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特開2024-84388成形型、および射出成形装置の評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084388
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】成形型、および射出成形装置の評価方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/70 20060101AFI20240618BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240618BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20240618BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B29C33/70
B29C45/26
B29C45/76
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198636
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正幸
(72)【発明者】
【氏名】笹川 翔
(72)【発明者】
【氏名】山口 珠莉
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM19
4F202AM21
4F202AM23
4F202AR07
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CL42
4F202CL50
4F202CR01
4F202CR03
4F202CR06
4F202CS01
4F206AM19
4F206AM21
4F206AM23
4F206AR07
4F206AR12
4F206JA07
4F206JD04
4F206JL02
4F206JP01
4F206JQ81
4F206JQ82
(57)【要約】
【課題】第1射出成形装置で使用される固定型および可動型を、第2射出成形装置で使用できる成形型を提供する。
【解決手段】固定型と、前記固定型に対向する可動型と、前記固定型が組み込まれる第1開口部が形成され、前記固定型を固定する第1プレートと、前記可動型が組み込まれる第2開口部が形成され、前記可動型を固定する第2プレートと、を含み、前記固定型および前記可動型は、キャビティーを形成し、前記固定型および前記可動型は、第1射出成形装置に取り付け可能な大きさを有し、前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記第1射出成形装置と異なる第2射出成形装置に取り付け可能な大きさを有する、成形型。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型と、
前記固定型に対向する可動型と、
前記固定型が組み込まれる第1開口部が形成され、前記固定型を固定する第1プレートと、
前記可動型が組み込まれる第2開口部が形成され、前記可動型を固定する第2プレートと、
を含み、
前記固定型および前記可動型は、キャビティーを形成し、
前記固定型および前記可動型は、第1射出成形装置に取り付け可能な大きさを有し、
前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記第1射出成形装置と異なる第2射出成形装置に取り付け可能な大きさを有する、成形型。
【請求項2】
請求項1において、
前記固定型および前記可動型は、
前記固定型が前記第1プレートに固定されず、かつ、前記可動型が前記第2プレートに固定されない第1状態で、前記第1射出成形装置に取り付けられて使用され、
前記固定型が前記第1プレートに固定され、かつ、前記可動型が前記第2プレートに固定された第2状態で、前記第2射出成形装置に取り付けられて使用される、成形型。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1射出成形装置の第1ノズルの形状と、前記第2射出成形装置の第2ノズルの形状とは、異なり、
前記固定型には、前記第1ノズルに接し前記第1ノズルの形状に対応する第1ノズル接触部と、前記第2ノズルに接し前記第2ノズルの形状に対応する第2ノズル接触部とが、交換可能に組み込まれる第3開口部が形成されている、成形型。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記固定型の硬度は、前記第1プレートの硬度よりも大きく、
前記可動型の硬度は、前記第2プレートの硬度よりも大きい、成形型。
【請求項5】
請求項2において、
前記第2状態では、以下の第1条件および第2条件のうちの少なくとも一方を満たす、成形型。
前記第1条件:前記固定型のキャビティー面は、前記第1プレートの前記第2プレートと対向する第1対向面よりも、前記可動型側に位置している。
前記第2条件:前記可動型のキャビティー面は、前記第2プレートの前記第1プレートと対向する第2対向面よりも、前記固定型側に位置している。
【請求項6】
請求項2または5に記載の前記固定型および前記可動型を前記第1状態で取り付けた前記第1射出成形装置から前記キャビティーに向けて造形材料を射出して、第1成形品を成形する工程と、
請求項2または5に記載の前記固定型および前記可動型を前記第2状態で取り付けた前記第2射出成形装置から前記キャビティーに向けて前記造形材料を射出して、第2成形品を成形する工程と、
前記第1成形品と前記第2成形品とを比較して、前記第1射出成形装置および前記第2射出成形装置の少なくとも一方を評価する工程と、
