(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084430
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】非接触給電システム、送電装置及び受電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/05 20160101AFI20240618BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240618BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240618BHJP
B60L 53/122 20190101ALI20240618BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20240618BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H02J50/05
H02J50/40
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
B60L53/122
B60M7/00 X
B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198702
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】521487580
【氏名又は名称】株式会社パワーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100174757
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晋士
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB06
5G503GB09
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC02
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC01
5H125AC12
5H125AC26
5H125BE02
5H125DD02
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】移動体の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができる非接触給電システム、送電装置及び受電装置を提供すること。
【解決手段】第一送電装置10Aの送電電極12Aは、移動体に対して第一方向Xに延在するように敷設され、第二送電装置10Bの送電電極12Bは、移動体に対して第二方向Yに延在するように敷設される。受電装置20は、送電電極12A,12Bと対向することでその対向した送電電極12A,12Bとの電界結合によりその送電電極12A,12Bより電力を受信する、複数の位置に配設された受電電極21a~21dを備える。受電装置20は、切替制御をすることなく、受電電極21a~21dが第一方向Xに延在する送電電極12Aと対向した場合に受信する電力をバッテリ30へ給電し、受電電極21a~21dが第二方向Yに延在する送電電極12Bと対向した場合に受信する電力をバッテリへ給電するように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を送信するための送電装置と、移動体が有する負荷に給電する電力を受信するための前記移動体に設けられた受電装置と、を備え、電界結合方式によって非接触にて前記送電装置から前記受電装置へ電力を送信する非接触給電システムであって、
前記送電装置は、
走行中の前記移動体に対して前記電力を送信するための第一送電装置と、
停止中の前記移動体に対して前記電力を送信するための第二送電装置と、が少なくともあり、
前記第一送電装置及び前記第二送電装置は、それぞれ、
供給された高周波電力を前記移動体の受電装置へと送信するための送電電極を備え、
前記第一送電装置の前記送電電極は、前記移動体に対して第一方向に延在するように敷設され、
前記第二送電装置の前記送電電極は、前記移動体に対して前記第一方向とは異なる第二方向に延在するように敷設されており、
前記受電装置は、
前記送電電極と対向することでその対向した前記送電電極との電界結合によりその送電電極より電力を受信する、複数の位置に配設された受電電極を備え、
前記受電装置は、切替制御をすることなく、前記受電電極の少なくとも一部が前記第一方向に延在する前記送電電極と対向した場合にその対向した受電電極によって受信する電力を前記負荷へ給電し、前記受電電極の少なくとも一部が前記第二方向に延在する前記送電電極と対向した場合にその対向した受電電極によって受信する電力を前記負荷へ給電するように構成されることを特徴とする非接触給電システム。
【請求項2】
前記第一送電装置の前記第一方向に延在する前記送電電極と、前記第二送電装置の前記第二方向に延在する前記送電電極とは、それぞれ複数設けられ、
前記第一送電装置及び前記第二送電装置のいずれも、少なくとも電圧の位相が異なる2つの送電電極を対として、前記受電装置へ電力を送信し、
前記第一方向に延在する前記対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な前記受電電極の対は前記第二方向に延在する前記対をなす送電電極の両方と対向せず、前記第二方向に延在する前記対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な前記受電電極の対は前記第一方向に延在する前記対をなす送電電極の両方と対向しないように、前記受電電極が配設されており、
前記受電装置は、
前記第一方向に延在する前記対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な前記受電電極の間に設けられた第一回路部と、
前記第二方向に延在する前記対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な前記受電電極の間に設けられた第二回路部と、を備え、
前記第一回路部を介して前記第一方向に延在する前記送電電極より受信した電力を前記負荷へ給電し、前記第二回路部を介して前記第二方向に延在する前記送電電極より受信した電力を前記負荷へ給電するものであることを特徴とする請求項1記載の非接触給電システム。
【請求項3】
前記第一回路部及び前記第二回路部は、いずれもコモンモードノイズの抑制と、インピーダンス整合とを少なくとも行うものであることを特徴とする請求項2記載の非接触給電システム。
【請求項4】
前記受電装置は、
前記第一回路部より出力される、前記第一方向に延在する前記送電電極より受信した電力を整流する第一整流回路と、
前記第二回路部より出力される、前記第二方向に延在する前記送電電極より受信した電力を整流する第二整流回路と、を備え、
前記第一整流回路により整流された電力及び前記第二整流回路により整流された電力を前記負荷に給電するように構成されることを特徴とする請求項2記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記第一送電装置及び前記第二送電装置の少なくとも一方は、
前記送電電極を3つ以上備えており、2つの送電電極の組を第一の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて前記受電電極へ電力を送信し、2つの送電電極の別の組を第二の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて前記受電電極へ電力を送信し、
前記複数の受電電極は、少なくともいずれかの受電電極によって、前記第一の対を構成する前記送電電極の両方及び前記第二の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように配設され、
前記第一の対及び前記第二の対の送電電極と対向する受電電極の間に設けられる第一回路部又は第二回路部は、
前記第一の対を構成する前記送電電極と対向可能な前記受電電極の間に設けられた第一の対用回路部と、
前記第二の対を構成する前記送電電極と対向可能な前記受電電極の間に設けられた第二の対用回路部と、を備え、
前記受電装置は、前記第一の対を構成する前記送電電極のそれぞれと対向する前記受電電極により受信し前記第一の対用回路部を介して出力される電力と、前記第二の対を構成する前記送電電極のそれぞれと対向する前記受電電極により受信し前記第二の対用回路部を介して出力される電力とを合成して、前記負荷に給電することを特徴とする請求項2記載の非接触給電システム。
【請求項6】
前記第一送電装置の前記第一方向に延在する前記送電電極と、前記第二送電装置の前記第二方向に延在する前記送電電極とは、それぞれ複数設けられ、
前記第一送電装置及び前記第二送電装置のいずれも、少なくとも電圧の位相が異なる2つの送電電極を対として、前記受電装置へ電力を送信し、
前記受電装置は、
少なくとも一部の前記受電電極の間に設けられた回路部を備え、
その回路部を介して、前記受電電極にて受信した電力を前記負荷へ給電するものであることを特徴とする請求項1記載の非接触給電システム。
【請求項7】
前記受電装置は、
前記受電電極の少なくとも一部が前記第一方向に延在する前記送電電極より受信した電力と、前記受電電極の少なくとも一部が前記第二方向に延在する前記送電電極より受信した電力とのいずれも同一の回路にて整流する整流回路を備え、
前記整流回路により整流された電力を前記負荷に給電するように構成されることを特徴とする請求項6記載の非接触給電システム。
【請求項8】
前記第一送電装置及び前記第二送電装置の少なくとも一方は、前記送電電極を3つ以上備えており、2つの送電電極の組を第一の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて前記受電電極へ電力を送信し、2つの送電電極の別の組を第二の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて前記受電電極へ電力を送信し、
前記第一送電装置が前記送電電極を3つ以上備えている場合、一の前記移動体に設けられた前記受電装置は、前記一の移動体が走行中であるときに前記第一の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように前記受電電極が配設され、前記一の移動体とは別の前記移動体に設けられた前記受電装置は、前記別の移動体が走行中であるときに前記第二の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように前記受電電極が配設され、
前記第二送電装置が前記送電電極を3つ以上備えている場合、一の前記移動体に設けられた前記受電装置は、前記一の移動体が停止中であるときに前記第一の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように前記受電電極が配設され、前記一の移動体とは別の前記移動体に設けられた前記受電装置は、前記別の移動体が停止中であるときに前記第二の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように前記受電電極が配設されることを特徴とする請求項2記載の非接触給電システム。
【請求項9】
前記第一送電装置の前記送電電極は、前記第一方向として、前記移動体の直進方向に対して平行な方向に延在するように敷設され、
前記第二送電装置の前記送電電極は、前記第二方向として、前記移動体が走行する面と平行な面内であって前記移動体の直進方向に対して垂直な方向に延在するように敷設されることを特徴とする請求項1記載の非接触給電システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかの非接触給電システムに用いられる送電装置。
【請求項11】
移動体が有する負荷に給電する電力を受信するために移動体に設けられた受電装置に対し、電界結合方式によって非接触にて電力を送信する送電装置であって、
走行中の前記移動体に対して前記電力を送信するための第一送電装置と、
停止中の前記移動体に対して前記電力を送信するための第二送電装置と、が少なくともあり、
前記第一送電装置及び前記第二送電装置は、それぞれ、
供給された高周波電力を前記移動体の受電装置へと送信するための送電電極を備え、
前記第一送電装置の前記送電電極は、前記移動体の直進方向に対して平行な方向に延在するように敷設され、
前記第二送電装置の前記送電電極は、前記移動体が走行する面と平行な面内であって前記移動体の直進方向に対して垂直な方向に延在するように敷設されることを特徴とする送電装置。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかの非接触給電システムに用いられる受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を送信するための送電装置と、移動体が有する負荷に給電する電力を受信するためのその移動体に設けられた受電装置と、を有し、電界結合方式によって非接触にて送電装置から受電装置へ電力を送信する非接触給電システムと、その非接触給電システムに用いられる送電装置及び受電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車や、無人で自動的に活動する電動ビークルといった電動モビリティが注目され、種々の研究開発がなされている。このような電気自動車、電動ビークルを普及させるために、搭載されるバッテリのコストや重量、給電時間の長さ、リサイクルの難度、人的コストの増加等が課題となっている。このような課題を解決するための方法の1つとして、無人かつ非接触で給電する技術が検討されている。
【0003】
このような非接触による給電方式として、電界結合方式がある(例えば、特許文献1)。電界結合方式は、送電電極と受電電極との間に形成されるコンデンサによって、高周波電源から送電電極に供給される電力が、電界エネルギーとして空間を伝わることで、非接触で受電電極に電力を伝送する。電界結合方式は、受電効率や電力量が大きく、また、低コストで実現が可能であり、広範囲に亘って送電設備が必要な非接触の給電に適している。よって、電界結合方式は、電気自動車や電動ビークルへの非接触給電の主流方式として注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動モビリティへ非接触給電を行う状況として、電動モビリティの走行中と、電動モビリティの停止中(停車中又は駐車中)とが考えられる。走行中の電動モビリティへの非接触給電では、例えば20kWといった大きな電力が必要となる一方、停止中の電動モビリティへの非接触給電では1kW程度の小さな電力で十分である場合もあり得る。
【0006】
このように、状況に応じて非接触給電に要求される電力が異なれば、送信側の高周波電源や受信側の整流回路等で用いられる半導体素子の仕様(性能)も、要求される電力に応じて異なり、また、回路構成も異なる場合が生じ得る。
【0007】
