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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084439
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】時計のアフターサービス実施方法
(51)【国際特許分類】
   G04D 7/12 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G04D7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198714
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 透
(72)【発明者】
【氏名】長濱 利岳
(72)【発明者】
【氏名】青木 駿成
(57)【要約】
【課題】水晶振動子のエージングの影響を低減し、時刻精度を長期間維持できる時計のアフターサービス実施方法の提供。
【解決手段】歩度を複数段階で調整可能な第1スイッチと、第1スイッチで調整可能な歩度の調整範囲を第1範囲から第2範囲へ切り替える第2スイッチと、を備える時計のアフターサービス実施方法であり、時計の歩度を測定する測定工程と、測定した歩度と第1スイッチで設定された調整値とに基づいて、歩度調整が必要であるかと、歩度の調整値が第1範囲内であるかを判定する判定工程と、歩度調整が必要で調整値が第1範囲内と判定した場合に、第1スイッチで調整値を設定する第1設定工程と、歩度調整が必要で調整値が第1範囲では調整できないと判定した場合に、第2スイッチで歩度の調整範囲を第2範囲に切り替え、第1スイッチで調整値を設定する第2設定工程と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子を用いて時刻精度を維持し、歩度を複数段階で調整可能な第1スイッチと、
第1スイッチで調整可能な歩度の調整範囲を第1範囲から第2範囲へ切替可能な第2スイッチと、
を備える時計のアフターサービス実施方法であって、
時計の歩度を測定する工程と、
測定した前記歩度と前記第1スイッチで設定されている調整値とに基づいて、歩度調整が必要であるか否かと、前記歩度を目標範囲に調整する調整値が前記第1範囲内であるか否かと、を判定する判定工程と、
前記判定工程において、歩度調整が必要であり、前記調整値が前記第1範囲内であると判定した場合に、前記第1スイッチを切り替えて前記調整値を設定する第1設定工程と、
前記判定工程において、歩度調整が必要であり、前記調整値が前記第1範囲では調整できないと判定した場合に、前記第2スイッチによって前記歩度の調整範囲を前記第2範囲に切り替え、かつ、前記第1スイッチを切り替えて前記調整値を設定する第2設定工程と、
を備える時計のアフターサービス実施方法。
【請求項2】
請求項1に記載の時計のアフターサービス実施方法において、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、時計の裏蓋を外した状態で操作可能に設けられ、
前記第1設定工程および前記第2設定工程は、時計のケースから裏蓋を取り外した状態で、かつ、ムーブメントを前記ケースから取り外すことなく実行される
ことを特徴とする時計のアフターサービス実施方法。
【請求項3】
請求項1に記載の時計のアフターサービス実施方法において、
第2範囲によって調整可能な歩度の調整値は、第1範囲によって調整可能な歩度の調整値に比べて、時計を遅らせる方向の調整値に設定されている
ことを特徴とする時計のアフターサービス実施方法。
【請求項4】
請求項1に記載の時計のアフターサービス実施方法において、
前記第1スイッチは、
複数の論理緩急設定パターンが配置される回路基板と、
前記論理緩急設定パターンと導通可能な導通部を有し、前記回路基板に対して回動することで前記導通部と導通する前記論理緩急設定パターンを選択可能なロータリースイッチと、を備え、
前記第1スイッチの切り替えは、前記ロータリースイッチを回転することで実行される
ことを特徴とする時計のアフターサービス実施方法。
【請求項5】
請求項1に記載の時計のアフターサービス実施方法において、
前記第2スイッチの切り替えは、回路基板に設けられた緩急範囲設定パターンの切断部を切断することで実行される
