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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084351
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】検出装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 39/32 20230101AFI20240618BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240618BHJP
   H10K 30/60 20230101ALI20240618BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20240618BHJP
   H10K 30/88 20230101ALN20240618BHJP
【FI】
H10K39/32
H01L27/146 C
H10K30/60
H10K30/40
H10K30/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198573
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 健
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AA08
4M118BA07
4M118CA02
4M118CA14
4M118CA32
4M118CB14
4M118CB20
4M118FB03
4M118FB09
4M118FB13
5F149AA03
5F149AB11
5F149BA21
5F149CB14
5F149DA28
5F149DA30
5F149EA04
5F149EA13
5F149FA04
5F149HA10
5F149HA12
5F149XA01
5F849AA03
5F849AB11
5F849BA21
5F849CB14
5F849DA28
5F849DA30
5F849EA04
5F849EA13
5F849FA04
5F849HA10
5F849HA12
5F849XA02
5F849XA25
(57)【要約】
【課題】内部に侵入した水分を良好に外部に排出することが可能な検出装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】検出装置は、基板と、基板の検出領域に、下部電極、下部バッファ層、活性層、上部バッファ層及び上部電極の順に積層された複数のフォトダイオードと、複数のフォトダイオードを覆う保護膜と、を有し、保護膜は、検出領域において複数の開口部を有する。また、検出装置は、フォトダイオードをそれぞれ有し、検出領域に行列状に配置された複数のセンサ画素を有し、開口部は、センサ画素のそれぞれに重畳する領域に設けられ、検出領域に行列状に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の検出領域に、下部電極、下部バッファ層、活性層、上部バッファ層及び上部電極の順に積層された複数のフォトダイオードと、
複数の前記フォトダイオードを覆う保護膜と、を有し、
前記保護膜は、前記検出領域において複数の開口部を有する
検出装置。
【請求項2】
前記検出領域に行列状に配置され、前記フォトダイオードをそれぞれ有する複数のセンサ画素を有し、
前記開口部は、前記センサ画素のそれぞれに重畳する領域に設けられ、前記検出領域に行列状に配置される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
複数の前記開口部の面積は、実質的に同等である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
複数の前記開口部は、前記検出領域の中心に近いほど所定面積あたりの数が少ない
請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出領域の中央部での複数の前記開口部の面積は、前記検出領域の外縁部での複数の前記開口部の面積よりも小さい
請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
複数の前記開口部の各々は、前記下部バッファ層と重畳している
請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
複数の前記開口部の各々は、ゲート線と信号線とで囲まれた領域に設けられる
請求項1に記載の検出装置。
【請求項8】
前記保護膜は無機絶縁膜と有機絶縁膜とを有する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板の検出領域に、下部電極、下部バッファ層、活性層、上部バッファ層及び上部電極の順に積層された複数のフォトダイオードと、
複数の前記フォトダイオードを覆う保護膜と、を有し、
複数のフォトダイオードを構成する前記下部電極、前記下部バッファ層、前記活性層、前記上部バッファ層及び前記上部電極が積層されたOPD層は、前記基板の前記検出領域及び前記検出領域に隣接する周辺領域に設けられ、
前記OPD層は、前記検出領域の外縁に沿って延在する第1溝部と、前記第1溝部と前記周辺領域の外縁との間に設けられた第2溝部と、を含む
検出装置。
【請求項10】
前記保護膜は無機絶縁膜と有機絶縁膜とを有する
請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
基板の一方の面に、回路形成層、フォトダイオード、保護膜及びレジスト層の順に積層する工程と、
前記回路形成層が有する非透光性パターンをマスクとして、前記基板の前記一方の面と反対側の他方の面側から前記レジスト層を露光する工程と、
前記レジスト層を現像し、前記レジスト層のうち前記非透光性パターンと重ならない露光領域を除去し、前記保護膜のうち前記レジスト層と重ならない部分を除去する工程と、を有する
検出装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋パターンや静脈パターンを検出可能な光センサが知られている(例えば、特許文献1)。このような光センサは、活性層として有機半導体材料が用いられた複数のフォトダイオード(OPD:Organic Photodiode)を有する。特許文献2に記載されるように、フォトダイオードは、例えば、下部電極、電子輸送層、活性層、正孔輸送層、上部電極の順に積層される。電子輸送層又は正孔輸送層は、バッファ層とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-32005号公報
【特許文献2】国際公開第2020/188959号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
OPDを有する検出装置には、OPDを覆う保護膜が設けられる。検出装置の外部からOPDが設けられた検出領域に水分が侵入すると、検出領域が保護膜で覆われているので水分を外部に排出することが困難となる可能性がある。
