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特開2024-84361情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084361
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 11/32 20060101AFI20240618BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G05B11/32 C
G05B13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198596
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大井 章弘
(72)【発明者】
【氏名】増田 士朗
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA30
5H004GB01
5H004GB04
5H004HA02
5H004HA03
5H004HB02
5H004HB03
5H004KB02
5H004KB04
5H004KB39
5H004KC01
5H004KC33
5H004LA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カスケード制御系において用いられる制御パラメータを容易に調整することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び前記第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部と、第2制御部と、を備えるカスケード制御系の前記第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理装置であって、前記第1制御対象の第1モデルと、前記第2制御対象の第2モデルと、前記第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、前記第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含む前記カスケード制御系を模擬したカスケードモデルを用いて、前記第1目標値と、前記第1制御量の計算値とに基づく評価関数を立式する立式部と、前記評価関数の値が改善するよう、前記第1及び第2制御パラメータを更新する更新部とを含む情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び前記第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部と、
前記第2目標値及び前記第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる前記第2制御対象の第2操作量を、前記第2制御対象に出力する第2制御部と、
を備えるカスケード制御系の前記第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理装置であって、
前記第1制御対象の第1モデルと、前記第2制御対象の第2モデルと、前記第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、前記第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含む前記カスケード制御系を模擬したカスケードモデルを用いて、前記第1目標値と、前記第1制御量とに基づく評価関数を立式する立式部と、
前記評価関数の値が改善するよう、前記第1及び第2制御パラメータを更新する更新部と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記更新部は、
前記第1制御パラメータを、前記評価関数の前記第1制御パラメータに関する第1勾配に基づいて補正し、前記第2制御パラメータを、前記評価関数の前記第2制御パラメータに関する第2勾配に基づいて補正し、前記第1及び第2制御パラメータを更新する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第1及び第2制御パラメータが更新された際の前記評価関数の値の変動値に基づいて、前記第1及び第2制御パラメータの更新を継続するか終了するかを判定する判定部を更に含む、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記評価関数は、前記第1制御量の計算値の前記第1目標値に対する分散を含む、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第1及び第2制御量の夫々の計算値と、前記第1及び第2制御量の夫々の測定値との第2誤差を最小化する前記第1~第4モデルを推定する推定部を更に含み、
前記第2制御量の計算値は、前記第1目標値を前記カスケードモデルの入力とした場合に得られる前記第2制御量の計算値である、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記推定部は、
前記第2誤差を最小化する前記第1~第4モデルの夫々を示す伝達関数のパラメータを推定する、
情報処理装置。
【請求項7】
第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び前記第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部と、
