IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイクレの特許一覧 ▶ 川田工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-排水溝ユニット 図1
  • 特開-排水溝ユニット 図2
  • 特開-排水溝ユニット 図3
  • 特開-排水溝ユニット 図4
  • 特開-排水溝ユニット 図5
  • 特開-排水溝ユニット 図6
  • 特開-排水溝ユニット 図7
  • 特開-排水溝ユニット 図8
  • 特開-排水溝ユニット 図9
  • 特開-排水溝ユニット 図10
  • 特開-排水溝ユニット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084389
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】排水溝ユニット
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/046 20060101AFI20240618BHJP
   E01C 11/22 20060101ALI20240618BHJP
   E03F 5/06 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
E03F5/046
E01C11/22 A
E03F5/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198637
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(71)【出願人】
【識別番号】000200367
【氏名又は名称】川田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】杉保 生成
(72)【発明者】
【氏名】谷川 豊繁
(72)【発明者】
【氏名】寺島 太郎
(72)【発明者】
【氏名】中尾 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 誠
【テーマコード(参考)】
2D051
2D063
【Fターム(参考)】
2D051AA03
2D051AC06
2D051AF12
2D051DA16
2D051DB03
2D051DB04
2D063CA11
2D063CA15
2D063CA22
(57)【要約】
【課題】自動車等の滑り防止と雨水等の排水性能の確保とを両立可能な排水溝ユニットを提供する。
【解決手段】金属製の排水溝ユニット1は、底壁部2aを有する流水プレート2と、流水プレート2を上方から覆うよう設けられ、厚み方向に貫通する排水孔3cを有するガードプレート3と、を備え、橋梁Bの車道Dを流れる水を排水孔3cを介して排水として内部に導入し、且つ、底壁部2aで受け止めるとともに所定の排水流れ方向に流すよう構成されている。ガードプレート3の上面には、滑り防止層Lが設けられた第1領域A1と、滑り防止層Lが設けられていない第2領域A2とが備えられ、第2領域A2は、ガードプレート3の周縁Rと排水孔3cとを連絡するよう設定されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部を有する流水プレートと、前記流水プレートを上方から覆うよう設けられ、厚み方向に貫通する排水孔を有するガードプレートと、を備え、道路の路面を流れる水を前記排水孔を介して排水として内部に導入し、且つ、前記底壁部で受け止めるとともに所定の排水流れ方向に流すよう構成された金属製の排水溝ユニットであって、
前記ガードプレートの上面には、滑り防止層が設けられた第1領域と、前記滑り防止層が設けられていない第2領域とが備えられ、
前記第2領域は、前記ガードプレートの周縁と前記排水孔とを連絡するよう設定されていることを特徴とする排水溝ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の排水溝ユニットにおいて、
前記流水プレートの排水流れ方向は、道路の延設方向に沿うよう設定され、
前記第2領域は、前記排水流れ方向と交差する方向かつ水平方向に延びるよう設けられていることを特徴とする排水溝ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の排水溝ユニットにおいて、