ことを特徴とする時計のアフターサービス実施方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計のアフターサービス実施方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器を有する時計では、個々の水晶振動子のバラツキを調整するため、時計の製造時に、水晶発振器の信号を分周する分周回路の分周比を可変して歩度緩急を行う方法が提案されている。例えば、特許文献1には、回転スイッチで構成される第1の緩急装置と、パターンの切断部によって形成される第2の緩急装置との2種以上の緩急装置を設けている。そして、第1の緩急装置では、3つの端子C1,C2,C3に、2本のバネ性腕を有する緩急スイッチレバーを選択的に接触させることで、バイナリーカウンターの2段目・3段目・4段目(8KHz・4KHz・2KHz)信号を7水準で組合せ、第2の緩急装置では、2つの端子C4、C5をVDD端子に導通した状態に維持したり、導通パターンをプレスやレーザーで切断することで、バイナリーカウンターの5段目・6段目(1KHz・0.5KHz)信号を4水準で組合せている。すなわち、時計の製造時に、第1の緩急装置および第2の緩急装置をそれぞれ設定することで、時計体のケーシングによる歩度変動やアフターサービス上の緩急範囲等を考慮して歩度を調整している。このような緩急装置を備えることで、月差±15秒程度の精度の時計を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭61-11669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水晶発振回路から出力される基準クロック信号を分周して基準信号を生成し、この基準信号に基づいて時刻を計時する時計において、1年間の時刻の進み遅れの累積値が±20秒程度の時刻精度を表した高精度な時計、いわゆる年差時計が知られている。
年差時計のような高精度な時計において、水晶振動子のエージングの影響を低減し、時刻精度を長期間維持できることが望まれる。前記特許文献1の時計では、水晶振動子のエージングによる歩度変化は考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の時計のアフターサービス実施方法は、水晶振動子を用いて時刻精度を維持し、歩度を複数段階で調整可能な第1スイッチと、第1スイッチで調整可能な歩度の調整範囲を第1範囲から第2範囲へ切替可能な第2スイッチと、を備える時計のアフターサービス実施方法であって、時計の歩度を測定する工程と、測定した前記歩度と前記第1スイッチで設定されている調整値とに基づいて、歩度調整が必要であるか否かと、前記歩度を目標範囲に調整する調整値が前記第1範囲内であるか否かと、を判定する判定工程と、前記判定工程において、歩度調整が必要であり、前記調整値が前記第1範囲内であると判定した場合に、前記第1スイッチを切り替えて前記調整値を設定する第1設定工程と、前記判定工程において、歩度調整が必要であり、前記調整値が前記第1範囲では調整できないと判定した場合に、前記第2スイッチによって前記歩度の調整範囲を前記第2範囲に切り替え、かつ、前記第1スイッチを切り替えて前記調整値を設定する第2設定工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の時計を示す正面図である。
図2】実施形態の時計を示す裏面図である。
図3】実施形態の時計の裏蓋を外した状態を示す裏面図である。
図4】実施形態の時計のムーブメントの要部を示す裏面図である。
図5】実施形態のムーブメントの回路基板の要部を示す平面図である。
図6】実施形態の回路基板に設けられるロータリースイッチを示す斜視図である。
図7】実施形態の時計の第1スイッチおよび第2スイッチを示す概略回路図である。
図8】実施形態の時計を示すブロック図である。
図9】歩度調整のアフターサービス実施方法を示すフローチャートである。
図10】変形例の回路基板の要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示のアフターサービス実施方法の対象となる時計1を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態の説明において、平面視とは、文字板3に直交する方向つまり指針軸の軸方向から見た状態を意味し、側面視とは、指針軸に垂直な方向から見た状態を意味する。