を含む、射出成形装置の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形型、および射出成形装置の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可塑化された材料を成形型のキャビティーに向けて射出し、硬化させることによって成形品を成形する射出成形装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、螺旋溝が形成され、略短円柱状をなすスクロールと、ヒーターが埋設された略円盤状のバレルと、を備えた射出成形装置が記載されている。特許文献1では、金型は、可動ダイプレートに取り付けられる可動金型ピースと、固定ダイプレートに取り付けられる固定金型ピートと、から構成されるカセット金型である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-131115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、射出成形用の型は、射出成形装置に取り付けられて使用されるが、使用予定の射出成形装置が故障した場合や、射出成形装置のスペックを評価したい場合などに、他の射出成形装置でも使用できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る成形型の一態様は、
固定型と、
前記固定型に対向する可動型と、
前記固定型が組み込まれる第1開口部が形成され、前記固定型を固定する第1プレートと、
前記可動型が組み込まれる第2開口部が形成され、前記可動型を固定する第2プレートと、
を含み、
前記固定型および前記可動型は、キャビティーを形成し、
前記固定型および前記可動型は、第1射出成形装置に取り付け可能な大きさを有し、
前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記第1射出成形装置と異なる第2射出成形装置に取り付け可能な大きさを有する。
【0007】
本発明に係る射出成形装置の評価方法の一態様は、
前記固定型および前記可動型を前記第1状態で取り付けた前記第1射出成形装置から前記キャビティーに向けて造形材料を射出して、第1成形品を成形する工程と、
前記固定型および前記可動型を前記第2状態で取り付けた前記第2射出成形装置から前記キャビティーに向けて前記造形材料を射出して、第2成形品を成形する工程と、
前記第1成形品と前記第2成形品とを比較して、前記第1射出成形装置および前記第2射出成形装置の少なくとも一方を評価する工程と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す側面図。
図2】本実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
図3】本実施形態に係る射出成形装置のフラットスクリューを模式的に示す斜視図。
図4】本実施形態に係る射出成形装置のバレルを模式的に示す図。
図5】本実施形態に係る成形型を模式的に示す斜視図。
図6】本実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
図7】本実施形態に係る固定型および可動型を模式的に示す斜視図。
図8】本実施形態に係る射出成形装置を模式的に示す断面図。
図9】本実施形態に係る射出成形装置の評価方法を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1. 射出成形装置
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係る射出成形装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る射出成形装置100を模式的に示す側面図である。なお、図1では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸方向およびY軸方向は、例えば、水平方向である。Z軸方向は、例えば、鉛直方向である。
【0011】
射出成形装置100は、図1に示すように、例えば、材料供給部10と、射出部20と、型締部30と、制御部40と、を含む。
【0012】
材料供給部10は、射出部20に原料となる材料を供給する。材料供給部10は、例えば、ホッパーによって構成されている。材料供給部10から供給される材料の形状は、例えば、ペレット状、粉末状である。材料供給部10から供給される材料は、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂である。
【0013】
射出部20は、材料供給部10から供給された材料を可塑化して、造形材料にする。そして、射出部20は、可塑化された造形材料を、成形型50のキャビティーに向けて射出する。
【0014】
なお、可塑化とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0015】
型締部30は、射出成形装置100に取り付けられる成形型50の開閉を行う。型締部30は、造形材料が冷却されて固化された後に、成形型50を開く。これにより、成形品が外部に排出される。
【0016】
制御部40は、例えば、プロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースと、を有するコンピューターによって構成されている。制御部40は、例えば、主記憶装置に読み込んだプログラムをプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。具体的には、制御部40は、射出部20および型締部30を制御する。なお、制御部40は、コンピューターではなく、複数の回路の組み合わせによ
って構成されてもよい。
【0017】
1.2. 具体的な構成
図2は、射出成形装置100を模式的に示す図1のII-II線断面図である。射出部20は、図2に示すように、例えば、可塑化部60と、射出機構70と、ノズル80と、を有している。
【0018】
可塑化部60は、材料供給部10から供給された材料を可塑化し、流動性を有するペースト状の造形材料を生成して射出機構70へと導く。可塑化部60は、例えば、スクリューケース62と、駆動モーター64と、フラットスクリュー110と、バレル120と、バレルケース121と、ヒーター130と、を有している。
