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特開2024-84407管制装置、管制方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084407
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】管制装置、管制方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/02 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G08G5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198665
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山中 寛太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC14
5H181FF13
5H181LL09
5H181MB06
(57)【要約】
【課題】複数の飛行体に対する着陸地点の割り当てを行うことができる管制装置を提供すること。
【解決手段】複数の飛行体各々の現在位置を取得する飛行体情報取得部と、着陸地点候補の位置を取得する着陸地点候補情報取得部と、飛行体情報取得部が取得した現在位置と、着陸地点候補情報取得部が取得した前記位置とを用いてイジングモデル式を生成するイジングモデル生成部と、前記イジングモデル式を最小化する最適化問題の解を得ることで、前記複数の飛行体各々に対して、前記着陸地点候補の中から着陸地点を割り当てる着陸地点割当部とを備え、前記イジングモデル式は、1つの前記着陸地点候補に対して1つの前記飛行体を割り当てる制約を示す項、あるいは1つの前記飛行体に対して1つの前記着陸地点を割り当てる制約を示す項を少なくとも含む、管制装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の飛行体各々の現在位置を取得する飛行体情報取得部と、
着陸地点候補の位置を取得する着陸地点候補情報取得部と、
前記飛行体情報取得部が取得した前記現在位置と、前記着陸地点候補情報取得部が取得した前記位置とを用いてイジングモデル式を生成するイジングモデル生成部と、
前記イジングモデル式を最小化する最適化問題の解を得ることで、前記複数の飛行体各々に対して、前記着陸地点候補の中から着陸地点を割り当てる着陸地点割当部と
を備え、
前記イジングモデル式は、1つの前記着陸地点候補に対して1つの前記飛行体を割り当てる制約を示す項、あるいは1つの前記飛行体に対して1つの前記着陸地点を割り当てる制約を示す項を少なくとも含む、
管制装置。
【請求項2】
前記飛行体情報取得部は、さらに前記複数の飛行体各々の残りの航続可能距離を取得し、
前記イジングモデル式は、前記複数の飛行体各々に対して割り当てられる前記着陸地点までの距離を、前記航続可能距離未満とする制約を示す項を含む、
請求項1に記載の管制装置。
【請求項3】
飛行体の管制方法であって、
複数の飛行体各々の現在位置を取得する第1のステップと、
着陸地点候補の位置を取得する第2のステップと、
前記第1のステップにおいて取得した前記現在位置と、前記第2のステップにおいて取得した前記位置とを用いてイジングモデル式を生成する第3のステップと、
前記イジングモデル式を最小化する最適化問題の解を得ることで、前記複数の飛行体各々に対して、前記着陸地点候補の中から着陸地点を割り当てる第4のステップと
を有し、
前記イジングモデル式は、1つの前記着陸地点候補に対して1つの前記飛行体を割り当てる制約を示す項、あるいは1つの前記飛行体に対して1つの前記着陸地点を割り当てる制約を示す項を少なくとも含む、
管制方法。
【請求項4】
コンピュータを、
複数の飛行体各々の現在位置を取得する飛行体情報取得部、
着陸地点候補の位置を取得する着陸地点候補情報取得部、
前記飛行体情報取得部が取得した前記現在位置と、前記着陸地点候補情報取得部が取得した前記位置とを用いてイジングモデル式を生成するイジングモデル生成部、
前記イジングモデル式を最小化する最適化問題の解を得ることで、前記複数の飛行体各々に対して、前記着陸地点候補の中から着陸地点を割り当てる着陸地点割当部
として機能させるためのプログラムであって、
前記イジングモデル式は、1つの前記着陸地点候補に対して1つの前記飛行体を割り当てる制約を示す項、あるいは1つの前記飛行体に対して1つの前記着陸地点を割り当てる制約を示す項を少なくとも含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管制装置、管制方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチコプタなどのドローンを、宅配便の配達などに用いることが検討されている。また、空飛ぶ車の開発も進められている。