図1は時計1を示す正面図であり、図2は時計1を示す裏面図であり、図3は裏蓋8を外した状態の裏面図である。図2および図3の上側が6時側、下側が12時側である。本実施形態の時計1は、時計1の裏面側からパワーリザーブ針5を視認可能なスケルトンタイプの時計である。
時計1は、ユーザーの手首に装着される腕時計であり、円筒状の外装ケース2を備え、外装ケース2の内周側に、文字板3が配置されている。外装ケース2の二つの開口のうち、表面側の開口は、カバーガラスで塞がれており、裏面側の開口は裏蓋8で塞がれている。裏蓋8は、リング状の枠8Aと、枠8Aに取り付けられた裏蓋ガラス8Bとで構成されている。
【0008】
時計1は、外装ケース2内に収容されたムーブメント10と、図1に示す時刻情報を指示する時針4A、分針4B、秒針4Cと、図2に示すぜんまいの巻上げ残量を指示するパワーリザーブ針5とを備えている。文字板3には、カレンダー小窓3Aが設けられており、カレンダー小窓3Aから、日車6が視認可能となっている。
【0009】
図2、3に示す回転錘31には、開口314が形成され、回転錘31の位置によってパワーリザーブ針5が視認できないことが少なくなるように構成されている。
後述する輪列受12の裏面には、扇形の目盛部12Aが設けられている。この目盛部12Aをパワーリザーブ針5が指示することで、ぜんまいの巻上げ残量を表示できる。
【0010】
外装ケース2の側面には、りゅうず7が設けられている。りゅうず7は、時計1の中心に向かって押し込まれた0段位置から1段位置および2段位置に引き出されて移動することができる。
りゅうず7を0段位置で回転すると、後述するように、ムーブメント10に設けた機械的エネルギー源であるぜんまいを巻き上げることができる。ぜんまいの巻上げに連動して、パワーリザーブ針5が移動する。
りゅうず7を1段位置に引いて回転すると、後述する切換機構40によってりゅうず7の回転が伝達される歯車が切り替わり、日車6を移動して日付を合わせることができる。りゅうず7を2段位置に引くと秒針4Cが停止し、2段位置でりゅうず7を回転すると、切換機構40によってりゅうず7の回転が伝達される歯車が切り替わり、時針4A、分針4Bが移動して時刻を合わせることができる。切換機構40の構成や、りゅうず7による日車6や時針4A、分針4Bの修正方法は、従来の機械時計と同様であるため説明を省略する。
【0011】
[ムーブメント]
次に、ムーブメント10について、図2および図3に加えて、図4も参照して説明する。図4は、輪列受12を取り外したムーブメント10の要部を裏蓋8側から見た裏面図である。図4では、りゅうず7が取り付けられる巻真41が配置される3時側を上側、9時側を下側、12時側を右側、6時側を左側にしている。
ムーブメント10は、図4に示すように、時刻表示用輪列20と、巻上機構30と、切換機構40と、パワーリザーブ機構60と、発電機70と、回路部80とを備えている。
【0012】
時刻表示用輪列20は、香箱車21と、図示略の二番車と、三番車23と、四番車24と、五番車25と、六番車26とを備えている。香箱車21には、ぜんまいが収納され、ぜんまいの中心側の端縁は香箱真に取り付けられている。香箱真には、香箱真と一体に回転する角穴車211が取り付けられている。
このため、角穴車211を回転することで機械的エネルギー源であるぜんまいを巻き上げることができ、このぜんまいの巻き上げで蓄積される機械的エネルギーによって香箱車21が回転すると、二番車、三番車23、四番車24、五番車25、六番車26が順次回転する。六番車26は、発電機70のローターかなに噛合しており、六番車26が回転すると、発電機70のローター71が回転する。なお、ローター71には、ローター71を安定して回転させるためのローター慣性円板72が取り付けられている。
二番車には図示略の筒かなが取り付けられ、四番車24には図示略の秒針軸が取り付けられている。また、筒かなの外周には、図示略の日の裏車を介して筒かなの回転が伝達される筒車が配置されている。筒車、筒かな、秒針軸には、それぞれ時針4A、分針4B、秒針4Cが取り付けられている。
【0013】
巻上機構30は、自動巻上機構と、手動巻上機構とを備えている。
自動巻上機構は、図2および図3に示す回転錘31、ベアリング32と、図4に示す偏心車33、爪レバー34、伝え車35とを備える。