【0019】
スクリューケース62は、フラットスクリュー110を収容する筐体である。スクリューケース62とバレル120とによって囲まれた空間に、フラットスクリュー110が収容されている。
【0020】
駆動モーター64は、スクリューケース62に接続されている。駆動モーター64は、フラットスクリュー110を回転させる。駆動モーター64は、例えば、サーボモーターである。駆動モーター64のシャフト66は、フラットスクリュー110に接続されている。駆動モーター64は、制御部40によって制御される。
【0021】
フラットスクリュー110は、回転軸Rに沿った方向の大きさが、回転軸Rに沿った方向と直交する方向の大きさよりも小さい略円柱形状を有している。図示の例では、回転軸Rに沿った方向は、Y軸方向である。駆動モーター64が発生させるトルクによって、フラットスクリュー110は、回転軸Rを中心に回転する。フラットスクリュー110は、主面111と、主面111とは反対側の溝形成面112と、主面111と溝形成面112とを接続する接続面113と、を有している。ここで、図3は、フラットスクリュー110を模式的に示す斜視図である。なお、便宜上、図3では、図2に示した状態とは上下の位置関係を逆向きとした状態を示している。
【0022】
フラットスクリュー110の溝形成面112には、図3に示すように、第1溝114が形成されている。第1溝114は、例えば、中央部115と、接続部116と、材料導入部117と、を有している。中央部115は、バレル120に形成された連通孔126と対向している。中央部115は、連通孔126と連通している。接続部116は、中央部115と材料導入部117とを接続している。図示の例では、接続部116は、中央部115から溝形成面112の外周に向かって渦状に形成されている。材料導入部117は、溝形成面112の外周に形成されている。すなわち、材料導入部117は、フラットスクリュー110の接続面113に形成されている。材料供給部10から供給された材料は、材料導入部117から第1溝114に導入され、接続部116および中央部115を通って、バレル120に形成された連通孔126に搬送される。図示の例では、第1溝114は、2つ形成されている。
【0023】
なお、第1溝114の数は、特に限定されない。図示はしないが、第1溝114は、3つ以上形成されていてもよいし、1つだけ形成されていてもよい。
【0024】
また、図示はしないが、可塑化部60は、フラットスクリュー110ではなく、側面に螺旋溝を有する長尺のインラインスクリューを有していてもよい。そして、可塑化部60は、インラインスクリューの回転によって材料を可塑化してもよい。
【0025】
バレル120は、図2に示すように、フラットスクリュー110に対向して設けられて
いる。図示の例では、バレル120は、バレルケース121に収容されている。バレル120は、フラットスクリュー110の溝形成面112に対向する対向面122を有している。対向面122は、Y軸方向において、溝形成面112と対向している。対向面122の中心には、連通孔126が形成されている。ここで、図4は、バレル120を模式的に示す図である。
【0026】
バレル120の対向面122には、図4に示すように、第2溝124と、連通孔126と、が形成されている。第2溝124は、複数形成されている。図示の例では、6つの第2溝124が形成されているが、その数は、特に限定されない。複数の第2溝124は、Y軸方向からみて、連通孔126の周りに形成されている。第2溝124は、一端が連通孔126に接続され、連通孔126から対向面122の外周に向かって渦状に延びている。第2溝124は、造形材料を連通孔126に導く機能を有している。連通孔126は、可塑化された材料をバレル120の外部に流出させる。
【0027】
なお、第2溝124の形状は、特に限定されず、例えば、直線状であってもよい。また、第2溝124の一端は、連通孔126に接続されていなくてもよい。さらに、第2溝124は、対向面122に形成されていなくてもよい。ただし、連通孔126に造形材料を効率よく導くことを考慮すると、第2溝124は、対向面122に形成されていることが好ましい。
【0028】
ヒーター130は、図2に示すように、バレル120に設けられている。ヒーター130は、フラットスクリュー110とバレル120との間に供給された材料を加熱する。ヒーター130は、第1溝114に供給された材料を加熱する。ヒーター130は、制御部40によって制御される。可塑化部60は、フラットスクリュー110、バレル120、およびヒーター130によって、材料を連通孔126に向かって搬送しながら加熱して造形材料を生成し、生成された造形材料を、連通孔126から射出機構70へと流出させる。なお、ヒーター130は、バレル120ではなく、例えば、バレル120の下方に設けられていてもよい。
【0029】
射出機構70は、例えば、シリンダー72と、プランジャー74と、プランジャー駆動モーター76と、を有している。シリンダー72は、連通孔126に接続された略円筒状の部材である。プランジャー74は、シリンダー72の内部を移動する。プランジャー74は、プランジャー駆動モーター76によって駆動される。プランジャー駆動モーター76は、制御部40によって制御される。なお、シリンダー72は、連通孔126よりも下流の流路に接続されていてもよい。
【0030】
射出機構70は、プランジャー74をシリンダー72内で摺動させることによって、計量操作および射出操作を実行する。計量操作とは、連通孔126から離れる-X軸方向にプランジャー74を移動させることによって、連通孔126に位置する造形材料をシリンダー72内へと導いて、シリンダー72内において計量する操作を指す。射出操作とは、連通孔126へ近付く+X軸方向にプランジャー74を移動させることによって、シリンダー72内の造形材料を、ノズル80を介して成形型50のキャビティー52に射出する操作を指す。
【0031】
