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特開2024-84434位置判定システム、位置判定方法、および位置判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084434
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】位置判定システム、位置判定方法、および位置判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240618BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20240618BHJP
   B64U 20/80 20230101ALI20240618BHJP
【FI】
G01S5/02 A
G05D1/00 Z
B64U20/80
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198709
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 邦光
(72)【発明者】
【氏名】島田 晃稔
【テーマコード(参考)】
5H301
5J062
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301FF11
5H301GG07
5H301GG09
5J062AA05
5J062BB03
5J062CC07
5J062CC11
5J062EE04
5J062FF01
5J062FF02
5J062FF04
5J062HH05
(57)【要約】
【課題】本願発明は、移動体が移動を開始する際の初期位置が所定の許容範囲内であるか否かを容易に判定することが可能な位置判定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る位置判定システムは、移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得する取得部と、移動体が移動を開始する度に、移動体のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲を設定する情報の入力を受け付ける設定部と、初期位置が所定範囲に含まれるか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得する取得部と、
前記移動体が移動を開始する度に、前記移動体のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲を設定する情報の入力を受け付ける設定部と、
前記初期位置が前記所定範囲に含まれるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする位置判定システム。
【請求項2】
移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得する取得部と、
前記移動体が所定の許容範囲に配置されているか否かを判断するための3次元で表される所定範囲を設定する情報の入力を受け付ける設定部と、
前記初期位置が前記所定範囲に含まれるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする位置判定システム。
【請求項3】
前記設定部は、前記入力を受け付けた情報に基づき、前記移動体の中心を含む空間を設定し、さらに当該空間の大きさに基づいて前記所定範囲を設定する、請求項1または2に記載の位置判定システム。
【請求項4】
前記移動体が記録した移動に関するデータを格納するデータ格納部をさらに有する、請求項1または2に記載の位置判定システム。
【請求項5】
前記出力部は、さらに、移動に関するデータを出力する、請求項1または2に記載の位置判定システム。
【請求項6】
前記空間の形状には、直方体が含まれる、請求項3に記載の位置判定システム。
【請求項7】
前記初期位置が前記所定範囲に含まれない場合は、警告を発する警告部をさらに有する、請求項1または2に記載の位置判定システム。
【請求項8】
前記初期位置が前記所定範囲に含まれない場合は、前記初期位置が前記所定範囲内に入るための位置補正量を算出する算出部をさらに有し、
前記出力部は、前記位置補正量を出力する、請求項1または2に記載の位置判定システム。
【請求項9】
取得部が、移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得し、
設定部が、前記移動体が移動を開始する度に、前記移動体のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲を設定する情報の入力を受け付け、
判定部が、前記初期位置が前記所定範囲に含まれるか否かを判定し、
出力部が、前記判定部による判定結果を出力する、
ことを特徴とする位置判定方法。
【請求項10】
移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得し、
前記移動体が移動を開始する度に、前記移動体のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲を設定する情報の入力を受け付け、
前記初期位置が前記所定範囲に含まれるか否かを判定し、
判定部による判定結果を出力する、
ことをプロセッサに実行させることを特徴とする位置判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置判定システム、位置判定方法、および位置判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、予め地図情報を取得し、現在位置と地図情報とに基づいて、飛行経路の修正を行う無人航空機の現在位置検知システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、無人航空機等の移動体が移動を開始する際の位置を正確に把握するニーズが高まっている。しかしながら、従来のシステムにおいては、移動体の位置を予め決められた位置に厳密に配置することは困難であるため、移動を開始する際の位置が、飛行計画において予め設定された位置に対して許容範囲内であるか否かを簡易に判定することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-105691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、移動体が移動を開始する際の初期位置が所定の許容範囲内であるか否かを容易に判定することが可能な位置判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムは、移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得する取得部と、移動体が移動を開始する度に、移動体のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲を設定する情報の入力を受け付ける設定部と、初期位置が所定範囲に含まれるか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムは、移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得する取得部と、移動体が所定の許容範囲に配置されているか否かを判断するための3次元で表される所定範囲を設定する情報の入力を受け付ける設定部と、初期位置が所定範囲に含まれるか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムにおいて、設定部は、入力を受け付けた情報に基づき、移動体の中心を含む空間を設定し、さらに当該空間の大きさに基づいて所定範囲を設定してよい。