【0005】
本発明は、内部に侵入した水分を良好に外部に排出することが可能な検出装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、基板と、前記基板の検出領域に、下部電極、下部バッファ層、活性層、上部バッファ層及び上部電極の順に積層された複数のフォトダイオードと、複数の前記フォトダイオードを覆う保護膜と、を有し、前記保護膜は、前記検出領域において複数の開口部を有する。
【0007】
本発明の一態様の検出装置の製造方法は、基板の一方の面に、回路形成層、フォトダイオード、保護膜及びレジスト層の順に積層する工程と、前記回路形成層が有する非透光性パターンをマスクとして、前記基板の前記一方の面と反対側の他方の面側から前記レジスト層を露光する工程と、前記レジスト層を現像し、前記レジスト層のうち前記非透光性パターンと重ならない露光領域を除去し、前記保護膜のうち前記レジスト層と重ならない部分を除去する工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る検出装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る検出装置を示す回路図である。
図4図4は、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。
図5図5は、図4のV-V’断面図である。
図6図6は、センサ部の拡大概略構成図である。
図7図7は、図6のVII-VII’断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る検出装置の、OPD層に設けられた第1溝部及び第2溝部を模式的に示す平面図である。
図9図9は、図8のIX-IX’断面図である。
図10図10は、第3実施形態に係る検出装置の、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。
図11図11は、第3実施形態に係る検出装置の、センサ部の拡大概略構成図である。
図12図12は、図11のXII-XII’断面図である。
図13図13は、第3実施形態に係る検出装置の製造方法を説明するための説明図である。
図14図14は、第4実施形態に係る検出装置の、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。
図15図15は、図14のXV-XV’断面図である。
図16図16は、第5実施形態に係る検出装置の、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。
図17図17は、図16のXVII-XVII’断面図である。
図18図18は、第6実施形態に係る検出装置の、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。
図19図19は、図16のXIX-XIX’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を模式的に示す平面図である。図1に示すように、検出装置1は、センサ基材21(基板)と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路122と、電源回路123と、第1光源基材51と、第2光源基材52と、光源53、54と、を有する。第1光源基材51には、複数の光源53が設けられる。第2光源基材52には複数の光源54が設けられる。
【0012】
センサ基材21には、配線基板71を介して制御基板121が電気的に接続される。配線基板71は、例えばフレキシブルプリント基板やリジット基板である。配線基板71には、検出回路48が設けられている。制御基板121には、制御回路122及び電源回路123が設けられている。制御回路122は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路122は、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。また、制御回路122は、光源53、54に制御信号を供給して、光源53、54の点灯又は非点灯を制御する。電源回路123は、センサ電源信号VDDSNS(図3参照)等の電圧信号をセンサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。また、電源回路123は、電源電圧を光源53、54に供給する。
【0013】
センサ基材21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、センサ部10が有する複数のフォトダイオードPD(図4参照)が設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、センサ基材21の外縁部との間の領域であり、複数のフォトダイオードPDが設けられない領域である。
【0014】
ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。具体的には、ゲート線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。
【0015】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、センサ基材21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、センサ基材21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、センサ基材21の主面の法線方向である。また、「平面視」とは、センサ基材21と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0016】
複数の光源53は、第1光源基材51に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。複数の光源54は、第2光源基材52に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。第1光源基材51及び第2光源基材52は、それぞれ、制御基板121に設けられた端子部124、125を介して、制御回路122及び電源回路123と電気的に接続される。
【0017】
複数の光源53及び複数の光源54は、例えば、無機LED(Light Emitting Diode)や、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)等が用いられる。複数の光源53及び複数の光源54は、それぞれ異なる波長の光を出射する。
【0018】