しかしながら、従来の非接触給電システムでは、電動モビリティの走行中と停止中とで、各々の給電状態に適した回路構成を使用することについて検討がなされていなかった。また、走行中の電動モビリティと停止中の電動モビリティとのそれぞれにおいて、適切な送電電極の配置についての検討もなされていなかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、移動体の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができる非接触給電システム、送電装置及び受電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明の第1の態様に係る非接触給電システムは、電力を送信するための送電装置と、移動体が有する負荷に給電する電力を受信するための前記移動体に設けられた受電装置と、を備え、電界結合方式によって非接触にて前記送電装置から前記受電装置へ電力を送信するものであって、前記送電装置は、走行中の前記移動体に対して前記電力を送信するための第一送電装置と、停止中の前記移動体に対して前記電力を送信するための第二送電装置と、が少なくともあり、前記第一送電装置及び前記第二送電装置は、それぞれ、供給された高周波電力を前記移動体の受電装置へと送信するための送電電極を備え、前記第一送電装置の前記送電電極は、前記移動体に対して第一方向に延在するように敷設され、前記第二送電装置の前記送電電極は、前記移動体に対して前記第一方向とは異なる第二方向に延在するように敷設されており、前記受電装置は、前記送電電極と対向することでその対向した前記送電電極との電界結合によりその送電電極より電力を受信する、複数の位置に配設された受電電極を備え、前記受電装置は、切替制御をすることなく、前記受電電極の少なくとも一部が前記第一方向に延在する前記送電電極と対向した場合にその対向した受電電極によって受信する電力を前記負荷へ給電し、前記受電電極の少なくとも一部が前記第二方向に延在する前記送電電極と対向した場合にその対向した受電電極によって受信する電力を前記負荷へ給電するように構成される。
【0010】
本発明の第2の態様に係る非接触給電システムは、第1の態様に係る非接触給電システムにおいて、前記第一送電装置の前記第一方向に延在する前記送電電極と、前記第二送電装置の前記第二方向に延在する前記送電電極とは、それぞれ複数設けられ、前記第一送電装置及び前記第二送電装置のいずれも、少なくとも電圧の位相が異なる2つの送電電極を対として、前記受電装置へ電力を送信し、前記第一方向に延在する前記対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な前記受電電極の対は前記第二方向に延在する前記対をなす送電電極の両方と対向せず、前記第二方向に延在する前記対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な前記受電電極の対は前記第一方向に延在する前記対をなす送電電極の両方と対向しないように、前記受電電極が配設されており、前記受電装置は、前記第一方向に延在する前記対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な前記受電電極の間に設けられた第一回路部と、前記第二方向に延在する前記対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な前記受電電極の間に設けられた第二回路部と、を備え、前記第一回路部を介して前記第一方向に延在する前記送電電極より受信した電力を前記負荷へ給電し、前記第二回路部を介して前記第二方向に延在する前記送電電極より受信した電力を前記負荷へ給電するものである。
【0011】
本発明の第3の態様に係る非接触給電システムは、第2の態様に係る非接触給電システムにおいて、前記第一回路部及び前記第二回路部は、いずれもコモンモードノイズの抑制と、インピーダンス整合とを少なくとも行うものである。
【0012】
本発明の第4の態様に係る非接触給電システムは、第2又は第3の態様に係る非接触給電システムにおいて、前記受電装置は、前記第一回路部より出力される、前記第一方向に延在する前記送電電極より受信した電力を整流する第一整流回路と、前記第二回路部より出力される、前記第二方向に延在する前記送電電極より受信した電力を整流する第二整流回路と、を備え、前記第一整流回路により整流された電力及び前記第二整流回路により整流された電力を前記負荷に給電するように構成される。
【0013】
本発明の第5の態様に係る非接触給電システムは、第2から第4のいずれかの態様に係る非接触給電システムにおいて、前記第一送電装置及び前記第二送電装置の少なくとも一方は、前記送電電極を3つ以上備えており、2つの送電電極の組を第一の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて前記受電電極へ電力を送信し、2つの送電電極の別の組を第二の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて前記受電電極へ電力を送信し、前記複数の受電電極は、少なくともいずれかの受電電極によって、前記第一の対を構成する前記送電電極の両方及び前記第二の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように配設され、前記第一の対及び前記第二の対の送電電極と対向する受電電極の間に設けられる第一回路部又は第二回路部は、前記第一の対を構成する前記送電電極と対向可能な前記受電電極の間に設けられた第一の対用回路部と、前記第二の対を構成する前記送電電極と対向可能な前記受電電極の間に設けられた第二の対用回路部と、を備え、前記受電装置は、前記第一の対を構成する前記送電電極のそれぞれと対向する前記受電電極により受信し前記第一の対用回路部を介して出力される電力と、前記第二の対を構成する前記送電電極のそれぞれと対向する前記受電電極により受信し前記第二の対用回路部を介して出力される電力とを合成して、前記負荷に給電する。なお、第一の対をなす送電電極の組み合わせと、第二の対をなす送電電極の組み合わせが異なればよく、第一の対をなす送電電極の一方と、第二の対をなす送電電極の一方とは、同一の送電電極であってもよい。つまり、この場合は、第一の対をなす送電電極の他方と、第二の対をなす送電電極の他方とが、異なる送電電極であればよい。
【0014】
本発明の第6の態様に係る非接触給電システムは、第1の態様に係る非接触給電システムにおいて、前記第一送電装置の前記第一方向に延在する前記送電電極と、前記第二送電装置の前記第二方向に延在する前記送電電極とは、それぞれ複数設けられ、前記第一送電装置及び前記第二送電装置のいずれも、少なくとも電圧の位相が異なる2つの送電電極を対として、前記受電装置へ電力を送信し、前記受電装置は、少なくとも一部の前記受電電極の間に設けられた回路部を備え、その回路部を介して、前記受電電極にて受信した電力を前記負荷へ給電するものである。
【0015】
本発明の第7の態様に係る非接触給電システムは、第6の態様に係る非接触給電システムにおいて、前記受電装置は、前記受電電極の少なくとも一部が前記第一方向に延在する前記送電電極より受信した電力と、前記受電電極の少なくとも一部が前記第二方向に延在する前記送電電極より受信した電力とのいずれも同一の回路にて整流する整流回路を備え、前記整流回路により整流された電力を前記負荷に給電するように構成される。
【0016】
本発明の第8の態様に係る非接触給電システムは、第2から第4、第6及び第7のいずれかの態様に係る非接触誘電システムにおいて、前記第一送電装置及び前記第二送電装置の少なくとも一方は、前記送電電極を3つ以上備えており、2つの送電電極の組を第一の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて前記受電電極へ電力を送信し、2つの送電電極の別の組を第二の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて前記受電電極へ電力を送信し、前記第一送電装置が前記送電電極を3つ以上備えている場合、一の前記移動体に設けられた前記受電装置は、前記一の移動体が走行中であるときに前記第一の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように前記受電電極が配設され、前記一の移動体とは別の前記移動体に設けられた前記受電装置は、前記別の移動体が走行中であるときに前記第二の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように前記受電電極が配設され、前記第二送電装置が前記送電電極を3つ以上備えている場合、一の前記移動体に設けられた前記受電装置は、前記一の移動体が停止中であるときに前記第一の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように前記受電電極が配設され、前記一の移動体とは別の前記移動体に設けられた前記受電装置は、前記別の移動体が停止中であるときに前記第二の対を構成する前記送電電極の両方に同時に対向するように前記受電電極が配設される。なお、第一の対をなす送電電極の組み合わせと、第二の対をなす送電電極の組み合わせが異なればよく、第一の対をなす送電電極の一方と、第二の対をなす送電電極の一方とは、同一の送電電極であってもよい。つまり、この場合は、第一の対をなす送電電極の他方と、第二の対をなす送電電極の他方とが、異なる送電電極であればよい。
【0017】
本発明の第9の態様に係る非接触給電システムは、第1から第8のいずれかの態様に係る非接触給電システムにおいて、前記第一送電装置の前記送電電極は、前記第一方向として、前記移動体の直進方向に対して平行な方向に延在するように敷設され、前記第二送電装置の前記送電電極は、前記第二方向として、前記移動体が走行する面と平行な面内であって前記移動体の直進方向に対して垂直な方向に延在するように敷設される。
【0018】
本発明の第10の態様に係る送電装置は、第1から第9の態様に係る非接触給電システムに用いられるものである。
【0019】
本発明の第11の態様に係る送電装置は、移動体が有する負荷に給電する電力を受信するために移動体に設けられた受電装置に対し、電界結合方式によって非接触にて電力を送信するものであって、走行中の前記移動体に対して前記電力を送信するための第一送電装置と、停止中の前記移動体に対して前記電力を送信するための第二送電装置と、が少なくともあり、前記第一送電装置及び前記第二送電装置は、それぞれ、供給された高周波電力を前記移動体の受電装置へと送信するための送電電極を備え、前記第一送電装置の前記送電電極は、前記移動体の直進方向に対して平行な方向に延在するように敷設され、前記第二送電装置の前記送電電極は、前記移動体が走行する面と平行な面内であって前記移動体の直進方向に対して垂直な方向に延在するように敷設される。
【0020】
本発明の第12の態様に係る受電装置は、第1から第9の態様に係る非接触給電システムに用いられるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の態様に係る非接触給電システムによれば、電界結合方式によって非接触にて送電装置から移動体に設けられた受電装置へ電力が送信され、受電装置により受信された電力が、移動体に設けられた負荷に給電される。走行中の移動体に対しては、第一送電装置により電力が送信され、停止中の前記移動体に対しては、第二送電装置により電力が送信される。第一送電装置は、移動体に対して第一方向に延在するように送電電極が敷設され、その送電電極に供給された高周波電力が、移動体の受電装置へと送信される。また、第二送電装置は、移動体に対して第二方向に延在するように送電電極が敷設され、その送電電極に供給された高周波電力が、移動体の受電装置へと送信される。一方、受電装置は、送電電極と対向することでその対向した送電電極との電界結合により電力を受信する受電電極が、複数の位置に配設される。そして、切替制御をすることなく、受電電極の少なくとも一部が第一方向に延在する送電電極と対向した場合にその対向した受電電極によって受信する電力が、受電装置によって負荷へ給電され、また、受電電極の少なくとも一部が第二方向に延在する送電電極と対向した場合にその対向した受電電極によって受信する電力が、受電装置によって負荷へ給電される。これにより、走行中の移動体と停止中の移動体とに対し、それぞれに適する仕様となるように異なる回路構成で送電装置が構成されたとしても、切替制御がなされることなく、それぞれに対応した送電装置から電力を受信できる。よって、移動体の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができるという効果がある。
【0022】
本発明の第2の態様に係る非接触給電システムによれば、第1の態様に係る非接触給電システムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第一送電装置の第一方向に延在する送電電極は複数設けられ、第二送電装置の第二方向に延在する送電電極も複数設けられる。そして、第一送電装置及び第二送電装置はそれぞれ、少なくとも電圧の位相が異なる2つの送電電極を対として、受電装置へ電力を送信する。受電装置では、第一方向に延在する対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な受電電極の対は第二方向に延在する対をなす送電電極の両方と対向せず、第二方向に延在する対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な受電電極の対は第一方向に延在する対をなす送電電極の両方と対向しないように、受電電極が配設されている。そして、第一方向に延在する対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な受電電極の間に設けられた第一回路部を介して、受電電極にて受信した電力が負荷に給電される。また、第二方向に延在する対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な受電電極の間に設けられた第二回路部を介して、受電電極にて受信した電力が負荷に給電される。これにより、移動体と送電電極との位置関係によって、受電装置は、第一方向に延在する送電電極の対と対向することでその送電電極の対より電力を受信する受電電極の対と、第二方向に延在する送電電極の対と対向することでその送電電極の対から電力を受信する受電電極の対とを、切替制御がなされることなく、切り替えることができる。また、第一方向に延在する送電電極より受信した電力は第一回路部を介して負荷に給電され、第二方向に延在する送電電極より受信した電力は第二回路部を介して負荷に給電されることとなるので、受信する電力の大きさに応じて、第一回路と第二回路の回路構成を異ならせることができる。よって、移動体の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができるという効果がある。
【0023】
本発明の第3の態様に係る非接触給電システムによれば、第2の態様に係る非接触給電システムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第一回路部及び第二回路部によって、いずれもコモンモードノイズの抑制と、インピーダンス整合とが行われる。コモンモードノイズの抑制により、例えば、移動体が走行中の場合に、第二方向に延在する対をなす送電電極のそれぞれと対向可能な受電電極の対が、第一方向に延在する送電電極の一方と対向したとしても、その受電電極の対には同相の電圧が生じることとなるので、その受電電極の対の間に設けられた第二回路部によってその電圧は除去される。よって、第二回路部のインピーダンス整合のための回路や、第二回路部の後段にある回路にある場合はその回路に対して、第一方向に延在する送電電極から受信した電力が出力されることを抑制できるので、これらの回路を第二方向に延在する送電電極の対からの電力に合わせて構成できる。また、移動体が停止中の場合も、送電電極が延在される第一方向と第二方向との関係、及び、第一回路部と第二回路部との関係が逆になるだけで、同様の作用効果が得られる。従って、移動体の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができるという効果がある。
【0024】
本発明の第4の態様に係る非接触給電システムによれば、第2又は第3の態様に係る非接触給電システムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。受電装置では、移動体が走行中の場合に第一回路部より出力される、第一方向に延在する送電電極より受信した電力が、第一整流回路により整流され、移動体が停止中の場合に第二回路部より出力される、第二方向に延在する送電電極より受信した電力が、第二整流回路により整流される。そして、第一整流回路により整流された電力及び第二整流回路により整流された電力が、負荷に給電される。これにより、第一方向に延在する送電電極から受信した電力を整流する場合と、第二方向に延在する送電電極から受信した電力を整流する場合とで、それぞれの電力に応じた整流回路を構成できるという効果がある。