前記第1領域及び前記第2領域の各々は、複数備えられ、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記排水流れ方向に沿って交互に設けられていることを特徴とする排水溝ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の排水溝ユニットにおいて、
前記底壁部の上面及び前記ガードプレートの下面の少なくとも一方には、前記ガードプレートに上方から作用した荷重を前記底壁部に伝達する荷重伝達部が設けられていることを特徴とする排水溝ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の排水溝ユニットにおいて、
前記荷重伝達部は、前記底壁部の上面に沿って所定の間隔をあけながら設けられ、当該底壁部を第1通水路部と第2通水路部とに仕切る複数のリブを含み、
前記排水孔は、前記第1通水路部に対応する位置に設けられていることを特徴とする排水溝ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の排水溝ユニットにおいて、
前記リブは、前記ガードプレートの下面から下方に向けて突設されていることを特徴とする排水溝ユニット。
【請求項7】
請求項4に記載の排水溝ユニットにおいて、
前記荷重伝達部は、上下方向に延び、かつ、円柱形状をなす丸支承部を含み、
前記丸支承部は、前記排水孔と接近配置されていることを特徴とする排水溝ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に設置することが可能な排水溝ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、橋梁、高架橋、アンダーパス、トンネル、街路等の道路の路肩等に設置される排水溝ユニットが知られている。例えば、特許文献1に開示されている排水溝ユニットは、通水路が形成された流水プレートと、流水プレートを上方から覆うよう設けられ、厚み方向に貫通する排水孔を有するガードプレートと、を備えている。そして、道路の走行路面に降り注いだ雨水等は、道路の走行路面上を路肩側に流れた後、排水孔を介して排水溝ユニット内に導入される。排水溝ユニット内に導入された雨水等は、通水路を流れた後、該通水路の流末に設けられた流末管から河川や下水道等に排水されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-19636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、開通している橋梁ではなく、補修工事中の橋梁に排水溝ユニットが仮設されている場合、一時的に排水溝ユニットの上面を自動車、バイク、自転車、歩行者等が通行する道路として用いることがある。排水溝ユニットは、鋼材等からなる金属製であるため、自動車等が通行するアスファルト製の走行路面よりも滑り抵抗が低くなっている。したがって、降雨等により排水溝ユニットにおけるガードプレートの上面が濡れていると、該ガードプレートの上を通行する自動車等が滑り易くなるという懸念がある。これに対して、滑り抵抗を高めることが可能な塗料等をガードプレートの上面全域に塗布することで、自動車等が滑るのを防止可能な滑り防止層を設けることが考えられる。しかし、ガードプレートの上面全域に滑り防止層が設けられていると、該滑り防止層によって、ガードプレートの周縁から排水孔への雨水等の流れが阻害されるので、排水溝ユニットの排水性能を悪化させてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車等の滑り防止と雨水等の排水性能の確保とを両立可能な排水溝ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、ガードプレートの上面周縁と排水孔とを連絡する領域を避けて滑り防止層を設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、底壁部を有する流水プレートと、前記流水プレートを上方から覆うよう設けられ、厚み方向に貫通する排水孔を有するガードプレートと、を備え、道路の路面を流れる水を前記排水孔を介して排水として内部に導入し、且つ、前記底壁部で受け止めるとともに所定の排水流れ方向に流すよう構成された金属製の排水溝ユニットを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記ガードプレートの上面には、滑り防止層が設けられた第1領域と、前記滑り防止層が設けられていない第2領域とが備えられ、前記第2領域は、前記ガードプレートの周縁と前記排水孔とを連絡するよう設定されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記流水プレートの排水流れ方向は、道路の延設方向に沿うよう設定され、前記第2領域は、前記排水流れ方向と交差する方向かつ水平方向に延びるよう設けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、前記第1領域及び前記第2領域の各々は、複数備えられ、前記第1領域と前記第2領域とは、前記排水流れ方向に沿って交互に設けられていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第1の発明において、前記底壁部の上面及び前記ガードプレートの下面の少なくとも一方には、前記ガードプレートに上方から作用した荷重を前記底壁部に伝達する荷重伝達部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第4の発明において、前記荷重伝達部は、前記底壁部の上面に沿って所定の間隔をあけながら設けられ、当該底壁部を第1通水路部と第2通水路部とに仕切る複数のリブを含み、前記排水孔は、前記第1通水路部に対応する位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第5の発明において、前記リブは、前記ガードプレートの下面から下方に向けて突設されていることを特徴とする。
【0014】
第7の発明では、第4の発明において、前記荷重伝達部は、上下方向に延び、かつ、円柱形状をなす丸支承部を含み、前記丸支承部は、前記排水孔と接近配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、ガードプレートの上面における第1領域に設けられた滑り防止層によって、滑り抵抗が高められているので、ガードプレートの上を自動車等が通行した際に該自動車等が滑るのを防ぐことができる。また、ガードプレートの上面周縁と排水孔とを連絡するよう設けられた第2領域には、滑り防止層が設けられていないので、雨水等が第1領域よりも流れ易くなる。つまり、道路の走行路面から排水溝ユニットの上面周縁に到達した雨水等は、該排水溝ユニットの上面における第2領域を通って排水孔までスムーズに流れるようになる。これにより、排水溝ユニットの排水性能が悪化するのを防ぐことができる。
【0016】
第2の発明では、例えば、排水溝ユニットが排水流れ方向と道路の延設方向とが略一致する姿勢で該道路の路肩に設置されている場合、道路の走行路面の雨水等は、排水溝ユニットに向けて当該排水溝ユニットの排水流れ方向と交差する方向で、かつ、水平方向に流れるようになる。ここで、ガードプレートの上面には、雨水等が排水溝ユニットに流れ込む方向と略同方向に沿って第2領域が設けられているので、道路の走行路面の雨水等が第2領域を通って排水孔にスムーズに流れるようになる。したがって、排水溝ユニットの排水性能の悪化を防ぐことができる。
【0017】
第3の発明では、排水流れ方向に沿って第1領域と第2領域とが交互に設けられるようになるので、例えば、第2領域が上記排水流れ方向の上流側や下流側に偏って設けられることを防ぐことができる。これにより、排水溝ユニットの上を排水流れ方向に沿って通行する際に自動車等が滑るのを確実に防ぐことができる。
【0018】
第4の発明では、例えば、ガードプレートの上をトラックが通行して、ガードプレートに上方から比較的大きな荷重が作用した場合であっても、該荷重が荷重伝達部を介して底壁部に伝達され、該底壁部において受けることが可能となる。これにより、ガードプレートが変形してしまうのを防ぐことができる。
【0019】
第5の発明では、排水孔を介して第1通水路部へと導入された雨水等が、第1通水路部と第2通水路部との間に設けられたリブとリブとの間を通過して第2通水路部へと流れる際、雨水等に含まれる落ち葉等のゴミが各リブに引っ掛かって捕集されるようになる。これにより、ゴミが第2通水路部に入り込むのを抑えることが可能になり、第2通水路部にゴミが溜まることにより、排水溝ユニットの排水性能が悪化するということを防ぐことができる。
【0020】
第6の発明では、例えば、排水溝ユニットからガードプレートを取り外すと、第1通水路部と第2通水路部とを仕切るリブが流水プレート上に存在しなくなるので、排水溝ユニットの流水プレートを掃除する際にリブが邪魔になるのを防ぐことができる。
【0021】
