(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084419
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法、及び油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
A61K8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198686
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伏見 英彦
(72)【発明者】
【氏名】鴛渕 孝太
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC532
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD352
4C083AD532
4C083DD32
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】高内水相を含む油中水型乳化組成物を、単位面積当たりの生産性が高いインライン連続生産により製造できる油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法の提供。
【解決手段】高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法であって、油性成分と、第1の水性成分と、を送液しながら攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程と、得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程と、を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法であって、
油性成分と、第1の水性成分と、を送液しながら攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程と、
を含むことを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項2】
前記油性成分の流量に対して10%~90%の流量の第1の水性成分を送液する請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項3】
前記油中水型乳化プレミックスを調製する工程が、前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながらせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して前記油中水型乳化プレミックスを調製する工程である請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項4】
前記油中水型乳化組成物を調製する工程が、得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながらせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、及び滞留時間5秒間~15秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程である請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項5】
前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を注入しながら攪拌する工程を更に含む請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項6】
前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を注入しながら攪拌する工程が、前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスと、前記追加の水性成分と、を送液しながらせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、滞留時間2.5秒間~7.5秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程である請求項5に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項7】
前記油中水型乳化組成物が、50質量%~91質量%の内水相を含む請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項8】
前記油中水型乳化プレミックスの乳化粒子の平均径が20μm~150μmである請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項9】
前記油中水型乳化プレミックスの粘度が1,000mPa・s~15,000mPa・sである請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項10】
前記油中水型乳化組成物の乳化粒子の平均径が1μm~12.5μmである請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項11】
前記油中水型乳化組成物の粘度が15,000mPa・s~40,000mPa・sである請求項1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
【請求項12】
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置であって、
油性成分を送液する送液部と、
第1の水性成分を送液する送液部と、
第2の水性成分を送液する送液部と、
前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながら攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する第1の攪拌部と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する第2の攪拌部と、
を有することを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
【請求項13】
前記第1の攪拌部が、静止型ミキサーである請求項12に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
【請求項14】
前記静止型ミキサーが、1~30のエレメントを有し、せん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌する請求項13に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
【請求項15】
