(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084416
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】取引処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G07G1/12 351D
G07G1/12 321Z
G07G1/12 361D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198681
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】福澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳雄
(72)【発明者】
【氏名】池田 一路
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142CA19
3E142DA04
3E142DA07
3E142EA02
3E142FA36
3E142JA01
(57)【要約】
【課題】 ある制度に対応した証票を出力するか否かを、取引ごとに変更可能とする。
【解決手段】 実施形態の取引処理装置は、登録手段、指示受け手段、制御手段及び第1の出力手段を備える。登録手段は、一取引の対象となる一又は複数の商品を登録する。指示受け手段は、取引の個々に関して適格証票の出力指示を受ける。制御手段は、指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、制度の対象外となる商品を取引対象として含まないように登録手段を制御する。第1の出力手段は、登録手段により登録された商品についての取引内容を予め定められた制度で規定された要件を満たして表わすとともに、指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関しては販売者の識別子を表した証票を出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一取引の対象となる一又は複数の商品を登録する登録手段と、
取引の個々に関して適格証票の出力指示を受ける指示受け手段と、
前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、予め定められた制度の対象外となる商品を取引対象として含まないように前記登録手段を制御する制御手段と、
前記登録手段により登録された商品についての取引内容を前記制度で規定された要件を満たして表わすとともに、前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関しては販売者の識別子を表した証票を出力する第1の出力手段と、
を具備した取引処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、前記制度の対象外となる商品を取引対象として含まないように前記登録手段を制御する、
請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記指示受け手段により出力指示が受けられた後には、前記登録手段が前記制度の対象外となる商品を取引対象となる商品に含めることを抑止する、
請求項2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して取引対象となる商品の前記登録手段による登録の終了時に、前記制度の対象外となる商品が取引対象として含まれるならば、前記出力手段により証票が出力されるよりも前に、前記制度の対象外となる商品を取引対象から除外するように前記登録手段を制御する、
請求項2に記載の取引処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
一取引の対象となる一又は複数の商品を登録する登録手段と、
取引の個々に関して適格証票の出力指示を受ける指示受け手段と、
前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、予め定められた制度の対象外となる商品を取引対象として含まないように前記登録手段を制御する制御手段と、
前記登録手段により登録された商品についての取引内容を前記制度で規定された要件を満たして表わすとともに、前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関しては販売者の識別子を表した証票を出力する第1の出力手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【請求項6】
一取引の対象となる一又は複数の商品を登録する登録手段と、
取引の個々に関して適格証票の出力指示を受ける指示受け手段と、
前記登録手段により登録された商品についての取引内容を表す証票を、前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関しては出力者の識別子を表した適格証票として、また前記指示受け手段により出力指示が受けられなかった取引に関しては出力者の識別子を表さない不適格証票として出力する第2の出力手段と、
を具備する取引処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
一取引の対象となる一又は複数の商品を登録する登録手段と、
取引の個々に関して適格証票の出力指示を受ける指示受け手段と、
前記登録手段により登録された商品についての取引内容を表す証票を、前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関しては出力者の識別子を表した適格証票として、また前記指示受け手段により出力指示が受けられなかった取引に関しては出力者の識別子を表さない不適格証票として出力する第2の出力手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【請求項8】
一取引の対象となる一又は複数の商品を登録する登録手段と、
取引の個々に関して適格証票の出力指示を受ける指示受け手段と、
前記指示受け手段により出力指示が受けられたか否かに拘わらずに、前記登録手段により登録された商品についての取引内容を表し、出力者の識別子は表さない第1の証票を出力する第3の出力手段と、
前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、前記登録手段により登録された商品のうちで予め定められた制度の対象となる商品についての取引内容を前記制度で規定された要件を満たして表すとともに、出力者の識別子を表した第2の証票を出力する第4の出力手段と、
前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、前記登録手段により登録された商品のうちで前記制度の対象外となる商品についての取引内容を表し、出力者の識別子を表さない第3の証票を出力する第5の出力手段と、
を具備する取引処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
一取引の対象となる一又は複数の商品を登録する登録手段と、
取引の個々に関して適格証票の出力指示を受ける指示受け手段と、
前記指示受け手段により出力指示が受けられたか否かに拘わらずに、前記登録手段により登録された商品についての取引内容を表し、出力者の識別子は表さない第1の証票を出力する第3の出力手段と、
前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、前記登録手段により登録された商品のうちで予め定められた制度の対象となる商品についての取引内容を前記制度で規定された要件を満たして表すとともに、出力者の識別子を表した第2の証票を出力する第4の出力手段と、
前記指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、前記登録手段により登録された商品のうちで前記制度の対象外となる商品についての取引内容を表し、出力者の識別子を表さない第3の証票を出力する第5の出力手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【請求項10】
前記制度は適格請求書等保存方式であり、出力者の識別子は適格請求書発行事業者番号である、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4及び請求項8のいずれか一項に記載の取引処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
POS端末装置などの取引処理装置にあっては、税制度などの諸制度に適応してレシートなどの証票を出力できることが必要となる場合がある。
ただし、諸制度には適用対象となる証票の受け取り者に限りがある場合もあるために、取引処理装置が用いられる店舗等の営業形態によっては、ある制度に対応した証票を発行する必要がない場合もある。
【0003】
例えば、諸制度の1つとして、令和5年10月から導入される「適格請求書等保存方式」がある。この制度は「インボイス制度」とも称され、当該呼称を以下の記載において用いることとする。このインボイス制度では、消費税に関する複数税率制度に対応した仕入税額控除のための正式な証書(適格請求書、あるいはインボイスと称され、以下ではインボイスと記す)の要件が定められている。このため、仕入税額控除の対象とならない一般消費者などに対してはインボイスを渡す必要はない。
【0004】
ところが、例えば大半の客が一般消費者である店舗であるとしても、インボイスを必要とする者が客となる可能性があるならば、取引処理装置では常にインボイスを発行するようにしておかなければならなかった。