ノズル80には、連通孔126と連通しているノズル孔82が形成されている。ノズル80は、可塑化部60から供給された造形材料を、キャビティー52に向けて射出する。具体的には、上述した計量操作および射出操作が実行されることによって、シリンダー72内で計量された造形材料が、射出機構70から連通孔126を介してノズル孔82へと送られる。そして、造形材料は、ノズル孔82からキャビティー52へと射出される。
【0032】
型締部30は、例えば、型駆動部32と、ボールねじ部34と、を有している。型駆動部32は、例えば、モーター、ギアなどによって構成されている。型駆動部32は、ボールねじ部34を介して成形型50に接続されている。型駆動部32は、制御部40によって制御される。ボールねじ部34は、型駆動部32の駆動による動力を、成形型50の可動型150に伝達する。型締部30は、型駆動部32およびボールねじ部34によって可動型150を移動させることによって、成形型50の開閉を行う。
【0033】
1.3. 成形型
図5は、成形型50を模式的に示す分解斜視図である。図6は、図2に示す射出成形装置100に取り付けられた成形型50周辺の拡大図である。
【0034】
成形型50は、図5および図6に示すように、例えば、固定型140と、可動型150と、第1プレート160と、第2プレート170と、基板180と、第1支持板190と、第2支持板192と、を含む。
【0035】
固定型140は、図6に示すように、第1支持板190を介して、バレルケース121に固定されている。固定型140および可動型150は、キャビティー52を形成する。キャビティー52は、成形品の形状に相当する空間である。
【0036】
固定型140は、第1キャビティー面142を有している。第1キャビティー面142は、キャビティー52を規定する。図6に示す例では。第1キャビティー面142は、+Y軸方向を向いている。
【0037】
固定型140には、開口部144が形成されている。開口部144は、固定型140を貫通している。開口部144には、射出成形装置100のノズル80に接するノズル接触部90aが嵌め込まれている。ノズル接触部90aは、ノズル80の形状に対応している。具体的には、ノズル接触部90aは、ノズル80の先端84と係合する係合部92aを有している。係合部92aは、先端84と接している。ノズル接触部90aには、ノズル孔82とキャビティー52とを連通させる流路94aが形成されている。造形材料は、ノズル孔82から流路94aを通ってキャビティー52に射出される。ノズル接触部90aは、ホットランナーであってもよいし、コールドランナーであってもよい。
【0038】
固定型140の材質は、例えば、合金鋼などの金属、セラミックなどである。固定型140に用いられる合金鋼としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、および銅が添加されたNAK(登録商標)が挙げられる。
【0039】
可動型150は、固定型140に対向する。可動型150は、型締部30によってタイバー36に沿って移動する。図示の例では、可動型150は、Y軸方向に移動する。可動型150は、固定型140に対して進退する。
【0040】
可動型150は、第2キャビティー面152を有している。第2キャビティー面152は、キャビティー52を規定する。図6に示す例では、第2キャビティー面152は、-Y軸方向を向いている。第2キャビティー面152は、第1キャビティー面142と接する。第2キャビティー面152は、例えば、第1キャビティー面142と平行である。可動型150の材質は、例えば、固定型140と同じである。
【0041】
第1プレート160は、固定型140を固定する。第1プレート160には、図5に示すように、固定型140を固定する第1固定部162が設けられている。図示の例では、第1固定部162は、固定型140を挟持する構造を有している。具体的には、第1固定部162は、固定型140に設けられた不図示の固定型側係合部に係合する固定部側係合
部を有している。固定部側係合部は、固定型側係合部に対してオーバーハングする形状を有している。その他、第1固定部162は、ボルトであって、ボルトによって固定型140を第1プレート160に固定してもよい。第1プレート160には、固定型140が組み込まれる第1開口部164が形成されている。第1開口部164は、固定型140に対応する形状を有している。なお、第1開口部164と、固定型140との大きさは一致していなくてもよく、第1開口部164に固定型140が組み込まれた状態において、第1開口部164と、固定型140との間に隙間を有していてもよい。この場合、第1開口部164は、固定型140に対応する形状を有していなくてもよい。
【0042】
第1プレート160は、第1対向面166を有している。第1開口部164は、第1対向面166に形成されている。第1対向面166は、第2プレート170と対向する面である。図6に示す例では、第1対向面166は、+Y軸方向を向いている。第1対向面166は、例えば、固定型140の第1キャビティー面142と面一である。
【0043】
第1プレート160には、図5に示すように、第1嵌合部168が設けられている。図示の例では、第1嵌合部168は、第1対向面166に形成された凹部である。第1嵌合部168は、例えば、第1対向面166の四隅に設けられている。第1嵌合部168は、第2プレート170に設けられた第2嵌合部178と嵌合する。
【0044】
第1プレート160の材質は、例えば、炭素および鋼を含むSC材などの金属、セラミック、樹脂などである。第1プレート160に用いられるSC材としては、例えば、S55C、S50C、S45Cが挙げられる。固定型140の硬度は、例えば、第1プレート160の硬度よりも大きい。
【0045】
第2プレート170は、可動型150を固定する。第2プレート170には、図5に示すように、可動型150を固定する第2固定部172が設けられている。第2固定部172は、例えば、可動型150を挟持している。第2固定部172は、第1固定部と同様な構造を有する。第2プレート170には、可動型150が嵌め込まれる第2開口部174が形成されている。第2開口部174は、可動型150に対応する形状を有している。第2プレート170は、第1プレート160と離隔している。なお、第2開口部174と、可動型150との大きさは一致していなくてもよく、第2開口部174に可動型150が組み込まれた状態において、第2開口部174と、可動型150との間に隙間を有していてもよい。この場合、第2開口部174は、可動型150に対応する形状を有していなくてもよい。