前記第2目標値及び前記第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる前記第2制御対象の第2操作量を、前記第2制御対象に出力する第2制御部と、
を備えるカスケード制御系の前記第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理方法であって、
情報処理装置が、
前記第1制御対象の第1モデルと、前記第2制御対象の第2モデルと、前記第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、前記第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含む前記カスケード制御系を模擬したカスケードモデルを用いて、前記第1目標値と、前記第1制御量とに基づく評価関数を立式するステップと、
前記評価関数の値が改善するよう、前記第1及び第2制御パラメータを更新するステップ、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び前記第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部と、
前記第2目標値及び前記第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる前記第2制御対象の第2操作量を、前記第2制御対象に出力する第2制御部と、
を備えるカスケード制御系の前記第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記第1制御対象の第1モデルと、前記第2制御対象の第2モデルと、前記第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、前記第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含む前記カスケード制御系を模擬したカスケードモデルを用いて、前記第1目標値と、前記第1制御量とに基づく評価関数を立式する立式部と、
前記評価関数の値が改善するよう、前記第1及び第2制御パラメータを更新する更新部と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のフィードバック制御ループを有するカスケード制御系において、複数の制御対象のそれぞれを制御するコントローラの制御パラメータを調整する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カスケード制御系において、マスタ側及びスレーブ側制御対象をそれぞれ制御するマスタ側及びスレーブ側コントローラのPIDパラメータを、オートチューニングにより求める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012―089004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、制御対象の通常の運用においては用いられない特別の信号を用いてPIDパラメータを調整する。このことから、特許文献1に記載された発明においては、手順が煩雑になり、利用者への負担が大きくなる場合がある。
【0006】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、カスケード制御系において用いられる制御パラメータを容易に調整することが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一の発明は、第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び前記第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部と、前記第2目標値及び前記第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる前記第2制御対象の第2操作量を、前記第2制御対象に出力する第2制御部と、を備えるカスケード制御系の前記第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理装置であって、前記第1制御対象の第1モデルと、前記第2制御対象の第2モデルと、前記第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、前記第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含む前記カスケード制御系を模擬したカスケードモデルを用いて、前記第1目標値と、前記第1制御量とに基づく評価関数を立式する立式部と、前記評価関数の値が改善するよう、前記第1及び第2制御パラメータを更新する更新部と、を含む情報処理装置である。
【0008】