特許文献1に記載の移動体運用システムは、ドローンなどの移動体(飛行体)が、不測の事態により目的地に移動することができなくなったときに、該移動体が目的地まで移動する経路上において着陸可能な位置の中から、移動体の現在位置に最も近い位置を緊急着陸先として決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7042314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の移動体運用システムにおいては、天候の悪化などにより、複数の飛行体の緊急着陸が必要となったときに、複数の飛行体の間で、緊急着陸先が競合してしまうことがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の飛行体の緊急着陸が必要となったときに、複数の飛行体各々の着陸地点を決定することができる管制装置、管制方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、複数の飛行体各々の現在位置を取得する飛行体情報取得部と、着陸地点候補の位置を取得する着陸地点候補情報取得部と、前記飛行体情報取得部が取得した前記現在位置と、前記着陸地点候補情報取得部が取得した前記位置とを用いてイジングモデル式を生成するイジングモデル生成部と、前記イジングモデル式を最小化する最適化問題の解を得ることで、前記複数の飛行体各々に対して、前記着陸地点候補の中から着陸地点を割り当てる着陸地点割当部とを備え、前記イジングモデル式は、1つの前記着陸地点候補に対して1つの前記飛行体を割り当てる制約を示す項、あるいは1つの前記飛行体に対して1つの前記着陸地点を割り当てる制約を示す項を少なくとも含む、管制装置である。
【0007】
また、本発明の他の一態様は、上述した管制装置であって、前記飛行体情報取得部は、さらに前記複数の飛行体各々の残りの航続可能距離を取得し、前記イジングモデル式は、前記複数の飛行体各々に対して割り当てられる前記着陸地点までの距離を、前記航続可能距離未満とする制約を示す項を含む。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、飛行体の管制方法であって、複数の飛行体各々の現在位置を取得する第1のステップと、着陸地点候補の位置を取得する第2のステップと、前記第1のステップにおいて取得した前記現在位置と、前記第2のステップにおいて取得した前記位置とを用いてイジングモデル式を生成する第3のステップと、前記イジングモデル式を最小化する最適化問題の解を得ることで、前記複数の飛行体各々に対して、前記着陸地点候補の中から着陸地点を割り当てる第4のステップとを有し、前記イジングモデル式は、1つの前記着陸地点候補に対して1つの前記飛行体を割り当てる制約を示す項、あるいは1つの前記飛行体に対して1つの前記着陸地点を割り当てる制約を示す項を少なくとも含む、管制方法である。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、コンピュータを、複数の飛行体各々の現在位置を取得する飛行体情報取得部、着陸地点候補の位置を取得する着陸地点候補情報取得部、前記飛行体情報取得部が取得した前記現在位置と、前記着陸地点候補情報取得部が取得した前記位置とを用いてイジングモデル式を生成するイジングモデル生成部、前記イジングモデル式を最小化する最適化問題の解を得ることで、前記複数の飛行体各々に対して、前記着陸地点候補の中から着陸地点を割り当てる着陸地点割当部として機能させるためのプログラムであって、前記イジングモデル式は、1つの前記着陸地点候補に対して1つの前記飛行体を割り当てる制約を示す項、あるいは1つの前記飛行体に対して1つの前記着陸地点を割り当てる制約を示す項を少なくとも含む、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、複数の飛行体に対する着陸地点の割り当てを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態による管制システム10の構成を示す模式図である。
図2】同実施形態における管制装置100の機能構成を示す概略ブロック図である。
図3】同実施形態における管制システム10の動作を説明するシーケンス図である。
図4】同実施形態における飛行体Dの動作を説明するフローチャートである。
図5】同実施形態における管制装置100の動作を説明するフローチャートである。