【0046】
第2プレート170は、第2対向面176を有している。第2開口部174は、第2対向面176に形成されている。第2対向面176は、第1プレート160と対向する面である。第2対向面176は、例えば、第1対向面166と平行である。図6に示す例では、第2対向面176は、-Y軸方向を向いている。可動型150の第2キャビティー面152は、第2対向面176よりも固定型140側に位置している。図示の例では、第2キャビティー面152は、固定型140と接している。
【0047】
第2プレート170には、図5に示すように、第2嵌合部178が設けられている。図示の例では、第2嵌合部178は、第2対向面176に設けられた凸部である。第2嵌合部178は、例えば、第2対向面176の四隅に設けられている。第2嵌合部178は、第1プレート160に設けられた第1嵌合部168と嵌合する。なお、図示はしないが、第1嵌合部168は、第1対向面166に設けられた凸部であり、第2嵌合部178は、第2対向面176に形成された凹部であってもよい。
【0048】
第2プレート170の材質は、例えば、第1プレート160と同じである。可動型15
0の硬度は、例えば、第2プレート170の硬度よりも大きい。硬度とは、本実施形態においてビッカース硬さ(HV)のことをいう。
【0049】
基板180は、図6に示すように、例えば、可動型150に取り付けられている。基板180は、例えば、第2プレート170に固定されている。基板180は、例えば、第2開口部174に嵌め込まれている。図示の例では、基板180には、エジェクターピン182が取り付けられている。エジェクターピン182は、例えば、キャビティー52の一部を規定している。基板180は、可動型150に対して進退可能に構成されている。エジェクターピン182は、成形品をキャビティー52から排出させる。
【0050】
第1支持板190は、固定型140を支持している。第1支持板190は、固定型140とバレルケース121との間に設けられている。ノズル接触部90aは、第1支持板190、第1プレート160、および固定型140を貫通している。
【0051】
第2支持板192は、第2プレート170および基板180を支持している。第2支持板192は、第2プレート170および基板180と、型締部30と、の間に設けられている。図示の例では、ボールねじ部34は、第2支持板192を貫通している。
【0052】
ここで、図7は、固定型140および可動型150を模式的に示す斜視図である。図8は、射出成形装置200に取り付けられた固定型140および可動型150を模式的に示す断面図である。
【0053】
固定型140および可動型150は、図7に示すように、固定型140が第1プレート160に固定されず、かつ、可動型150が第2プレート170に固定されていない第1状態で、図8に示すように、射出成形装置200に取り付けられて使用される。さらに、固定型140および可動型150は、図5に示すように、固定型140が第1プレート160に固定され、かつ、可動型150が第2プレート170に固定された第2状態で、図6に示すように、射出成形装置100に取り付けられて使用される。
【0054】
射出成形装置200は、射出成形装置100と異なる射出成形装置である。射出成形装置100は、例えば、射出成形装置200よりも大型の射出成形装置である。射出成形装置100の型締め力は、例えば、30トン以上である。射出成形装置200は、例えば、射出成形装置100よりも小型の射出成形装置である。射出成形装置200の型締め力は、例えば、20トン以下である。射出成形装置200の型締め力は、10トン以下であってもよい。
【0055】
射出成形装置100および射出成形装置200は、同じ構成を有していて、大きさが異なっていてもよいし、異なる構成を有していて、大きさが異なっていてもよい。図示はしないが、例えば、射出成形装置100は、インラインスクリューを有し、射出成形装置200は、フラットスクリューを有していてもよい。
【0056】
第1プレート160および第2プレート170は、射出成形装置100に取り付け可能な大きさを有している。第1プレート160および第2プレート170は、例えば、規格化された大きさを有している。固定型140および可動型150は、第1状態では、射出成形装置100に取り付けられない。
【0057】
固定型140および可動型150は、射出成形装置200に取り付け可能な大きさを有している。固定型140および可動型150は、第2状態では、射出成形装置200に取り付けられない。
【0058】
固定型140に形成された開口部144には、図6および図8に示すように、射出成形装置100のノズル80に接するノズル接触部90aと、射出成形装置200のノズル80に接するノズル接触部90bとが、交換可能に組み込まれる。ノズル接触部90a,90bは、ボルトによって開口部144に固定されてもよい。図8に示すように、ノズル接触部90bは、射出成形装置200のノズル80の形状に対応している。ノズル接触部90bには、ノズル孔82とキャビティー52とを連通させる流路94bが形成されている。造形材料は、ノズル孔82から流路94bを通ってキャビティー52に射出される。なお、開口部144と、ノズル接触部90a,90bとの大きさは一致していなくてもよく、開口部144にノズル接触部90aが組み込まれた状態において、開口部144と、ノズル接触部90aとの間に隙間を有していてもよいし、開口部144にノズル接触部90bが組み込まれた状態において、開口部144と、ノズル接触部90bとの間に隙間を有していてもよい。
【0059】