また、第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び前記第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部と、前記第2目標値及び前記第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる前記第2制御対象の第2操作量を、前記第2制御対象に出力する第2制御部と、を備えるカスケード制御系の前記第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理方法であって、情報処理装置が、前記第1制御対象の第1モデルと、前記第2制御対象の第2モデルと、前記第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、前記第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含む前記カスケード制御系を模擬したカスケードモデルを用いて、前記第1目標値と、前記第1制御量とに基づく評価関数を立式するステップと、前記評価関数の値が改善するよう、前記第1及び第2制御パラメータを更新するステップ、を含む情報処理方法である。
【0009】
また、第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び前記第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部と、前記第2目標値及び前記第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる前記第2制御対象の第2操作量を、前記第2制御対象に出力する第2制御部と、を備えるカスケード制御系の前記第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記第1制御対象の第1モデルと、前記第2制御対象の第2モデルと、前記第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、前記第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含む前記カスケード制御系を模擬したカスケードモデルを用いて、前記第1目標値と、前記第1制御量とに基づく評価関数を立式する立式部と、前記評価関数の値が改善するよう、前記第1及び第2制御パラメータを更新する更新部414と、を実現させる情報処理プログラムである。本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カスケード制御系において用いられる制御パラメータを容易に調整することが可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の制御システム1の一例を説明する図である。
図2】実施形態のカスケードモデルの一例を説明する図である。
図3】情報処理装置4のハードウェア構成を説明する図である。
図4】情報処理装置4の機能ブロックを示す図である。
図5】制御パラメータを調整する処理のフローチャートである。
図6】制御パラメータの更新に伴う評価関数の推移の一例を示す図である。
図7】制御パラメータの更新に伴う制御パラメータの推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
==実施形態==
<<制御システム1>>
制御システム1は、カスケード制御方式により、制御対象であるボイラからタービンに供給される蒸気の圧力を制御するための装置である(詳細は後述)。
【0013】
図1は、本実施形態の制御システム1の構成を説明する図である。制御システム1は、制御装置2と、カスケード制御系3と、情報処理装置4とを備える。以下、それぞれについて説明する。
【0014】
<制御装置2>
制御装置2は、カスケード制御系3に対し、ボイラG1の蒸気の圧力の目標値r(詳細は後述)を出力する。
【0015】
<カスケード制御系3>
カスケード制御系3は、ボイラG1の制御量である蒸気の圧力と、燃料調節弁G2の制御量である流量をフィードバックしつつ、蒸気の圧力が目標値となるよう制御する制御系である。
【0016】
カスケード制御系3は、制御装置30,31と、ボイラG1と、燃料調節弁G2と、圧力センサS1と、流量センサS2と、を備える。
【0017】
なお、ボイラG1は「第1制御対象」の一例であり、流量調節弁G2は「第2制御対象」の一例である。
【0018】
[ボイラG1]
ボイラG1は、配管32(図1)を介して供給された燃料を燃焼させ、密閉された容器G1a内の水を加熱し、沸騰させる。そして、ボイラG1は、容器G1a内の水の蒸気を、配管33(図1)を介してタービン5に供給する。ボイラG1から供給された蒸気の圧力によってタービン5が回転することにより、発電機6が発電する。
【0019】
[燃料調節弁G2]
燃料調節弁G2は、配管32を介してボイラG1に供給される燃料の流量を調節する。燃料調節弁G2は、配管32上に設けられている。詳細は後述するが、燃料調節弁G2は、制御装置31からの操作量uに応じて開度を調整することにより、配管32における燃料の流量を調節する。
【0020】
[圧力センサS1]
圧力センサS1は、配管33を介してボイラG1からタービン5に供給される蒸気の圧力を測定し、制御装置30(後述)に出力する。圧力センサS1は、配管33の所定の位置に設けられている。
【0021】
[流量センサS2]
流量センサS2は、配管32を介してボイラG1に供給される燃料の流量を測定し、制御装置31(後述)に出力する。流量センサS2は、配管32の所定の位置に設けられている。なお、本実施形態では、流量センサS2は燃料調節弁G2の上流側に設けられているが、下流側に設けられても構わない。
【0022】
[制御装置30]
制御装置30は、制御装置2からの蒸気の圧力の目標値r(「第1目標値」に相当)と、圧力センサS1からの蒸気の圧力の測定値yと、を入力とし、操作量u(「第1操作量」に相当)を出力する。制御装置30は、加算器A1と、制御部C1(「第1制御部」に相当)とを備える。
