(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084374
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】保安灯装置
(51)【国際特許分類】
E01F 9/615 20160101AFI20240618BHJP
【FI】
E01F9/615
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198613
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】591050947
【氏名又は名称】ダンレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 拓也
(72)【発明者】
【氏名】堀口 範人
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA12
2D064BA03
2D064DA09
2D064DB14
2D064EA03
2D064EB05
2D064EB38
2D064FA03
2D064GA03
(57)【要約】
【課題】発光部の点滅に対して運転者の目を慣れさせないようにすることのできる保安灯装置を提供すること。
【解決手段】自発光する発光部20と、発光部20の点滅制御を行う制御部60と、制御部60からの信号を無線によって送受信する通信部40と、を有する保安灯10を複数備え、制御部60は、予め設定される発光部20の点滅のパターンである発光パターンLPに従って発光部20の点滅制御を行うと共に、発光部20の点滅のパターンが互いに異なる複数の発光パターンLPを繰り返すことにより点滅制御を行い、制御部60は、通信部40を介して他の保安灯10の制御部60と通信を行うと共に通信を行う保安灯10同士の間で発光パターンLPの同期を行うことにより、複数の発光パターンLPの順番とタイミングを、通信を行う保安灯10同士の間で同じ順番とタイミングにして発光部20の点滅制御を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光する発光部と、
前記発光部の点滅制御を行う制御部と、
前記制御部からの信号を無線によって送受信する通信部と、
を有する保安灯を複数備え、
前記制御部は、予め設定される前記発光部の点滅のパターンである発光パターンに従って前記発光部の前記点滅制御を行うと共に、前記発光部の点滅のパターンが互いに異なる複数の前記発光パターンを繰り返すことにより前記点滅制御を行い、
前記制御部は、前記通信部を介して他の前記保安灯の前記制御部と通信を行うと共に通信を行う前記保安灯同士の間で前記発光パターンの同期を行うことにより、複数の前記発光パターンの順番とタイミングを、通信を行う前記保安灯同士の間で同じ順番とタイミングにして前記発光部の前記点滅制御を行うことを特徴とする保安灯装置。
【請求項2】
前記保安灯は、前記発光部が配置される本体部を有し、
前記本体部は、略円筒形の透明カバーにより覆われる請求項1に記載の保安灯装置。
【請求項3】
前記保安灯は、
光エネルギーを電力に変換する太陽電池と、
周囲の照度を検出する照度検出部と、
を備え、
前記発光部は、前記太陽電池で変換した電力によって発光し、
前記制御部は、前記照度検出部で検出した照度に基づいて前記発光部に供給する電力を制御することにより、通信を行う他の前記保安灯から独立して前記発光部の光度を制御する請求項1または2に記載の保安灯装置。
【請求項4】
前記制御部は、照度に対する閾値である第1閾値及び第2閾値と、前記照度検出部で検出した照度とを比較することにより前記発光部の光度を制御し、
前記第2閾値は、前記第1閾値よりも値が大きい閾値になっており、
前記制御部は、
前記照度検出部で検出した照度が前記第2閾値より高い場合は、前記発光部を消灯させ、
前記照度検出部で検出した照度が前記第1閾値以下である場合は、前記発光部を発光させ、
前記照度検出部で検出した照度が前記第1閾値より高く、前記第2閾値以下である場合は、前記照度検出部で検出した照度が前記第1閾値以下である場合よりも光度を大きくして前記発光部を発光させる請求項3に記載の保安灯装置。
【請求項5】
前記太陽電池で変換した電力を蓄える蓄電部を備え、
前記発光部は、前記蓄電部から供給される電力よって発光し、
前記制御部は、前記蓄電部の電圧が所定の閾値以下の場合は、前記発光部に供給する電力を低下させる請求項3に記載の保安灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の保安灯を有する保安灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が走行をする道路上で工事を行う場合、工事を行う作業者の安全性の確保や、走行する車両の安全性を確保するために、歩行者や車両の運転者に対して工事箇所を示す必要がある。このように工事箇所を示すための手段としては、発光体を用いることにより自発光する保安灯が知られている。例えば、特許文献1に記載された視線誘導標制御装置では、標準電波に基づいて発光体の発光動作タイミングを制御する視認誘導標を複数個連設するとともに、連設された全ての視認誘導標における発光体の発光動作タイミングを標準電波の受信信号を用いて同期させて点滅させることにより、歩行者や車両の運転者に対して注意を与えることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数の保安灯を連設して発光動作タイミングを同期させて点滅させた場合、車両の運転者からは複数の保安灯の発光がライン状に見えるため、工事箇所を明確に認識し易くなるという効果がある。しかしながら、工事箇所の状況によっては、連設される複数の保安灯がそれぞれ有する発光部の点滅が運転者の目に長い時間入り込むことがあり、この場合、運転者の目が発光部の点滅に慣れてしまうことがある。例えば、長い区間で工事が行われる工事箇所に保安灯が複数設置されることにより使用される保安灯装置の発光部の点滅は、工事箇所に沿って走行する車両の運転者の目に比較的長い時間に亘って入り込み続けるため、運転者の目が複数の保安灯の点滅に慣れてしまうことがある。運転者の目が保安灯の点滅に慣れてしまった場合、各保安灯に対する運転者の意識は低下するため、保安灯装置による注意喚起の効果が低下し易くなる。このため、従来の複数の保安灯を用いる保安灯装置は、運転者の目が、保安灯が有する発光部の点滅に慣れてしまうことにより保安灯装置による注意喚起の効果が低下してしまうという観点で改良の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発光部の点滅に対して運転者の目を慣れさせないようにすることのできる保安灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る保安灯装置は、自発光する発光部と、前記発光部の点滅制御を行う制御部と、前記制御部からの信号を無線によって送受信する通信部と、を有する保安灯を複数備え、前記制御部は、予め設定される前記発光部の点滅のパターンである発光パターンに従って前記発光部の前記点滅制御を行うと共に、前記発光部の点滅のパターンが互いに異なる複数の前記発光パターンを繰り返すことにより前記点滅制御を行い、前記制御部は、前記通信部を介して他の前記保安灯の前記制御部と通信を行うと共に通信を行う前記保安灯同士の間で前記発光パターンの同期を行うことにより、複数の前記発光パターンの順番とタイミングを、通信を行う前記保安灯同士の間で同じ順番とタイミングにして前記発光部の前記点滅制御を行うことを特徴とする。
【0007】
また、上記保安灯装置において、前記保安灯は、前記発光部が配置される本体部を有し、前記本体部は、略円筒形の透明カバーにより覆われることが好ましい。
【0008】
また、上記保安灯装置において、前記保安灯は、光エネルギーを電力に変換する太陽電池と、周囲の照度を検出する照度検出部と、を備え、前記発光部は、前記太陽電池で変換した電力によって発光し、前記制御部は、前記照度検出部で検出した照度に基づいて前記発光部に供給する電力を制御することにより、通信を行う他の前記保安灯から独立して前記発光部の光度を制御することが好ましい。
【0009】
また、上記保安灯装置において、前記制御部は、照度に対する閾値である第1閾値及び第2閾値と、前記照度検出部で検出した照度とを比較することにより前記発光部の光度を制御し、前記第2閾値は、前記第1閾値よりも値が大きい閾値になっており、前記制御部は、前記照度検出部で検出した照度が前記第2閾値より高い場合は、前記発光部を消灯させ、前記照度検出部で検出した照度が前記第1閾値以下である場合は、前記発光部を発光させ、前記照度検出部で検出した照度が前記第1閾値より高く、前記第2閾値以下である場合は、前記照度検出部で検出した照度が前記第1閾値以下である場合よりも光度を大きくして前記発光部を発光させることが好ましい。
【0010】
また、上記保安灯装置において、前記太陽電池で変換した電力を蓄える蓄電部を備え、前記発光部は、前記蓄電部から供給される電力よって発光し、前記制御部は、前記蓄電部の電圧が所定の閾値以下の場合は、前記発光部に供給する電力を低下させることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る保安灯装置は、発光部の点滅に対して運転者の目を慣れさせないようにすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る保安灯装置が有する保安灯の正面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る保安灯の機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る保安灯装置を使用する際の態様を示す説明図である。
【
図8】
図8は、保安灯が有する発光部の発光状態についての遷移図である。
【
図9】
図9は、制御部で発光部の発光状態を切り替える際の制御の流れを示すフロー図である。
【