【0025】
本発明の第5の態様に係る非接触給電システムによれば、第2から第4のいずれかの態様に係る非接触給電システムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。第一送電装置及び第二送電装置の少なくとも一方は、送電電極が3つ以上設けられている。そして、2つの送電電極の組を第一の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて受電電極へ電力が送信される。また、2つの送電電極の別の組を第二の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて受電電極へ電力が送信される。一方、複数の受電電極は、少なくともいずれかの受電電極によって、第一の対を構成する送電電極の両方及び第二の対を構成する送電電極の両方に同時に対向するように配設されている。そして、第一の対を構成する送電電極と対向可能な受電電極の間に設けられた第一の対用回路部を介して出力される、第一の対の送電電極より受信した電力と、第二の対を構成する送電電極と対向可能な受電電極の間に設けられた第二の対用回路部を介して出力される、第二の対の送電電極より受信した電力とが合成されて、負荷に給電される。これにより、受電電力を増加させることができるという効果がある。
【0026】
本発明の第6の態様に係る非接触給電システムによれば、第1の態様に係る非接触給電システムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第一送電装置の第一方向に延在する送電電極は複数設けられ、少なくとも電圧の位相が異なる2つの送電電極を対として、受電装置へ電力が送信される。また、第二送電装置の第二方向に延在する送電電極も複数設けられ、少なくとも電圧の位相が異なる2つの送電電極を対として、受電装置へ電力が送信される。一方、受電装置によって、少なくとも一部の受電電極の間に設けられた回路部を介して、受電電極にて受信した電力が負荷へ給電される。これにより、走行中の移動体と停止中の移動体とに対し、それぞれに適する仕様となるように異なる回路構成で送電装置が構成されたとしても、回路部と接続された受電電極が第一方向に延在する送電電極と対向すれば、その送電電極より受信した電力を負荷に給電でき、回路部と接続された受電電極が第二方向に延在する送電電極と対向すれば、その送電電極より受信した電力を負荷に給電できる。よって、切替制御がなされることなく、それぞれに対応した送電装置から電力を受信できるという効果がある。
【0027】
本発明の第7の態様に係る非接触給電システムによれば、第6の態様に係る非接触給電システムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、受電装置では、受電電極の少なくとも一部が第一方向に延在する送電電極より受信した電力と、受電電極の少なくとも一部が前記第二方向に延在する前記送電電極より受信した電力とのいずれも、同一の整流回路にて整流されて、負荷に給電される。このように、第一方向に延在する送電電極より受信した電力を整流する整流回路と、第二方向に延在する前記送電電極より受信した電力を整流する整流回路とを、同一の回路構成とすることが可能な場合は、これらの整流を一つの整流回路で行わせるようにすることで、受電装置の構成が単純化できるという効果がある。
【0028】
本発明の第8の態様に係る非接触給電システムによれば、第2から第4、第6及び第7のいずれかの態様に係る非接触誘電システムの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第一送電装置及び第二送電装置の少なくとも一方には、送電電極が3つ以上設けられている。そして、第一の対をなす2つの送電電極のそれぞれに異なる位相の電圧が供給され、また、第二の対をなす2つの送電電極のそれぞれに異なる位相の電圧が供給される。ここで、第一送電装置が送電電極を3つ以上備えている場合、一の移動体に設けられた受電装置は、一の移動体が走行中であるときに第一の対を構成する送電電極の両方に同時に対向するように受電電極が配設され、一の移動体とは別の移動体に設けられた受電装置は、別の移動体が走行中であるときに第二の対を構成する送電電極の両方に同時に対向するように受電電極が配設される。また、第二送電装置が送電電極を3つ以上備えている場合、一の移動体に設けられた受電装置は、一の移動体が停止中であるときに第一の対を構成する送電電極の両方に同時に対向するように受電電極が配設され、一の移動体とは別の移動体に設けられた受電装置は、別の移動体が停止中であるときに第二の対を構成する送電電極の両方に同時に対向するように受電電極が配設される。これにより、一の移動体に対して、第一の対を構成する送電電極の組によって給電が行われ、別の移動体に対して、第二の対を構成する送電電極の組によって給電が行われることとなり、給電に使用される送電電極を移動体によって分散することができる。よって、それぞれの送電電極に必要となる電流を小さく抑えることができる。従って、各送電電極に生じる電界/磁界の強度を小さくできるので、安全規格を満たしやすくできるという効果がある。また、それぞれの送電電極に必要となる電流を小さく抑えることで、送電装置に求められる仕様を緩和でき、設計に対するハードルを下げることができるという効果がある。
【0029】
本発明の第9の態様に係る非接触給電システムによれば、第1から第8のいずれかの態様に係る非接触給電システムが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第一送電装置の送電電極は、第一方向として、移動体の直進方向に対して平行な方向に延在するように敷設される。これにより、直進して走行する移動体に対して、同一の送電電極にて継続的に給電を行うことができる。一方、第二送電装置の送電電極は、第二方向として、移動体が走行する面と平行な面内であって移動体の直進方向に対して垂直な方向に延在するように敷設される。これにより、横方向に一列に並んで停止された複数の移動体に対して、同一の送電電極で給電を行うことができる。また、移動体の停止位置が横にずれたとしても、送電電極からの給電を確実に行えるので、移動体の停車位置の精度を下げることができる。このように、移動体の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができるという効果がある。
【0030】
本発明の第10の態様に係る送電装置によれば、第1から第9のいずれかの態様に係る非接触給電システムに用いられることで、対応する非接触給電システムと同様の効果を奏する。
【0031】
本発明の第11の態様に係る送電装置によれば、移動体が有する負荷に給電する電力を受信するために移動体に設けられた受電装置に対し、電界結合方式によって非接触にて電力が送信される。このような送電装置において、第一送電装置は、走行中の移動体に対して電力が送信されるものであり、供給された高周波電力を移動体の受電装置へと送信するための送電電極が、移動体の直進方向に対して平行な方向に延在するように敷設される。これにより、直進して走行する移動体に対して、同一の送電電極にて継続的に給電を行うことができる。一方、第二送電装置は、停止中の移動体に対して電力が送信されるものであり、送電電極が、移動体が走行する面と平行な面内であって移動体の直進方向に対して垂直な方向に延在するように敷設される。これにより、横方向に一列に並んで停止された複数の移動体に対して、同一の送電電極で給電を行うことができる。また、移動体の停止位置が横にずれたとしても、送電電極からの給電を確実に行えるので、電動モビリティの停車位置の精度を下げることができる。このように、移動体の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができるという効果がある。
【0032】
本発明の第12の態様に係る送電装置によれば、第1から第9のいずれかの態様に係る非接触給電システムに用いられることで、対応する非接触給電システムと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の各実施形態に係る非接触給電システムの全体概略構成を示した概略構成図である。
【
図2】(a)は、同非接触給電システムを構成する第一送電装置の送電電極の敷設形態を模式的に示した模式図であり、(b)は、非接触給電システムを構成する第二送電装置の送電電極の敷設形態を模式的に示した模式図である。
【
図3】(a)は、第一実施形態に係る非接触給電システムの受電装置の概略構成を示す図であり、(b)は、その受電装置の第一回路部及び第二回路部の概略構成を示す図である。
【
図4】(a)は、同非接触給電システムにおいて、走行中の移動体に対して給電を行う場合の受電装置の動作状況を模式的に示した模式図であり、(b)は、停止中の移動体に対して給電を行う場合の受電装置の動作状況を模式的に示した模式図である。
【
図5】(a)は、第二実施形態に係る非接触給電システムの受電装置の概略構成と、走行中の移動体に対して給電を行う場合の受電装置の動作状況を模式的に示した図であり、(b)は、停止中の移動体に対して給電を行う場合の受電装置の動作状況を模式的に示した図である。
【
図6】(a)は、第三実施形態に係る非接触給電システムの受電装置の概略構成と、走行中の移動体に対して給電を行う場合の受電装置の動作状況を模式的に示した図であり、(b)は、停止中の移動体に対して給電を行う場合の受電装置の動作状況を模式的に示した図である。
【
図7】(a)は、第四実施形態に係る第二送電装置の送電電極の敷設形態を模式的に示した模式図であり、(b)は、第四実施形態に係る非接触給電システムの大型車用受電装置の概略構成と、走行中の大型車に対して給電を行う場合の大型車用受電装置の動作状況を模式的に示した図である。
【
図8】停止中の大型車に対して給電を行う場合の同大型車用受電装置の動作状況を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。従って、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0035】
(全体概略構成)
まず、各実施形態を説明する前に、各々の実施形態で共通する全体概略構成について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係る非接触給電システム1の全体概略構成を示した概略構成図である。
図2(a)は、非接触給電システム1を構成する第一送電装置10Aの送電電極12Aの敷設形態を模式的に示した模式図であり、
図2(b)は、非接触給電システム1を構成する第二送電装置10Bの送電電極12Bの敷設形態を模式的に示した模式図である。
【0036】
非接触給電システム1は、移動体2が有する負荷に対し、非接触(無線)にて給電するシステムである。
図1に示す例では、非接触給電システム1は、走行路3を走行する移動体2に搭載されたバッテリ30を負荷とし、そのバッテリ30に対して非接触にて給電するものであり、走行路3に固定して設置された送電装置10と、移動体2に設けられた受電装置20とにより構成される。
【0037】
移動体2は、例えば、電気自動車や、無人で自動的に活動する無人搬送車(AGV)といった電動ビークル等の電動モビリティが例示され、受電装置20とバッテリ30との他に、駆動輪32と従動輪31とを有している。非接触給電システム1は、送電装置10から電界結合方式によって非接触にて送信された電力を受電装置20にて受信する。移動体2は、非接触給電システム1により受電装置20にて受信した電力をバッテリ30に給電することで、バッテリ30が充電される。移動体2は、充電されたバッテリ30の電力を用いて駆動輪32を駆動することで、走行路3を走行する。
【0038】
なお、非接触給電システム1によって非接触にて給電される負荷は、バッテリ30に限られず、給電された電力によって動作するもの(例えば、モータ)であれば任意のものであってよい。
【0039】
受電装置20は、バッテリ30に給電する電力を受信(受電)するための装置であり、複数の受電電極21と、回路部22と、整流回路23とを少なくとも備える。各々の受電電極21は、送電装置10の後述する送電電極12と対向することによって形成される電界結合により、送電電極12から非接触にて送信される電力を受信するものであり、平板状の導体により構成される。
【0040】
受電装置20は、2つの受電電極21が対をなして、同様に対をなす送電電極12より電力を受信する。即ち、対をなす送電電極12には、それぞれに異なる位相の電圧(例えば逆位相の電圧)が供給されており、対をなす受電電極21の一方が、対をなす送電電極12の一方と対向し、対をなす受電電極21の他方が、対をなす送電電極12の他方と対向することで、それぞれに形成される電界結合により、非接触にて電力が送受信される。
【0041】
回路部22は、対をなす送電電極12のそれぞれと対向可能な受電電極21の間に設けられる。詳細については
図3(b)を参照して後述するが、回路部22は、コモンモードノイズの抑制と、インピーダンス整合とを少なくとも行う回路である。対をなす受電電極21により受信した電力は、回路部22を介して整流回路23に出力され、整流回路23にて直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0042】
送電装置10は、受電装置20に対して電力を電界結合方式により非接触にて送信(送電)するための装置であり、高周波電源11と、送電電極12とを少なくとも有している。
【0043】
高周波電源11は、直流電力又は商用電力から高周波電力を生成する高周波インバータであり、走行路3上に固着され、又は走行路3に埋め込まれて設置される。高周波電源11により生成された高周波電力は、送電電極12に供給される。
【0044】
送電電極12は、受電装置20の受電電極21と対向することにより形成される電界結合によって、高周波電源11から供給された電力を受電電極21へ送信するものである。送電電極12は、平板状の導体により構成され、移動体2が走行し、また、駐停車(停止)する走行路3の路面直下に、所定の方向に延在して埋め込まれた状態で敷設される。
【0045】
また、送電電極12は、対をなす受電電極21のそれぞれと対向するように、少なくとも2つの送電電極12が対をなして存在しており、それぞれの送電電極12に対して、異なる位相の電圧(例えば逆位相の電圧)が高周波電源11より印加される。
【0046】
ここで、非接触給電システム1では、
図2(a)及び(b)に示す通り、送電装置10として、少なくとも第一送電装置10Aと第二送電装置10Bとの2種類が用いられる。第一送電装置10Aは、走行中の移動体2に対して電力を送信するための送電装置10である。第二送電装置10Bは、駐停車等の停止中の移動体2に対して電力を送信するための送電装置10である。
【0047】
上述した通り、走行中の移動体2への非接触給電では、例えば20kWといった大きな電力の送信が必要となる一方、停止中の移動体2への非接触給電では、1kW程度の小さな電力で十分である。これにより、走行中の移動体2に対して電力を送信する送電装置10の高周波電源11と、停止中の移動体2に対して電力を送信する送電装置10の高周波電源11とでは、要求される電力によって用いられる半導体素子の仕様(性能)や回路構成が異なる場合が生じ得る。
【0048】
これに対し、走行中の移動体2に対して電力を送信する送電装置10として第一送電装置10Aを用意し、停止中の移動体2に対して電力を送信する送電装置10として第二送電装置10Bを用意することで、それぞれに要求される電力に応じた半導体素子を用いたり、回路構成を構築したりできる。
【0049】
また、第一送電装置10Aと第二送電装置10Bとでは、それぞれの送電電極12の延在する方向が異なる。第一送電装置10Aの送電電極12Aは、
図2(a)に示す通り、移動体2の直進方向Fに対して平行な方向である第一方向Xに延在するように敷設される。これにより、直進して走行する移動体2に対して、同一の送電電極12Aによって継続的に給電を行うことができる。なお、第一方向Xは、直進方向Fと正確に平行な方向である必要はなく、直進方向Fと実質的に平行な方向と見なされる方向を含む。
