(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084364
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/02 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H01H73/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198599
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】加納 佳季
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 高峰
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 朗史
(72)【発明者】
【氏名】中里 正人
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030AA04
5G030FE05
5G030FE08
5G030YY05
(57)【要約】
【課題】回路遮断器において、限流遮断時に可動接触子の変形を抑制する。
【解決手段】可動接触子12は、径方向外側に可動接点21が設けられ、回動によって閉極及び開極させる。主ストッパ17は、限流遮断によって開極するときに、可動接点21よりも径方向内側で可動接触子12に接触して回動を制止する。補助ストッパ47は、可動接触子12が主ストッパ17に接触して開極方向に変形しようとするときに、主ストッパ17よりも径方向外側で可動接触子12に接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向外側に可動接点が設けられ、回動によって閉極及び開極させる可動接触子と、
限流遮断によって開極するときに、前記可動接点よりも径方向内側で前記可動接触子に接触して回動を制止する主ストッパと、
前記可動接触子が前記主ストッパに接触して開極方向に変形しようとするときに、前記主ストッパよりも径方向外側で前記可動接触子に接触する補助ストッパと、を備えることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
ハンドルと、
前記ハンドルに固定され、前記ハンドルが操作されるときに回動し、駆動力を前記可動接触子に伝達して閉極及び開極させるレバーと、を備え、
前記補助ストッパは、開極する前記可動接触子のうち径方向外側の部位に向かって前記レバーから突出する突出部で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記レバーには、開極する前記可動接触子の径方向外側を向いた内側正面壁部が形成され、前記内側正面壁部に前記突出部が形成され、
前記ハンドルには、前記内側正面壁部の外周面に重なり、開極する前記可動接触子の径方向外側を向いた外側正面壁部が形成され、前記外側正面壁部には、前記突出部を突出させる切欠部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記ハンドルには、側壁部が形成され、前記側壁部には、前記内側正面壁部における背面側の側方を支持する突起部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
ハンドルと、
前記ハンドルに固定され、前記ハンドルが操作されるときに回動し、駆動力を前記可動接触子に伝達して閉極及び開極させるレバーと、を備え、
前記補助ストッパは、開極する前記可動接触子のうち径方向外側の部位に向かって前記ハンドルから突出する突出部で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記ハンドルには、開極する前記可動接触子の径方向外側を向いた外側正面壁部が形成され、前記外側正面壁部に前記突出部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記補助ストッパは、前記可動接触子が前記主ストッパに接触したときに、前記可動接触子に対して隙間が空く位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記主ストッパ及び前記補助ストッパは、ハンドルが配置されている相に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、限流遮断によって開極するときに、可動接触子の回動をピンで制止する構造が開示されている。ストッパとして機能するピンは、可動接点よりも径方向内側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動接点よりも径方向内側に設けられたピンだけで、限流遮断時の可動接触子を制止する構造では、ピンとの接触によって可動接触子の先端側が開極方向に変形し、接点ワイプ量の低下を招く可能性がある。
