(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084425
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】デバイス管理サーバ、デバイス管理システム、及びデバイス管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240618BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04N1/00 E
H04N1/00 838
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198697
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧尻 豊
【テーマコード(参考)】
5C062
5L049
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB25
5C062AB41
5C062AB43
5C062AF01
5C062AF12
5C062AF14
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】デバイスが交換されるときのデータの不正利用を抑制し、また管理の煩雑さを軽減する。
【解決手段】管理サーバ100のプロセッサ110は、複合機200から、セットアップ指示を実行したユーザのアカウントと、複合機識別情報と、セットアップ要求を受信した場合に、ユーザアカウントと複合機識別情報との対応付け情報が記憶装置115に記憶されているか否かを判定するステップS20~ステップS50と、対応付け情報が記憶されていると判定された場合に、ユーザアカウントに対応付けられたサービス情報の内容をセットアップを要求した複合機200のサービス情報に含めて記憶するステップS60と、対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、複合機識別情報が記憶されていた場合に、サービス情報のうち所定情報を除いた内容を、セットアップを要求した複合機200のサービス情報に含めて記憶するステップS70と、を実行する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスとネットワークにより通信可能なデバイス管理サーバであって、
制御部と、
前記デバイスを識別するデバイス識別情報と前記デバイスに係わるサービス提供に関するサービス情報とを含むデバイス情報と、ユーザ識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、
前記ネットワークを介して前記デバイスと通信するための通信I/Fと、を備え、
前記制御部は、
セットアップ実行指示を受け付けた前記デバイスから、前記通信I/Fを介し、セットアップ指示を実行したユーザのユーザ識別情報と、前記デバイスの前記デバイス識別情報と、セットアップ要求と、を受信した場合に、前記ユーザ識別情報と前記デバイス識別情報との対応付け情報がすでに前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理において前記対応付け情報がすでに記憶されていると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記サービス情報の内容を前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第1処理と、
前記判定処理において前記対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、前記通信I/Fを介して受信した前記デバイス識別情報がすでに前記記憶部に記憶されていた場合には、前記サービス情報のうち所定情報を除いた内容を、前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第2処理と、
を実行する、デバイス管理サーバ。
【請求項2】
前記判定処理は、
受信した前記デバイス識別情報に対応する前記ユーザ識別情報を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理において抽出された前記ユーザ識別情報と受信した前記ユーザ識別情報とを比較する比較処理と、
を含み、
前記制御部は、
前記比較処理により同一ユーザであると判断された場合が、前記対応付け情報がすでに記憶されていると判定された場合に相当し、前記第1処理を実行し、
前記比較処理により同一のユーザでないと判断された場合が、前記対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、前記通信I/Fを介して受信した前記デバイス識別情報がすでに前記記憶部に記憶されていた場合に相当し、前記第2処理を実行する、
請求項1記載のデバイス管理サーバ。
【請求項3】
前記デバイス識別情報は、
前記デバイスに対して不変の第1デバイス識別情報と、
前記デバイスのリセットごとに変更される第2デバイス識別情報と、
を含み、
前記制御部は、
前記判定処理においては、前記デバイス識別情報として前記第1デバイス識別情報を用いて判定し、
前記第1処理及び第2処理においては、前記送信元デバイスの前記デバイス情報に、前記通信I/Fを介して受信した前記第2デバイス識別情報を含めて記憶する、
請求項2記載のデバイス管理サーバ。
【請求項4】
前記サービス情報は、ユーザの個人情報を含み、
前記第2処理において前記デバイス情報から除かれる前記所定情報は、前記個人情報を含む、請求項1記載のデバイス管理サーバ。
【請求項5】
前記サービス情報は、前記デバイスの消耗品に関連する特典情報を含み、
前記第2処理において前記デバイス情報から除かれる前記所定情報は、前記特典情報の少なくとも一部を含む、
請求項1記載のデバイス管理サーバ。
【請求項6】
前記特典情報は、
利用期間または利用状態の利用可否情報を含み、
前記制御部は、前記第2処理において
前記利用可否情報において利用期間切れが示されているまたは利用不可の利用状態が示されている前記特典情報を、前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する、請求項5記載のデバイス管理サーバ。
【請求項7】
ネットワークにより通信可能なデバイスと、
サーバと、
を備えるデバイス管理システムであって、
前記デバイスは、
前記デバイスの各種処理を制御する第1制御部と、
前記デバイスの設定情報を記憶する第1記憶部と、
前記ネットワークを介して前記サーバと通信するための第1通信I/Fと、
前記デバイスに対する指示の入力を受け付ける入力I/Fと、を備え、
前記サーバは、
前記サーバの各種処理を制御する第2制御部と、
前記デバイスを識別するデバイス識別情報と前記デバイスに係わるサービス提供に関するサービス情報とを含むデバイス情報と、ユーザ識別情報と、を対応付けて記憶する第2記憶部と、
前記ネットワークを介して前記デバイスと通信するための第2通信I/Fと、を備え、
前記第1制御部は、
前記入力I/Fを介して前記デバイスのセットアップ実行指示を受け付けた場合に、セットアップ指示を実行したユーザのユーザ識別情報と、前記デバイスの前記デバイス識別情報と、セットアップ要求と、を前記第1通信I/Fを介して前記サーバに送信する第1送信処理
を実行し、
前記第2制御部は、
