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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084359
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】表示制御方法及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240618BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G16H20/00
G06F3/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198590
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】早川 昭二
【テーマコード(参考)】
5B069
5L099
【Fターム(参考)】
5B069AA10
5B069BA05
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】無用な事例のユーザへの表示を抑制する表示制御方法及び表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】表示制御方法は、ユーザが過去に実施した面談対象者への行動変容を促す一の介入の回数に対する、前記一の介入に関連付けられた事例の前記ユーザによる参照回数の割合が閾値割合未満か否かを判断し、事例一覧を表示する際に、前記閾値割合未満と判断された前記事例の表示優先度を決定する、処理をコンピュータが実行する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが過去に実施した面談対象者への行動変容を促す一の介入の回数に対する、前記一の介入に関連付けられた事例の前記ユーザによる参照回数の割合が閾値割合未満か否かを判断し、
事例一覧を表示する際に、前記閾値割合未満と判断された前記事例の表示優先度を決定する、
処理をコンピュータが実行する表示制御方法。
【請求項2】
前記事例一覧を表示する際に、前記閾値割合以上と判断された前記事例を、前記一の介入の実施回数に関する閾値回数に基づいて分類して表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御方法。
【請求項3】
前記ユーザによる前記面談対象者に対する面談結果を登録した情報に基づいて、前記ユーザが前記面談対象者に実施した複数回の前記一の介入の成功率を算出し、
前記成功率に基づいて、前記閾値割合を決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御方法。
【請求項4】
前記一の介入に関連する他の介入の実施状況を管理し、
前記実施状況に基づいて、未実施の前記他の介入を含む第1事例を実施済の前記他の介入を含む第2事例に対して優先的に表示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御方法。
【請求項5】
前記ユーザによる前記面談対象者に対する面談結果を登録した情報に基づいて、前記ユーザが前記面談対象者に実施した直近複数回の前記一の介入がいずれも成功したか否かを判断し、
前記事例一覧を表示する際に、前記閾値割合未満と判断された前記事例の中から、前記一の介入がいずれも成功したと判断された所定の事例の表示優先度を決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示制御方法。
【請求項6】
ユーザが過去に実施した面談対象者への行動変容を促す一の介入の回数に対する、前記一の介入に関連付けられた事例の前記ユーザによる参照回数の割合が閾値割合未満か否かを判断し、
事例一覧を表示する際に、前記閾値割合未満と判断された前記事例の表示優先度を決定する、
処理をコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、表示制御方法及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ毎のヘルス情報をユーザ間でシェアする管理を行い、状況が類似する類似ユーザをヘルス情報から判定し、各ユーザに類似ユーザの情報、即ち当該ユーザの状況に即した他ユーザのヘルス情報を提供するシステムが知られている。これにより、ユーザは、例えば自分と同じ病状の他者が、自分とは異なる治療や検査や行動等をしている事例を知ることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-218954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、企業の健康診断などにおいて例えばメタボリックシンドロームと診断された従業員は産業保健師(以下、単に保健師という)と特定保健指導の面談を行うことがある。保健師は面談によって従業員への行動変容を促す介入を実施している。例えばメタボリックシンドロームであれば、保健師は従業員自らがメタボリックシンドロームを改善する行動に変容させる介入(例えば間食をやめさせるなど)を実施する。
【0005】
保健師が従業員に介入して行動変容を成功させるためには、面談前の事前準備が重要である。例えば、保健師はメタボリックシンドロームに対する介入内容とその成否を含む過去の類似事例を参照し、従業員への面談後の結果を想定した様々なシミュレーションを事前に準備する。
【0006】
しかしながら、保健師によっては過去の類似事例を参照しなくても従業員に介入できる経験を保有している場合がある。この場合、保健師がユーザとして上記システムを利用した場合、保健師の経験から事例の表示が必要のない無用な事例がシステムから提供される可能性がある。
【0007】