【0050】
一方、第二送電装置10Bの送電電極12Bは、
図2(b)に示す通り、移動体2が走行する走行路3の面と平行な面内であって、移動体2の直進方向Fに対して垂直な方向である第二方向Yに延在するように敷設される。これにより、横方向に一列に並んで停止された複数の移動体2に対して、同一の送電電極12Bで給電を行うことができる。また、移動体2の停止位置が横にずれたとしても、送電電極12Bからの給電を確実に行えるので、移動体2の停車位置の精度を下げることができる。
【0051】
なお、第二方向Yは、移動体2が走行する走行路3の面と平行な面内であって、移動体2の直進方向Fに対して正確に垂直な方向である必要はなく、実質的に移動体2が走行する走行路3の面と平行な面内であって、移動体2の直進方向Fに対して垂直な方向と見なされる方向を含む。
【0052】
このように、走行中の移動体2と停止中の移動体2とに対し、それぞれに適した送電装置10(第一送電装置10A、第二送電装置10B)を用いることで、移動体2の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができる。
【0053】
(第一実施形態)
次いで、
図3及び
図4を参照して、本発明の第一実施形態に係る非接触給電システム1について説明する。
図3(a)は、その非接触給電システム1の受電装置20の概略構成を示す図であり、
図3(b)は、その受電装置20の第一回路部22a及び第二回路部22bの概略構成を示す図である。
【0054】
また、
図4(a)は、走行中の移動体2に対して給電を行う場合の受電装置20の動作状況を模式的に示した模式図であり、
図4(b)は、停止中の移動体2に対して給電を行う場合の受電装置20の動作状況を模式的に示した模式図である。なお、
図4(a)及び(b)において、濃い網掛けを付した電極及び回路が、電力の給電に対して有効に寄与している箇所を示している。
【0055】
第一実施形態に係る受電装置20には、
図3(a)に示す通り、受電電極21として、移動体2の左前方に配設された受電電極21aと、左後方に配設された受電電極21bと、右前方に配設された受電電極21cと、右後方に配設された受電電極21dとの計4つの受電電極21が設けられている。
【0056】
移動体2が走行中の場合は、
図4(a)に示す通り、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとが対となり、また、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとが対となる。そして、対をなす一方の受電電極21a,21bが、それぞれ第一方向Xに延在して対をなす第一送電装置10Aの送電電極12Aの一方(図面左側の送電電極12A)と対向し、対をなす他方の受電電極21c,21dが、もう一方の送電電極12A(図面右側の送電電極12A)と対向する。
【0057】
移動体2が停止中の場合は、
図4(b)に示す通り、左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとが対となり、また、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21a,21cが、それぞれ第二方向Yに延在して対をなす第二送電装置10Bの送電電極12Bの一方(図面上側の送電電極12B)と対向し、対をなす他方の受電電極21b,21dが、もう一方の送電電極12B(図面下側の送電電極12B)と対向する。
【0058】
そして、
図4(a)及び(b)に示す通り、第一送電装置10Aの第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)は、第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bのいずれか一方とは対向するものの、両方の送電電極12Bとは対向しないように、受電電極21は配設される。
【0059】
また、第二送電装置10Bの第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの対、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの対)は、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのいずれか一方とは対向するものの、両方の送電電極12Aとは対向しないように、受電電極21が配設される。
【0060】
受電装置20は、第一送電装置10Aの対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)の間に、回路部22として第一回路部22aが設けられ、更に第一回路部22aの後段に整流回路23として第一整流回路23aが接続される。そして、第一整流回路23aの後段にバッテリ30が接続される。
【0061】
また、受電装置20は、第二送電装置10Bの対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの対、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの対)の間に、回路部22として第二回路部22bが設けられ、更に第二回路部22bの後段に整流回路23として第二整流回路23bが接続される。そして、第二整流回路23bの後段にバッテリ30が接続される。
【0062】
第一回路部22aは、第一送電装置10Aの対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)によって受信した電力を、第一整流回路23aを介してバッテリ30へ供給する回路である。
【0063】
第二回路部22bは、第二送電装置10Bの対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの対、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの対)によって受信した電力を、第二整流回路23bを介してバッテリ30へ供給する回路である。
【0064】
これら第一回路部22a及び第二回路部22b(回路部22)はそれぞれ、
図3(b)に示す通り、少なくともコモンモードノイズ除去回路221と整合回路222とが縦列に接続されて構成される。
【0065】
コモンモードノイズ除去回路221は、対をなす受電電極21のそれぞれに発生した電圧のうち、同じ位相(同相)の電圧を除去することで、コモンモードノイズを抑制するための回路で、例えば、コモンモードチョークコイルによって構成される。このコモンモードノイズ除去回路221によって、対をなす受電電極21のそれぞれに同相の電圧が発生した場合にこれらの電圧が除去されるので、同相の電圧に基づく電力が後段の第一整流回路23a又は第二整流回路23bへ出力(伝送)されることを抑制できる。
【0066】
整合回路222は、第一回路部22aの場合は第一送電装置10Aと間でインピーダンス整合を行うための回路であり、第二回路部22bの場合は第二送電装置10Bと間でインピーダンス整合を行うための回路である。整合回路222によるインピーダンス整合が行われることで、受電装置20は、第一送電装置10A又は第二送電装置10Bから送信される電力を高効率に受信し、バッテリ30へ給電できる。
【0067】
第一整流回路23aは、第一回路部22aから出力される、第一送電装置10Aの送電電極12Aより受信した電力を直流に整流する回路である。第二整流回路23bは、第二回路部22bから出力される、第二送電装置10Bの送電電極12Bより受信した電力を直流に整流する回路である。第一整流回路23a及び第二整流回路23bによって直流に整流された電力は、バッテリ30に給電され、バッテリ30が充電される。
【0068】
次いで、以上のように構成された非接触給電システム1の動作について、
図4(a)及び(b)を参照して説明する。
【0069】
まず、走行中の移動体2への給電について説明する。上述した通り、走行中の移動体2への電力の送信は第一送電装置10Aが用いられる。第一送電装置10Aにおいて対をなす2つの送電電極12Aはそれぞれ、
図4(a)に示す通り、移動体2の直進方向Fと平行な第一方向Xに延在している。
【0070】
そして、移動体2が第一送電装置10Aの送電電極12A上を走行すると、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとが対となり、また、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21a,21bが、送電電極12Aの一方(図面左側の送電電極12A)と対向し、対をなす他方の受電電極21c,21dが、送電電極12Aの他方(図面右側の送電電極12A)と対向する。
【0071】
対をなす2つの送電電極12Aに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が印加されると、これらの送電電極12Aと対向する受電電極21の対にも、電界結合によって、それぞれ異なる位相の電圧(逆位相の電圧が2つの送電電極12Aに印加される場合は、逆位相の電圧)が発生する。これにより、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの間と、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの間とにそれぞれ設けられた第一回路部22aには、差動電圧が印加されることとなる。
【0072】
よって、第一回路部22aは、接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される第一整流回路23aへ出力する。そして、第一回路部22aより出力された電力は、第一整流回路23aにより直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0073】
一方、移動体2が第一送電装置10Aの送電電極12A上を走行すると、左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの対は、いずれの受電電極21a,21bとも一方の送電電極12A(図面左側の送電電極12)と対向し、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの対は、いずれの受電電極21c,21dとも他方の送電電極12A(図面右側の送電電極12)と対向する。
【0074】
これにより、左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの間と、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの間とにそれぞれ設けられた第二回路部22bには、同相の電圧が印加されることとなる。
【0075】
よって、第二回路部22bは、接続された2つの受電電極21aと受電電極21b、又は、受電電極21cと受電電極21dにて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221にて除去する。従って、コモンモードノイズ除去回路221の後段に接続された第二回路部22bの整合回路222や第二整流回路23bに対して電力は出力されず、非動作となる。従って、第二回路部22b及び第二整流回路23bからバッテリ30に対して給電が行われることはない。
【0076】
このように、走行中の移動体2に対する給電は、第一回路部22a及び第一整流回路23aが寄与し、第二回路部22b及び第二整流回路23bは寄与しない。
【0077】
次いで、停止中の移動体2への給電について説明する。上述した通り、停止中の移動体2への電力の送信は第二送電装置10Bが用いられる。第二送電装置10Bにおいて対をなす2つの送電電極12Bはそれぞれ、
図4(b)に示す通り、移動体2が走行する走行路3の面と平行な面内であって、移動体2の直進方向Fに対して垂直な方向である第二方向Yに延在している。
【0078】
移動体2が第二送電装置10Bの送電電極12B上に停車すると、左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとが対となり、また、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21a,21cが、送電電極12Bの一方(図面上側の送電電極12B)と対向し、対をなす他方の受電電極21b,21dが、送電電極12Bの他方(図面下側の送電電極12B)と対向する。
【0079】
対をなす2つの送電電極12Bに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が印加されると、これらの送電電極12Bと対向する受電電極21の対にも、電界結合によって、それぞれ異なる位相の電圧(逆位相の電圧が2つの送電電極12Bに印加される場合は、逆位相の電圧)が発生する。これにより、左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの間と、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの間とにそれぞれ設けられた第二回路部22bには、差動電圧が印加されることとなる。
【0080】
よって、第二回路部22bは、接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される第二整流回路23bへ出力される。そして、第二回路部22bより出力された電力は、第二整流回路23bにより直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0081】
一方、移動体2が第二送電装置10Bの送電電極12B上に停止すると、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対は、いずれの受電電極21a,21cとも一方の送電電極12B(図面上側の送電電極12B)と対向し、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対は、いずれの受電電極21b,21dの受電電極21とも他方の送電電極12B(図面下側の送電電極12B)と対向する。
【0082】
これにより、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの間と、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの間とにそれぞれ設けられた第一回路部22aには、同相の電圧が印加されることとなる。
【0083】
よって、第一回路部22aは、接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221にて除去するので、コモンモードノイズ除去回路221の後段に接続された第一回路部22aの整合回路222や第一整流回路23aに対して電力は出力されず、非動作となる。従って、第一回路部22a及び第一整流回路23aからバッテリ30に対して給電が行われることはない。
【0084】
このように、停止中の移動体2に対する給電は、第二回路部22b及び第二整流回路23bが寄与し、第一回路部22a及び第一整流回路23aは寄与しないこととなる。
【0085】
従って、以上説明した非接触給電システム1、送電装置10及び受電装置20は、次のような効果を奏する。
【0086】
(1)走行中の移動体2に対しては、第一送電装置10Aにより電力が送信され、停止中の移動体2に対しては、第二送電装置10Bにより電力が送信される。第一送電装置10Aは、移動体2に対して第一方向Xに延在するように送電電極12Aが敷設され、その送電電極12Aに供給された高周波電力が、移動体2の受電装置20へと送信される。また、第二送電装置10Bは、移動体2に対して第二方向Yに延在するように送電電極12Bが敷設され、その送電電極12Bに供給された高周波電力が、移動体2の受電装置20へと送信される。
【0087】
