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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084433
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】制動装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20240618BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20240618BHJP
   F16D 65/52 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B60T13/74 H
B60T7/12 B
F16D65/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198707
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 絢
(72)【発明者】
【氏名】青木 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼江洲 克斗
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
3J058
【Fターム(参考)】
3D048BB51
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH26
3D048HH66
3D048HH67
3D048HH68
3D048RR01
3D048RR02
3D048RR06
3D048RR11
3D048RR13
3D048RR35
3D246BA02
3D246BA08
3D246DA01
3D246DA02
3D246GA13
3D246HA03A
3D246HA39A
3D246HA43A
3D246HA44A
3D246HA51A
3D246HA64A
3D246HA94A
3D246JA12
3D246KA09
3D246KA10
3D246LA13Z
3D246LA15Z
3D246LA33Z
3D246LA64Z
3D246LA67Z
3D246LA72Z
3J058AA03
3J058AA07
3J058AA13
3J058AA17
3J058AA28
3J058AA29
3J058AA37
3J058BA57
3J058BA61
3J058CC03
3J058CC15
3J058DA04
3J058DA05
3J058DB20
3J058DB21
3J058DB23
3J058DB25
(57)【要約】
【課題】制動装置を備える車両の製造時の組付け工程において、クリアランス調整工程 と、EPBの作動確認工程と、の作業効率を向上させる。
【解決手段】本発明の制動装置は、例えば、車両の車輪に対し液圧による制動力である液圧制動力を発生可能な液圧ブレーキと、電気モータの駆動によって液圧制動力とは別の駐車制動力を発生可能なドラム式の電動駐車ブレーキと、液圧ブレーキおよび電動駐車ブレーキを制御する制御部と、ブレーキドラムとブレーキシューとの間に形成される非制動時のクリアランスを、所定値以上の液圧の発生した状態で調整するクリアランス調整機構と、を備える制動装置である。制御部は、液圧ブレーキを制御して所定値以上の液圧を発生させた状態で、電動駐車ブレーキを制御して作動動作と解除動作を実行させることで、クリアランス調整機構によってクリアランスを調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に対し液圧による制動力である液圧制動力を発生可能な液圧ブレーキと、
電気モータの駆動によって前記液圧制動力とは別の駐車制動力を発生可能なドラム式の電動駐車ブレーキと、
前記液圧ブレーキおよび前記電動駐車ブレーキを制御する制御部と、
ブレーキドラムとブレーキシューとの間に形成される非制動時のクリアランスを、所定値以上の前記液圧の発生した状態で調整するクリアランス調整機構と、を備える制動装置であって、
前記制御部は、前記液圧ブレーキを制御して前記所定値以上の前記液圧を発生させた状態で、前記電動駐車ブレーキを制御して作動動作と解除動作を実行させることで、前記クリアランス調整機構によって前記クリアランスを調整する、制動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記液圧ブレーキを制御して前記所定値以上の前記液圧を発生させた状態で、前記電動駐車ブレーキを制御して作動動作と解除動作を規定回数実行させることで、前記クリアランス調整機構によって前記クリアランスを調整する、請求項1に記載の制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両(乗用車など)において、例えば、液圧ブレーキと、電動駐車ブレーキ(EPB(Electric Parking Brake))と、クリアランス調整機構(アジャスタ)と、を備える制動装置が用いられる。
