(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084360
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】材料開発支援装置、材料開発支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16C 60/00 20190101AFI20240618BHJP
【FI】
G16C60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198592
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】中川 理夢
(57)【要約】
【課題】精度よく材料の特性を予測するためのパラメータを得ることができる材料開発支援装置を提供すること。
【解決手段】材料の特性を予測するためのパラメータを算出するパラメータ算出部と、算出したパラメータから生成したハミルトニアンをアニーリングマシンに設定するハミルトニアン設定部と、ハミルトニアンを設定したアニーリングマシンから基底状態を取得する基底状態取得部と、基底状態から材料の構成を算出する材料構成算出部と、算出した構成の材料の特性が、所望の範囲内か否かを判定する特性確認部とを備え、パラメータ算出部は、特性確認部が、算出した構成の材料の特性が所望の範囲内にないと判定したときに、少なくとも算出した構成を用いて、材料の特性を予測するためのパラメータの更新を行う、材料開発支援装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の特性を予測するためのパラメータを算出するパラメータ算出部と、
前記パラメータから生成したハミルトニアンをアニーリングマシンに設定するハミルトニアン設定部と、
前記ハミルトニアンを設定したアニーリングマシンから基底状態を取得する基底状態取得部と、
前記基底状態から材料の構成を算出する材料構成算出部と、
前記構成の材料の特性が、所望の範囲内か否かを判定する特性確認部と
を備え、
前記パラメータ算出部は、前記特性確認部が、前記構成の材料の特性が前記所望の範囲内にないと判定したときに、少なくとも前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行う、
材料開発支援装置。
【請求項2】
前記特性確認部は、前記構成の材料の特性として、前記構成の材料を測定あるいはシミュレーションした値を取得する、請求項1に記載の材料開発支援装置。
【請求項3】
前記パラメータ算出部は、前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行う際に、前記構成に対応する特性として、前記構成の材料を測定あるいはシミュレーションして得られた特性を用いる、請求項2に記載の材料開発支援装置。
【請求項4】
前記特性確認部は、前記構成の材料の特性を、前記構成および前記パラメータを用いて算出する、請求項1に記載の材料開発支援装置。
【請求項5】
前記パラメータ算出部は、前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行う際に、前記構成に対応する特性として、更新前の前記パラメータを用いて算出された特性を用いる、請求項4に記載の材料開発支援装置。
【請求項6】
材料の特性を予測するためのパラメータを算出するステップと、
前記パラメータから生成したハミルトニアンをアニーリングマシンに設定するステップと、
前記ハミルトニアンを設定したアニーリングマシンから基底状態を取得するステップと、
前記基底状態から材料の構成を算出するステップと、
前記構成の材料の特性が、所望の範囲内か否かを判定するステップと、
前記構成の材料の特性が前記所望の範囲内にないと判定したときに、少なくとも前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行うステップと
を有する材料開発支援方法。
【請求項7】
コンピュータを、
材料の特性を予測するためのパラメータを算出するパラメータ算出部、
前記パラメータから生成したハミルトニアンをアニーリングマシンに設定するハミルトニアン設定部、
前記ハミルトニアンを設定したアニーリングマシンから基底状態を取得する基底状態取得部、
前記基底状態から材料の構成を算出する材料構成算出部、
前記構成の材料の特性が、所望の範囲内か否かを判定する特性確認部
として機能させるためのプログラムであって、
前記パラメータ算出部は、前記特性確認部が、前記構成の材料の特性が前記所望の範囲内にないと判定したときに、少なくとも前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行う、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料開発支援装置、材料開発支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の材料開発のプロセスでは、人(材料開発の担当者)の知識と経験に基づき、原材料を選定・設計し、生成した材料の特性を測定・評価している。しかし、原材料の選定・設計が多数のパターンになると、膨大な時間を要する。そこで、材料開発の効率・精度を向上させる取り組みとして、コンピュータ上のシミュレーションにより、最適な特性を示す材料の探索が行われている。このコンピュータ上のシミュレーションに、アニーリングマシンを用いることが考えられる。