図10】
図10は、発光部を点滅させる際の発光パターンの一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、保安灯同士で発光部の発光の同期を取るための同期グループを作る際の説明図である。
【
図12】
図12は、発光パターンを同期させて発光部を点滅させる際の説明図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る保安灯装置の変形例であり、発光パターンが4つのパターンの場合の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る保安灯装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る保安灯装置1が有する保安灯10の正面図である。
図2は、
図1のA-A矢視図である。
図3は、
図1のB-B矢視図である。
図4は、
図1に示す保安灯10の斜視図である。本実施形態に係る保安灯装置1(
図7参照)は、複数の保安灯10を有している。保安灯装置1が有する保安灯10は、それぞれ本体部11と挿着部15とを備えている。本体部11は、略円柱状の形状で形成されている。挿着部15は、直径が本体部11の直径よりも小さい略円柱状の形状で形成されており、本体部11の軸方向における一端側に、円柱の中心軸が本体部11の中心軸と一致する向き及び位置に、本体部11に対して連結する形態で配置されている。
【0015】
このように形成される本体部11は、太陽電池30と、発光部20とを有している。このうち、太陽電池30は、本体部11における挿着部15が位置する側の反対側の端部に配置されおり、太陽電池30で受けた光の光エネルギーを電力に変換することが可能になっている。また、発光部20は、太陽電池30で変換した電力によって自発光することが可能になっている。発光部20は、本体部11の軸方向に直交する方向における両面に配置されている。本体部11における発光部20が配置される各面には、それぞれ2つの発光部20が本体部11の軸方向に並んで配置されている。
【0016】
なお、
図1は、保安灯10を一方向から見た場合における発光部20の配置形態を図示しているが、発光部20は、保安灯10の反対側の面にも、同様の形態で配置されている。
【0017】
このように、太陽電池30と発光部20とを有する本体部11は、光を透過する透明カバー13を有しており、本体部11は、全体が透明カバー13により覆われている。透明カバー13は、本体部11における挿着部15が位置する側の端部に位置する取付け部12で取り付けられている。詳しくは、透明カバー13は、有底の略円筒形の形状で形成されており、有底の略円筒形の開口部側が取付け部12に位置し、有底の略円筒形の底部側が、本体部11における挿着部15が位置する側の反対側に位置する向きで本体部11に配置されている。
【0018】
取付け部12は、挿着部15と一体に形成されると共に透明カバー13における開口部となる部分を塞ぐベース部を有しており、ベース部が透明カバー13の内側に入って開口部を塞ぐ状態で、透明カバー13がねじ(図示省略)によってベース部に取り付けられる。透明カバー13は、挿着部15が位置する側の反対側の端部に、凸部13aが形成されている。凸部13aは、挿着部15が位置する側の反対側に突出する、略円錐台の形状で形成されている。また、透明カバー13の外周面には、凹部13bが形成されている。凹部13bは、透明カバー13の外周面が1周に亘って、透明カバー13の形状である円筒の中心側に向かって凹むことにより形成されている。
【0019】
太陽電池30や発光部20は、これらのように形成される透明カバー13によって覆われることにより、周囲の光を太陽電池30で受けたり、発光部20で発光した光を周囲に照射したりすることを可能としつつ、外部の物に対して接触することによる損傷から保護されている。太陽電池30は、透明カバー13における凸部13aが形成される部分を介して、周囲の光を受けることができる。発光部20は、透明カバー13における凹部13bが形成される部分を介して、発光部20で発光した光を周囲に照射することができる。
【0020】
略円柱状に形状で形成される挿着部15は、充放電が可能な、いわゆる二次電池35(
図6参照)を収容可能になっている。二次電池35は、太陽電池30で変換した電力を蓄える蓄電部として用いられており、発光部20は、二次電池35から供給される電力よって発光する。つまり、光エネギーより太陽電池30で変換した電力は、一旦、二次電池35で蓄えられ、発光部20は、二次電池35で蓄えられた電力が供給されることにより発光する。
【0021】
図5は、
図1のC-C矢視図である。挿着部15における本体部11に連結される側の端部の反対側の端部には、電源スイッチ70が配置されており、電源スイッチ70は、手動でONとOFFとを切り替えることが可能になっている。電源スイッチ70は、保安灯10における電気回路上に配置され、ONとOFFとを切り替えることにより、保安灯10が有する制御部60(
図6参照)や発光部20に対して電力を供給可能な状態と電力の供給が不可の状態とを切り替えることが可能になっている。つまり、電源スイッチ70は、ONとOFFとを切り替えることにより、保安灯10を使用する状態と使用しない状態とを切り替えることが可能になっている。
【0022】
図6は、実施形態に係る保安灯10の機能ブロック図である。保安灯10は、発光部20に供給する電力を制御することにより、発光部20の発光の状態を切り替えることができる制御部60を有している。制御部60は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部を備える電子制御装置として構成されており、保安灯10の本体部11の内部に配置されている。制御部60には、発光部20と、太陽電池30と、二次電池35と、通信部40とが接続されている。
【0023】
このうち、発光部20は、1つの発光部20が、互いに異なる色で発光する複数の発光部20を有して構成されており、1つの発光部20は、発光時に赤色で発光する赤色発光部20Rと、発光時に緑色で発光する緑色発光部20Gとを有している。赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとは、例えば、LED(Light Emitting Diode)からなり、電力を供給することにより発光する。
【0024】
制御部60は、発光部20に供給する電力を制御することにより、発光部20の点滅制御を行うことができる。即ち、制御部60は、発光部20に供給する電力を制御して発光部20の発光と消灯とを切り替えることにより発光部20の点滅させることができ、発光時間や消灯時間、さらに発光のタイミングや消灯のタイミングを制御することにより、発光部20の点滅制御を行うことができる。具体的には、制御部60は、予め設定される発光部20の点滅のパターンである発光パターンに従って発光部20の点滅制御を行うと共に、発光部20の点滅のパターンが互いに異なる複数の発光パターンを繰り返すことにより、発光部20の点滅制御を行う。発光部20の発光パターンは、予め設定されて制御部60に備えられる記憶部に記憶されている。また、制御部60は、発光部20に供給する電力を制御することにより、発光部20の発光する際の光度を制御することが可能になっている。
【0025】
なお、
図6では、発光部20は1つしか図示していないが、発光部20は、本体部11の2面に配置され、各面には2つが配置されるため、発光部20は、4つが設けられている。各発光部20は、それぞれ赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを有しており、制御部60によって赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの点滅制御を独立して行うことができる。また、各発光部20は、制御部60によって赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの光度をそれぞれ制御することが可能になっている。
【0026】
太陽電池30は、保安灯10で用いる電力の発電部になっており、周囲から受けた光を用いて電力の発電を行う。また、太陽電池30は、本実施形態では、周囲の照度を検出する照度検出部50としても用いられており、照度検出部50を兼ねている。つまり、太陽電池30は、太陽電池30で受けた光エネルギーを電力に変換するため、太陽電池30で発生する電力は、太陽電池30で受ける光の光量に応じて変化する。即ち、太陽電池30は、受けた光の光量が多い場合には、多くの電力を発生し、受けた光の光量が少ない場合には、発生する電力が少なくなるので、太陽電池30で発生した電力を検出することにより、保安灯10の周囲の照度を検出することが可能になっている。
【0027】
二次電池35は、太陽電池30で変換した電力を蓄える蓄電部になっており、保安灯10で用いる電力の電源になっている。二次電池35には、周囲から受けた光より太陽電池30で変換した電力が制御部60を介して供給され、蓄電を行う。また、二次電池35は、発光部20で用いる電力を、制御部60を介して発光部20に供給し、発光部20は、二次電池35から供給された電力により発光する。即ち、発光部20は、太陽電池30で変換した電力が二次電池35を介して供給されることにより発光する。また、制御部60も、二次電池35から供給される電力により駆動する。
【0028】
通信部40は、アンテナ41と、通信制御部42とを有しており、制御部60からの信号を無線によって送受信することが可能になっている。このうち、アンテナ41は、無線通信に用いる電波の送受信を行うことができるアンテナになっている。通信制御部42は、電波を用いて信号の送受信を行う際の通信制御を行うことが可能になっている。詳しくは、通信制御部42は、アンテナ41で受信した電波より、電波で搬送される信号を取得して取得した信号を制御部60に送信し、また、制御部60からの信号を電波に乗せてアンテナ41から送信することが可能になっている。通信部40は、例えば、2.4GHz帯の周波数帯の電波を用いることにより、信号の送受信を行うことができる。