【0003】
液圧ブレーキは、車両の車輪に対し液圧による制動力である液圧制動力を発生させる。電動駐車ブレーキは、電気モータの駆動によって液圧制動力とは別の駐車制動力を発生させる。クリアランス調整機構は、ブレーキドラムとブレーキシューとの間に形成される非制動時のクリアランスを、例えば、液圧の発生に連動して調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-171940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような制動装置を備える車両の製造時には、組付け工程において、クリアランス調整工程と、EPBの作動確認工程と、が別々で存在する。それらの工程の作業効率を向上させることができれば、有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制動装置は、例えば、車両の車輪に対し液圧による制動力である液圧制動力を発生可能な液圧ブレーキと、電気モータの駆動によって前記液圧制動力とは別の駐車制動力を発生可能なドラム式の電動駐車ブレーキと、前記液圧ブレーキおよび前記電動駐車ブレーキを制御する制御部と、ブレーキドラムとブレーキシューとの間に形成される非制動時のクリアランスを、所定値以上の前記液圧の発生した状態で調整するクリアランス調整機構と、を備える制動装置である。前記制御部は、前記液圧ブレーキを制御して前記所定値以上の前記液圧を発生させた状態で、前記電動駐車ブレーキを制御して作動動作と解除動作を実行させることで、前記クリアランス調整機構によって前記クリアランスを調整する。
これにより、例えば、車両製造時の組付け工程において、作業者によるブレーキ操作が無くても、任意のタイミングでクリアランス調整機構によるクリアランス調整を実行でき、作業効率を向上させることができる。
【0007】
また、上記の制動装置において、例えば、前記制御部は、前記液圧ブレーキを制御して前記所定値以上の前記液圧を発生させた状態で、前記電動駐車ブレーキを制御して作動動作と解除動作を規定回数実行させることで、前記クリアランス調整機構によって前記クリアランスを調整する。
これにより、例えば、テスターを使うことで任意のタイミングでクリアランス調整機構とEPBを規定回数作動できるため、クリアランス調整工程とEPBの作動確認工程を同時に実行することができ、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の制動装置において制御対象となるブレーキ装置の概略的な構成図である。
図2図2は、実施形態の制動装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態の制動装置における動作の流れなどを示すタイムチャートである。
図4図4は、実施形態のブレーキ制御装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の制動装置など実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する実施形態の構成、ならびに、当該構成によってもたらされる作用や効果は例であって、本発明は以下の記載内容に限定されない。
【0010】
まず、本実施形態の制動装置において制御対象となるブレーキ装置について説明する。図1は、実施形態の制動装置において制御対象となるブレーキ装置の概略的な構成図である。このブレーキ装置は、例えば、四輪の一般的な車両に設けられる。
【0011】
図1に示すように、ブレーキ装置は、液圧ブレーキ1と、電動駐車ブレーキ2と、を備える。液圧ブレーキ1は、車両の車輪に対し液圧による制動力である液圧制動力を発生可能である。液圧ブレーキ1は、前輪である車輪2FL、2FRと、後輪である車輪2RL、2RRと、の両方に制動力(摩擦制動トルク)を付与することが可能に構成される。
【0012】
電動駐車ブレーキ2は、電気モータの駆動によって液圧制動力とは別の駐車制動力を発生可能なドラム式の電動駐車ブレーキである。電動駐車ブレーキ2は、後輪である車輪2RL、2RRのみに制動力を付与することが可能な構成である。
【0013】
以下では、液圧ブレーキ1が発生する制動力と、電動駐車ブレーキ2が発生する制動力と、を区別する必要がある場合、前者を液圧制動力と称し、後者を駐車制動力と称する。
【0014】