射出成形装置100のノズル80の形状と、射出成形装置200のノズル80の形状とは、図6および図8に示すように、異なる。射出成形装置100のノズル80および射出成形装置200のノズル80は、ともにホットランナーであってもよいし、ともにコールドランナーであってもよいし、一方がホットランナーで、他方がコールドランナーであってもよい。
【0060】
なお、図示はしないが、固定型140の第1キャビティー面142が、第1プレート160の第1対向面166よりも、可動型150側に位置し、可動型150の第2キャビティー面152が、第2プレート170の第2対向面176と面一であってもよい。また、第1キャビティー面142が第1対向面166よりも可動型150側に位置し、かつ、第2キャビティー面152が第2対向面176よりも固定型140側に位置してもよい。このように、第2状態では、成形型50は、下記の第1条件および第2条件の少なくとも一方を満たしてもよい。
【0061】
第1条件:固定型140の第1キャビティー面142は、第1プレート160の第2プレート170と対向する第1対向面166よりも、可動型150側に位置している。
第2条件:可動型150の第2キャビティー面152は、第2プレート170の第1プレート160と対向する第2対向面176よりも、固定型140側に位置している。
【0062】
1.4. 作用効果
成形型50では、固定型140と、固定型140に対向する可動型150と、固定型140が組み込まれる第1開口部164が形成され、固定型140を固定する第1プレート160と、可動型150が組み込まれる第2開口部174が形成され、可動型150を固定する第2プレート170と、を含む。固定型140および可動型150は、キャビティー52を形成する。固定型140および可動型150は、第1射出成形装置としての射出成形装置200に取り付け可能な大きさを有する。第1プレート160および第2プレート170は、射出成形装置200と異なる第2射出成形装置としての射出成形装置100に取り付け可能な大きさを有する。そのため、成形型50では、射出成形装置200で使用される固定型140および可動型150を、射出成形装置100で使用できる。
【0063】
成形型50では、固定型140および可動型150は、固定型140が第1プレート160に固定されず、かつ、可動型150が第2プレート170に固定されていない第1状態で、射出成形装置200に取り付けられて使用され、固定型140が第1プレート160に固定され、かつ、可動型150が第2プレート170に固定された第2状態で、射出成形装置100に取り付けられて使用される。このように、成形型50では、射出成形装置200で使用される固定型140および可動型150を、射出成形装置100で使用できる。
【0064】
成形型50では、第1ノズルとしての射出成形装置200のノズル80の形状と、第2ノズルとしての射出成形装置100のノズル80の形状とは、異なる。固定型140には、射出成形装置200のノズル80に接しノズル80の形状に対応する第1ノズル接触部としてのノズル接触部90bと、射出成形装置100のノズル80に接しノズル80の形状に対応する第2ノズル接触部としてのノズル接触部90aが、交換可能に組み込まれる開口部144が形成されている。そのため、成形型50では、射出成形装置100のノズル80の形状が射出成形装置200のノズル80の形状と異なっていても、射出成形装置200で使用される固定型140および可動型150を、射出成形装置100で使用できる。
【0065】
成形型50では、固定型140の硬度は、第1プレート160の硬度よりも大きく、可動型150の硬度は、第2プレート170の硬度よりも大きい。そのため、成形型50では、第1プレート160および第2プレート170を安価に製造できる。第1プレート160および第2プレート170は、型締め時に互いに接触しないため、硬度を小さくすることができる。
【0066】
成形型50では、第2状態において、上記の第1条件および第2条件のうちの少なくとも一方を満たす。そのため、成形型50では、型締め時に、第1プレート160および第2プレート170が互いに接触することを抑制できる。これにより、第1プレート160および第2プレート170の衝突による破損を抑制できる。
【0067】
2. 射出成形装置の評価方法
次に、本実施形態に係る射出成形装置の評価方法について、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施形態に係る射出成形装置の評価方法を説明するためのフローチャートである。
【0068】
まず、図9に示すように、ステップS1として、固定型140および可動型150を第1状態で取り付けた射出成形装置200からキャビティー52に向けて造形材料を射出して、第1成形品を形成する。
【0069】
具体的には、図8に示すように、固定型140の開口部144にノズル接触部90bを嵌め込む。そして、固定型140が第1プレート160に固定されず、かつ、可動型150が第2プレート170に固定されない第1状態で、固定型140および可動型150を、射出成形装置200に取り付ける。その後、射出成形装置200を駆動させて、キャビティー52に向けて造形材料を射出して第1成形品を形成する。
【0070】
次に、ステップS2として、固定型140および可動型150を第2状態で取り付けた射出成形装置100からキャビティー52に向けて造形材料を射出して、第2成形品を形成する。
【0071】
具体的には、射出成形装置200から固定型140および可動型150を取り外す。固定型140を第1プレート160に固定する。可動型150を第2プレート170に固定する。固定型140の開口部144からノズル接触部90bを取り外し、図6に示すように、開口部144にノズル接触部90aを嵌め込む。そして、固定型140が第1プレート160に固定され、かつ、可動型150が第2プレート170に固定された第2状態で、固定型140および可動型150を、射出成形装置100に取り付ける。その後、射出成形装置100を駆動させて、キャビティー52に向けて造形材料を射出して第2成形品を形成する。
【0072】
次に、ステップS3として、ステップS1で成形された第1成形品と、ステップS2で成形された第2成形品と、を比較して、射出成形装置100および射出成形装置200の少なくとも一方を評価する。