【0009】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムにおいて、移動体が記録した移動に関するデータを格納するデータ格納部をさらに有してよい。
【0010】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムにおいて、出力部は、さらに、移動に関するデータを出力してよい。
【0011】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムにおいて、空間の形状には、直方体が含まれてよい。
【0012】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムにおいて、初期位置が所定範囲に含まれない場合は、警告を発する警告部をさらに有してよい。
【0013】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムにおいて、初期位置が所定範囲に含まれない場合は、初期位置が所定範囲内に入るための位置補正量を算出する算出部をさらに有し、出力部は、位置補正量を出力してよい。
【0014】
本開示の一実施形態に係る位置判定方法は、取得部が、移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得し、設定部が、移動体が移動を開始する度に、移動体のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲を設定する情報の入力を受け付け、判定部が、初期位置が所定範囲に含まれるか否かを判定し、出力部が、判定部による判定結果を出力する、ことを特徴とする。
【0015】
本開示の一実施形態に係る位置判定プログラムは、移動体が移動を開始する際における初期位置に関するRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位による測位情報を取得し、移動体が移動を開始する度に、移動体のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲を設定する情報の入力を受け付け、初期位置が所定範囲に含まれるか否かを判定し、判定部による判定結果を出力する、ことをプロセッサに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一実施形態に係る位置判定システムによれば、移動体が移動を開始する際の初期位置が所定の許容範囲内であるか否かを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態に係る位置判定システムの概略構成図である。
図2】本開示の一実施形態に係る位置判定システムの動作手順を説明するためのフローチャートである。
図3】本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより初期位置を判定する対象である飛行体のブロック図である。
図4】本開示の実施例1に係る位置判定システムの動作手順を説明するためのシーケンス図である。
図5】本開示の実施例2に係る位置判定システムの動作手順を説明するためのシーケンス図である。
図6】本開示の実施例3に係る位置判定システムの動作手順を説明するためのフローチャートである。
図7】本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲と所定範囲との関係を示す斜視図である。
図8】本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲と第2の所定範囲との関係を示す斜視図である。
図9】本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲および第2の所定範囲から初期位置を算出する手順を説明するための平面図である。
図10】本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲および第2の所定範囲から初期位置を算出する手順を説明するための斜視図である。
図11】本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲および第2の所定範囲から初期位置を算出する手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る位置判定システム、位置判定方法、および位置判定プログラムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0019】
[発明の概要]
図1に、本開示の一実施形態に係る位置判定システム1000の概略構成図を示す。位置判定システム1000は、位置判定装置100(例えば、サーバ)と、移動体である飛行体200と、を含み、両者はネットワーク300を介して無線通信を行う。無線通信は、例えば、移動体通信であってよい。また、ネットワーク300と飛行体200の間に、飛行体200を制御する任意のハードウェア(例えば、コントローラ、コンピュータ等)があってもよい。この場合、コントローラとネットワーク300との間の通信は移動体通信等である一方、コントローラと飛行体200との間の無線通信は、例えば、2.4GHz、5.6GHz、5.7GHz、5.8GHzの周波数帯域を利用した無線通信であってよい。なお、以下の説明においては、移動体の例として飛行体(例えば、ドローン)を例として挙げるが、移動体は、このような例には限定されず、車両や船舶等の移動する装置を含む。
【0020】
飛行体200は、出発地点における初期位置から移動を開始して、所定の飛行計画に基づいて目標地点まで移動を行う。初期位置は、飛行体200が最初に移動を行う際に出発地点に配置された際における、飛行体200の占有範囲に含まれる特定の位置であってよい。初期位置は、飛行体200自体が決定してよく、あるいは、飛行体200とは別個に設けられた装置によって決定してよい。また、初期位置は位置判定装置100が指定する位置であってよい。なお、「初期位置」とは、飛行体200が出発地点から目標地点まで飛行を行う際に、出発地点において配置された移動体である飛行体200の占有範囲に含まれる任意の位置には限定されず、出発地点から目標地点までの途中の少なくとも1つの地点において一時的に停止した際における、移動体である飛行体200の占有範囲に含まれる任意の位置も含む。ここで、移動体である飛行体200の「占有範囲」は、移動体である飛行体200の少なくとも一部が含まれる範囲をいう。例えば、飛行体200がA地点から出発してB地点を経由しC地点に到達するとした場合、「初期位置」はA地点における飛行体200の位置には限定されず、一旦停止して移動を再開する際のB地点における飛行体200の位置を含んでよい。さらに、A地点からC地点に到達する前に複数地点で一旦停止した場合には、複数地点のうちの少なくとも1つの地点における飛行体200の位置を初期位置に含めてよい。例えば、飛行体200がA地点からC地点に到達するまでに一時停止をn回行った場合、初期位置の数mは最小値1から最大値(n+1)までの任意の値であってよい。