図6】同実施形態における着陸地点候補DB102の記憶内容例を示す表である。
図7】同実施形態における着陸地点の割り当て結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による管制システム10の構成を示す模式図である。管制システム10は、ドローン、空飛ぶ車などの複数の飛行体D1~D3を管制するためのシステムである。複数の飛行体D1~D3は、衛星測位システムなどの現在位置を検出するセンサ、LiDAR(Light Detection and Ranging)など周囲環境を検出するセンサ、加速度計、ジャイロなど自装置の姿勢および移動を検出するセンサ、あるいはバッテリの残量計など自装置の状態を検出するセンサを備えていてもよい。これらのセンサは、量子センサであってもよい。また、複数の飛行体D1~D3は、自律飛行するものであってもよいし、遠隔制御により飛行するものであってもよいし、搭乗者の操縦により飛行するものであってもよい。管制システム10は、天候悪化などの複数の飛行体に関わる緊急事態、あるいは複数の飛行体において装置故障などの緊急事態が発生し、複数の飛行体D1~D3の緊急着陸が必要なときに、複数の飛行体D1~D3に対して着陸地点P1~P3を割当てる。管制システム10は、管制装置100と、イジングマシン200とを備える。
【0013】
管制装置100は、コンピュータがプログラムを読み込み、実行することで実現されてもよい。管制装置100は、複数の飛行体D1~D3の各々に対して、着陸地点P1~P3のいずれかを割当てるためのイジングモデル式(ハミルトニアン、エネルギー関数ともいう)を生成する。管制装置100は、生成したイジングモデル式をイジングマシン200に設定し、該イジングモデル式の解をイジングマシン200から取得する。なお、イジングモデル式は、一般に変数の値が-1または+1であるが、ここでは、イジングモデル式は、変数の値が0または1であるQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)であってもよい。
【0014】
イジングマシン200は、量子ゲート方式あるいは量子アニーリング方式の量子コンピュータ、量子インスパイア―ドマシン(シミュレーテッドアニーリングマシン)、数理最適化ソルバーなど、最適化問題の解を算出する装置である。イジングマシン200は、管制装置100により設定されたイジングモデル式を最小化する解を算出する。
【0015】
なお、図1には、3つの飛行体D1~D3と、3つの着陸地点P1~P3が記載されているが、これらの数は3つでなくてもよい。なお、着陸地点P1~P3には、飛行体D1~D3の離着陸用のポートの他に、緊急時に使用可能な着陸地点も含まれていてもよい。
【0016】
図2は、本実施形態における管制装置100の機能構成を示す概略ブロック図である。管制装置100は、緊急事態検出部101、着陸地点候補DB(Data Base)102、通信部103、着陸地点候補情報取得部104、着陸地点割当部105、飛行体情報取得部106、イジングモデル生成部107を備える。
【0017】
緊急事態検出部101は、気象情報などを配信する他装置から、通信部103を介して情報を取得し、緊急事態を検出する。他装置には、飛行体D1~D3、あるいは着陸地点P1~P3の設備が含まれていてもよい。また、緊急事態検出部101は、管制装置100のオペレータの操作入力により緊急事態を検出してもよい。また、緊急事態検出部101は、検出した緊急事態を、通信部103を介して飛行体D1~D3、および着陸地点P1~P3の設備に通知してもよい。
【0018】
着陸地点候補DB102は、緊急事態の際に飛行体D1~D3の着陸地点の候補各々について、着陸地点候補の情報として、その位置および空き状態を記憶する。着陸地点候補DB102は、その他にも、飛行体D1~D3の運航計画、航路、飛行禁止区域、飛行可能区域などを記憶していてもよい。
通信部103は、飛行体D1~D3、着陸地点P1~P3の設備などの他装置と通信するための通信機能を有する。
【0019】
着陸地点候補情報取得部104は、着陸地点候補DB102から着陸地点候補の位置を取得する。なお、着陸地点候補情報取得部104は、着陸地点候補の空き状態については、着陸地点候補DB102から取得してもよいし、着陸地点P1~P3の設備から通信部103を介して取得してもよい。
【0020】
飛行体情報取得部106は、飛行体D1~D3各々の現在位置を、通信部103を介して飛行体D1~D3から取得する。なお、飛行体情報取得部106は、飛行体D1~D3各々の現在位置を、飛行体D1~D3の飛行を制御する装置、あるいは、飛行体D1~D3の位置を検出するレーダーなどから取得してもよい。また、飛行体情報取得部106は、飛行体D1~D3各々の残りの航続可能距離を、通信部103を介して飛行体D1~D3から取得する。