前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を送液する送液部を更に有する請求項12に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法、及び油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化組成物は、医薬品、化粧品、食品といった業界の中間体及び最終製品として有用性が高い。
【0003】
特に化粧品製剤用として、油中水型乳化組成物は、効率的に皮膚に塗ることができ、通常優れた保湿性状を有するために適している。この点に関して、高い含水率を有する油中水型乳化組成物は、水中油型乳化組成物よりも優れている。
【0004】
一方で、油中水型乳化組成物を安定した状態に維持することは、水中油型乳化組成物より困難であると考えられている。これは生産工程においても同様であり、多くの場合は攪拌槽でのバッチ処理を繰り返すことで生産性を確保してきた。
【0005】
中でも、高内水相を含む油中水型乳化組成物の生産は、従来、水性成分を徐添しながらバッチ処理を行っており、生産性を向上させるためにはバッチ処理回数を重ねるほか無かった。また、徐添作業などバッチ処理を行う上での作業者負荷が高く、1バッチあたりの生産時間も長時間であることが多い。
【0006】
これまでに、水相と油相を予備混合したプロセスストリームを、スタティックミキサーを用いて一回の通過で処理することで、高内相エマルジョンを生成する方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高内水相を含む油中水型乳化組成物を、単位面積当たりの生産性が高いインライン連続生産により製造できる油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としての本発明の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法は、高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法であって、油性成分と、第1の水性成分と、を送液しながら攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程と、得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高内水相を含む油中水型乳化組成物を、単位面積当たりの生産性が高いインライン連続生産により製造できる油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態における油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法、及び製造装置)
本発明の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法は、高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法であって、油中水型乳化プレミックス調製工程と、油中水型乳化組成物調製工程と、を含み、追加の水性成分注入攪拌工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0013】
本発明の油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置は、高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置であって、油性成分送液部と、第1の水性成分送液部と、第2の水性成分送液部と、第1の攪拌部と、第2の攪拌部と、を有し、追加の水性成分送液部を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の部材を有する。
【0014】
前記油中水型乳化組成物は、連続相(外相)が油相であり、分散相(内相)が水相である乳化物を意味する。また、外油相は、油相である連続相(外相)を示し、内水相は、水相である分散相(内相)を示す。
【0015】
前記高内水相とは、油中水型乳化組成物における内水相としての水性成分の含有量が高いことを意味する。
【0016】
前記油中水型乳化組成物における内水相の含有量としては、50質量%~91質量%が好ましく、60質量%~91質量%がより好ましく、70質量%~91質量%がさらに好ましい。
【0017】
図1に、本発明の一実施形態における油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置を示す。
図1に示す油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置100は、油性成分を収容して供給する油相供給タンク10と、油性成分送液部としての油相供給ポンプ11と、第1の水性成分を収容して供給する第1の水相供給タンク20と、第1の水性成分送液部としての第1の水相供給ポンプ21と、第2の水性成分を収容して供給する第2の水相供給タンク30と、第2の水性成分送液部としての第2の水相供給ポンプ31と、を有し、更に必要に応じて第3の水性成分を収容して供給する第3の水相供給タンク40と、第3の水性成分送液部としての第3の水相供給ポンプ41と、を有する。装置100は、更に、送液された油性成分と第1の水性成分とを攪拌する第1の攪拌部としての静止型ミキサー50と、静止型ミキサー50により調製された油中水型乳化プレミックスと、第2の水性成分と、任意に第3の水性成分とが順次送液され、これらを攪拌する第2の攪拌部としての動的ミキサー60とを有する。動的ミキサー60により調製された油中水型乳化組成物は、動的ミキサー60の下流から送液される。
【0018】
油性成分は、油相供給ポンプ11により加圧され、所定の流量で送液される。各水性成分は、各水相供給ポンプ21、31、41により加圧され、所定の流量で送液される。各ポンプは各相の流量を制御するために流量計を有してもよい。
【0019】
各相の送液配管には、熱交換器を設けて所定の処理温度まで加熱してもよく、静止型ミキサー50の熱交換能力により、油性成分と第1の水性成分とを攪拌しながら両者を加熱してもよい。
【0020】
<油性成分>
前記油中水型乳化組成物において、外油相を形成する油性成分(油相)としては、特に制限はなく、油性組成物や油相を形成可能な油性成分を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂類、香料、油性増粘剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0021】
また、油性成分の状態は特に限定されず、室温(1~30℃)、特に25℃にて、流動性を有するものであっても流動性を有さないものであってもよい。すなわち、油性成分は、25℃にて固体若しくは半固体であってもよいし、液体であってもよいが、液体であると好ましい。
【0022】
前記炭化水素油としては、例えば、イソヘキサデカン(軽質イソパラフィン)、水添ポリデセン(α-オレフィンオリゴマー)、重質流動イソパラフィン(水素添加ポリブテン)等のパラフィンや流動パラフィン;オゾケライト;シュガースクワラン等のスクワラン;スクワレン;プリスタン;セレシン;ワセリン;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス等のワックス類;などが挙げられる。