このような事情から、ある制度に対応した証票を出力するか否かを、取引ごとに切り換えられることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ある制度に対応した証票を出力するか否かを、取引ごとに切り換えられる取引処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の取引処理装置は、登録手段、指示受け手段、制御手段及び第1の出力手段を備える。登録手段は、一取引の対象となる一又は複数の商品を登録する。指示受け手段は、取引の個々に関して適格証票の出力指示を受ける。制御手段は、指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関して、制度の対象外となる商品を取引対象として含まないように登録手段を制御する。第1の出力手段は、登録手段により登録された商品についての取引内容を予め定められた制度で規定された要件を満たして表わすとともに、指示受け手段により出力指示が受けられた取引に関しては販売者の識別子を表した証票を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るPOSシステムの概略構成と、POS端末装置及びPOSサーバの要部回路構成とを表すブロック図。
【
図2】
図1中の取引データの構成を模式的に表す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るPOSシステム1の概略構成と、POS端末装置100及びPOSサーバ200の要部回路構成とを表すブロック図である。
POSシステム1は、POS端末装置100とPOSサーバ200とを通信ネットワーク2を介して通信可能として構成されている。
【0010】
POS端末装置100は、店舗における客に対する商品の販売のための処理を行う。つまりPOS端末装置100は、店舗運営者と客との間での商品販売のための取引に関する処理を行う取引処理装置の一例である。
POS端末装置100は、いわゆる対面式であり、主に店員がその操作者となる。POS端末装置100は、店員用のワークスペースに面する状態で店内等に設置される。客は、通常は、ワークスペースとは別に定められた待機スペースで待機する。そこで以下においては、POS端末装置100を基準に、ワークスペース側及び待機スペース側を、店員側及び客側とそれぞれ称することとする。
【0011】
POS端末装置100は、プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、クレジットカードリーダ108、近接通信ユニット109、カードリーダ/ライタ110、レシートプリンタ111、釣銭ユニット112、客側タッチパネル113、通信ユニット114及び伝送路115を含む。そしてプロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、クレジットカードリーダ108、近接通信ユニット109、カードリーダ/ライタ110、レシートプリンタ111、釣銭ユニット112、客側タッチパネル113及び通信ユニット114は、伝送路115に接続されている。
【0012】
プロセッサ101、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103が伝送路115で接続されて、POS端末装置100の制御に関する情報処理を実行するためのコンピュータが構成される。
プロセッサ101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに基づく情報処理を実行することにより、POS端末装置100の各種の機能を実現するべくPOS端末装置100の各部を制御する。
【0013】
メイン記憶ユニット102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット102は、プロセッサ101が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット102は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ101によるワークエリアとして使用する。
【0014】
補助記憶ユニット103は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット103は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを備える。補助記憶ユニット103は、プロセッサ101が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ101での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット103は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット103は、本実施形態においては、取引処理プログラムPRAを記憶する。取引処理プログラムPRAは、取引を処理するための後述する情報処理に関する処理手順を記述したアプリケーションプログラムである。補助記憶ユニット103の記憶領域の一部は、取引データDAAを記憶する領域として利用される。取引データDAAは、一取引の内容を表すデータである。
【0015】
店員側タッチパネル104は、店員側に向けて設けられている。店員側タッチパネル104は、店員に対する情報提示のための画面を表示する。また店員側タッチパネル104は、店員による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
キーボード105は、多数のキーを、店員側からの店員による操作が簡易なように備える。キーボード105は、これらのキーの押下による店員の指示を入力する。
【0016】
固定スキャナ106は、店員側に向けられた読取窓を有する。固定スキャナ106は、読取窓の前に翳された商品を撮像した上で、当該商品に形成されたバーコードが表すバーコード情報を画像処理によって認識する。そして固定スキャナ106は、プロセッサ101へ出力する。なお、固定スキャナ106は、レーザ光の反射を利用して光学的にバーコードを読み取るような他のタイプの周知のデバイスを利用することもできる。また固定スキャナ106は、商品を撮像して得た商品自体の画像からオブジェクト認識技術を利用して商品を特定する機能を備えるタイプの周知のデバイスを利用することもできる。
【0017】
ハンディスキャナ107は、店員の手に持って用いられ、読み取り口に対向されたバーコードを光学的に読み取る。ハンディスキャナ107は、読み取ったバーコードが表すバーコード情報をプロセッサ101へと出力する。
クレジットカードリーダ108は、クレジットカードからカード情報を読み取る。
【0018】
近接通信ユニット109は、近接された無線タグとの間で近接無線通信を行い、当該無線タグに記憶されたデータを取得する。また近接通信ユニット109は、上記の近接無線通信により、上記の無線タグに任意の情報を書き込む。
カードリーダ/ライタ110は、会員カード及びプリペイドカードなどの予め定められたカードに記録されたカードデータを読み取る。またカードリーダ/ライタ110は、会員カードに対して任意のデータを書き込む。
【0019】
レシートプリンタ111は、レシート用紙に対してレシート、領収証又は売上票などの証票の画像を印刷する。レシートプリンタ111は、上記の画像を印刷したレシート用紙をレシート排出口から外部へと排出する。
釣銭ユニット112は、硬貨投入口から投入された硬貨を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット112は、収納庫に収容している硬貨を、硬貨排出口を介して硬貨トレイへと排出する。釣銭ユニット112は、紙幣投入口から投入された紙幣を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット112は、収納庫に収容している紙幣を紙幣排出口から排出する。紙幣排出口は、排出された紙幣を、その一部を外部に露出させた状態で保持する。
客側タッチパネル113は、客側に向けて設けられている。客側タッチパネル113は、客に対する情報提示のための画面を表示する。また客側タッチパネル113は、客による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
【0020】
通信ユニット114は、プロセッサ101が通信ネットワーク2を介して、例えばPOSサーバ200などの任意の装置と各種データを授受するための通信処理を行う。通信ネットワーク2としては、典型的にはLAN(local area network)が用いられる。しかしながら通信ネットワーク2としては、LANの他に、インターネット、VPN(virtual private network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。通信ユニット114としては、通信ネットワーク2の通信方式に準じた周知のデバイスを用いることができる。
伝送路115は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含む。伝送路115は、接続されている各部の間で授受されるデータ及び信号を伝送する。
【0021】