光源53から出射された第1光は、主に指等の被検出体の表面で反射されセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指等の表面の凹凸の形状を検出することで指紋を検出することができる。光源54から出射された第2光は、主に指等の内部で反射し又は指等を透過してセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指等の内部の生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報とは、例えば、指や掌の脈波、脈拍、血管像等である。すなわち、検出装置1は、指紋を検出する指紋検出装置や、静脈などの血管パターンを検出する静脈検出装置として構成されてもよい。
【0019】
なお、図1に示す光源53、54の配置は、あくまで一例であり適宜変更することができる。検出装置1は、光源として複数種類の光源53、54が設けられている。ただし、これに限定されず、光源は1種類であってもよい。例えば、第1光源基材51及び第2光源基材52のそれぞれに、複数の光源53及び複数の光源54が配置されていてもよい。また、光源53及び光源54が設けられる光源基材は1つ又は3つ以上であってもよい。あるいは、光源は、少なくとも1つ以上配置されていればよい。
【0020】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、検出装置1は、さらに検出制御回路11と検出部40と、を有する。検出制御回路11の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。
【0021】
センサ部10は、複数のフォトダイオードPDを有する。センサ部10が有するフォトダイオードPDは、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGLにしたがって検出を行う。
【0022】
検出制御回路11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御回路11は、スタート信号STV、クロック信号CK等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御回路11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。また、検出制御回路11は、各種制御信号を光源53、54に供給して、それぞれの点灯及び非点灯を制御する。
【0023】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GL(図3参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GLにゲート駆動信号VGLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GLに接続された複数のフォトダイオードPDを選択する。
【0024】
信号線選択回路16は、複数の信号線SL(図3参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御回路11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオードPDの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0025】
検出部40は、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、記憶回路46と、検出タイミング制御回路47と、を備える。検出タイミング制御回路47は、検出制御回路11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、が同期して動作するように制御する。
【0026】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE、Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅回路42及びA/D変換回路43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅回路42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換回路43は、検出信号増幅回路42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0027】
信号処理回路44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理回路44は、指が検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指や掌の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理回路44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報は、例えば、指や掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等である。
【0028】
記憶回路46は、信号処理回路44で演算された信号を一時的に保存する。記憶回路46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0029】
座標抽出回路45は、信号処理回路44において指の接触又は近接が検出されたときに、指等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出回路45は、指や掌の血管の検出座標を求める論理回路である。座標抽出回路45は、センサ部10の各フォトダイオードPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報及び指や掌の血管の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出回路45は、検出座標を算出せずにセンサ出力電圧Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0030】
図3は、第1実施形態に係る検出装置を示す回路図である。なお、図3では、検出回路48の回路構成も併せて示している。図3に示すように、センサ画素PXは、フォトダイオードPDと、容量素子Caと、駆動トランジスタTrとを含む。容量素子Caは、フォトダイオードPDに形成される容量(センサ容量)であり、等価的にフォトダイオードPDと並列に接続される。
【0031】
図3では、複数のゲート線GLのうち、第2方向Dyに並ぶ2つのゲート線GL(m)、GL(m+1)を示す。また、複数の信号線SLのうち、第1方向Dxに並ぶ2つの信号線SL(n)、SL(n+1)を示す。センサ画素PXは、ゲート線GLと信号線SLとで囲まれた領域である。
【0032】
駆動トランジスタTrは、複数のフォトダイオードPDのそれぞれに対応して設けられる。駆動トランジスタTrは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0033】