【0023】
前記エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、1,2-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール(テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル)、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリル、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸-2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2などが挙げられる。
【0024】
前記シリコーン油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。また、シリコーン油は、変性のないシリコーン油であってもよいし、変性シリコーン油であってもよい。シリコーン油の例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、シメチコン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム、シクロペンタシロキサンなどが挙げられる。
【0025】
前記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)などが挙げられる。
【0026】
前記高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコールなどが挙げられる。
【0027】
前記油脂類としては、天然油脂類や合成油脂類が挙げられ、例えば、ユーカリ油、大豆油、ゴマ油、米胚芽油、コーン油、サフラワー油、パーム油、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、月見草油、ヒマシ油等の植物性油脂;タートル油、ミンク油、オレンジラフィー油等の動物性油脂;エステル交換油脂、分別油脂等の加工油脂類などが挙げられる。
【0028】
前記油中水型乳化組成物の外油相には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記成分以外の、色材、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤等のその他の成分を含有することができる。
【0029】
<水性成分>
前記油中水型乳化組成物において、内水相を形成する水性成分(水相)としては、特に制限はなく、水性組成物や水相を形成可能な基剤成分を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水溶性の有機酸、有機酸塩、無機酸、水溶性アルコール、水溶性増粘剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
前記水としては、例えば、精製水、イオン交換水、水道水などが挙げられる。
【0031】
前記有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、シュウ酸、ピロリドンカルボン酸、アスコルビン酸、グリチルリチン酸などが挙げられる。
【0032】
前記有機酸塩としては、例えば、前記有機酸のモノ、ジ及びトリタイプのカリウム塩、ナトリウム塩などが挙げられる。
【0033】
前記無機酸としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸亜鉛などが挙げられる。
【0034】
前記水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、アルコールアルキルエーテル、アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの誘導体などが挙げられる。
【0035】
前記低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコールなどが挙げられる。
【0036】
前記多価アルコールとしては、例えば、ジプロピレングリコール(DPG)、1,3-ブチレングリコール(BG)、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,2-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;などが挙げられる。
【0037】
前記糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、キシリトール、ソルビット液(ソルビトール)などが挙げられる。
【0038】
その他の水溶性アルコールとしては、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
【0039】
前記油中水型乳化組成物の内水相には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記成分以外の、色材、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤等のその他の成分を含有することができる。
【0040】
前記その他の成分としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩、増粘安定剤であるセロゲンFシリーズ(第一工業製薬株式会社)などが挙げられる。
【0041】
<送液部>
前記油性成分送液部は、油性成分を所定の流量で送液する部材であり、例えば、油相供給ポンプを有し、油性成分を収容して供給する油相供給タンクから送液配管を介して静止型ミキサーに油性成分を送液する。
【0042】
前記第1の水性成分送液部は、第1の水性成分を所定の流量で送液する部材であり、例えば、第1の水相供給ポンプを有し、第1の水性成分を収容して供給する第1の水相供給タンクから送液配管を介して静止型ミキサーに第1の水性成分を送液する。
【0043】
前記第2の水性成分送液部は、第2の水性成分を所定の流量で送液する部材であり、例えば、第2の水相供給ポンプを有し、第2の水性成分を収容して供給する第2の水相供給タンクから送液配管を介して動的ミキサーに第2の水性成分を送液する。
【0044】
前記追加の水性成分送液部は、前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を送液する部材であり、例えば、第3の水相供給ポンプを有し、第3の水性成分を収容して供給する第3の水相供給タンクから送液配管を介して動的ミキサーに第3の水性成分を送液する。
【0045】
各ポンプは各相の流量を制御するために流量計を有してもよい。各相の送液配管には、熱交換器を設けて所定の処理温度まで加熱してもよい。
【0046】
<油中水型乳化プレミックス調製工程、及び第1の攪拌部>
前記油中水型乳化プレミックス調製工程は、油性成分と、第1の水性成分と、を送液しながら攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程であり、前記油性成分送液部、前記第1の水性成分送液部、及び前記第1の攪拌部により好適に実施できる。