前記第2通信I/Fを介し、前記ユーザ識別情報と、前記デバイス識別情報と、前記セットアップ要求と、を受信した場合に、前記ユーザ識別情報と前記デバイス識別情報との対応付け情報がすでに前記第2記憶部に記憶されているか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理において前記対応付け情報がすでに記憶されていると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記サービス情報の内容を前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第1処理と、
前記判定処理において前記対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、前記第2通信I/Fを介して受信した前記デバイス識別情報がすでに前記第2記憶部に記憶されていた場合には、前記サービス情報のうち所定情報を除いた内容を、前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第2処理と、
を実行する、デバイス管理システム。
【請求項8】
プロセッサと、デバイスを識別するデバイス識別情報と前記デバイスに係わるサービス提供に関するサービス情報とを含むデバイス情報と、ユーザ識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、ネットワークを介して前記デバイスと通信するための通信I/Fと、を備えたデバイス管理サーバに備えられた前記プロセッサに対し、
セットアップ実行指示を受け付けた前記デバイスから、前記通信I/Fを介し、セットアップ指示を実行したユーザのユーザ識別情報と、前記デバイスの前記デバイス識別情報と、セットアップ要求と、を受信した場合に、前記ユーザ識別情報と前記デバイス識別情報との対応付け情報がすでに前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記対応付け情報がすでに記憶されていると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記サービス情報の内容を前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第1ステップと、
前記判定ステップで前記対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、前記通信I/Fを介して受信した前記デバイス識別情報がすでに前記記憶部に記憶されていた場合には、前記サービス情報のうち所定情報を除いた内容を、前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第2ステップと、
を実行させるための、デバイス管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク経由で接続されたデバイスを管理するためのデバイス管理サーバ、デバイス管理システム、及びデバイス管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、印刷許可量をプリンタに記憶し、印刷に使用された用紙枚数を印刷許可量から減算することにより、所定期間に対して一定の料金を支払うことで印刷サービスを継続して利用できるようにしたシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、デバイスの交換及びそれに伴うデータの引継ぎについて開示されているものの、新旧デバイスのユーザは同一である場合に限定されている。すなわち、例えば、リユース時や譲渡時のように、旧ユーザとは異なる新ユーザによりデバイスがセットアップされる場合については想定されていない。そのため、デバイスの引継ぎをするときにすべてのデータを引き継いでしまうと新ユーザによる不正利用が発生する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、デバイスが交換されるときのデータの不正利用を抑制でき、また管理の煩雑さを軽減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明のデバイス管理サーバは、デバイスとネットワークにより通信可能なデバイス管理サーバであって、制御部と、前記デバイスを識別するデバイス識別情報と前記デバイスに係わるサービス提供に関するサービス情報とを含むデバイス情報と、ユーザ識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、前記ネットワークを介して前記デバイスと通信するための通信I/Fと、を備え、前記制御部は、セットアップ実行指示を受け付けた前記デバイスから、前記通信I/Fを介し、セットアップ指示を実行したユーザのユーザ識別情報と、前記デバイスの前記デバイス識別情報と、セットアップ要求と、を受信した場合に、前記ユーザ識別情報と前記デバイス識別情報との対応付け情報がすでに前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定処理と、前記判定処理において前記対応付け情報がすでに記憶されていると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記サービス情報の内容を前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第1処理と、前記判定処理において前記対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、前記通信I/Fを介して受信した前記デバイス識別情報がすでに前記記憶部に記憶されていた場合には、前記サービス情報のうち所定情報を除いた内容を、前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第2処理と、を実行する。
【0007】
本願発明のデバイス管理サーバでは、デバイスが交換されて新ユーザからデバイスにセットアップ実行指示がなされると、判定処理が行われる。判定処理では、セットアップ指示を実行したユーザのユーザ識別情報とデバイスのデバイス識別情報との対応付け情報がすでに記憶部に記憶されているか否かが判定される。判定処理において対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、デバイス識別情報がすでに記憶部に記憶されていた場合には、第2処理が行われる。第2処理では、当該デバイスに係わるサービス提供に関するサービス情報のうち所定情報を除いた内容が、セットアップ要求の送信元デバイスのデバイス情報に含められる形で記憶される。本願発明によれば、デバイス交換時の新旧ユーザが異なる場合に第2処理が行われることで、サービス情報の引継ぎ内容に一定の制限が加えられるので、新ユーザによるデータの不正利用を抑制でき、またデータ管理の煩雑さを軽減できる。