(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084358
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】検知システム、検知装置、検知方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240618BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G08B25/04 H
G08B31/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198589
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】宮路 大勇
(72)【発明者】
【氏名】若尾 あすか
(72)【発明者】
【氏名】上田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】田村 英地
【テーマコード(参考)】
5C087
【Fターム(参考)】
5C087DD05
5C087DD24
5C087EE18
5C087FF04
5C087GG07
5C087GG14
(57)【要約】
【課題】監視対象エリアのセキュリティにおけるユーザの利便性を向上させること。
【解決手段】検知システムは、監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する取得部と、前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得部が取得した前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測部と、前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する取得部と、
前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得部が取得した前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測部と、
前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知部と、
を備える検知システム。
【請求項2】
前記検知部は、前記環境データと前記予測値とに基づいて、前記監視対象エリアのリスクレベルを演算し、前記リスクレベルに応じて複数段階のうちのいずれの異常度であるかを検知する、
請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記監視対象エリアの環境に関する環境データは、監視対象エリアにおける音、振動、人や動物の存在の有無、ライフライン使用状況、電磁波使用状況の少なくとも何れかを示すデータである、
請求項1または請求項2に記載の検知システム。
【請求項4】
監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する取得部と、
前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得部が取得した前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測部と、
前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知部と、
を備える検知装置。
【請求項5】
検知装置のコンピュータが、
監視対象エリアの環境に関する環境データを検出する環境データを取得する取得過程と、
前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得過程により取得された前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測過程と、
前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知過程と、
を有する検知方法。
【請求項6】
検知装置のコンピュータに、
監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する取得ステップと、
前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得ステップにより取得された前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測ステップと、
前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知システム、検知装置、検知方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホームセキュリティシステムは、住居の防犯、安全を図るために住居内外に取り付けたカメラや各種センサなどにより、侵入や火災などを検知して警備会社などの緊急連絡先に自動通報するシステムである。
特許文献1には、外出モードに設定して留守時のセンサの異常検知により自宅に侵入者がいることを通報したりする監視警備連絡装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、居住者が自ら外出モードに設定する必要があり、在宅モードから外出モードへのモードを切り替え忘れると、侵入者を適切に検知できないことがあった。また、住居内の画像や各種センサのデータが住居外に流出する可能性がありユーザのプライバシーが侵害される恐れがあった。
このように、監視対象エリアのセキュリティにおけるユーザの利便性が十分でないという課題があった。