そこで、1つの側面では、無用な事例のユーザへの表示を抑制する表示制御方法及び表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施態様では、表示制御方法は、ユーザが過去に実施した面談対象者への行動変容を促す一の介入の回数に対する、前記一の介入に関連付けられた事例の前記ユーザによる参照回数の割合が閾値割合未満か否かを判断し、事例一覧を表示する際に、前記閾値割合未満と判断された前記事例の表示優先度を決定する、処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0009】
無用な事例のユーザへの表示を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は保健師と従業員の面談と面談前後の保健師の作業の一例を説明する図である。
図2図2は事例提供サーバのハードウェア構成の一例である。
図3図3は事例提供サーバの機能構成の一例である。
図4図4は事例データの一例である。
図5図5は閲覧履歴データの一例である。
図6図6は第1実施形態に係る実施状況データの一例である。
図7図7は第1実施形態に係る規則情報の一例である。
図8図8は事例提供サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9(a)事例提供システムログイン画面の一例である。図9(b)は事例データの一覧を含まない事例表示画面の一例である。
図10図10(a)は比較例に係る事例表示画面の一例である。図10(b)は実施例に係る事例表示画面の一例である。
図11図11は第1実施形態に係る定着判断処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は事例提供サーバの動作の他の一例を示すフローチャートである。
図13図13は第2実施形態に係る規則情報の一例である。
図14図14は第2実施形態に係る定着判断処理の一例を示すフローチャートである。
図15図15は第3実施形態に係る実施状況データの一例である。
図16図16は第4実施形態に係る実施状況データの一例である。
図17図17は第5実施形態に係る実施状況データの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本件を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、保健師10は従業員20との面談を行う前に事前準備を実施する。例えば、保健師10はユーザ端末11を操作して事例提供サーバ100が管理する事例データにアクセスし、従業員20の健康状態や属性と類似する過去の事例データを検索する。詳細は後述するが、事例データは保健師10や保健師10とは異なる別の保健師が実施した介入手段(例えば間食をやめるなど)や介入手段の成否などを含んでいる。事例提供サーバ100は保健師10の操作に応じた事例データをユーザ端末11に表示することにより様々な事例を保健師10に提供する。
【0013】
なお、保健師10はユーザの一例であって、従業員20は面談対象者の一例である。ユーザは例えば獣医師といった医師であってもよく、面談対象者はペットの飼主などであってもよい。また、図1では、ユーザ端末11の一例としてPC(Personal Computer)が示されているが、タブレット端末やスマートフォンといった携帯型のスマート端末などであってもよい。さらに、ユーザ端末11と事例提供サーバ100はLAN(Local Area Network)やインターネットといった通信ネットワークNWを介して接続されている。事例提供サーバ100は物理的なサーバであってもよいし、仮想的なサーバであってもよい。
【0014】
事前準備を終えると、保健師10は従業員20との面談を実施する。保健師10は事前に準備した複数の介入手段の中から適切な介入手段を選択し、選択した介入手段を従業員20が履行することについて従業員20の同意を得る。そして、面談後には保健師10はユーザ端末11を操作して事例提供サーバ100にアクセスし、面談結果を含む事例データを新たな事例データとして登録する。これにより、保健師10を含む様々な保健師が事例提供サーバ100にアクセスして、この事例データを参照することができる。
【0015】
次に、図2を参照して、事例提供サーバ100のハードウェア構成について説明する。なお、上述したユーザ端末11は基本的に事例提供サーバ100のハードウェア構成と同様のハードウェア構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0016】
事例提供サーバ100は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)100Aと、メモリとしてのRAM(Random Access Memory)100B及びROM(Read Only Memory)100Cを含んでいる。事例提供サーバ100は、ネットワークI/F(インタフェース)100D及びHDD(Hard Disk Drive)100Eを含んでいる。HDD(Hard Disk Drive)100Eに代えて、SSD(Solid State Drive)を採用してもよい。
【0017】
事例提供サーバ100は、必要に応じて、入力I/F100F、出力I/F100G、入出力I/F100H、ドライブ装置100Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU100Aからドライブ装置100Iまでは、内部バス100Jによって互いに接続されている。すなわち、事例提供サーバ100はコンピュータによって実現することができる。
【0018】
入力I/F100Fには入力装置710が接続される。入力装置710としては例えばキーボードやマウス、タッチパネルなどがある。出力I/F100Gには表示装置720が接続される。表示装置720としては例えば液晶ディスプレイなどがある。入出力I/F100Hには半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F100Hは半導体メモリ730に記憶された表示制御プログラムを読み取る。入力I/F100F及び入出力I/F100Hは例えばUSBポートを備えている。出力I/F100Gは例えばディスプレイポートを備えている。
【0019】