【0029】
制御部60は、二次電池35から発光部20に対して供給する電力を制御することにより、発光部20の光度を制御することが可能になっている。制御部60で、発光部20に供給する電力を制御する際には、制御部60は、太陽電池30が兼ねる照度検出部50で検出した照度に基づいて制御する。これにより、発光部20は、照度検出部50で検出した照度に基づいて光度が変化する。
【0030】
また、保安灯装置1(
図7参照)を構成する複数の保安灯10は、それぞれに備えられる通信部40によって保安灯10同士で無線通信を行うことにより、発光部20の点滅制御を行う際における制御信号等の信号の送受信を、互いの制御部60同士の間で行うことが可能になっている。つまり、それぞれの保安灯10の制御部60は、それぞれの保安灯10が有する通信部40同士での無線通信を介して、制御信号の送受信を行うことが可能になっている。
【0031】
本実施形態に係る保安灯10は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。
図7は、実施形態に係る保安灯装置1を使用する際の態様を示す説明図である。複数の保安灯10からなる保安灯装置1を使用する際には、まず、各保安灯10の挿着部15の端部に配置されている電源スイッチ70をONにする。これにより、発光部20は、制御部60を介して二次電池35から供給される電力によって発光することが可能な状態になる。電源スイッチ70をONにしたら、道路上の工事箇所等に配置するロードコーン100に取り付ける。ロードコーン100は、例えば、円錐状の形状で形成され、底面側が下側になる向きで任意の場所に配置される。ロードコーン100を工事箇所に配置する際には、複数のロードコーン100を、工事箇所に沿って、または工事によって車線を規制する際における車線規制の態様に沿って配置する。また、保安灯10を取り付けるロードコーン100は、上端に孔があいているものを用いる。
【0032】
保安灯10は、本体部11が上側に位置し、挿着部15が下側になる向きで、ロードコーン100の上端の孔に挿着部15を差し込む。保安灯10の本体部11は、挿着部15よりも直径が大きな直径で形成されており、本体部11はロードコーン100の孔に入り込まないため、ロードコーン100の孔に挿着部15を差し込んだ保安灯10は、本体部11がロードコーン100の上端に接触する位置で止まる。これにより、保安灯10は、ロードコーン100の上端に取り付けられる。工事箇所等にロードコーン100を複数配置し、各ロードコーン100に保安灯10を取り付ける場合は、複数のロードコーン100に対して、保安灯10をそれぞれ同様に取り付ける。
【0033】
保安灯10は、太陽電池30を備えており、太陽電池30は、太陽電池30で受けた光のエネルギーを電力に変換することが可能になっている。太陽電池30によって変換された電力は、制御部60を介して二次電池35に供給され、二次電池35で蓄えられる。太陽電池30は、保安灯10がロードコーン100に取り付けられた状態では、保安灯10の上端側に位置するため、日中は、太陽光が直接、或いは間接的に照射され易い位置に配置される。このため、太陽電池30は、日中は多くの光エネルギーを効率よく電力に変換することができ、変換した電力を二次電池35で蓄えることができる。
【0034】
制御部60は、発光部20を発光させる際には、このように二次電池35に蓄えられた電力を発光部20に供給することにより発光させる。また、制御部60は、発光部20に供給する電力を制御することにより、発光部20の発光の状態を切り替えることが可能になっているが、発光部20の発光の状態は、保安灯10の周囲の照度と、二次電池35に蓄えられた電力の状態に基づいて切り替える。
【0035】
発光部20を発光させる際には、制御部60は、予め設定されている発光パターンに従って発光部20の点滅制御を行うと共に、通信部40によって保安灯10同士の間で通信を行うことにより、保安灯10同士の間で発光パターンを同期させて点滅制御を行う。発光部20の点滅のさせ方については、詳しくは後述する。
【0036】
保安灯10の周囲の照度に基づく発光部20の発光の状態の切り替えは、保安灯10の周囲の照度と、照度に対して予め設定されている閾値とを比較し、照度が閾値以下であるか否かに基づいて行う。発光部20の発光の状態の切り替えは、通信を行う他の保安灯10から独立して行い、個々の保安灯10で個別に照度と閾値とを比較しながら保安灯10ごとに発光部20の発光の状態を切り替える。照度に対する閾値としては、第1閾値と第2閾値とが設定されており、第2閾値は、第1閾値よりも値が大きい閾値になっている。これらの第1閾値及び第2閾値は、予め設定されて、制御部60に備えられる記憶部に記憶されている。
【0037】
また、保安灯10の周囲の照度は、太陽電池30が兼ねる照度検出部50により検出する。即ち、太陽電池30によって光エネルギーから変換した電力の大きさに基づいて、周囲の照度を検出する。太陽電池30によって変換した電力の大きさに基づいて照度を検出する際には、例えば、太陽電池30に照射される光の照度と、太陽電池30によって光エネルギーから変換する電力の電圧との関係を、予め求めて制御部60の記憶部に記憶しておく。制御部60は、太陽電池30で変換した電力の電圧を取得して電圧の大きさを測定し、制御部60の記憶部に記憶されている照度と電圧との関係に、太陽電池30で変換した電力の電圧を照らし合わせる。これにより、保安灯10の周囲の照度を求めることができる。
【0038】
制御部60は、第1閾値及び第2閾値と、このように照度検出部50で検出した照度とを比較することにより、発光部20の光度を制御する。具体的には、制御部60は、照度検出部50で検出した照度が、値が大きい側の閾値である第2閾値より高い場合は、発光部20を消灯させ、照度検出部50で検出した照度が、値が小さい側の閾値である第1閾値以下である場合は、発光部20を発光させる。さらに、制御部60は、照度検出部50で検出した照度が第1閾値より高く、第2閾値以下である場合は、照度検出部50で検出した照度が第1閾値以下である場合よりも光度を大きくして、発光部20を発光させる。本実施形態では、発光部20の光度を大きくする際には、発光部20の輝度を高くし、発光部20の光度を低くする際には、発光部20の輝度を低くする。
【0039】
発光部20の発光時に、保安灯10の周囲の照度に基づいて光度を制御する際は、発光部20の光度をこれらのように二段階で切り替えて発光させる。即ち、保安灯10の周囲の照度に基づいて光度を切り替えて発光部20を発光させる際には、制御部60は、照度検出部50で検出した照度が第1閾値以下である場合の光度での発光である通常発光と、照度が第1閾値より大きく第2閾値以下である場合の光度での発光であり、光度が通常発光より大きい薄暮発光とに切り替えて発光させる。換言すると、発光部20を発光させる際において、照度検出部50で検出した照度が第1閾値より高く第2閾値以下である場合には、発光部20に供給する電力を、照度が第1閾値以下である場合に発光部20に供給する電力よりも増加させて発光部20を発光させる。
【0040】
また、二次電池35に蓄えられた電力の状態に基づく、発光部20の発光の状態を切り替えは、二次電池35の電圧と、電圧に対して予め設定されている閾値とを比較し、二次電池35の電圧が閾値以下であるか否かに基づいて行う。制御部60は、発光部20を発光させる際に二次電池35から供給される電力の電圧を取得して電圧の大きさを測定し、二次電池35の電圧が所定の閾値以下の場合は、発光部20に供給する電力を、通常発光時に発光部20に供給する電力よりも低下させる。つまり、発光部20を発光させる際において、二次電池35の電圧が所定の閾値以下の場合には、発光部20の光度を、通常発光時の光度よりも低下させた発光である省電力発光にして発光部20を発光させることにより、二次電池35の電力消費量を低減する。
【0041】
ロードコーン100の上端に取り付けられた保安灯10は、これらのように保安灯10の周囲の照度や二次電池35に蓄えられた電力の状態に基づいて、発光部20の発光の状態を切り替えることにより、保安灯10の周囲の照度や二次電池35の蓄電量に適した光度で発光部20が発光する。次に、保安灯10の周囲の照度や、二次電池35の電圧の変化に対する、発光部20の発光状態の遷移について説明する。
【0042】
図8は、保安灯10が有する発光部20の発光状態についての遷移図である。保安灯10は、周囲の照度に基づいて発光部20の光度を変化させるが、日中は、保安灯10の周囲の照度が高いため、発光部20を消灯させる(ST1)。ここで、制御部60は、照度に対する閾値として、第1閾値と、第1閾値より値が大きい第2閾値とを用いる。第1閾値は、保安灯10の周囲が暗くなったか否かを判断する際における照度の閾値になっており、本実施形態では、第1閾値は、300lxに設定されている。また、第2閾値は、保安灯10の周囲が薄暗くなったか否かを判断する際における照度の閾値になっており、400lx以上7000lx以下の範囲内で設定されている。なお、第2閾値は、500lx以上2000lx以下の範囲内で設定されるのが好ましい。本実施形態では、第2閾値は、1000lxに設定されている。日中は、保安灯10の周囲の照度は高く、保安灯10の周囲の照度は第2閾値以上となるため、制御部60は、発光部20を消灯する。
【0043】
日中は照度が高いため、このように発光部20を消灯した状態でも、車両の運転者や歩行者は、太陽光によって保安灯10が取り付けられるロードコーン100を明確に視認することができる。これにより、車両の運転者や歩行者は、ロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を認識することができる。
【0044】
一方で、日中はこのように照度が高いため、太陽電池30は、多くの光エネルギーを電力に変換し、二次電池35に供給する。これにより、二次電池35は、日中は発光部20によって電力が消費されない一方で、太陽電池30から多くの電力が供給されるため、日中は、二次電池35には多くの電力が蓄えられる。