【0021】
飛行体200が移動を開始する際において、飛行計画において予め設定された初期位置に飛行体200を正確にピンポイントで配置することは難しい。そのため、従来は、飛行体200が移動を開始する際において、飛行計画において予め設定された初期位置に配置されたか否かを判定することは難しいという問題があった。本開示の実施形態に係る位置判定装置100は、飛行体200が移動を開始する際の初期位置が、特定のある点ではなく、ある程度の許容範囲を有する空間である所定範囲201に含まれるか否かを判定する。即ち、飛行体200の初期位置が所定範囲201内に含まれている場合は、飛行体200は、飛行計画等により予め設定された所定の位置に配置されていると判定するものである。このような構成とすることにより、移動体である飛行体200の初期位置が、飛行計画に予め設定された位置に配置されていたか否かを容易に判定することができる。
【0022】
位置判定装置100が、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれると判定する場合は、飛行体200は飛行計画に予め設定された位置に配置されていると判定する。一方、位置判定装置100が、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれないと判定する場合は、飛行体200は飛行計画に予め設定された位置に配置されていないと判定する。このようにして、位置判定装置100は、飛行体200が移動を開始する際において、飛行計画において予め設定された位置に正しく配置されているか否かを判定することができる。
【0023】
飛行体200の位置は、RTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位によって、地上に設置した基準局からの位置情報データを用いて、センチメートル単位の高精度に測位することができる。
【0024】
図2に、本開示の一実施形態に係る位置判定システム1000の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS101において、3次元(3D)の詳細マップで出発地点と目標地点を設定する。3次元の詳細マップを用いることにより、センチメートル単位の精度で、出発地点及び目標地点を設定することができる。ただし、出発地点と目標地点を設定する際に、3次元詳細マップは必須ではない。例えば、飛行体200に搭載された測位部23の測位結果を利用して、出発地点と目標地点を設定してもよい。
【0025】
次に、ステップS102において、出発地点における飛行体200の初期位置が所定範囲201内か否かを判定する。この判定方法については、後述する。飛行体200の初期位置が所定範囲201内ではない場合は、飛行体200の位置を修正して、再度、ステップS102を実行する。
【0026】
飛行体200の初期位置が所定範囲201内である場合は、ステップS103において、飛行体200は、目標地点へ向けて航行を開始する。
【0027】
次に、ステップS104において、飛行体200は、航行中に所定のタイミングで位置および画像(静止画又は動画)を記録する。ここで、飛行体200は、航行開始時点から位置および画像を記録することにより、飛行体200の初期位置を記録することができる。
【0028】
次に、ステップS105において、飛行体200は、目標地点に到着する。
【0029】
以上のようにして、位置判定装置100は、出発地点において、飛行体200の初期位置が所定範囲201内であるか否かを容易に判定することができる。
【0030】
[位置判定装置の構成]
図1に示すように、位置判定装置100は、制御部10と、通信部9と、記憶部11と、入力部12と、表示部13と、データ格納部14と、を有し、これらは内部バス15により接続されている。
【0031】
制御部10は、取得部1と、設定部2と、判定部3と、出力部4と、決定部5と、指示部6と、を有する。制御部10は、警告部7と、算出部8と、をさらに有してよい。制御部10には、CPU等のプロセッサを用いてよい。取得部1、設定部2、判定部3、出力部4、決定部5、指示部6、警告部7、および算出部8は、制御部10が記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0032】
取得部1は、移動体である飛行体200が移動を開始する際における初期位置に関するRTK-GNSS測位による測位情報を取得する。
【0033】
設定部2は、移動体である飛行体200が移動を開始する度に、移動体である飛行体200のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲201を設定する情報の入力を受け付ける。例えば、設定部2は、記憶部11に予め記憶された情報であって、所定範囲201を設定する情報を記憶部11から受け付けてよい。あるいは、ユーザが入力部12に所定範囲201を設定する情報を入力し、設定部2は、所定範囲201を設定する情報を入力部12から受け付けてよい。また、設定部2は、移動体である飛行体200が所定の許容範囲に配置されているか否かを判断するための3次元で表される所定範囲201を設定する情報の入力を受け付けてよい。
【0034】
設定部2は、入力を受け付けた情報に基づいて、移動体である飛行体200の中心を含む空間を設定し、さらに当該空間の大きさに基づいて所定範囲を設定してよい。ここで、移動体である飛行体200の「中心を含む空間」は、移動体である飛行体200の全てを包含する空間だけでなく、移動体である飛行体200の少なくとも一部を包含する空間を含んでよい。移動体である飛行体200の中心を含む空間は、移動体である飛行体200の占有範囲としてよい。
【0035】
また、移動体である飛行体200が、荷物を保持している場合は、設定部2は、入力を受け付けた情報に基づき、移動体である飛行体200および移動体である飛行体200が運搬する荷物を包含する空間を設定し、さらに当該空間の大きさに基づいて所定範囲201を設定してよい。ここで、飛行体200および荷物を「包含する空間」は、飛行体200および荷物の全てを包含する空間だけでなく、飛行体200および荷物の少なくとも一部を包含する空間を含んでよい。また、空間の形状には、例えば、直方体が含まれてよい。ただし、空間の形状は直方体には限定されず、球体、多面体、円柱、円錐、角柱、角錐、ドーム形状等、任意の形状としてよい。空間の具体的な設定方法については、後述する。
【0036】
判定部3は、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれるか否かを判定する。ここで、飛行体200が出発地点から目標地点まで移動する場合において、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれるか否かの判定を行う地点は、出発地点には限定されない。即ち、飛行体200が出発地点から目標地点まで移動する間の途中の少なくとも1つの地点において一時停止した場合には、一時停止した地点のうちの少なくとも1つの地点において、上記の判定を行ってよい。飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれるか否かの判定を飛行体200の出発地点において実行するだけでなく、出発地点から目標地点まで間の少なくとも1つの地点において一時停止した場合において、一時停止を行った少なくとも1つの地点において飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれるか否かの判定を行うことにより、飛行体200が飛行計画に従って移動したか否かをより正確に判定することができる。