また、ハミルトニアンのパラメータを機械学習により算出することで、アニーリングマシンを容易に使えるようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、機械学習により算出されたハミルトニアンのパラメータを用いる技術においては、十分な精度で、材料の特性を予測することができるとは限らないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、精度よく材料の特性を予測するためのパラメータを得ることができる材料開発支援装置、材料開発支援方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、材料の特性を予測するためのパラメータを算出するパラメータ算出部と、前記パラメータから生成したハミルトニアンをアニーリングマシンに設定するハミルトニアン設定部と、前記ハミルトニアンを設定したアニーリングマシンから基底状態を取得する基底状態取得部と、前記基底状態から材料の構成を算出する材料構成算出部と、前記構成の材料の特性が、所望の範囲内か否かを判定する特性確認部とを備え、前記パラメータ算出部は、前記特性確認部が、前記構成の材料の特性が前記所望の範囲内にないと判定したときに、少なくとも前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行う、材料開発支援装置である。
【0007】
また、本発明の他の一態様は、上述した材料開発支援装置であって、前記特性確認部は、前記構成の材料の特性として、前記構成の材料を測定あるいはシミュレーションした値を取得する。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、上述した材料開発支援装置であって、前記パラメータ算出部は、前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行う際に、前記構成に対応する特性として、前記構成の材料あるいはシミュレーションを測定して得られた特性を用いる。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上述した材料開発支援装置であって、前記特性確認部は、前記構成の材料の特性を、前記構成および前記パラメータを用いて算出する。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上述した材料開発支援装置であって、前記パラメータ算出部は、前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行う際に、前記構成に対応する特性として、更新前の前記パラメータを用いて算出された特性を用いる。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、材料の特性を予測するためのパラメータを算出するステップと、前記パラメータから生成したハミルトニアンをアニーリングマシンに設定するステップと、前記ハミルトニアンを設定したアニーリングマシンから基底状態を取得するステップと、前記基底状態から材料の構成を算出するステップと、前記構成の材料の特性が、所望の範囲内か否かを判定するステップと、前記構成の材料の特性が前記所望の範囲内にないと判定したときに、少なくとも前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行うステップとを有する材料開発支援方法である。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、コンピュータを、材料の特性を予測するためのパラメータを算出するパラメータ算出部、前記パラメータから生成したハミルトニアンをアニーリングマシンに設定するハミルトニアン設定部、前記ハミルトニアンを設定したアニーリングマシンから基底状態を取得する基底状態取得部、前記基底状態から材料の構成を算出する材料構成算出部、前記構成の材料の特性が、所望の範囲内か否かを判定する特性確認部として機能させるためのプログラムであって、前記パラメータ算出部は、前記特性確認部が、前記構成の材料の特性が前記所望の範囲内にないと判定したときに、少なくとも前記構成を用いて、前記パラメータの更新を行う、プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、精度よく材料の特性を予測するためのパラメータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施形態による材料開発支援システム10の構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】同実施形態における材料DB300の記憶内容例を示す表である。
【
図3】同実施形態における材料開発支援システム10の動作を説明するシーケンス図である。
【
図4】同実施形態における材料開発支援装置100の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態による材料開発支援システム10の構成を示す概略ブロック図である。材料開発支援システム10は、材料開発支援装置100、アニーリングマシン200、材料DB(Data Base)300を備える。
【0016】
材料開発支援装置100は、所望の特性を指定されると、指定した特性を持つことが期待される材料の構成を提示する。アニーリングマシン200は、量子ゲート方式あるいは量子アニーリング方式の量子コンピュータ、量子インスパイア―ドマシン(シミュレーテッドアニーリングマシン)など、ハミルトニアンの基底状態を算出する装置である。材料DB300は、複数の材料について、各材料の構成と特性とを対応付けたデータセットを記憶する。
【0017】
図2は、本実施形態における材料DB300の記憶内容例を示す表である。
図2の例は、材料DB300が、データセットとして、材料(化合物)の構成と、該材料の特性である光の透過率とを対応付けて記憶する例である。