複数のゲート線GLのそれぞれは、第1方向Dxに配列された複数の駆動トランジスタTrのゲートに接続される。複数の信号線SLのそれぞれは、第2方向Dyに配列された複数の駆動トランジスタTrのソース及びドレインの一方に接続される。複数の駆動トランジスタTrのソース及びドレインの他方は、フォトダイオードPDのアノード及び容量素子Caに接続される。
【0034】
フォトダイオードPDのカソードには、電源回路123(図1参照)からセンサ電源信号VDDSNSが供給される。また、信号線SL及び容量素子Caには、電源回路123からリセットトランジスタTrRを介して、信号線SL及び容量素子Caの初期電位となるセンサ基準電圧COMが供給される。
【0035】
露光期間でセンサ画素PXに光が照射されると、フォトダイオードPDには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。読み出し期間で駆動トランジスタTrがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SLに電流が流れる。信号線SLは、信号線選択回路16の出力トランジスタTrSを介して検出回路48に接続される。これにより、検出装置1は、センサ画素PXごとにフォトダイオードPDに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0036】
検出回路48は、読み出し期間にスイッチSSWがオンになり、信号線SLと接続される。検出回路48の検出信号増幅回路42は、信号線SLから供給された電流または電荷に応じた電圧に変換する。検出信号増幅回路42の非反転入力部(+)には、固定された電位を有する基準電位(Vref)が入力され、反転入力部(-)には、信号線SLが接続される。実施形態では、基準電位(Vref)電圧としてセンサ基準電圧COMと同じ信号が入力される。制御回路122(図1参照)は、光が照射された場合の検出信号Vdetと、光が照射されていない場合の検出信号Vdetとの差分をセンサ出力電圧Voとして演算する。また、検出信号増幅回路42は、容量素子Cb及びリセットスイッチRSWを有する。リセット期間においてリセットスイッチRSWがオンになり、容量素子Cbの電荷がリセットされる。
【0037】
なお、駆動トランジスタTrは、n型TFTに限定されず、p型TFTで構成されてもよい。また、図3に示すセンサ画素PXの画素回路はあくまで一例であり、センサ画素PXには、1つのフォトダイオードPDに対応して、複数のトランジスタが設けられていてもよい。
【0038】
図4は、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。なお、図4では、図面を見やすくするために保護膜90に設けられた複数の開口部OPにハッチングを付けて示している。図4に示すように、センサ画素PXは、センサ基材21の検出領域AAに行列状(マトリクス状)に配置され、それぞれフォトダイオードPDを有する。図4では、センサ画素PXは、4行6列に配置されている。ただし、図4は理解を容易にするためセンサ画素PXの配置を簡略化して示している。検出装置1は、被検出体の種類や検出の解像度に応じて、5行7列以上の多数のセンサ画素PXを有していてもよい。
【0039】
複数のゲート線GLは、それぞれ第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに間隔を有して配列される。複数の信号線SLは、それぞれ第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに間隔を有して配列される。複数のセンサ画素PX(複数のフォトダイオードPD)は、2つのゲート線GLと2つの信号線SLとで囲まれた領域に設けられる。
【0040】
保護膜90は、複数のセンサ画素PX(複数のフォトダイオードPD)を覆って設けられる。保護膜90は、センサ基材21の検出領域AA及び周辺領域GAに設けられる。保護膜90は、検出領域AAにおいて複数の開口部OPを有する。複数の開口部OPは、センサ画素PXのそれぞれに重畳する領域に設けられ、検出領域AAに行列状に配置される。言い換えると、複数の開口部OPの各々は、2つのゲート線GLと2つの信号線SLとで囲まれた領域に設けられる。
【0041】
複数の開口部OPは、平面視で円形状である。複数の開口部OPの面積(直径)は、実質的に同等である。複数の開口部OPの底部には、フォトダイオードPDの上部電極24が配置される。
【0042】
図5は、図4のV-V’断面図である。なお、図5では、理解を容易にするために各層の構成を簡略化して示している。フォトダイオードPDの詳細な積層構成については図7にて後述する。また、回路形成層29の詳細な積層構成については、図12にて後述する。
【0043】
なお、以下の説明において、センサ基材21の表面に垂直な方向において、センサ基材21から保護膜90に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、保護膜90からセンサ基材21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0044】
図5に示すように、検出装置1は、センサ基材21の上に、回路形成層29、フォトダイオードPD及び保護膜90の順に積層される。回路形成層29は、センサ基材21上に設けられ、図3に示す駆動トランジスタTr等の各種トランジスタ、ゲート線GL、信号線SL等の各種配線が形成される層である。
【0045】
フォトダイオードPDは、回路形成層29の上に設けられる。フォトダイオードPDを構成するOPD層30(下部電極23、下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33及び上部電極24(図7参照))は、検出領域AA及び周辺領域GAに亘って連続して設けられる。なお、周辺領域GAに設けられたOPD層30は、光センサとして機能しないように構成される。
【0046】
保護膜90は、フォトダイオードPD(OPD層30)の上に設けられる。保護膜90は、シリコン窒化膜や酸化アルミニウム膜などの無機膜、あるいはアクリルなどの樹脂膜が用いられる。保護膜90は、単層に限定されず、上記の無機絶縁膜及び有機絶縁膜(樹脂膜)を組み合わせた2層以上の積層膜であってもよい。保護膜90を積層膜で形成することで、保護膜90の厚さを確保することができ、フォトダイオードPDの上面側の強度が得られる。複数の開口部OPは、保護膜90の上面から下面まで貫通して設けられる。本実施形態では、複数の開口部OPは、検出領域AAと重なる領域でフォトダイオードPDの上に設けられ、周辺領域GAと重なる領域でOPD層30の上には設けられない。
【0047】
次に、フォトダイオードPD及び保護膜90の詳細な構成について説明する。図6は、センサ部の拡大概略構成図である。なお、図6では、図面を見やすくするために、保護膜90の複数の開口部OPを二点鎖線で示している。
【0048】