一方、受電装置20は、第一送電装置10Aの送電電極12A又は第二送電装置10Bの送電電極12Bと対向することで、その対向した送電電極12A又は送電電極12Bとの電界結合により、その送電電極12A又は送電電極12Bより電力を受信する受電電極21が、複数の位置に配設される。
【0088】
そして、受電装置20は、切替制御をすることなく、受電電極21が第一方向Xに延在する第一送電装置10Aの送電電極12Aと対向した場合に、その対向した受電電極21によって受信する電力が、受電装置20によってバッテリ30へ給電され、また、受電電極21が第二方向Yに延在する第二送電装置10Bの送電電極12Bと対向した場合に、その対向した受電電極21によって受信する電力が、受電装置20によってバッテリ30へ給電される。
【0089】
これにより、走行中の移動体2と停止中の移動体2とに対し、それぞれに適する仕様となるように異なる回路構成で第一送電装置10A及び第二送電装置10Bを構成したとしても、切替制御がなされることなく、それぞれに対応した送電装置10から電力を受信できる。よって、移動体2の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができる。
【0090】
(2)第一送電装置10Aの第一方向Xに延在する送電電極12Aは、電圧の位相が異なる2つの送電電極12Aを対として、受電装置20へ電力が送信される。また、第二送電装置10Bの第二方向Yに延在する送電電極12Bも同様に、電圧の位相が異なる2つの送電電極12Bを対として、受電装置20へ電力が送信される。
【0091】
受電装置20では、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)は、第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bの両方と対向せず、第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの対、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの対)は、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aの両方と対向しないように、受電電極21が配設されている。
【0092】
そして、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの間、及び、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの間に設けられた第一回路部22aを介して、受電電極21にて受信した電力がバッテリ30に給電される。
【0093】
また、第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの間、及び、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの間に設けられた第二回路部22bを介して、受電電極21にて受信した電力がバッテリ30に給電される。
【0094】
これにより、移動体2と第一送電装置10Aの送電電極12Aとの位置関係、及び、移動体2と第二送電装置10Bの送電電極12Bとの位置関係によって、受電装置20は、第一方向Xに延在する送電電極12Aの対と対向することでその送電電極12Aより電力を受信する受電電極21の対と、第二方向Yに延在する送電電極12Bの対と対向することでその送電電極12Bの対から電力を受信する受電電極21の対とを、切替制御をすることなく切り替えることができる。
【0095】
また、第一方向Xに延在する送電電極12Aの対より受信した電力は第一回路部22aを介してバッテリ30に給電され、第二方向Yに延在する送電電極12Bの対より受信した電力は第二回路部22bを介してバッテリ30に給電されることとなるので、受信する電力の大きさに応じて、第一回路部22aと第二回路部22bとの回路構成を異ならせることができる。よって、移動体2の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができる。
【0096】
(3)第一回路部22a及び第二回路部22bによって、いずれもコモンモードノイズ除去回路221によってコモンモードノイズの抑制が行われ、整合回路222によってインピーダンス整合が行われる。コモンモードノイズの抑制により、例えば、移動体2が走行中の場合に、第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの対、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの対)が、第一方向Xに延在する送電電極12Aの一方と対向したとしても、その受電電極21の対には同相の電圧が生じることとなるので、その受電電極21の対の間に設けられた第二回路部22bによってその電圧は除去される。よって、第二回路部22bの整合回路222や、第二回路部22bの後段にある第二整流回路23bに対して、第一方向Xに延在する送電電極12Aから受信した電力が出力されることを抑制できるので、これらの回路を第二方向Yに延在する送電電極12Bの対からの電力に合わせて構成できる。
【0097】
また、移動体2が停止中の場合は、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)が、第二方向Yに延在する送電電極12Bの一方と対向したとしても、その受電電極21の対には同相の電圧が生じることとなるので、その受電電極21の対の間に設けられた第一回路部22aによってその電圧は除去される。よって、第一回路部22aの整合回路222や、第一回路部22aの後段にある第一整流回路23aに対して、第二方向Yに延在する送電電極12Bから受信した電力が出力されることを抑制できるので、これらの回路を第一方向Xに延在する送電電極12Aの対からの電力に合わせて構成できる。
【0098】
従って、移動体2の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができる。
【0099】
(4)受電装置20では、移動体2が走行中の場合に第一回路部22aより出力される、第一方向Xに延在する送電電極12Aより受信した電力が、第一整流回路23aにより整流される。また、移動体2が停止中の場合に第二回路部22bより出力される、第二方向Yに延在する送電電極12Bより受信した電力が、第二整流回路23bにより整流される。そして、第一整流回路23aにより整流された電力及び第二整流回路23bにより整流された電力が、バッテリ30に給電される。これにより、第一方向Xに延在する送電電極12Aから受信した電力を整流する場合と、第二方向Yに延在する送電電極12Bから受信した電力を整流する場合とで、それぞれの電力に応じた整流回路23を構成できる。
【0100】
(5)第一送電装置10Aの送電電極12Aは、第一方向Xとして、移動体2の直進方向Fに対して平行な方向に延在するように敷設される。これにより、直進して走行する移動体2に対して、同一の送電電極12Aにて継続的に給電を行うことができる。一方、第二送電装置10Bの送電電極12Bは、第二方向Yとして、移動体2が走行する面と平行な面内であって移動体2の直進方向Fに対して垂直な方向に延在するように敷設される。これにより、横方向(第二方向Y)に一列に並んで停止された複数の移動体2に対して、同一の送電電極12Bで給電を行うことができる。また、移動体2の停止位置が横にずれたとしても、送電電極12Bからの給電を確実に行えるので、移動体2の停車位置の精度を下げることができる。このように、移動体2の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができる。
【0101】
(第二実施形態)
次いで、
図5を参照して、本発明の第二実施形態に係る非接触給電システム1について、第一実施形態に係る非接触給電システム1と相違する点を中心に説明する。以下の説明において、第一実施形態に係る非接触給電システム1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0102】
図5(a)は、第二実施形態に係る非接触給電システム1の受電装置20の概略構成と、走行中の移動体2に対して給電を行う場合の受電装置20の動作状況を模式的に示した図であり、
図5(b)は、停止中の移動体2に対して給電を行う場合の受電装置20の動作状況を模式的に示した図である。
【0103】
第二実施形態に係る非接触給電システム1の受電装置20は、第一実施形態に係る非接触給電システム1の受電装置20に設けられていた左前方の受電電極21a及び右前方の受電電極21cを有していない代わりに、移動体2の前方中央に受電電極21eが設けられている。
【0104】
そして、移動体2が走行中の場合は、
図5(a)に示す通り、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21bが、第一方向Xに延在して対をなす第一送電装置10Aの送電電極12Aの一方(図面左側の送電電極12A)と対向し、対をなす他方の受電電極21dが、もう一方の送電電極12A(図面右側の送電電極12A)と対向する。
【0105】
移動体2が停止中の場合は、
図5(b)に示す通り、前方中央にある受電電極21eと左後方にある受電電極21bとが対となり、また、前方中央にある受電電極21eと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21eが、第二方向Yに延在して対をなす第二送電装置10Bの送電電極12Bの一方(図面上側の送電電極12B)と対向し、対をなす他方の受電電極21b,21dが、もう一方の送電電極12B(図面下側の送電電極12B)と対向する。
【0106】
そして、
図5(a)及び(b)に示す通り、第一送電装置10Aの第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)は、第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bの一方(図面下側の送電電極12B)とは対向するものの、両方の送電電極12Bとは対向しないように、受電電極21は配設される。
【0107】
また、第二送電装置10Bの第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(前方中央にある受電電極21eと左後方にある受電電極21bとの対、前方中央にある受電電極21eと右後方にある受電電極21dとの対)は、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aの両方と対向しないように、受電電極21が配設される。
【0108】
受電装置20は、第一送電装置10Aの対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対の間に、回路部22として第一回路部22aが設けられ、更に第一回路部22aの後段に整流回路23として第一整流回路23aが接続される。そして、第一整流回路23aの後段にバッテリ30が接続される。
【0109】
また、受電装置20は、第二送電装置10Bの対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な前方中央にある受電電極21eと左後方にある受電電極21bとの対、及び、前方中央にある受電電極21eと右後方にある受電電極21dとの対の間に、それぞれ回路部22として第二回路部22bが設けられ、更に第二回路部22bの後段に整流回路23として第二整流回路23bが接続される。そして、第二整流回路23bの後段にバッテリ30が接続される。
【0110】
次いで、以上のように構成された第二実施形態に係る非接触給電システム1の動作について説明する。
【0111】
まず、走行中の移動体2への給電について説明する。走行中の移動体2への電力の送信は第一送電装置10Aでは、対をなす2つの送電電極12Aがそれぞれ、
図5(a)に示す通り、移動体2の直進方向Fと平行な第一方向Xに延在している。
【0112】
そして、移動体2が第一送電装置10Aの送電電極12A上を走行すると、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21bが送電電極12Aの一方(図面左側の送電電極12A)と対向し、対をなす他方の受電電極21dが送電電極12Aの他方(図面右側の送電電極12A)と対向する。
【0113】
対をなす2つの送電電極12Aに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が印加されると、これらの送電電極12Aと対向する受電電極21b,21dの対にも、電界結合によって、それぞれ異なる位相の電圧(逆位相の電圧が2つの送電電極12Aに印加される場合は、逆位相の電圧)が発生する。これにより、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの間とに設けられた第一回路部22aには、差動電圧が印加されることとなる。
【0114】
よって、第一回路部22aは、接続された2つの受電電極21b,21dにて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される第一整流回路23aへ出力する。そして、第一回路部22aより出力された電力は、第一整流回路23aにより直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0115】
なお、移動体2が走行中の場合、
図5(a)に示す通り、前方中央にある受電電極21eは、送電電極12Aと対向しないため電位が不定となる。よって、前方中央にある受電電極21eと左後方にある受電電極21bとの間に設けられた第二回路部22bと、前方中央にある受電電極21eと右後方にある受電電極21dとの間に設けられた第二回路部22bとは、接続されたそれぞれの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221にて除去できず、わずかに出力する。
【0116】
しかしながら、その電力は無視できる程度であり、第二回路部22bが、移動体2が走行中の場合に受信する電力を加味した仕様で構成される必要はない。そして、第二回路部22bよりも第一回路部22aが正常に動作するので、移動体2が走行中の場合は、第一回路部22aから出力される電力が支配的となって、バッテリ30に給電されることとなる。
【0117】
このように、走行中の移動体2に対する給電は、第一回路部22a及び第一整流回路23aが寄与し、第二回路部22b及び第二整流回路23bは寄与しない。
【0118】
次いで、停止中の移動体2への給電について説明する。停止中の移動体2への電力の送信は第二送電装置10Bでは、対をなす2つの送電電極12Bがそれぞれ、
図5(b)に示す通り、移動体2が走行する走行路3の面と平行な面内であって、移動体2の直進方向Fに対して垂直な方向である第二方向Yに延在している。
【0119】
移動体2が第二送電装置10Bの送電電極12B上に停車すると、前方中央にある受電電極21eと左後方にある受電電極21bとが対となり、また、前方中央にある受電電極21eと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21eが、送電電極12Bの一方(図面上側の送電電極12B)と対向し、対をなす他方の受電電極21b,21dが、送電電極12Bの他方(図面下側の送電電極12B)と対向する。
【0120】
対をなす2つの送電電極12Bに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が印加されると、これらの送電電極12Bと対向する受電電極21の対にも、電界結合によって、それぞれ異なる位相の電圧(逆位相の電圧が2つの送電電極12Bに印加される場合は、逆位相の電圧)が発生する。これにより、前方中央にある受電電極21eと左後方にある受電電極21bとの間、及び、前方中央にある受電電極21eと右後方にある受電電極21dとの間にそれぞれ設けられた第二回路部22bには、差動電圧が印加されることとなる。