本発明の目的は、回路遮断器において、限流遮断時に可動接触子の変形を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る回路遮断器は、可動接触子と、主ストッパと、補助ストッパと、を備える。可動接触子は、径方向外側に可動接点が設けられ、回動によって閉極及び開極させる。主ストッパは、限流遮断によって開極するときに、可動接点よりも径方向内側で可動接触子に接触して回動を制止する。補助ストッパは、可動接触子が主ストッパに接触して開極方向に変形しようとするときに、主ストッパよりも径方向外側で可動接触子に接触する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、限流遮断によって開極するときに、可動接触子が主ストッパとの接触によって変形しようとすると補助ストッパに接触するため、可動接触子の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】R相及びT相の一方の可動接触子を示す図である。
【
図5】ハンドル及びレバーを嵌め合わせた状態を示す図である。
【
図9】第二実施形態における回路遮断器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《第一実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、縦方向、幅方向、及び奥行方向とする。
図1は、回路遮断器11の断面図である。
ここでは、回路遮断器11における幅方向の中心を通り、縦方向及び奥行方向に沿った断面を幅方向の一方から見た状態を示してあり、説明を簡単にするために主要でない構成を省略して描いている。回路遮断器11は、ノーヒューズブレーカとも呼ばれ、通常使用状態の回路を手動又は電気操作によって開閉することができ、且つ過負荷や短絡によって異常な過電流を検出したときに、自動的に回路を遮断して過電流による損傷から保護するものである。回路遮断器11は、可動接触子12と、ハンドル13と、レバー14と、を備えている。
【0010】
可動接触子12は、棒状の導電体であり、径方向の外側に可動接点21が設けられており、幅方向に延びる回動軸22で回動可能に支持されている。可動接触子12は、図示しない固定接点に対して可動接点21が接触するときに閉極となり、離間するときに開極となる。幅方向の一方から見て、反時計回りが閉極方向の回動となり、時計回りが開極方向の回動となる。極数は三であり、三つの可動接触子12は、一極ごとに幅方向に並べて設けられている。
ハンドル13は、ユーザによって手動操作される樹脂製の部品である。
レバー14は、ハンドル13の裏側に固定され、幅方向に延びる回動軸15で回動可能に支持されている。レバー14は、ハンドル13が手動操作されるときに回動し、図示しないトグルリンク機構を介して駆動力を可動接触子12に伝達して閉極及び開極させる金属製の部品である。
【0011】
可動接触子12は、短絡が生じたときに電磁反発力によって跳ね上がるように開極することで限流遮断となる。電磁反発力の発生原理としては、接点同士の接触点において電流の集中と拡散が発生し、逆方向に流れる電流によって互いに離れようとする電磁反発力が発生する。
回路遮断器11は、主ストッパ17を備えている。主ストッパ17は、幅方向に延びる金属製のピンであり、ピンの両端が開閉機構部のフレームに連結されている。主ストッパ17は、限流遮断によって可動接触子12が跳ね上がるときに、S相の可動接触子12の回動を開極位置で制止する。主ストッパ17は、可動接点21よりも径方向内側で可動接触子12に接触する位置に設けられている。可動接触子12には、主ストッパ17が接触する位置に隆起部23が形成されている。隆起部23は、幅方向から見て略三角形に隆起した形状であり、径方向内側の斜面に主ストッパ17が接触することで、主ストッパ17から受ける力が径方向外側へと向かうように形成されている。主ストッパ17は、三相のうちレバー14がある中間のS相にだけ設けられている。
【0012】
図2は、R相及びT相の一方の可動接触子12を示す図である。
ここでは、三相のうちレバー14がない両側のR相及びT相の一方の可動接触子12を、幅方向の一方から見た状態を示す。回路遮断器11は、限流遮断によって可動接触子12が跳ね上がるときに、R相及びT相の可動接触子12の回動を開極位置で制止するために、ストッパ18を備えている。ストッパ18は、図示しない筐体カバーの裏側に形成されており、径方向外側で可動接触子12に接触する。S相にはハンドル13があり、筐体カバーの裏側にストッパ18を設けることができないため、前述のように可動接点21よりも径方向内側に、主ストッパ17が設けられている。
【0013】