ドライブ装置100Iには可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置100Iは可搬型記録媒体740に記録された表示制御プログラムを読み込む。ネットワークI/F100Dは例えばLANポートや通信回路などを備えている。通信回路は有線通信回路と無線通信回路のいずれか一方又は両方を含んでいる。ネットワークI/F100Dは通信ネットワークNWと接続されている。
【0020】
RAM100BにはROM100C、HDD100E、半導体メモリ730の少なくとも1つに記憶された表示制御プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。RAM100Bには可搬型記録媒体740に記録された表示制御プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。格納された表示制御プログラムをCPU100Aが実行することにより、CPU100Aは事例提供システムとして後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を含む表示制御方法を実行する。なお、表示制御プログラムは後述するフローチャートに応じたものとすればよい。
【0021】
図3乃至図6を参照して、事例提供サーバ100の機能構成について説明する。なお、図3では事例提供サーバ100の機能の要部が示されている。
【0022】
図3に示すように、事例提供サーバ100は記憶部110、処理部120、及び通信部130を備えている。記憶部110は上述したRAM100BとHDD100Eのいずれか一方又は両方によって実現することができる。処理部120は上述したCPU100Aによって実現することができる。通信部130は上述したネットワークI/F100Dによって実現することができる。
【0023】
記憶部110、処理部120、及び通信部130は互いに接続されている。記憶部110は、事例記憶部111、閲覧履歴記憶部112、及び実施状況記憶部113を含んでいる。処理部120は、認証部121、検索部122、及び判断部123を含んでいる。また、処理部120は、除外部124、表示部125、及び登録部126を含んでいる。
【0024】
事例記憶部111は複数の事例データを記憶する。事例データは、図4に示すように、事例データを識別する事例ID(Identifier)によって識別されており、例えばSOAP形式で定義された様々なデータや情報を含んでいる。事例データにおける文字「S」はSubjective dataの頭文字であり、従業員の発言を表している。事例データにおける文字「O」はObjective dataの頭文字であり、客観的な情報やデータを表している。事例データにおける文字「A」はAssessmentの頭文字であり、保健師10の分析や判断を表している。事例データにおける文字「P」はPlanの頭文字であり、「S」「O」「A」を踏まえた従業員20に対する今後の方針を表している。なお、今後の方針として登録された文字列のうち下線が付与された特定の文字列が介入手段とその成否を表している。本実施形態では、文字列「間食をやめる」が介入手段に相当し、文字列「合意」が介入手段の成否に相当する。保健師10は従業員20との面談を終えると、このような事例データを事例提供サーバ100に登録する。
【0025】
閲覧履歴記憶部112は閲覧履歴データを記憶する。閲覧履歴データは、図5に示すように、ユーザID、対象者ID、閲覧事例IDといった複数の項目を含んでいる。ユーザIDの項目には保健師10に付与されたユーザID「AAA」や、保健師10とは異なる別の保健師に付与されたユーザID「BBB」などが登録される。対象者IDの項目には従業員20に付与された対象者ID「15342」などが登録される。閲覧事例IDの項目には保健師10などによって参照された事例データの事例ID「121212」などが登録される。このように、閲覧履歴データによってユーザID、対象者ID、閲覧事例IDが互いに関連付けられる。このような閲覧履歴データにより、例えばユーザID「AAA」の保健師10が対象者ID「15342」の従業員20との面談を行う前に事例ID「121212」の事例データが参照されたことを特定することができる。
【0026】
実施状況記憶部113はユーザIDごとの実施状況データを記憶する。実施状況データは、図6に示すように、介入手段、実施回数、参照後の実施回数、直近3回の介入成否といった複数の項目を含んでいる。本実施形態では、実施回数は変数Xで定義され、参照後の実施回数は変数Yで定義され、直近3回の介入成否は変数Zで定義される。介入手段の項目には、例えばメタボリックシンドロームに対する特定保健指導を行う際に保健師10が用いる可能性のある複数の介入手段が列挙されて事前に登録される。
【0027】
実施回数の項目には、例えば保健師10が面談時に実施した介入手段の回数が登録される。実施回数には初期値「0」が登録され、面談結果の登録時に事例データにおける文字「P」の欄に、「間食をやめる」等の介入手段を表す特定の文字列が登録される度に積算されて実施回数が更新される。参照後の実施回数の項目には面談前に事例データが参照された上で介入手段が実施された回数が登録される。例えば、介入手段「間食をやめる」は実施回数「5」回であるが、その実施回数の中で実際の事例データは参照回数「1」回である。すなわち、保健師10は事例データを参照しないで従業員20に対し介入手段「間食をやめる」を実施していることが多く、保健師10にこの介入手段が定着している可能性が高いと判断することができる。直近3回の介入成否の項目には、直近3回の介入成功と介入失敗が登録される。図6において、介入成功の場合、数値「1」が登録され、介入失敗の場合、数値「0」が登録される。介入を実施しなかった場合には、記号「-」が登録される。左端の数値から順に直近の介入成否が登録されてもよいし、右端の数値から順に直近の介入成否が登録されてもよい。
【0028】
認証部121は保健師10を認証する。詳細は後述するが、保健師10が事例提供システムのログイン画面において、ユーザIDとパスワードが入力されると、認証部121は保健師10が事例提供システムの正当な利用者であるか否かを認証する。
【0029】