【0021】
イジングモデル生成部107は、飛行体情報取得部106が取得した現在位置と、着陸地点候補情報取得部104が取得した位置とを用いてイジングモデル式を生成する。このイジングモデル式は、飛行体D1~D3各々から、割当てた着陸地点P1~P3までの距離の合計を最小化するための目的関数を含むが、さらに、1つの着陸地点候補に対して1つの飛行体を割当てる制約を示す項、あるいは1つの飛行体に対して1つの着陸地点候補を割当てる制約を示す項を少なくとも含む。また、イジングモデル式は、飛行体D1~D3各々に対して割り当てられる着陸地点P1~P3までの距離を、飛行体情報取得部106が取得した航続可能距離未満とする制約を示す項を含んでいてもよい。
【0022】
式(1)は、イジングモデル式の一例である。Hは、目的関数であり、飛行体から、その飛行体に割り当てられた着陸地点候補までの距離の、全ての飛行体についての総和である。Hは、1つの着陸地点候補に対して1つの飛行体を割当てる制約を示す項である。Hは、1つの飛行体に対して1つの着陸地点候補を割当てる制約を示す項である。Hは、飛行体各々に対して割り当てられる着陸地点までの距離を、航続可能距離未満とする制約を示す項である。α、α、αは、HからH各々の重み係数である。α、α、αは、予め決められた値であってもよいし、管制装置100のオペレータにより設定された値であってもよい。なお、イジングモデル式は、式(1)に示す項のいずれかを含んでいなくてもよいし、他の項を含んでいてもよい。
【0023】
【数1】
【0024】
式(1)のHは、式(2)で表される。Nは、飛行体の数である。Mは、着陸地点候補の数である。dijは、飛行体jから着陸地点候補iまでの距離である。qijは、着陸地点候補iと飛行体jとの関係を示す変数であり、「0」または「1」の値をとる。イジングマシン200により、式(1)のHの値が最小になるqijおよび後述する式(7)のyの値の組み合わせが算出される。
【0025】
【数2】
【0026】
式(3)は、dijの算出方法の一例である。pi,x、pi,y、pi,zは、着陸地点候補iの位置のx、y、z座標値である。vj,x、vj,y、vj,zは、飛行体jの現在位置のx、y、z座標値である。なお、式(3)は、dijを着陸地点候補iと飛行体jとの直線距離として算出しているが、着陸地点候補DB102が記憶する飛行禁止区域を迂回するルートの道のりを距離として算出してもよいし、着陸地点候補DB102が記憶する飛行可能区域を通るルートの道のりを距離として算出してもよい。
【0027】
【数3】
【0028】
式(1)のHは、式(4)で表される。この式(4)は、各着陸地点候補iについて、qijの飛行体jに関する総和が「1」になるように制約している項である。式(1)のHは、式(5)で表される。この式(5)は、各飛行体jについて、qijの着陸地点候補iに関する総和が「1」になるように制約している項である。式(1)のHは、式(6)で表される。式(6)のzは、飛行体jの残りの航続可能距離である。式(6)のλは、不等式制約dijij≦zを等式制約に変換するためのスラック変数であり、例えば式(7)で表される。
【0029】
【数4】
【0030】
【数5】
【0031】
【数6】
【0032】
【数7】
【0033】
着陸地点割当部105は、イジングモデル式を最小化する最適化問題の解を、イジングマシン200から得ることで、複数の飛行体D1~D3各々に対して、着陸地点候補の中から着陸地点を割り当てる。
【0034】
図3は、本実施形態における管制システム10の動作を説明するシーケンス図である。図3では、飛行体Dは、飛行体D1~D3を代表しており、着陸地点候補Pは、着陸地点候補P1~P3を代表している。管制装置100は、緊急事態を検出すると、飛行体Dおよび着陸地点候補Pの設備に、緊急事態通知S1を送信する。次に、管制装置100は、飛行体Dに、飛行体情報要求Sa2を送信する。その応答として、飛行体Dは、飛行体情報Sa3(飛行体Dの位置、残りの航続可能距離)を、管制装置100に送信する。なお、この飛行体情報要求Sa2により、管制装置100は、着陸が必要か否かを、飛行体Dに対して問合せるようにしてもよい。
【0035】
また、管制装置100は、着陸地点候補Pの設備に、着陸地点候補情報要求Sa4を送信する。その応答として、着陸地点候補Pの設備は、着陸地点候補情報Sa5(空き状態)を、管制装置100に送信する。なお、飛行体情報要求Sa2および着陸地点候補情報要求Sa4は、緊急事態通知S1が兼ねていてもよい。
【0036】