回転錘31は、錘体部311および重錘部312を備えている。錘体部311は、薄板状に形成され、ベアリング32に固定される中心軸部313と、開口314とを備えている。重錘部312は、錘体部311の外周に連続して形成され、錘体部311に比べて肉厚に形成されている。すなわち、回転錘31は、錘体部311および重錘部312が一体に形成されている。なお、錘体部311は平面視で輪列受12に重なるが、重錘部312は輪列受12に重ならないように構成されている。
ベアリング32は、回転錘31を回動自在に軸支する軸受である。
【0014】
偏心車33は、ベアリング32の外輪に設けられる歯車に噛合しており、回転錘31の回動に連動して正逆両方向に回動する。また、偏心車33は、偏心車33の回転軸から偏心して設けられた偏心軸を備えている。
爪レバー34は、偏心車33の偏心軸に回動自在に取り付けられている。偏心車33が回転錘31に連動して回動すると、偏心車33に取り付けられた爪レバー34は、伝え車35に近づく方向および遠ざかる方向に進退運動し、伝え車35を一方向に回転する。
伝え車35のカナは、角穴車211に噛み合っており、角穴車211は伝え車35の回転に連動して一方向に回転する。角穴車211が回転すると、香箱真が回転し、ぜんまいが巻き上げられる。
【0015】
手動巻上機構は、図4に示すように、りゅうず7が取り付けられる巻真41と、図示略のつづみ車と、きち車43と、丸穴車44と、角穴第1伝え車45と、角穴第2伝え車46と、角穴第3伝え車47とを備える。角穴第2伝え車46は別体のカナと歯車が同軸に配置されて一体で回転し、角穴第3伝え車47は、伝え車35のカナに噛み合っている。このため、りゅうず7を回転することで、伝え車35を介して角穴車211および香箱真が回転し、ぜんまいが巻き上げられる。
したがって、本実施形態の時計1では、自動巻上機構および手動巻上機構のいずれによっても、ぜんまいを巻き上げることができる。なお、時計1としては、自動巻上機構または手動巻上機構の一方のみを設けてもよい。
【0016】
切換機構40は、りゅうず7の引き出し操作に応じて、りゅうず7の回転力の伝達先を切り換える機構であり、巻真41、つづみ車、きち車43、オシドリ、カンヌキ、カンヌキ押え、小鉄レバー、小鉄車等を備えている。これらの切換機構40の構成は、一般的な機械時計と同様であるため、説明を省略する。
【0017】
パワーリザーブ機構60は、駆動源であるぜんまいの巻上げ残量を表示する機構である。パワーリザーブ機構60は、遊星歯車機構61と、巻上げ表示輪列62と、巻戻し表示輪列63と、巻印第1中間車64と、巻印第2中間車65と、巻印車66と、図3に示す輪列受12上に配置された扇形の目盛部12Aと、パワーリザーブ針5とを備える。目盛部12Aには、パワーリザーブ針5が指示する略帯状の目盛が表示されている。なお、駆動源であるぜんまいの巻上げ残量によって、時計1の持続時間が推定できるため、目盛部12Aに持続時間を示す数字を印字すれば、パワーリザーブ針5で持続時間を指示できる。
【0018】
巻上げ表示輪列62は、香箱真に噛み合う歯車を含む複数の歯車で構成され、香箱真の回転、つまりぜんまいの巻上げ操作に連動して回転する。この香箱真の回転は、巻上げ表示輪列62を介して遊星歯車機構61に伝達される。
巻戻し表示輪列63は、香箱車21に噛み合う歯車を含む複数の歯車で構成され、香箱車21の回転、つまりぜんまいの巻き戻しに連動して回転する。この香箱車21の回転は、巻戻し表示輪列63を介して遊星歯車機構61に伝達される。
【0019】
遊星歯車機構61は、詳細は省略するが、ぜんまいの巻き上げに連動して巻印第1中間車64を第1方向に回転し、ぜんまいの巻き戻しに連動して巻印第1中間車64を第1方向とは逆の第2方向に回転するように構成されている。
巻印第1中間車64は、巻印第2中間車65を介して巻印車66を回転する。巻印車66の軸には、パワーリザーブ針5が取り付けられている。
【0020】
発電機70は、図4に示すように、ローター71、ローター慣性円板72、コイルブロック73を備えて構成される。コイルブロック73は、各コアにコイルをそれぞれ巻線して構成されたものである。
したがって、発電機70は、外部からのトルクでローター71が回転すると、コイルブロック73によって誘起電力を発生し、電気エネルギーを出力する。また、コイルをショートさせることで、ローター71にブレーキを加えることができ、ブレーキ力を制御することで、ローター71の回転周期を一定に調速できる。