【0047】
前記第1の攪拌部は、前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながら攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する攪拌部であり、具体的には、静止型ミキサーが挙げられる。
【0048】
前記送液の条件について、前記油性成分の流量に対する前記第1の水性成分の流量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10%~90%が好ましく、20%~80%がより好ましく、30%~75%が更に好ましい。
【0049】
前記静止型ミキサーとは、静止型混合器(ラインミキサー)とも呼ばれる駆動部のないミキサーであり、入口と出口を有する管状の容器内に設けられた、180度ねじれた長方形の板状のエレメントが管内の流路を分割し、エレメント内のねじれ面に沿って管壁部と中央部の流体が転換し、1エレメント毎に、ねじれ方向の異なるエレメントが配置されることで流体の回転方向が変わり急激な慣性力の反転により乱流攪拌される。
【0050】
前記静止型ミキサーとしては、1~30のエレメントを有し、せん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.5秒間で攪拌する静止型ミキサーが好ましい。そのような静止型ミキサーとしては、例えば、スタティックミキサー 1S、スタティックミキサー 15A(いずれも、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)などが挙げられる。
【0051】
前記油中水型乳化プレミックスを調製する工程が、前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながらせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程であることが好ましい。
【0052】
前記油中水型乳化プレミックス調製工程で得られた前記油中水型乳化プレミックスの各物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記油中水型乳化プレミックスの乳化粒子の平均径としては、20μm~150μmが好ましい。
【0053】
前記油中水型乳化プレミックスの粘度としては、25℃における粘度として、1,000mPa・s~15,000mPa・sが好ましく、3,000mPa・s~12,000mPa・sがより好ましい。
【0054】
前記乳化粒子の平均径は、例えば、前記油中水型乳化プレミックス1mLをスライドガラスに滴下して顕微鏡観察し、任意の観察領域(例えば、0.2mm×0.2mmの領域)における各々の乳化粒子の最長径を測定し、その平均値を求めることにより算出することができる。
【0055】
前記油中水型乳化プレミックスの粘度は、例えば、粘度測定装置(Brookfield回転式粘度計、Brookfield社製)を用いて30℃において測定することができる。
【0056】
<油中水型乳化組成物調製工程、及び第2の攪拌部>
前記油中水型乳化組成物調製工程は、前記油中水型乳化プレミックス調製工程で得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程であり、前記第2の水性成分送液部、及び前記第2の攪拌部により好適に実施できる。
【0057】
前記第2の攪拌部は、前記第2の攪拌部で得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する攪拌部であり、具体的には、動的ミキサーが挙げられる。
【0058】
前記動的ミキサーは、入口と出口を有する管状の容器内で回転する攪拌翼により、処理物をインラインにて混合、溶解、反応、発泡、乃至乳化処理を行うミキサーである。
【0059】
前記動的ミキサーとしては、せん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、及び滞留時間5秒間~15秒間で攪拌する動的ミキサーが好ましい。そのような動的ミキサーとしては、例えば、Dynamic Mixer(INDAG社製)などが挙げられる。
【0060】
前記油中水型乳化組成物を調製する工程が、得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながらせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、及び滞留時間5秒間~15秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程であることが好ましい。
【0061】
<追加の水性成分注入攪拌工程、及び追加の水性成分送液部>
前記水性成分は、少なくとも2回に分けて送液及び注入するが、3回以上に分けて送液及び注入してもよい。
【0062】
前記追加の水性成分注入攪拌工程は、前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を注入しながら攪拌する工程であり、前記追加の水性成分送液部、及び第2の攪拌部により好適に実施できる。
【0063】
前記追加の水性成分送液部は、前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を送液する送液部である。
【0064】
前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を注入しながら攪拌する工程が、前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスと、前記追加の水性成分と、を送液しながらせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、滞留時間2.5秒間~7.5秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程であること好ましい。
【0065】
前記油中水型乳化組成物調製工程で得られた前記油中水型乳化組成物の各物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記油中水型乳化組成物の乳化粒子の平均径としては、1μm~12.5μmが好ましい。
【0066】
前記油中水型乳化組成物の粘度としては、25℃における粘度として、15,000mPa・s~40,000mPa・sが好ましく、20,000mPa・s~35,000mPa・sがより好ましい。
【0067】
前記油中水型乳化組成物における内水相の含有量としては、50質量%~91質量%が好ましく、60質量%~91質量%がより好ましく、70質量%~91質量%がさらに好ましい。
【0068】
前記乳化粒子の平均径は、例えば、前記油中水型乳化組成物を顕微鏡観察し、任意の観察領域(例えば、0.2mm×0.2mmの領域)における各々の乳化粒子の最長径を測定し、その平均値を求めることにより算出することができる。
【0069】
前記油中水型乳化組成物の粘度は、例えば、粘度測定装置(Brookfield回転式粘度計、Brookfield社製)を用いて25℃において測定することができる。
