(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084385
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20240618BHJP
H02K 1/16 20060101ALI20240618BHJP
H02K 3/46 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H02K1/18 C
H02K1/16 Z
H02K3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198633
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友久
【テーマコード(参考)】
5H601
5H604
【Fターム(参考)】
5H601AA02
5H601AA08
5H601AA09
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE12
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GD02
5H601GD18
5H601JJ06
5H604AA06
5H604AA08
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604QA00
(57)【要約】
【課題】耐振性を向上する。
【解決手段】ステータは、導電部材と、環状のケースと、磁性体とを備える。導電部材は、螺旋状に巻き回された、帯状の外形を有する。環状のケースは、前記導電部材を収容する。磁性体は、前記環状のケースを通過する。前記ケースの内面は、前記導電部材の巻回軸方向において、複数の嵌合部を備える。前記導電部材は、当該導電部材の巻回軸方向において、複数の被嵌合部を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に巻き回された、帯状の外形を有する導電部材と、
前記導電部材を収容する、環状のケースと、
前記環状のケースを通過する磁性体と、を備え、
前記ケースの内面は、前記導電部材の巻回軸方向において、複数の嵌合部を備え、
前記導電部材は、当該導電部材の巻回軸方向において、複数の被嵌合部を備える、
ステータ。
【請求項2】
前記ケース内に樹脂部材があり、
前記樹脂部材が前記導電部材の一部を覆っている、
請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記ケースの内面の嵌合部は、前記導電部材の巻回軸方向に延在する突出部であり、
前記導電部材の被嵌合部は、孔部であり、
前記突出部が前記孔部内にある、
請求項1に記載のステータ。
【請求項4】
前記磁性体は、前記導電部材の巻回軸方向に延在する第1の部分と、当該第1の部分から離れる方向に延在する第2の部分と、を備え、
前記導電部材の巻回軸方向において、前記磁性体の第2の部分と、当該磁性体の第2の部分に対向する前記ケースの外面とが嵌合している、
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のステータ。
【請求項5】
前記磁性体の第2の部分に対向する前記ケースの外面の嵌合部は、前記導電部材の巻回軸方向に延在する突出部であり、
前記磁性体の第2の部分の被嵌合部は、凹部であり、
前記突出部が前記凹部内にある、
請求項4に記載のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの高出力化に伴い、大電力化に対応するために、コイルの断面積を大きくできるエッジワイズコイルや、その形状に準ずる平板コイルを用いる技術が知られている。平板コイルは、例えばボビン等に挿入することにより、ステータの磁性体に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-97270号公報
【特許文献2】特開2004-274965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平板コイルは、ばね形状を有しているため、モータの振動に共振しやすい。また、平板コイルをステータの磁性体に配置する際に、平板コイルを十分に固定させることができないことがあるため、耐振性が低下することがある。
【0005】
一つの側面では、耐振性を向上できるステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、ステータは、導電部材と、環状のケースと、磁性体とを備える。導電部材は、螺旋状に巻き回された、帯状の外形を有する。環状のケースは、前記導電部材を収容する。磁性体は、前記環状のケースを通過する。前記ケースの内面は、前記導電部材の巻回軸方向において、複数の嵌合部を備える。前記導電部材は、当該導電部材の巻回軸方向において、複数の被嵌合部を備える。
【0007】