【0045】
発光部20を消灯した状態で時間が経過し、夕暮れとなって保安灯10の周囲の照度が第2閾値以下に低下した場合には、制御部60は、発光部20を薄暮発光させる(ST2)。つまり、太陽電池30が兼ねる照度検出部50により検出される照度が、第2閾値以下で、第1閾値より高い場合は、制御部60は、照度が第1閾値以下である場合の発光である通常発光の光度よりも光度を大きくして、発光部20を発光させる。即ち、薄暮発光では、発光部20の発光時の輝度を、通常発光の輝度よりも高くする。
【0046】
夕暮れ時のような薄暮時は、日中よりも照度が低下しているものの、夜間のように暗くはなっておらず、太陽光によって周囲の状況を視認できる状態なので、車両の運転者の多くは、車両のヘッドライトを点灯させることなく、走行を継続する。しかし、薄暮時は、太陽光による照度自体は日中よりも低下しているため、視認性は低下している。このような場合は、保安灯10の発光部20を発光させることにより、車両の運転者に対して保安灯10を認識させることができるが、薄暮時は夜間より明るいため、夜間と同様に発光部20を発光させても、車両の運転者に対して効果的に認識させ難くなる。
【0047】
このため、薄暮時には、通常発光の光よりも光度を大きくして発光部20を発光させることにより、太陽光により夜間よりも明るい薄暮時であっても、発光部20からの光を目立たせることができる。従って、車両の運転者は、光度が大きい発光部20の光によって保安灯10を認識することができ、保安灯10が取り付けられたロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を、適切に認識することができる。
【0048】
発光部20を薄暮発光にした状態で時間が経過し、夜間になって保安灯10の周囲の照度が第1閾値以下に低下した場合には、制御部60は、発光部20を通常発光させる(ST3)。つまり、太陽電池30が兼ねる照度検出部50により検出される照度が、第1閾値以下である場合は、制御部60は、薄暮発光の光度よりも光度を小さくして、発光部20を発光させる。
【0049】
夜間は、日中や薄暮時と比較して保安灯10の周囲は大幅に暗くなっているため、発光部20の光度を大きくしなくても、発光部20を発光させることにより発光部20からの光を目立たせることができる。従って、車両の運転者は、周囲が暗い夜間に発光する発光部20の光によって保安灯10を認識することができ、保安灯10が取り付けられたロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を、適切に認識することができる。
【0050】
発光部20を通常発光にした状態で時間が経過し、朝明けとなって保安灯10の周囲の照度が第1閾値より高くなった場合には、制御部60は、発光部20を薄暮発光させる(ST4)。つまり、太陽電池30が兼ねる照度検出部50により検出される照度が、夕暮れ時と同様に、第2閾値以下で、第1閾値より高い場合は、制御部60は、発光部20の光度を通常発光の光度から大きくし、薄暮発光で発光部20を発光させる。
【0051】
朝明け時は、夕暮れ時と同様に、日中よりも照度が低いものの、夜間のように暗くはないので、車両の運転者の多くは、車両のヘッドライトを点灯させることなく走行をするが、太陽光による照度が日中より低いため、視認性は日中よりも低くなっている。このため、朝明け時は、夕暮れ時と同様に、発光部20を薄暮発光させることにより、太陽光により夜間よりも明るい朝明け時であっても、発光部20からの光を目立たせることができる。従って、車両の運転者は、光度が大きい発光部20の光によって保安灯10を認識することができ、保安灯10が取り付けられたロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を、適切に認識することができる。
【0052】
発光部20を薄暮発光にした状態で時間が経過し、日中となって保安灯10の周囲の照度が第2閾値より高くなった場合には、制御部60は、発光部20を消灯する(ST1)。朝明けから時間が経過して日中になった場合は、照度が高くなるため、発光部20を消灯しても、車両の運転者や歩行者は、保安灯10が取り付けられるロードコーン100を太陽光によって明確に視認することができる。これにより、車両の運転者や歩行者は、ロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を認識することができる。
【0053】
保安灯10は、これらのように、保安灯10の周囲の照度が第2閾値以下の場合は、制御部60は発光部20を発光させるが、発光部20は、二次電池35から供給される電力によって発光する。二次電池35は、太陽電池30で光エネルギーより変換した電力を蓄え、このように蓄えた電力を発光部20に供給するが、夕暮れ時や夜間のように、太陽電池30に照射される光が少ない場合は、太陽電池30で変換する電力も少なくなる。この場合、二次電池35は、新たな電力はほぼ蓄電されずに、発光部20に電力を供給し続けるため、二次電池35で蓄える電力の蓄電量は、徐々に低下する。
【0054】
二次電池35の蓄電量が低下し、発光部20を発光させるのに必要な電力を二次電池35から発光部20に対して供給できなくなった場合は、発光部20は、発光することができなくなる。このため、発光部20の発光時における光度を制御する際には、二次電池35に蓄えられる電力の電圧が、所定の閾値以上であるか否かにも基づいて行う。即ち、制御部60は、発光部20を発光させる際には、二次電池35の電圧が所定の電圧である電圧閾値以下であるか否かを判定し、二次電池35の電圧が電圧閾値以下である場合は、省電力発光をさせる(ST5)。なお、二次電池35の電圧に対して設定される所定の閾値である電圧閾値は、二次電池35の満充電の状態における電圧に対して、二次電池35の蓄電量が低下したと判断することのできる値で設定される。このため、電圧閾値は、例えば、二次電池35の公称電圧に対して、任意の大きさで小さい値で設定される。
【0055】
発光部20を発光させる際における二次電池35の電圧が電圧閾値以下である場合には、制御部60は、二次電池35から発光部20に供給する電力を、通常発光時に供給する電力よりも低下させる。これにより、発光部20は、光度は通常発光時の光度よりも低くなるものの、消費電力が低下するため、発光部20を発光させることによる、二次電池35の蓄電量の低下を抑制することができる。
【0056】
省電力発光においても、光度は低いものの発光部20は発光するため、太陽光による照度が低下している状態では、車両の運転者や歩行者は、発光部20が消灯時の保安灯10よりも、保安灯10を認識し易くなる。これにより、車両の運転者や歩行者は、ロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を認識することができる。
【0057】
発光部20が省電力発光をしている状態で時間が経過し、日中となって保安灯10の周囲の照度が、第2閾値より高くなった場合には、制御部60は、発光部20を消灯する(ST1)。保安灯10の周囲の照度が、第2閾値より高くなった場合は、発光部20を消灯しても、車両の運転者や歩行者は、保安灯10が取り付けられるロードコーン100を太陽光によって明確に視認することができ、ロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を認識することができる。また、保安灯10の周囲の照度が、第2閾値より高くなった場合は、太陽電池30には、多くの光が照射されるため、太陽電池30は、多くの光エネルギーを電力に変換することができ、変換した電力を二次電池35に蓄えることができる。これにより、日中は、多くの電力を二次電池35に蓄えることができる。
【0058】
次に、このように発光部20の発光状態を切り替える際における制御の手順について説明する。発光部20の発光状態の切り替えの制御は、通信を行う他の保安灯10から独立し、個々の保安灯10でそれぞれ行う。
図9は、制御部60で発光部20の発光状態を切り替える際の制御の流れを示すフロー図である。保安灯10の使用時には、まず、保安灯10の周囲の照度である環境照度を検出する(ステップST11)。環境照度の検出は、照度検出部50を兼ねる太陽電池30によって光エネルギーより変換した電力の電圧を測定し、測定した電圧を、制御部60の記憶部に記憶されている照度と電圧との関係に照らし合わせることにより、環境照度を求める。
【0059】
次に、環境照度は第2閾値以下であるか否かを、制御部60で判定する(ステップST12)。制御部60は、照度検出部50を兼ねる太陽電池30で変換した電力より求められた環境照度と、制御部60の記憶部に記憶されている第2閾値とを比較し、現在の環境照度は第2閾値以下であるか否かを判定する。
【0060】
制御部60での判定により、環境照度は第2閾値より高いと判定された場合(ステップST12、No判定)は、制御部60は、発光部20を消灯させる(ステップST13)。
【0061】
これに対し、制御部60での判定により、環境照度は第2閾値以下であると判定された場合(ステップST12、Yes判定)は、制御部60は、二次電池35の電圧を測定する(ステップST14)。つまり、制御部60は、二次電池35から発光部20に対して供給可能な電力の電圧を測定する。
【0062】
二次電池35の電圧を測定したら、測定した二次電池35の電圧は電圧閾値以上であるか否かを、制御部60で判定する(ステップST15)。即ち、制御部60は、制御部60の記憶部に記憶されている電圧閾値と、測定した二次電池35の電圧とを比較し、二次電池35の現在の電圧は電圧閾値以上であるか否かを判定する。
【0063】
制御部60での判定により、二次電池35の電圧は電圧閾値以上であると判定された場合(ステップST15、Yes判定)は、制御部60は、環境照度は第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップST16)。即ち、制御部60は、制御部60の記憶部に記憶されている第1閾値と現在の環境照度とを比較し、現在の環境照度は第1閾値以下であるか否かを判定する。