検索部122は、後述する事例表示画面に対して保健師10が入力した対象者IDに基づいて、事例記憶部111にアクセスし、対象者IDが付与された従業員20と同じ又は従業員20と近い別の従業員の過去の事例データを検索する。例えば、検索部122は、事例データに含まれる属性に関するデータ群や健康に関するデータ群(図4参照)などの数値の差分に基づいて、事例データ同士の類似度を算出し、閾値類似度より高い類似度の事例データを検索結果として抽出する。
【0030】
判断部123は従業員20に対して行動変容を促そうと考えた介入手段に対し、その介入手段と関連づけられた事例データに対する保健師10の参照割合が閾値割合未満か否かを判断する。参照割合は一の介入手段を実施した実施回数に対する、その介入手段に関連付けられた事例データの保健師10による参照回数の割合である。詳細は後述するが、判断部123は、実施状況記憶部113にアクセスし、保健師10のユーザIDに応じた実施状況データを特定する。そして、判断部123は、特定した実施状況データに含まれる変数X,Y,Zに基づいて、保健師10に介入手段が定着しているか、まだ定着していないか否かを介入手段ごとに判断する。
【0031】
ここで、判断部123には保健師10に介入手段が定着しているか、まだ定着していないか否かを判断する規則情報が実装されている。規則情報は、図7に示すように、判断結果、判断ロジック、判断理由、及び活用例といった複数の項目を含んでいる。なお、判断理由と活用例は判断部123への実装対象から除外してもよい。
【0032】
判断結果の項目には、保健師10に介入手段が定着していることを表す文字列「定着」や、まだ定着していないことを表す文字列「未定着」が登録される。文字列に代えて、定着や未定着を識別可能な数値を採用してもよい。判断ロジックの項目には、定着や未定着を判断するためのロジック情報が登録される。以下に、判断ロジックの項目に登録されるロジック情報L1,L2,L3,L4を具体的に記載する。なお、Nは閾値回数であって、本実施形態ではN=3といった固定値を採用するが、固定値は適宜変更してもよい。
【0033】
ロジック情報L1:X-Y>N かつ Zの直近3回の介入が3回成功
ロジック情報L2:X-Y>N かつ Zの直近3回の介入が3回未満成功
ロジック情報L3:0<X-Y≦N かつ X>0
ロジック情報L4:X-Y=0 かつ X>0
【0034】
判断理由の項目には、定着や未定着を判断するための理由情報が登録される。以下に、判断理由の項目に登録される理由情報R1,R2,R3,R4を具体的に記載する。
【0035】
R1:事例データを参照しなくても介入手段を実施できたケースがN回より多くあり、かつ、介入手段が成功している。このため、保健師10に介入手段が定着していると判断できる。
R2:事例データを参照せずに介入手段を実施したが、失敗したケースもあるので定着したとは判断できず、事例データを参照し直す必要がある。このため、保健師10にその介入手段がまだ定着していないと判断できる。
R3:事例データを参照しなくても介入手段を実施できると考え、試行中の段階である、定着への移行中である未定着と判断できる。
R4:事例データを参照しながら実践している未定着と判断できる。
【0036】
活用例の項目には、事例データの検索における活用例情報が登録される。以下に、活用例の項目に登録される活用例情報U1,U2,U3,U4を具体的に記載する。
【0037】
U1:保健師10に介入手段が定着しているため、この介入手段を含む事例データの表示を表示対象から除外するか、又は事例データの表示数を低減する。
U2:事例データを参照せずに失敗しているので、この介入手段を含む事例データを表示対象として多く表示する。
U3:事例データを参照しないようにしているため、この介入手段を含む事例データの表示を表示対象から除外するか、又は事例データの表示数を低減する。
U4:事例データを参照する必要があるので、この介入手段を含む事例データを表示対象として多く表示する。
【0038】
除外部124は上述した閾値割合未満と判断した参照割合の事例データの表示を表示対象から除外する。除外部124により無用な事例データの保健師10への表示が除外される。除外部124は事例データの表示を表示対象から除外する代わりに、事例データの表示優先度を決定して表示優先度に応じて事例データを並び替えてもよい。例えば、表示優先度が低い事例データの表示が下位に表示されれば、保健師10の視界に表示優先度が低い事例データが入らない可能性が高い。一方で、表示優先度が高い事例データが上位に表示されれば、保健師10は表示優先度が高い事例データを容易に確認することができる。
【0039】
表示部125は、事例データの一覧を含む事例表示画面をユーザ端末11に表示する。除外部124が閾値割合未満と判断した参照割合の事例データの表示を表示対象から除外するため、表示部125は除外部124が除外しなかった残りの事例データを含む事例表示画面をユーザ端末11に表示する。これにより、保健師10には有用な事例データが提供される。
【0040】
登録部126は、保健師10の操作に応じて、事例表示画面に含まれる事例データの詳細表示を求める詳細表示指示を受け付けた場合、閲覧履歴記憶部112にアクセスする。そして、登録部126はその事例データの事例IDを閲覧履歴データの閲覧事例IDの項目に登録する。例えば、保健師10がユーザID「AAA」を利用して事例提供システムを利用し、対象者ID「15342」を指定して検索したのち、詳細表示していれば、登録部126はこのようなユーザIDと対象者IDの組合せに事例IDを関連付けて登録することができる。
【0041】
次に、図8乃至図10を参照して、事例提供サーバ100の面談前の動作について説明する。
【0042】
まず、図8に示すように、認証部121はユーザ認証を実行する(ステップS1)。例えば、保健師10がユーザ端末11を操作して事例提供サーバ100にアクセスすると、図9(a)に示すように、認証部121はユーザ端末11に事例提供システムログイン画面を表示する。保健師10がユーザID「AAA」とパスワード「********」を入力して、OKボタン12をポインタPTにより押下すると、認証部121はユーザ認証を開始する。認証部121がユーザ認証に成功すると、認証部121は、図9(b)に示すように、事例データの一覧を含まない事例表示画面をユーザ端末11に表示する。
【0043】