【0037】
また、飛行体200が出発地点から目標地点まで移動する途中の複数地点で一時停止した場合に、一時停止した複数地点のうち、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれるか否かの判定を行う地点を所定の数の地点に限定してよい。このようにすることで、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれるか否かの判定に一定の時間を要する場合であっても、判定によって飛行時間に追加される経過時間を抑制することができる。
【0038】
また、上記の判定の基準となる飛行体200の占有範囲及び所定範囲201は、出発地点及び一時停止した地点における飛行体200のサイズ及び状態に応じて変更してよい。例えば、飛行体200が荷物を保持せずにA地点を出発し、C地点に到達する途中のB地点において荷物を受け取った場合には、A地点においては飛行体200のサイズに基づいて上記判定を行い、B地点においては飛行体200及び荷物のサイズに基づいて上記判定を行ってよい。飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれるか否かを判定する具体的な方法については後述する。
【0039】
出力部4は、判定部3による判定結果を出力する。
【0040】
決定部5は、記憶部11に格納された、飛行体200の飛行計画を参照して飛行経路を決定してよい。
【0041】
指示部6は、決定部5により決定された飛行経路で飛行するように制御対象の飛行体200に指示してよい。例えば、指示部6は、決定部5により決定された飛行経路を示す経路情報を飛行体200に送信してよい。
【0042】
位置判定装置100は、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれない場合は、警告を発する警告部7をさらに有してよい。警告部7が発した警告は、飛行体200を出発地点に配置するユーザが所持する端末等が受信してよい。ユーザは警告を受信することにより、飛行体200の初期位置が飛行計画に予め設定された許容範囲から外れていることを認識することができる。
【0043】
位置判定装置100は、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれない場合は、初期位置が所定範囲201内に入るための位置補正量を算出する算出部8をさらに有してよい。この場合、出力部4は、算出部8が算出した位置補正量を出力してよい。算出部8が算出した位置補正量は、飛行体200を出発地点に配置するユーザが所持する端末等が受信してよい。ユーザは位置補正量に関する情報を受信することにより、飛行体200の初期位置が飛行計画に予め設定された許容範囲からの位置補正量を取得することができ、ユーザは飛行体200の初期位置を飛行計画に予め設定された許容範囲内に配置することができる。
【0044】
通信部9は、ネットワーク300を介して、飛行体200との間で無線通信を行う。また、通信部9は、飛行体200を出発地点に配置するユーザが所持する端末等との間で通信を行ってよい。
【0045】
記憶部11は、取得した飛行体200の初期位置に関する情報を記憶する。記憶部11は、飛行体200の飛行計画、および位置判定装置100を動作させるためのプログラムを記憶してよい。記憶部11には、半導体メモリやハードディスク等の記憶装置を用いてよい。
【0046】
入力部12には、キーボードやマウス等の入力装置を用いることができる。
【0047】
表示部13は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置であってよい。表示部13は、判定部3による判定結果に関する情報を表示してよく、算出部8が算出した位置補正量に関する情報を表示してよい。
【0048】
データ格納部14は、移動体である飛行体200が記録した移動に関するデータを格納してよい。例えば、飛行体200に録画機能を付与し、飛行体200が出発地点から移動した際に録画を開始し、位置判定装置100は、飛行体200から録画したデータを受信してデータ格納部14に格納してよい。出力部4は、データ格納部14に格納された移動に関するデータを出力してよい。ここで、位置判定装置100が飛行体200から受信する録画データには、飛行体200の出発地点における初期位置に関する情報が含まれるようにしてよい。飛行体200の初期位置に関する情報を保存することにより、飛行体200の初期位置が飛行計画に予め規定された位置であったか否かを事後的に検証することができる。
【0049】
[飛行体の構成]
次に、本開示の一実施形態に係る位置判定装置100が初期位置の判定を行う対象である飛行体の構成について説明する。図3に、移動体の一例である飛行体200のブロック図を示す。なお、上述したように、飛行体200は、移動体の一例であって、移動体は、このような例には限定されない。飛行体200は、制御部20と、測位部23と、通信部24と、撮像部25と、記憶部26と、ロータ27と、ロータ制御部28と、電源部29と、を有し、これらは内部バス30により接続されている。
【0050】
制御部20は、経路情報取得部21と、移動制御部22と、を有し、これらは、制御部20が記憶部26に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0051】
経路情報取得部21は、位置判定装置100の指示部6により通信部9を介して送信された経路情報を取得してよい。あるいは、経路情報取得部21は、通信部24により、飛行体200の識別情報、出発時刻、出発地点、および目標地点を含む移動体情報を、ネットワーク300を介して取得し、移動体情報に含まれる出発地点および目標地点に関する情報に基づいて、飛行体200の移動経路を導出することにより、移動経路を示す経路情報を取得してもよい。
【0052】
移動制御部22は、経路情報取得部21が取得した経路情報に従って、ロータ制御部28を用いてロータ27を制御することにより、飛行体200の移動開始及び停止、上昇、下降、移動方向、移動速度、姿勢等を制御してよい。
【0053】
測位部23は、飛行体200の位置を測定することができる。測位部23は、基本的に、4つ以上の航法衛星からの測位用電波を受信して飛行体200の位置をRTK(Real Time Kinematic)-GNSS(Global Navigation Satellite System)測位によって測定する。GNSS補正データは、基準局(図示せず)から受信する。GNSS補正データは、基準局の座標情報及び基準局が受信する航法衛星からの電波の位相情報等を含むデータである。GNSS補正データを受信するための基準局との通信は、高速通信規格を使用して行われる。測位部23は、所定の時間間隔で、測位結果を出力してよい。
【0054】