【0064】
制御部60での判定により、環境照度は第1閾値以下ではないと判定された場合(ステップST16、No判定)は、制御部60は、発光部20を薄暮発光させる(ステップST17)。即ち、制御部60は、通常発光時における光度よりも大きい光度で、発光部20を発光させる。
【0065】
これに対し、制御部60での判定により、環境照度は第1閾値以下であると判定された場合(ステップST16、Yes判定)は、制御部60は、発光部20を通常発光させる(ステップST18)。即ち、制御部60は、発光部20を、夜間に眩しくなり過ぎることなく発光部20を認識することができる程度の、夜間の発光に適した光度で発光させる。
【0066】
また、ステップST15において、二次電池35の電圧は電圧閾値以上であるか否かの判定を制御部60で行った際に、二次電池35の電圧は電圧閾値未満であると判定された場合(ステップST15、No判定)は、制御部60は、発光部20を省電力発光させる(ステップST19)。即ち、制御部60は、発光部20に供給する電力を、通常発光時に発光部20に供給する電力よりも低下させて、発光部20を発光させる。
【0067】
保安灯10に使用時は、これらを繰り返すことにより、環境照度に適した光度で発光部20を発光させることができ、また、二次電池35で蓄えられている電力が低下した場合でも、電力消費量を低減することができる。
【0068】
次に、発光部20の点滅制御について説明する。
図10は、発光部20を点滅させる際の発光パターンLPの一例を示す模式図である。制御部60は、発光部20を、薄暮発光、通常発光、省電力発光で発光させる際には、発光部20の発光と消灯とを繰り返すことにより、発光部20を点滅させる。発光部20の点滅制御は、予め設定される発光パターンLPに従って発光部20を点滅させることにより行う。発光パターンLPは、発光部20の点滅のパターンになっており、予め設定されて制御部60に備えられる記憶部に記憶されている。具体的には、制御部60の記憶部に記憶される発光パターンLPは、発光パターンLPに従って発光部20を発光させたり消灯させたりする際における発光や消灯の時間、或いは発光や消灯のタイミングが記憶されている。
【0069】
1つの発光部20は、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを有しているが、制御部60は、発光部20を点滅させる際には、1つの発光部20が有する赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとをそれぞれ点滅させる。このように、発光部20を点滅させることにより、車両の運転者や歩行者は、発光部20が点滅する保安灯10を意識し易くなるため、保安灯10が取り付けられるロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を適切に認識することができる。
【0070】
また、発光部20を発光させる際に用いる発光パターンLPは、発光部20の点滅のパターンが互いに異なる複数の発光パターンLPが予め設定されてそれぞれ制御部60の記憶部に記憶されている。制御部60は、予め設定される複数の発光パターンLPを繰り返すことにより、発光部20の点滅制御を行う。本実施形態では、
図10に示すように、発光パターンLPとして、第1発光パターンLP1、第2発光パターンLP2、第3発光パターンLP3の3つが設定されている。
【0071】
それぞれの発光パターンLPの点滅の仕方について説明すると、3つの発光パターンLPのうち第1発光パターンLP1は、赤色発光部20Rを、非常に短い時間間隔で発光と消灯を複数回(本実施形態では5回)繰り返して点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させる。その後、緑色発光部20Gを、非常に短い時間間隔で発光と消灯を複数回(本実施形態では5回)繰り返して点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させる。さらにその後、赤色発光部20Rを、非常に短い時間間隔で発光と消灯を複数回繰り返して点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることを繰り返す発光パターンLPになっている。
【0072】
また、第2発光パターンLP2は、第1発光パターンLP1と同様に、赤色発光部20Rの点滅、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの消灯、緑色発光部20Gの点滅、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの消灯を繰り返す発光パターンLPになっているが、第2発光パターンLP2は、第1発光パターンLP1に対して、赤色発光部20Rや緑色発光部20Gが点滅する回数が多くなっている。本実施形態では、第2発光パターンLP2は、赤色発光部20Rを10回点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させ、さらに、緑色発光部20Gを10回点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることを繰り返す発光パターンLPになっている。
【0073】
また、第3発光パターンLP3は、赤色発光部20Rを、非常に短い時間間隔で発光と消灯を複数回繰り返して点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させる。また、第3発光パターンLP3では、赤色発光部20Rを点滅させることと、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることとを複数回繰り返す。本実施形態では、赤色発光部20Rを点滅させることと、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることとを8回繰り返す。その際に、赤色発光部20Rを点滅させる回数を異ならせながら、赤色発光部20Rの点滅を繰り返す。本実施形態では、赤色発光部20Rを3回点滅させることと、赤色発光部20Rを5回点滅させることとを交互に行う。その後、緑色発光部20Gについても赤色発光部20Rと同様に、緑色発光部20Gを点滅させることと、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることとを複数回(本実施形態では8回)繰り返す。その際に、赤色発光部20Rの点滅と同様に、緑色発光部20Gの点滅についても点滅させる回数を異ならせながら、緑色発光部20Gの点滅を繰り返す。本実施形態では、緑色発光部20Gを3回点滅させることと、緑色発光部20Gを5回点滅させることとを交互に行う。第3発光パターンLP3は、これらのように、赤色発光部20Rの点滅回数を変化させながら、赤色発光部20Rの点滅と、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの消灯を複数回繰り返し、緑色発光部20Gの点滅回数を変化させながら、緑色発光部20Gの点滅と、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの消灯を複数回繰り返すことを繰り返す発光パターンLPになっている。
【0074】
制御部60は、発光パターンLPに従って発光部20の点滅制御を行う際には、第1発光パターンLP1、第2発光パターンLP2、第3発光パターンLP3を順次行い、これらの発光パターンLPを繰り返し行う。その際に、異なる発光パターンLP同士の間には、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの双方を消灯する時間が所定時間挟まれる。つまり、第1発光パターンLP1で所定時間、点滅制御を行った後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを消灯し、第2発光パターンLP2で所定時間、点滅制御を行った後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを消灯し、第3発光パターンLP3で所定時間、点滅制御を行った後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを消灯し、再び、第1発光パターンLP1で点滅制御を行う。制御部60は、これらのように複数の発光パターンLPを繰り返しながら、発光部20の点滅制御を行う。
【0075】
なお、1つの保安灯10は、発光部20を4つ有しているが、発光部20が点滅する際には、1つの保安灯10が有する4つの発光部20は、同じタイミング及び色でそれぞれ点滅する。発光部20を発光させる際には、制御部60は、発光パターンLPに従って発光部20を点滅させつつ、環境照度や二次電池35の電力に応じて発光部20の光度を制御する。
【0076】
ここで、1つの工事箇所には、多くの場合、ロードコーン100は工事箇所に沿って複数が配置されるため、ロードコーン100に保安灯10を取り付ける際には、保安灯10も1つの工事箇所に複数が配置される。保安灯装置1は、このように1つの工事箇所に配置される複数の保安灯10より構成される。保安灯装置1は、1つの工事箇所に配置される複数の保安灯10の発光部20を、同じタイミングで点滅させることができる。即ち、保安灯装置1は、保安灯装置1が有する複数の保安灯10の発光部20が発光する際における発光部20の点滅を、保安灯10同士の間で同期させることができる。保安灯10同士の間での発光部20の点滅の同期は、保安灯10同士で通信をすることにより行う。
【0077】
保安灯10同士の通信は、各保安灯10の電源スイッチ70をONにして保安灯10の電源を投入すると、各保安灯10の通信部40が無線によって互いに通信を行う。保安灯10は、それぞれの保安灯10が有する通信部40同士で無線通信を行うことにより、発光部20を発光させる際の発光パターンLPを同期させ、発光部20を点滅させる際における点滅のタイミングと色を保安灯10同士の間で同期させる。