液圧ブレーキ1は、圧力発生部32と、ホイールシリンダ38FL、38FR、38RLおよび38RRと、圧力調整部34FL、34FR、34RLおよび34RRと、還流機構37と、を備える。圧力発生部32は、車両の運転者によるブレーキペダル31の操作に応じた圧力(液圧)を発生させる機構である。ホイールシリンダ38FL、38FR、38RLおよび38RRは、それぞれ、摩擦制動部材を加圧することで車輪2FL、2FR、2RL、および2RRに制動力を付与する機構である。
【0015】
圧力調整部34FL、34FR、34RLおよび34RRは、それぞれ、ホイールシリンダ38FL、38FR、38RLおよび38RRに与えられる液圧を調整する機構である。還流機構37は、液圧を発生させる媒体としてのフルード(作動流体)を上流側へ戻す機構である。
【0016】
より具体的に、圧力発生部32は、マスタシリンダ32aと、リザーバタンク32bと、を備える。マスタシリンダ32aは、ブレーキペダル31の操作(踏み込み)に伴って押し込まれることで、リザーバタンク32bから補充されるフルードを2つの吐出ポートに吐出する。これら2つの吐出ポートは、それぞれ、開状態と閉状態とを電気的に切り替え可能な電磁弁33を介して、フロント側の圧力調整部34FRおよびリヤ側の圧力調整部34RLと、フロント側の圧力調整部34FLおよびリヤ側の圧力調整部34RRと、に接続される。なお、電磁弁33は、後述するブレーキ制御装置100(図2参照)の制御に基づいて開閉する。
【0017】
また、圧力調整部34FL、34FR、34RL、および34RRは、それぞれ、開状態と閉状態とを電気的に切り替え可能な電磁弁35および36を有している。電磁弁35および36は、電磁弁33と、リザーバ41と、の間に設けられている。電磁弁35は、電磁弁33に接続され、電磁弁36は、リザーバ41に接続されている。
【0018】
電磁弁35および36は、ブレーキ制御装置100(図2参照)の制御に基づいて開閉することで、ホイールシリンダ38FL、38FR、38RLおよび38RRで発生する圧力を、昇圧したり、維持したり、減圧したりすることが可能である。なお、ホイールシリンダ38FLは、圧力調整部34FLの電磁弁35および36の間に接続されている。また、ホイールシリンダ38FRは、圧力調整部34FRの電磁弁35および36の間に接続されている。また、ホイールシリンダ38RLは、圧力調整部34RLの電磁弁35および36の間に接続されている。また、ホイールシリンダ38RRは、圧力調整部34RRの電磁弁35および36の間に接続されている。
【0019】
還流機構37は、リザーバ41およびポンプ39と、フロント側およびリヤ側のポンプ39を回転してフルードを上流側に輸送するポンプモータ40と、を備える。リザーバ41およびポンプ39は、圧力調整部34FRおよび34RLの組み合わせと、圧力調整部34FLおよび34RRの組み合わせと、に対応してそれぞれ1つずつ設けられる。
【0020】
また、液圧ブレーキ1には、ブレーキペダル31の操作量(ストローク)を検出可能なストロークセンサ51が設けられている。
【0021】
なお、図1において図示していないが、本実施形態のリアブレーキ装置はドラム式である。したがって、ホイールシリンダ38RLおよび38RRが、それぞれ加圧する摩擦制動部材は、例えば、一対のブレーキシューである。
【0022】
また、後輪である車輪2RLおよび2RRの各々に、ブレーキ制御装置100(図2参照)の制御に基づいて駆動するEPBモータ60(電気モータ)が接続されている。そして、後輪である車輪2RL、2RRの一対のブレーキシューがEPBモータ60の駆動に応じて加圧されることで、後輪である車輪2RL、2RRに制動力が付与される。したがって、本実施形態では、後輪である車輪2RL、2RRの各々に対して、ホイールシリンダ38RL、38RRによる液圧制動力と、各々のEPBモータ60による駐車制動力とが、別々に発生可能となっている。
【0023】
また、図1において図示していないが、電動駐車ブレーキ2は、ブレーキドラムとブレーキシューとの間に形成される非制動時のクリアランスを、所定値以上の液圧の発生した状態で調整するクリアランス調整機構(アジャスタ)を備えている。
【0024】
次に、図2を参照して、本実施形態の制動装置の機能構成について説明する。図2は、実施形態の制動装置の機能構成を示すブロック図である。ブレーキ制御装置100が搭載される車両には、液圧ブレーキ1、電動駐車ブレーキ2のほかに、図1において図示していないが、M/C(マスタシリンダ)圧センサ3、W/C(ホイールシリンダ)圧センサ4、加速度センサ5、車輪速センサ6、温度センサ7、および、EPBスイッチ8が設けられている。それらは、ブレーキ制御装置100に電気的に接続されている。
【0025】
M/C圧センサ3は、マスタシリンダ32a(図1)で発生する圧力を検出し、検出した圧力に関する信号を出力する。W/C圧センサ4は、ホイールシリンダ38FL、38FR、38RLおよび38RRそれぞれに対して設けられ、各ホイールシリンダで発生する圧力を検出し、検出した圧力に関する信号を出力する。
【0026】