RTK-GNSS測位においては、飛行体200の測位部23、及び正確な設置位置が既知である複数の基準局が、GNSS衛星からGNSS信号を受信し、それぞれの位置情報を取得する。次に、飛行体200の測位部23は、飛行体200の測位部23の近傍の複数の基準局から、GNSS信号に基づいて得られた基準局の位置情報をリアルタイムで取得する。
【0055】
次に、測位部23は、衛星から地上に送信される搬送波の観測結果と、その観測結果に含まれる波数、波長、位相等のパラメータを利用して位置座標を求める。RTK-GNSS測位においては、測位部23でのGNSS信号の受信環境に近いと推定される受信環境におかれた基準局の位置情報により生成された補正情報を用いて、GNSS信号に基づいて得られた、測位部23の暫定的な位置情報を補正する。このようなRTK-GNSS測位によれば、補正を行うことにより、位置情報に含まれる誤差を数センチメートル程度に抑えることができる。
【0056】
通信部24は、位置判定装置100、航法衛星、および通信基地局と通信を行う。通信部24は、ユーザが所持する端末等と通信を行ってよい。
【0057】
撮像部25は、飛行体200が飛行している最中に、飛行体200の周辺の画像(静止画又は動画)を撮影する撮像装置(例えば、RGBカメラ)である。また、撮像部25は、飛行体200が飛行する前に、飛行体200が設置された発着所の周辺の画像を撮影してよい。例えば、撮像部25は、飛行体200が配置された出発地点に設けられたマーカを含む画像を撮影してよい。さらに、撮像部25は、飛行体200が移動を開始した時から録画を開始し、撮像した映像に初期位置のデータを添付して位置判定装置100に送信し、位置判定装置100は受信した情報をデータ格納部14に保存してよい。
【0058】
記憶部26は、撮像部25が撮像した画像データを記憶してよい。また、記憶部26は、測位部23が測位した飛行体200の位置情報を記憶してよい。記憶部11は、飛行体200の飛行計画、および飛行体200を動作させるためのプログラムを記憶してよい。記憶部26には、半導体メモリやハードディスク等の記憶装置を用いてよい。
【0059】
ロータ27は、下向きの気流を発生させることにより飛行体200を浮揚させる。ロータ27の数は3個以上であってよい。
【0060】
ロータ制御部28は、ロータ27の回転を制御することにより、飛行体200に対して推力およびトルクを生成する。ロータ27の回転数を上げることで飛行体200は上昇し、回転数を下げることで飛行体200は降下する。また、複数のロータ27の回転数をそれぞれ変えることにより、飛行体200を前後左右に移動させたり、回転させたりすることができる。
【0061】
電源部29は、飛行体200の各部に必要な電力を供給する。電源部29には、蓄電池を用いてよく、さらに太陽電池を備えてよい。
【0062】
[実施例1]
次に、実施例1に係る位置判定装置について説明する。実施例1に係る位置判定装置100の構成は図1に記載した通りであるが、算出部8は使用しない。図4に、本開示の実施例1に係る位置判定システム1000の動作手順を説明するためのシーケンス図を示す。まず、ステップS201において、飛行体200を出発地点に配置する。出発地点には、飛行体200を配置する目印となるマーカ等が設けられていてよい。飛行体200を出発地点に配置する作業はユーザが実行してよい。あるいは、飛行体200は、予め取得した経路情報に従って、出発地点に移動してよい。
【0063】
次に、ステップS202において、飛行体200が、測位部23を用いて、RTK-GNSS法により飛行体200の初期位置を測定する。
【0064】
次に、ステップS203において、飛行体200が、通信部24を用いて、測定した飛行体200の初期位置に関する情報を位置判定装置100に送信する。
【0065】
次に、ステップS204において、位置判定装置100が、通信部9を用いて、飛行体200の初期位置に関する情報を受信し、記憶部11に記憶する。
【0066】
次に、ステップS205において、位置判定装置100が、判定部3を用いて、飛行体200の初期位置が所定範囲201内か否かを判定する。飛行体200の初期位置が所定範囲201内であるか否かを判定する具体的な方法については後述する。
【0067】
次に、ステップS206において、位置判定装置100が、出力部4を用いて、判定部3による判定結果を出力する。出力部4は、判定部3による判定結果を表示部13に出力してよい。表示部13は、判定部3による判定結果を表示することができる。あるいは、出力部4は、判定部3による判定結果をユーザが所持する端末等に送信してよい。
【0068】
ここで、位置判定装置100は、警告部7を用いて、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれない場合は、警告を発するようにしてもよい。ユーザは所持する端末等を用いて、警告部7からの警告を受信してよい。このような構成とすることにより、ユーザは飛行体200の初期位置が予め設定された所定範囲から外れていることを認識することができる。警告を受信したユーザは、飛行体200の初期位置が所定範囲に入るように飛行体200の位置を修正してよい。
【0069】
次に、ステップS207において、飛行体200は、航行を開始する。
【0070】
以上のようにして、位置判定装置100は、飛行体200の初期位置が所定範囲201内であるかを判定することができ、飛行体200が航行を開始する前の段階における初期位置が、飛行計画に予め規定された所定範囲201内に配置されていたか否かを容易に判定することができる。さらに、位置判定装置100は、飛行体200の初期位置が所定範囲201内であったか否かの判定結果を記憶部11に記憶することにより、飛行体200の初期位置が所定範囲201内であったか否かを事後的に検証することができる。
【0071】
[実施例2]
次に、実施例2に係る位置判定装置について説明する。実施例2に係る位置判定装置100の構成は図1に記載した通りである。実施例2に係る位置判定装置が、実施例1に係る位置判定装置と異なっている点は、飛行体200の初期位置が所定範囲201に含まれない場合は、初期位置が所定範囲201内に入るための位置補正量を算出する算出部8をさらに有し、出力部4は、位置補正量を出力する点である。実施例2に係る位置判定装置のその他の構成は、実施例1に係る位置判定装置における構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0072】
図5に、本開示の実施例2に係る位置判定システムの動作手順を説明するためのシーケンス図を示す。ステップS301からステップS305までの動作は、図4におけるステップS201からステップS205までの動作と同様である。
【0073】
次に、ステップ、S306において、位置判定装置100は、算出部8を用いて、飛行体200の初期位置が所定範囲201内ではない場合は、飛行体200の初期位置が所定範囲201内に入るための位置補正量を算出する。さらに、位置判定装置100は、出力部4を用いて、通信部9を介して、飛行体200に位置補正量を出力してよい。あるいは、位置判定装置100は、通信部9を介して、位置補正量をユーザが所持する端末等に出力してよい。
【0074】
次に、ステップS307において、飛行体200は、位置補正量に関する情報を受信し、受信した位置補正量に関する情報に従って、初期位置を補正する。あるいは、ユーザが位置補正量を受信した場合は、受信した位置補正量に関する情報に従って、飛行体200の初期位置を修正してよい。