【0078】
保安灯10同士で同期を行う際における同期の方法についての一例を説明する。
図11は、保安灯10同士で発光部20の発光の同期を取るための同期グループGを作る際の説明図である。保安灯10同士における発光部20の発光の同期は、各保安灯10が有する通信部40同士で無線通信を行うことによって、保安灯10同士で同期を取るグループである同期グループGを作り、同期グループGを構成する複数の保安灯10で発光の同期を行う。同期グループGの作り方について説明すると、保安灯装置1が有する各保安灯10の通信部40は、例えば保安灯10の電源が投入をされた後、発光部20の発光が発光状態である場合に通信部40から他の保安灯10に対して、保安灯10同士で発光パターンの同期を取るための信号を送信する。
【0079】
複数の保安灯10のうち、保安灯10同士で発光パターンの同期を取るための信号を通信部40から最初に送信した保安灯10は、保安灯装置1が有する複数の保安灯10の中で、親機10aとなって動作する。親機10aから無線通信により送信された信号を受信することができる距離の範囲内に配置され、親機10aから送信された同期を取るための信号を受信した保安灯10は、子機10bとなって動作をする。
【0080】
子機10bは、無線通信によって親機10aから信号を通信部40で受信し、子機10bの通信部40は、同期を取るための信号をさらに他の保安灯10に向けて送信をする。子機10bから無線通信により送信された信号を受信することができる距離の範囲内に配置され、子機10bから送信された同期を取るための信号を通信部40で受信した保安灯10も、子機10bとなって動作をし、同期を取るための信号を通信部40から送信をする。
【0081】
例えば、
図11に示す例では、親機10aとなって動作する保安灯10から送信された同期を取るための信号は、親機10aから近い位置に配置される保安灯10で受信する。親機10aから送信された信号を受信した保安灯10は、子機10b間での信号の流れ方向における1番目の子機10bである第1子機10b1となって動作し、同期を取るための信号を他の保安灯10に向けて送信する。
【0082】
第1子機10b1から送信された信号は、第1子機10b1から近い位置に配置される保安灯10で受信する。第1子機10b1から送信された信号を受信した保安灯10は、子機10b間での信号の流れ方向における2番目の子機10bである第2子機10b2となって動作し、同期を取るための信号を他の保安灯10に向けて送信する。
【0083】
第2子機10b2から送信された信号は、第2子機10b2から近い位置に配置される保安灯10で受信する。第2子機10b2から送信された信号を受信した保安灯10は、子機10b間での信号の流れ方向における3番目の子機10bである第3子機10b3となって動作し、同期を取るための信号を他の保安灯10に向けて送信する。
【0084】
保安灯装置1が有する複数の保安灯10は、電源が投入をされた後、発光部20の発光が発光状態である場合に、これらのように動作を行って同期を取るための信号を通信部40で送受信することにより、1つの親機10aと、複数の子機10bとを有する同期グループGが作られる。保安灯装置1は、保安灯装置1が有する複数の保安灯10によって同期グループGが作られることにより、各保安灯10の発光部20の発光時に、同期グループGを構成する保安灯10間で発光部20の点滅を同期させることができる。換言すると、各保安灯10が有する制御部60は、通信部40を介して他の保安灯10の制御部60と通信を行うと共に、通信を行う保安灯10同士の間で発光パターンLPの同期を行うことにより、複数の発光パターンLPの順番とタイミングを、通信を行う保安灯10同士の間で同じ順番とタイミングにして発光部20の点滅制御を行うことができる。
【0085】
ここで、各保安灯10は、照度検出部50で検出する環境照度に応じて、発光部20の発光と消灯とを切り替え、照度検出部50で検出する環境照度が第2閾値以下になった場合に、それぞれの保安灯10が有する発光部20を発光させる。このため、発光部20の点滅の同期は、照度検出部50で検出する環境照度が第2閾値以下になり、各保安灯10の発光部20を薄暮発光や通常発光、省電力発光で発光させる際に行われる。
【0086】
次に、同期グループGを構成する複数の保安灯10で発光部20の点滅を同期させる際における点滅制御について説明する。
図12は、発光パターンLPを同期させて発光部20を点滅させる際の説明図である。照度検出部50で検出する環境照度が第2閾値以下になることにより、各保安灯10が発光部20を発光させる際には、各子機10bは、親機10aの発光パターンLPに同期させて、それぞれ発光部20を点滅させる。
【0087】
具体的には、親機10aの制御部60は、複数の発光パターンLPを繰り返しながら発光部20の点滅制御を行うと共に、通信部40から、発光部20を点滅させる際の発光パターンLPの順番とタイミングについての信号を送信する。即ち、親機10aは、他の保安灯10との間で発光パターンLPを同期させるために、自己の発光部20を発光パターンLPに沿って点滅させつつ、他の保安灯10に対して、自己の発光部20の点滅制御に用いている現在の発光パターンLPについての信号を送信する。親機10aから送信される発光パターンLPについての信号は、親機10aと共に同期グループGを構成する複数の子機10bに順次送信され、各子機10bで受信する。
【0088】
例えば、親機10aから送信された発光パターンLPについての信号は、親機10aから近い位置に配置される第1子機10b1で受信する。親機10aからの信号を通信部40で受信した第1子機10b1の制御部60は、親機10aから送信された発光パターンLPに沿って発光部20を点滅させつつ、他の保安灯10に対して、親機10aから送信された発光パターンLPについての信号を通信部40から送信する。
【0089】
第1子機10b1からの信号は、第1子機10b1から近い位置に配置される第2子機10b2で受信する。第2子機10b2の制御部60は、第1子機10b1から送信された発光パターンLPに沿って発光部20を点滅させつつ、他の保安灯10に対して、第1子機10b1から送信された発光パターンLPについての信号を通信部40から送信する。
【0090】
第2子機10b2からの信号は、第2子機10b2から近い位置に配置される第3子機10b3で受信する。第3子機10b3の制御部60は、第2子機10b2から送信された発光パターンLPに沿って発光部20を点滅させつつ、他の保安灯10に対して、第2子機10b2から送信された発光パターンLPについての信号を通信部40から送信する。
【0091】
同期グループGを構成する複数の保安灯10は、これらのように保安灯10同士の間で発光パターンLPについての信号を送受信しつつ、発光パターンLPに沿って発光部20を点滅させることにより、保安灯装置1を構成する複数の保安灯10で、互いに同じタイミングで発光部20を点滅させることができる。
【0092】
例えば、親機10aが第1発光パターンLP1に沿って発光部20を点滅させる場合には、保安灯10の間で発光パターンLPについての信号を送受信することにより、複数の子機10bも第1発光パターンLP1に沿って発光部20を点滅させる。その際に、保安灯10の間では、点滅のタイミングについての信号も送受信をするため、複数の子機10bは、発光部20の点滅のタイミングも親機10aの点滅のタイミングに合わせながら発光部20を点滅させる。
【0093】
また、保安灯10は、複数の発光パターンLPを繰り返しながら発光部20の点滅制御を行うため、親機10aは、発光パターンLPを第1発光パターンLP1から、第2発光パターンLP2、第3発光パターンLP3に順次切り替えて発光部20の点滅制御を行う。これにより、複数の子機10bも、それぞれ親機10aに合わせて、発光パターンLPを第1発光パターンLP1から、第2発光パターンLP2、第3発光パターンLP3に順次切り替えて発光部20の点滅制御を行う。
【0094】
また、親機10aは、発光パターンLPを第3発光パターンLP3に切り替えた後、さらに切り替える際には、第3発光パターンLP3から第1発光パターンLP1に切り替え、複数の子機10bも同様に、第3発光パターンLP3から第1発光パターンLP1に切り替える。
【0095】
これらにより、保安灯装置1が有する複数の保安灯10は、点滅のパターンが異なる複数の発光パターンLPを、それぞれ同じタイミングで切り替えながら発光部20の点滅制御を行うことができる。このため、保安灯装置1は、保安灯装置1が有する複数の保安灯10の発光部20を、保安灯10同士で同じタイミングで点滅させることが出来ると共に、発光部20の発光パターンLPを、保安灯10同士で同じタイミングで同じ発光パターンLPで、繰り返し順次切り替えて点滅させることができる。
【0096】
これにより、保安灯装置1が配置される工事箇所の近傍を走行する車両の運転者の目には、複数の保安灯10の発光部20からの光が点滅しながら入り込み、さらに、点滅のパターンが変化しながら光が入り込むため、運転者は、発光部20の点滅に対して目が慣れ難くなる。このため、車両の運転者は、点滅のパターンが変化しながら発光部20が発光する複数の保安灯10を意識し易くなるため、保安灯10が取り付けられるロードコーン100を意識し易くなり、ロードコーン100によって示される道路上の工事箇所等を継続的に認識し易くなる。
【0097】
このように、保安灯10同士で無線通信を行いながら発光部20の点滅を同期させる制御は、薄暮発光と通常発光と省電力発光とのいずれの発光状態においても行われる。その際に、照度検出部50で検出した照度や、二次電池35の電圧に基づく発光部20の発光状態の切り替えは、他の保安灯10の発光部20の発光状態に関わらず、保安灯10ごとに発光状態が切り替えられる。つまり、各保安灯10が有する制御部60は、照度検出部50で検出した照度や、二次電池35の電圧に基づいて発光部20に供給する電力を制御することにより、通信を行う他の保安灯10から独立して発光部20の光度を制御する。
【0098】