POS端末装置100の基本ハードウェアとしては、例えば既存の別のPOS端末装置のハードウェアを用いることができる。このときにPOS端末装置100の譲渡は一般に、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶された状態にて行われる。しかし、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶されない状態のPOS端末装置100のハードウェアと取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、補助記憶ユニット103に、任意の作業者の操作に応じて取引処理プログラムPRAが書き込まれてもよい。あるいは、取引処理プログラムPRAと同種の別バージョンの情報処理プログラムが補助記憶ユニット103に記憶された状態のPOS端末装置100のハードウェアと取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、補助記憶ユニット103に既に記憶されている情報処理プログラムを置き換える形で、取引処理プログラムPRAが書き込まれてもよい。取引処理プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。取引処理プログラムPRAは、メイン記憶ユニット102に記憶されてもよい。
【0022】
POSサーバ200は、プロセッサ201、メイン記憶ユニット202、補助記憶ユニット203、通信ユニット204及び伝送路205等を備える。プロセッサ201と、メイン記憶ユニット202、補助記憶ユニット203及び通信ユニット204とは、伝送路205を介して通信可能とされている。
【0023】
プロセッサ201、メイン記憶ユニット202及び補助記憶ユニット203を伝送路205で接続することによって、POSサーバ200を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ201は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ201は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに従って、POSサーバ200としての各種の機能を実現するべく各部を制御するための情報処理を実行する。
【0024】
メイン記憶ユニット202は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット202は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット202は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット202は、プロセッサ201が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット202は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ201によるワークエリアとして使用する。
【0025】
補助記憶ユニット203は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット203は、例えばEEPROM、HDD、SSD、あるいはその他の周知の各種の記憶デバイスを利用できる。補助記憶ユニット203は、プロセッサ201が各種の処理を行う上で使用するデータと、プロセッサ201での処理によって生成されたデータとを記憶する。補助記憶ユニット203は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット203は、本実施形態では、情報処理プログラムの1つである管理処理プログラムPRBを記憶する。管理処理プログラムPRBは、POS端末装置100により処理された取引を管理するための情報処理の手順を表したアプリケーションプログラムである。
【0026】
補助記憶ユニット203の記憶領域の一部は、商品マスタデータDAB、ジャーナルファイルFIA及びトランザクションファイルFIBを記憶する領域として利用される。商品マスタデータDABは、POS端末装置100で処理する取引の対象となり得る各種の商品に関する諸情報を含んだデータベースである。商品に関する諸情報には、商品の個々に関して、識別子としての商品コード、商品名、単価、税区分及び税率を少なくとも含む。ジャーナルファイルFIAは、取引毎に生成されるジャーナルデータを集積したデータファイルである。トランザクションファイルFIBは、POS端末装置100で取引毎に生成されるトランザクションデータを集積したデータファイルである。
【0027】
通信ユニット204は、通信ネットワーク2を介したデータ通信を行うための通信処理を実行する。通信ユニット204は、例えばインターネット用の既存の通信デバイスを用いることができる。
伝送路205は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0028】
POSサーバ200のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ装置を用いることができる。そしてPOSサーバ200の譲渡は一般に、補助記憶ユニット203に管理処理プログラムPRBが記憶され、商品マスタデータDAB、ジャーナルファイルFIA及びトランザクションファイルFIBが記憶されない状態にて行われる。しかし、管理処理プログラムPRBが補助記憶ユニット203に記憶されない状態のPOSサーバ200のハードウェアと管理処理プログラムPRBとが個別に譲渡されてもよい。そして、補助記憶ユニット203に、任意の作業者の操作に応じて管理処理プログラムPRBが書き込まれてもよい。あるいは、管理処理プログラムPRBと同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット203に記憶された状態のハードウェアと、管理処理プログラムPRBとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット203に管理処理プログラムPRBが書き込まれることによって、POSサーバ200が構成されてもよい。管理処理プログラムPRBの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。
【0029】
図2は取引データDAAの構成を模式的に表す図である。
取引データDAAは、POS端末装置100にて処理中の取引に関して生成されて補助記憶ユニット103に記憶される。
取引データDAAは、フィールドFAA,FABを含む。取引データDAAは、フィールドFAC以降に任意の数のフィールドを含み得る。フィールドFAAには、該当の取引の識別子としての取引コードがセットされる。フィールドFABには、インボイスを発行する設定であるか否かを表すインボイスフラグがセットされる。該当の取引の対象として登録済みの商品(以下、取引商品と称する)がある場合には、取引商品のそれぞれに関連付けたフィールドFAC,FAD,…が取引データDAAに追加される。フィールドFAC,FAD,…には、それぞれ別々の取引商品に関する商品データがセットされる。
【0030】
1つの商品データは、フィールドFBA,FBB,FBC,FBD,FBE,FBFを含む。フィールドFBAには、関連付けられた取引商品の識別子としての商品コードがセットされる。フィールドFBBには、関連付けられた取引商品に対して定められた商品名がセットされる。フィールドFBCには、関連付けられた取引商品の単価がセットされる。フィールドFBDには、関連付けられた取引商品の税区分を表す区分コードがセットされる。なお税区分は、「外税」「内税」「免税」「非課税」のいずれかである。フィールドFBEには、関連付けられた取引商品の税率がセットされる。フィールドFBFには、関連付けられた取引商品の点数がセットされる。なお商品データには、割引情報などの別の様々な情報が含まれていてもよい。かくして、取引データは、取引の対象となる取引商品のリストを表したデータである。
【0031】
次に以上のように構成されたPOSシステム1の動作について説明する。なお、以下に説明する処理の内容は、特徴的な動作に関する処理の説明を中心とし、既存の同種のPOSシステムで行われている一部の処理の説明は省略する。また以下に説明する処理に関しても一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略などは適宜に可能である。
POS端末装置100が、取引処理のための動作状態で起動されると、プロセッサ101は取引処理プログラムPRAに基づく情報処理(以下、取引処理と称する)を開始する。
【0032】
図3、
図4、
図5及び
図6は取引処理のフローチャートである。
図3中のACT11としてプロセッサ101は、この後に処理対象となる新たな取引に関する新たな取引データDAAを生成し、補助記憶ユニット103に記憶させる。プロセッサ101は例えば、他の取引に対して既に割り当てられている取引コードとは異なる新たな取引コードを予め定められたルールに従って決定し、この取引コードを新たな取引データDAAのフィールドFAAにセットする。プロセッサ101は例えば、予め定められた初期状態としたインボイスフラグを新たな取引データDAAのフィールドFABにセットする。インボイスフラグの初期状態は、インボイスを発行しない設定(以下、非発行設定と称する)であることを表す状態(以下、非発行状態と称する)とすることが想定される。ただしインボイスフラグの初期状態は、インボイスを発行する設定(以下、発行設定と称する)であることを表す状態(以下、発行状態と称する)とされてもよく、POS端末装置100の設計者又は管理者などによって適宜に定められてよい。プロセッサ101は、新たな取引データDAAには商品データを含めない。
【0033】
ACT12としてプロセッサ101は、登録画面を店員側タッチパネル104に表示させる。登録画面は、取引商品の登録状況を表すとともに、POS端末装置100に対する各種の指示のための操作を受けるためのGUI(graphical user interface)画面である。
図7は登録画面SCAを表す図である。
図7はACT12としてのプロセッサ101による処理により表示される登録画面SCAの状況を表す。つまり
図6は、取引商品が1つも登録されていない状況における登録画面SCAを表す。