図3は、ハンドル13を示す図である。
図中の(a)は、ハンドル13を、略奥行方向の奥、略縦方向の一方、及び幅方向の他方から見た状態を示し、図中の(b)は、ハンドル13を、略奥行方向の奥、略縦方向の他方、及び幅方向の他方から見た状態を示す。ハンドル13は、天井部31と、外側正面壁部32と、一対の側壁部33と、を備えている。
天井部31は、略縦方向及び幅方向に沿って形成され、略奥行方向の奥を向いた内周面は平面状に形成され、略奥行方向の手前を向いた外周面は、幅方向から見て略奥行方向の手前に向かって凸となるアーチ状に形成されている。
外側正面壁部32は、天井部31における略縦方向の一端から略奥行方向の奥に向かって延び、幅方向及び略奥行方向に沿って平面状に形成されている。
【0014】
側壁部33は、天井部31における幅方向の両端から略奥行方向の奥に向かって延び、略縦方向及び略奥行方向に沿って平面状に形成されている。
外側正面壁部32には、幅方向の中央で、且つ略奥行方向における奥の縁部に、切欠部34が形成されている。切欠部34は、略奥行方向の手前に向かって凹となる浅くて幅の広い溝状に形成されている。
側壁部33の内周面には、幅方向の内側に向かって凸となり、略奥行方向に延びるリブ状の突起部35が形成されている。突起部35は、外側正面壁部32に対して略縦方向に離れた位置に形成されている。突起部35は、側壁部33における略奥行方向の奥から手前にわたって全体に延びている。
【0015】
図4は、レバー14を示す図である。
図中の(a)は、レバー14を、略奥行方向の手前、略縦方向の一方、及び幅方向の一方から見た状態を示し、図中の(b)は、レバー14を、幅方向の一方から見た状態を示す。レバー14は、プレス加工によって成形されており、天井部41と、内側正面壁部42と、一対の側壁部43と、を備えている。
天井部41は、略縦方向及び幅方向に沿って平面状に形成されている。
内側正面壁部42は、天井部41における略縦方向の一端から略奥行方向の奥に向かって延び、幅方向及び略奥行方向に沿って平面状に形成されている。内側正面壁部42の厚さは、幅方向から見たハンドル13における外側正面壁部32と突起部35との隙間に対応している。
【0016】
側壁部43は、天井部41における幅方向の両端から略奥行方向の奥に向かって延び、略縦方向及び略奥行方向に沿って平面状に形成されている。
内側正面壁部42には、幅方向の中央で、且つ略奥行方向における奥の縁部に、突出部44が形成されている。突出部44は、略縦方向の一方に向かって凸となる短くて幅の広い片状に形成されている。突出部44の幅寸法は、切欠部34の幅寸法よりも小さく、且つ可動接触子12の幅寸法よりも大きい。
内側正面壁部42及び側壁部43は、夫々、天井部41から個別に延びており、内側正面壁部42における幅方向の両端と側壁部43における略縦方向の一端とは分離された状態で形成されている。幅方向から見て内側正面壁部42と側壁部43との隙間は、ハンドル13における突起部35の略縦方向の寸法に対応している。
【0017】
図5は、ハンドル13及びレバー14を嵌め合わせた状態を示す図である。
図中の(a)は、嵌め合わせたハンドル13及びレバー14を、略奥行方向の手前、略縦方向の一方、及び幅方向の一方から見た状態を示す。図中の(b)は、嵌め合わせたハンドル13及びレバー14を、略奥行方向の奥、略縦方向の他方、及び幅方向の他方から見た状態を示す。ハンドル13の裏側にレバー14を嵌め合わせることにより、天井部31に天井部41が重なり、外側正面壁部32に内側正面壁部42が重なり、外側正面壁部32と突起部35との間に内側正面壁部42における幅方向の両端が嵌まり合い、切欠部34から突出部44が突出する。
【0018】
図1の説明に戻る。回路遮断器11は、補助ストッパ47を備えている。補助ストッパ47は、開極する可動接触子12のうち径方向外側の部位に向かってレバー14から突出する突出部44で構成されている。補助ストッパ47は、可動接触子12が主ストッパ17に接触して開極方向に変形しようとするときに、主ストッパ17よりも径方向外側で可動接触子12に接触する。突出部44は、可動接触子12が主ストッパ17に接触したときに、突出部44の先端が可動接触子12に対して僅かに隙間が空く位置に配置されている。突出部44の先端面は、開極する可動接触子12のうち径方向外側の端面と略平行に対向するように設けられている。したがって、限流遮断によって可動接触子12が跳ね上がり、S相の可動接触子12が主ストッパ17に接触して開極方向に変形しようとするときに、主ストッパ17よりも径方向外側で可動接触子12に面接触する。補助ストッパ47は、レバー14に付帯する構造であるため、三相のうちS相にだけ設けられている。
【0019】
《作用効果》
次に、第一実施形態の主要な作用効果について説明する。