保健師10が対象者ID「15342」を入力して、検索ボタン13をポインタPTにより押下すると、図8に示すように、検索部122は対象者IDを受信し(ステップS2)、事例データを検索する(ステップS3)。上述したように、検索部122は対象者IDが付与された従業員20と同じ又は従業員20と近い別の従業員の過去の事例データを検索する。そして、検索部122は閾値類似度より高い類似度の事例データを検索結果として抽出して判断部123と除外部124のそれぞれに出力する。
【0044】
検索部122が事例データを検索すると、判断部123は定着判断処理を実行する(ステップS4)。定着判断処理は保健師10に介入手段が定着したか否かを介入手段ごとに判断し、保健師10に定着した介入手段のリストを除外部124に出力する処理である。なお、定着判断処理の詳細は後述する。
【0045】
定着判断処理を実行すると、除外部124は事例データを除外する(ステップS5)。より詳しくは、除外部124は、判断部123から出力されたリストに基づいて、検索部122から出力された事例データの中からリストに含まれる介入手段を含む一部の事例データを除外する。これにより、保健師10に無用な事例データの表示が表示対象から除外される。
【0046】
事例データを除外すると、表示部125は事例データの一覧を表示する(ステップS6)。これにより、ユーザ端末11には事例データの一覧を含む事例表示画面が出現する。例えば、保健師10に介入手段「間食をやめる」が定着しているにも関わらず、この介入手段を含む事例データが除外されていなければ、図10(a)に示すように、比較例では介入手段「間食をやめる」を含む事例データが出現する。このように、保健師10に介入手段「間食をやめる」が定着しているにも関わらず、この介入手段を含む無用な事例データが出現すると、保健師10の介入スキルの向上に繋がらない可能性がある。
【0047】
しかしながら、図10(b)に示すように、実施例では介入手段「間食をやめる」を含む事例データは除外される。すなわち、この介入手段を含む事例データはユーザ端末11に出現しない。このように、実施例では無用な事例データの表示が除外され、有用な事例データの表示に限定される。このため、保健師10にまだ定着していない様々な介入手段を含む事例データが提供される。このような事例データの提供は保健師10の介入スキルの向上に繋がり、結果的に、保健師10の介入スキル定着に向けた成長を促すことができる。
【0048】
事例データの一覧を表示すると、図8に示すように、登録部126は詳細表示指示を受け付ける(ステップS7)。より詳しくは、図10(b)に示すように、事例表示画面に含まれる各事例データに関連付けられた表示ボタン14のいずれかがポインタPTで押下されると、登録部126は詳細表示指示を受け付ける。詳細表示指示を受け付けると、登録部126は事例データの詳細を表示する(ステップS8)。より詳しくは、登録部126はポインタPTで押下された表示ボタン14と関連付けられた事例データ(図4参照)をユーザ端末11に表示する。これにより、保健師10はポインタPTで押下された表示ボタン14と関連付けられた事例データに含まれる従業員20の発言、客観的情報やデータなどを確認することができる。
【0049】
事例データの詳細を表示すると、登録部126はその事例データを登録し(ステップS9)、処理を終了する。より詳しくは、登録部126は詳細を表示した事例データの事例IDをユーザIDと対象者IDの組合せに関連付けて閲覧履歴データの閲覧事例IDの項目に登録する。これにより、閲覧履歴データにユーザIDと対象者IDと事例IDの組合せが蓄積される。
【0050】
次に、図11を参照して、上述した定着判断処理の詳細について説明する。
【0051】
まず、判断部123は介入手段を取得する(ステップS11)。より詳しくは、判断部123は、検索部122が出力した事例データと実施状況記憶部113が記憶する実施状況データの介入手段とに基づいて、介入手段を取得する。例えば、判断部123は、実施状況データに登録されている介入手段の中から一つ取得する。
【0052】
介入手段を取得すると、判断部123はその介入手段に関連づけられた変数X,Y,Zを取得する(ステップS12)。より詳しくは、判断部123は実施状況記憶部113にアクセスし、実施状況記憶部113が記憶する実施状況データの中から、取得した介入手段に対応する変数X,Y,Zを介入手段ごとに取得する。
【0053】
変数X,Y,Zを取得すると、判断部123はX-Y>Nか否かを判断する(ステップS13)。判断部123はY÷X<Kか否かを判断してもよい。すなわち、判断部123は参照割合(Y/X)が閾値割合K未満か否かを判断してもよい。X-Y>Nの場合(ステップS13:YES)、判断部123はZで成功が3回か否かを判断する(ステップS14)。すなわち、ステップS13の処理で事例データを参照していないことが多い場合、ステップS14の処理で事例データを参照しないでも複数回介入が成功しているか否かを判断する。なお、判断部123が判断する成功の回数は3回に限定されず、適宜変更してもよい。
【0054】
Zで成功が3回である場合(ステップS14:YES)、判断部123は処理対象の介入手段について定着と判断する(ステップS15)。すなわち、事例データを参照せずに保健師10が従業員20に対して複数回の介入に成功している場合、処理対象の介入手段が保健師10に定着していると判断する。
【0055】
一方、Zで成功が3回でない場合(ステップS14:NO)、判断部123は処理対象の介入手段について未定着と判断する(ステップS16)。すなわち、事例データを参照していないが、介入に失敗している場合もあるため、処理対象の介入手段が保健師10に定着していないと判断する。
【0056】
ステップS13の処理において、X-Y≦Nの場合(ステップS13:NO)、判断部123はX-Y>0か否かを判断する(ステップS17)。すなわち、ステップS13の処理において、事例データを参照していることが多い場合、常に事例データを参照して介入を実施しているか否かを判断する。X-Y>0の場合(ステップS17:YES)、判断部123はステップS16の処理を実行する。すなわち、事例データを参照して介入手段を実施したことがある場合、定着への移行中であると想定されるため、判断部123は未定着であると判断する。