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本願発明のデバイス管理システムは、ネットワークにより通信可能なデバイスと、サーバと、を備えるデバイス管理システムであって、前記デバイスは、前記デバイスの各種処理を制御する第1制御部と、前記デバイスの設定情報を記憶する第1記憶部と、前記ネットワークを介して前記サーバと通信するための第1通信I/Fと、前記デバイスに対する指示の入力を受け付ける入力I/Fと、を備え、前記サーバは、前記サーバの各種処理を制御する第2制御部と、前記デバイスを識別するデバイス識別情報と前記デバイスに係わるサービス提供に関するサービス情報とを含むデバイス情報と、ユーザ識別情報と、を対応付けて記憶する第2記憶部と、前記ネットワークを介して前記デバイスと通信するための第2通信I/Fと、を備え、前記第1制御部は、前記入力I/Fを介して前記デバイスのセットアップ実行指示を受け付けた場合に、セットアップ指示を実行したユーザのユーザ識別情報と、前記デバイスの前記デバイス識別情報と、セットアップ要求と、を前記第1通信I/Fを介して前記サーバに送信する第1送信処理を実行し、前記第2制御部は、前記第2通信I/Fを介し、前記ユーザ識別情報と、前記デバイス識別情報と、前記セットアップ要求と、を受信した場合に、前記ユーザ識別情報と前記デバイス識別情報との対応付け情報がすでに前記第2記憶部に記憶されているか否かを判定する判定処理と、前記判定処理において前記対応付け情報がすでに記憶されていると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記サービス情報の内容を前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第1処理と、前記判定処理において前記対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、前記第2通信I/Fを介して受信した前記デバイス識別情報がすでに前記第2記憶部に記憶されていた場合には、前記サービス情報のうち所定情報を除いた内容を、前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第2処理と、を実行する。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本願発明のデバイス管理プログラムは、プロセッサと、デバイスを識別するデバイス識別情報と前記デバイスに係わるサービス提供に関するサービス情報とを含むデバイス情報と、ユーザ識別情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、ネットワークを介して前記デバイスと通信するための通信I/Fと、を備えたデバイス管理サーバに備えられた前記プロセッサに対し、セットアップ実行指示を受け付けた前記デバイスから、前記通信I/Fを介し、セットアップ指示を実行したユーザのユーザ識別情報と、前記デバイスの前記デバイス識別情報と、セットアップ要求と、を受信した場合に、前記ユーザ識別情報と前記デバイス識別情報との対応付け情報がすでに前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記対応付け情報がすでに記憶されていると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記サービス情報の内容を前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第1ステップと、前記判定ステップで前記対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、前記通信I/Fを介して受信した前記デバイス識別情報がすでに前記記憶部に記憶されていた場合には、前記サービス情報のうち所定情報を除いた内容を、前記セットアップ要求の送信元デバイスの前記デバイス情報に含めて記憶する第2ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、デバイスが交換されるときのデータの不正利用を抑制でき、また管理の煩雑さを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るデバイス管理システムの全体構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】管理サーバと複合機の機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】論理デバイスと物理デバイスの具体的な関連付け構成の一例を表す説明図である。
【
図4】旧ユーザと異なるユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図5】旧ユーザと異なるユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図6】旧ユーザと異なるユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図7】旧ユーザと異なるユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図8】旧ユーザと異なるユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図9】旧ユーザと同じユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図10】旧ユーザと同じユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図11】旧ユーザと同じユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図12】旧ユーザと同じユーザにより複合機がセットアップされる場合のシーケンスの一例を表す説明図である。
【
図13】管理サーバのプロセッサが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、デバイス管理システムの一例として、顧客であるユーザが料金を支払って複合機200の印刷機能を使用するプリペイド印刷サービスを提供する印刷システムについて説明する。
【0013】
<1:印刷システムの全体構成>
図1に、実施形態に係る印刷システム1の全体構成の一例を示す。
図1に示すように、印刷システム1は、管理サーバ100と、複合機200と、情報端末300と、取引サーバ400と、を有する。管理サーバ100、複合機200、情報端末300、及び取引サーバ400は、ネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。
【0014】
<1-1:管理サーバ>
管理サーバ100は、例えば複合機200のメーカーが設置し管理するサーバであり、プロセッサ110と、記憶装置115と、インタフェース190と、を有する。プロセッサ110、記憶装置115、及びインタフェース190は、バス105を介して互いに接続されている。なお、管理サーバ100はデバイス管理サーバ及びサーバの一例である。
【0015】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を有する。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、複合機200を管理するための適宜のデータを記憶している。不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131と、データ管理テーブル132と、を有する。データ管理テーブル132には、複合機200を識別するための複合機識別情報と複合機200に係わるサービス提供に関するサービス情報とを含むデバイス情報と、ユーザ識別情報と、が対応付けて記憶されている。なお、不揮発性記憶装置130は記憶部及び第2記憶部の一例である。
【0016】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ110は、プログラム記憶領域131に格納されたプログラムを実行することによって、ネットワークNTに接続された情報端末300、複合機200、取引サーバ400に対するデータ通信を含む、後述の