【0023】
加算器A1は、蒸気の圧力の目標値r及び蒸気の圧力yの測定値を入力とし、蒸気の圧力の目標値r及び蒸気の圧力の測定値yの差(r-y)を制御部C1に出力する。なお、蒸気の圧力yの測定値は、後述する圧力センサS1から入力される。
【0024】
制御部C1は、加算器A1からの入力(r-y)と、制御パラメータρ(「第1制御パラメータ」に相当、詳細は後述)とに基づいて得られる操作量uを出力する。なお、制御部C1が実行する演算の詳細については後述する。
【0025】
このとき、制御部C1は、操作量uを、燃料の流量の目標値r(「第2目標値」に相当)として出力する。
【0026】
[制御装置31]
制御装置31は、制御装置30からの燃料の流量の目標値rと、流量センサS2からの流量yの測定値と、を入力とし、流量調節弁G2の操作量u(「第2操作量」に相当)を出力する。制御装置31は、加算器A2と、制御部C2とを備える。
【0027】
加算器A2は、制御部C1からの入力である流量の目標値r及び流量の測定値yを入力とし、目標値r及び測定値yの差(r-y)を制御部C2に出力する。なお、流量の測定値yは、後述する流量センサS2から入力される。
【0028】
制御部C2は、加算器A2からの入力(r-y)と、制御パラメータρ(「第2制御パラメータ」に相当、詳細は後述)とに基づいて得られる操作量uを、燃料調節弁G2に出力する。なお、制御部C2が実行する演算の詳細については後述する。
【0029】
<カスケードモデルMC>
カスケードモデルMCは、図1に示したカスケード制御系3を模擬したモデルである。カスケードモデルMCは、詳細は後述する情報処理装置4が制御パラメータρ,ρを調整する処理において用いられる。そのため、情報処理装置4の説明をする前に、カスケードモデルの説明をする。
【0030】
図2は、カスケードモデルMCの一例を説明する図である。カスケードモデルMCは、制御部C1,C2と、加算器A1,A2,A3,A4と、モデルM1~M4とを含む。
【0031】
先ず、カスケードモデルMCの接続関係及び信号の流れについて説明する。これらの概要の説明の後、各構成要素の詳細について説明する。
【0032】
[カスケードモデルMCの接続関係等]
図2を参照し、カスケードモデルMCの接続関係等について信号の流れに沿って説明する。なお、制御部C1,C2の概要と、加算器A1,A2とについては図1で説明した通りであるため、説明は省略する。
【0033】
先ず、モデルM2(「第2モデル」に相当)は、流量調節弁G2を模擬したモデルである。モデルM2は、制御部C2からの操作量uを入力とする。
【0034】
モデルM4(「第4モデル」に相当)は、流量調節弁G2に加わる外乱を模擬したモデルである。流量調節弁G2に加わる外乱の要因としては、例えば容器G1a内の液面変化や燃料供給量の変動が挙げられる。モデルM4は、所定の白色雑音wを入力とし、流量調節弁G2に加わる外乱vを出力する。
【0035】
加算器A3は、モデルM2の出力と、モデルM4からの外乱vとを入力とし、流量の制御量yを出力する。流量の制御量yは、モデルM1の入力となる。また、流量の制御量yは、加算器A2の入力として、内側ループL2を介してフィードバックされる。
【0036】
モデルM1(「第1モデル」に相当)は、ボイラG1を模擬したモデルである。モデルM1は、加算器A3からの流量の制御量yを入力とする。
【0037】
モデルM3(「第3モデル」に相当)は、ボイラG1に加わる外乱を模擬したモデルである。ボイラG1に加わる外乱の要因としては、例えばタービン5の負荷変化等が挙げられる。モデルM3は、白色雑音wを入力とし、ボイラG1に加わる外乱vを出力する。
【0038】
加算器A4は、モデルM1の出力と、モデルM3からの外乱vとを入力とし、圧力の制御量yを出力する。圧力の制御量yは、加算器A1の入力として、外側ループL1を介してフィードバックされる。
【0039】
[カスケードモデルMCの各構成要素]
以下では、特にカスケードモデルMCの各構成要素が実行する演算について説明する。
【0040】
・制御部C1,C2
制御部C1,C2は、本実施形態では、比例要素及び積分要素を含む所謂PI制御を実行する。具体的には、制御部C1,C2は、それぞれに入力された目標値rと制御量y(下付きの「i」は、1または2であり、以下の説明において同じである)に対して、以下の演算を施す。
【0041】
【数1】

ここで、qは離散化された時間についての進み演算子である(以下、同じ)。また、右辺のρは制御パラメータであり、φは基底ベクトルである。これらは下記の2式で表わされる。
【0042】
【数2】

【数3】
【0043】
数2において、右辺のρ は比例要素についての制御パラメータであり、ρ は積分要素についての制御パラメータである。つまり、本実施形態では制御パラメータは、ρ 、ρ 、ρ 及びρ の4個である。
【0044】
また、数3において、右辺の1は比例要素として作用し、(q-1)-1は積分要素として作用する。
【0045】
後述する本実施形態の情報処理装置4は、制御パラメータρ 、ρ 、ρ 及びρ を調整する装置である。
【0046】
・モデルM1,M2
モデルM1,M2は伝達関数であり、それぞれG(q),G(q)と表わされる(図2)。伝達関数G(q)は、一般に下記の式で表わされる(「i」は、1又は2)。
【0047】
【数4】