回路遮断器11は、可動接触子12と、主ストッパ17と、補助ストッパ47と、を備えている。可動接触子12は、径方向外側に可動接点21が設けられ、回動によって閉極及び開極させる。主ストッパ17は、限流遮断によって開極するときに、可動接点21よりも径方向内側で可動接触子12に接触して回動を制止する。補助ストッパ47は、可動接触子12が主ストッパ17に接触して開極方向に変形しようとするときに、主ストッパ17よりも径方向外側で可動接触子12に接触する。これにより、可動接触子12の変形を抑制し、接点ワイプ量が低下することを抑制できる。
【0020】
回路遮断器11は、ハンドル13と、レバー14と、を備えている。レバー14は、ハンドル13に固定され、ハンドル13が操作されるときに回動し、駆動力を可動接触子12に伝達して閉極及び開極させる。補助ストッパ47は、開極する可動接触子12のうち径方向外側の部位に向かってレバー14から突出する突出部44で構成されている。これにより、限流遮断によって開極するときに、可動接触子12が主ストッパ17との接触によって変形しようとすると補助ストッパ47に接触するため、可動接触子12の変形を抑制することができる。レバー14は金属製であるため、十分な強度を確保することができる。
【0021】
レバー14には、開極する可動接触子12の径方向外側を向いた内側正面壁部42が形成され、内側正面壁部42に突出部44が形成されている。ハンドル13には、内側正面壁部42の外周面に重なり、開極する可動接触子12の径方向外側を向いた外側正面壁部32が形成され、外側正面壁部32には、突出部44を突出させる切欠部34が形成されている。これにより、外側正面壁部32との干渉を避けて、開極する可動接触子12のうち、できるだけ径方向外側の部位に向かって突出部44を突出させることができる。したがって、可動接触子12の開極方向への変形を効果的に抑制することができる。突出部44は、内側正面壁部42に形成されており、内側正面壁部42を部分的に延長した形状であるため、突出部44を設けたレバー14をプレス加工によって容易に成形することができる。ハンドル13は樹脂製であるため、従来の射出成形金型に入れ子を設けるだけで切欠部34を容易に成形することができる。
【0022】
ハンドル13には、側壁部33が形成され、側壁部33には、内側正面壁部42における背面側の側方を支持する突起部35が形成されている。これにより、可動接触子12が跳ね上がり補助ストッパ47に接触したときに、内側正面壁部42に加わる荷重をハンドル13の突起部35で受けることができるので、内側正面壁部42が変形することを抑制できる。
補助ストッパ47は、可動接触子12が主ストッパ17に接触したときに、可動接触子12に対して隙間が空く位置に配置されている。これにより、限流遮断によって跳ね上がった可動接触子12を基本的に主ストッパ17で制止することができる。したがって、レバー14を介してハンドル13に振動が伝わることを抑制できる。
主ストッパ17及び補助ストッパ47は、ハンドル13が配置されているS相に設けられている。これにより、R相やT相のように、筐体カバーの裏側にストッパ18を設けることができないS相においても、主ストッパ17及び補助ストッパ47によって、可動接触子12の回動を開極位置で確実に制止することができる。
【0023】
次に、比較例について説明する。
図6は、比較例を示す図である。
比較例は、レバーに前述した補助ストッパ47がない構造であり、基本的な構成については前述した第一実施形態と同様であるため、共通する構成については詳細な説明を省略する。回路遮断器51は、ハンドル53と、レバー54と、を備えている。ハンドル53は、天井部61と、外側正面壁部62と、一対の側壁部63と、を備えているが、前述した切欠部34、及び突起部35は設けていない。レバー54は、天井部71と、内側正面壁部72と、一対の側壁部73と、を備えているが、前述した突出部44は設けていない。したがって、補助ストッパ47が無く、可動接点21よりも径方向内側に設けられた主ストッパ17だけで、限流遮断時の可動接触子12を制止する構造である。このような構造では、主ストッパ17との接触によって可動接触子12の先端側が開極方向に変形し、接点ワイプ量の低下を招く可能性があった。
【0024】
《第二実施形態》
《構成》
第二実施形態は、補助ストッパについて他の態様を示すものである。第一実施形態と共通する部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
図7は、第二実施形態のハンドル13を示す図である。