なお、登録画面SCA及び後述する各種の画面は、主要な表示オブジェクトを図示しており、一部の表示オブジェクトの図示を省略している場合がある。例えば、各種の画面に表されるボタンの一部の図示を省略している場合がある。また登録画面SCA及び後述する各種の画面は一例であって、例えば取引処理プログラムPRAの作成者などによって適宜に定められてよい。
【0034】
登録画面SCAは、画像IMAとボタンBUA,BUBとを表す。画像IMAは、対象取引の内容の明細を表す。
図7では取引商品が1つも登録されていないので、商品名などは表されていない。ボタンBUAは、登録済みの取引商品に関する会計の開始指示を受けるためのソフトキーである。ボタンBUBは、インボイスを発行するか否かの変更指示を受けるためのソフトキーである。
【0035】
プロセッサ101は、
図3中のACT12を終えるとACT13へと進む。
ACT13としてプロセッサ101は、発行設定とすることの指示がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT14へと進む。
ACT14としてプロセッサ101は、非発行設定とすることの指示がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT15へと進む。
【0036】
ACT15としてプロセッサ101は、取引商品とする商品が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT16へと進む。
ACT16としてプロセッサ101は、会計開始が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT13へと戻る。
かくしてプロセッサ101は、ACT13~ACT16としては、発行設定又は非発行設定の指示、商品の指定、あるいは会計開始の指示がなされるのを待ち受ける。
【0037】
客は、売場に陳列されている商品のうちから購入しようとする商品をピックアップし、該当の商品をチェックアウトコーナーへと持って行き、POS端末装置100の操作を担当する店員に渡す。
なお以下においては、商品名「AAAAA」、単価「100円」、税区分「外税」、税率「8%」である商品を1つ、商品名「BBBBB」、単価「200円」、税区分「免税」、税率「8%」である商品を1つ、商品名「CCCCC」、単価「300円」、税区分「外税」、税率「10%」である商品を2つ、商品名「DDDDD」、単価「400円」、税区分「外税」、税率「10%」である商品を1つ、商品名「EEEEE」、単価「500円」、税区分「免税」、税率「10%」である商品を2つ、商品名「FFFFF」、単価「600円」、税区分「外税」、税率「10%」である商品を1つ、商品名「GGGGG」、単価「700円」、税区分「外税」、税率「8%」である商品を1つ、客が店員に引き渡した場合の具体例を織り交ぜながらの説明とする。店舗運営者はインボイス制度の登録事業者であることとする。また、店舗では、非課税事業者が販売する商品は、消費税が免除される商品として委託販売していることとする。なお以下においては、税区分が「外税」又は「内税」である商品を課税商品と称する。また、税区分が「免税」である商品を免税商品と称する。
【0038】
店員は、客がインボイスの発行を要求しているならば、取引商品の指定を開始する前に、例えば登録画面上のボタンBUBをタップするなどの予め定められた操作によって発行設定とすることを指示することができる。なお、当該の指示のための操作及び後述する各種の指示のための操作は、いずれも画面上に表示したボタン、すなわちソフトキーのタップとしているが、例えばキーボード105に備えられたキー、すなわちハードキーの押下であってもよいし、あるいはその他のどのような操作であっても構わない。
プロセッサ101は、例えばインボイスを発行しない設定であるときにボタンBUBがタップされたならば、発行設定とすることが指示されたとしてACT13にてYESと判定し、ACT18へと進む。このときにプロセッサ101は、適格証票の一例としてのインボイスの出力指示を受けたこととなる。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは指示受け手段として機能する。
【0039】
ACT17としてプロセッサ101は、インボイスの発行モードとして第1のモードが設定されているか否かを確認する。なお、インボイスの発行モードとしては、第1、第2及び第3のモードが存在する。そして、これら第1、第2及び第3のモードのうちのいずれを発行モードとして設定するかは、POS端末装置100の管理者などによって適宜に定められ、POS端末装置100の動作設定として定められる。そしてプロセッサ101は、第1のモードが設定されているならばYESと判定し、ACT18へと進む。
【0040】
ACT18としてプロセッサ101は、登録済みの取引商品に免税商品が含まれるか否かを確認する。発行設定とすることの指示が取引商品の指定を開始する前に行われた場合には、取引商品に免税商品が含まれることはない。そこでプロセッサ101はこの場合には、ACT18にてNOと判定し、ACT19へと進む。なおプロセッサ101は、インボイスの発行モードとして第1のモードが設定されていないならば、ACT17にてNOと判定し、ACT18をパスしてACT19へと進む。
【0041】
ACT19としてプロセッサ101は、発行設定とする。つまりプロセッサ101は例えば、取引データDAAのフィールドFABにセットされているインボイスフラグを発行状態に変更する。そしてプロセッサ101はこののち、ACT12に戻る。このときにACT12にてプロセッサ101は、発行設定とされていることを表すように登録画面SCAを更新する。例えばプロセッサ101は、ボタンBUBの表示色を発行設定を表す色に変更する。
なお、発行設定とされていることを店員、あるいは客に認識させる方法は、上記に限らない。例えば、登録画面SCAの全体の背面色を変更するのでもよい。このような方法は、例えば、ボタンBUBに代えてハードキーを用いるような場合に好適である。あるいは、登録画面SCA中に別途に設けた図示しないインジケータの表示状態を変更するのでもよい。さらには、POS端末装置100に別途に設けた図示しない表示ランプの点灯状態を変更するのでもよい。
【0042】
店員は、客がインボイスの発行の取り止めを申し出た場合や、誤って発行設定としてしまった場合など、インボイスを非発行設定に変更したい場合には、例えば登録画面上のボタンBUBをタップするなどの予め定められた操作によって非発行設定とすることを指示することができる。プロセッサ101は、例えば発行設定であるときにボタンBUBがタップされたならば、非発行設定とすることが指示されたとしてACT14にてYESと判定し、ACT20へと進む。
【0043】
ACT20としてプロセッサ101は、非発行設定とする。つまりプロセッサ101は例えば、取引データDAAのフィールドFABにセットされているインボイスフラグを、非発行状態に変更する。そしてプロセッサ101はこののち、ACT12に戻る。このときにACT12にてプロセッサ101は、非発行設定であることを表すように登録画面SCAを更新する。例えばプロセッサ101は、ボタンBUBの表示色を非発行設定を表す色に変更する。
【0044】
店員は、客から渡された各商品を取引商品として登録するための登録操作を行う。登録操作は例えば、商品に表示されたバーコードを固定スキャナ106又はハンディスキャナ107に読み取らせる動作、あるいは商品を指定するべく店員側タッチパネル104にタッチする動作などである。そしてプロセッサ101は、このような登録操作が行われたならば、商品が指定されたとしてACT15にてYESと判定し、
図4中のACT31へと進む。
【0045】
ACT31としてプロセッサ101は、指定された商品が免税商品であるか否かを確認する。プロセッサ101は例えば、指定された商品の商品コードに「免税」を表す税区分コードが商品マスタデータDABにて関連付けられているならば、免税商品であるとしてYESと判定し、ACT32へと進む。なお、プロセッサ101は、この処理及び以降の処理にて商品マスタデータDABを参照する場合、逐一POSサーバ200に問い合わせてもよいし、予めPOSサーバ200から取得して補助記憶ユニット103に保存しておいた商品マスタデータDABを参照するのでもよい。
【0046】
ACT32としてプロセッサ101は、発行設定であるか否かを確認する。プロセッサ101は例えば、取引データDAAのフィールドFABにセットされているインボイスフラグが発行状態であるならば、発行設定であるとしてYESと判定し、ACT33へと進む。
ACT33としてプロセッサ101は、インボイスの発行モードとして第1のモードが設定されている否かを確認する。そしてプロセッサ101は、第1のモードではないならばNOと判定し、ACT34へと進む。なおプロセッサ101は、指定された商品の商品コードに「免税」を表す税区分コードが商品マスタデータDABに関連付けられていないならば、免税商品でないとしてACT31にてNOと判定し、ACT34へと進む。あるいはプロセッサ101は、取引データDAAのフィールドFABにセットされているインボイスフラグが非発行状態であるならば、発行設定ではないとしてACT32にてNOと判定し、ACT34へと進む。つまりプロセッサ101は、「指定された商品が免税商品であり、発行設定とされており、かつ第1のモードが設定されている。」なる条件が成立しないならばACT34へと進む。
【0047】
ACT34としてプロセッサ101は、指定された商品を取引商品として登録する。つまりプロセッサ101は例えば、取引データDAAの末尾のフィールドの後ろに新たなフィールドを追加し、当該フィールドに指定された商品に関する新たな商品データをセットする。プロセッサ101は、ここでセットする商品データには、指定された商品の商品コードをフィールドFBAにセットするとともに、当該の商品コードに関連付けて商品マスタデータDABに含まれた商品名、単価、税区分コード及び税率をフィールドFBB~FBEにそれぞれセットする。またプロセッサ101は、点数として「1」をフィールドFBFにセットする。なおプロセッサ101は、点数の指定を受け付けて、指定された点数をフィールドFBFにセットするのでもよい。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは登録手段として機能する。