また、複数の保安灯10が互いに通信を行うことにより作られた同期グループGは、同期グループGを構成する保安灯10間で発光部20の点滅を同期させて発光部20の点滅制御を行った後、照度検出部50で検出する環境照度が第2閾値より高くなることにより発光部20を消灯する際に一旦解消され、発光部20が再度点灯した後、同期グループGも再び作られる。つまり、各保安灯10は、発光部20を消灯している際には同期グループGを作らずに個別に制御を行い、環境照度が第2閾値以下になることにより発光部20を発光させるごとに、複数の保安灯10によって同期グループGを作り、発光部20の点滅を同期させる制御を行う。
【0099】
また、保安灯装置1が有する各保安灯10において発光部20の点滅制御を行う際には、各保安灯10は、複数の発光パターンLPのうち第1発光パターンLP1から点滅制御を開始する。つまり、保安灯装置1が有する複数の保安灯10の制御部60は、いずれも発光部20を発光させる際には第1発光パターンLP1から発光を開始した後、通信を行う保安灯10同士の間で複数の発光パターンLPの順番とタイミングを同じ順番とタイミングにして発光部20の点滅制御を行う。例えば、日中に発光部20が消灯している状態から、環境照度が第2閾値以下になることにより発光部20を発光させる際には、複数の保安灯10の各制御部60は、第1発光パターンLP1から点滅制御を開始し、その後、複数の保安灯10によって同期グループGを作って発光部20の点滅を同期させる制御を行う。具体的には、子機10bとなって動作をする保安灯10は、第1発光パターンLP1から発光を開始した後、同期を開始した時点において、同期グループGとなった親機10a、または上位の子機10bの発光パターンLPに、自己の発光パターンLPを合わせて点滅制御を行う。
【0100】
また、複数の保安灯10より構成される同期グループGに、新たな保安灯10が追加された場合も、追加された保安灯10は、同じ同期グループGを構成する他の保安灯10の発光パターンLPに、自己の発光パターンLPを合わせて点滅制御を行う。例えば、保安灯装置1が有する複数の保安灯10で同期グループGを作った後、いずれかの保安灯10と無線通信を行うことができる位置に、別の保安灯10を新たに配置した場合は、同期グループGには、新たに配置された保安灯10が新たな子機10bとして追加される。同期グループGに新たな子機10bとして追加された保安灯10は、同じ同期グループGの保安灯10との間で通信を行うことにより、発光部20の点滅制御を行う際における発光パターンLPを、同期グループGの上位の子機10bの発光パターンLPに合わせる。
【0101】
なお、同期グループGに新たな保安灯10が新たな子機10bが追加される場合には、同期グループGを構成する複数の保安灯10に対して新たな保安灯10が配置される位置に応じて、子機10b間で通信を行う際における信号の流れ方向における順番を変更してもよい。例えば、第1子機10b1と第2子機10b2との間に新たな保安灯10を配置した場合、新たに配置した保安灯10を第2子機10b2とし、それまでの第2子機10b2を、新たに配置した保安灯10から送信される信号を受信する第3子機10b3としてもよい。同期グループGに新たな保安灯10が追加される場合には、各保安灯10は、発光パターンの同期を取るための信号を保安灯10同士の間で送受信する際における順番を、保安灯10同士で通信を行いながら、新たな保安灯10を含む複数の保安灯10の配置位置に応じて極力近い位置に配置される保安灯10間で信号の送受信を行うように設定するのが好ましい。
【0102】
以上の実施形態に係る保安灯装置1は、複数の保安灯10がそれぞれ有する制御部60によって、予め設定される発光パターンLPに従って発光部20の点滅制御を行うと共に、複数の発光パターンLPを繰り返して発光部20の点滅制御を行う。さらに、各保安灯10は他の保安灯10と通信を行い、通信を行う保安灯10同士の間で発光パターンLPの同期を行うことにより、複数の発光パターンLPの順番とタイミングを、通信を行う保安灯10同士の間で同じ順番とタイミングにして発光部20の点滅制御を行うことができる。これにより、保安灯装置1が有する複数の保安灯10の近傍を車両が走行する際に、車両の運転者に対して発光部20の点滅によって保安灯10を意識させることができ、複数の保安灯10で複数の発光パターンLPを繰り返しながら同期させて点滅させることにより、発光部20の点滅に対して運転者の目を慣れさせないようにすることができる。従って、車両の運転者に対して、保安灯装置1が有する複数の保安灯10の存在を意識させ易くすることができるため、保安灯10が配置される道路上の工事箇所等を継続的に認識させることができ、保安灯装置1による注意喚起の効果を高めることができる。
【0103】
また、保安灯10は、本体部11を覆う透明カバー13が略円筒形の形状で形成されるため、保安灯10が風によって大きな力を受けることを抑制することができる。例えば、本体部11が、発光部20が配置される2つの面が略平面となる、略板状の形状で形成され、本体部11が透明カバー13によって覆われない、または、本体部11を覆う透明カバー13も、発光部20が配置される面を覆う2つの面が略平面となる形状で形成される場合、発光部20が配置される面に対して正面から風が吹いた際に、風が側方に流れ難くなる。これにより、保安灯10は、風からの力を受け易くなるため、風速が速い風が、本体部11における発光部20が配置される面の正面から吹いた場合、保安灯10は、風によって大きな力を受け易くなる。このため、保安灯10は、風からの力によって、例えば、挿着部15が挿し込まれるロードコーン100上で、ロードコーン100に対して回転してしまう可能性がある。この場合、保安灯10は、発光部20の向きが、発光部20によって照射をしたい方向とは異なる方向を向いてしまう可能性があり、発光部20からの光によって、車両の運転者に対して注意喚起を行い難くなる虞がある。
【0104】
これに対し、本実施形態では、本体部11を覆う透明カバー13が略円筒形の形状で形成されるため、保安灯10に対して風が吹いた場合でも、風は略円筒形の透明カバー13に沿って側方に流れるため、保安灯10は、風から大きな力を受けることを抑制することができる。これにより、保安灯10は、比較的強い風が吹いている環境下に配置された場合でも、風によって保安灯10の向きが変わることを抑制することができ、発光部20からの光を所望の方向に向けて照射することができる。この結果、車両の運転者に対して発光部20の点滅によってより確実に保安灯10を意識させることができ、保安灯装置1による注意喚起をより確実に行うことができる。
【0105】
また、発光部20は、太陽電池30で変換した電力によって発光し、制御部60は、照度検出部50で検出した照度に基づいて発光部20の光度を制御するため、保安灯10の周囲の照度に応じて発光部20を適切な光度で発光させることが出来ると共に、発光部20を発光させる際における電力消費量を抑えることができる。また、発光部20の光度に関する情報は通信を行う保安灯10同士の間で送受信を行わず、発光部20の光度は、通信を行う他の保安灯10から独立して制御するため、保安灯10同士で通信を行う際における情報量を低減させることができる。これにより、保安灯10同士で通信を行う際における電力消費量を低減することができる。この結果、発光部20からの光を、車両の運転者や歩行者に対して周囲の照度に応じて適切な光度で視認させることができ、且つ、発光部20の発光時には発光部20を極力長い時間発光させることができる。
【0106】
また、制御部60は、照度検出部50で検出した照度が、第1閾値より高く、第2閾値以下である場合は、照度検出部50で検出した照度が第1閾値以下である場合よりも光度を大きくして発光部20を発光させる。これにより、保安灯10の周囲の照度が、日中よりは低く、夜間よりも高い時間帯では、夜間に発光部20を発光させる際における光度よりも大きな光度で発光部20を発光させることができる。従って、薄暮時のように、環境照度が夜間より高いことにより発光部20の光を認識し難い時間帯においても、発光部20の光を目立たせることができ、車両の運転者や歩行者等に対して、保安灯10を認識させ易くすることができる。この結果、薄暮時における保安灯10の視認性を向上させることができる。
【0107】
また、太陽電池30で変換した電力を蓄える二次電池35を備え、二次電池35の電圧が所定の閾値以下の場合は、発光部20に供給する電力を低下させるため、二次電池35で蓄える電力が低下した場合における電力消費量を低減することができる。これにより、二次電池35で蓄える電力が、発光部20を発光させることができなくなるまで減少することを抑制することができ、発光部20を発光させるタイミングで発光部20を発光させることができなくなることを抑制することができる。この結果、より確実に保安灯10の視認性を向上させることができる。
【0108】
また、照度検出部50は、太陽電池30が兼ねるため、保安灯10の周囲の照度を検出するためのセンサ等を別途設けることなく、照度を検出することができる。この結果、保安灯10の装置構成を簡略化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0109】
また、本実施形態では、発光部20の点滅制御を行う際における発光パターンLPは、第1発光パターンLP1~第3発光パターンLP3のいずれも発光パターンLPにおいても、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの双方が共に消灯をする時間が比較的短くなっている。これにより、発光部20を極力長い時間発光させて発光部20からの光によって車両の運転者に対して注意喚起を行いつつ、保安灯10同士の間で発光パターンLPの同期を行いながら発光パターンLPを切り替えることにより、発光部20の点滅に対して運転者の目を慣れさせないようにすることができる。この結果、従って、車両の運転者に対して、保安灯装置1が有する複数の保安灯10の存在を意識させ易くすることができるため、保安灯装置1による注意喚起の効果を高めることができる。