図6に示すように、検出装置1は、センサ基材21に設けられた複数のフォトダイオードPDと、絶縁膜35を有する。フォトダイオードPDの下部電極23は、複数のフォトダイオードPDのそれぞれに対応して、センサ基材21の上にマトリクス状に設けられる。図6に示す例では、下部電極23の右辺及び下辺は、それぞれ信号線SL及びゲート線GLの一部と重なって設けられる。下部電極23の左辺及び上辺は、それぞれ信号線SL及びゲート線GLと間隔を有して配置される。これにより、2つのゲート線GLと2つの信号線SLとで囲まれた領域での下部電極23の面積を大きくすることができ、フォトダイオードPDの検出感度を向上させることができる。
【0049】
駆動トランジスタTrは、フォトダイオードPDの下部電極23と重なる領域に設けられる。具体的には、駆動トランジスタTrは、半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を有する。半導体層61は、ゲート線GLに沿って延在し、平面視でゲート電極64と交差して設けられる。ゲート電極64は、ゲート線GLと接続され、ゲート線GLと直交する方向(第2方向Dy)に延在する。
【0050】
半導体層61の一端側はコンタクトホールCH2を介してソース電極62と接続される。ソース電極62は接続配線65及び接続パッド66に接続され、フォトダイオードPD(下部電極23)の中央部に引き出される。下部電極23は、中央部でコンタクトホールCH1を介して接続パッド66と接続される。このような構成により、駆動トランジスタTrのソース電極62は、フォトダイオードPDと電気的に接続される。また、半導体層61の他端側はコンタクトホールCH3を介してドレイン電極63と接続される。ドレイン電極63は、信号線SLと接続される。
【0051】
絶縁膜35は、第1方向Dx及び第2方向Dyに隣接する下部電極23の間に設けられ、かつ、下部電極23の周縁部を覆って設けられる。より詳細には、絶縁膜35は、第1延在部35aと第2延在部35bとが交差して格子状に形成される。第1延在部35aは、第2方向Dyに延在する。第1延在部35aは、信号線SLと重なって設けられ、信号線SLに沿って延在する。第2延在部35bは、第1方向Dxに延在する。第2延在部35bは、ゲート線GLと重なって設けられ、ゲート線GLに沿って設けられる。
【0052】
また、島状部35cは、第1延在部35a及び第2延在部35bと離隔して設けられ、フォトダイオードPD(下部電極23)の中央部でコンタクトホールCH1と重なる領域に設けられる。
【0053】
なお、図6に示す下部電極23、絶縁膜35の形状、配置ピッチ等はあくまで一例であり、検出装置1に要求される特性、検出精度に応じて適宜変更できる。
【0054】
図7は、図6のVII-VII’断面図である。図7に示すように、検出装置1は、センサ基材21の上に、回路形成層29、絶縁膜27、フォトダイオードPD、保護膜90の順に積層される。センサ基材21は絶縁基板であり、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板が用いられる。センサ基材21は、平板状に限定されず、曲面を有していてもよい。この場合、センサ基材21は、フィルム状の樹脂材料であってもよい。
【0055】
回路形成層29は、センサ基材21の上に設けられる。図5では、回路形成層29に設けられる駆動トランジスタTr及び各種配線のうち、駆動トランジスタTrに接続される信号線SLを図示している。絶縁膜27は、信号線SLを覆って、駆動トランジスタTrを含む回路形成層29の上に設けられる。絶縁膜27は、有機絶縁材料で形成された有機平坦化膜である。
【0056】
絶縁膜28は、絶縁膜27の上に設けられる。絶縁膜28は、例えばシリコン窒化膜(SiN)等の無機絶縁材料で形成されたバリア膜である。
【0057】
フォトダイオードPD及び絶縁膜35は、絶縁膜28の上に設けられる。より詳細には、フォトダイオードPDは、下部電極23と、下部バッファ層32と、活性層31と、上部バッファ層33と、上部電極24と、を有する。フォトダイオードPDは、センサ基材21に垂直な方向で、下部電極23、下部バッファ層32(正孔輸送層)、活性層31、上部バッファ層33(電子輸送層)、上部電極24の順に積層される。本実施形態のフォトダイオードPDは、活性層31として有機半導体が用いられたOPD(Organic Photodiode)である。
【0058】
上述したOPD層30は、フォトダイオードPDを構成する下部電極23、下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33及び上部電極24が積層された積層体である。なお、周辺領域GAに設けられたOPD層30(図5参照)は、フォトダイオードPDとして機能しないので、下部電極23、下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33及び上部電極24のうち、1又は複数層が省略された構成であってもよい。また、OPD層30は周辺領域GAの全体に設けられている必要はなく、周辺領域GAの一部の領域にOPD層30が設けられていなくてもよい。
【0059】
下部電極23は、フォトダイオードPDのアノード電極であり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料で形成される。下部電極23は、フォトダイオードPDごとに離隔して設けられる。また、下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33及び上部電極24は、複数のフォトダイオードPDに亘って連続して設けられる。具体的には、下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33及び上部電極24は、隣接するフォトダイオードPD-1の下部電極23及びフォトダイオードPD-2の下部電極23に重なって設けられるとともに、フォトダイオードPD-1とフォトダイオードPD-2との間の絶縁膜35にも重なって設けられる。
【0060】
絶縁膜35(第1延在部35a)は、隣接する下部電極23の間で絶縁膜28の上に設けられ、下部電極23の周縁部を覆う。本実施形態では、絶縁膜35は、シリコン窒化膜(SiN)あるいはシリコン酸化膜(SiO)等の無機絶縁材料で形成される。絶縁膜35(第1延在部35a)により、隣り合うフォトダイオードPDの下部電極23が絶縁される。
【0061】
また、コンタクトホールCH1は、下部電極23の中央部で、絶縁膜27を厚さ方向(第3方向Dz)に貫通して設けられる。下部電極23はコンタクトホールCH1の底部で接続パッド66と接続される。島状部35cは、コンタクトホールCH1を覆って設けられ、コンタクトホールCH1の内部で下部電極23を覆う。島状部35cは、平面視で接続パッド66と重畳する。このような構成により、コンタクトホールCH1の内部で、下部バッファ層32(正孔輸送層)に段切れが生じた場合であっても、島状部35cが設けられているので、活性層31と下部電極23とのショート(短絡)が発生することを抑制できる。
【0062】