図中の(a)は、ハンドル13を、略奥行方向の手前、略縦方向の一方、及び幅方向の一方から見た状態を示し、図中の(b)は、ハンドル13を、略奥行方向の奥から見た状態を示す。ここでは、前述した切欠部34、及び突起部35を省略している。外側正面壁部32には、幅方向の中央に、略縦方向の一方に向かって凸となり、略奥行方向に延びるリブ状の二つの突出部36が形成されている。突出部36は、外側正面壁部32における略奥行方向の奥から手前にわたって全体に延びている。二つの突出部36は、幅方向に離れており、幅方向の外側を向いた端面同士の距離は可動接触子12の幅寸法よりも大きく、幅方向の内側を向いた端面同士の距離は可動接触子12の幅寸法よりも小さい。突出部36は、略奥行方向における奥の角部をR面取りによって丸めてある。
【0025】
図8は、第二実施形態のレバー14を示す図である。
図中の(a)は、レバー14を、略奥行方向の手前、略縦方向の一方、及び幅方向の一方から見た状態を示し、図中の(b)は、レバー14を、幅方向の一方から見た状態を示す。ここでは、前述した突出部44を省略している。
図9は、第二実施形態における回路遮断器11の断面図である。
回路遮断器11は、補助ストッパ37を備えている。補助ストッパ37は、開極する可動接触子12のうち径方向外側の部位に向かってハンドル13から突出する突出部36で構成されている。補助ストッパ37は、可動接触子12が主ストッパ17に接触して開極方向に変形しようとするときに、主ストッパ17よりも径方向外側で可動接触子12に接触する。突出部36は、可動接触子12が主ストッパ17に接触したときに、突出部36における奥の角が可動接触子12に対して隙間が空く位置に配置されている。したがって、限流遮断によって可動接触子12が跳ね上がり、S相の可動接触子12が主ストッパ17に接触して開極方向に変形しようとするときに、主ストッパ17よりも径方向外側で可動接触子12に接触する。補助ストッパ37は、ハンドル13に付帯する構造であるため、三相のうちS相にだけ設けられている。
【0026】
《作用効果》
次に、第二実施形態の主要な作用効果について説明する。
回路遮断器11は、ハンドル13と、レバー14と、を備えている。レバー14は、ハンドル13に固定され、ハンドル13が操作されるときに回動し、駆動力を可動接触子12に伝達して閉極及び開極させる。補助ストッパ37は、開極する可動接触子12のうち径方向外側の部位に向かってハンドル13から突出する突出部36で構成されている。これにより、限流遮断によって開極するときに、可動接触子12が主ストッパ17との接触によって変形しようとすると補助ストッパ37に接触するため、可動接触子12の変形を抑制することができる。
【0027】
ハンドル13には、開極する可動接触子12の径方向外側を向いた外側正面壁部32が形成され、外側正面壁部32に突出部36が形成されている。これにより、開極する可動接触子12のうち、できるだけ径方向外側の部位に向かって突出部36を突出させることができる。したがって、可動接触子12の開極方向への変形を効果的に抑制することができる。ハンドル13は樹脂製であるため、従来の射出成形金型を変更するだけで突出部36を容易に成形することができる。幅の広い一つの突出部36ではなく、幅の狭い二つの突出部36を設けることで、ヒケやボイドといった成形不良の発生を抑制することができる。
共通した構成によってもたらされる他の作用効果については、前述した第一実施形態と同様である。
【0028】
《変形例》
第二実施形態では、外側正面壁部32と突出部36とが一体成形されている構成について説明したが、これに限定されるものではなく、外側正面壁部32と突出部36とを別部品で構成してもよい。例えば、一つの基板に二つの突出部36を形成し、この基板が嵌まり合う凹部を外側正面壁部32に形成し、これらを嵌め合わせて接着する。これにより、従来構造から大きな設計変更をすることなく、突出部36をハンドル13に容易に設けることができる。
【0029】
第二実施形態では、突出部36における奥行方向の奥の角部をR面取りによって丸めているが、これに限定されるものではない。すなわち、突出部36における奥行方向の奥の角部を、開極する可動接触子12のうち径方向外側の端面と略平行に対向するように、平面状の面取りにしてもよい。これにより、可動接触子12が主ストッパ17に接触して開極方向に変形しようとするときに、主ストッパ17よりも径方向外側で可動接触子12に面接触させることができる。このように、接触面積を増やすことで荷重を分散して受けることができる。
【0030】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0031】
11…回路遮断器、12…可動接触子、13…ハンドル、14…レバー、15…回動軸、17…主ストッパ、18…ストッパ、21…可動接点、22…回動軸、23…隆起部、31…天井部、32…外側正面壁部、33…側壁部、34…切欠部、35…突起部、36…突出部、37…補助ストッパ、41…天井部、42…内側正面壁部、43…側壁部、44…突出部、47…補助ストッパ、51…回路遮断器、53…ハンドル、54…レバー、61…天井部、62…外側正面壁部、63…側壁部、71…天井部、72…内側正面壁部、73…側壁部