管制装置100は、飛行体情報および着陸地点候補情報を用いて生成したイジングモデル式Sa6を、イジングマシン200に設定する。イジングマシン200は、設定されたイジングモデル式を最小化する解を算出する。管制装置100は、イジングマシン200が算出した解Sa7を、イジングマシン200から取得する。管制装置100は、取得した解が示す着陸地点の割り当てに従い、飛行体Dに対して、該飛行体に割り当てられた着陸地点の着陸地点情報Sa8(着陸地点の位置、識別)を送信する。また、管制装置100は、着陸地点候補Pの設備に対して、該着陸地点候補Pが着陸地点として割り当てられた飛行体Dを示す飛行体情報Sa9を送信する。
【0037】
図4は、本実施形態における飛行体Dの動作を説明するフローチャートである。飛行体Dは、管制装置100から緊急事態通知を受信する(ステップSb1)。次に、飛行体Dは、管制装置100から飛行体情報要求を受信する(ステップSb2)。飛行体Dは、飛行体情報要求への応答として、飛行体情報を送信する(ステップSb3)。この飛行体情報には、着陸の要否、飛行体Dの現在位置、残りの航続可能距離が含まれていてもよい。
【0038】
飛行体Dは、着陸が必要でないときは(ステップSb4-No)、さらに緊急事態通知を受信しない限り、目的地までの飛行を継続する(ステップSb5)。飛行体Dは、着陸が必要なときは(ステップSb4-Yes)、管制装置100から着陸地点情報を受信する(ステップSb6)。次に、飛行体Dは、受信した着陸地点情報の着陸地点へ飛行して、着陸する(ステップSb7)。
【0039】
図5は、本実施形態における管制装置100の動作を説明するフローチャートである。まず、管制装置100は、緊急事態を検出すると、飛行体D1~D3、および着陸地点候補P1~P3に該緊急事態を通知する(ステップSc1)。次に、管制装置100は、飛行体D1~D3に飛行体情報を要求し、取得する(ステップSc2)。次に、管制装置100は、着陸地点候補P1~P3に着陸地点候補情報を要求し、取得する(ステップSc3)。
【0040】
次に、管制装置100は、取得した飛行体情報および着陸地点候補情報を用いて、イジングモデル式を生成し、イジングマシン200に設定する(ステップSc4)。イジングマシン200が、設定されたイジングモデル式の解を算出すると、管制装置100は、その解を、イジングマシン200から取得する(ステップSc6)。管制装置100は、取得した解が示す、飛行体D1~D3各々への着陸地点の割り当てに従い、飛行体D1~D3に着陸地点を通知する(ステップSc7)。
【0041】
図6は、本実施形態における着陸地点候補DB102の記憶内容例を示す表である。着陸地点候補DB102は、着陸地点候補#と、着陸地点名と、座標と、空き状態とを対応付けて記憶する。着陸地点候補#は、着陸地点候補を識別する番号である。着陸地点名は、着陸地点候補の名称である。座標は、着陸地点候補の3次元座標である。空き状態は、着陸地点候補が空いているか否かを示す情報である。図6の例では、着陸地点候補DB102は、着陸地点候補#「0001」と、着陸地点名と「aaaa1」、座標「x1,y1,z1」と、空き状態「空き」とを対応付けて記憶している。また、同様に、着陸地点候補DB102は、着陸地点候補#「0002」と、着陸地点名と「aaaa2」、座標「x2,y2,z2」と、空き状態「満」とを対応付けて記憶している。
【0042】
図7は、本実施形態における着陸地点の割り当て結果の例を示す図である。図7において、横軸は経度であり、縦軸は緯度である。また、丸印は着陸地点候補の位置を示し、△印は飛行体の現在位置を示す。破線は、飛行体と、着陸地点として割り当てられた着陸地点候補との対応を示す。
【0043】
なお、上述の実施形態において、イジングマシン200は、管制装置100に含まれていてもよい。
【0044】
また、図2における管制装置100、またはイジングマシン200の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより管制装置100、またはイジングマシン200を行って実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0045】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0046】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10 管制システム
100 管制装置
101 緊急事態検出部
102 着陸地点候補DB
103 通信部
104 着陸地点候補情報取得部
105 着陸地点割当部
106 飛行体情報取得部
107 イジングモデル生成部
200 イジングマシン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7