第7の発明では、例えば、ガードプレートの上を自動車等が通行する際、その自動車等の車輪が排水孔の上を通過しても、自動車等の荷重が丸支承部によって底壁部に伝達され、該底壁部により荷重が受け止められるようになる。これにより、自動車等の荷重によってガードプレートにおける排水孔の周辺部分が変形するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る排水溝ユニットを示す平面図である。
図2図1のII‐II線における概略断面図である。
図3図1のIII‐III線における概略断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る排水溝ユニットが橋梁に設置されている状態を示す概略断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る排水溝ユニットが橋梁に仮設されている状態を示す概略断面図である。
図6】比較例に係る排水溝ユニットの滑り防止層を示す平面図である。
図7】比較例に係る排水溝ユニットが橋梁に設置されている状態を示す概略断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る排水溝ユニットの滑り防止層を示す平面図である。
図9】本発明の実施形態に係る排水溝ユニットが橋梁に設置されている状態を示す概略断面図である。
図10】本発明の実施形態に係る排水溝ユニットが橋梁に仮設されている状態を示す概略断面図である。
図11】変形例に係る図8相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る排水溝ユニット1を示す。該排水溝ユニット1は、その上面が平坦形状をなすプレートタイプであって、平面視で略長方形状をなしている。また、排水溝ユニット1は、その長手方向が橋梁等の道路の延設方向と一致する姿勢で該道路の路肩等に設置或いは仮設されるようになっている。なお、本実施形態では、排水溝ユニット1の長手方向を単に「長手方向」といい、該長手方向に交差する水平方向を「交差方向」というものとする。
【0025】
また、排水溝ユニット1は、例えば、鋼材などからなる金属製で構成され、かつ、図2に示すように、幅広なU字状断面を有する流水プレート2と、該流水プレート2の上方から覆うよう設けられたガードプレート3とを備えている。該ガードプレート3は、流水プレート2から取り外すことが可能となっている。
【0026】
流水プレート2は、上面が水平に延びる略板状をなす底壁部2aと、該底壁部2aにおける交差方向の各両端縁部より上側に突設された第1側壁部2b及び第2側壁部2cとを備えている。
【0027】
第1側壁部2bにおける交差方向一側の面には、略L字状をなす第1アングル4aが固定されている。また、第2側壁部2cにおける交差方向他側の面には、略L字状をなす第2アングル4bが固定されている。排水溝ユニット1は、第1アングル4a及び第2アングル4bによって、橋梁などの道路の路肩等に固定されるようになっている。
【0028】
第2側壁部2cにおける交差方向一側の面には、略L字状をなす受アングル5が固定されている。該受アングル5には、交差方向一側に延びる受け部5aが設けられ、該受け部5aの上面が平坦形状をなしている。
【0029】
ガードプレート3は、略板状をなすとともに水平方向に延びる天壁部3aと、該天壁部3aの交差方向一側端縁部から下側に突出する第3側壁部3bとが設けられている。また、ガードプレート3は、交差方向一側の第3側壁部3bが底壁部2aによって下側から支持されるとともに、交差方向他側端部が受け部5aによって下側から支持されている。
【0030】
天壁部3aには、厚み方向に貫通する排水孔3cが複数設けられている。複数の排水孔3cは、平面視で長孔形状をなしていて、図1に示すように、長手方向に沿って並設されている。そして、道路の路面を流れる雨水等は、排水孔3cを介して排水として排水溝ユニット1の内部に導入され、底壁部2aで受け止められるようになっている。
【0031】
また、天壁部3aの下面には、図1及び図3に示すように、該下面から下方に突出する、つまり、上下方向に延びる複数の丸支承部3d及び複数のリブ3eが設けられている。該複数の丸支承部3dは、円柱形状をなし、かつ、長手方向に沿って並設されている。また、一部の丸支承部3dは、排水孔3cに接近配置されている。
【0032】
複数のリブ3eは、長手方向及び底壁部2aの上面に沿って互いに所定の間隔をあけながら設けられている。この複数のリブ3eにより、底壁部2aが第1通水路部2dと該第1通水路部2dの交差方向他側に設けられた第2通水路部2eとに仕切られている。本実施形態では、第1通水路部2dの幅が第2通水路部2eの幅よりも大きく設定されている。
