞれ
図10A及び
図10Bに示す結果となった。
図10Aに示すように、モデル1では、配合及びラベルの種類に対するF値のムラが比較的少ないことが確認された。また、モデル1の全F値の平均は0.887であり、領域分割が、どの条件においても充分な精度で行われることが確認された。一方、モデル2の全F値の平均は0.856であり、全体としての領域分割の精度は充分であることが確認された。ただし、
図10Bに示すように、モデル2ではその他配合におけるSBRに対するF値が他の条件に対するF値と比較して小さくなっており、条件によるF値のムラが、モデル1と比較すると大きいことが確認された。
【0081】
図11は、モデル1に入力された入力データとこれに組み合わせられた正解データ、及び入力データに対するモデル1からの出力データを比較する図である。
図11から、モデル1では、領域分割が正解データに近くなるよう、良好に行われていることが観察された。また、参考までに、
図11の左には領域分割が比較的容易な入力データの例を示し、右は領域分割が比較的困難である入力データの例を示している。これから分かるように、領域分割が比較的困難である入力データでは、画素のコントラストが比較的小さい。なお、正解データの一部には、付されたラベルが配合物の名称として示されているが、画素の輝度と配合物との対応はこれに限定されない。
【0082】
<実験2>
実験1で学習されたモデル1に、配合が異なるゴム組成物の顕微鏡画像から生成した複数の入力データを入力し、複数の出力データを導出した。出力データに基づき、配合ごとに上記実施形態のPH法によるNRのヒストグラム及びSiのヒストグラムを作成し、これに基づいてNRの構造に関する特徴量及びSiの構造に関する特徴量をそれぞれ導出した。ゴム組成物の配合は、実験1と共通の配合01、配合02、配合03、及び配合04とした。従来の知見によれば、配合01及び配合02では、NRの島構造のサイズが比較的小さく、形状にはうねり(凹凸)が多く、互いに距離が近い傾向が見られる一方、配合03及び配合04では、NRの島構造のサイズが比較的大きく、形状はうねりが少なく丸みを帯び、互いの距離が離れている傾向が見られる。導出されたNRの構造に関する特徴量を、ロジスティック回帰モデルを用いて配合01及び02または配合03及び04の2カテゴリに分類し、従来の知見に適合する特徴抽出ができているか否かを検証した。加えて、従来の知見によれば、配合01及び03では、Siの凝集体のサイズが比較的小さく、配合02及び04では、Siの凝集体のサイズが比較的大きい。導出されたSiの構造に関する特徴量を、ロジスティック回帰モデルを用いて配合01及び03または配合02及び04の2カテゴリに分類し、従来の知見に適合する特徴抽出ができているか否かを検証した。
【0083】
<結果2>
NRの構造に関する特徴量のロジスティック回帰モデルによる分類の正解率は96%であり、Siの構造に関する特徴量のロジスティック回帰モデルによる分類の正解率は99%であった。これにより、モデル1の出力データに基づいて、従来の知見に合致するゴム組成物の構造に関する特徴抽出ができることが裏付けられた。参考までに、配合01及び04のゴム組成物について、ゴム組成物の顕微鏡画像と、これに対してモデル1により領域分割を行った結果の画像とを比較する図を
図12に示す。
図12により、配合01ではSi凝集体のサイズが小さく、NRの島構造にうねりが生じやすい傾向がある一方、配合04ではSi凝集体のサイズが大きく、NRの島構造が丸みを帯びる傾向があることが確認できる。モデル1により領域分割を行った結果の画像では、これらの傾向が反映されている。
【0084】
<実験3>
実験2で導出された出力データに対し、上記実施形態のPH法によるSiのヒストグラムを作成し、これに基づいてSiの構造に関する特徴量を導出した。導出された特徴量と、ゴム組成物の物性Za,Zb,Zc,Zd,X1~X5,及びY1~Y6との相関をそれぞれ検討した。より具体的には、Siのヒストグラムに基づく特徴量(ベクトル)中の各要素と各物性との相関分析を行い、各要素に対して-1から1までの相関係数を算出し、これに基づいて特徴量と物性との相関を確認した。
【0085】
<結果3>
検討の結果、物性Za,Zb,Zcは、ともにSiの凝集体の形状にうねりがあるもの、及び凝集体に丸みがあってサイズが大きいものと順相関を有することが確認された。
図13は、Siのヒストグラム上で、相関係数がどのように分布するかを可視化した図の一例であり、物性Zbについての検討結果を示している。また、物性Zdは、Siの凝集体に丸みがあって凝集体間の距離が比較的小さいものと順相関を有し、物性Za,Zb,Zcとは逆の相関傾向を有することが確認された。なお、物性Zaはムーニー粘度、ZbはタイプA硬度(Hs)、ZcはSwell、Zdは比重である。同様にして、物性X1~X3は、Siの凝集体の形状にうねりがあるもの、凝集体に丸みがあってサイズが大きいもの、及び凝集体に丸みがあって凝集体間の距離が比較的大きいものと順相関を有することが確認された。物性X4及びX5は、Siの凝集体の形状にうねりがあるもの、及び凝集体に丸みがあって凝集体間の距離が比較的小さいものと順相関を有することが確認された。なお、物性X1はM100、X2はM200、X3はM300、X4はTB、X5はEBである。さらに、物性Y1~Y5は、Siの凝集体の形状にうねりがあるもの、及び凝集体に丸みがあってサイズが大きいものと順相関を有することが確認された。一方、物性Y7は、Siの凝集体に丸みがあり、サイズが小さく、凝集体間の距離が比較的小さいものと順相関を有し、物性Y1~Y5とは逆の相関傾向を有することが確認された。物性Y6は、Siの凝集体に丸みがあり、凝集体間の距離が比較的大きいものと順相関を有することが確認された。なお、物性Y1はE
*(0℃、0.25%)、Y2はtanδ(0℃、2.5%)、Y3はE
*(30℃、1%)、Y4はtanδ(30℃、1%)、Y5はTD、Tg、Y6はTDtanδ、Y7はTD1/2Wである。以上の結果から、上記実施形態においてモデルから出力された出力データに基づき、ゴム組成物の物性に関する1または複数の特徴量が導出可能であることが裏付けられた。
【0086】
1 分析装置
10 制御部
10A 取得部
10B 出力導出部
10C 特徴量導出部
10D 学習部
131 モデル