ここで、右辺の分母及び分子は、q-1に関する複数次の多項式である。ai1~aik及びbi0~bilは、q-1の各次数の係数である。分母及び分子の最高次の次数k及びlは、所定の整数である。
【0048】
・モデルM3,M4
モデルM3,M4は伝達関数であり、それぞれH(q),H(q)と表わされる(図2)。伝達関数H(q)及びH(q)は、一般に下記式で表わされる(「i」は、1又は2)。
【数5】

ここで、右辺の分母及び分子は、q-1に関する複数次の多項式である。ci1~cim及びdi1~dinは、q-1の各次数の係数である。分母及び分子の最高次の次数m及びnは、所定の整数である。
【0049】
モデルM1,M2における係数ai1~aik及びbi0~bil(数4)と、モデルM3,M4における係数ci1~cim及びdi1~din(数5)とは、後述する情報処理装置4の推定部412によって推定される。
【0050】
<情報処理装置4のハードウェア構成>
図3は、本発明の一実施形態である情報処理装置4のハードウェア構成を説明する図である。情報処理装置4は、CPU(Central Processing Unit)400と、メモリ401と、通信装置402と、記憶装置403と、入力装置404と、出力装置405と、記録媒体読取装置406とを有するコンピュータである。
【0051】
[CPU400]
CPU400は、メモリ401や記憶装置403に記憶された情報処理プログラムを実行することにより、情報処理装置4が有する様々な機能を実現する。
【0052】
[メモリ401]
メモリ401は、例えばRAM(Random-Access Memory)等であり、様々なプログラムやデータ等の一時的な記憶領域として用いられる。
【0053】
[通信装置402]
通信装置402は、ネットワークを介して、他のコンピュータと各種プログラムやデータの受け渡しを行う。
【0054】
[記憶装置403]
記憶装置403は、CPU400によって、実行または処理される各種データを格納する非一時的な(例えば不揮発性の)記憶装置である。
【0055】
[入力装置404]
入力装置404は、ユーザによるコマンドやデータの入力を受け付ける装置であり、キーボード、タッチパネルディスプレイ上でのタッチ位置を検出するタッチセンサなどの入力インタフェースを含む。
【0056】
[出力装置405]
出力装置405は、例えばディスプレイやプリンタなどの装置である。
【0057】
[記録媒体読取装置406]
記録媒体読取装置406は、SDカードやDVD、CDROM等の記録媒体に記録された情報処理プログラム等の様々なデータを読み取り、記憶装置403に格納する。
【0058】
<情報処理装置4の機能ブロック>
情報処置装置は、カスケード制御系3の制御パラメータを更新する装置である。
【0059】
本実施形態の情報処理装置4は、設定部410と、取得部411と、推定部412と、立式部413と、更新部414と、判定部415と、出力部416とを含む。以下、それぞれについて説明する。
【0060】
[設定部410]
設定部410は、制御システム1において制御パラメータρを調整するに際し、更新前の制御パラメータの初期値を設定する。
【0061】
なお、特に断らない限り、制御部C1が用いる制御パラメータρ(数2のi=1)と制御部C2が用いる制御パラメータρ(数2のi=2)とをまとめてρと表記する。
【0062】
制御システム1が既に運用されており、制御パラメータρが設定されている場合は、その値を制御パラメータの初期値とすればよい。
【0063】
また、制御システム1の運用を開始する前や、制御パラメータρが未設定の場合は、制御装置30,31の出荷時の制御パラメータρの値を初期値とすればよい。
【0064】
或いは、制御装置30,31をカスケード制御系3とは別の単一フィードバック制御系にそれぞれ適用し、制御装置30,31に含まれているオートチューニング機能等を用いて取得した値を制御パラメータの初期値とすればよい。
【0065】
[取得部411]
取得部411は、制御システム1の運用時において、圧力の目標値rと、圧力の制御量yと、流量の制御量yとを取得する。
【0066】
具体的には、取得部411は、制御装置2から圧力の目標値rを取得し、圧力センサS1から圧力の制御量yを取得し、流量センサS2から流量の制御量yを取得する。
【0067】
このとき、取得部411は、通常の運用中における制御装置2及びカスケード制御系3から上記の値を取得する。
【0068】
また、取得部411は、所定の期間において所定の時間ステップにて上記の値を取得する。本実施形態では、所定の期間を1時間とし、所定の時間ステップを1秒とする。
【0069】
[推定部412]
推定部412は、モデルM1~M4を推定する。具体的には、推定部412は、モデルM1~M4の夫々を示す伝達関数のパラメータ(数4及び数5)を推定する。
【0070】
なお、数4及び数5に示したモデルM1~M4の夫々を示す伝達関数のパラメータを、次式に示すように、まとめてθとする。
【数6】
【0071】
【0072】
【0073】
圧力及び流量の制御量y,yは、カスケードモデルを用いて、下記式で表わされる。
【数7】
【0074】
ここで、右辺のS、T、S及びTはそれぞれ、外側ループL1の感度関数、外側ループL1の相補感度関数、内側ループL2の感度関数及び内側ループL2の相補感度関数であり、下記の数8~数11で表される。
【数8】

【数9】

【数10】

【数11】
【0075】
数8及び数10の右辺のTは下記式で表される。
【数12】
【0076】
【数13】
【0077】
更に、数12に示した誤差ε,εを用いて、下記式に示す誤差εを定義する。