【0033】
天壁部3aにおける第1通水路部2dに対応する位置、つまり、第1通水路部2dを覆う位置には、排水孔3cが設けられている。これにより、排水溝ユニット1外部の雨水等は、排水孔3cを介して排水溝ユニット1内部の第1通水路部2dに導入されるようになっている。
【0034】
第1通水路部2dへと導入された雨水等は、第1通水路部2dと第2通水路部2eとの間に設けられたリブ3eとリブ3eとの間を通過して第2通水路部2eへと流れる際、雨水等に含まれる落ち葉等のゴミが各リブ3eに引っ掛かって捕集されるようになっている。そして、該第2通水路部2eに流れ込んだ雨水等は、第2通水路部2eの延び方向、つまり、長手方向に流れて、流末に設けられた図示しない流末管から河川や下水道等に排水されるようになっている。なお、本実施形態では、「長手方向」が、特許請求の範囲における「所定の排水流れ方向」に相当する。
【0035】
次に、図4を用いて、排水溝ユニット1が橋梁Bに設置されている例について説明する。橋梁Bは、その延設方向と交差する方向において中央に設けられた車道Dと、該車道Dにおける上記交差する方向の両側に設けられた地覆Gと、車道Dと地覆Gとの間に設けられた路肩Sと、を備え、該路肩Sには排水溝ユニット1が設置されている。また、車道Dの上面は、路肩S側に行くにしたがって次第に下方に位置するよう傾斜している。これにより、雨水等は、車道Dから路肩S側に流れた後、排水孔3cを介して排水溝ユニット1の内部に導入されて排水されるようになっている。
【0036】
図4に示す例では、自動車等は、通常、車道Dを走行するため、路肩Sに設置された排水溝ユニット1の上を自動車等が走行するのは緊急時(例えば、救急車等の緊急車両が路肩Sを走行する場合等)に限定される。
【0037】
一方、図5に示す、排水溝ユニット1が橋梁Bに仮設されている例(例えば、橋梁Bの補修工事の場合、或いは、橋梁工事において上下線の片側毎に施工される場合)では、図4に示す例とは異なり、排水溝ユニット1及びその両側が車道Dとして設定されている。したがって、排水溝ユニット1の上を自動車等が頻繁に走行するようになる。なお、本実施形態では、橋梁Bに設置されていた排水溝ユニット1が補修工事の際に仮設される際にも使用され、或いは、橋梁Bを施工する橋梁工事において仮設されていた排水溝ユニット1が橋梁Bに設置される際にも使用されるようになっている。
【0038】
図5に示す例において、例えば、排水溝ユニット1の上を比較的重量が重い大型トラック等が走行すると、ガードプレート3の天壁部3aに上方から比較的大きな荷重が作用するようになる。該荷重は、丸支承部3d及びリブ3eによって、ガードプレート3の天壁部3aから流水プレート2の底壁部2aに伝達され、該底壁部2aにおいて受けられるようになる。これにより、排水溝ユニット1の上を大型トラック等が走行しても、該走行による荷重によってガードプレート3の天壁部3aが変形してしまうのを抑えることができる。なお、本実施形態では、排水孔3cの上或いはその周辺を大型トラック等の車輪が通過した場合であっても、該走行による荷重が排水孔3cに近接配置された丸支承部3dにより天壁部3aから底壁部2aに確実に伝達されるようになるので、天壁部3aにおける排水孔3c周辺の変形を抑えられるようになっている。
【0039】
次に、図6図10を用いて、ガードプレート3における天壁部3aの上面に設けられた滑り防止層Lについて説明する。なお、図1では、説明の便宜上、滑り防止層Lを省略している。
【0040】
該滑り防止層Lは、合成樹脂塗料(例えば、アクリル塗料)が塗布、或いは、溶射材(例えば、アルミ二ウム及びマグネシウム)が溶射されることにより形成されている。これにより、ガードプレート3における天壁部3aの上面は、該滑り防止層Lが設けられていない場合よりも滑り抵抗が高められている。したがって、ガードプレート3の上を走行する自動車等の車輪が滑るのを防ぐことが可能となっている。なお、図6及び図7は比較例を示し、図8図10は本実施形態を示している。
【0041】
ここで、滑り防止層Lには、滑り抵抗を高めることができるが、雨水等の液体の流れを阻害する特性がある。したがって、図6に示す比較例のように、天壁部3aの上面全域に滑り防止層Lが設けられていると、図7に示すように、滑り防止層Lによって、車道Dからガードプレート3の排水孔3cへの雨水等の流れが阻害されるようになり、排水溝ユニット1の排水性能が悪化するおそれがある。
【0042】