図13等に示す各種の処理を実行する。なお、プログラム記憶領域131に格納されたプログラムとこれを用いるプロセッサ110は制御部及び第2制御部の一例である。
【0017】
インタフェース190は、他の装置と通信するための有線インタフェース、又は無線インタフェースであり、特に図示しない広域通信インタフェースを介してネットワークNTに接続されている。なお、インタフェース190は通信I/F及び第2通信I/Fの一例である。
【0018】
<1-2:取引サーバ>
取引サーバ400は、例えばネット決済を行うための各種オンラインサービスを行う会社に設置されており、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有する(図示省略)。
【0019】
<1-3:複合機>
複合機200は、例えば、上記印刷サービスを提供する事業者によって保有されている。なお、複合機200はデバイスの一例である。複合機200は、スキャナ部280と、印刷部290と、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、ユーザが操作可能な操作部250と、インタフェース270と、を有する。スキャナ部280、印刷部290、プロセッサ210、記憶装置215、表示部240、操作部250、及びインタフェース270は、バス205を介して互いに接続されている。
【0020】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230と、を有する。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、画像データを記憶可能なデータ保存領域222を有する。不揮発性記憶装置230は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置230は、プログラム記憶領域232と、データ管理テーブル234と、を有する。プログラム記憶領域232には、例えば印刷の実行に係わる印刷制御プログラムを含む各種のプログラムがファームウェアとして予め格納されている。データ管理テーブル234には、複合機200の設定情報等の各種情報が記憶されている。設定情報には、例えば複合機200に対して不変のプロダクトIDや複合機200のリセットごとに変更されるデバイスID等の複合機識別情報が含まれる。なお、不揮発性記憶装置230は第1記憶部の一例であり、複合機識別情報がデバイス識別情報の一例であり、プロダクトIDが第1デバイス識別情報の一例であり、デバイスIDが第2デバイス識別情報の一例である。
【0021】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ210は、プログラム記憶領域232に格納された上記各種のプログラムを実行し、複合機200の各種処理を制御する。プロセッサ210は、情報端末300から送信された画像データに基づき、印刷部290に画像を印刷させる。なお、プログラム記憶領域232に格納された各種のプログラムとこれを用いるプロセッサ210は第1制御部の一例である。
【0022】
表示部240は、例えば、液晶ディスプレイである。操作部250は、ユーザによる複合機200に対する指示の入力操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を複合機200に入力可能である。インタフェース270は、ネットワークNTを介して管理サーバ100等の他の装置と通信するための有線または無線のネットワークインタフェースであり、特に図示しない広域通信インタフェースを介してネットワークNTに接続されている。なお、操作部250は入力I/Fの一例であり、インタフェース270は第1通信I/Fの一例である。
【0023】
スキャナ部280は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的に読取り対象物である原稿を読み取ることによって、読み取った画像を表す画像データを生成する。
【0024】
印刷部290は、図示しない搬送機構により給紙トレイ中の用紙を取り出して搬送しつつ、搬送される用紙に対して所定の方式で画像を印刷する。本実施形態では、インクジェット方式で印刷が行われる場合を例にとって説明する。
【0025】
<1-4:情報端末>
情報端末300は、この例ではユーザの所有するデスクトップPC、タブレットPC、スマートフォン等の情報端末であり、例えば無線通信を介してネットワークNTに接続される。情報端末300は、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有する(図示省略)。例えば、情報端末300のプロセッサでは、Mopria、AirPrint等の、いわゆる汎用の印刷機能を備えたOS(Operating System)が使用されている。また、情報端末300には、OS上にて起動して展開する、上記印刷サービスを受けるためのアプリケーションプログラムが予め備えられている。なお、情報端末300に代えて、例えばパソコンやタブレットコンピュータ、等の他の情報端末を用いてもよい。
【0026】
<2:論理デバイスと物理デバイス>
上述したように本実施形態の印刷システム1は、ユーザが料金を支払って複合機200の印刷機能を使用するプリペイド印刷サービスを提供する。具体的には、印刷サービス事業者が保有する複合機200を用いて、あるいは、ユーザが購入した複合機200を用いて、顧客であるユーザが利用契約を介して印刷サービスを利用する。利用の際には、ユーザ自身が情報端末300を介して複合機200に対する所定枚数での印刷権限をあらかじめ購入し、オーダーした特定の印刷サービスに対応する所定枚数分だけ印刷可能となる従量制となっている。管理サーバ100が情報端末300からの印刷サービスのオーダーを受け付け、オーダーのネット決済を取引サーバ400が間接的に行い、決済が完了した場合に複合機200にその印刷サービスが適用される。
【0027】
図2に示すように、管理サーバ100は、複合機管理処理部11に相当するプログラムと、仮想的なデバイスである論理デバイスLD及び物理デバイスPDと、を有する。複合機管理処理部11は、管理サーバ100に管轄されている複数の複合機200についてそれぞれの情報を総合的に管理する。論理デバイスLDは、複合機200の契約ユーザによる印刷サービスのオーダーに対応する処理や、複合機200に係わるサービス提供に関するサービス情報の管理を行う。物理デバイスPDは、複合機200における消耗品や異常などの機械的な状況の管理を行う。
【0028】
複合機200は、機器制御処理部23に相当するプログラムを備えている。機器制御処理部23は、複合機200における印刷動作、操作、表示などの基本的な機器制御に関する処理を行う。
【0029】
論理デバイスLDと物理デバイスPDの具体的な関連付け構成の一例を
図3に示す。論理デバイスLDは、サービス契約ごとに適宜ランダムに設定付与されたID情報133で個別に識別される。論理デバイスLDに対し、管理サーバ100に登録済みの契約ユーザのアカウントが紐付けされる。なお、アカウントはユーザ識別情報の一例である。論理デバイスLDに対するユーザの紐付けは、多様な組み合わせで切り替え可能に紐付けられる。物理デバイスPDには、管理対象である複合機200の実機の1個体についての複合機識別情報134が記録されている。複合機識別情報134は、例えば前述したプロダクトIDやデバイスIDである。また、物理デバイスPDには、対応する複合機200の実機がその時点で通常の使用状態にあるか、もしくは故障状態であるかの判別基準となるオンライン状態の検知情報も別途記録されている。物理デバイスPDに対しては、1個体の実機の複合機200が通常の運用時において1対1で固定的に対応付けられており、複合機200の機械的な状況がリアルタイムに参照可能な状態となっている。物理デバイスPDは、論理デバイスLDに対して指定された組み合わせで切り替え可能に紐付けされている。