【0070】
前記油中水型乳化組成物の一態様としては、50質量%~91質量%の内水相を含み、乳化粒子の平均径が1μm~12.5μmであり、粘度が15,000mPa・s~40,000mPa・sである。
【0071】
前記油中水型乳化組成物は、前記油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置及び装置により好適に製造することができ、保存安定性に優れる点で有利である。
【0072】
<その他の工程、その他の部材>
前記その他の工程、及びその他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填工程、充填部などが挙げられる。
【0073】
前記充填工程は、前記油中水型乳化組成物を容器に充填する工程である。
【0074】
前記充填部は、前記油中水型乳化組成物を容器に充填する。
【0075】
前記容器としては、密閉性容器が好ましい。
【0076】
前記密閉性容器の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて酸素透過性の低い材料を適宜選択することができ、例えば、金属を蒸着した樹脂、金属を積層した樹脂、金属、及びガラスの少なくともいずれかを用いた容器であることが好ましい。
【実施例0077】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、本実施例の説明において、割合(%及び部)の値は、特に記載がない限り質量基準とする。
【0078】
(実施例1)
図1に示す油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置100を用いて、以下の条件により油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法を実施した。
【0079】
油性成分として、表1に示す油性成分の混合物を用いた。第1の水性成分、第2の水性成分、及び第3の水性成分は、いずれも同じ組成とし、表1に示す水性成分の混合物を用いた。用いた各成分の製造会社及び化合物名等を表2に示す。
【0080】
製造した油中水型乳化組成物における外油相の含有量は、13.9質量%、内水相の含有量は、86.1質量%であった。
【0081】
【0082】
【0083】
<送液部>
送液部として、
図1に示す、油性成分を収容して供給する油相供給タンク10と、油相供給ポンプ11と、第1の水性成分を収容して供給する第1の水相供給タンク20と、第1の水相供給ポンプ21と、第2の水性成分を収容して供給する第2の水相供給タンク30と、第2の水相供給ポンプ31と、任意に第3の水性成分を収容して供給する第3の水相供給タンク40と、第3の水相供給ポンプ41と、を用いて、以下の条件で送液を行った。
【0084】
油性成分の流量: 1.39kg/分
第1の水性成分の流量: 1.00kg/分(油性成分の流量に対し72%)
第2の水性成分の流量: 3.30kg/分
第3の水性成分の流量: 4.31kg/分
油中水型乳化組成物の生産量:10.00kg/分
【0085】
<油中水型乳化プレミックス調製工程>
油性成分と、第1の水性成分と、をそれぞれ流量1.39kg/分と1.00kg/分で送液しながら、6段のエレメントを有する静止型ミキサー(装置名:スタティックミキサー 1S、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)、チャンバー容量:0.093L)を用いて、代表せん断速度139[1/s]、滞留時間0.558秒間で攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製した。
【0086】
得られた油中水型乳化プレミックスの乳化粒子の平均径は、100μm、粘度は、12,010mPa・sであった。
【0087】
<油中水型乳化組成物調製工程、及び追加の水性成分注入攪拌工程>
前記油中水型乳化プレミックス調製工程で得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を流量3.30kg/分で注入しながら動的ミキサー(装置名:Dynamic Mixer、INDAG社製、チャンバー容量:1.75L)を用いて、代表せん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s](1,000rpmにて1,710[1/s]、1,200rpmにて2,053[1/s])、及び滞留時間10.5秒間で攪拌した。
【0088】
次いで、動的ミキサー中の、第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、第3の水性成分を流量4.31kg/分で注入しながら動的ミキサーを用いて代表せん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s](1,000rpmにて1,710[1/s]、1,200rpmにて2,053[1/s])、及び滞留時間5秒間で攪拌し、油中水型乳化組成物を調製した。
【0089】
製造開始からの各経過時間において、得られた油中水型乳化組成物の乳化粒子の平均径、及び粘度は、表3に示す通りであり、製造開始から5分間経過後から60分間経過後の粘度は安定的に27,300mPa・s~28,300mPa・sであり、乳化粒子のサイズも安定しており、均質な組成物が得られることが分かった。
【0090】
【0091】
実施例1の結果から、粘度が27,300mPa・s~28,300mPa・sの油中水型乳化組成物が安定的に得られていることが分かった。したがって、均質な、高内水相を含む油中水型乳化組成物をインラインにて連続的に製造できることが分かった。
【0092】
(比較例1)
実施例1において、水性成分を一括で送液し、動的ミキサーに代えて静止型ミキサーを用い、2つの静止型ミキサー(エレメント数:合計12段)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして油性成分と水性成分とを送液して攪拌し、油中水型乳化組成物の製造を実施した。
【0093】
その結果、油性成分と水性成分とを乳化することができなかった。
【0094】
油性成分の流量: 1.39kg/分
水性成分の流量: 8.61kg/分
油中水型乳化組成物の生産量:10.00kg/分
【0095】
(比較例2)
比較例1において、2つの静止型ミキサーを、3つの静止型ミキサーに置き換え、エレメント数を12段から18段に変更したこと以外は、比較例1と同様にして油性成分と水性成分とを送液して攪拌し、油中水型乳化組成物の製造を実施した。
【0096】
(比較例3)
比較例1において、2つの静止型ミキサーを、容器の容量が異なる静止型ミキサー(装置名:スタティックミキサー 15A、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)に置き換え、下記の通り流量を変更したこと以外は、比較例1と同様にして油性成分と水性成分とを送液して攪拌し、油中水型乳化組成物の製造を実施した。
【0097】
油性成分の流量: 1.39kg/分
水性成分の流量: 8.61kg/分
油中水型乳化組成物の生産量:10.00kg/分
【0098】