【0021】
回路部80は、回路基板500と、ICである電子制御回路100と、ロータリースイッチ600と、水晶振動子108と、整流回路、電源回路などの各種回路とを備えている。なお、本実施形態では、図4に示すように、電子制御回路100と水晶振動子108とは、収納容器内に封止されて1つのパッケージ90として構成されている。なお、電子制御回路100と水晶振動子108とは、1つのパッケージ90内に封入されるものに限定されず、電子制御回路100と水晶振動子108とを別々に回路基板500に取り付けてもよい。
回路基板500は、地板の裏面つまり裏蓋側の面に配置されている。この回路基板500には、パッケージ90等が取り付けられ、さらに、図5に示すように、回路基板500の端部には、論理緩急値を設定するために用いられる論理緩急設定パターン510、520、530と、ダミーパターン540とが形成されている。ロータリースイッチ600は、回路基板500の各パターン510、520、530、540が形成された端部、すなわちムーブメント10の外周部に設けられている。さらに、ロータリースイッチ600は、ムーブメント10において、時刻表示用輪列20、巻上機構30、切換機構40、パワーリザーブ機構60、発電機70と平面視で重ならない位置に設けられている。一方で、ロータリースイッチ600は、平面視で回転錘31の回転軌跡と重なる位置に配置されている。
【0022】
第1論理緩急設定パターン510は、パッド511と、配線部512と、接点部515とを備えている。
パッド511は、パッケージ90と平面的に重なる位置に形成され、パッケージ90の端子を介して電子制御回路100と電気的に導通する。配線部512は、パッド511と接点部515とを電気的に接続する。接点部515は、回路基板500に形成された貫通孔550の周囲に環状扇形に形成されている。
【0023】
第2論理緩急設定パターン520は、パッド521と、第1配線部522と、第2配線部523と、第1接点部525と、第2接点部526とを備えている。
パッド521は、パッケージ90と平面的に重なる位置に形成され、パッケージ90の端子を介して電子制御回路100と電気的に導通する。第1配線部522は、パッド521と第1接点部525とを電気的に接続し、第2配線部523は、第1接点部525と第2接点部526とを電気的に接続する。第1配線部522は、配線部512にほぼ沿って形成されている。第2配線部523は、第1接点部525および第2接点部526の外周に沿って円弧状に形成されている。第1接点部525および第2接点部526は、接点部515と同様に貫通孔550の周囲に環状扇形に形成されている。
【0024】
第3論理緩急設定パターン530は、パッド531と、第1配線部532と、第2配線部533と、第1接点部535と、第2接点部536とを備えている。
パッド531は、パッケージ90と平面的に重なる位置に形成され、パッケージ90の端子を介して電子制御回路100と電気的に導通する。第1配線部532は、パッド531と第1接点部535とを電気的に接続し、第2配線部533は、第1接点部535と第2接点部536とを電気的に接続する。第2配線部533は、第1接点部535および第2接点部536の外周に沿って円弧状に形成されている。第1接点部535および第2接点部536は、接点部515と同様に貫通孔550の周囲に環状扇形に形成されている。
【0025】
ダミーパターン540は、配線部542と、第1接点部545と、第2接点部546と、第3接点部547とを備えている。第1接点部545は、第2配線部523の内周側、つまり第1接点部525および第2接点部526の間に形成されている。第2接点部546は、第2配線部533の内周側、つまり第1接点部535および第2接点部536の間に形成されている。第3接点部547は、接点部515と第1接点部535との間に形成されている。
配線部542は、貫通孔550の外周に沿って円弧状に形成され、さらに第1接点部545、第2接点部546、第3接点部547に電気的に接続されている。この配線部542は、回路基板500に形成された貫通孔560の位置まで延長されている。
【0026】