一つの態様によれば、耐振性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態におけるステータコアに取り付けられた分割コアの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態における分割コアの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態における分割コアの一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態における分割コアの一例を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態における分割コアの一例を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の変形例における分割コアの一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の変形例における分割コアの一例を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、第1の変形例における分割コアの一例を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、第2の変形例におけるコイルのハウジングへの取り付け工程の一例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第2の変形例における分割コアの一例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第2の変形例における分割コアの一例を示す断面斜視図である。
【
図12】
図12は、第3の変形例におけるコイルのハウジングへの取り付け工程の一例を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、第3の変形例におけるハウジングに収容されたコイルの一例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第3の変形例におけるハウジングに収容されたコイルの係合部の一例を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示するステータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。各図面において、説明を分かりやすくするために、後に説明するシャフト99が延在する方向を軸方向とし、後に説明するロータ91の径方向における外側を正方向とする座標系を図示する場合がある。
【0010】
[実施形態]
まず、実施形態におけるステータについて、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態におけるステータコアに取り付けられた分割コアの一例を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態におけるモータ1は、ステータ80と、ロータ91とを備える。モータ1は、例えばロータ91が、ステータ80に対して径方向における内側に配置される、いわゆるインナーロータ型のモータである。また、モータ1は、例えば図示しないフレームに収容される。
【0011】
ロータ91は、モータ1において回転軸であるシャフト99を中心に回転可能に設けられる。ロータ91は、シャフト99と、ロータヨーク(ヨーク)と、図示しないマグネットとを備える。
【0012】
シャフト99は、回転軸であって、ロータ91の径方向における最も内側において、円柱状に形成される。ロータヨークは、例えば鉄などの磁性材料で円筒状に形成される。そして、ロータ91の内周面は、シャフト99の外周面に接触するように配置される。
【0013】
ステータ80は、ステータコア81と、複数の分割コア2とを備える。ステータコア81は、例えばステンレス鋼や磁性鋼板などの磁性体を、軸方向に複数積層することによって形成される、環状の部材である。ステータコア81の内周面には、
図1に示すように、径方向における外側に窪んだ凹部84が複数形成される。
【0014】
複数の分割コア2はそれぞれ、ステータコア81の凹部84に固定される。なお、
図1においては分割コア2を1つだけ図示しているが、分割コア2は、例えば
図1に示す12個の凹部84に1つずつ収容される。
【0015】
実施形態における分割コア2は、
図2及び
図3に示すように、磁性体10と、ケース20と、コイル50とを備える。
図2及び
図3は、実施形態における分割コアの一例を示す斜視図である。
図2は、分割コア2を、径方向における負方向側、すなわち内側から見た状態を示し、
図3は、径方向における正方向側、すなわち外側から見た状態を示す。
【0016】
図4及び
図5に示すように、導電部材としてのコイル50は、螺旋状に巻き回された、帯状の外形54を有する。
図4及び
図5は、実施形態における分割コアの一例を示す分解斜視図である。
図4は、分割コア2を構成する各部材を、径方向における負方向側、すなわち内側から見た状態を示し、
図5は、径方向における正方向側、すなわち外側から見た状態を示す。コイル50は、例えば、エッジワイズコイルなど、断面積を大きくできるコイルである。コイル50は、径方向を巻回軸方向として、例えば銅等の金属で形成された平板状の導電部材を螺旋状に巻き回すことで形成される。帯状の外形54は、巻回軸方向に対して、略矩形状に巻き回される。なお、コイル50は、導電部材の一例である。
【0017】
また、
図4及び
図5に示すように、コイル50は、軸方向における正方向側に突出した端子51及び52を有する。端子51は、径方向における負方向側に位置し、端子52は、径方向における正方向側に位置する。