活性層31は、照射される光に応じて特性(例えば、電圧電流特性や抵抗値)が変化する。活性層31の材料として、有機材料が用いられる。具体的には、活性層31は、p型有機半導体と、n型有機半導体であるn型フラーレン誘導体(PCBM)とが混在するバルクヘテロ構造である。活性層31として、例えば、低分子有機材料であるC60(フラーレン)、PCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル:Phenyl C61-butyric acid methyl ester)、CuPc(銅フタロシアニン:Copper Phthalocyanine)、F16CuPc(フッ素化銅フタロシアニン)、rubrene(ルブレン:5,6,11,12-tetraphenyltetracene)、PDI(Perylene(ペリレン)の誘導体)等を用いることができる。
【0063】
活性層31は、これらの低分子有機材料を用いて蒸着型(Dry Process)で形成することができる。この場合、活性層31は、例えば、CuPcとF16CuPcとの積層膜、又はrubreneとC60との積層膜であってもよい。活性層31は、塗布型(Wet Process)で形成することもできる。この場合、活性層31は、上述した低分子有機材料と高分子有機材料とを組み合わせた材料が用いられる。高分子有機材料として、例えばP3HT(poly(3-hexylthiophene))、F8BT(F8-alt-benzothiadiazole)等を用いることができる。活性層31は、P3HTとPCBMとが混合した状態の膜、又はF8BTとPDIとが混合した状態の膜とすることができる。
【0064】
下部バッファ層32は正孔輸送層であり、上部バッファ層33は電子輸送層である。下部バッファ層32及び上部バッファ層33は、活性層31で発生した正孔及び電子が下部電極23又は上部電極24に到達しやすくするために設けられる。下部バッファ層32(正孔輸送層)は、下部電極23の上に直接接し、隣り合う下部電極23の間の絶縁膜35にも設けられる。活性層31は、下部バッファ層32の上に直接接する。正孔輸送層の材料は、酸化金属層とされる。酸化金属層として、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン等が用いられる。
【0065】
上部バッファ層33(電子輸送層)は、活性層31の上に直接接し、上部電極24は、上部バッファ層33の上に直接接する。電子輸送層の材料は、エトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)が用いられる。
【0066】
なお、下部バッファ層32、活性層31及び上部バッファ層33の材料、製法はあくまで一例であり、他の材料、製法であってもよい。例えば、下部バッファ層32及び上部バッファ層33は、それぞれ単層膜に限定されず、電子ブロック層や、正孔ブロック層を含んで積層膜として形成されていてもよい。なお、下部バッファ層32が電子輸送層、上部バッファ層33が正孔輸送層、下部電極23がカソード電極、上部電極24がアノード電極でもよい。
【0067】
上部電極24は上部バッファ層33の上に設けられる。上部電極24は、フォトダイオードPDのカソード電極であり、検出領域AAの全体に亘って連続して形成される。言い換えると、上部電極24は複数のフォトダイオードPDの上に連続して設けられる。上部電極24は、下部バッファ層32、活性層31及び上部バッファ層33を挟んで、複数の下部電極23と対向する。上部電極24は、例えば、ITOやIZO等の透光性を有する導電材料で形成される。上部電極24は、複数の透光性を有する導電材料の積層膜であってもよい。
【0068】
保護膜90は、複数のフォトダイオードPDを覆って設けられる。具体的には、保護膜90は、上部電極24の上に設けられる。保護膜90の開口部OPの各々は、フォトダイオードPDを構成するOPD層30(下部電極23、下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33及び上部電極24)と重畳する領域に設けられる。言い換えると、保護膜90(開口部OPが設けられていない部分)は、少なくとも信号線SL及びゲート線GL(図6参照)と重畳する領域に設けられる。
【0069】
本実施形態の検出装置1では、フォトダイオードPDと重畳する領域に保護膜90の開口部OPが設けられている。これにより、外部から、例えばセンサ基材21の外縁側の端部から周辺領域GAのOPD層30を通って、検出領域AAのフォトダイオードPDに水分が侵入した場合であっても、保護膜90の開口部OPを通って水分が外部に排出される。したがって、検出装置1は、内部に侵入した水分を良好に外部に排出することができる。これにより、検出装置1は、フォトダイオードPDのOPD層30への水分侵入および水分滞留に起因する検出感度の低下を抑制できる。
【0070】
なお、図4から図7に示す開口部OPの形状、位置、数等はあくまで一例であり、フォトダイオードPDの配置等に応じて適宜変更することができる。また、図6図7に示すフォトダイオードPDの構成はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、上部電極24がフォトダイオードPDのアノード電極であり下部電極23がフォトダイオードPDのカソード電極であってもよい。
【0071】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る検出装置の、OPD層に設けられた第1溝部及び第2溝部を模式的に示す平面図である。図9は、図8のIX-IX’断面図である。なお、図8では、図面を見やすくするためにOPD層30にハッチングを付けて示している。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0072】
図8及び図9に示すように、第2実施形態に係る検出装置1Aにおいて、複数のフォトダイオードPDを構成するOPD層30は、センサ基材21の検出領域AA及び検出領域AAに隣接する周辺領域GAに設けられる。OPD層30は、検出領域AAの全面に連続して設けられる。また、周辺領域GAで、OPD層30は第1溝部36と、第2溝部37とを有する。
【0073】
図8に示すように、第1溝部36は、検出領域AAの外縁に沿って延在し、検出領域AAの外形形状に対応して枠状に設けられる。第2実施形態では、検出領域AAは四角形状であり、第1溝部36も四角形状に設けられる。
【0074】
複数の第2溝部37は、第1溝部36と周辺領域GAの外縁との間に設けられる。より具体的には、第2溝部37は、検出領域AAの各辺と交差する方向に延在する。第2溝部37の検出領域AA側の一端は、第1溝部36に接続される。第2溝部37の検出領域AAと反対側の他端は、周辺領域GAの外縁側に開口する。言い換えると、周辺領域GAの外縁に位置する複数のOPD層30は、第1溝部36によって検出領域AAのOPD層30と離れて配置される。また、第2溝部37により分離された複数のOPD層30は、周辺領域GAの外縁に沿って配列される。
【0075】