回路基板500に形成される各パターン510、520、530、540は、回路基板500の表面に銅箔および金メッキを積層して形成されている。また、回路基板500上に銅箔によってパターンを形成した際には、ダミーパターン540は、論理緩急設定パターン510に導通されている。この状態で銅箔上に金メッキを形成する。その後、貫通孔560を加工してダミーパターン540と論理緩急設定パターン510とを分離している。これにより、各パターン510、520、530、540に金メッキを同時に形成することができ、各パターン510、520、530、540の製造効率を向上できる。
【0027】
[ロータリースイッチ]
ロータリースイッチ600は、図6に示すように、図示略の地板に取り付けられる軸部材610と、軸部材610に回転自在に挿入された保持部品620と、保持部品620を回路基板500側に付勢するコイルばね630と、保持部品620に保持されるスイッチレバー700とを備えている。
【0028】
保持部品620は、円筒状に形成されて前記軸部材610に対して回動自在に取り付けられた回転軸部621と、回転軸部621の外周部分に形成されたフランジ部622とを備えて構成されている。
コイルばね630は、保持部品620のフランジ部622と、受け部品14との間に配置されている。受け部品14は、地板と間隔を離して配置されて前記軸部材610の先端に対向配置される部品であり、図3に示すように、輪列受12の外側であり、ムーブメント10の外周に沿って配置されている。受け部品14は、巻真41が配置された3時位置から12時位置を介して発電機70のコイルブロック73が配置された10時位置まで円弧状に形成され、輪列受12で覆われていない回路基板500の一部などを覆う位置に配置されている。受け部品14は、金属製の板材で構成されて、耐磁部品としても機能する。また、回路受け等の部品を介して回路基板500を押さえることもでき、この場合は、回路押さえ板としても機能する。
【0029】
スイッチレバー700は、図6に示すように、回転軸部621の外周に嵌合される嵌合穴が形成された基部710と、基部710から互いに反対方向に延出された一対のスイッチアーム720と、基部710から互いに反対方向に延出された操作アーム730とを備えて構成されている。スイッチアーム720と操作アーム730とは、平面視で互いに直交する方向に配置されている。
【0030】
各スイッチアーム720は、回路基板500の表面に沿って配置され、スイッチアーム720の先端には回路基板500に向かって突出する導通部721が形成されている。導通部721の表面は球面状に形成されている。
操作アーム730は、基部710から裏蓋側に延出され、さらに外周側に延出されている。操作アーム730の外周端部には、溝731が形成されている。輪列受12には、図3に示すように、操作アーム730の裏蓋側に配置され、操作アーム730の移動軌跡に沿って円弧状に形成された目盛部951が形成されている。目盛部951には、30度間隔で6箇所に目盛が形成されている。さらに、輪列受12には、プラス記号と、マイナス記号も表記されている。このため、操作アーム730の先端は、輪列受12の目盛部951と平面視で重なる位置に設けられ、操作アーム730の先端以外は平面視で輪列受12の外周側に配置される。
また、受け部品14は、図3に示すように、平面視で軸部材610に重なる部分を挟んで円弧状の溝が形成されている。この溝の外周は、輪列受12の目盛部951に連続しており、受け部品14および目盛部951間には操作アーム730が露出する円弧状の溝が形成されている。したがって、例えばピンセットのような治具を溝に差し込むことで、操作アーム730を移動して操作することができる。
【0031】
図7に示すように、電源VSSに導通されたロータリースイッチ600と、ロータリースイッチ600の導通部721が接触される接点部515、第1接点部525、第2接点部526、第1接点部535、第2接点部536とで第1スイッチ51が構成されている。
【0032】
緩急範囲設定パターン570は、図5および図7に示すように、パッド571と、パッド571に接続された第1配線部572と、電源パッド580に接続された第2配線部573と、第1配線部572および第2配線部573を導通状態から切断状態に切替可能な切断部575とを有している。切断部575は、回路基板500に形成されたパターン切断孔501の範囲内に配置され、幅寸法が小さくされて治具で容易に切断できるように構成されている。電源パッド580は、VSSの電位に設定されており、切断部575が接続されている場合はパッド571の電位はVSSとされ、切断部575が切断された場合はパッド571の電位はVDDまたはオープンとされる。