【0121】
よって、第二回路部22bは、接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される第二整流回路23bへ出力される。そして、第二回路部22bより出力された電力は、第二整流回路23bにより直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0122】
一方、移動体2が第二送電装置10Bの送電電極12B上に停止すると、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対は、いずれの受電電極21b,21dの受電電極21とも送電電極12Bの一方(図面下側の送電電極12B)と対向する。これにより、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの間に設けられた第一回路部22aには、同相の電圧が印加されることとなる。
【0123】
よって、第一回路部22aは、接続された2つの受電電極21b、21dにて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221にて除去するので、コモンモードノイズ除去回路221の後段に接続された第一回路部22aの整合回路222や第一整流回路23aに対して電力は出力されず、非動作となる。従って、第一回路部22a及び第一整流回路23aからバッテリ30に対して給電が行われることはない。
【0124】
このように、停止中の移動体2に対する給電は、第二回路部22b及び第二整流回路23bが寄与し、第一回路部22a及び第一整流回路23aは寄与しないこととなる。
【0125】
従って、以上説明した第二実施形態に係る非接触給電システム1、送電装置10及び受電装置20も、第一実施形態と同様な効果を奏することができる。即ち、第一実施形態に係る非接触給電システム1と同様に、走行中の移動体2と停止中の移動体2とに対し、それぞれに適する仕様となるように異なる回路構成で第一送電装置10A及び第二送電装置10Bを構成したとしても、切替制御がなされることなく、それぞれに対応した送電装置10から電力を受信できる。
【0126】
また、移動体2と第一送電装置10Aの送電電極12Aとの位置関係、及び、移動体2と第二送電装置10Bの送電電極12Bとの位置関係によって、受電装置20は、第一方向Xに延在する送電電極12Aの対と対向することでその送電電極12Aより電力を受信する受電電極21の対と、第二方向Yに延在する送電電極12Bの対と対向することでその送電電極12Bの対から電力を受信する受電電極21の対とを、切替制御をすることなく切り替えることができる。
【0127】
よって、移動体2の走行中と停止中とのそれぞれで適した給電を行うことができる。
【0128】
その他、第二実施形態に係る非接触給電システム1、送電装置10及び受電装置20は、第一実施形態と同様に構成によって、その構成によって奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0129】
(第三実施形態)
次いで、
図6を参照して、本発明の第三実施形態に係る非接触給電システム1について、第一及び第二実施形態に係る非接触給電システム1と相違する点を中心に説明する。以下の説明において、第一及び第二実施形態に係る非接触給電システム1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
図6(a)は、第三実施形態に係る非接触給電システム1の受電装置20の概略構成と、走行中の移動体2に対して給電を行う場合の受電装置20の動作状況を模式的に示した図であり、
図6(b)は、停止中の移動体2に対して給電を行う場合の受電装置20の動作状況を模式的に示した図である。
【0131】
第三実施形態に係る非接触給電システム1の受電装置20は、第一実施形態に係る非接触給電システム1の受電装置20に設けられていた左後方の受電電極21b及び右前方の受電電極21cを有しておらず、左前方の受電電極21a及び右後方の受電電極21dのみで受電電極21を構成する。
【0132】
そして、第三実施形態に係る受電装置20は、第一及び第二実施形態と次の点で大きく異なる。
【0133】
例えば第一実施形態では、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)が、第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bの両方と対向せず、第二方向Yに延在する対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの対、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの対)は、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aの両方と対向しないように、受電電極21が配設されている。
【0134】
これに対し、第三実施形態では、左前方にある受電電極21aと右後方にある受電電極21dとの対が、第一方向Xに延在する送電電極12Aの対、及び、第二方向Yに延在する送電電極12Bの対のいずれにも対向可能に配設される。
【0135】
また、第一及び第二実施形態に係る受電装置20は、回路部22及び整流回路23として、移動体2が走行中に第一送電装置10Aより受信した電力を処理する第一回路部22a及び第一整流回路23aと、移動体2が停止中に第二送電装置10Bより受信した電力を処理する第二回路部22b及び第二整流回路23bと、を用意し、それぞれの電力の大きさに応じた回路構成としている。
【0136】
これに対し、第三実施形態に係る受電装置20は、第一送電装置10Aより受信した電力及び第二送電装置10Bより受信した電力のいずれも処理可能な回路を持つ回路部22を、左前方にある受電電極21aと右後方にある受電電極21dとの間に1つ設け、その回路部22から出力される電力を直流に整流してバッテリ30へ給電する整流回路23を1つ設けている。回路部22に概略構成は、
図3(b)に示すものと同様に、コモンモードノイズ除去回路221と整合回路222を有する。
【0137】
受電装置20において、回路部22及び整流回路23が、第一送電装置10Aより受信可能な電力と第二送電装置10Bより受信可能な電力とで同一の回路を用いることができる場合は、第三実施形態のような態様で受電装置20を構成することも可能である。
【0138】
次いで、以上のように構成された第三実施形態に係る非接触給電システム1の動作について説明する。
【0139】
まず、走行中の移動体2への給電について説明する。移動体2が第一送電装置10Aの送電電極12A上を走行すると、左前方にある受電電極21aと右後方にある受電電極21dとが対となり、左前方にある受電電極21aが、第一方向Xに延在する送電電極12Aの一方(図面左側の送電電極12A)と対向し、右後方の受電電極21dが送電電極12Aの他方(図面右側の送電電極12A)と対向する。
【0140】
対をなす2つの送電電極12Aに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が印加されると、これらの送電電極12Aと対向する受電電極21a,21dの対にも、電界結合によって、それぞれ異なる位相の電圧(逆位相の電圧が2つの送電電極12Aに印加される場合は、逆位相の電圧)が発生する。これにより、左前方にある受電電極21aと右後方にある受電電極21dとの間に設けられた回路部22には、差動電圧が印加されることとなる。
【0141】
よって、回路部22は、接続された2つの受電電極21a,21dにて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される整流回路23へ出力する。そして、第一送電装置10Aより受信して回路部22より出力された電力は、整流回路23により直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0142】
次いで、停止中の移動体2への給電について説明する。移動体2が第二送電装置10Bの送電電極12B上に停車すると、走行中の場合と同様に左前方にある受電電極21aと右後方にある受電電極21dとが対となる。そして、左前方にある受電電極21aは、第二方向Yに延在する送電電極12Bの一方(図面上側の送電電極12B)と対向し、右後方の受電電極21dが送電電極12Bの他方(図面下側の送電電極12B)と対向する。
【0143】
対をなす2つの送電電極12Bに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が印加されると、これらの送電電極12Bと対向する受電電極21a,21dの対にも、電界結合によって、それぞれ異なる位相の電圧(逆位相の電圧が2つの送電電極12Bに印加される場合は、逆位相の電圧)が発生する。これにより、左前方にある受電電極21aと右後方にある受電電極21dとの間に設けられた回路部22には、差動電圧が印加されることとなる。
【0144】
よって、回路部22は、接続された2つの受電電極21a,21dにて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される整流回路23へ出力する。そして、第二送電装置10Bより受信して回路部22より出力された電力は、整流回路23により直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0145】
従って、以上説明した第三実施形態に係る非接触給電システム1、送電装置10及び受電装置20は、第一実施形態にて説明した(1)と同様の効果を奏する他、次のような効果を奏する。
【0146】
(6)第一送電装置10Aは、第一方向Xに延在し、電圧の位相が異なる2つの送電電極12Aを対として、受電装置20へ電力が送信される。また、第二送電装置10Bは、第二方向Yに延在し、電圧の位相が異なる2つの送電電極12Bを対として、受電装置20へ電力が送信される。
【0147】
一方、受電装置20では、受電電極21a,21dの間に設けられた回路部22を介して、受電電極21a,21dにて受信した電力がバッテリ30へ給電される。これにより、走行中の移動体2と停止中の移動体2とに対し、それぞれに適する仕様となるように異なる回路構成で第一送電装置10A及び第二送電装置10Bが構成されたとしても、回路部22と接続された受電電極21a,21dが第一方向Xに延在する送電電極12Aと対向すれば、その送電電極12Aより受信した電力をバッテリ30に給電でき、受電電極21a,21dが第二方向Yに延在する送電電極12Bと対向すれば、その送電電極12Bより受信した電力をバッテリ30に給電できる。よって、切替制御がなされることなく、それぞれに対応した第一送電装置10A及び第二送電装置10Bから電力を受信できる。
【0148】
(7)受電装置20では、受電電極21a,21dが、第一方向Xに延在する送電電極12Aより受信した電力と、第二方向Yに延在する送電電極12Bより受信した電力とのいずれも、同一の整流回路23にて整流されて、バッテリ30に給電される。このように、第一方向Xに延在する送電電極12Aより受信した電力を整流する整流回路23と、第二方向Yに延在する送電電極12Bより受信した電力を整流する整流回路23とを、同一の回路構成とすることが可能な場合は、これらの整流を一つの整流回路23で行わせるようにすることで、受電装置20の構成が単純化できる。
【0149】
その他、第三実施形態に係る非接触給電システム1、送電装置10及び受電装置20は、第一又は第二実施形態と同様に構成によって、その構成に対応する同様の効果を奏することができる。
【0150】
なお、この第三実施形態では、回路部22がコモンモードノイズ除去回路221を有する場合について説明したが、移動体2が走行中の場合(
図6(a)の場合)も停止中の場合(
図6(b)の場合)も、回路部22には差動電圧が印加されることになるので、回路部22からコモンモードノイズ除去回路221を省略することも可能である。即ち、第三実施形態において、回路部22にコモンモードノイズ除去回路221がなくても、切替制御がなされることなく、走行中の場合は第一送電装置10Aから移動体2へ電力を送受信し、停止中の場合は第二送電装置10Bから移動体2へ電力を送受信できる。
【0151】
ただし、回路部22にコモンモードノイズ除去回路221が含まれていても、上述した通り、切替制御がなされることなく、走行中の場合は第一送電装置10Aから移動体2へ電力を送受信し、停止中の場合は第二送電装置10Bから移動体2へ電力を送受信できる。回路部22にコモンモードノイズ除去回路221を含める利点としては、回路部22の共通化がある。
【0152】
例えば、第三実施形態に係る受電装置20のほかに、第一、第二、第四又は第五実施形態に係る受電装置20も存在するような場合、コモンモードノイズ除去回路221及び整合回路222等が一体的にモジュール化された回路部22が製造され得る。そのモジュール化された回路部22を第三実施形態に係る受電装置20にも用いることで、製造原価を下げることも可能となる。
【0153】
(第四実施形態)
次いで、
図7及び
図8を参照して、本発明の第四実施形態に係る非接触給電システム1について、第一実施形態に係る非接触給電システム1と相違する点を中心に説明する。以下の説明において、第一~第三実施形態に係る非接触給電システム1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0154】
図7(a)は、第四実施形態に係る第二送電装置10Bの送電電極12Bの敷設形態を模式的に示した模式図であり、
図7(b)は、第四実施形態に係る非接触給電システム1の大型車用受電装置20Bの概略構成と、走行中の大型車2Bに対して給電を行う場合の大型車用受電装置20Bの動作状況を模式的に示した図である。また、
図8は、停止中の大型車2Bに対して給電を行う場合の大型車用受電装置20Bの動作状況を模式的に示した図である。
【0155】
ここで、
図7(a)に示す普通車2Aと大型車2Bとは、それぞれ移動体2の一種である。普通車2Aが本発明の一の移動体に該当し、大型車2Bは本発明の別の移動体に該当する。なお、道路交通法にて、普通自動車・大型自動車等が規定されているが、ここで言う普通車2A・大型車2Bは、その法律の規定に縛られるものではなく、単にその大きさを区別したものである。ただし、大型車2Bは、普通車2Aよりも車長や車両総重量等が大きく、移動するために必要な電力も大きいことを特徴とする。
【0156】
第四実施形態に係る非接触給電システム1が第一~第三実施形態に係る非接触給電システム1と相違する点は、第二送電装置10Bの構成が異なる点と、大型車2Bに設けられた受電装置20が大型車用受電装置20Bである点である。第一送電装置10Aと、普通車2Aに設けられた受電装置20は、第一~第三実施形態のいずれかと同一のものが用いられる。
【0157】
第四実施形態に係る第二送電装置10Bは、
図7(a)に示す通り、第二方向Yに延在する送電電極12Bとして、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2と第三送電電極12B3との3つが平行に設けられている。
【0158】
第二送電電極12B2は、第一送電電極12B1と第三送電電極12B3との中間に位置し、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2との組を第一の対として、それぞれに異なる位相の電圧(例えば、逆印相の電圧)が高周波電源11(図示せず)より供給される。また、第一の対とは別の組である第二送電電極12B2と第三送電電極12B3との組を第二の対として、それぞれに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が高周波電源11より供給される。
【0159】
なお、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2と第三送電電極12B3とには、120°(2π/3)位相の異なる三相交流電圧が、高周波電源11より印加されてもよい。