【0030】
論理デバイスLDと物理デバイスPDは、それぞれの処理内容に対応したデータを管理するために用いられる。論理デバイスLDに紐付けられた複合機200に係わるサービス提供に関するサービス情報は、データテーブルとして管理される。管理されるサービス情報として具体的には、オーダー情報、消耗品発注情報、印刷枚数履歴情報、ポイント情報、クーポン情報などがある。この例では、複合機200に対してユーザが購入できる印刷権限を、例えば100枚=100円、300枚=250円などといった複数種類のチャージサービスの中から選択してオーダーする。また、オーダーの課金金額に対して一定割合に相当するサービスポイントを付与する。また、利用促進のイベント等において一定金額相当の無料オーダー権となるクーポンを発行する。以上の印刷サービスにおいて、オーダーの購入履歴やチャージ履歴などに関する情報をオーダー情報として管理し、サービスポイントの情報をポイント情報として管理し、クーポンに関する情報をクーポン情報として管理する。消耗品発注情報は、複合機200におけるインクやインクカートリッジなどの消耗品についてユーザが過去に行った発注内容を管理する情報である。印刷枚数履歴情報は、ユーザが過去のオーダーで複合機200にチャージした枚数のうち実際に何枚印刷したかを表すサービス上の印刷枚数を管理する情報である。
【0031】
なお、オーダー情報には、オーダーを行ったユーザの氏名、住所や決済情報等の個人情報が含まれており、消耗品発注情報には、発注IDや発注先情報等の個人情報が含まれている。また、ポイント情報又はクーポン情報には、利用期間または利用状態などの利用可否情報が含まれている。利用状態とは、例えば所定回数だけ利用可能なクーポンを既に所定回数だけ利用済であることにより、利用不可となっている状態等である。
【0032】
また印刷サービスでは、上述した課金オーダーやクーポンの利用以外にも、当該複合機200に対する印刷可能枚数のチャージ形態の1つとしてチュートリアルチャージが用意されている。チュートリアルチャージは、初めて複合機200を使用するユーザに対してチャージ操作を覚えてもらう、又は複合機200の初期利用を保証する等のビジネス上の目的で、無償、又は大幅な割引での有償でチャージできる1回のみ適用可能なチャージ権限である。チュートリアルチャージは、上述した目的から複合機200の使用契約もしくは購入につき、1回のみ適用可能に設定される。チュートリアルチャージ情報は、チュートリアルチャージが既に適用されたか否かを表す情報であり、上述のオーダー情報に含まれる。
【0033】
また、物理デバイスPDに紐付けられた複合機200に係わる個体情報は、データテーブルとして管理される。管理する個体情報は、実機の複合機200の1個体における機械的な状況に関連した各種の情報であり、具体的には、チャージ残枚数情報、消耗品情報、異常情報などがある。チャージ残枚数情報は、複合機200に対してユーザがチャージした枚数のうちの残りの印刷可能な枚数を管理する情報である。消耗品情報は、複合機200におけるインクカートリッジなどの消耗品についてのその時点での残量や状態を管理する情報である。異常情報は、複合機200においてなされた不正な操作、または発生した異常や故障に関して管理する情報である。
【0034】
なお、物理デバイスPDに記録された複合機識別情報134と論理デバイスLDに紐付けられたサービス情報がデバイス情報の一例であり、ポイント情報及びクーポン情報が特典情報の一例である。
【0035】
<3:新旧ユーザが異なる場合と同じ場合のシーケンス>
本実施形態の印刷システム1においては、新規の複合機200が管理サーバ100に対してセットアップされる。その際、旧ユーザとは異なるユーザにより複合機200がセットアップされる場合と、旧ユーザと同じユーザにより複合機200がセットアップされる場合のそれぞれにおける具体的な工程を、
図4~
図12の各シーケンス図を参照しつつ説明する。
【0036】
<3-1:旧ユーザと異なるユーザによりセットアップされる場合>
まず、旧ユーザと異なるユーザによりセットアップされる場合について説明する。
図4に示す例は、例えばユーザA及びユーザBが複合機200を利用可能な場合である。
図4に示すように、管理サーバ100において複合機200に対応する論理デバイスLD及び物理デバイスPDが生成されており、論理デバイスLDにはユーザA及びユーザBが紐付けられている。また、論理デバイスLDには、オーダー情報、消耗品発注情報、印刷枚数履歴情報、ポイント情報、クーポン情報等が紐付けられている。なお、複合機200と物理デバイスPDは、複合機200のリセットごとに変更されるデバイスIDによって紐付けられている。
【0037】
次に、複合機200のトラブル発生時に、ユーザA又はユーザBが例えばサポート担当からの指示等により複合機200のリセットを実行したとする。この場合、複合機200においてデバイスIDが初期化され、
図5に示すように、複合機200と物理デバイスPDとの紐付けが解除される。この状態では、管理サーバ100は複合機200との間で通信ができない状態となっているが、複合機200がリセットされたことを把握してはいない。
【0038】
次に、リセットされた複合機200がユーザA及びユーザBからユーザCに譲渡され、ユーザCが複合機200をセットアップしたとする。なお、セットアップとは、複合機200を管理サーバ100に対して通信可能に接続し、管理サーバ100に対してセットアップを要求することをいう。
図6に示すように、管理サーバ100は、セットアップを要求した複合機200から複合機識別情報等を取得し、当該複合機識別情報に基づいて複合機200に対応する論理デバイスLDを生成するとともに、仮の物理デバイスPD’を生成する。また、論理デバイスLDには新たなユーザCが紐付けられ、仮の物理デバイスPD’と複合機200は複合機識別情報に含まれるデバイスIDによって紐付けられる。なお、デバイスIDは常時接続用に用いられるIDであり、複合機200によってリセットされる度に新たに生成されるが、その生成タイミングはセットアップ要求時でもよいし、複合機200の再起動時でもよい。
【0039】
次に、管理サーバ100は、新たにセットアップされた複合機200の複合機識別情報に含まれるプロダクトIDに基づいて、当該プロダクトIDが既に不揮発性記憶装置130に記憶されているか否かを判定する。管理サーバ100は、新たにセットアップされた複合機200のプロダクトIDが不揮発性記憶装置130に記憶されていた場合には、既存の複合機200がリセットされたものであると判断する。この場合、
図7に示すように、管理サーバ100は、物理デバイスPDの紐付け先をユーザA及びユーザBに対応する論理デバイスLDからユーザCに対応する新たな論理デバイスLDに変更し、仮の物理デバイスPD’を物理デバイスPDに置き換える。これにより、物理デバイスPDに紐付けられたチャージ残枚数情報、消耗品情報、異常情報などの情報は引き継がれる。また、置き換えられた物理デバイスPDには、新たなデバイスIDが記録される。
【0040】