【0110】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、発光部20の発光パターンLPとして、第1発光パターンLP1、第2発光パターンLP2、第3発光パターンLP3の3つが設定されているが、発光パターンLPは、上述した実施形態に示すパターン以外で設定されていてもよい。
図13は、実施形態に係る保安灯装置1の変形例であり、発光パターンLPが4つのパターンの場合の一例を示す模式図である。発光部20の発光パターンLPとしては、例えば、
図13に示すように、第1発光パターンLP1、第2発光パターンLP2、第3発光パターンLP3、第4発光パターンLP4の4つが設定されていてもよい。
【0111】
それぞれの発光パターンLPの点滅の仕方について説明すると、4つの発光パターンLPのうち第1発光パターンLP1は、赤色発光部20Rを所定の時間発光させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させる。その後、緑色発光部20Gを発光させ、所定時間経過後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させる。さらにその後、赤色発光部20Rを所定の時間発光させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることを繰り返す発光パターンLPになっている。第1発光パターンLP1におけるこれらの発光部20の発光や消灯は、それぞれ比較的短い時間行われる。また、第1発光パターンLP1において赤色発光部20Rや緑色発光部20Gを発光させる時間は、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを消灯させる時間よりも短くなっている。
【0112】
また、第2発光パターンLP2は、赤色発光部20Rを、非常に短い時間間隔で発光と消灯を複数回(
図13に示す例では3回)繰り返して点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させる。その後、緑色発光部20Gを、非常に短い時間間隔で発光と消灯を複数回(
図13に示す例では3回)繰り返して点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させる。さらにその後、赤色発光部20Rを、非常に短い時間間隔で発光と消灯を複数回繰り返して点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることを繰り返す発光パターンLPになっている。
【0113】
また、第3発光パターンLP3は、第1発光パターンLP1と同様に、赤色発光部20Rを所定の時間発光させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させ、緑色発光部20Gを所定の時間発光させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることを繰り返す発光パターンLPになっている。また、第3発光パターンLP3は、赤色発光部20Rを発光させる時間や緑色発光部20Gを発光させる時間、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを消灯させる時間が、第1発光パターンLP1に対してそれぞれ長くなっている。
【0114】
また、第4発光パターンLP4は、赤色発光部20Rを、非常に短い時間間隔で発光と消灯を複数回(
図13に示す例では3回)繰り返して点滅させた後、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させる。その後、第4発光パターンLP4では、第2発光パターンLP2とは異なり、赤色発光部20Rを点滅させることと、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることとを複数回繰り返す。
図13に示す例では、赤色発光部20Rを点滅させることと、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることとを4回繰り返す。その後、緑色発光部20Gについても赤色発光部20Rと同様に、緑色発光部20Gを点滅させることと、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを所定の時間消灯させることとを複数回(
図13に示す例では4回)繰り返す。第4発光パターンLP4は、これらのように、赤色発光部20Rの点滅と、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの消灯を複数回繰り返し、緑色発光部20Gの点滅と、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとの消灯を複数回繰り返すことを繰り返す発光パターンLPになっている。
【0115】
これらのように、発光パターンLPの種類や、発光部20の発光時間と消灯時間のバリエーションを増やして発光部20の点滅制御を行うことにより、発光部20の点滅に対して、車両の運転者の目をより確実に慣れさせないようにすることができる。これにより、車両の運転者に対して、保安灯装置1が有する複数の保安灯10の存在をより意識させ易くすることができるため、保安灯装置1による注意喚起の効果を高めることができる。
【0116】
また、保安灯10の発光部20を発光させる際における発光パターンLPは、上述した実施形態や
図13に示す変形例以外のパターン以外であってもよい。発光部20を発光させる際における発光パターンLPは、発光部20の点滅を変化させることによって車両の運転者の目を慣れさせないようにすることができれば、点滅の形態や発光パターンLPの数は問わない。
【0117】
また、上述した実施形態では、照度を検出する照度検出部50は、太陽電池30が兼ねているが、照度検出部50は、太陽電池30とは別の部材が用いられていてもよい。照度検出部50は、例えば、受光した光の照度を検出することのできる照度センサが用いられていてもよい。照度検出部50は、保安灯10の周囲の照度を検出することができ、検出結果を、発光部20の発光と消灯との切り替えや、発光時における光度の制御に用いることができるものであれば、その手段や構成は問わない。
【0118】
また、上述した実施形態では、発光部20は、発光時の輝度が変化することにより、光度を変化させることが可能になっているが、発光部20は、輝度が変化すること以外によって、光度が変化するように構成されていてもよい。発光部20は、例えば、発光する発光部20の数を変化させることにより、発光時における光度を変化させるように構成されていてもよい。つまり、薄暮発光では、通常発光よりも発光する発光部20の数を多くすることにより、薄暮発光の光度が、通常発光の光度よりも大きくなるようにしてもよい。発光部20は、薄暮発光が通常発光よりも明るくなるように発光することができれば、発光時の光度を変化させるための手法は問わない。
【0119】
また、上述した実施形態では、第1閾値は300lxに設定され、第2閾値は1000lxに設定されているが、第1閾値や第2閾値は、これ以外の値であってもよい。また、上述した実施形態では、日中から夜間に向かう場合のように環境照度が低くなる際における第1閾値や第2閾値と、夜間から日中に向かう場合のように環境照度が高くなる際における第1閾値や第2閾値とで、同じ値にしているが、環境照度が変化する方向によって、第1閾値や第2閾値の値を異ならせてもよい。つまり、発光部20が消灯している状態から薄暮発光に切り替える際の判定に用いる第2閾値と、薄暮発光から消灯に切り替える際の判定に用いる第2閾値とを、異なる大きさにしてもよい。同様に、薄暮発光から通常発光に切り替える際の判定に用いる第1閾値と、通常発光から薄暮発光に切り替える際の判定に用いる第1閾値とを、異なる大きさにしてもよい。これらのように、環境照度が変化する方向、即ち、発光部20の発光状態の切り替えの方向によって、第1閾値や第2閾値の大きさを異ならせることにより、環境照度が、発光部20の発光状態が切り替わる付近の照度である際に、照度の僅かな変化によって、発光部20の発光状態が頻繁に切り替わることを抑制することができる。
【0120】
また、上述した実施形態では、発光部20には、LEDが用いられているが、発光部20は、LED以外の光源が用いられてもよい。また、発光部20は、赤色発光部20Rと緑色発光部20Gとを有しているが、発光部20が発光する際における光の色は、赤や緑以外であってもよい。発光部20が発光する際における光の色は、赤や緑以外であったり、単色や三色以上であったりしてもよい。また、発光部20の発光時における点滅の仕方も、実施形態で示した点滅パターン以外であってもよい。また、発光部20の点滅制御を行う際の発光パターンLPも、4つ以外のパターンで設定されていてもよい。発光部20は、発光時に車両の運転者等が認識し易く、注意喚起を行い易い色が用いられるのが好ましく、点滅パターンも、注意喚起を行い易いパターンが用いられるのが好ましい。
【0121】
また、上述した実施形態では、太陽電池30で変換した電力を蓄える蓄電部として、二次電池35が用いられているが、蓄電部は、二次電池35以外であってもよい。蓄電部は、例えば、キャパシタが用いられてもよい。
【0122】
また、上述した実施形態では、ロードコーン100の上端に取り付けて使用する保安灯10について説明しているが、保安灯10は、ロードコーン100に取り付ける形態以外であってもよい。保安灯10は、例えば、道路上等に直接配置することにより、工事箇所等を示すことができるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 保安灯装置
10 保安灯
10a 親機
10b 子機
11 本体部
12 取付け部
13 透明カバー
13a 凸部
13b 凹部
15 挿着部
20 発光部
20R 赤色発光部
20G 緑色発光部
30 太陽電池
35 二次電池
40 通信部
41 アンテナ
42 通信制御部
50 照度検出部
60 制御部
70 電源スイッチ
100 ロードコーン