図2の例では、化合物No.「1」に対応付けて、ベンゼン「1」、メチル基「0」、エチル基「0」、ヒドロキシ基「1」、カルボニル基「0」、・・・、透過率「96.8%」を記憶している。また、化合物No.「2」に対応付けて、ベンゼン「1」、メチル基「1」、エチル基「0」、ヒドロキシ基「0」、カルボニル基「1」、・・・、透過率「94.4%」を記憶している。ここで、ベンゼン、メチル基、エチル基、ヒドロキシ基、カルボニル基の各々は、化合物の構成要素であり、その値が「1」であるときは、その構成要素が含まれることを示し、その値が「0」であるときは、その構成要素が含まれないことを示す。なお、ここでは、材料の構成は、構成要素のみとしたが、該化合物を生成する生成条件、構成要素の量などを含んでもよい。
【0018】
図1に戻って、材料開発支援装置100は、パラメータ算出部101、特性指定部102、ハミルトニアン設定部103、基底状態取得部104、材料構成算出部105、特性確認部106を備える。
【0019】
パラメータ算出部101は、材料DB300が記憶するデータセットを用いて、材料の特性を予測するためのパラメータを算出する。ここで、パラメータ算出部101が算出するパラメータは、式(1)のQijである。パラメータの算出には、ベイズ最適化、ブラックボックス最適化など公知の機械学習の手法、あるいは今後提案される機械学習の手法を用いることができる。なお、パラメータ算出部101は、後述するように特性確認部106からの指示に従ったパラメータの更新を行う。
【0020】
【0021】
式(1)において、x0、x1、x2、…xNは、材料DB300が記憶する材料の構成に対応する変数であり、ある材料に、添え字に対応する構成要素が含まれるか否かを示す。xiの値が「1」のときは、iの値に対応する構成要素が、その材料に含まれており、xiの値が「0」のときは、iの値に対応する構成要素が、その材料に含まれていないことを示す。yは、その材料の特性を示す値である。なお、式(1)の右辺には、相互作用の項のみを示したが、ハミルトニアンの磁場に相当する項など、その他の項が含まれていてもよい。
【0022】
特性指定部102は、所望の特性を取得する。この所望の特性は、材料開発支援装置100のオペレータが、キーボード、マウスなどの入力手段を用いて入力したものであってもよいし、他装置から受信したものであってもよい。
【0023】
ハミルトニアン設定部103は、パラメータ算出部101が算出したパラメータQijと、特性指定部102が取得した所望の特性Yとからハミルトニアンを生成し、該ハミルトニアンをアニーリングマシン200に設定する。ここでは、ハミルトニアンHは、式(2)であるが、式(1)と同様に、磁場に相当する項など、その他の項が右辺に含まれていてもよい。なお、xi∈[0,1]のため、式(2)は、厳密にはQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)であるが、x’i∈[-1,1]となるように、x’i=2xi-1を代入することで、イジングモデルに変換できる。なお、ハミルトニアン設定部103は、所望の特性Yを用いず、パラメータ算出部101が算出したパラメータQijから、特性が最小あるいは最大になるようなハミルトニアンを生成し、該ハミルトニアンをアニーリングマシン200に設定してもよい。特性が最小になるようなハミルトニアンは、式(3)であり、特性が最大になるようなハミルトニアンは、式(4)である。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
基底状態取得部104は、ハミルトニアン設定部103によりハミルトニアンが設定されたアニーリングマシン200から、該ハミルトニアンの基底状態(ハミルトニアンを最小化するx0、x1、x2、…xNの値)を取得する。
【0028】
材料構成算出部105は、基底状態取得部104が取得した基底状態から材料の構成を算出する。すなわち、材料構成算出部105は、取得したx0、x1、x2、…xNの値を参照し、値が「1」となっているものに対応する構成要素が、材料の構成に含まれると判定する。
【0029】
特性確認部106は、材料構成算出部105が算出した構成の材料の特性が、特性指定部102が取得した所望の特性を基準とした所望の範囲内か否かを判定する。所望の特性を基準とした範囲は、例えば、所望の特性が透過率[%]であれば、所望の特性の±1%であってもよいし、所望の特性以上であってもよいし、所望の特性以下であってもよい。特性確認部106は、材料構成算出部105が算出した構成の材料の特性が前記所望の特性を基準とした範囲内にないと判定したときは、少なくとも該構成を用いたパラメータの更新を、パラメータ算出部101に行わせる。パラメータ算出部101が、該パラメータの更新の際に、材料DB300が記憶するデータセットに加えて、該構成を用いるようにしてもよい。
【0030】
また、特性確認部106は、材料構成算出部105が算出した構成の材料の特性として、該構成の材料を測定あるいはシミュレーションした値を取得してもよい。この場合、特性確認部106は、該材料の構成と特性とを、材料DB300に記憶させ、データセットに加えるようにしてもよい。さらに、パラメータ算出部101が、材料構成算出部105が算出した構成を用いてパラメータQijの更新を行う際に、該構成に対応する特性として、該構成の材料を測定して得られた特性が用いられるようにしてもよい。また、特性確認部106は、材料のシミュレーションを行って特性の値を取得してもよいし、他装置が行った測定あるいはシミュレーションの結果を受信してもよいし、測定あるいはシミュレーションの結果をオペレータにより入力されてもよい。
【0031】
また、特性確認部106は、材料構成算出部105が算出した構成を提示し、該構成の材料の特性が、測定あるいはシミュレーションの結果、所望の範囲内であったか否かを、オペレータにより入力されてもよい。あるいは、特性確認部106は、材料構成算出部105が算出した構成の材料のシミュレーションを行って得られた特性の値を提示し、該値が所望の範囲内であったか否かを、オペレータにより入力されてもよい。
【0032】