【0018】
また、コイル50は、径方向、すなわちコイル50の巻回軸方向に延在する貫通孔53a乃至53c及び孔部54eを有する。貫通孔53a乃至53cは、例えば、略矩形状の外形54における4つの角部のうち、端子51及び52が形成されない部分に、それぞれ形成される。孔部54eは、外形54により囲まれた部分である。なお、貫通孔53a乃至53cは、複数の被嵌合部の一例である。
【0019】
磁性体10は、例えば、ステンレス鋼などの金属板を、軸方向において積層することにより形成される。
図3に示すように、磁性体10は、第1の部分11と、一対の第2の部分12とを有する。第1の部分11は、
図4に示すように、巻回軸方向、すなわち径方向において、外側に延在する。第1の部分11の一部は、分割コア2において径方向における外側に突出し、
図1に示すようにステータコア81の凹部84に嵌合する。第2の部分12は、周方向における両方向側において、第1の部分11から離れる方向に延在する。
【0020】
図2及び
図3に示すケース20は、例えば樹脂製の部材であり、径方向における内側に位置するハウジング30と、外側に位置する蓋40とを有する。コイル50は、
図4及び
図5に示すように、ハウジング30に収容され、また蓋40に径方向における外側から覆われる。
【0021】
図4及び
図5に示すように、ハウジング30は、背面31と、内壁32と、外壁33とを有する。背面31は、径方向における負方向側に位置する。内壁32及び外壁33は、背面31から、径方向における正方向側に延在する。内壁32で囲まれた部分は、径方向に延在する貫通孔32eを形成する。また、内壁32と、外壁33との間には、径方向における正方向側に開いた開口35eが形成される。なお、外壁33には、
図4及び
図5に示すように、軸方向における正方向側に開いた開口33dが形成される。
【0022】
ハウジング30の背面31の径方向における正方向側の面には、コイル50の巻回軸方向、すなわち径方向において、外側に突出する3つの突出部34a乃至34cが形成される。突出部34a乃至34cは、それぞれコイル50の貫通孔53a乃至53cと対応する位置に形成される。この場合において、突出部34aは貫通孔53aと、突出部34bは貫通孔53bと、突出部34cは貫通孔53cと、それぞれ径方向において対向する。なお、ハウジング30の背面31の径方向における正方向側の面は、ケースの内面の一例であり、突出部34a乃至34cは、複数の嵌合部の一例である。
【0023】
図4及び
図5に示すように、コイル50がハウジング30に収容される際に、嵌合部となる突出部34a乃至34cは、それぞれ被嵌合部となる貫通孔53a乃至53cに、それぞれ嵌合する。すなわち、ハウジング30の内面31は、コイル50の巻回軸方向において、複数の嵌合部34a乃至34cを備える。また、コイル50は、コイル50の巻回軸方向において、複数の被嵌合部53a乃至53cを備える。また、ハウジング30の内面31の嵌合部34a乃至34cは、コイル50の巻回軸方向に延在する突出部であり、コイル50の被嵌合部53a乃至53cは、孔部である。この場合において、突出部34aが孔部53a内にあり、突出部34bが孔部53b内にあり、突出部34cが孔部53c内にある。
【0024】
また、
図4及び
図5に示すように、磁性体10は、径方向における負方向側から、ハウジング30の内側の貫通孔32eに挿通される。また、開口35eには、コイル50が、径方向における正方向側から収容される。この場合において、内壁32の内側の面は、磁性体10の第1の部分11と対向するとともに接する一方、内壁32の外側の面は、コイル50の孔部54eと対向するとともに接する。この場合において、樹脂製の内壁32は、磁性体10の第1の部分11と、コイル50とを絶縁する。また、コイル50の端子51及び52は、
図2及び
図3に示すように、ハウジング30の外壁33に形成された開口33dから、軸方向における正方向側に突出する。
【0025】
また、蓋40は、3つの貫通孔43a乃至43cと、孔部45eとを有する。貫通孔43a乃至43cは、それぞれハウジング30の突出部34a乃至34cと対応する位置に形成され、孔部45eは、ハウジング30の内壁32と対応する位置に形成される。この場合において、貫通孔43aには突出部34aが、貫通孔43bには突出部34bが、貫通孔43cには突出部34cが、それぞれ嵌合する。また、孔部45eは、内壁32と嵌合する。
【0026】
以上説明したように、本実施形態におけるステータは、螺旋状に巻き回された、帯状の外形を有する導電部材(コイル50)と、コイル50を収容する、環状のケース20と、環状のケース20を通過する磁性体10と、を備える。ケース20の内面31は、コイル50の巻回軸方向において、複数の嵌合部34a乃至34cを備え、コイル50は、コイル50の巻回軸方向において、複数の被嵌合部53a乃至53cを備える。かかる構成によれば、導電部材をより確実にステータに固定できるため、耐振性を向上できる。
【0027】
なお、コイル50の断面積を大きくできるという観点から、コイル50に形成される孔部53a乃至53cの断面積を小さくすることが好ましい。
【0028】