一方、本実施形態では、図8に示すように、ガードプレート3の天壁部3aの上面に、滑り防止層Lが設けられた複数の第1領域A1と、滑り防止層Lが設けられていない複数の第2領域A2とが備えられている。第2領域A2は、滑り防止層Lが設けられていないため、第1領域A1よりも雨水等が流れ易くなっている。なお、本実施形態では、第1領域A1の面積は、第2領域A2の面積よりも小さくなるよう設定されている。
【0043】
第1領域A1と第2領域A2とは、平面視で略矩形状をなしており、長手方向に沿って交互に設けられている。該第2領域A2は、天壁部3aにおける交差方向両側の各周縁Rと排水孔3cとを連絡するように、交差方向かつ水平方向に延びるよう設けられている。
【0044】
排水溝ユニット1が橋梁Bの路肩Sに設置されている場合、図9に示すように、車道Dから天壁部3aにおける交差方向一側の周縁Rに到達した雨水等は、第2領域A2を通って排水孔3cまでスムーズに流れるようになる。これにより、天壁部3aの上面全域に滑り防止層Lが設けられた比較例(図6及び図7参照)に比べて、排水溝ユニット1の排水性能(集水性能)を高めることができる。
【0045】
また、排水溝ユニット1が橋梁Bに仮設されている場合、図10に示すように、排水溝ユニット1の交差方向両側から天壁部3aにおける交差方向一側の周縁R及び交差方向他側の周縁Rに到達した雨水等は、第2領域A2を通って排水孔3cまでスムーズに流れるようになる。これにより、上記比較例に比べて排水溝ユニット1の排水性能を高めることができる。
【0046】
以上より、本実施形態によれば、ガードプレート3の上面における第1領域A1に設けられた滑り防止層Lによって、滑り抵抗が高められているので、ガードプレート3の上を自動車等が通行した際に該自動車等が滑るのを防ぐことができる。また、ガードプレート3の上面周縁Rと排水孔3cとを連絡するよう設けられた第2領域A2には、滑り防止層Lが設けられていないので、雨水等が第1領域A1よりも流れ易くなる。つまり、橋梁Bの車道Dから排水溝ユニット1の上面周縁Rに到達した雨水等は、該排水溝ユニット1の上面における第2領域A2を通って排水孔3cまでスムーズに流れるようになる。これにより、排水溝ユニット1の排水性能が悪化するのを防ぐことができる。
【0047】
また、例えば、排水溝ユニット1が排水流れ方向と橋梁Bの延設方向とが略一致する姿勢で該橋梁Bの路肩Sに設置されている場合、橋梁Bの車道Dの雨水等は、排水溝ユニット1に向けて当該排水溝ユニット1の排水流れ方向と交差する方向で、かつ、水平方向に流れるようになる。ここで、ガードプレート3の上面には、雨水等が排水溝ユニット1に流れ込む方向と略同方向に沿って第2領域A2が設けられているので、橋梁Bの車道Dの雨水等が第2領域A2を通って排水孔3cにスムーズに流れるようになる。したがって、排水溝ユニット1の排水性能の悪化を防ぐことができる。
【0048】
また、排水流れ方向に沿って第1領域A1と第2領域A2とが交互に設けられるようになるので、例えば、第2領域A2が上記排水流れ方向の上流側や下流側に偏って設けられることを防ぐことができる。これにより、排水溝ユニット1の上を排水流れ方向に沿って通行する際に自動車等が滑るのを確実に防ぐことができる。
【0049】
また、例えば、ガードプレート3の上をトラックが通行して、ガードプレート3に上方から比較的大きな荷重が作用した場合であっても、該荷重が丸支承部3d及びリブ3eを介して底壁部2aに伝達され、該底壁部2aにおいて受けることが可能となる。これにより、ガードプレート3が変形してしまうのを防ぐことができる。
【0050】
また、排水孔3cを介して第1通水路部2dへと導入された雨水等が、第1通水路部2dと第2通水路部2eとの間に設けられたリブ3eとリブ3eとの間を通過して第2通水路部2eへと流れる際、雨水等に含まれる落ち葉等のゴミが各リブに引っ掛かって捕集されるようになる。これにより、ゴミが第2通水路部2eに入り込むのを抑えることが可能になり、第2通水路部2eにゴミが溜まることにより、排水溝ユニット1の排水性能が悪化するということを防ぐことができる。
【0051】
また、例えば、排水溝ユニット1からガードプレート3を取り外すと、第1通水路部2dと第2通水路部2eとを仕切るリブ3eが流水プレート2上に存在しなくなるので、排水溝ユニット1の流水プレート2を掃除する際にリブ3eが邪魔になるのを防ぐことができる。
【0052】