したがって、第1配線部572および第2配線部573の導通をオン状態からオフ状態に切り替える切断部575によって第2スイッチ52が構成されている。
【0033】
次に、時計1の回路構成について図8のブロック図を参照して説明する。
時計1は、機械的エネルギー源としてのぜんまい210と、ぜんまい210のトルクを伝達するエネルギー伝達装置としての時刻表示用輪列20を備えて、時刻表示を行う時刻表示装置4と、前記時刻表示用輪列20を介して伝達されるトルクで駆動される発電機70と、整流回路106と、電源回路107と、水晶振動子108と、電子制御回路100とを備えた電子制御式機械時計である。
電子制御回路100は、SOI(Silicon on Insulator)プロセスによって製造されたICによって構成され、発振回路111、分周回路112、回転検出回路113、制動制御回路114、定電圧回路115および温度補償機能部120を備えて構成されている。
【0034】
時刻表示装置4は、時刻表示用輪列20と、時針4A、分針4B、秒針4Cの各指針と、日車6と、各指針の目盛および日窓を備える文字板3とを備えて構成されている。
発電機70は、ローター71が回転することで磁束が変化し、コイルに誘起電力を発生させて発電する。また、発電機70には、制動制御回路114で制御されるブレーキ回路が設けられている。ブレーキ回路は、発電機70の出力端子を短絡させてショートブレーキを掛けることで、発電機70を調速機としても機能させるものである。
発電機70には整流回路106が接続され、発電機70から供給された電気エネルギーは、整流回路106を介して、電源回路107の電源コンデンサーに充電され、電源コンデンサーの両端に発生する電圧(発電電圧)で電子制御回路100を駆動する。
整流回路106は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスター整流等からなり、発電機70からの交流出力を昇圧、整流して、電源回路107に充電供給するものである。
【0035】
発振回路111は、発振信号発生源である水晶振動子108を発振させる。そして、水晶振動子108の発振信号をフリップフロップからなる分周回路112に出力する。
分周回路112は、前記発振信号を分周して、複数の周波数(たとえば、2kHz~8Hz)のクロック信号を作成し、制動制御回路114や温度補償機能部120に必要なクロック信号を出力する。ここで、分周回路112から制動制御回路114に出力されるクロック信号は、後述するように、ローター71の回転制御の基準となる基準信号fs1である。
回転検出回路113は、発電機70に接続された図示しない波形整形回路とモノマルチバイブレーターとで構成され、発電機70のローター71の回転周波数を表す回転検出信号FG1を出力する。
【0036】
制動制御回路114は、回転検出回路113から出力される回転検出信号FG1と、分周回路112から出力される基準信号fs1とを比較し、発電機70の調速を行うための制動制御信号を発電機70のブレーキ回路に出力する。なお、基準信号fs1は、通常運針時のローター71の基準回転速度(例えば8Hz)に合わせた信号である。したがって、制動制御回路114は、ローター71の回転速度(回転検出信号FG1)と基準信号fs1との差に応じて制動制御信号のデューティー比を変更し、ブレーキ回路によるブレーキ力を調整し、ローター71の動きを制御する。
定電圧回路115は、電源回路107から供給される外部電圧を一定電圧(定電圧)に変換して供給する回路である。
【0037】
[温度補償機能部]
温度補償機能部120は、水晶振動子108等の温度特性を補償して発振周波数の変動を抑制するものであり、温度補償機能制御回路121と、温度補償回路130とを備える。
温度補償機能制御回路121は、所定のタイミングになると、温度補償回路130を動作させる。
温度補償回路130は、温度測定部である温度センサー131と、温度補正テーブル記憶部132と、個体差補正データ記憶部133と、演算回路135と、論理緩急回路136と、周波数調整制御回路137とを備える。
【0038】
温度センサー131は、時計1が使用されている環境の温度に応じた出力を演算回路135に入力する。