【0048】
プロセッサ101はACT34を終えると、
図3中のACT12へと戻る。このときにACT12にてプロセッサ101は、上記のように更新した取引データDAAに応じて登録画面SCAを更新する。
図8は登録画面SCAを表す図である。
図8は1つ目の取引商品として「AAAAA」なる商品が登録された場合に、
図7に表す状態から更新後の登録画面SCAの状態を表す。
【0049】
さてプロセッサ101は、
図4中のACT33にてインボイスの発行モードとして第1のモードが設定されていることを確認したならば、YESと判定してACT35へと進む。
ACT35としてプロセッサ101は、エラー画面を店員側タッチパネル104に表示させる。エラー画面は、免税商品を取引商品として登録することができない旨を操作者に知らせるための画面である。
【0050】
図9はエラー画面SCBを表す図である。
図9は、
図8に表す登録画面SCAが表示されている状態において免税商品が指定された場合のエラー画面SCBの状態を表す。
エラー画面SCBは、登録画面SCAに重ねてウィンドウWIAを表した画面である。ウィンドウWIAは、直前に指定された商品が免税商品であるために、現取引の取引商品とすることができないために、別取引の対象とすべきであることを案内する文字メッセージと、ボタンBUCとを表す。ボタンBUCは、エラー画面SCBの表示の終了指示を受け付けるためのソフトキーである。
【0051】
プロセッサ101は、エラー画面の表示終了のための予め定められた条件が成立するのを待ってACT35を終了し、
図3中のACT12へと戻る。このときにACT12にてプロセッサ101は、店員側タッチパネル104における表示を登録画面SCAに戻す。なおエラー画面の表示終了のための条件は、例えば「ボタンBUCがタップされた」である。当該の条件はまた、例えば「エラー画面の表示継続時間が予め定められた時間に至った」などの別の条件としても構わないし、複数の条件のいずれかが成立した場合としても構わない。
【0052】
このようにプロセッサ101は、発行設定であり、かつインボイスの発行モードとして第1のモードが設定されている状態では、免税商品以外の商品のみを取引商品として登録する。かくして具体例の場合は、商品名が「BBBBB」である商品と、商品名が「EEEEE」である商品とは取引商品として登録することができない。つまりプロセッサ101は、インボイスの発行指示が受けられている取引に関しては、インボイス制度の対象外である免税商品を取引商品に含めない。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは制御手段として機能する。
【0053】
図10は登録画面SCAを表す図である。
図10は、発行設定となっており、かつインボイスの発行モードとして第1のモードが設定されている状態で、具体例の対象の商品のうちで登録可能な全ての商品、つまり全ての課税商品を取引商品として登録し終えた状態での登録画面SCAを表す。
【0054】
さてプロセッサ101は、非発行設定とされている場合、あるいは発行設定とされているものの、発行モードとして第2のモード又は第3のモードが設定されている場合には、免税商品についても取引商品として登録する。
図11は登録画面SCAを表す図である。
図11は、上記のように免税商品を含んで具体例の対象の商品の全てを取引商品として登録し終えた状態での登録画面SCAを表す。
【0055】
店員は、取引商品の登録を開始したのち、あるいは全ての取引商品の登録を終えたのちにあっても、発行設定とすることを指示することができる。そして、このように発行設定とすることを指示された場合には、取引商品に免税商品が含まれていることがある。このような状況は、例えば
図10に表す登録画面SCAでのボタンBUBのタップにより発行設定とすることが指示された場合が相当する。
【0056】
この場合にプロセッサ101は、インボイスの発行モードとして第1のモードが設定されているならば、
図3中のACT13にてYESと判定してACT18へと進むと、ACT17及びACT18にていずれもYESと判定することとなり、ACT20へと進む。
ACT20としてプロセッサ101は、警告画面を店員側タッチパネル104に表示させる。警告画面は、登録済みの取引商品に免税商品が含まれるために発行設定とすることができない旨を操作者に知らせるための画面である。
【0057】
図12は警告画面SCCを表す図である。
図12、
図11に表す登録画面SCAが表示されている状態において発行設定とすることが指示された場合の警告画面SCCの状態を表す。
警告画面SCCは、登録画面SCAに重ねてウィンドウWIBを表した画面である。ウィンドウWIBは、免税商品に関する取引商品としての登録を取り消して、別の取引の対象とすべきであることを案内する文字メッセージを表す。
【0058】
店員は、警告画面SCCによる案内内容を確認したならば、取引商品に含まれる免税商品を指定するための予め定められた操作を行う。この操作は、例えば登録操作と同様な操作であってよい。
ACT22としてプロセッサ101は、取り消しする商品の指定がなされるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、上述のように商品の指定がなされたならばYESと判定し、ACT23へと進む。
【0059】
ACT23としてプロセッサ101は、指定された商品を取引商品から削除する。つまりプロセッサ101は例えば、指定された商品の商品コードがフィールドFBAにセットされている商品データを取引データDAAから削除する。そしてプロセッサ101はこののち、ACT18へと戻る。かくしてプロセッサ101は、取引商品に免税商品が含まれないようになるまで、ACT20~ACT23を繰り返す。そしてプロセッサ101は、取引商品に免税商品が含まれないようになればACT18にてNOと判定してACT19へと進み、前述のように発行設定とする。
なおプロセッサ101は、免税商品の全てが削除対象として指定されるまで、削除対象
とする商品の指定を繰り返し受け付けてから、削除対象とされている全ての商品を取引商品から削除するのでもよい。
【0060】
なおプロセッサ101は、ACT22にて「全ての免税商品」の指定を、例えばそのために用意したボタンのタップとして受け付け、この指定に応じて取引商品に含まれる全ての免税商品を取引商品から削除するのでもよい。またプロセッサ101は、ACT21にて、予め定められた終了条件が成立するのを待ってACT13~ACT16の待ち受け状態に戻ってもよい。そしてこの場合には、
図3では図示を省略している、通常の取引商品の削除のための処理によって免税商品を取引商品から削除するのでもよい。
【0061】
店員は、取引商品の登録を終えたならば、登録画面SCAにてボタンBUAにタップするなどの予め定められた操作によって会計開始を指示する。プロセッサ101は、このような指示に応じて、ACT16にてYESと判定し、
図5中のACT41へと進む。
ACT41としてプロセッサ101は、取引データDAAに基づく会計処理を実行する。つまりプロセッサ101は、取引データが表す全ての取引商品に関する代金を算出し、その代金を任意の決済方法で決済するための処理を行う。この会計処理の詳細は、例えば既存の同種のPOS端末装置で行われているのと同様であってよい。
【0062】
ACT42としてプロセッサ101は、発行設定となっているか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、発行設定となっているならばYESと判定し、
図6中のACT51へと進む。
ACT51としてプロセッサ101は、インボイスの発行モードとして第1のモードが設定されているか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、第1のモードが設定されているならばYESと判定し、ACT52へと進む。
【0063】
ACT52としてプロセッサ101は、第1のインボイスレシートを発行する。第1のインボイスレシートは、取引内容をインボイスとしての要件を満たして表したレシートである。つまり第1のインボイスレシートは、適格証票の一例である。プロセッサ101は例えば、予め定められた第1のインボイスレシート用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して第1のインボイスレシートの画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって第1のインボイスレシートを発行する。
【0064】
図13は第1のインボイスレシートREAを表す図である。
図13は、登録画面SCAが
図10に表される状態にあるときに開始が指示された会計の終了後に発行される第1のインボイスレシートREAの状態を表す。
第1のインボイスレシートREAの発行時には第1のモードが設定されているから、取引商品に免税商品は含まれない。かくして第1のインボイスレシートREAは、課税商品のみを含む取引商品のリストをエリアARAに表す。そして第1のインボイスレシートREAは、それら課税商品の取引に対する消費税の明細をエリアARBに表すとともに、適格請求書発行事業者番号(以下、事業者登録番号と称する)を示す文字列CSAを表すことで、インボイスとしての要件を満たしている。なお、取引商品に含まれる課税商品が、適格請求書発行事業者からの委託による販売商品である場合には、当該委託者が本来のインボイスの発行者となる。しかしながら、インボイス制度における媒介者交付特例により、販売店舗に関する事業者登録番号を表すことでインボイスとしての要件を満たしていることになる。