以上、本実施形態における構成について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、突出部34a乃至34cが、蓋40に形成されるような構成であってもよく、蓋が径方向における負方向側に位置するような構成であってもよい。また、ケース20がハウジング30と蓋40とを備える構成について説明したが、ハウジングと蓋とが一体に形成されるような構成であってもよい。
【0029】
また、コイル50の孔部53a乃至53cは、巻回軸方向に貫通した孔部ではなく、巻回軸方向において貫通していない凹部であってもよい。この場合において、蓋40にも、巻回軸方向における正方向側に突出した突出部が形成され、コイルが、ケース20の突出部34a乃至34cと係合する、巻回軸方向における負方向側に窪んだ凹部と、蓋40の突出部と係合する、巻回軸方向における正方向側に窪んだ凹部とを備えてもよい。
【0030】
また、端子51及び52が、いずれも軸方向における正方向側に突出する構成について説明したが、実施の形態はこれに限られない。例えば、端子が軸方向における負方向側や径方向における外側など、その他の方向に突出していてもよく、また2つの端子がそれぞれ異なる方向に向いていてもよい。
【0031】
[第1の変形例]
また、
図6に示すように、導電部材の巻回軸方向において、磁性体の第2の部分と、当該磁性体の第2の部分に対向するケースの外面とが嵌合するような構成であってもよい。
図6は、第1の変形例における分割コアの一例を示す斜視図である。なお、以下の各実施形態及び各変形例において、先に説明した図面に示す部位と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0032】
図6に示すように、第1の変形例における分割コア3は、磁性体100と、コイル50と、ケース200とを備える。ケース200は、ハウジング300と、蓋40とを備える。なお、第1の変形例における分割コア3を径方向における正方向側から見た形状は、
図3に示す分割コア2の形状と略同一である。
【0033】
図7及び
図8に示すように、第1の変形例において、磁性体100の第2の部分120には、径方向における外側に向かって窪んだ2つの凹部12a及び12bが形成される。
図7及び
図8は、第1の変形例における分割コアの一例を示す分解斜視図である。
図7に示すように、2つの凹部12a及び12bは、磁性体100の第1の部分11に対して、それぞれ周方向における一方側及び他方側に、それぞれ形成される。なお、凹部12a及び12bは、磁性体の第2の部分の被嵌合部の一例である。
【0034】
また、
図7に示すように、ハウジング300の背面310の径方向における負方向側の面は、突出部31a及び31bを備える。突出部31aは、径方向において、凹部12aと対向する位置に形成され、突出部31bは、径方向において、凹部12bと対向する位置に形成される。なお、ハウジング300の背面310の径方向における負方向側の面は、ケースの外面の一例であり、突出部31a及び31bは、ケースの外面の嵌合部の一例である。
【0035】
第1の変形例において、突出部31aは、
図6に示すように、磁性体100の第2の部分120の凹部12aに嵌合する。同様に、突出部31bは、凹部12bに嵌合する。すなわち、磁性体100の第2の部分120に対向するケース200の外面310の嵌合部31a及び31bは、コイル50の巻回軸方向に延在する突出部であり、磁性体100の第2の部分120の被嵌合部12a及び12bは、凹部であり、突出部31aが凹部12a内にある。また、突出部31bが凹部12b内にある。
【0036】
なお、磁性体100に凹部が形成され、ケース200に突起が形成される構成の代わりに、磁性体に突起が形成され、ケースに凹部又は切り欠きが形成されていてもよい。また、磁性体100の周方向における一方側に凹部が形成され、他方側に凸部が形成されるような構成であってもよい。かかる構成において、ハウジング300の周方向における一方側には凸部が形成され、他方側に凹部が形成されることにより、磁性体100とハウジング300とが嵌合する。
【0037】
以上説明したように、第1の変形例におけるステータにおいて、磁性体100は、コイル50の巻回軸方向に延在する第1の部分11と、第1の部分11から離れる方向に延在する第2の部分120と、を備える。また、コイル50の巻回軸方向において、磁性体100の第2の部分120と、磁性体100の第2の部分120に対向するハウジング300の外面310とが嵌合している。かかる構成によれば、コイル50が固定されたケース200が、さらに磁性体100と嵌合することにより、分割コア3の耐振性をより向上できる。
【0038】
[第2の変形例]
また、実施形態におけるコイル50の外形は、
図5に示すように、ケース20の外壁33の内形と略同一であるが、実施の形態はこれに限られない。例えば、導電部材の外形がケースの外壁33の内径よりも小さい場合において、ケースの外壁33と、ケースに収容される導電部材との隙間が、ワニスなどの樹脂に覆われていてもよい。
【0039】
図9は、第2の変形例におけるコイルのハウジングへの取り付け工程の一例を示す斜視図である。
図9に示すように、第2の変形例における分割コア4において、コイル60の外形64の幅W2は、開口35eの幅W1よりもやや小さい。この場合において、第2の変形例におけるコイル60の外形64と、ケース20の外壁33とは、隙間G1を介して対向する。なお、コイル60は、導電部材の別の一例である。
【0040】
図10は、第2の変形例における分割コアの一例を示す斜視図である。