また、管理サーバ100は、不揮発性記憶装置130に記憶されていたプロダクトIDから対応する物理デバイスPDを特定し、当該物理デバイスPDと紐付けられている論理デバイスLDを特定する。さらに、管理サーバ100は、特定された論理デバイスLDと紐付けられているユーザアカウントからユーザA及びユーザBを特定する。そして、管理サーバ100は、特定されたユーザアカウントと新たにセットアップされた複合機200のユーザアカウントとを比較し、両者が一致しているか否かを判定する。
図6~
図8に示す例では、ユーザA及びユーザBとユーザCとが異なるため、一致していないと判定される。
【0041】
この場合、
図8に示すように、管理サーバ100は、ユーザA及びユーザBに対応する旧論理デバイスLDに紐付けられているサービス情報の一部を、ユーザCに対応する新たな論理デバイスLDに引き継ぐ。サービス情報の一部とは、旧ユーザに不利益が生じることを防止しつつ、新ユーザに対して譲り受けた複合機200を適正に使用可能とするために必要となる最小限の情報である。具体的には、オーダー情報のうち決済が完了してチャージが完了した状態のオーダー履歴情報が、新論理デバイスLDに複製される。その際、オーダー履歴情報に含まれる作成者情報、決済情報などの旧ユーザの個人情報に関するものは削除される。なお、決済やチャージが完了していないオーダー履歴情報については、複製されてもよいしされなくてもよい。また、オーダー情報に含まれるチュートリアルチャージ情報も複製される。これにより、複合機200を譲渡しても譲り受けた新ユーザが再度チューリアルチャージを実行できないようにすることができる。
【0042】
また、消耗品発注情報のうち、発送が完了した状態の発注履歴情報が、新論理デバイスLDに複製される。これにより、新たなユーザにおいてその時点での消耗品の残量や状態を把握できる。その際、発注IDや発注先情報などの旧ユーザの個人情報に関するものは削除される。なお、発送が完了していない状態の発注履歴情報は、新論理デバイスLDに移動される。当該発注情報には、まだ発送されていないので個人情報は含まれない。その他の印刷枚数履歴情報、ポイント情報、クーポン情報については、原則として複製も移動も行われない。但し、ポイント情報又はクーポン情報に含まれる、利用期間または利用状態などを表す利用可否情報については、複製又は移動される。これにより、新たなユーザにおいてポイントやクーポンの利用済み等を判定できる。また、期間限定で全てのユーザ又は全ての複合機200に対して発行したクーポン等がある場合には、例外的に複製又は移動により引き継いでもよい。
【0043】
なお、ユーザA及びユーザBが紐付けられた旧論理デバイスLDは維持されると共に、当該論理デバイスLDへ紐付けされたサービス情報のうち、上記のように移動された情報以外は維持される。このため、ユーザA及びユーザBは論理デバイスLDへの紐付けが維持されたオーダー情報、消耗品発注情報、印刷枚数履歴情報、ポイント情報、クーポン情報については引き続き参照できるが、複合機実機とは切り離されているため、それらの情報は更新されない。なお、旧ユーザが参照する必要がない情報については、新論理デバイスLDへの複製後に消去してもよいし、データを残すか消去するかを旧ユーザ又は新ユーザが選択できるようにしてもよい。
【0044】
<3-2:旧ユーザと同じユーザによりセットアップされる場合>
次に、旧ユーザと同じユーザ又は旧ユーザに含まれるユーザにより複合機200がセットアップされる場合について説明する。前述の
図4及び
図5と同様に、ユーザA及びユーザBが複合機200を利用可能な状態、つまり論理デバイスLDにユーザA及びユーザBが紐付けられている状態において、複合機200のリセットが実行されたものとする。
【0045】
次に、リセットされた複合機200を、ユーザAが再びセットアップする。
図9に示すように、管理サーバ100は、セットアップを要求した複合機200から複合機識別情報等を取得し、当該複合機識別情報に基づいて複合機200に対応する論理デバイスLDを生成するとともに、仮の物理デバイスPD’を生成する。また、論理デバイスLDにはユーザAが紐付けられ、仮の物理デバイスPD’と複合機200は複合機識別情報に含まれるデバイスIDによって紐付けられる。
【0046】
次に、管理サーバ100は、新たにセットアップされた複合機200の複合機識別情報に含まれるプロダクトIDに基づいて、当該プロダクトIDが既に不揮発性記憶装置130に記憶されているか否かを判定する。管理サーバ100は、新たにセットアップされた複合機200のプロダクトIDが不揮発性記憶装置130に記憶されていた場合には、既存の複合機200がリセットされたものであると判断する。この場合、
図10に示すように、管理サーバ100は、物理デバイスPDの紐付け先をユーザA及びユーザBに対応する論理デバイスLDからユーザAに対応する新たな論理デバイスLDに変更し、仮の物理デバイスPD’を物理デバイスPDに置き換える。これにより、物理デバイスPDに紐付けられたチャージ残枚数情報、消耗品情報、異常情報などの情報は引き継がれる。また、置き換えられた物理デバイスPDには、新たなデバイスIDが記録される。
【0047】
また、管理サーバ100は、不揮発性記憶装置130に記憶されていたプロダクトIDから対応する物理デバイスPDを特定し、当該物理デバイスPDと紐付けられている論理デバイスLDを特定する。さらに、管理サーバ100は、特定された論理デバイスLDと紐付けられているユーザアカウントからユーザA及びユーザBを特定する。そして、管理サーバ100は、特定されたユーザアカウントと新たにセットアップされた複合機200のユーザアカウントとを比較し、両者が一致しているか否かを判定する。
図9~
図12に示す例では、元のユーザA及びユーザBに新しいユーザAが含まれるため、一致していると判定される。
【0048】
この場合、
図11に示すように、管理サーバ100は、ユーザA及びユーザBに対応する論理デバイスLDに紐付けられているサービス情報の全部を、ユーザAに対応する新たな論理デバイスLDに引き継ぐ。具体的には、オーダー情報、消耗品発注情報、印刷枚数履歴情報、ポイント情報、及びクーポン情報の全ての内容が、新論理デバイスLDに複製又は移動される。その際、オーダー情報や消耗品発注情報に含まれる個人情報についても複製される。なお、消耗品発注情報のうち、発送が完了した状態の発注履歴情報については新論理デバイスLDに複製され、発送が完了していない状態の発注履歴情報については新論理デバイスLDに移動される。印刷枚数履歴情報、ポイント情報、クーポン情報については、新論理デバイスLDに移動される。
【0049】
なお、このままではユーザAが旧論理デバイスLDと新論理デバイスLDの両方に紐付けられているため、ユーザAの情報端末300に2つの論理デバイスLDに基づく2台の複合機200が表示されることになる。しかしながら、新論理デバイスLDに紐付いた複合機200のみが有効であるため、操作性が低下する。このため、
図12に示すように、管理サーバ100は、ユーザAと旧論理デバイスLDとの紐付けを解除する。これにより、ユーザAの情報端末300に新たな論理デバイスLDに紐付いた有効な複合機200のみを表示させることができる。
【0050】
なお、ユーザBが紐付けられた論理デバイスLDは維持されると共に、当該論理デバイスLDへ紐付けされたサービス情報のうち、上記のように移動された情報以外は維持される。このため、ユーザBは論理デバイスLDへの紐付けが維持されたオーダー情報及び消耗品発注情報等については引き続き参照できるが、複合機実機とは切り離されているため、それらの情報は更新されない。なお、旧ユーザが参照する必要がない情報については、新論理デバイスLDへの複製後に消去してもよいし、データを残すか消去するかを旧ユーザ又は新ユーザが選択できるようにしてもよい。