加速度センサ5は、車体の前後方向の加速度を検出し、検出した加速度に関する信号を出力する。車輪速センサ6は、車輪2FL、2FR、2RL、および2RRそれぞれに対して設けられ、各車輪の回転速度を検出し、検出した回転速度に関する信号を出力する。
【0027】
温度センサ7は、車輪2FL、2FR、2RL、および2RRそれぞれに対して設けられ、各車輪のドラムの温度を検出し、検出した温度に関する信号を出力する。EPBスイッチ8は、例えば、運転席付近に設けられ、運転者等によって操作されると駐車ブレーキ開始に関する信号を出力する。
【0028】
ブレーキ制御装置100は、液圧ブレーキ1と電動駐車ブレーキ2を制御する。ブレーキ制御装置100は、例えば、プロセッサやメモリなどといった通常のコンピュータ装置と同様のハードウェアを備えたブレーキECU(Electronic Control Unit)の一部として実現される。なお、ブレーキ制御装置100は、ブレーキECUの他の部分と一体化されてもよいし、当該他の部分とは別個に構成されてもよい。ブレーキ制御装置100は、機能構成として、検出部110、制御部120、および、記憶部130を備えている。
【0029】
検出部110は、各種信号を検出する。検出部110は、例えば、液圧ブレーキ1に液圧制動力を発生させるための操作(液圧ブレーキ操作)や、駐車制動力を発生可能な状態に設定するための操作(駐車ブレーキ操作)などといった、運転者による制動操作に係る制動要求信号を検出する。この液圧ブレーキ操作とは、例えば、運転者によるブレーキペダル31の操作(踏み込み)である。検出部110は、例えば、ストロークセンサ51などの検出結果に基づいて液圧ブレーキ操作に係る制動要求信号を検出する。
【0030】
また、駐車ブレーキ操作とは、運転席付近に設けられているEPBスイッチ8の操作である。検出部110は、例えば、EPBスイッチ8の操作に応じて出力される信号を駐車ブレーキ操作に係る制動要求信号として検出する。なお、検出部110においては、上述のような運転者による制動操作に限らず、他のシステムからの制動要求信号(電動駐車ブレーキ駆動要求信号を含む)を検出するようにしてもよい。該システムとしては、例えば、各種センサ類(例えばM/C圧センサ3、W/C圧センサ4、加速度センサ5、車輪速センサ6、温度センサ7、EPBスイッチ8、ストロークセンサ51等)からの信号に基づき制動要求信号を発信する制御システムを挙げることができる。
【0031】
記憶部130は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等から構成される。記憶部130は、動作プログラムや、制御に関わる各種演算で用いられるデータ(マップ、テーブル、関数等)や、演算結果(演算途中の値も含む)等を記憶する。
【0032】
制御部120は、ブレーキ制御装置100のCPU(Central Processing Unit)が記憶部130に格納された種々のプログラムを実行した結果として実現される。なお、この機能構成の一部または全部が専用の回路などによって実現されてもよい。
【0033】
制御部120は、液圧ブレーキ1および電動駐車ブレーキ2を制御する。制御部120は、例えば、液圧ブレーキ1を制御して所定値以上の液圧を発生させた状態で、電動駐車ブレーキ2を制御して作動(アプライ)動作と解除(リリース)動作を実行させることで、クリアランス調整機構によってクリアランスを調整する。その際、制御部120は、例えば、電動駐車ブレーキ2を制御して作動動作と解除動作を規定回数実行させる。この規定回数は、例えば、従来技術におけるクリアランス調整工程での作動確認に必要な回数とすればよい。
【0034】
なお、図示していないが、液圧ブレーキ1を制御して所定値以上の液圧を発生させた状態では、ドラムブレーキにおけるオートレバーがクリアランス調整機構(アジャスタ)の歯車を1歯送った状態で保持される。この状態で電動駐車ブレーキ2の作動動作、解除動作を実行すると、クリアランス調整機構によるクリアランス調整が実行される。
【0035】
次に、図3を参照して、制動装置における動作の流れなどについて説明する。図3は、実施形態の制動装置における動作の流れなどを示すタイムチャートである。車両製造時の組付け工程において、まず、(a)に示すように、時刻t1~t2に、検出部110は、外部からのトリガー(例えば、アッセンブリチェックのコマンドなど)を検出する。
【0036】
これを受けて、(b)に示すように、制御部120は、時刻t2~t10の間、W/C圧指示要求信号を送信する。これにより、(c)に示すように、液圧ブレーキ1におけるW/C圧(液圧)の値が時刻t3から上昇して時刻t4に所定値(所定値以上の値でもよい)に達し、時刻t10まで維持される。
【0037】
そして、(d)に示すように、制御部120は、電動駐車ブレーキ2を制御して、電動駐車ブレーキ2の作動動作(時刻t5~t6、t7~t8)と解除動作(時刻t6~t7、t8以降)を繰り返す。これにより、クリアランス調整機構によるクリアランス調整が実行される。