【0065】
プロセッサ101は、
図6中のACT52を終えると、ACT53へと進む。
ACT53としてプロセッサ101は、領収証の発行が必要であるか否かを確認する。プロセッサ101は例えば、領収証の発行に関する予め定められた条件が成立するか否かを確認する。この条件は、「決済の完了後、規定時間が経過するまでに領収証の発行を指示する操作が行われた。」のように定められることが想定されるが、POS端末装置100の設計者又は管理者などによって適宜に定められてよい。そしてプロセッサ101は、領収証の発行が必要であるならばYESと判定し、ACT54へと進む。
【0066】
ACT54としてプロセッサ101は、第1のインボイス領収証を発行する。第1のインボイス領収証は、取引内容をインボイスとしての要件を満たして表した領収証である。つまり第1のインボイス領収証は、適格証票の一例である。プロセッサ101は例えば、予め定められた第1のインボイス領収証用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して第1のインボイス領収証の画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって第1のインボイス領収証を発行する。
【0067】
図14は第1のインボイス領収証PCAを表す図である。
図14は、第1のインボイスレシートREAの発行後に発行される第1のインボイス領収証PCAの状態を表す。
第1のインボイス領収証PCAは、課税商品のみを含む取引商品のリストをエリアARCに表す。そして第1のインボイス領収証PCAは、それら課税商品の取引に対する消費税の明細をエリアARDに表すとともに、事業者登録番号を示す文字列CSAを表すことで、インボイスとしての要件を満たしている。
【0068】
このようにプロセッサ101は、レシートプリンタ111を利用しての紙媒体による第1のインボイスレシートREA及び第1のインボイス領収証PCAのプリントとして、インボイス制度の対象となる課税商品についての取引内容を表した適格証票を出力する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは第1の出力手段として機能する。
【0069】
プロセッサ101は、インボイスの発行モードとして第1のモードが設定されていないならば、
図6中のACT51にてNOと判定し、ACT55へと進む。
ACT55としてプロセッサ101は、インボイスの発行モードとして第2のモードが設定されているか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、第2のモードが設定されているならばYESと判定し、ACT56へと進む。
【0070】
ACT56としてプロセッサ101は、第2のインボイスレシートを発行する。第2のインボイスレシートは、取引内容をインボイスとしての要件を満たして表したレシートである。つまり第2のインボイスレシートは、適格証票の一例である。プロセッサ101は例えば、予め定められた第2のインボイスレシート用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して第2のインボイスレシートの画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって第2のインボイスレシートを発行する。
【0071】
図15は第2のインボイスレシートREBを表す図である。
図15は、登録画面SCAが
図11に表される状態にあるときに開始が指示された会計の終了後に発行される第2のインボイスレシートREBの状態を表す。
第2のインボイスレシートREBの発行時には第2のモードが設定されているから、取引商品に課税商品及び免税商品が含まれ得る。かくして第2のインボイスレシートREBは、課税商品及び免税商品のそれぞれを含み得る取引商品のリストをエリアAREに表す。そして第2のインボイスレシートREBは、それら取引商品のうちの課税商品の取引に対する消費税の明細をエリアARFに表すとともに、事業者登録番号を示す文字列CSAを表すことで、インボイスとしての要件を満たしている。なお、エリアARFには、免税商品に関して免税となっている消費税の明細も表している。
【0072】
プロセッサ101は、
図6中のACT56を終えると、ACT57へと進む。
ACT57としてプロセッサ101は、領収証の発行が必要であるか否かをACT53と同様に確認する。そしてプロセッサ101は、領収証の発行が必要であるならばYESと判定し、ACT58へと進む。
【0073】
ACT58としてプロセッサ101は、第2のインボイス領収証を発行する。第2のインボイス領収証は、取引内容をインボイスとしての要件を満たして表した領収証である。つまり第2のインボイス領収証は、適格証票の一例である。プロセッサ101は例えば、予め定められた第2のインボイス領収証用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して第2のインボイス領収証の画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって第2のインボイス領収証を発行する。
【0074】
図16は第2のインボイス領収証PCBの表す図である。
図16は、第2のインボイスレシートREBの発行後に発行される第2のインボイス領収証PCBの状態を表す。
なお
図16においては、第2のインボイス領収証PCBの一部の図示を省略している。当該の省略部分は、例えば第1のインボイス領収証PCAと同様であってよい。
第2のインボイス領収証PCBは、課税商品及び免税商品のそれぞれを含み得る取引商品のリストをエリアARGに表す。そして第2のインボイス領収証PCBは、それら課税商品の取引に対する消費税の明細をエリアARHに表すとともに、事業者登録番号を示す文字列CSBを表すことで、インボイスとしての要件を満たしている。なお、エリアARHには、免税商品に関して免税となっている消費税の明細も表している。
【0075】
このようにプロセッサ101は、レシートプリンタ111を利用しての紙媒体による第2のインボイスレシートREB及び第2のインボイス領収証PCBのプリントとして、インボイス制度の対象となる全ての取引商品についての取引内容を表した適格証票を出力する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは第2の出力手段として機能する。
【0076】
プロセッサ101は、発行モードとして第3のモードが設定されているならば、
図6中のACT55にてNOと判定し、ACT59へと進む。
ACT59としてプロセッサ101は、全体レシートを発行する。全体レシートは、取引内容をインボイスとしての要件を満たさずに表したレシートである。プロセッサ101は例えば、予め定められた全体レシート用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して全体レシートの画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって全体レシートを発行する。
【0077】
図17は全体レシートRECを表す図である。
図17は、登録画面SCAが
図11に表される状態にあるときに指示された会計の終了後に発行される全体レシートRECの状態を表す。
本実施形態では、全体レシートRECは、第2のインボイスレシートREBでは表されている文字列CSAを表しておらず、インボイスとしての要件を満たさない。
【0078】
プロセッサ101は、
図6中のACT59を終えると、ACT60へと進む。
ACT60としてプロセッサ101は、第3のインボイスレシートを発行する。第3のインボイスレシートは、取引商品のうちの課税商品のみに関しての取引内容をインボイスとしての要件を満たして表したレシートである。つまり第1のインボイスレシートは、適格証票の一例である。プロセッサ101は例えば、予め定められた第3のインボイスレシート用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して第3のインボイスレシートの画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって第3のインボイスレシートを発行する。
【0079】
取引商品に課税商品が含まれない場合には、第3のインボイスレシートを発行しないのでも、取引商品に関する具体的な情報を表さない第3のインボイスレシートを発行するのでも構わない。またプロセッサ101は、取引商品に課税商品が含まれない場合はさらに、適正な第3のインボイスレシートを発行できないことを、画面表示などによって操作者に通知してもよい。
【0080】
図18は第3のインボイスレシートREDを表す図である。
図18は、登録画面SCAが
図11に表される状態にあるときに開始が指示された会計の終了後に発行される第3のインボイスレシートREDの状態を表す。
第3のインボイスレシートREDの発行時には第3のモードが設定されているから、取引商品に免税商品が含まれ得る。しかしながら第3のインボイスレシートREDは、取引商品のうちの課税商品のみのリストをエリアARIに表す。そして第3のインボイスレシートREDは、それら取引商品のうちの課税商品の取引に対する消費税の明細をエリアARJに表すとともに、事業者登録番号を示す文字列CSAを表すことで、インボイスとしての要件を満たしている。第3のインボイスレシートREDは、取引商品に免税商品が含まれるとしても、免税商品の取引に関する情報を表さない。
【0081】
このようにプロセッサ101は、レシートプリンタ111を利用しての紙媒体による第3のインボイスレシートREDのプリントとして、インボイス制度の対象となる課税商品についての取引内容を表した第2の証票を出力する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは第4の出力手段として機能する。