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、監視対象エリアのセキュリティにおけるユーザの利便性を向上させることができる検知システム、検知装置、検知方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる検知システムは、監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する取得部と、前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得部が取得した前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測部と、前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様にかかる検知装置は、監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する取得部と、前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得部が取得した前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測部と、前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様にかかる検知方法は、検知装置のコンピュータが、監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する取得過程と、前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得過程により取得された前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測過程と、前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知過程と、を有する。
【0009】
本発明の一態様にかかるプログラムは、検知装置のコンピュータに、監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する取得ステップと、前記監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、前記監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、前記取得ステップにより取得された前記環境データを入力することで、前記監視対象エリアの異常度の予測値を演算する予測ステップと、前記環境データ及び前記監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、前記監視対象エリアの異常状態を検知する検知ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、監視対象エリアのセキュリティにおけるユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態にかかる検知システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる検知システムにおける検知装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる検知装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかるリスクレベルと異常度との対応関係の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態にかかる検知システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる検知システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
図1は、本発明の実施形態にかかる検知システムSYSの構成の一例を示す概略図である。
検知システムSYSは、検知装置10と、端末装置20と、を備える。また、検知装置10と、端末装置20とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、例えば、LAN(Local Area Network)、又はインターネット等の情報通信ネットワークである。情報通信ネットワークは、有線、又は無線のネットワークでもよいし、種々のネットワークを組み合わせたネットワークであってもよい。
【0013】
検知装置10は、監視対象エリアの異常を検知する検知装置である。監視対象エリアは、例えば、住居、農耕地などである。以下の説明では、監視対象エリアが住居の場合について説明する。
検知装置10は、住居HMの周囲の環境に関する環境データを検出する環境データを取得する。ここで、住居HMとは、人が居住を目的とする建築物、企業の事務所、営業所、倉庫、業務を行うための建築物など、人が出入り可能な建物、施設などを含む。住居HMの周囲とは、住居HMの屋内または住居HMの屋外、たとえば住居HMの半径20m以内の範囲である。環境データは、住居HMの屋内または屋外における音、振動、人の存在の有無、ライフライン使用状況、電磁波使用状況の少なくとも何れかを示すデータである。検知装置10は、各種センサやスマートメータと有線または無線接続される。検知装置10は、接続された各種センサ、スマートメータなどから住居HMの周囲の環境データを取得する。
【0014】
例えば、検知装置10は、環境データとして、住居HMの屋内の音、あるいは住居HMの屋外の音などの生活音を、集音器を用いて取得する。また、検知装置10は、環境データとして、住居HMの屋内または屋外の振動を、振動センサを用いて検出し、検出した振動に応じた検出値を取得する。また、検知装置10は、環境データとして、住居HMの屋内または屋外の人の存在の有無を、人感センサ、赤外線センサなどを検出し、検出した人の存在の有無を表す検出値を取得する。また、検知装置10は、環境データとして、住居HMのライフライン使用状況をスマートメータから取得する。ライフライン使用状況は、電力使用量、水道使用量、ガス使用量などであり、住居HMの各スマートメータから使用量を取得する。また、検知装置10は、環境データとして、住居HMの屋内または屋外の電磁波使用状況、例えば、所定の周波数帯の使用状況を、計測器から取得する。
【0015】
検知装置10は、取得した時系列の環境データに基づいて住居HMにおける通常状態を学習する。ここで言う、通常状態は、住居HMにおいて異常が生じていない状態である。例えば、検知装置10は、環境データとして生活音を、集音器を用いて取得する。検知装置10は、取得した時系列の生活音のデータに基づいて、住居HMにおける通常状態を学習する。検知装置10は、学習結果と現在の環境データとに基づいて、住居HMにおける異常度を推定する。検知装置10は、推定した異常度に基づいて、住居HMにおけるリスクレベルが複数段階のリスクレベルのうちのいずれであるかを算出する。検知装置10は、住居HMのリスクレベルが所定閾値以上である場合に、端末装置20に通知を送信する。
【0016】
端末装置20は、例えば、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯型端末である。端末装置20は、検知装置10から受信した情報を画面に表示する。
【0017】