【0057】
一方、X-Y=0の場合(ステップS17:NO)、判断部123はX>0か否かを判断する(ステップS18)。すなわち、判断部123は事例データを参照して処理対象の介入を実施しているか否かを判断する。X>0の場合(ステップS18:YES)、判断部123はステップS16の処理を実行する。すなわち、事例データを参照して介入を実施している場合、判断部123は未定着であると判断する。一方、X=0の場合(ステップS18:NO)、判断部123はその介入手段を実施していない未実施であると判断する(ステップS19)。
【0058】
ステップS15,S16,S19の判断の処理が終了すると、すべての介入手段について判断の処理が済んだか判断する(ステップS20)。これらの判断の処理が済んでいない介入手段がある場合(ステップS20:NO)、ステップS11の処理に戻り、これらの判断の処理が済んでいない残りの介入手段について同様に判断の処理を行う。すべての介入手段について判断の処理が済んだ場合(ステップS20:YES)、定着判断処理を終了する。このように、判断部123が定着判断処理を終了すると、判断部123は保健師10に定着した介入手段を含むリストを出力する。なお、判断部123は保健師10に定着していない未定着の介入手段や未実施の介入手段をこのリストに含めてもよい。
【0059】
次に、図12を参照して、事例提供サーバ100の面談後の動作について説明する。
【0060】
認証部121はユーザ認証を実行する(ステップS21)。例えば、面談前の場合と同様に、保健師10がユーザ端末11を操作して事例提供サーバ100にアクセスすると、認証部121はユーザ端末11に事例提供システムログイン画面を表示する(図9(a)参照)。保健師10がユーザID「AAA」とパスワード「********」を入力して、OKボタン12をポインタPTにより押下すると、認証部121はユーザ認証を開始する。認証部121がユーザ認証に成功すると、登録部126は、対象者IDを入力する入力欄を含む所定の第1入力画面(不図示)をユーザ端末11に表示する。
【0061】
保健師10が例えば対象者ID「15342」を入力すると、検索部122は対象者IDを受信し、受信した対象者IDに基づいて、従業員情報を記憶する従業員情報記憶部(不図示)を検索する(ステップS22)。従業員情報は、従業員20の識別子のほか、従業員20の属性に関するデータ、健康に関するデータ、ヘルスチェックシートなどを含んでいる。検索部122は、対象者IDに応じた従業員情報を取得できた場合、所定の第2入力画面(不図示)をユーザ端末11に表示する。
【0062】
第2入力画面は、取得した従業員情報の属性に関するデータ、健康に関するデータ、ヘルスチェックシートと、面談結果を入力する複数の入力欄とを含んでいる。複数の入力欄は、例えば従業員20の発言を入力する第1入力欄、客観的な情報やデータを入力する第2入力欄、保健師10の分析や判断を入力する第3入力欄、今後の方針を入力する第4入力欄を含んでいる。
【0063】
保健師10が第4入力欄に例えば「ガムを噛んで間食をやめることを行動目標として合意」といった内容を入力すると、検索部122はこの内容を含む面談結果を受信し(ステップS23)、面談結果から介入手段を抽出する(ステップS24)。より詳しくは、検索部122は、介入手段を表すキーワードと所定の公知技術(例えばテキストマッチングやテキストマイニングなど)とに基づいて、この面談結果に含まれる内容から介入手段とその成否を抽出する。例えば、検索部122は第4入力欄に入力された「ガムを噛んで間食をやめることを行動目標として合意」といった内容から、介入手段「間食をやめる」とその成否「合意」を抽出する。
【0064】
介入手段を抽出すると、検索部122は事例データを検索する(ステップS25)。より詳しくは、検索部122は閲覧履歴記憶部112にアクセスし、閲覧履歴データ(図5参照)の中から対象者ID「15342」に対して詳細情報を閲覧した閲覧事例IDを取得する。そして、検索部122は取得した閲覧事例IDと同じ事例IDが付与された事例データを事例記憶部111から取得し、抽出した介入手段を含む事例データを検索する。
【0065】
事例データを検索すると、検索部122は抽出した介入手段を含む事例データを発見したか否かを判断する(ステップS26)。すなわち、検索部122はその事例データは面談前に参照されたか否かを判断する。事例データを発見した場合(ステップS26:YES)、登録部126は実施状況第1更新処理を実行し(ステップS27)、処理を終了する。すなわち、その事例データが面談前に参照されていた場合、登録部126は実施状況第1更新処理として実施状況データの変数X及び変数Yの両方をインクリメントする。これにより、実施回数と参照回数の両方に数値「1」が加算される。
【0066】
一方、事例データを発見しなかった場合(ステップS26:NO)、検索部122はすべての閲覧事例IDを調査済か否かを判断する(ステップS28)。すべての閲覧事例IDの調査が済んでない場合(ステップS28:NO)、検索部122はステップS25の処理を再び実行する。この場合、検索部122は図5の閲覧履歴データの対象者ID「15342」の残りの閲覧事例IDを取得する。検索部122は取得した閲覧事例IDと同じ事例IDが付与された事例データを事例記憶部111から取得して、抽出した介入手段を含む事例データを検索し、事例データを発見したか否かを判断することを、調査が済んでいない閲覧事例IDがなくなるまで繰り返す。そして、ステップS26の処理において事例データを発見せず、すべての閲覧事例IDの調査が済んだ場合(ステップS28:YES)、登録部126は実施状況第2更新処理を実行し(ステップS29)、処理を終了する。すなわち、その事例データが面談前に参照されていなかった場合、登録部126は実施状況第2更新処理として実施状況データの変数Xを単独でインクリメントする。すなわち、登録部126は変数Yをインクリメントしない。これにより、実施回数にだけ数値「1」が加算される。
【0067】