【0160】
普通車2Aは、上述した通り、第一~第三実施形態のいずれかに係る受電装置20を有している。そして、普通車2Aは、
図7(a)に示すように送電電極12Bの第一の対(第一送電電極12B1及び第二送電電極12B2)上に停止するか、又は、図示はしていないが送電電極12Bの第二の対(第二送電電極12B2及び第三送電電極12B3)上に停止することで、第一の対又は第二の対に供給された電力を受電電極21が受信し、受信した電力を普通車2Aに設けられたバッテリ30に給電する。
【0161】
一方、大型車2Bは、第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3の3つにまたがって停止し、これら第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3の3つから電力を受信する。
【0162】
具体的には、大型車2Bは、普通車2Aの受電装置20とは異なる構成を持つ、大型車用受電装置20Bを有している。この大型車用受電装置20Bは、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2との第一の対から電力を受信すると共に、第二送電電極12B2と第三送電電極12B3との第二の対からも電力を受信し、第一の対から受信した電力と第二の対から受信した電力とを合成してバッテリ30へ給電するように構成されている。
【0163】
ここで、
図7(b)及び
図8を参照して、大型車用受電装置20Bの構成について説明する。
【0164】
大型車用受電装置20Bには、受電電極21として、大型車2Bの左前方に配設された受電電極21aと、左後方に配設された受電電極21bと、右前方に配設された受電電極21cと、右後方に配設された受電電極21dとに加え、左中央に配設された受電電極21fと、右中央に配設された受電電極21gとの計6つの受電電極21を有する。
【0165】
大型車2Bが走行中の場合は、
図7(b)に示す通り、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとが対となり、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとが対となり、また、左中央にある受電電極21fと右中央にある受電電極21gとが対となって、対をなす一方の受電電極21a,21b,21fが、それぞれ第一方向Xに延在して対をなす第一送電装置10Aの送電電極12Aの一方(図面左側の送電電極12A)と対向し、対をなす他方の受電電極21c,21d,21gが、もう一方の送電電極12A(図面右側の送電電極12A)と対向する。
【0166】
大型車2Bが停止中の場合は、
図8に示す通り、まず、左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとが対となり、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとが対となって、対をなす一方の受電電極21a,21cが、第二送電装置10Bの第一の対の一方である第一送電電極12B1と対向し、対をなす他方の受電電極21f,21gが、その第一の対の他方である第二送電電極12B2と対向する。
【0167】
また、左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとが対となり、右中央にある受電電極21gと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21f,21gが、第二送電装置10Bの第二の対の一方である第二送電電極12B2と対向し、対をなす他方の受電電極21b,21dが、その第二の対の他方である第三送電電極12B3と対向する。
【0168】
そして、
図7(b)及び
図8に示す通り、第一送電装置10Aの第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対、左中央にある受電電極21fと右中央にある受電電極21gとの対、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)は、第二方向Yに延在する第一の対又は第二の対をなす送電電極12Bのいずれか一方とは対向するものの、第一の対又は第二の対をなす両方の送電電極12Bとは対向しないように、受電電極21は配設される。
【0169】
また、第二送電装置10Bの第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3に対して、6つの受電電極21のうち、左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとの対、及び、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとの対が、第一の対を構成する第一送電電極12B1及び第二送電電極12B2の両方に同時に対向し、左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとの対、及び、右中央にある受電電極21gと右後方にある受電電極21dとの対が、第二の対を構成する第二送電電極12B2及び第三送電電極12B3の両方に同時に対向するように配設されている。
【0170】
そして、第二方向Yに延伸する第一の対又は第二の対をなす送電電極12Bのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとの対、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとの対、左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとの対、右中央にある受電電極21gと右後方にある受電電極21dとの対)は、第一方向Xに延在する対をなす送電電極12Aのいずれか一方とは対向するものの、両方の送電電極12Aとは対向しないように、受電電極21が配設される。
【0171】
大型車用受電装置20Bは、第一送電装置10Aの対をなす送電電極12Aのそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対、左中央にある受電電極21fと右中央にある受電電極21gとの対、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対)の間に、回路部22として第一回路部22aが設けられ、更に第一回路部22aの後段に整流回路23として第一整流回路23aが接続される。そして、第一整流回路23aの後段にバッテリ30が接続される。
【0172】
また、受電装置20は、第二送電装置10Bの第一の対をなす第一送電電極12B1及び第二送電電極12B2のそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとの対、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとの対)の間に、回路部22としての第二回路部22bとして第一の対用回路部22b1が設けられ、更に第一の対用回路部22b1の後段に整流回路23として第二整流回路23bが接続される。
【0173】
また、受電装置20は、第二送電装置10Bの第二の対をなす第二送電電極12B2及び第三送電電極12B3のそれぞれと対向可能な受電電極21の対(左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとの対、右中央にある受電電極21gと右後方にある受電電極21dとの対)の間に、回路部22としての第二回路部22bとして第二の対用回路部22b2が設けられ、更に第二の対用回路部22b2の後段に整流回路23として第二整流回路23bが接続される。
【0174】
なお、第一の対用回路部22b1及び第二の対用回路部22b2はいずれも、第一回路部22aと同様に、
図3(b)に示すコモンモードノイズ除去回路221と整合回路222とを有する。また、第一の対用回路部22b1の後段に接続された第二整流回路23bの後段と、第二の対用回路部22b2の後段に接続された第二整流回路23bの後段とには、バッテリ30が接続される。
【0175】
次いで、以上のように構成された大型車用受電装置20Bの動作について説明する。
【0176】
まず、走行中の大型車2Bへ給電する場合について説明する。大型車2Bが第一送電装置10Aの送電電極12A上を走行すると、
図7(b)に示す通り、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとが対となり、左中央にある受電電極21fと右中央にある受電電極21gとが対となり、また、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21a,21b,21fが、送電電極12Aの一方(図面左側の送電電極12A)と対向し、対をなす他方の受電電極21c,21d,21gが、送電電極12Aの他方(図面右側の送電電極12A)と対向する。
【0177】
対をなす2つの送電電極12Aに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が印加されると、これらの送電電極12Aと対向する受電電極21の対にも、電界結合によって、それぞれ異なる位相の電圧(逆位相の電圧が2つの送電電極12Aに印加される場合は、逆位相の電圧)が発生する。これにより、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの間と、左中央にある受電電極21fと右中央にある受電電極21gとの間と、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの間とにそれぞれ設けられた第一回路部22aには、差動電圧が印加されることとなる。
【0178】
よって、第一回路部22aは、接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される第一整流回路23aに出力する。そして、第一回路部22aより出力された電力は、第一整流回路23aにより直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0179】
一方、大型車2Bが第一送電装置10Aの送電電極12A上を走行すると、左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとの対、及び、左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとの対は、いずれの受電電極21a,21b,21fも一方の送電電極12A(図面左側の送電電極12)と対向する。また、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとの対、及び、右中央にある受電電極21gとの対と右後方にある受電電極21dとの対は、いずれの受電電極21c,21d,21gも他方の送電電極12A(図面右側の送電電極12)と対向する。
【0180】
これにより、左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとの間と、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとの間とにそれぞれ設けられた第一の対用回路部22b1には、同相の電圧が印加されることとなる。また、左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとの間と、右中央にある受電電極21gと右後方にある受電電極21dとの間とにそれぞれ設けられた第二の対用回路部22b2にも、同相の電圧が印加されることとなる。
【0181】
よって、第一の対用回路部22b1は、接続された2つの受電電極21aと受電電極21f、又は、受電電極21cと受電電極21gにて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221にて除去する。また、第二の対用回路部22b2は、接続された2つの受電電極21fと受電電極21b、又は、受電電極21gと受電電極21dにて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221にて除去する。
【0182】
従って、コモンモードノイズ除去回路221の後段に接続された第一の対用回路部22b1及び第二の対用回路部22b2の整合回路222や第二整流回路23bに対して電力は出力されず、非動作となる。従って、第一の対用回路部22b1、第二の対用回路部22b2及び第二整流回路23bからバッテリ30に対して給電が行われることはない。
【0183】
このように、走行中の大型車2Bに対する給電は、第一回路部22a及び第一整流回路23aが寄与し、第一の対用回路部22b1、第二の対用回路部22b2及び第二整流回路23bは寄与しない。
【0184】
次いで、停止中の大型車2Bへの給電について説明する。大型車2Bが第二送電装置10Bの送電電極12B上に停車すると、左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとが対となり、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとが対となって、対をなす一方の受電電極21a,21cが、第一の対をなす第一送電電極12B1と対向し、対をなす他方の受電電極21f,21gが、第一の対をなす第二送電電極12B2と対向する。
【0185】
また、左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとが対となり、右中央にある受電電極21gと右後方にある受電電極21dとが対となって、対をなす一方の受電電極21f,21gが、第二の対をなす第二送電電極12B2と対向し、対をなす他方の受電電極21b,21dが、第二の対をなす第三送電電極12B3と対向する。
【0186】
第一の対をなす第一送電電極12B1と第二送電電極12B2とに異なる位相の電圧(例えば、逆位相の電圧)が印加されると、左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとの対と、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとの対にも、電界結合によって、それぞれ異なる位相の電圧(逆位相の電圧が第一送電電極12B1と第二送電電極12B2とに印加される場合は、逆位相の電圧)が発生する。これにより、第一の対用回路部22b1には、差動電圧が印加されることとなる。
【0187】
また、第二の対をなす第二送電電極12B2と第三送電電極12B3とに異なる位相の電圧が印加されると、第一の対をなす第一送電電極12B1と第二送電電極12B2とに異なる位相の電圧が印加される場合と同様にして、第二の対用回路部22b2にも差動電圧が印加される。
【0188】
よって、第一の対用回路部22b1及び第二の対用回路部22b2は、それぞれ接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される第二整流回路23bに出力される。そして、第一の対用回路部22b1及び第二の対用回路部22b2より出力された電力は、第二整流回路23bにより直流に整流された後、合成されて、バッテリ30に給電される。
【0189】
一方、大型車2Bが第二送電装置10Bの送電電極12B上に停止すると、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの対は、いずれの受電電極21a,21cも第一送電電極12B1と対向し、左中央にある受電電極21fと右中央にある受電電極21gとの対は、いずれの受電電極21f,21gも第二送電電極12B2と対向し、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの対は、いずれの受電電極21b,21dも第三送電電極12B3と対向する。
【0190】