また、特性確認部106は、材料構成算出部105が算出した構成の材料の特性を、材料構成算出部105が算出した構成と、パラメータ算出部101が算出したパラメータを用いて算出してもよい。この場合、特性確認部106は、該材料の構成と特性とを、材料DB300に記憶させ、データセットに加えるようにしてもよい。さらに、パラメータ算出部101が、材料構成算出部105が算出した構成を用いてパラメータQijの更新を行う際に、該構成に対応する特性として、更新前のパラメータQijを用いて算出された特性が用いられるようにしてもよい。
【0033】
図3は、本実施形態における材料開発支援システム10の動作を説明するシーケンス図である。まず、材料開発支援装置100は、材料DB300からデータセットSa1を取得し、パラメータQ
ijを算出する。次に、材料開発支援装置100は、所望の特性Sa2を、他装置から受信する、あるいはオペレータにより入力される。材料開発支援装置100は、算出したパラメータQ
ijと、所望の特性とから生成したハミルトニアンSa3を、アニーリングマシン200に設定する。
【0034】
材料開発支援装置100は、設定したハミルトニアンSa3の基底状態Sa4を、アニーリングマシン200から取得する。材料開発支援装置100は、取得した基底状態Sa4から算出した材料の構成Sa5を、他装置に送信する、あるいはオペレータに提示する。材料開発支援装置100は、材料の構成Sa5に対応する材料の特性Sa6を、他装置から受信する、あるいはオペレータにより入力される。なお、材料開発支援装置100が、材料の構成Sa5に基づきシミュレーションを行い、材料の特性Sa6を算出してもよい。
【0035】
材料開発支援装置100は、材料の構成と特性Sa7を、材料DB300に記憶させる。この材料の構成と特性Sa7は、材料の構成Sa5と特性Sa6である。材料開発支援装置100は、材料の特性Sa6が、所望の特性Sa2を基準とした範囲内にないときは、最初に戻って、材料DB300からデータセットSa1を取得し、パラメータQijを更新する。
【0036】
図4は、本実施形態における材料開発支援装置100の動作を説明するフローチャートである。材料開発支援装置100は、材料DB300からデータセットを読み出す(ステップSb1)。次に、材料開発支援装置100は、ステップSb1で読み出したデータセットを用いて、パラメータQ
ijを算出する(ステップSb2)。次に、材料開発支援装置100は、所望の特性を取得する(ステップSb3)。
【0037】
次に、材料開発支援装置100は、ステップSb2で算出したパラメータQij、ステップSb3で取得した所望の特性を用いてハミルトニアンを生成し、アニーリングマシン200に設定する(ステップSb4)。次に、材料開発支援装置100は、アニーリングマシン200から基底状態を取得し、該基底状態が示す材料の構成を算出する(ステップSb5)。
【0038】
次に、材料開発支援装置100は、ステップSb5で算出した材料の構成を、他装置に送信する、あるいはオペレータに提示する(ステップSb6)。次に、材料開発支援装置100は、ステップSb6で提示した材料の構成に対応する材料の特性を、他装置から受信する、あるいはオペレータにより入力される(ステップSb7)。材料開発支援装置100は、ステップSb7で受信したあるいは入力された該材料の特性を、材料DB300が記憶するデータセットに追加する(ステップSb8)。次に、材料開発支援装置100は、該特性が、ステップSb3で取得した所望の特性を基準とした範囲内であるか否かを判定する(ステップSb9)。範囲内でなければ(ステップSb9-No)、材料開発支援装置100は、ステップSb1に戻る。範囲内であれば(ステップSb9-Yes)、材料開発支援装置100は、処理を終了する。
【0039】
上述の実施形態において、材料の構成要素は、化合物構造、元素、分子、材料品名などであってもよい。特性は、収率、光学特性、物理特性、化学特性、その他の特性であってもよい。
また、アニーリングマシン200は、材料開発支援装置100が備えていてもよい。
【0040】
このように、本実施形態における材料開発支援装置、材料の特性を予測するためのパラメータを算出するパラメータ算出部101と、所望の特性を取得する特性指定部102と、パラメータと、所望の特性とから生成したハミルトニアンをアニーリングマシン200に設定するハミルトニアン設定部103と、ハミルトニアンを設定したアニーリングマシン200から基底状態を取得する基底状態取得部104と、基底状態から材料の構成を算出する材料構成算出部105と、材料構成算出部105が算出した構成の材料の特性が、所望の特性を基準とした範囲内か否かを判定する特性確認部106とを備え、パラメータ算出部101は、特性確認部106が、材料構成算出部105が算出した構成の材料の特性が所望の特性を基準とした範囲内にないと判定したときに、少なくとも該構成を用いて、パラメータの更新を行う。
これにより、特性の予測が十分でなかった構成を用いてパラメータの更新を行うことができるので、精度よく材料の特性を予測するためのパラメータを得ることができる。
【0041】
また、
図1における材料開発支援装置100の各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより材料開発支援装置100を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0042】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0043】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0044】
10 材料開発支援システム
100 材料開発支援装置
101 パラメータ算出部
102 特性指定部
103 ハミルトニアン設定部
104 基底状態取得部
105 材料構成算出部
106 特性確認部
200 アニーリングマシン
300 材料DB