以上説明したように、第1実施形態によれば、事例提供サーバ100は判断部123と除外部124と表示部125とを備える。判断部123は、保健師10が過去に実施した行動変容を促す一の介入手段に関連付けられた事例データに対する参照割合が閾値割合未満か否かを判断する。除外部124は表示部125が事例データの一覧を含む事例表示画面を表示する際、閾値割合未満と判断した参照割合の事例データの表示を表示対象から除外する。これにより、無用な事例の保健師10への表示を抑制することができる。
【0068】
(第2実施形態)
続いて、図13及び図14を参照して、本件の第2実施形態について説明する。まず、図13に示すように、判断部123には第1実施形態に係る規則情報(図7参照)と異なる規則情報が実装される。また、除外部124は、上述した閾値回数Nや閾値割合Kに加え、介入手段の実施回数に関する別の閾値回数Mに基づいて、介入手段の未定着を分類する。表示部125は分類された事例データを表示する。これにより、介入手段の未定着が第1実施形態の場合と比べてより詳細に分類されて判断される。
【0069】
以下に、判断ロジックの項目に登録されるロジック情報L11,L12,L13,L14,L15,L16を具体的に記載する。なお、N,Mはいずれも閾値であって、本実施形態ではN=3、M=5を採用するが、N,Mの数値は適宜変更してもよい。
【0070】
ロジック情報L11:X-Y>N かつ Zの直近3回の介入が3回成功
ロジック情報L12:X-Y>N かつ Zの直近3回の介入が3回未満成功
ロジック情報L13:0<X-Y≦N かつ X>0
ロジック情報L14:X-Y=0 かつ 0<X<M
ロジック情報L15:X-Y=0 かつ M≦X かつ Zの直近3回の介入が3回成功
ロジック情報L16:X-Y=0 かつ M≦X かつ Zの直近3回の介入が3回未満成功
【0071】
判断理由の項目には、定着や未定着を判断するための理由情報が登録される。以下に、判断理由の項目に登録される理由情報R11,R12,R13,R14,R15,R16を具体的に記載する。
【0072】
R11:事例データを参照しなくても介入手段を実施できたケースがN回より多くあり、かつ、介入手段が成功している。このため、保健師10に介入手段が定着していると判断できる。
R12:事例データを参照せずに介入手段を実施したが、失敗したケースもあるので定着したとは判断できず、事例データを参照し直す必要がある。このため、保健師10に介入手段がまだ定着していないと判断できる。
R13:事例データを参照しなくても介入手段を実施できると考え、試行中の段階である、定着への移行中である未定着と判断できる。
R14:事例データを参照しており、かつ、その介入手段の実践回数が少ない練習中の未定着と判断できる。
R15:事例データを参照しているが、十分な経験を積んでおり、実質的に介入手段が定着しているといってもよい未定着と判断できる(事例データを参照しなくても介入手段を実施できる可能性が高い(実質OK))。
R16:事例データを参照しているが、失敗が多いため、事例データを正確に読み取れていない読込不足に起因する未定着と判断できる(全くNG)。
【0073】
活用例の項目には、事例データの検索における活用例情報が登録される。以下に、活用例の項目に登録される活用例情報U11,U12,U13,U14,U15,U16を具体的に記載する。
【0074】
U11:保健師10に介入手段が定着しているため、この介入手段を含む事例データの表示を表示対象から除外するか、又は事例データの表示数を低減する。
U12:事例データを参照せずに失敗しているので、この介入手段を含む事例データを表示対象として多く表示する。
U13:事例データを参照しないようにしているため、この介入手段を含む事例データの表示を表示対象から除外するか、又は事例データの表示数を低減する。
U14:事例データを参照する必要があるので、この介入手段を含む事例データを表示対象として多く表示する。
U15:保健師10の成長を促すため、この介入手段を含む事例データを表示対象から除外する。
U16:この介入手段を含む事例データを保健師10に熟読させるため、介入手段が成功した事例データと介入手段が失敗した事例データの両方を表示する。
【0075】
次に、図14を参照して、第2実施形態に係る定着判断処理について説明する。なお、図14において、図11と同一の処理には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。まず、ステップS14の処理において、Zで成功が3回でない場合(ステップS14:NO)、判断部123は処理対象の介入手段について未定着(要参照)と判断する(ステップS31)。すなわち、事例データを参照していないが、介入に失敗している場合もあるため、処理対象の介入手段が保健師10に定着していない未定着(要参照)と判断する。
【0076】
次に、ステップS17の処理において、X-Y>0の場合(ステップS17:YES)、判断部123は処理対象の介入手段について未定着(移行中)と判断する(ステップS32)。すなわち、事例データを参照して介入手段を実施したことがある場合、定着への移行中であると想定されるため、判断部123は未定着(移行中)であると判断する。
【0077】
次に、ステップS18の処理において、X>0の場合(ステップS18:YES)、判断部123はX<Mか否かを判断する(ステップS33)。すなわち、判断部123はまだその介入手段を十分に実施していないか否かを判断する。X<Mの場合(ステップS33:YES)、判断部123は処理対象の介入手段について未定着(練習中)と判断する(ステップS34)。すなわち、判断部123はまだその介入手段を十分に実施していないと判断し、未定着(練習中)であると判断する。
【0078】
一方、X≧Mの場合(ステップS33:NO)、判断部123はZで成功が3回か否かを判断する(ステップS35)。すなわち、その介入手段を十分に実施していると判断した場合、判断部123はその介入手段は何度も実施し、かつ、成功しているか否かを判断する。Zで成功が3回である場合(ステップS35:YES)、判断部123は処理対象の介入手段について未定着(実質OK)と判断する(ステップS36)。すなわち、その介入手段は何度も実施し、かつ、成功している場合、判断部123は処理対象の介入手段が保健師10に実質的に定着している未定着(実質OK)と判断する。
【0079】