【0073】
具体的には、第1成形品および第2成形品の質量、体積、引っ張り強度、品質、形状などを比較する。そして、これらの比較から、射出成形装置100および射出成形装置200のスペックを評価する。例えば、第2成形品の引っ張り強度の方が、第1成形品の引っ張り強度よりも大きい場合、射出成形装置200のスペックは、射出成形装置100のスペックよりも高いといえる。引っ張り強度は、射出成形装置100,200が原料に与える熱に起因する。
【0074】
本実施形態に係る射出成形装置の評価方法では、固定型140および可動型150を第1状態で取り付けた射出成形装置200から、キャビティー52に向けて造形材料を射出して第1成形品を形成する工程と、固定型140および可動型150を第2状態で取り付けた射出成形装置100からキャビティー52に向けて造形材料を射出して、第2成形品を形成する工程と、第1成形品と第2成形品とを比較して、射出成形装置100および射出成形装置200の少なくとも一方を評価する工程と、を含む。そのため、第1成形品および第2成形品を、同じ固定型140および可動型150を用いて成形することができる。これにより、射出成形装置100および射出成形装置200の少なくとも一方を、より正確に評価することができる。
【0075】
例えば、第1成形品および第2成形品を、別々の固定型および可動型を用いて成形した場合は、第1成形品および第2成形品の品質などが固定型および可動型の影響を受ける。そのため、射出成形装置自体の評価が難しい。
【0076】
3. 射出成形装置に供給される材料
上述した射出成形装置100では、材料供給部10から供給される材料は、ABS樹脂であったが、これに限定されない。
【0077】
材料供給部10から供給される材料としては、熱可塑性を有する材料、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料とした材料を挙げることができる。ここで、「主材料」とは、射出成形装置で成形される成形品の形状を形作っている中心となる材料を意味し、成形品において50質量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した材料には、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
【0078】
熱可塑性を有する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、汎用エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0079】
汎用エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM )、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0080】
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。
【0081】
熱可塑性を有する材料には、顔料や、金属、セラミック、その他に、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混入されていてもよい。熱可塑性を有する材料は、可塑化部60において、フラットスクリュー110の回転と、ヒーター130の加熱と、によって可塑化されて溶融した状態に転化される。また、そのように生成された造形材料は、ノズル80から堆積された後、温度の低下によって硬化する。熱可塑性を有する材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でノズル80から吐出されることが望ましい。
【0082】
可塑化部60では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、金属材料を粉末状にした粉末材料に、造形材料の生成の際に溶融する成分が混合されて、可塑化部60に投入されることが望ましい。
【0083】
金属材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム (Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単一の金属、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金、また、マルエージング鋼、ステンレス鋼、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金が挙げられる。
【0084】
可塑化部60においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料を主材料として用いることが可能である。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックなどが挙げられる。
【0085】
材料供給部10から供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。また、金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上述の熱可塑性樹脂、あるいは、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、可塑化部60において、その熱可塑性樹脂が溶融して流動性が発現されるものとしてもよい。
【0086】
材料供給部10から供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、溶剤を添加することもできる。溶剤としては、例えば、水;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラアルキルアンモニウムアセテート類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ピリジン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン等のピリジン系溶剤;テトラアルキルアンモニウムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等);ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等が挙げられる。