なお、端末装置20は、通知に加えて、異常を予測した根拠となる情報を表示してもよい。この場合、検知装置10は、住居HMのリスクレベルが所定閾値以上である場合に、通知に加えて、常を予測した根拠となる情報をExplainable AI(説明可能なAI)に分類される技術や手法を用いて算出し、端末装置20に送信すればよい。
【0018】
ここで、本実施形態にかかる通常状態の学習は、住居HM内におけるマイクロコントローラのような安価なコンピュータにより行われることが好適である。このようにすることで、住居HMにおけるプライバシーに関わる環境データが住居HMの外部に流出させないため、ユーザのプライバシーが侵害されるリスクを低減させることができる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態にかかる検知システムSYSにおける検知装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
検知装置10は、例えばパーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージデバイス104と、表示部105と、操作受付部106と、通信部107と、インターフェース部108とを備える。また、各ブロック間における各信号のやりとりは、バス109を介して行われる。
【0020】
CPU101は、ROM102に記憶されている各種制御プログラムに基づいて、検知装置10の各部を制御する。ROM102は、読み出し専用のメモリであり、起動プログラム等を記憶する。RAM103は、CPU101のメインメモリ(主記憶装置)に用いられるメモリであり、CPU101において実行されるプログラムの作業領域等を記憶する。ストレージデバイス104は、検知システムで用いられるアプリケーションプログラム100等が格納されている。
【0021】
表示部105は、CPU101の制御に基づいて各種情報を表示する。表示部105としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを用いることができる。操作受付部106は、各種入力キーからなるキーボードやマウス(ポインティングデバイス)を備え、これらのマウス等から操作入力を受け付けると、受け付けた操作入力の内容をCPU101に出力する。通信部107は、CPU101の制御に基づいて、端末装置20との間で各種情報の送受信を実行する。
【0022】
なお、検知装置10としては、パーソナルコンピュータに限らず、スマートフォン等の携帯端末やタブレット端末のいずれかであっても良い。また、アプリケーションプログラムは、検知装置10において実行される場合について図示されているが、検知装置10にインストールされるのではなくWeb上で動作させても良い。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態にかかる検知システムSYSの検知装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
検知装置10は、CPU、ROM、RAM、GPUなどからなるコンピュータを主体として構成されるコンピュータ上で実現される。
【0024】
図3に示すように、検知装置10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13と、を含んで構成される。また、検知装置10には、1または複数のセンサ14が接続される。
【0025】
センサ14は、人感センサ、赤外線センサ、振動センサ、集音器、開閉センサ、CO2センサ、スマートメータなどの住居HMの周囲の環境データを取得する各種センサである。センサ14は、取得した環境データを、検知装置10に出力する。
【0026】
通信部11は、ネットワークを介して、端末装置20に各種情報を送信する。また、通信部11は、ネットワークを介して、端末装置20から各種情報を受信する。
【0027】
制御部12は、環境データ取得部121と、時刻取得部122と、予測部123と、行動検知部124と、出力処理部125と、を含んで構成される。
環境データ取得部121は、センサ14から環境データを取得する。環境データ取得部121は、取得したセンサ14ごとの環境データを現在時刻と対応付けて記憶部13に記憶させる。
時刻取得部122は、現在時刻を取得する。
【0028】
予測部123は、AI(Artificial Intelligence)技術を用いて、リスクレベルを予測する。例えば、予測部123は、時系列の環境データと、住居HMにおける人の在・不在、住居HMにおける居住人などの行動パターン等との関係を学習することで学習モデルを生成する。予測部123は、生成した学習モデルを使って、環境データ取得部121が取得した環境データに基づく異常度を予測する。
【0029】
ここで、予測部123は、環境データ取得部121によって得られる、連続的な時系列データをリアルタイムで解析し、センサ14ごとの学習モデルを切り替えながら、住居HMの周囲の異常度を予測するようにしてもよい。これにより、時間経過による時系列データの変化のパターンを解析し、未来のデータの振る舞いを分類・予測することができる。
【0030】
予測部123は、時系列の環境データと、住居HMにおける人の在・不在、住居HMにおける居住人などの行動パターン等との関係を学習することで、住居HMにおける異常度を算出することが可能な学習モデルを生成する。予測部123は、生成した学習モデルを記憶部13に記憶させる。
予測部123は、生成した学習モデルを使って、住居HMにおける異常度を予測する。予測部123は、異常度の予測結果を、環境データと対応付けて記憶部13に記憶させる。
【0031】
本実施形態では、時系列データを含むデータを用いて異常度の予測を行っているため、学習モデルは複数生成される。すなわち、時間の経過毎に、時系列データは更新されていく。時系列データが更新される毎に、複数の学習モデルが生成されていく。また、このときの結果は、予測部123にて住居HMにおける異常度を算出する学習モデルの最適化に利用される。
【0032】
なお、学習モデルは、深層学習モデルを用いて学習された学習モデルであっても良い。また、学習モデルは、非線形の時系列データに対して予測可能な非深層学習型のアルゴリズムを使用して学習することで得られる学習モデルであってもよく、この場合、学習時間を短縮させ、システムの応答のたびに、その時点での最新の情報を使い、AIモデルを作成できる。これにより、リアルタイムで精度の高い予測が可能となる。
【0033】
行動検知部124は、予測部123によって推定された異常度に応じたリスクレベルを算出する。例えば、行動検知部124は、異常度が小さい場合には、リスクレベルが低くなるように算出し、異常度が大きい場合には、リスクレベルが高くなるように算出する。行動検知部124は、算出したリスクレベルが所定値以上である場合に、端末装置20に通知するための通知情報を生成し、出力処理部125に出力する。