【0051】
以上において、「複製」とは旧論理デバイスLDに紐付けられた情報を残しつつ同じ情報を新たに作成して新論理デバイスLDに紐付けることであり、「移動」とは旧論理デバイスLDに紐付けられた情報を当該旧論理デバイスLDとの紐付けを解除して新論理デバイスLDに紐付けることである。この場合において、複製前の情報と複製後の情報、又は、移動前の情報と移動後の情報は、内容としては同一内容の情報であるが、紐付け先の変更等が含まれるため、完全同一の情報ではない。
【0052】
<4:管理サーバが実行する制御手順>
上述したシーケンスを実現するために、本実施形態の管理サーバ100のプロセッサ110が実行する制御手順の一例を
図13のフローチャートにより説明する。
【0053】
図13に示すように、ステップS5では、プロセッサ110は、セットアップ要求があったか否かを判定する。セットアップ要求は複合機200によって行われる。複合機200は、ユーザの情報端末300からセットアップ実行指示を受け付けると、セットアップ指示を実行したユーザのアカウントと、生成したデバイスIDと、セットアップ要求信号を管理サーバ100に送信する。この場合に複合機200が実行するセットアップ要求信号を送信する処理が第1送信処理の一例である。プロセッサ110は、セットアップ要求信号等を受信していない場合には(ステップS5:No)、本フローチャートを終了する。一方、プロセッサ110は、セットアップ要求信号等を受信した場合には(ステップS5:Yes)、次のステップS10に移行する。
【0054】
ステップS10では、プロセッサ110は、セットアップ要求信号等の送信元である複合機200から複合機識別情報等を取得する。前述のように、複合機識別情報にはプロダクトID及びデバイスIDが含まれる。
【0055】
ステップS15では、プロセッサ110は、上記ステップS10で取得した複合機識別情報等に基づいて、複合機200に対応する論理デバイスLDを生成する。また、プロセッサ110は、上記複合機識別情報等に基づいて仮の物理デバイスPD’を生成し、論理デバイスLDに紐付ける。仮の物理デバイスPD’と複合機200とはデバイスIDによって紐付けられる。
【0056】
ステップS20では、プロセッサ110は、上記ステップS10で取得したプロダクトIDと同じものが不揮発性記憶装置130に記憶されているか否かを判定する。プロセッサ110は、同じプロダクトIDが不揮発性記憶装置130に記憶されていないと判定した場合には(ステップS20:No)、次のステップS25に移行する。
【0057】
ステップS25では、プロセッサ110は、上記ステップS10で取得した複合機識別情報等に基づいて物理デバイスPDを生成し、論理デバイスLDに紐付ける。つまり、上記ステップS15で生成した仮の物理デバイスPD’を確定させ、本来の物理デバイスPDとして反映する、ともいうことができる。物理デバイスPDと複合機200とは、デバイスIDによって紐付けられる。
【0058】
ステップS30では、プロセッサ110は、上記ステップS5で受信したアカウントに基づいて、生成した論理デバイスLDにセットアップ指示を実行したユーザのアカウントを紐付ける。これにより、デバイス識別情報とユーザのアカウントとが対応付けられて不揮発性記憶装置130のデータ管理テーブル132に記憶される。当該複合機200及びユーザに係わるサービス提供に関するサービス情報は、生成された論理デバイスLDに紐付けられて管理される。その後、プロセッサ110は本フローチャートを終了する。なお、本ステップS30は、具体的には複合機200のセットアップ後の管理者登録にて当該複合機200の管理者が登録された場合に実行される。
【0059】
一方、上記ステップS20において、プロセッサ110は、同じプロダクトIDが不揮発性記憶装置130に記憶されていると判定した場合には(ステップS20:Yes)、次のステップS35に移行する。
【0060】
ステップS35では、プロセッサ110は、不揮発性記憶装置130に記憶された、上記ステップS10で取得したプロダクトIDと同じプロダクトIDに対応する物理デバイスPDを特定する。
【0061】
ステップS40では、プロセッサ110は、上記ステップS35で特定した物理デバイスPDに紐付けられた論理デバイスLDを特定する。
【0062】
ステップS45では、プロセッサ110は、上記ステップS40で特定した論理デバイスLDに紐付けられたユーザのアカウントを特定する。上記ステップS35~ステップS45が抽出処理の一例である。
【0063】
ステップS50では、プロセッサ110は、上記ステップS45において特定されたユーザのアカウントと、上記ステップS5で受信したユーザのアカウントとを比較する。そして、プロセッサ110は、それらが一致するか否か、あるいは、上記ステップS5で受信したユーザのアカウントが上記ステップS45において特定されたユーザのアカウントに含まれるか否かを判定する。プロセッサ110は、アカウントが一致又は含まれる場合にはユーザは同一であると判定し(ステップS50:Yes)、次のステップS55に移行する。
【0064】
なお、上記ステップS50が比較処理の一例であり、前述のステップS20及びステップS35~ステップS50が判定処理及び判定ステップの一例である。また、上記ステップS50により同一ユーザであると判断された場合が、対応付け情報がすでに記憶されていると判定された場合に相当する。
【0065】
ステップS55では、プロセッサ110は、上記ステップS35で特定した物理デバイスPDの紐付け先を、上記ステップS40で特定した旧論理デバイスLDから上記ステップS15で生成した新論理デバイスLDに変更する。これにより、上記ステップS15で生成された仮の物理デバイスPD’が物理デバイスPDに置き換えられる。
【0066】
ステップS60では、プロセッサ110は、上記ステップS40で特定した旧論理デバイスLDに紐付けられているサービス情報の全部を、上記ステップS15で生成した新たな論理デバイスLDに引き継ぐ。これにより、旧論理デバイスLDに対応するユーザのアカウントに対応付けられているサービス情報の内容が、セットアップ要求の送信元である複合機200に対応した新論理デバイスLDに紐付けられたサービス情報に含めて記憶される。またこの際、上記ステップS55で新論理デバイスLDに紐付けを変更された物理デバイスPDには、上記ステップS10においてインタフェース190を介して受信したデバイスIDが記録されており、当該デバイスIDを含めて記憶される。当該ステップS60が第1処理及び第1ステップの一例である。
【0067】
ステップS65では、プロセッサ110は、セットアップ指示を実行したユーザのアカウントと、上記ステップS40で特定した旧論理デバイスLDとの紐付けを解除する。以上により、本フローチャートを終了する。
【0068】
一方、上記ステップS50において、プロセッサ110は、アカウントが一致しない又は含まれない場合にはユーザは同一でないと判定し(ステップS50:No)、次のステップS70に移行する。当該ステップS50により同一ユーザでないと判断された場合が、対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、通信I/Fを介して受信したデバイス識別情報がすでに記憶部に記憶されていた場合に相当する。
【0069】