【0087】
その他に、材料供給部10から供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、バインダーが添加されていてもよい。バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂またはPLA、PA、PPS、PEEK、あるいはその他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0088】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0089】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0090】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0091】
成形型の一態様は、
固定型と、
前記固定型に対向する可動型と、
前記固定型が組み込まれる第1開口部が形成され、前記固定型を固定する第1プレートと、
前記可動型が組み込まれる第2開口部が形成され、前記可動型を固定する第2プレートと、
を含み、
前記固定型および前記可動型は、キャビティーを形成し、
前記固定型および前記可動型は、第1射出成形装置に取り付け可能な大きさを有し、
前記第1プレートおよび前記第2プレートは、前記第1射出成形装置と異なる第2射出成形装置に取り付け可能な大きさを有する。
【0092】
この成形型によれば、第1射出成形装置で使用される固定型および可動型を、第2射出成形装置で使用できる。
【0093】
成形型の一態様において、
前記固定型および前記可動型は、
前記固定型が前記第1プレートに固定されず、かつ、前記可動型が前記第2プレートに固定されない第1状態で、前記第1射出成形装置に取り付けられて使用され、
前記固定型が前記第1プレートに固定され、かつ、前記可動型が前記第2プレートに固定された第2状態で、前記第2射出成形装置に取り付けられて使用されてもよい。
【0094】
この成形型によれば、第1射出成形装置で使用される固定型および可動型を、第2射出成形装置で使用できる。
【0095】
成形型の一態様において、
前記第1射出成形装置の第1ノズルの形状と、前記第2射出成形装置の第2ノズルの形状とは、異なり、
前記固定型には、前記第1ノズルに接し前記第1ノズルの形状に対応する第1ノズル接触部と、前記第2ノズルに接し前記第2ノズルの形状に対応する第2ノズル接触部とが、交換可能に組み込まれる開口部が形成されてもよい。
【0096】
この成形型によれば、第2ノズルの形状が第1ノズルの形状と異なっていても、第1射出成形装置で使用される固定型および可動型を、第2射出成形装置で使用できる。
【0097】
成形型の一態様において、
前記固定型の硬度は、前記第1プレートの硬度よりも大きく、
前記可動型の硬度は、前記第2プレートの硬度よりも大きくてもよい。
【0098】
この成形型によれば、第1プレートおよび第2プレートを安価に製造できる。
【0099】
成形型の一態様において、
前記第2状態では、以下の第1条件および第2条件のうちの少なくとも一方を満たしてもよい。
前記第1条件:前記固定型のキャビティー面は、前記第1プレートの前記第2プレートと対向する第1対向面よりも、前記可動型側に位置している。
前記第2条件:前記可動型のキャビティー面は、前記第2プレートの前記第1プレートと対向する第2対向面よりも、前記固定型側に位置している。
【0100】
この成形型によれば、型締め時に、第1プレートおよび第2プレートが互いに接触することを抑制できる。
【0101】
射出成形装置の評価方法の一態様は、
前記固定型および前記可動型を前記第1状態で取り付けた前記第1射出成形装置から前記キャビティーに向けて造形材料を射出して、第1成形品を成形する工程と、
前記固定型および前記可動型を前記第2状態で取り付けた前記第2射出成形装置から前記キャビティーに向けて前記造形材料を射出して、第2成形品を成形する工程と、
前記第1成形品と前記第2成形品とを比較して、前記第1射出成形装置および前記第2射出成形装置の少なくとも一方を評価する工程と、
を含む。
【0102】
この射出成形装置の評価方法によれば、第1射出成形装置および第2射出成形装置の少なくとも一方を、より正確に評価することができる。
【符号の説明】
【0103】
10…材料供給部、20…射出部、30…型締部、32…型駆動部、34…ボールねじ部、36…タイバー、40…制御部、50…成形型、52…キャビティー、60…可塑化部、62…スクリューケース、64…駆動モーター、70…射出機構、72…シリンダー、74…プランジャー、76…プランジャー駆動モーター、80…ノズル、82…ノズル孔、84…先端、90a,90b…ノズル接触部、92a…係合部、94a,94b…流路、100…射出成形装置、110…フラットスクリュー、111…主面、112…溝形成面、113…接続面、114…第1溝、115…中央部、116…接続部、117…材料導入部、120…バレル、122…対向面、124…第2溝、126…連通孔、130…ヒーター、140…固定型、142…第1キャビティー面、144…開口部、150…可動型、152…第2キャビティー面、160…第1プレート、162…第1固定部、164…第1開口部、166…第1対向面、168…第1嵌合部、170…第2プレート、172…第2固定部、174…第2開口部、176…第2対向面、178…第2嵌合部、180…基板、182…エジェクターピン、190…第1支持板、192…第2支持板、200…射出成形装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9