【0075】
次に、ステップS308において、位置判定装置100が初期位置を補正した場合は、飛行体200は、補正後の初期位置が所定範囲内か否かを再度判定するために、ステップS303に戻って、再度、初期位置情報を位置判定装置に送信し、位置判定装置100は、ステップS304からS306を繰り返す。
【0076】
一方、位置判定装置100が、初期位置を補正しなかった場合は、ステップS309において、飛行体200は、航行を開始する。ここで、位置判定装置100が、初期位置を補正する必要がないと判断した場合は、その旨の情報、位置補正量が0である旨の情報、あるいは航行開始を指示する情報を飛行体200又は飛行体を管理する装置に送信してもよい。
【0077】
以上のようにして、飛行体200の初期位置が所定範囲201内ではなかった場合は、飛行体200は、位置判定装置100の算出部8が算出した位置補正量に基づいて初期位置を所定範囲201内に配置することができるため、飛行体200の初期位置を飛行計画に規定された所定範囲201内に配置することができる。
【0078】
[実施例3]
次に、実施例3に係る位置判定装置について説明する。図6に、本開示の実施例3に係る位置判定システムの動作手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS401において、飛行体200のフライトプラン(飛行計画)設定時に、飛行体200の配置位置の測位精度を選択する。測位精度には、例えば、飛行体200の占有範囲と飛行計画で予め設定された所定範囲との差が比較的小さい「細かな精度」と、飛行体200の占有範囲と飛行計画で予め設定された所定範囲との差が比較的大きい「ある程度の精度」がある。測位精度として、ユーザは、実際に飛行体200が配置される位置の測位精度について、「細かな精度」を要求するか、あるいは、「ある程度の精度」を要求するかを選択してよい。「細かな精度」及び「ある程度の精度」の具体例については後述する。
【0079】
次に、ステップS402において、位置判定装置100は、フライトプラン及び測位精度に基づいて、飛行体200の初期位置を測位し、ユーザに表示する。例えば、位置判定装置100は、ユーザが所持している端末等(図示せず)に飛行体200の初期位置に関する情報を表示するようにしてよい。
【0080】
次に、ステップS403において、飛行体200の初期位置が所定範囲201の外であった場合、位置判定装置100は所定範囲201を示すエリアをAR(Augmented Reality:拡張現実)画像により表示する。位置判定装置100が所定範囲201を示すエリアを表示する表示先はユーザ端末でもよい。また、表示方法はARには限られず、何らかの画像として表示したり、地図上に表示したりしてもよい。AR画像によって、飛行体200が配置された場所の周辺の画像に所定範囲201を示す枠等を飛行体200の画像に重畳表示し、配置すべき所定範囲201を示すことができる。これにより、ユーザは飛行体200の初期位置を所定範囲201内に配置するための移動方向および移動量を容易に把握することができる。
【0081】
次に、ステップS404において、所定範囲201を設定した後、その中心点を正しい初期位置に合わせる。
【0082】
このような工程を、再配置を促す前に実行することにより、図7に示すように、x0-y0-z0からなる飛行体200の占有範囲202が、X1-Y1-Z1からなる所定範囲201に包含され、飛行体200が正しい初期位置に設定されることが保証され、正しい初期位置からどれくらいずれているかを算出することができる。算出された補正量に基づいて、ユーザは再配置を行うことができる。
【0083】
次に、ステップS405において、ユーザは、ARグラスにより表示を見ながら、飛行体200を所定範囲201内に再配置する。AR画像はARグラスに表示してよい。ARグラスは、眼鏡型の表示装置であり、視界に合わせた画像を透明又は半透明のグラス上に表示することによって、実空間に画像が配置されている感覚をユーザに与えることができる。
【0084】
以上のようにして、飛行体200の初期位置が所定範囲201内に無い場合には、ユーザは、飛行体200の初期位置を所定範囲201内に移動させることができる。
【0085】
[所定範囲の設定方法]
次に、飛行体200を配置すべき所定範囲201の設定方法について説明する。位置判定装置100の設定部2(図1参照)は、移動体である飛行体200が移動を開始する度に、移動体である飛行体200のサイズおよび状態の少なくとも一方に応じて所定範囲を設定する情報の入力を受け付けることができる。ここで、「移動を開始する度」とは、飛行体200が出発地点から目標地点まで移動する場合に、途中の1ヶ所以上の中継地点において一旦停止し、再度移動(再移動)を開始する場合を含んでいる。また、このとき、飛行体200が再移動を行う全ての中継地点において、飛行体200の所定位置を設定し、飛行体200が、設定した所定範囲に配置されているか否かを判定する必要はない。即ち、飛行体200が最初に移動を開始する出発地点において所定範囲を設定するが、再移動を1回以上行う場合においては、1ヶ所以上の中継地点のうちのいずれの中継地点において所定範囲を設定してもよいし、あるいは、全ての中継地点において所定範囲を設定しなくてもよい。飛行体200が所定範囲に入っているか否かを判定する中継地点の数を増やすことにより、飛行体200の移動の飛行計画に対する正確性を向上させることができる。一方、飛行体200が所定範囲に入っているか否かを判定する中継地点の数を所定の範囲に限定することにより、出発地点から目標地点まで全体的な移動時間を短縮することができ、ユーザが必要に応じて、任意に選択することができる。
【0086】
飛行体200のサイズに関する情報及び飛行体200の状態に関する情報は、記憶部11に格納された飛行計画に関する情報に含まれてよい。飛行体200の状態に関する情報には、飛行体200が運搬する荷物を保持しているか否かに関する情報や、飛行体200と荷物を含めたサイズに関する情報等が含まれてよい。さらに、飛行体200の状態に関する情報には、飛行体200の位置、向き、及び姿勢に関する情報が含まれてよい。所定範囲201の設定方法には、大別して2つの方法があり、第1の方法は、飛行体200が占有する範囲を規定する物理的な長さに対して所定の長さを加えた範囲を許容範囲とすることにより、所定範囲を設定する方法であり、第2の方法は、飛行体200が占有する範囲を規定する物理的な長さを所定の比率で拡大させた長さを許容範囲とすることにより、所定範囲を設定する方法である。
【0087】
(第1の設定方法)
第1の設定方法は、飛行体200が占有する範囲を規定する物理的な長さに対して所定の長さを加えた範囲を許容範囲とすることにより、所定範囲を設定する方法である。この場合、第1の設定方法は、さらに、上述したように「細かな精度」を要求する場合と、「ある程度の精度」を要求する場合に分けられる。例えば、飛行体200が荷物を保持しておらず、飛行体200が単体で飛行する場合には、所定範囲と飛行体200が占有する範囲との間に細かな精度を要求するようにしてよい。一方、例えば、飛行体200が荷物を保持しているような場合には、細かな精度を要求する場合に比べて所定範囲の大きさを大きく設定した、ある程度の精度を要求するようにしてよい。
【0088】