【数14】
【0078】

【数15】

これによって、推定部412は、モデルM1~M4(数4、数5)を推定することができる。
【0079】
[立式部413]
立式部413は、カスケードモデルMCを用いて、評価関数Jを立式する。評価関数Jは、圧力の目標値rと、圧力の制御量yとに基づく関数であり、次式で表される。
【0080】
【数16】

ここで、右辺のtは、本実施形態では1秒の間隔を置いて離散化された時間である。また、本実施形態では1時間に亘って圧力の制御量yを取得するため、右辺のNは、本実施形態では3600である。
【0081】
また、前述のように、ρは制御パラメータρ及びρをまとめて表記したものである。また、圧力の制御量yは、カスケードモデルMCを用いて下記の式で表される。
【数17】
【0082】
ここで、右辺のS、T及びSの具体的な表記はそれぞれ、数8、数9及び数10に示した。
【0083】
数16に示すように、本実施形態では、評価関数Jは、圧力の制御量yの目標値rに対する分散を含む。
【0084】
なお、立式部413が立式する評価関数Jはこの例に限られるものではない。他の例としては、圧力の制御量yと圧力の目標値rとの差の絶対値の平均であってもよい。
【0085】
[更新部414]
更新部414は、評価関数J(数16)の値が改善するよう、制御パラメータρを更新する。ここで、「評価関数Jの値が改善する」とは、本実施形態では評価関数Jの値が減少することを意味する。つまり、圧力の制御量yと圧力の目標値rとの差が減少することを意味する。
【0086】
具体的には、更新部414は、制御パラメータρを、評価関数Jの制御パラメータρに関する勾配(「第1勾配」に相当)に基づいて補正し、制御パラメータρを、評価関数Jの制御パラメータρに関する勾配(「第2勾配」に相当)に基づいて補正する。
【0087】
更に具体的には、更新部414は、下記式により更新前の制御パラメータρから、更新後の制御パラメータρi+1を得る。
【数18】

ここで、上付の「i」は、制御パラメータρの更新回数を意味する。なお、ここでは1回の更新について説明するが、更新部414が複数回の更新を実行する手順については、後にフローチャートを用いて説明する。
【0088】
数18において、右辺第2項のγは、正の実数であって、所定の微少量である。また、右辺第2項のρに関する微分演算子は、下記式に示すように制御パラメータρ,ρに関する微分演算子をまとめて表記したものである。
【数19】
【0089】
数18のように制御パラメータρを更新することにより、下記式からわかるように、微少量γの一次の範囲で評価関数Jの値が改善するか、更新前の値を維持する。
【数20】
【0090】
数18において、右辺第2項の評価関数Jの制御パラメータρに関する勾配は、数17を用いて、具体的には下記式で表わされる。
【数21】
ここで、w及びwが白色雑音であり、互いに無相関であることを考慮した近似を用いている。つまり、w又はwについて1次の項は0(零)と近似した。
【0091】
数21において、T、S及びSのそれぞれの制御パラメータに関する勾配は、下記の3式で表わされる。
【数22】

【数23】

【数24】
【0092】
数22~数24において、S、S、T、T及びTは、推定部412によって推定されたG、G、H及びHと、これらの関係式(数8~数12)を用いて計算することができる。
【0093】
また、数21において、w又はwについて2次の項は、インパルス応答を用いて計算することができる。以上により、更新部414は、評価関数Jの勾配を計算することができる。
【0094】
[判定部415]
判定部415は、制御パラメータρの更新を継続するか終了するかを判定する。本実施形態では、判定部415は、制御パラメータρが更新された際の評価関数Jの値の変動値に基づいて判定する。
【0095】
具体的には、制御パラメータρの更新によって、更新後の評価関数Jの値と、更新前の評価関数Jの値との差(この差を「改善の度合い」と称する)が所定の閾値未満となった場合(つまり、評価関数Jの値が収束したと判定した場合)、判定部415は、更新を終了すると判定する。他の場合には、判定部415は、更新を継続すると判定する。
【0096】
なお、判定部415が更新を継続するか終了するかを判定する基準は、この例に限られるものではない。他の例としては、判定部415は、制御パラメータρが更新された際の制御パラメータρの値の変動値に基づいて判定してもよい。
【0097】
他の例としては、判定部415は、更新回数が所定回数に達した場合に、更新を終了すると判定してもよい。
【0098】
<<情報処理装置4が実行する処理>>
情報処理装置4が実行する処理について、フローチャートを用いて説明する。図5は、情報処理装置4が制御パラメータρを調整する処理のフローチャートである。この処理は、ステップS101~S108を含んでいる。
【0099】
なお、以下の説明において、既に制御システム1は運用され、ボイラG1は稼働しているものとする。情報処理装置4は、このような状況において、制御パラメータρを調整する。
【0100】
先ず、ステップS101において、設定部410は、更新前の制御パラメータρの初期値を設定する。
【0101】
前述のように、本実施形態では、既に制御システム1は運用されている。そのため、制御パラメータρの値は制御装置30,31において既に設定されていることになる。このような場合、設定部410は、既に設定されている制御パラメータρの値を、その初期値として設定する。
【0102】