【0082】
プロセッサ101は、
図6中のACT60を終えると、ACT61へと進む。
ACT61としてプロセッサ101は、免税レシートを発行する。免税レシートは、取引商品のうちの免税商品のみに関しての取引内容をインボイスとしての要件を満たして表したレシートである。プロセッサ101は例えば、予め定められた免税レシート用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して免税レシートの画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって免税レシートを発行する。
取引商品に免税商品が含まれない場合には、免税レシートを発行しないのでも、取引商品に関する具体的な情報を表さない免税レシートを発行するのでも構わない。
【0083】
図19は免税レシートREEを表す図である。
図19は、登録画面SCAが
図11に表される状態にあるときに開始が指示された会計の終了後に発行される免税レシートREEの状態を表す。
免税レシートREEの発行時には第3のモードが設定されているから、取引商品に免税商品が含まれ得る。免税レシートREEは、取引商品のうちの免税商品のみのリストをエリアARKに表す。そして免税レシートREEは、それら取引商品のうちの免税商品の取引に関して免税となる消費税の明細をエリアARLに表す。免税レシートREEは、事業者登録番号を示す文字列CSAを表さない。かくして免税レシートREEは、インボイスとしての要件を満たさない。免税レシートREEは、取引商品に課税商品が含まれるとしても、課税商品の取引に関する情報を表さない。ただし、インボイス制度の経過措置により、免税レシートREEが仕入税額控除の証書として有効となる場合もある。
【0084】
このようにプロセッサ101は、レシートプリンタ111を利用しての紙媒体による免税レシートREEのプリントとして、インボイス制度の対象外となる免税商品についての取引内容を表し、出力者の識別子としての事業者登録番号を表さない第3の証票を出力する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは第5の出力手段として機能する。
【0085】
プロセッサ101は、
図6中のACT61を終えると、ACT62へと進む。
ACT62としてプロセッサ101は、領収証の発行が必要であるか否かをACT53と同様に確認する。そしてプロセッサ101は、領収証の発行が必要であるならばYESと判定し、ACT63へと進む。
【0086】
ACT63としてプロセッサ101は、非インボイス領収証を発行する。非インボイス領収証は、取引内容をインボイスとしての要件を満たさずに表した領収証であり、不適格証票の一例である。プロセッサ101は例えば、予め定められた非インボイス領収証用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して非インボイス領収証の画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって非インボイス領収証を発行する。非インボイス領収書は例えば、
図16に表す第2のインボイス領収証PCBから文字列CSAを省いたものとすることが想定される。
つまり、第3のモードの設定時には、第3のインボイスレシートがインボイス制度における正式な証書となる。
【0087】
プロセッサ101は、ACT54、ACT58又はACT63を終えたならば、ACT64へと進む。またプロセッサ101は、領収証の発行が不要であるためにACT53、ACT57又はACT62にてNOと判定したならば、ACT54、ACT58又はACT63をパスしてACT64へと進む。
【0088】
ACT64としてプロセッサ101は、第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータを生成する。第1のジャーナルデータは、第1、第2又は第3のインボイスレシートに表したのと同等な情報を表したディジタルデータである。第1のジャーナルデータが含む情報は、第1、第2又は第3のインボイスレシートに表した情報と完全に一致している必要はない。第1のトランザクションデータは、今回の処理対象となった取引の処理に関して第1のジャーナルデータよりも詳細な情報を表したディジタルデータである。第1のトランザクションデータは例えば、今回の処理対象となった取引の処理に関してPOS端末装置100でなされた操作の個々に関連付けて、その操作に関する情報を表したデータとする。なお、第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータにどのような情報を含めるかは、例えばPOS端末装置100の設計者又は管理者などによって適宜に定められてよい。ただし、第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータの少なくとも一方には、事業者登録番号を含める。かくして、第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータの少なくとも一方は、インボイスの電子保存のためのデータとなる。なお、第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータの少なくとも一方に事業者登録番号を含めるのに代えて、あるいは加えて、インボイス発行を発行済みであることを表す情報を含めてもよい。この情報は例えば、「インボイス発行済」等の文字メッセージを表す情報とすることが想定される。ただし、この情報は、事後の検索用であって、各種レシート及び各種領収証には表さない。
【0089】
プロセッサ101は、生成した第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータを、即座にPOSサーバ200にアップロードするのでも構わないし、補助記憶ユニット103に保存しておき、別の予め定められたタイミングでPOSサーバ200にアップロードするのでも構わない。なおPOSサーバ200は、管理処理プログラムPRBに基づくプロセッサ201による情報処理により、アップロードされた第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータに基づいて、ジャーナルファイルFIA及びトランザクションファイルFIBを更新する。第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータをどのように扱うかは、例えばPOS端末装置100の設計者又は管理者などによって適宜に定められてよい。
プロセッサ101は、ACT64を終えると、
図3中のACT11へと戻り、別の新たな取引を対象として上述の処理を繰り返す。
【0090】
さてプロセッサ101は、インボイスを発行しない設定となっている場合には、
図5中のACT42にてNOと判定し、ACT43へと進む。
ACT43としてプロセッサ101は、非インボイスレシートを発行する。非インボイスレシートは、取引内容をインボイスとしての要件を満たさずに表したレシートであり、不適格証票の一例である。プロセッサ101は例えば、予め定められた非インボイスレシート用のフォームで取引データDAAに含まれる情報を展開して非インボイスレシートの画像を生成する。そしてプロセッサ101は例えば、当該の画像をレシートプリンタ111によりレシート用紙にプリントさせることによって非インボイスレシートを発行する。
非インボイスレシートは、例えば
図15に表す第2のインボイスレシートREBから文字列CSAを省いたものとすることが想定される。
【0091】
ACT44としてプロセッサ101は、領収証の発行が必要であるか否かをACT53と同様に確認する。そしてプロセッサ101は、領収証の発行が必要であるならばYESと判定し、ACT45へと進む。
ACT45としてプロセッサ101は、ACT63と同様にして非インボイス領収証を発行する。
【0092】
ここで非インボイスレシートは、全体レシートと同様なレシートであり、これら非インボイスレシート及び全体レシートは、インボイスの発行モードとして第3のモードが設定されている場合における第1の証票の一例となる。つまりプロセッサ101は、インボイスの発行モードとして第3のモードが設定されている場合には、発行設定であるか否かに拘わらずに、レシートプリンタ111を利用しての紙媒体による非インボイスレシート又は全体レシートのプリントとして、全取引商品についての取引内容を表し、出力者の識別子としての事業者登録番号を表さない第1の証票を出力する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは第3の出力手段として機能する。
【0093】
プロセッサ101は、ACT45を終えたならば、ACT46へと進む。またプロセッサ101は、領収証の発行が不要であるためにACT44にてNOと判定したならば、ACT45をパスしてACT46へと進む。
ACT46としてプロセッサ101は、第2のジャーナルデータ及び第2のトランザクションデータを生成する。第2のジャーナルデータ及び第2のトランザクションデータは、第1のジャーナルデータ及び第1のトランザクションデータと同様であってよい。ただしプロセッサ101は、第2のジャーナルデータ及び第2のトランザクションデータともに、事業者登録番号を含めない。かくして、第2のジャーナルデータ及び第2のトランザクションデータは、インボイスの電子保存のためのデータとはならない。
【0094】
プロセッサ101は、生成した第2のジャーナルデータ及び第2のトランザクションデータを、即座にPOSサーバ200にアップロードするのでも構わないし、補助記憶ユニット103に保存しておき、別の予め定められたタイミングでPOSサーバ200にアップロードするのでも構わない。POSサーバ200は、管理処理プログラムPRBに基づく情報処理により、アップロードされた第2のジャーナルデータ及び第2のトランザクションデータに基づいて、ジャーナルファイルFIA及びトランザクションファイルFIBを更新する。第2のジャーナルデータ及び第2のトランザクションデータをどのように扱うかは、例えばPOS端末装置100の設計者又は管理者などによって適宜に定められてよい。