設定部2は、入力を受け付けた情報に基づき、移動体である飛行体200の中心を含む空間を設定し、さらに当該空間の大きさに基づいて所定範囲を設定してよい。ここでは、一例として、飛行体200の中心を含む空間が直方体である場合を例にとって説明する。ただし、このような例には限定されず、飛行体200の中心を含む空間を任意の形状に設定してよい。
【0089】
図7に、本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲と所定範囲との関係を示す斜視図であって、細かな精度を要求する場合における飛行体の占有範囲と所定範囲との関係を示す。飛行体200の占有範囲202をx軸向にx0、y軸向にy0、z軸向にz0の大きさの直方体とした場合を例にとって説明する。この占有範囲202の大きさは、位置判定装置100の記憶部11に予め記憶されていてよい。あるいは、ユーザが、入力部12を用いて占有範囲202の大きさに関する情報を入力してよい。例えば、記憶部11に、飛行体200の識別情報と占有範囲に関する情報を紐づけて記憶させておき、ユーザが入力部12に飛行体200の識別情報を入力することにより、飛行体200の占有範囲に関する情報を取得するようにしてよい。
【0090】
この場合、所定範囲201をx軸向にX1、y軸向にY1、z軸向にZ1の大きさの直方体としたときに、X1=x0+10[cm]、Y1=y0+10[cm]、Z1=z0+10[cm]となるように設定してよい。即ち、所定範囲201の直方体の各辺X1、Y1、Z1の長さを飛行体200の占有範囲202の直方体の各辺x0、y0、z0のそれぞれに10[cm]を加えた長さとするものである。ただし、飛行体200の占有範囲202の各辺の長さと、所定範囲201の各辺の長さとの差分である「10[cm]」という長さは一例であって、このような例には限定されない。
【0091】
「細かな精度」を要求するか否かの判断基準として、例えば、飛行体200を給電ポイントに確実に接続したい場合、飛行体200が航行する飛行経路の周囲の安全確保が万全ではない場合、他人の土地又はその上空に飛行体200を落下又は通過させたくない場合、飛行体200の事故時に損害保険を確実に適用させるために厳密に正しい位置から飛行体200を飛行させたい場合等、飛行体200の設置場所を厳密に指定したい場合等に選択してよい。
【0092】
一方、図8に、本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲と第2の所定範囲との関係を示す斜視図であって、「ある程度の精度」を要求する場合における飛行体の占有範囲と第2の所定範囲との関係を示す。図8において、飛行体200は、荷物400を保持している場合を例示している。設定部2は、入力を受け付けた情報に基づき、移動体である飛行体200および移動体である飛行体200が運搬する荷物400を包含する空間を設定し、さらに当該空間の大きさに基づいて所定範囲を設定してよい。図8において、飛行体200は荷物400を保持しているため、図7に示すように荷物400を保持していない場合に比べて、飛行体200の初期位置が許容される範囲は広くなってよい。飛行体200の占める占有範囲202´をx軸向にx0´、y軸向にy0´、z軸向にz0´の大きさの直方体とする。この場合、第2の所定範囲203をx軸向にX2、y軸向にY2、z軸向にZ2の大きさの直方体としたときに、X2=x0´+100[cm]、Y2=y0´+100[cm]、Z2=z0´+100[cm]となるように設定してよい。即ち、第2の所定範囲203の直方体の各辺X2、Y2、Z2の長さを飛行体200の占有範囲202´の直方体の各辺x0´、y0´、z0´のそれぞれに100[cm]を加えた長さとするものである。ただし、飛行体200の占有範囲202の各辺の長さと、第2の所定範囲203の各辺の長さとの差分である「100[cm]」という長さは一例であって、このような例には限定されない。
【0093】
「ある程度の精度」を要求するか否かの判断基準は、例えば、飛行体200の飛行経路における安全確保がされたエリアであると判断できるか否かである。例えば、ユーザが「細かな精度」を要求する場合ほどの厳密性を求めていない場合に「ある程度の精度」を選択してよい。
【0094】
(第2の設定方法)
第2の設定方法は、飛行体200が占有する範囲を規定する物理的な長さを所定の比率で拡大させた長さを許容範囲とすることにより、所定範囲を設定する方法である。この場合、第1の設定方法は、さらに、「細かな精度」を要求する場合と、「ある程度の精度」を要求する場合に分けられる。
【0095】
図7に、本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲と所定範囲との関係を示す斜視図であって、「細かな精度」を要求する場合における飛行体の占有範囲と所定範囲の関係をに示す。飛行体200の占有範囲202をx軸向にx0、y軸向にy0、z軸向にz0の大きさの直方体とした場合を例にとって説明する。この場合、所定範囲201をx軸向にX1、y軸向にY1、z軸向にZ1の大きさの直方体としたときに、X1=x0+x0×10[%]、Y1=y0+y0×10[%]、Z1=z0+z0×10[%]となるように設定してよい。即ち、所定範囲201の直方体の各辺X1、Y1、Z1の長さを飛行体200の占有範囲202の直方体の各辺x0、y0、z0をそれぞれ10%増加させた長さとするものである。ただし、飛行体200の占有範囲202の各辺の長さと、所定範囲201の各辺の長さとの差分の比率である「10[%]」という値は一例であって、このような例には限定されない。
【0096】
一方、図8に、本開示の一実施形態に係る位置判定システムにより判定する対象である飛行体の占有範囲と第2の所定範囲との関係を示す斜視図であって、ある程度の精度」を要求する場合における飛行体200の占有範囲202´と第2の所定範囲203との関係を示す。飛行体200の占有範囲202´をx軸向にx0´、y軸向にy0´、z軸向にz0´の大きさの直方体とした場合を例にとって説明する。この場合、第2の所定範囲203をx軸向にX2、y軸向にY2、z軸向にZ2の大きさの直方体としたときに、X2=x0´+x0´×100[%]、Y2=y0´+y0´×100[%]、Z2=z0´+z0´×100[%]となるように設定してよい。即ち、第2の所定範囲203の直方体の各辺X2、Y2、Z2の長さを飛行体200の占有範囲202の直方体の各辺x0´、y0´、z0´をそれぞれ100[%]増加させた長さとするものである。ただし、飛行体200の占有範囲202の各辺の長さと、第2の所定範囲203の各辺の長さとの差分の比率である「100[%]」という値は一例であって、このような例には限定されない。
【0097】
第2の設定方法のように、飛行体200の占有範囲と所定範囲の差分を、占有範囲を規定する直方体の辺の長さのパーセンテージで示す理由は、定期巡行される飛行体、飛行許可を取った飛行体など、飛行体のサイズ及び目的が同一の場合、飛行体200の占有範囲と所定範囲の差分を物理的距離で示すよりも、ユーザにとって直感的にわかりやすい場合があるためである。
【0098】
ユーザは、フライトプラン設定時に、実際に飛行体200が配置される位置の測位精度について、「細かな精度」を要求するか、あるいは、「ある程度の精度」を要求するかを選択してよい。
【0099】
位置判定装置100は、実際に飛行体200が配置された場合に、事前に設定されたフライトプラン(飛行体200のサイズを含む)、及びユーザが選択した測位精度に基づき、飛行体200の位置を測位し、ユーザに表示する。