図9に示すように、周辺領域GAの第1方向Dxに延在する部分で、複数の第2溝部37は第1方向Dxに配列される。第1溝部36(図9では図示しない)及び複数の第2溝部37は、それぞれOPD層30を第3方向Dzに貫通して設けられる。また、保護膜90は、OPD層30を覆って設けられ、第1溝部36(図9では図示しない)及び複数の第2溝部37の上側の開口を覆って設けられる。本実施形態においても、保護膜90は、単層に限定されず、無機絶縁膜及び有機絶縁膜(樹脂膜)を組み合わせた2層以上の積層膜であってもよい。
【0076】
このような構成により、第2実施形態に係る検出装置1Aでは、外部から、検出領域AAのフォトダイオードPDに水分が侵入した場合であっても、OPD層30の第1溝部36及び第2溝部37を通って、水分が外部(センサ基材21の外縁側)に排出される。
【0077】
なお、図8及び図9に示す第1溝部36及び第2溝部37の形状、数等は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、第1溝部36は、検出領域AAの外縁に沿って連続した枠状に設けられているが、これに限定されず、各辺に沿って複数の第1溝部36が設けられていてもよい。第2溝部37は、周辺領域GAの全体に設けられているが、これに限定されず、周辺領域GAの一部に第2溝部37が設けられない領域があってもよい。
【0078】
第2実施形態に係る検出装置1Aは、上述した第1実施形態と組み合わせることができる。すなわち、周辺領域GAで、OPD層30には第1溝部36及び第2溝部37が設けられ、検出領域AAで、保護膜90には複数の開口部OPが設けられる構成としてもよい。この場合、より効果的に水分を外部に排出することができる。
【0079】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る検出装置の、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。図11は、第3実施形態に係る検出装置の、センサ部の拡大概略構成図である。
【0080】
図10及び図11に示すように、第3実施形態に係る検出装置1Bにおいて、保護膜90の複数の開口部OPの各々は、ゲート線GLと信号線SLとで囲まれた領域で、略四角形状に設けられる。より詳細には、図11に示すように、保護膜90は、ゲート線GL及び信号線SLと重なる領域に設けられ、ゲート線GL及び信号線SLのそれぞれに沿って延在する。また、保護膜90は、駆動トランジスタTrの各電極と重なる領域に設けられる。保護膜90の、ゲート線GL、信号線SL及び駆動トランジスタTrの各電極と重ならない部分が除去されて、開口部OPが形成される。
【0081】
図12は、図11のXII-XII’断面図である。図12に示すように、回路形成層29は、絶縁膜として、アンダーコート膜91、ゲート絶縁膜92及び層間絶縁膜93を有する。
【0082】
アンダーコート膜91は、例えば、絶縁膜91a、91bを有する2層積層構造である。アンダーコート膜91は、例えば、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜等の無機絶縁膜で形成される。なお、アンダーコート膜91の構成は、図12に示すものに限定されない。例えば、アンダーコート膜91は、単層膜あるいは3層以上積層されていてもよい。
【0083】
遮光膜67は、絶縁膜91aの上に設けられる。遮光膜67は、半導体層61とセンサ基材21との間に設けられる。遮光膜67により、半導体層61のチャネル領域へのセンサ基材21側からの光の侵入を抑制することができる。
【0084】
駆動トランジスタTrは、センサ基材21の上に設けられる。半導体層61は、アンダーコート膜91の上に設けられる。ゲート絶縁膜92は、半導体層61を覆ってアンダーコート膜91の上に設けられる。ゲート絶縁膜92は、例えばシリコン酸化膜等の無機絶縁膜である。ゲート電極64は、ゲート絶縁膜92の上に設けられる。
【0085】
図12に示す例では、駆動トランジスタTrは、トップゲート構造である。ただし、これに限定されず、駆動トランジスタTrは、ボトムゲート構造でもよく、半導体層61の上側及び下側の両方にゲート電極64が設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0086】
層間絶縁膜93は、ゲート電極64を覆ってゲート絶縁膜92の上に設けられる。層間絶縁膜93は、例えば、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層構造を有する。ソース電極62及びドレイン電極63は、層間絶縁膜93の上に設けられる。ソース電極62は、ゲート絶縁膜92及び層間絶縁膜93に設けられたコンタクトホールCH2を介して、半導体層61のソース領域に接続される。ドレイン電極63は、ゲート絶縁膜92及び層間絶縁膜93に設けられたコンタクトホールCH3を介して、半導体層61のドレイン領域に接続される。
【0087】
絶縁膜27は、駆動トランジスタTrのソース電極62及びドレイン電極63を覆って層間絶縁膜93の上に設けられる。本実施形態では、絶縁膜27のコンタクトホールCH1は、ソース電極62と重なる領域に設けられる。駆動トランジスタTrの近傍で、フォトダイオードPDの下部電極23は、コンタクトホールCH1の底部でソース電極62と電気的に接続される。
【0088】
図12に示すように、保護膜90は、駆動トランジスタTrの半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63、ゲート電極64の非透光性パターンと重なる領域に設けられる。また、保護膜90の開口部OPは、駆動トランジスタTrの非透光性パターンと重ならない領域に設けられる。
【0089】
本実施形態では、上述した第1実施形態に比べて、検出領域AAで、保護膜90の開口部OPの面積が大きいので、より効果的に水分を外部に排出することができる。
【0090】
次に、第3実施形態に係る検出装置1Bの製造方法について説明する。図13は、第3実施形態に係る検出装置の製造方法を説明するための説明図である。なお、図13では、図面を見やすくするために回路形成層29、フォトダイオードPDの積層構成を簡略化して示している。図13では、回路形成層29が有する駆動トランジスタTrの非透光性パターンとして、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を示しており、ゲート線GL、信号線SL等の非透光性パターンは図示を省略している。
【0091】
図13に示すように、検出装置1Bの製造方法において、センサ基材21の上に、回路形成層29、絶縁膜27、フォトダイオードPD、保護膜90及びレジスト層100の順に積層される(ステップST1)。回路形成層29のソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64等の各種電極、配線は、スパッタリング法、蒸着法、プラズマCVD法等により成膜される。
【0092】
次に、露光装置(図示せず)は、センサ基材21の下面側から光PHを照射する。これにより、露光装置は、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64等の非透光性パターンをマスクとして、センサ基材21の下面側からレジスト層100を露光する(ステップST2)。レジスト層100には、露光領域A1と非露光領域A2とが形成される。露光領域A1は、非透光性パターンと重ならず、光PHが照射された領域である。非露光領域A2は、非透光性パターンと重なり、光PHが照射されていない領域である。