比較例2及び3のいずれの場合にも、水中油型(O/W)組成物に転相してしまい、油性成分と水性成分とを乳化することができなかった。
【0099】
せん断場体積が小さい静的ミキサーを用いる場合、注入する水相が多く、水相が支配的となる比較例1~3の条件では、高内水相油中水型(W/O)が水中油型(O/W)に転相するリスクが高くなったと考えられた。
【0100】
(比較例4)
実施例1において、水性成分を2分割で送液し、動的ミキサーに代えて静止型ミキサー(装置名:スタティックミキサー 1S、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)を用い、更に、油性成分と第1の水性成分との混合に3つの静止型ミキサーのセット(エレメント数:合計18段)を用い、得られた組成物と第2の水性成分との混合に3つの静止型ミキサーのセット(エレメント数:合計18段)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして油性成分と水性成分とを送液して攪拌し、油中水型乳化組成物の製造を実施した。
【0101】
その結果、油性成分と水性成分とを乳化することができなかった。
【0102】
油性成分の流量: 1.39kg/分
第1の水性成分の流量: 1.00kg/分(油性成分の流量に対し72%)
第2の水性成分の流量: 7.61kg/分
油中水型乳化組成物の生産量:10.00kg/分
【0103】
(比較例5)
比較例4において、2つの静止型ミキサーのセットの下流に、更に3つの静止型ミキサーのセット(エレメント数:合計18段)を追加し、実施例1と同じ下記の条件で水性成分を3分割で送液したこと以外は、比較例4と同様にして油性成分と水性成分とを送液して攪拌し、油中水型乳化組成物の製造を実施した。
【0104】
その結果、油性成分と水性成分とを乳化することができなかった。
【0105】
油性成分の流量: 1.39kg/分
第1の水性成分の流量: 1.00kg/分(油性成分の流量に対し72%)
第2の水性成分の流量: 3.30kg/分
第3の水性成分の流量: 4.31kg/分
油中水型乳化組成物の生産量:10.00kg/分
【0106】
比較例1~3に対し、比較例4及び5のように、水相の分割投入を増やすと乳化できる可能性が考えられたが、水性成分の分割数に応じて必要となる静止型ミキサーの本数が多くなり、プロセスが巨大化してしまうデメリットがあった。また、比較例4及び5のいずれの場合にも、油性成分と水性成分とを乳化することができなかった。
【0107】
以上、本発明を具体的な実施形態及び実施例に基づいて説明したが、これらの実施形態及び実施例は例として提示したものにすぎず、本発明は上記実施形態及び実施例によって限定されるものではない。本発明の開示の範囲内において、様々な変更、修正、置換、削除、付加、及び組合せ等が可能である。
【0108】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様を付記する。
(付記1)
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法であって、
油性成分と、第1の水性成分と、を送液しながら攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程と、
を含むことを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記2)
前記油性成分の流量に対して10%~90%の流量の第1の水性成分を送液する付記1に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記3)
前記油中水型乳化プレミックスを調製する工程が、前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながらせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して前記油中水型乳化プレミックスを調製する工程である付記1から2のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記4)
前記油中水型乳化組成物を調製する工程が、得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながらせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、及び滞留時間5秒間~15秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程である付記1から3のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記5)
前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を注入しながら攪拌する工程を更に含む付記1から4のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記6)
前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を注入しながら攪拌する工程が、前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスと、前記追加の水性成分と、を送液しながらせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、滞留時間2.5秒間~7.5秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程である付記5に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記7)
前記油中水型乳化組成物が、50質量%~91質量%の内水相を含む付記1から6のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記8)
前記油中水型乳化プレミックスの乳化粒子の平均径が20μm~150μmである付記1から7のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記9)
前記油中水型乳化プレミックスの粘度が1,000mPa・s~15,000mPa・sである付記1から8のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記10)
前記油中水型乳化組成物の乳化粒子の平均径が1μm~12.5μmである付記1から9のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記11)
前記油中水型乳化組成物の粘度が15,000mPa・s~40,000mPa・sである付記1から10のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記12)
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法であって、
油性成分と、前記油性成分の流量に対して10%~90%の流量の第1の水性成分と、を送液しながら静止型ミキサーでせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程と、