【0100】
実際にドローンが配置された位置が、許容範囲の外であった場合、ユーザに対して許容範囲内にドローンを再配置できるよう、サーバは許容範囲を示すエリアを、AR画像により表示し、ユーザはARグラス等によりこれを見ながら、ドローンの再配置を行うことができる。
【0101】
(第3の設定方法)
第3の設定方法は、飛行体200の初期位置を基準として、許容される範囲の所定範囲201空間をユーザが定義する方法である。
【0102】
まず、ユーザが飛行体200(例えば、ドローン)を置くべき初期位置を設定する。初期位置を設定する手段は、例えば、特定の位置情報(緯度経度情報等)が入力されることにより設定されたり、ユーザが任意の場所に任意の測位装置を置き、その測位装置が出力した測位結果が初期位置として設定されてもよい。
【0103】
次に、ユーザが設定した飛行体200の初期位置を基準(中心)として、許容される範囲の所定範囲201空間をユーザが定義する。
【0104】
次に、ユーザが飛行体200を初期位置に置く。
【0105】
次に、置かれた飛行体200の測位部23が自身の位置を測位し、当該測位結果の座標が、上記で定義した所定範囲201空間内であるか否かを位置判定装置100が判定する。
【0106】
位置判定装置100による上記の判定の結果、飛行体200の初期位置が所定範囲201空間の外であった場合は、位置判定装置100は、ユーザに飛行体200の再配置を促す。
【0107】
以上のように、第3の設定方法によれば、第1の設定方法のように、飛行体200の占有範囲202である、最初のx0-y0-z0空間定義の必要がない、即ち、飛行体200のサイズをユーザが知らなくてもよい、という効果が得られる。
【0108】
[所定範囲と初期位置との関係]
次に、飛行体200の占有範囲202及び所定範囲201に基づいて、飛行体200の初期位置が許容される範囲の設定方法について説明する。図9に、本開示の一実施形態に係る位置判定システム1000により、飛行体200の占有範囲202および第2の所定範囲203から初期位置を算出する手順を説明するための平面図を示す。ここでは、説明を簡単にするために2次元平面上における配置について説明する。まず、飛行体200を出発地点に配置した際の飛行体200の初期位置をP0とする。初期位置P0は、飛行体200の重心点等であってよい。ただし、初期位置P0は、このような例には限られず、飛行体200の占有範囲202に含まれる任意の点であってよい。このときに飛行体200が占める占有範囲202は、x軸方向にx0´、y軸方向にy0´の長さの長方形となる。
【0109】
次に、飛行体200の占有範囲202を所定の長さ、または、所定の倍率で拡大した第2の所定範囲203を設定する。第2の所定範囲203は、例えば、x軸方向にX2、y軸方向にY2の長さの長方形となる。また、第2の所定範囲203の4つのコーナーをA,B,C,Dとする。
【0110】
コーナーAにおいて、飛行体200の占有範囲202と第2の所定範囲203とが重なるように占有範囲202を移動させ、このときの占有範囲を202aとする。このとき、飛行体200の初期位置は点P0から点P1に移動する。
【0111】
同様に、飛行体200の占有範囲202を第2の所定範囲203のコーナーB,C,Dに重なるように移動させると、飛行体200の占有範囲は202b、202c、202dのように配置され、初期位置は点P2、P3、P4のように移動する。
【0112】
以上より、飛行体200の占有範囲202を第2の所定範囲203から出ないように移動させたときの最大の範囲は、図9において許容範囲204で示される範囲である。即ち、飛行体200の初期位置が許容範囲204の内側であれば許容されることになる。
【0113】
上記の説明では2次元平面上における飛行体200の初期位置と第2の所定範囲203との関係について説明したが、図10に、z軸方向の範囲を考慮した3次元空間における飛行体200の初期位置と第2の所定範囲203との関係を示す。
【0114】
図10に示すように、第2の所定範囲203内で飛行体200の占有範囲202を移動させたときに、占有範囲202が第2の所定範囲203のコーナーの点E、F、G、Hに接した時の飛行体200の初期位置の座標P5~P8を算出する。
【0115】
そうすると、点P1~P8で規定される直方体の領域が、飛行体200の初期位置が許容される許容範囲204となる。即ち、飛行体200の初期位置の座標が許容範囲204内に含まれる場合は、飛行体200は第2の所定範囲203内に配置されていると判定することができる。
【0116】
図11に、本開示の一実施形態に係る位置判定装置により判定する対象である飛行体の占有範囲および第2の所定範囲から初期位置を算出する手順を説明するフローチャートを示す。まず、ステップS501において、飛行体200の占有範囲202を設定する。
【0117】
次に、ステップS502において、飛行体200の占有範囲202が第2の所定範囲203内で最大限動ける端点P1~P8を算出する。
【0118】
次に、ステップS503において、端点P1~P8で囲まれた範囲を許容範囲204に設定する。
【0119】
次に、ステップS504において、飛行体200の初期位置の座標(x,y,z)は許容範囲204内か否かを判定する。
【0120】
飛行体200の初期位置の座標(x,y,z)が許容範囲204内である場合は、処理を終了する。
【0121】
一方、飛行体200の初期位置の座標(x,y,z)が許容範囲204内ではない場合は、ステップS505において、飛行体200の初期位置の補正量を算出する。
【0122】
上記の説明において、飛行体200の占有範囲202、第1の所定範囲201、第2の所定範囲203の形状を直方体とした例について説明したが、このような例には限られず、任意の形状としてよい。
【0123】
また、上記の説明において、飛行体200が3次元空間を航行する場合を例にとって説明したが、道路等、2次元平面上を移動する移動体に対しても、同様に本発明を適用することができる。
【0124】
以上説明したように、本開示の一実施形態に係る位置判定装置によれば、移動体の初期位置が所定の領域に配置されているか否かを容易に判定することができる。例えば、本開示の一実施形態に係る位置判定装置によれば、移動体が、予め設定された位置の近傍から移動したことを確認することができる。
【0125】
上記の実施形態において、位置判定装置100および飛行体200を構成する各部の構成要素は、ソフトウェアにより実現されてもよく、あるいは、1つ以上のハードウェアにより実現されてもよい。上記各部の構成要素がソフトウェアにより実現される場合は、その処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 取得部
2 設定部
3 判定部
4 出力部
5 決定部
6 指示部
7 警告部
8 算出部
9 通信部
11、26 記憶部
10、20 制御部
12 入力部
13 表示部
14 データ格納部
15、30 内部バス
21 経路情報取得部
22 移動制御部
23 測位部
24 通信部
25 撮像部
27 ロータ
28 ロータ制御部
29 電源部
100 位置判定装置
200 飛行体
201 所定範囲
202 占有範囲
203 第2の所定範囲
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11