プロセッサ101は、ACT46を終えると、
図3中のACT11へと戻り、別の新たな取引を対象として上述の処理を繰り返す。
【0095】
以上のようにPOS端末装置100は、取引毎に、発行設定とする指示を受ける。そしてPOS端末装置100は、指示に応じて発行設定としているならば、第1のインボイスレシート、第1のインボイス領収証、第2のインボイスレシート、第2のインボイス領収証及び第3のインボイスレシートの少なくともいずれか1つを発行する。かくしてPOS端末装置100は、インボイス制度に対応した証票を出力するか否かを、取引ごとに切り換えることができる。
【0096】
しかもPOS端末装置100は、非発行設定であるならば、非インボイスレシートを発行するから、インボイス制度に対応した証票と対応しない証票とを、取引毎に発行し分けることができる。
【0097】
またPOS端末装置100は、取引商品とする商品の指定を開始する前から決済完了までの期間内の任意のタイミングで、発行設定とすることの指示を受ける。従って、店員は、上記の期間内のどのタイミングでインボイスの発行を客から要求されてもインボイスを発行させることが可能である。
【0098】
またPOS端末装置100は、インボイスの発行モードとして第1のモードを設定している場合、指示に応じて発行設定としているならば、取引商品に免税商品を含めないようにし、課税商品に関する取引の内容をインボイス制度の要件を満たして表すとともに、事業者登録番号を表した第1のインボイスレシート又は第1のインボイス領収証を発行する。このため、第1のインボイスレシート又は第1のインボイス領収証に基づくインボイス制度の対象となる取引に関する管理が容易となる。
【0099】
またPOS端末装置100は、インボイスの発行モードとして第1のモードを設定している場合、指示に応じて発行設定とした後には、免税商品を取引商品として登録しない。これにより、操作者は取引商品とする商品を指定する前に発行設定とする指示を行っておけば、免税商品を取引商品から削除するための操作を行う必要がない。
【0100】
またPOS端末装置100は、インボイスの発行モードとして第1のモードを設定している場合、免税商品が取引商品に含まれる状態で発行設定とすることの指示がなされた場合には、免税商品を取引商品から削除した上で、発行設定とする。これにより、取引商品の登録を開始した後、または全ての取引商品の登録を終えた後であっても、発行設定とすることの指示を行うことができる。
【0101】
なおPOS端末装置100においては、インボイスの発行モードとして第1のモードを設定している場合、インボイスを発行する際に取引商品から除外した商品は、非発行設定として別の取引として改めて処置する必要がある。このため、例えばPOS端末装置100が免税商品を自動的に取引商品から除外すると、該当の商品の全て又は一部を別の取引として処置し損なってしまう恐れがある。しかしながらPOS端末装置100は、免税商品を取引商品から削除するに当たっては、削除対象とする商品を操作者に指定させるから、別の取引として処置すべき商品を操作者に明確に認識させることができ、該当の商品の取引を適正に処置させることが可能となる。
そしてPOS端末装置100においては、免税商品が取引商品に含まれない状態となるまでの間になされる商品の指定を、全て取引商品から削除する商品の指定として受けるために、削除する商品の個々を操作者が指定することを必要としながらも、そのための操作者の操作負担を軽減できる。
【0102】
またPOS端末装置100は、インボイスの発行モードとして第2のモードを設定している場合、課税商品及び免税商品を含み得る全ての取引商品に関する取引内容を表し、かつ事業者登録番号を表した第2のインボイスレシート又は第2のインボイス領収証を発行する。このため、インボイスを発行する必要のある場合でも、課税商品と免税商品とを別々の取引として処置する必要がなく、別々の取引として処置する場合に比べて操作が簡易となる。
【0103】
またPOS端末装置100は、インボイスの発行モードとして第3のモードを設定している場合、課税商品及び免税商品を含み得る全ての取引商品に関する取引内容を表し、かつ事業者登録番号を表わさない全体レシート又は非インボイス領収証と、取引商品に含まれる課税商品に関しての取引内容を表し、かつ事業者登録番号を表わした第3のインボイスレシートと、取引商品に含まれる免税商品に関しての取引内容を表し、かつ事業者登録番号を表わさない免税レシートと、を発行する。これにより、客は第3のインボイスレシートをインボイス制度におけるインボイスとして使用しつつ、全体レシートにより取引全体の内容を、また免税レシートにより免税商品に関する取引の内容を、それぞれ確認することができる。
【0104】
またPOS端末装置100は、インボイスの発行モードとして第1のモード、第2のモード及び第3のモードを選択的に任意に設定できるので、例えば店舗の運営方針などに応じた柔軟な運用が可能である。
【0105】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
インボイスの発行モードとしては、第1のモード、第2のモード及び第3のモードのいずれか1つのみを備えるか、いずれか2つのみから選択的に設定可能としてもよい。
【0106】
インボイスの発行モードとして第3のモードを適用する場合には、取引毎にインボイスを発行設定とすることの指示を受けずに、必ず全体レシート、第3のインボイスレシート及び免税レシートを発行してもよい。この場合は例えば、インボイスを要求しない客に対しては、店員が第3のインボイスレシート及び免税レシートを渡さない店舗運用とすることが想定される。
【0107】
第1のインボイスレシート、第2のインボイスレシート、第3のインボイスレシート、第1のインボイス領収証及び第2のインボイス領収証のうちの一部又は全ては、任意の情報通信端末の画面表示により出力するなど、プリントによる紙媒体による発行の他の任意の方法での出力であっても構わない。
【0108】
発行設定とすることの指示及び非発行設定とすることの指示は、例えば客側タッチパネル113における客による操作として受けても構わない。この場合、プロセッサ101は、POS端末装置100の客側タッチパネル113にボタンBUBを表示させ、当該ボタンBUBが客によりタップされたことに応じて、発行設定とすることの指示及び非発行設定とすることの指示がなされたと判定すればよい。
【0109】
「適格請求書等保存方式」以外の制度で規定された要件を満たした証票を出力する装置として構成することも可能である。
【0110】
前記の実施形態のPOS端末装置100は、登録操作及び会計処理のための操作が店員により行われる、いわゆる対面型である。しかしながら、登録操作及び会計処理のための操作が客により行われる、いわゆるフルセルフタイプのPOS端末装置として実現することも可能である。あるいは、登録操作は店員が行い、会計処理のための操作が客により行われる、いわゆるセミセルフタイプのPOS端末装置として実現することも可能である。さらにセミセルフタイプのPOS端末装置として実現する場合は、店員による操作と客による操作を単一の装置で受ける一体型と、両操作を別々の装置で受けるセパレート型と、のいずれであっても構わない。これらのPOS端末装置にあっては、発行設定とすることの指示及び非発行設定とすることの指示も、客により行われることとなる。この場合、プロセッサ101は、フルセルフタイプ又はセミセルフタイプのPOS端末装置の画面上にボタンBUBを表示させ、当該ボタンが客によりタップされたことに応じて、発行設定とすることの指示及び非発行設定とすることの指示がなされたと判定すればよい。
【0111】
客が所持する携帯端末、店舗から客に在店中に貸与される携帯端末、あるいはショッピングカートに取り付けられた移動端末を用いて、これらの端末で客が登録操作を行うシステムとして実現することも可能である。そしてこれらのシステムにあっては、携帯端末又は移動端末における客の操作により、発行設定とすることの指示及び非発行設定とすることの指示を受ければよい。この場合、プロセッサ101は、ショッピングカートに取り付けられた移動端末の画面上にボタンBUBを表示させ、当該ボタンが客によりタップされたことに応じて、発行設定とすることの指示及び非発行設定とすることの指示がなされたと判定すればよい。そしてこの場合、レシート用紙を用いて各種レシート及び各種領収証を発行するならば、会計処理は、上記の携帯端末又は移動端末とは別の会計装置により行うようにすることが想定される。当該の会計装置は、店員及び客のどちらにより操作されても構わない。
【0112】
発行した証票を直接客に取らせる運用とする場合には、レシートの発行前に領収証発行の要否を確定し、レシート及び領収証の一方のみを発行することが好ましい。
【0113】
POSシステム1に組み込まれずに単独で取引処理を行うキャッシュレジスタなどの他の形態の装置として実施することも可能である。
【0114】
情報処理によりプロセッサ101が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1…POSシステム、2…通信ネットワーク、100…POS端末装置、101…プロセッサ、102…メイン記憶ユニット、103…補助記憶ユニット、104…店員側タッチパネル、105…キーボード、106…固定スキャナ、107…ハンディスキャナ、108…クレジットカードリーダ、109…近接通信ユニット、110…カードリーダ/ライタ、111…レシートプリンタ、112…釣銭ユニット、113…客側タッチパネル、114…通信ユニット、115…伝送路、200…POSサーバ。