【0034】
出力処理部125は、入力される各種情報に対して出力処理を行い、通信部11を介して端末装置20に出力する。
【0035】
記憶部13は、環境データ記憶部131と、学習結果記憶部132と、予測情報記憶部133と、を含んで構成される。
環境データ記憶部131は、環境データを時刻情報と対応付けて記憶する。
学習結果記憶部132は、学習モデルを記憶する。
予測情報記憶部133は、異常度の予測結果を環境データと対応付けて記憶する。
【0036】
ここで、リスクレベルについて説明する。
図4は、本発明の実施形態にかかるリスクレベルと異常度との対応関係の一例を示す図である。
リスクレベルと異常度との対応関係は、異常度テーブルとして、リスクレベルに対して異常度が対応づけられたデータである。
例えば、リスクレベルは、「1」がリスクのレベルが最も低く、レベルを表す数が増えるほど、リスクのレベルが高いことを示す。
異常度は、リスクレベルが低いほど住居HMが安全な状態であることを表し、リスクレベルが高くなるほど住居HMが危険な状態であることが異常度テーブルにおいて定められている。
【0037】
例えば、リスクレベル「1」は、住居HMにおいて行動が検知されない状態、すなわち不在であることを表す。リスクレベル「2」は、住居HMにおいて通常の行動が検知される状態、すなわち、在宅であることを表す。リスクレベル「3」は、住居HMにおいて通常の行動が検知される状態において異常な行動が検知される状態、すなわち、在宅時の異常が検知される状態であることを表す。リスクレベル「4」は、住居HMにおいて通常不在である時間に通常の行動が検知される状態であることを表す。リスクレベル「5」は、住居HMにおいて通常不在である時間に異常な行動が検知される状態であることを表す。
【0038】
ここで、通常の行動とは、通常の行動パターンとして識別される行動であり、住居HMにおける周期的、あるいは定常的な住居人の行動である。また、異常な行動とは、通常の国道パターンとは異なる行動パターンとして識別される行動であり、住居HMにおける通常の行動パターンには含まれない行動である。
【0039】
図5は、本発明の実施形態にかかる端末装置20の構成の一例を示すブロック図である。
端末装置20は、CPU、ROM、RAM、GPUなどからなるコンピュータを主体として構成されるコンピュータ上で実現される。
【0040】
図5に示すように、端末装置20は、通信部21と、制御部22と、出力部23と、を含んで構成される。
通信部21は、ネットワークを介して、検知装置10に各種情報を送信する。また、通信部21は、ネットワークを介して、検知装置10から各種情報を受信する。
制御部22は、端末装置20の各機能を制御する。
出力部23は、制御部22から出力される制御信号に基づいて、各種情報を出力する。
例えば、端末装置20は、検知装置10から送信された通知情報を受信する。端末装置20は、受信した通知情報を、出力部23を介してユーザに提示する。
【0041】
図6は、本発明の実施形態にかかる検知装置10の処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS100において、検知装置10は、センサ14から環境データを取得する。
ステップS102において、検知装置10は、環境データを、予め生成された学習モデルに入力することで異常度を推定する。
ステップS104において、検知装置10は、推定された異常度に応じたリスクレベルを算出する。
ステップS106において、検知装置10は、リスクレベルが所定閾値以上であれば、端末装置20に住居HMに異常が発生していることを通知する。
【0042】
このように、本実施形態にかかる検知装置10は、環境データ取得部121と、予測部123と、行動検知部124と、を備える。環境データ取得部121は、監視対象エリアの環境に関する環境データを取得する。予測部123は、監視対象エリアの過去の環境データの時系列データと、監視対象エリアの異常度とを学習データセットとして学習された学習モデルに、環境データ取得部121が取得した環境データを入力することで、監視対象エリアの異常度の予測値を演算する。行動検知部124は、環境データ及び監視対象エリアの異常度の予測値に基づいて、監視対象エリアの異常状態を検知する。
【0043】
これにより、安価なセンサによる環境データに基づいて異常状態を検出することができるため、監視対象エリアのセキュリティにおけるユーザの利便性を向上させることができる。また、画像や映像を用いずに異常状態を検知することができるため、ユーザのプライバシーを保護することができる。
【0044】
また、行動検知部124は、環境データと予測値とに基づいて、監視対象エリアのリスクレベルを演算し、リスクレベルに応じて複数段階のうちのいずれの異常度であるかを検知する。
【0045】
このようにすることで、複数段階のうちのいずれのリスクレベルであるかを検知できるため、監視対象エリアにおけるリスクがどの程度なのかをユーザが認知することができる。
【0046】
また、監視対象エリアの環境に関する環境データは、監視対象エリアにおける音、振動、人や動物の存在の有無、ライフライン使用状況、電磁波使用状況の少なくとも何れかを示すデータである。
【0047】
このようにすることで、特殊なセンサを用いることなく環境データを取得することができるため、安価に検知装置を構成することができる。
【0048】
上述した実施形態における検知システムSYS、検知装置10の機能の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。このコンピュータには、量子コンピュータも含まれる。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0049】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0050】
10 検知装置
11 通信部
12 制御部
121 環境データ取得部
122 時刻取得部
123 予測部
124 行動検知部
125 出力処理部
13 記憶部
131 環境データ記憶部
132 学習結果記憶部
133 予測情報記憶部
100 アプリケーションプログラム
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ストレージデバイス
105 表示部
106 操作受付部
107 通信部
108 インターフェース部
109 バス
20 端末装置
21 通信部
22 制御部
23 出力部