次いで、ステップS102において、取得部411は、カスケード制御系3から、圧力の目標値rと、圧力の制御量yの測定値と、流量の制御量yの測定値とを取得する。
【0103】
本実施形態では、取得部411は、所定時刻から1時間に亘って、1秒の間隔を置いて上記の値を取得する。つまり、取得部411は、3600の時刻における上記の値を取得する。
【0104】
次いで、ステップS103において、推定部412は、モデルM1~M4を推定する。
【0105】
本実施形態では、推定部412は、予測誤差法を用いてモデルM1~M4(数4及び数5)に含まれるパラメータθ(数6)を推定する。圧力及び流量の制御量の夫々の予測値y,yと、圧力及び流量の制御量y,yの夫々の測定値との誤差ε,εを最小化するようにこれらを推定する(数15)。
【0106】
次いで、ステップS104において、立式部413は、カスケードモデルMCを用いて、評価関数Jを立式する。本実施形態においては、評価関数Jは、圧力の制御量yの、圧力の目標値rに対する分散である(数16)。
【0107】
次いで、ステップS105において、更新部414は、評価関数Jの制御パラメータρに関する勾配を計算する(数21)。
【0108】
本実施形態では、更新部414は、ステップS103において推定されたモデルM1~M4と、数8~数12に示した関係式とを用いて勾配を計算する。
【0109】
次いで、ステップS106において、更新部414は、ステップS105で得られた評価関数Jの制御パラメータρに関する勾配に基づいて、制御パラメータρを更新する。
【0110】
本実施形態では、更新部414は、更新前の制御パラメータに対し、評価関数Jの制御パラメータに関する勾配に比例する補正量(数18の右辺第2項)を減じることによって、更新後の制御パラメータρを得る。
【0111】
次いで、ステップS107において、判定部415は、制御パラメータρの更新を継続するか終了するかを判定する。
【0112】
本実施形態では、判定部415は、制御パラメータρが更新された際の評価関数Jの値(「更新後の評価関数Jの値」と称する)の変動値に基づいて上記の判定をする。更新後の評価関数Jの値は、例えば数20を用いて計算することができる。
【0113】
評価関数Jの改善の度合いが所定の閾値未満である場合、判定部415は、更新を終了すると判定する。改善の度合いが所定の閾値以上である場合、判定部415は、更新を継続すると判定する。
【0114】
次いで、判定部415が更新を継続すると判定した場合(S108:N)、ステップS102に戻る。
【0115】
ステップS102に戻ると、取得部411は、所定時刻から1時間に亘って、1秒の間隔を置いて圧力の目標値rと、圧力の制御量yの測定値と、流量の制御量yの測定値とを、新たに取得し、同様の処理を繰り返す。
【0116】
一方、判定部415が更新を終了すると判定した場合(S108:Y)、制御パラメータρを調整する処理を終了する。
【0117】
以上の処理によって制御パラメータρを調整した結果の一例を説明する。図6は、制御パラメータρの更新に伴う評価関数Jの推移の結果を示す図である。図7は、制御パラメータρの更新に伴う制御パラメータρの推移の結果を示す図である。なお、図7においては、計4個の制御パラメータ(数2)のうち、比例要素についてのρ 及びρ のみの結果を示している。
【0118】
この例では、評価関数Jについては更新回数に伴って初期値(横軸の0に相当)から単調に減少し、8回程度の更新でほぼ収束している。このとき、評価関数Jは、初期値に対して約30%程度の値に改善されている。
【0119】
また、制御パラメータρ 及びρ については、5回程度の更新でほぼ収束している。制御パラメータρ については、初期値に対して約300%の値に収束している。制御パラメータρ については、初期値に対して約16%の値に収束している。
【0120】
以上のような処理によれば、処理の手順が煩雑にならず、カスケード制御系3において用いられる制御パラメータを容易に調整することが可能となる。
【0121】
==まとめ==
実施形態の情報処理装置4は、第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部C1と、第2目標値及び第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる第2制御対象の第2操作量を、第2制御対象に出力する第2制御部C2と、を備えるカスケード制御系3の第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理装置4であって、第1制御対象の第1モデルと、第2制御対象の第2モデルと、第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含むカスケード制御系3を模擬したカスケードモデルを用いて、第1目標値と、第1制御量の計算値とに基づく評価関数を立式する立式部413と、評価関数の値が改善するよう、第1及び第2制御パラメータを更新する更新部414と、を含む。
【0122】
このような構成によれば、制御パラメータρを調整するに際し、通常の運用において取得可能な信号やデータを用いて調整することが可能である。つまり、以上のような構成によれば、調整のための特別な信号やデータを用いることを要しない。
【0123】
従って、このような構成によれば、処理の手順が煩雑にならず、カスケード制御系3において用いられる制御パラメータρを容易に調整することが可能となる。
【0124】