また、例えば、ガードプレート3の上を自動車等が通行する際、その自動車等の車輪が排水孔3cの上を通過しても、自動車等の荷重が丸支承部3dによって底壁部2aに伝達され、該底壁部2aにより荷重が受け止められるようになる。これにより、自動車等の荷重によってガードプレート3における排水孔3cの周辺部分が変形するのを防ぐことができる。
【0053】
なお、本実施形態では、排水溝ユニット1は、橋梁Bに設置或いは仮設されている例について説明したが、橋梁B以外にも、高架橋、アンダーパス、トンネル、街路等の道路に排水溝ユニット1を設置或いは仮設するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、排水溝ユニット1は、その長手方向が橋梁Bの延設方向と一致する姿勢で該橋梁Bの路肩S等に設置或いは仮設している例について説明したが、排水溝ユニット1をその長手方向が橋梁B等の道路の延設方向とは交差する水平方向に延びる姿勢で橋梁B等に設置或いは仮設するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、排水溝ユニット1は、平面視で略長方形状をなしていたが、平面視で略正方形状等の略長方形状とは異なる形状であってもよい。
【0056】
また、本実施形態では、排水溝ユニット1が橋梁Bに仮設されている場合において、排水溝ユニット1が車道Dに設定されている例について説明したが、排水溝ユニット1が歩道、自転車歩行車道、自転車専用通行帯に設定されるようにしてもよい。この場合、滑り防止層Lにより、歩行者や自転車が滑るのを確実に防ぎつつ排水溝ユニット1の排水性能を確保することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、排水溝ユニット1の長手方向と「所定の排水流れ方向」とが一致する例について説明したが、該「所定の排水流れ方向」が第2通水路部2eの延び方向と一致しているのであれば、長手方向に限定されず、例えば、該長手方向に交差する水平方向であってもよい。
【0058】
また、本実施形態では、第1領域A1及び第2領域A2は、長手方向に沿って交互に設けられていたが、図11に示すように、交差方向に沿って交互に設けるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、第1領域A1及び第2領域A2は、平面視で略矩形状をなしていたが、ガードプレート3における天壁部3aの周縁Rと排水孔3cとを連絡可能なものであれば、略矩形状以外の形状であってもよく、例えば、第2領域A2が平面視で排水孔3cから天壁部3aの周縁Rに向けて放射状に延びるように設けられていてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、第1領域A1の面積は、第2領域A2の面積よりも小さくされていたが、第1領域A1の面積と第2領域A2の面積とを同じにしてもよく、或いは、第1領域A1の面積を第2領域A2よりも大きくしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、複数の排水孔3cが長手方向に沿って並設されていたが、交差方向に沿って並設するようにしてもよく、1つの排水孔3cのみ備えるようにしてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、丸支承部3d及びリブ3eは、ガードプレート3の下面から下方に向けて突設されていたが、流水プレート2の上面から上方に向けて突設されるようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、リブ3eは、排水溝ユニット1の長手方向に沿って並設されていたが、該長手方向と交差する方向に沿って並設するようにしてもよく、或いは、平面視で略円弧状となるように並設してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、丸支承部3dとリブ3eとが設けられていたが、いずれか一方或いは両方を設けないようしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、道路に設置することが可能な排水溝ユニットに適している。
【符号の説明】
【0066】
1 排水溝ユニット
2 流水プレート
2a 底壁部
2d 第1通水路部
2e 第2通水路部
3 ガードプレート
3c 排水孔
3d 丸支承部(荷重伝達部)
3e リブ(荷重伝達部)
A1 第1領域
A2 第2領域
L 滑り防止層
R 周縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11