一方、Zで成功が3回でない場合(ステップS35:NO)、判断部123は処理対象の介入手段について未定着(全くNG)と判断する(ステップS37)。すなわち、その介入手段は何度も実施しているが失敗もあるため、判断部123は処理対象の介入手段が保健師10に定着していない未定着(全くNG)と判断する。このように、第2実施形態よれば、事例提供サーバ100は介入手段の未定着を第1実施形態の場合と比べてより詳細に分類して判断することができる。この結果、保健師10にまだ定着していない介入手段の未定着理由を容易に特定することができる。
【0080】
(第3実施形態)
続いて、図15を参照して、本件の第3実施形態について説明する。上述した実施形態では、閾値であるNを固定値として説明したが、この固定値を所定の算出式を利用して適応的に決定するようにしてもよい。これにより、保健師10に介入手段が定着しているか否かの判断精度を向上させることができる。
【0081】
例えば上述した第1実施形態では、変数Zについて直近3回の介入成否に限定したが(図6参照)、図15に示すように、第3実施形態では過去の実施に対する全て介入成否が蓄積される。例えば、介入手段「腹八分目にする」について、変数Zについて、過去の実施に対する全て介入成否が蓄積される。
【0082】
判断部123は、このような変数Zに基づいて、成功率Pを算出し、算出した成功率Pと以下の算出式を利用して、閾値であるNを決定する。
算出式:N=(int){(1-P)×10}+N
ここで、成功率Pは対象の介入手段における変数Zの総数に対する成功回数を表している。intは整数を返す関数を表している。Nは初期の閾値を表しており、本実施形態では例えばN=3といった固定値を採用することができる。
【0083】
これにより、例えば変数Zの総数が10回であり、成功回数が10回である場合、成功率P=1となり、N=N(=3)となる。すなわち、成功率Pが高い場合、その介入手段のバリエーションが増加していると想定されるため、定着判断の閾値であるNが3回となる。逆に、変数Zの総数が10回であり、成功回数が1回である場合、成功率P=0.1となり、N=9+Nとなる。すなわち、成功率Pが低い場合、その介入手段のバリエーションが増加していないと想定され、定着の判断に慎重を期すため、定着判断の閾値であるNが12回となる。
【0084】
このように、第3実施形態によれば、閾値であるNが適応的に決定される。このため、保健師10に介入手段が定着しているか否かの判断精度を上述した実施形態に比べて向上させることができる。なお、閾値割合であるKについても同様の手法により適応的に決定してもよい。
【0085】
(第4実施形態)
次に、図16を参照して、本件の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、図16に示すように、変数X,Y,Zのそれぞれの利用が直近T回(例えば3回)の実施状況に制限される。すなわち、直近T回より過去の変数X,Y,Zの利用が中止される。なお、図16に示す変数Xのかっこ内の数値に関し、数値「1」は実施を表し、記号「-」は未実施を表している。また、変数Yのかっこ内の数値に関し、数値「0」は参照せずに実施を表し、数値「1」は参照して実施を表し、記号「-」は未実施を表している。
【0086】
上述した実施形態の場合、実施経験が多いベテランの保健師10と実施経験の浅い新人の保健師10との間には実施回数に差があり、定着判断に影響を及ぼす可能性があると想定される。しかしながら、第4実施形態によれば、直近T回より過去の変数X,Y,Zの利用が中止されるため、直近の実施状況に基づいた定着判断を行うことができる。これにより、実施経験が多いベテランの保健師10と実施経験の浅い新人の保健師10であっても、定着判断のばらつきを回避することができる。
【0087】
(第5実施形態)
次に、図17を参照して、本件の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、図17に示すように、第1実施形態で説明した実施状況データ(図6参照)に介入手段のバリエーションの項目と実施状況の項目が追加されている。介入手段の項目には、事例データ(図4参照)の頭文字「P」の欄に入力された文字列の一部が上述した所定の公知技術などを利用して登録される。
【0088】
例えば、上述したように、事例データ(図4参照)の頭文字「P」の欄に「ガムを噛んで間食をやめることを行動目標として合意」が文字列として入力されている。この場合、登録部126は事例記憶部111の事例データから当該文字列を取得し、介入手段「間食をやめる」の前に位置する一部の文字列「ガムを噛んで」を「ガムを噛む」の文字列に加工し、介入手段のバリエーションの項目に登録する。文字列の加工は例えば公知の辞書情報などを利用すればよい。そして、登録部126は介入手段「ガムを噛んで間食をやめる」が実施されていれば、実施したことを表す数値「1」を関連付ける。逆に、登録部126は介入手段「ガムを噛んで間食をやめる」が実施されていなければ、まだ実施していないことを表す数値「0」を関連付ける。
【0089】
表示部125は、事例データの一覧を表示する際、実施状況の項目に登録された数値に基づいて、事例データの一覧を表示する。例えば、表示部125は、数値「0」が関連付けられた事例データを数値「1」が関連付けられた事例データに優先して表示する。これにより、保健師10が実施したことがない介入手段を含む事例データが表示され、保健師10の介入手段のバリエーションが増加し、介入スキルの向上に繋げることができる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、事例提供サーバ100が有する各機能は、処理負荷や機能などに基づいて、複数のサーバに分散してもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 保健師
20 従業員
100 事例提供サーバ
111 事例記憶部
112 閲覧履歴記憶部
113 実施状況記憶部
123 判断部
124 除外部
125 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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