ステップS70では、プロセッサ110は、上記ステップS35で特定した物理デバイスPDの紐付け先を、上記ステップS40で特定した旧論理デバイスLDから上記ステップS15で生成した新論理デバイスLDに変更する。これにより、上記ステップS15で生成された仮の物理デバイスPD’が物理デバイスPDに置き換えられる。
【0070】
ステップS75では、プロセッサ110は、上記ステップS40で特定した旧論理デバイスLDに紐付けられているサービス情報の一部を、上記ステップS15で生成した新たな論理デバイスLDに引き継ぐ。これにより、旧論理デバイスLDに対応するユーザのアカウントに対応付けられているサービス情報のうち所定情報を除いた内容が、セットアップ要求の送信元である複合機200に対応した新論理デバイスLDに紐付けられたサービス情報に含めて記憶される。またこの際、上記ステップS70で新論理デバイスLDに紐付けを変更された物理デバイスPDには、上記ステップS10においてインタフェース190を介して受信したデバイスIDが記録されており、当該デバイスIDを含めて記憶される。上記サービス情報から除かれる所定情報は、前述の個人情報や、ポイント情報及びクーポン情報等の特典情報の一部を含む。なお、ポイント情報及びクーポン情報のうち、前述の利用可否情報において利用期間切れが示されているまたは利用不可の利用状態が示されている情報については、除かれずに引き継ぎされる。当該ステップS75が第2処理及び第2ステップの一例である。
【0071】
<5:実施形態の効果>
以上説明した本実施形態の管理サーバ100では、複合機200が交換されて新ユーザから複合機200にセットアップ実行指示がなされ、複合機200からセットアップ要求信号を受信すると、ステップS20~ステップS50が行われる。ステップS20~ステップS50では、セットアップ指示を実行したユーザのユーザアカウントと複合機200の複合機識別情報との対応付け情報がすでに不揮発性記憶装置130に記憶されているか否かが判定される。ステップS20~ステップS50において対応付け情報が記憶されていないと判断され、かつ、複合機識別情報がすでに不揮発性記憶装置130に記憶されていた場合には、ステップS75が行われる。ステップS75では、当該複合機200に係わるサービス提供に関するサービス情報のうち所定情報を除いた内容が、セットアップ要求の送信元である複合機200のサービス情報に含められる形で記憶される。本実施形態によれば、複合機200の交換時の新旧ユーザが異なる場合に、ステップS75が行われることで、サービス情報の引継ぎ内容に一定の制限が加えられるので、新ユーザによるデータの不正利用を抑制でき、またデータ管理の煩雑さを軽減できる。
【0072】
また、本実施形態では特に、ステップS20~ステップS50において、ステップS35~ステップS45及びステップS50を実行することにより、複合機200に対応するユーザの同一性を円滑に判定でき、その判定結果に基づきステップS60又はステップS75を区別して実行することができる。
【0073】
また、本実施形態では特に、ステップS50においては、不変であるプロダクトIDを用いることにより、高精度な判定を行うことができる。ステップS60及びステップS75においてはデバイスIDを含めて記憶することにより、交換後にも必要となる有用な情報を円滑に引き継ぐことができる。
【0074】
また、本実施形態では特に、複合機200の交換時の新旧ユーザが異なる場合に、旧ユーザの個人情報を引き継ぎ対象から除外することにより、個人情報の不正利用による旧ユーザに不利益が生じるのを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態では特に、複合機200の交換時の新旧ユーザが異なる場合に、ポイント情報及びクーポン情報等の特典情報を引き継ぎ対象から除外することにより、本来対象でないユーザに特典情報が引き継がれてしまい、特典付与に対する公平性が損なわれてしまうことを抑制できる。
【0076】
また、本実施形態では特に、ポイント情報及びクーポン情報等の特典情報のうち、利用可否情報において利用期間切れが示されているまたは利用不可の利用状態が示されている特典情報については、例外的に引き継ぎ対象とする。これにより、旧ユーザに不利益が生じることがなく引き継げる有用な特典情報を新ユーザに引き継ぐことができる。
【0077】
<6:変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0078】
例えば、以上は印刷サービスの一例としてプリペイド印刷サービスが行われる場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば一定期間において印刷枚数の上限を超えないことを条件に定額の印刷サービス(いわゆるサブスクリプション印刷サービス)であってもよい。この場合、ポイントを当該上限枚数以上の印刷に用いてもよい。或いは、ポイントに応じて当該定額を割り引くようにしてもよいし、その他のポイントの利用方法でもよい。
【0079】
また、以上において、インクジェット方式で印刷が行われる場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えばインクジェット方式ではなくレーザ方式のプリンタを用いてもよい。この場合は、トナーが貯留されるトナーカートリッジ、ドラム等が消耗品の一例となる。
【0080】
また、以上はデバイスの一例として複合機である場合について説明したが、これに限られない。複合機以外にも、例えばプリンタ、コピー機、スキャナなど、消耗品を消耗しつつ所定の処理を実行するデバイスであれば、多種多様なデバイスに適用することができる。
【0081】
また、
図13に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0082】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0083】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0084】
1 印刷システム(デバイス管理システムの一例)
11 複合機管理処理部
23 機器制御処理部
100 管理サーバ(デバイス管理サーバ、サーバの一例)
105 バス
110 プロセッサ(制御部、第2制御部の一例)
115 記憶装置
120 揮発性記憶装置
130 不揮発性記憶装置(記憶部、第2記憶部の一例)
131 プログラム記憶領域
132 データ管理テーブル
133 ID情報
134 複合機識別情報
190 インタフェース(通信I/F、第2通信I/Fの一例)
200 複合機(デバイスの一例)
205 バス
210 プロセッサ(第1制御部の一例)
215 記憶装置
220 揮発性記憶装置
222 データ保存領域
230 不揮発性記憶装置(第1記憶部の一例)
232 プログラム記憶領域
234 データ管理テーブル
240 表示部
250 操作部(入力I/Fの一例)
270 インタフェース(第1通信I/Fの一例)
280 スキャナ部
290 印刷部
300 情報端末
400 取引サーバ
LD 論理デバイス
PD 物理デバイス
S20 ステップ(判定処理、判定ステップの一例)
S35 ステップ(抽出処理、判定処理、判定ステップの一例)
S40 ステップ(抽出処理、判定処理、判定ステップの一例)
S45 ステップ(抽出処理、判定処理、判定ステップの一例)
S50 ステップ(比較処理、判定処理、判定ステップの一例)
S60 ステップ(第1処理、第1ステップの一例)
S70 ステップ(第2処理、第2ステップの一例)