【0038】
その場合、(e)に示すように、制御部120は、クリアランス調整機構によるクリアランス調整の回数を計数するカウンタを、時刻t4、t6、t8で1ずつ加算する。そして、制御部120は、時刻t8での1加算でカウンタの値が規定回数に達したので、時刻t10において、(b)に示すように、W/C圧指示要求信号の送信を停止する。これにより、(c)に示すように、W/C圧値は0まで低下する。また、(e)に示すように、制御部120は、カウンタをリセットする。
【0039】
次に、図4を参照して、ブレーキ制御装置100が実行する処理について説明する。図4は、実施形態のブレーキ制御装置100が実行する処理を示すフローチャートである。
【0040】
まず、ステップS1において、検出部110は、外部からのトリガーを受信したか否かを判定し、Yesの場合(図3(a)の時刻t1~t2)はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0041】
ステップS2において、制御部120は、W/C圧指示要求信号を送信する(図3(b)の時刻t2以降)。
【0042】
次に、ステップS3において、制御部120は、液圧ブレーキ1における液圧が所定値以上になったか否かを判定し、Yesの場合(図3(c)の時刻t4)はステップS4に進み、Noの場合はステップS3に戻る。
【0043】
ステップS4において、制御部120は、油圧作動で液圧が所定値に達していることで、カウンタを1加算する(図3(e)の時刻t4)。
【0044】
次に、ステップS5において、制御部120は、電動駐車ブレーキ2(EPB)の作動信号を送信する(図3(d)の時刻t5~t6、t7~t8)。これにより、電動駐車ブレーキ2は作動動作を行い、クリアランス調整機構によるクリアランス調整が実行される。
【0045】
次に、ステップS6において、制御部120は、電動駐車ブレーキ2(EPB)の解除信号を送信する(図3(d)の時刻t6~t7、t8以降)。これにより、電動駐車ブレーキ2は、解除動作を行う。
【0046】
次に、ステップS7において、制御部120は、EPB解除でカウンタを1加算する(図3(e)の時刻t6、t8)。
【0047】
次に、ステップS8において、制御部120は、カウンタの値が規定回数に達したか否かを判定し、Yesの場合(図3(e)の時刻t8以降)はステップS9に進み、Noの場合はステップS5に戻る。
【0048】
ステップS9において、制御部120は、W/C圧指示要求信号の送信を停止する(図3(b)の時刻t10)。これにより、図3(c)に示すように、W/C圧値は0まで低下する。
【0049】
次に、ステップS10において、制御部120は、カウンタをリセットする(図3(e)の時刻t10)。
【0050】
このように、本実施形態の制動装置によれば、液圧ブレーキ1を制御して所定値以上の液圧を発生させた状態で、電動駐車ブレーキ2を制御して作動動作と解除動作を実行させることで、クリアランス調整機構によってクリアランスを調整する。これにより、例えば、車両製造時の組付け工程において、作業者によるブレーキ操作が無くても、任意のタイミングでクリアランス調整機構によるクリアランス調整を実行でき、作業効率を向上させることができる。
【0051】
また、その場合、電動駐車ブレーキ2の作動動作と解除動作を規定回数実行させる。これにより、例えば、テスターを使うことで任意のタイミングでクリアランス調整機構とEPBを規定回数作動できるため、クリアランス調整工程とEPBの作動確認工程を同時に実行することができ、作業効率を向上させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、または変更を行うことができる。また、上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0053】
例えば、電動駐車ブレーキ2が駐車制動力を付与する対象は、後輪である車輪2RL、2RRに限定されず、前輪である車輪2FL、2FRであってもよく、それらに本発明を適用してもよい。
【0054】
また、クリアランス調整機構は、クリアランスを小さくする方向にだけ調整可能なタイプのものであってもよいし、あるいは、クリアランスを小さくする方向と大きくする方向の両方向について調整可能なタイプのものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…液圧ブレーキ、2…電動駐車ブレーキ、3…M/C圧センサ、4…W/C圧センサ、5…加速度センサ、6…車輪速センサ、7…温度センサ、8…EPBスイッチ、51…ストロークセンサ、60…EPBモータ、100…ブレーキ制御装置、110…検出部、120…制御部、130…記憶部
図1
図2
図3
図4