図10に示すように、コイル60の端子61及び62の幅W3は、第1の変形例における分割コア3のコイル50の端子51及び52の幅より小さい。この場合において、開口33dの周方向におけるコイル60の一方側の端部と端子61及び62との間には、隙間G2が形成される。なお、分割コア4の外観は、上記した端子61及び62の幅を除き、
図2及び
図3に示す分割コア2の外観と略同一である。
【0041】
第2の変形例において、コイル60がケース200に収容された後に、コイル60とケース20のハウジング30の外壁33との隙間G1及びG2には、例えばワニスなどの液状の樹脂が充填される。樹脂は、例えばハウジング30の開口33dから、軸方向における負方向側に向かって充填される。そして、充填された樹脂が硬化することにより、樹脂部材69が形成される。
【0042】
図11は、第2の変形例における分割コアの一例を示す断面斜視図である。
図11は、
図10を面S1で切断した断面を示す。
図11に示すように、コイル60の外形64は、他の部材としての樹脂部材69を介して、ハウジング30の外壁33と対向する。この場合において、コイル60は、樹脂部材69を介して、ケース20に固定される。なお、開口33dの部分も樹脂部材69で覆われていても構わない。
【0043】
かかる構成において、ケース20内に樹脂部材69があり、樹脂部材69がコイル60の一部を覆っている。これにより、コイル60がより確実に分割コア4に固定され、また樹脂部材69により振動が吸収されるため、モータ1の振動がコイル60へ伝わることがより抑制される。さらに、熱伝導性のよい樹脂部材69及びケース20を介して、コイル60からの放熱が促進される。
【0044】
[第3の変形例]
また、導電部材が、突出部34a~34cと係合する貫通孔53a乃至53cに代えて、
図12に示すように、突出部34a~34cと径方向において対向する凹部を備える様な構成であってもよい。
図12は、第3の変形例におけるコイルのハウジングへの取り付け工程の一例を示す斜視図である。
図12に示すコイル600は、ハウジング30の突出部34aと径方向において対向する位置において、外形640の一部が切り欠かれた凹部65aを有する。同様に、コイル600は、突出部34bと径方向において対向する位置において凹部65bを有し、突出部34cと径方向において対向する位置において凹部65cを有する。
【0045】
かかる構成において、コイル600がハウジング30に収容される際、コイル600の凹部65a乃至65cは、
図13に示すように、それぞれハウジング30の突出部34a乃至34cと、軸方向及び周方向において接する。
図13は、第3の変形例におけるハウジングに収容されたコイルの一例を示す斜視図である。
図13は、第3の変形例における分割コア5から、蓋40及び磁性体10を取り除いた状態を示す。なお、第3の変形例における分割コア5の形状は、
図10に示す第2の変形例における分割コア4の形状と略同一である。
【0046】
第2の変形例と同様に、ハウジング30に収容されたコイル600の外形640と、ハウジング30の外壁33との隙間には、
図13に示すように、樹脂部材690の一部である樹脂部材691が存在する。
【0047】
また、第3の変形例においては、凹部65bと外壁33との間に、
図13及び
図14に示すように、樹脂部材690の一部69bが存在する。
図14は、第3の変形例におけるハウジングに収容されたコイルの係合部の一例を示す拡大斜視図である。
図14は、
図13の枠F1に示す部分を拡大した図である。同様に、凹部65aと外壁33との間には、樹脂部材690の一部69aが存在し、凹部65cと外壁33との間には、樹脂部材690の一部69cが存在する。かかる構成によれば、コイル600を固定する樹脂部材690の容積を大きくできるので、より耐振性を向上できる。
【0048】
なお、第2の変形例及び第3の変形例のように、樹脂部材69等により導電部材をケースに固定できる場合、例えばケースが蓋40を備えないような構成であってもよい。
【0049】
また、実施形態及び各変形例におけるステータは、ステータがロータに対して径方向における内側に位置する、いわゆるアウターロータ型のモータに用いられてもよい。
【0050】
なお、実施形態及び各変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、第2の変形例及び第3の変形例において、実施形態で示した磁性体10及びケース20の代わりに、第1の変形例で示した磁性体100及びケース200を用いてもよい。
【0051】
以上、本発明を実施形態及び各変形例に基づき説明したが、本発明は実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0052】
1 モータ、2,3,4,5 分割コア、10,100 磁性体、11 第1の部分、12,120 第2の部分、20,200 ケース、30,300 ハウジング、31,310 背面、31a~31b 突出部、32 内壁、32e 貫通孔、33 外壁、33d 開口、34a~34c 突出部、35e 開口、40 蓋、43a~43c 貫通孔、45e 孔部、50,60,600 コイル、51,52,61,62 端子、53a~53c 貫通孔、54,64,640 外形、54e 孔部、65a~65c 凹部、69,690 樹脂部材、80 ステータ、81 ステータコア、84 凹部、91 ロータ、99 シャフト