を含むことを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記13)
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法であって、
油性成分と、前記油性成分の流量に対して10%~90%の流量の第1の水性成分と、を送液しながら静止型ミキサーでせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら動的ミキサーでせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、及び滞留時間5秒間~15秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程と、
を含むことを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記14)
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法であって、
油性成分と、前記油性成分の流量に対して10%~90%の流量の第1の水性成分と、を送液しながら静止型ミキサーでせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する工程と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら動的ミキサーでせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、及び滞留時間5秒間~15秒間で攪拌する工程と、
前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を注入しながら前記動的ミキサーでせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、滞留時間2.5秒間~7.5秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する工程と、
を含むことを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造方法。
(付記15)
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置であって、
油性成分を送液する送液部と、
第1の水性成分を送液する送液部と、
第2の水性成分を送液する送液部と、
前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながら攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する第1の攪拌部と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する第2の攪拌部と、
を有することを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
(付記16)
前記第1の攪拌部が、静止型ミキサーである付記15に記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
(付記17)
前記静止型ミキサーが、1~30のエレメントを有し、せん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌する付記15から16のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
(付記18)
前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を送液する送液部を更に有する付記15から17のいずれかに記載の油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
(付記19)
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置であって、
油性成分を送液する送液部と、
第1の水性成分を前記油性成分の流量に対して10%~90%の流量で送液する送液部と、
第2の水性成分を送液する送液部と、
前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながらせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する第1の攪拌部と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながら攪拌して油中水型乳化組成物を調製する第2の攪拌部と、
を有することを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
(付記20)
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置であって、
油性成分を送液する送液部と、
第1の水性成分を前記油性成分の流量に対して10%~90%の流量で送液する送液部と、
第2の水性成分を送液する送液部と、
前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながらせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する第1の攪拌部と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながらせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、及び滞留時間5秒間~15秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する第2の攪拌部と、
を有することを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。
(付記21)
高内水相を含む油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置であって、
油性成分を送液する送液部と、
第1の水性成分を前記油性成分の流量に対して10%~90%の流量で送液する送液部と、
第2の水性成分を送液する送液部と、
追加の水性成分を送液する送液部と、
前記油性成分と、前記第1の水性成分と、を送液しながらせん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して油中水型乳化プレミックスを調製する第1の攪拌部と、
得られた前記油中水型乳化プレミックスを送液し、第2の水性成分を注入しながらせん断速度1,700[1/s]~2,500[1/s]、及び滞留時間5秒間~15秒間で攪拌し、前記第2の水性成分が注入された前記油中水型乳化プレミックスに、追加の水性成分を注入しながら、せん断速度50[1/s]~400[1/s]、滞留時間0.01秒間~0.6秒間で攪拌して油中水型乳化組成物を調製する第2の攪拌部と、
を有することを特徴とする油中水型乳化組成物のインライン連続製造装置。