実施形態の情報処理装置4は、更新部414は、第1制御パラメータを、評価関数の第1制御パラメータに関する第1勾配に基づいて補正し、第2制御パラメータを、評価関数の第2制御パラメータに関する第2勾配に基づいて補正し、第1及び第2制御パラメータを更新する。このような構成によれば、更新後の評価関数Jの値が劣化することを回避することができる。従って、更新後の制御パラメータρの値の信頼性が向上する。
【0125】
実施形態の情報処理装置4は、第1及び第2制御パラメータが更新された際の評価関数の値の変動値に基づいて、第1及び第2制御パラメータの更新を継続するか終了するかを判定する判定部415を更に含んでもよい。このような構成によれば、制御パラメータρの更新が長期化せず、適切な値の制御パラメータρを得ることができる。
【0126】
実施形態の情報処理装置4において、評価関数は、第1制御量の計算値の第1目標値に対する分散を含む。このような構成によれば、制御パラメータρの更新によって、第1制御量の第1目標値に対するばらつきが減少する。
【0127】
実施形態の情報処理装置4において、第1及び第2制御量の夫々の計算値と、第1及び第2制御量の夫々の測定値との第2誤差を最小化する第1~第4モデルを推定する推定部412を更に含み、第2制御量の計算値は、第1目標値をカスケードモデルの入力とした場合に得られる第2制御量の計算値である。このような構成によれば、制御システム1の運用に伴って制御対象に経時変化が生じた場合にも、これに応じた第1~第4モデルを用いて制御パラメータを更新することができる。従って、更新後の制御パラメータの値の信頼性が更に向上する。
【0128】
実施形態の情報処理装置4において、推定部412は、第2誤差を最小化する第1~第4モデルの夫々を示す伝達関数のパラメータを推定する。このような構成によれば、第1~第4モデルの信頼性が向上する。従って、更新後の制御パラメータρの値の信頼性が更に向上する。
【0129】
実施形態の情報処理方法は、第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部C1と、第2目標値及び第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる第2制御対象の第2操作量を、第2制御対象に出力する第2制御部C1と、を備えるカスケード制御系3の第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理方法であって、情報処理装置4が、第1制御対象の第1モデルと、第2制御対象の第2モデルと、第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含むカスケード制御系3を模擬したカスケードモデルを用いて、第1目標値と、第1制御量の計算値とに基づく評価関数を立式するステップと、評価関数の値が改善するよう、第1及び第2制御パラメータを更新するステップ、を含む。
【0130】
このような方法によれば、制御パラメータρを調整するに際し、通常の運用において取得可能な信号やデータを用いて調整することが可能である。つまり、以上のような方法によれば、調整のための特別な信号やデータを用いることを要しない。
【0131】
従って、このような方法によれば、処理の手順が煩雑にならず、カスケード制御系3において用いられる制御パラメータρを容易に調整することが可能となる。
【0132】
実施形態のプログラムは、第1制御対象の第1制御量の第1目標値及び第1制御量の測定値の差と、第1制御パラメータとに基づいて得られる第1操作量を、第2制御対象の第2制御量の第2目標値として出力する第1制御部C1と、第2目標値及び第2制御量の測定値の差と、第2制御パラメータとに基づいて得られる第2制御対象の第2操作量を、第2制御対象に出力する第2制御部C2と、を備えるカスケード制御系3の第1及び第2制御パラメータを更新する情報処理プログラムであって、コンピュータに、第1制御対象の第1モデルと、第2制御対象の第2モデルと、第1制御対象に加わる外乱の第3モデルと、第2制御対象に加わる外乱の第4モデルと、を含むカスケード制御系3を模擬したカスケードモデルを用いて、第1目標値と、第1制御量の計算値とに基づく評価関数を立式する立式部413と、評価関数の値が改善するよう、第1及び第2制御パラメータを更新する更新部414と、を実現させる。
【0133】
このようなプログラムによれば、制御パラメータρを調整するに際し、通常の運用において取得可能な信号やデータを用いて調整することが可能である。つまり、以上のようなプログラムによれば、調整のための特別な信号やデータを用いることを要しない。
【0134】
従って、このようなプログラムによれば、処理の手順が煩雑にならず、カスケード制御系3において用いられる制御パラメータρを容易に調整することが可能となる。
【符号の説明】
【0135】
制御システム 1
制御装置 2
カスケード制御系 3
制御装置 30
制御装置 31
配管 32
配管 33
情報処理装置 4
CPU 400
メモリ 401
通信装置 402
記憶装置 403
入力装置 404
出力装置 405
記録媒体読取装置 406
設定部 410
取得部 411
推定部 412
立式部 413
更新部 414
判定部 415
第1制御部 C1
第2制御部 C2
ボイラ G1
流量調節弁 G2
圧力センサ S1
流量センサ S2
加算器 A1
加算器 A2
加算器 A3
加算器 A4
タービン 5
発電機 6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7