【0093】
次に、レジスト層100を現像し、ベーク処理を行う(ステップST3)。レジスト層100を現像することで、ステップST2で形成されたレジスト層100の露光領域A1が除去され、非露光領域A2が残る。ベーク処理によりレジスト層100の非露光領域A2が硬化され、露光領域A1に重なる領域に開口部100aが形成される。
【0094】
次に、製造装置は、保護膜90のうち、レジスト層100と重ならない部分をエッチングにより除去する(ステップST4)。これにより、保護膜90の露光領域A1と重なる領域、すなわち回路形成層29の非透光性パターンと重ならない領域に開口部OPが形成される。その後、レジスト層100が除去されて、第3実施形態に係る検出装置1Bが製造される。
【0095】
第3実施形態に係る検出装置1Bの製造方法では、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64等の非透光性パターンをマスクとして用いて、保護膜90の開口部OPが形成される。このため、開口部OPを形成するためのマスクを用意する必要がなく、いわゆるセルフアライメントにより開口部OPの位置決めが行われる。これにより、検出装置1Bの製造工程を簡易にできる。なお、図13に示す製造方法は、あくまで一例であり、適宜変更できる。
【0096】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態に係る検出装置の、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。図15は、図14のXV-XV’断面図である。図14及び図15に示すように、第4実施形態に係る検出装置1Cにおいて、保護膜90に設けられた複数の開口部OPは、検出領域AAの外縁部に位置する複数の開口部OPaと、検出領域AAの中央部に位置する複数の開口部OPbと、を含む。検出領域AAの中央部での複数の開口部OPbの面積は、検出領域AAの外縁部での複数の開口部OPaの面積よりも小さい。
【0097】
言い換えると、検出領域AAの中央部での複数の開口部OPbの直径は、検出領域AAの外縁部での複数の開口部OPaの直径よりも小さい。
【0098】
第4実施形態に係る検出装置1Cでは、例えば、センサ基材21の外縁側から侵入した水分は、検出領域AAの外縁部で比較的大きい面積を有する複数の開口部OPaを通って外部に排出される。このため、第4実施形態では、外縁側から侵入した水分が検出領域AAの外縁部で排出される。
【0099】
図14図15では、異なる面積を有する複数の開口部OPとして、2つの開口部OPa、OPbを示した。ただしこれに限定されず、複数の開口部OPは、異なる面積を有する3種類以上の開口部を有していてもよい。この場合、検出領域AAの外縁部から中央部に近づくほど開口部OPの面積が小さくなるように配置されることが好ましい。
【0100】
(第5実施形態)
図16は、第5実施形態に係る検出装置の、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。図17は、図16のXVII-XVII’断面図である。図15及び図16に示すように、第5実施形態に係る検出装置1Dにおいて、複数の開口部OPは、検出領域AAの中心(例えば幾何中心)に近いほど所定面積あたりの数(配置密度)が少ない。
【0101】
言い換えると、保護膜90に、マトリクス状に配置された複数の開口部OPのうち、検出領域AAの中央部の開口部OPは間引いて形成される。また、マトリクス状に配置されたセンサ画素PXのうち、検出領域AAの中央部では、保護膜90に開口部OPが設けられないセンサ画素PX(例えば図16のセンサ画素PXa)が存在する。
【0102】
具体的には、2行2列、計4つのセンサ画素PXからなる領域を所定面積とする。検出領域AAの外縁部に位置する領域B1は、4つの開口部OPを有する。検出領域AAの中央部に位置する領域B2は、2つの開口部OPを有する。
【0103】
第5実施形態に係る検出装置1Dでは、例えば、センサ基材21の外縁側から侵入した水分は、検出領域AAの外縁部で、比較的大きい数(配置密度)で配置された複数の開口部OPで外部に排出される。このため、第5施形態では、外縁側から侵入した水分が検出領域AAの外縁部で排出される。
【0104】
なお、第5実施形態に係る検出装置1Dは、上述した第4実施形態と組み合わせることができる。すなわち、複数の開口部OPは、検出領域AAの中心に近いほど所定面積あたりの数(配置密度)が少なく、かつ、検出領域AAの中心に近いほど面積が小さくなるように形成されてもよい。
【0105】
(第6実施形態)
図18は、第6実施形態に係る検出装置の、複数の画素及び保護膜の開口部を模式的に示す平面図である。図19は、図16のXIX-XIX’断面図である。図18及び図19に示すように、第6実施形態に係る検出装置1Eにおいて、保護膜90に設けられた複数の開口部OPは、検出領域AAにマトリクス状に配置された複数の開口部OPaと、周辺領域GAに設けられた開口部OPcとを含む。
【0106】
図18に示すように、周辺領域GAに設けられた複数の開口部OPcは、周辺領域GAの各辺に沿って配列される。周辺領域GAに設けられた複数の開口部OPcは、検出領域AAに設けられた複数の開口部OPaと同じ面積(直径)を有する。
【0107】
第6実施形態に係る検出装置1Eでは、例えば、センサ基材21の外縁側から侵入した水分は、周辺領域GAに設けられた複数の開口部OPcで外部に排出される。このため、第6実施形態では、外縁側から侵入した水分が検出領域AAで滞留することを抑制できる。
【0108】
第6実施形態に係る検出装置1Eは、上述した第4実施形態及び第5実施形態の少なくとも1つと組み合わせることができる。例えば、検出装置1Eにおいて、検出領域AAに設けられた複数の開口部OPaは、周辺領域GAに設けられた複数の開口部OPcよりも面積が小さくてもよい。あるいは、検出領域AAに設けられた複数の開口部OPaの所定面積あたりの数(配置密度)は、周辺領域GAに設けられた複数の開口部OPcの所定面積あたりの数(配置密度)よりも少なくてもよい。
【0109】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
1、1A、1B、1C、1D、1E 検出装置
10 センサ部
21 センサ基材
23 下部電極
24 上部電極
27、28 絶縁膜
29 回路形成層
30 OPD層
31 活性層
32 下部バッファ層
33 上部バッファ層
35 絶縁膜
36 第1溝部
37 第2溝部
90 保護膜
OP、OPa、OPb、OPc 開口部
PD、PD-1、PD-2 フォトダイオード
AA 検出領域
GA 周辺領域
PX、PXa センサ画素
図1
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