これにより、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの間、左中央にある受電電極21fと右中央にある受電電極21gとの間、及び、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの間にそれぞれ設けられた第一回路部22aには、同相の電圧が印加されることとなる。
【0191】
よって、第一回路部22aは、接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221にて除去するので、コモンモードノイズ除去回路221の後段に接続された第一回路部22aの整合回路222や第一整流回路23aに対して電力は出力されず、非動作となる。従って、第一回路部22a及び第一整流回路23aからバッテリ30に対して給電が行われることはない。
【0192】
このように、停止中の大型車2Bに対する給電は、第一の対用回路部22b1、第二の対用回路部22b2及び第二整流回路23bが寄与し、第一回路部22a及び第一整流回路23aは寄与しないこととなる。
【0193】
従って、以上説明した第四実施形態に係る非接触給電システム1、送電装置10及び受電装置20は、第一実施形態にて説明した(1)、(2)と同様の効果を奏する他、次のような効果を奏する。
【0194】
(8)第二送電装置10Bは、送電電極12Bが第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3の3つ設けられている。そして、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2との組を第一の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて受電電極21へ電力が送信される。また、第二送電電極12B2と第三送電電極12B3の組を第二の対として、それぞれに異なる位相の電圧が供給されて受電電極21へ電力が送信される。
【0195】
一方、大型車2Bに設けられた大型車用受電装置20Bは、6つの受電電極21が設けられており、第二送電装置10Bの第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3に対して、左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとの対、及び、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとの対が、第一の対を構成する第一送電電極12B1及び第二送電電極12B2の両方に同時に対向し、左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとの対、及び、右中央にある受電電極21gと右後方にある受電電極21dとの対が、第二の対を構成する第二送電電極12B2及び第三送電電極12B3の両方に同時に対向するように配設されている。
【0196】
そして、第一送電電極12B1及び第二送電電極12B2の第一の対と対向可能な左前方にある受電電極21aと左中央にある受電電極21fとの間、及び、右前方にある受電電極21cと右中央にある受電電極21gとの対の間に設けられた第一の対用回路部22b1を介して出力される電力と、第二送電電極12B2及び第三送電電極12B3の第二の対と対向可能な左中央にある受電電極21fと左後方にある受電電極21bとの間、及び、右中央にある受電電極21gと右後方にある受電電極21dとの間に設けられた第二の対用回路部22b2を介して出力される電力とが合成されて、バッテリ30に給電される。これにより、バッテリ30に給電するために大型車用受電装置20Bによって受電する電力を増加させることができる。
【0197】
その他、第四実施形態に係る非接触給電システム1、送電装置10及び受電装置20は、第一~第三実施形態と同様に構成によって、その構成に対応する同様の効果を奏することができる。
【0198】
(第五実施形態)
次いで、本発明の第五実施形態に係る非接触給電システム1について、第四実施形態に係る非接触給電システム1と相違する点を中心に説明する。以下の説明において、第一~第四実施形態に係る非接触給電システム1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0199】
第五実施形態に係る非接触給電システム1において、第二送電装置10Bの構成は第四実施形態に係る非接触給電システム1と同一である。ただし、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2と第三送電電極12B3とには、それぞれで異なる位相の電圧(例えば、120°(2π/3)移動の異なる三相交流電圧)が、高周波電源11より印加される。
【0200】
また、第四実施形態において、停止中の大型車2Bは、第二送電装置10Bの第一送電電極12B1及び第二送電電極12B2を第一の対とし、第二送電電極12B2及び第三送電電極12B3を第二の対として、第一の対と第二の対とから電力を受信した。これに対し、第五実施形態において、停止中の大型車2Bは、第一送電電極12B1及び第三送電電極12B3を対として電力を受信する。
【0201】
第五実施形態に大型車2Bの大型車用受電装置20Bは、第一実施形態に係る受電装置20(
図3(a)参照)と同一の構成を取る。ただし、大型車2Bが停止中の場合、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとは、第二送電装置10Bの第一送電電極12B1と対向し、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとは、第三送電電極12B3と対向する。
【0202】
これにより、左前方にある受電電極21aと左後方にある受電電極21bとの間と、右前方にある受電電極21cと右後方にある受電電極21dとの間とにそれぞれ設けられた第二回路部22bには、差動電圧が印加されることとなる。
【0203】
よって、第二回路部22bは、接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221で除去することなく、整合回路222を介して後段に接続される第二整流回路23bに出力される。そして、第二回路部22bより出力された電力は、第二整流回路23bにより直流に整流された後、バッテリ30に給電される。
【0204】
また、左前方にある受電電極21aと右前方にある受電電極21cとの間と、左後方にある受電電極21bと右後方にある受電電極21dとの間とにそれぞれ設けられた第一回路部22aには、同相の電圧が印加されることとなる。
【0205】
よって、第一回路部22aは、接続された2つの受電電極21にて受信した電力を、コモンモードノイズ除去回路221にて除去するので、コモンモードノイズ除去回路221の後段に接続された第一回路部22aの整合回路222や第一整流回路23aに対して電力は出力されず、非動作となる。従って、第一回路部22a及び第一整流回路23aからバッテリ30に対して給電が行われることはない。
【0206】
このように、停止中の大型車2Bに対する給電は、第二回路部22b及び第二整流回路23bが寄与し、第一回路部22a及び第一整流回路23aは寄与しないこととなる。
【0207】
従って、以上説明した第五実施形態に非接触給電システム1、送電装置10及び受電装置20は、第一実施形態にて説明した(1)~(5)と同様の効果を奏する他、次のような効果を奏する。
【0208】
(9)第二送電装置10Bは、停止中の移動体2のうち、普通車2Aへの電力の送信は、第一送電電極12B1及び第二送電電極12B2、又は、第二送電電極12B2及び第三送電電極12B3によって行われ、大型車2Bへの電力の送信は、第一送電電極12B1及び第三送電電極12B3によって行われる。これにより、普通車2Aへの送電と、大型車2Bへの送電とで、使用される送電電極12Bを分散することができるので、それぞれの送電電極12Bに必要となる電流を小さく抑えることができる。よって、各送電電極12Bに生じる電界/磁界の強度を小さくできるので、安全規格を満たしやすくできる。また、それぞれの送電電極12Bに必要となる電流を小さく抑えることで、第二送電装置10Bに求められる仕様を緩和でき、設計に対するハードルを下げることができる。
【0209】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0210】
例えば、以下に説明する変形例を含む各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0211】
上記各実施形態では、第一送電装置10Aの送電電極12Aの敷設方向である第一方向Xが、移動体2の直進方向Fに対して平行な方向であり、第二送電装置10Bの送電電極12Bの敷設方向である第二方向Yが、移動体2の走行する走行路3の面と平行な面内であって移動体2の直進方向Fに対して垂直な方向である場合について説明したが、必ずしもそれに限られるものではない。第一送電装置10Aの送電電極12Aの敷設方向である第一方向Xと、第二送電装置10Bの送電電極12Bの敷設方向である第二方向Yとが、異なる方向であれば、第一方向Xと第二方向Yとの方向は任意の方向であってよい。
【0212】
上記各実施形態では、走行中の移動体2に対して第一送電装置10Aより電力を送信し、停止中の移動体2に対して第二送電装置10Bより電力を送信する場合について説明したが、非接触給電システム1は、走行中の移動体2に対して電力を送信する送電装置10として第一送電装置10Aを含んでいれば、その他の方向に延在するように敷設された送電電極12を有する別の送電装置10によっても走行中の移動体2に対する電力の送信が行われてもよい。また、非接触給電システム1は、停止中の移動体2に対して電力を送信する送電装置10として第二送電装置10Bを含んでいれば、その他の方向に延在するように敷設された送電電極12を有する別の送電装置10によっても停止中の移動体2に対する電力の送信が行われてもよい。
【0213】
第四及び第五実施形態では、第二送電装置10Bとして第二方向Yに延在する3つの送電電極12B(第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3)を有する場合について説明したが、3つ以上の送電電極12Bを有するものであってもよい。
【0214】
例えば、第二方向Yに延在する送電電極12Bとして、第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3に加えて第四送電電極の4つが第二送電装置10Bに設けられている場合、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2とを第一の対とし、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2とを第一の対とし、第二送電電極12B2と第三送電電極12B3とを第二の対とし、第三送電電極12B3と第四送電電極とを第三の対として、それぞれの対において、一方の送電電極12Bと他方の送電電極12Bとに異なる位相の電圧を印加し、普通車2Aは、第一~第三の対のいずれかの一つの対から電力を受信してバッテリ30に給電し、大型車2Bは、第一~第三の対のいずれの対からも電力を受信して、合成した電力をバッテリ30に給電し、普通車2Aと大型車2Bとの中間にあたる中型車は、第一及び第二の対、又は、第二及び第三の対から電力を受信して、合成した電力をバッテリ30に給電するように、それぞれの移動体2の受電装置20を構成してもよい。これにより、中型車は普通車2Aよりも多くの電力をバッテリ30へ給電でき、大型車2Bは、中型車よりも多くの電力をバッテリ30へ給電できるので、それぞれの移動体2の種類に応じて適切な電力を給電できる。
【0215】
また、第二送電装置10Bに上記4つの送電電極12B(第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3、第四送電電極)が設けられる場合、各々の送電電極12に異なる位相の電圧(例えば、90°(π/2)ずつ位相の異なる電圧)を印加しつつ、普通車2Aは、第一送電電極12B1と第二送電電極12B2との対、第二送電電極12B2と第三送電電極12B3との対、又は、第三送電電極12B3と第四送電電極との対のいずれかの対より電力を受信し、大型車2Bは、第一送電電極12B1と第三送電電極12B3との対、又は、第二送電電極12B2と第四送電電極との対のいずれかの対より電力を受信するようにしてもよい。これにより、普通車2Aへの送電と、大型車2Bへの送電とで、使用される送電電極12Bを分散することができるので、それぞれの送電電極12Bに必要となる電流を小さく抑えることができる。
【0216】
また、この場合において、4つの送電電極12の各々に90°(π/2)ずつ位相の異なる電圧を印加する場合、普通車2Aに電力を送信する第一送電電極12B1と第二送電電極12B2との対、第二送電電極12B2と第三送電電極12B3との対、又は、第三送電電極12B3と第四送電電極との対における電圧の位相差は、いずれも90°(π/2)であるのに対し、大型車2Bに電力を送信する第一送電電極12B1と第三送電電極12B3との対、又は、第二送電電極12B2と第四送電電極との対における電圧の位相差は、いずれも逆位相となる。よって、より多くの電力が必要となる大型車2Bに対して、効率的に電力を送信できる。
【0217】
また、第四及び第五実施形態では、普通車2Aの受電装置20と大型車2Bの大型車用受電装置20Bとで、対向する第二送電装置10Bの送電電極12Bの対が異なるように、複数の受電電極21が配設される場合について説明したが、普通車2Aの受電装置20の構成を、例えば第四実施形態に係る大型車用受電装置20Bと同じとし、普通車2Aの受電装置20と大型車2Bの大型車用受電装置20Bとのそれぞれで、受電電極21が対向する第二送電装置10Bの送電電極12Bの対を同一とすることも可能である。
【0218】
また、第四及び第五実施形態では、第二送電装置10Bとして第二方向Yに延在する3つの送電電極12B(第一送電電極12B1、第二送電電極12B2、第三送電電極12B3)を有する場合について説明したが、第二送電装置10Bに代えて、又は、第二送電装置10Bとあわせて、第一送電装置10Aが、第一方向Xに平行に延在する3つ以上の送電電極12Aを有して構成されてもよい。この場合、第四実施形態のように、走行中の大型車2Bに対して、3つの送電電極12Bのうち一の対と別の対との両方に対向するように複数の受電電極21が配置された大型車用受電装置20Bが用いられ、走行中の普通車2Aに対して、3つの送電電極12Bのうち一の対のみ対抗するように複数の受電電極21が配置された受電装置20が用いられてもよい。または、第五実施形態のように、走行中の大型車2Bに対して、3つの送電電極12Bのうち一の対のみに対向するように複数の受電電極21が配置された大型車用受電装置20Bが用いられ、走行中の普通車2Aに対して、3つの送電電極12Bのうち別の対のみに対抗するように複数の受電電極21が配置された受電装置20が用いられてもよい。または、走行中の大型車2Bの大型車用受電装置20Bと普通車2Aと受電装置20とが同一の構成とされ、いずれも3つの送電電極12Bのうち一の対と別の対との両方に対向するように複数の受電電極21が配置されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0219】
1 非接触給電システム
2 移動体
2A 普通車(移動体の1つ)
2B 大型車(移動体の1つ)
10 送電装置
10A 第一送電装置
10B 第二送電装置
12 送電電極
12A 第一送電装置の送電電極
12B 第二送電装置の送電電極
12B1 第一送電電極
12B2 第二送電電極
12B3 第三送電電極
20 受電装置
20B 大型車用受電装置(受電装置の1つ)
21 受電電極
21a~21g 受電電極
22 回路部
22a 第一回路部
22b 第二回路部
22b1 第一の対用回路部
22b2 第二の対用回路部
221 コモンモードノイズ除去回路
222 整合回路
23 整流回路
23a 第一整流回路
23b 第二整流回路
30 バッテリ(負荷)
F 前進方向
X 第一方向
Y 第二方向