温度補正テーブル記憶部132は、理想的な水晶振動子108、および、理想的な温度センサー131の場合に、ある温度でどれだけ歩度を補正すればよいかが設定された温度補正テーブルを記憶している。
しかし、水晶振動子108や温度センサー131には製造による個体差が生じるため、あらかじめ製造や検査の工程で測定した、水晶振動子108の特性や、温度センサー131の特性を基に、どれだけ個体差を補正すれば良いかを設定した個体差補正データが個体差補正データ記憶部133に書き込まれている。
【0039】
演算回路135は、温度センサー131の出力(温度)と、温度補正テーブル記憶部132に記憶された温度補正テーブルと、個体差補正データ記憶部133に記憶された個体差補正データとを利用して、歩度の補正量を計算し、その結果を、論理緩急回路136および周波数調整制御回路137に出力する。
本実施形態では、論理緩急回路136および周波数調整制御回路137の2つの方法で歩度の調整を行っている。
【0040】
論理緩急回路136は、分周回路112の各分周段に所定のタイミングでセットもしくはリセット信号を入力することで、デジタル的にクロック信号の周期を長くしたり、短くしたりする回路である。
周波数調整制御回路137は、発振回路111の付加容量を調整することにより、発振回路111の発振周波数そのものを調整する回路である。
【0041】
論理緩急回路136には、回路基板500に形成された第1論理緩急設定パターン510、第2論理緩急設定パターン520、第3論理緩急設定パターン530、緩急範囲設定パターン570が接続され、これらの論理緩急設定パターン510~530に導通可能なロータリースイッチ600が設けられている。
【0042】
ロータリースイッチ600は、前述したように、ピンセット等の治具で操作アーム730を移動することで操作できる。そして、操作アーム730の溝731を目盛部951の各目盛の位置に合わせることで、スイッチアーム720の導通部721を6箇所の位置に移動して各パターン510~540に選択的に接触させることができる。すなわち、導通部721はロータリースイッチ600のスイッチレバー700を回転することで、スイッチレバー700の回転軸つまり回転軸部621や軸部材610の中心軸を中心とする円周上を摺動し、この円周上を摺動する導通部721の摺動領域において、各パターン510~540は同一円周上にそれぞれ形成されている。このため、導通部721は、ロータリースイッチ600のスイッチレバー700の回転によって、各パターン510~540に選択的に接触する。
そして、電子制御回路100の論理緩急回路136は、緩急範囲設定パターン570において切断部575が切断されているか否かで、緩急範囲つまり歩度の調整範囲を表1に示す第1範囲または第2範囲の一方に切り替える。また、論理緩急回路136は、導通部721がどのパターン510~530と接触しているか、あるいは導通部721がダミーパターン540のみに接触してパターン510~530とは接触していないこと、つまり導通部721と論理緩急設定パターン510~530の導通状態を検出すると、表1に示すように、第1範囲および第2範囲の各範囲内で、それぞれ6段階で論理緩急ステップを設定する。
【0043】
【表1】
【0044】
表1において、AS0は緩急範囲設定パターン570のパッド571で検出される信号(電位)を示し、AS1は第1論理緩急設定パターン510のパッド511で検出される信号を示し、AS2は第2論理緩急設定パターン520のパッド521で検出される信号を示し、AS3は第3論理緩急設定パターン530のパッド531で検出される信号を示す。緩急ステップは論理緩急の調整値であるステップを示し、例えば、-9から+2の範囲でステップをプラス方向に変化させた場合は、論理緩急は進み方向に補正され、マイナス方向に変化させた場合は遅れ方向に補正される。
表1において、「1」は各パッド511、521、531、571の信号(電位)が「VDD」または「オープン」とされた状態を示し、「0」は各パッド511、521、531、571の信号(電位)が「VSS」となっていることを示す。
本実施形態では、スイッチアーム720の電位はVSSに設定されているので、導通部721が接触したパターン510、520、530のパッド511、521、531は「VSS」つまり「0」となり、接触していないパターン510~530のパッド511、521、531は「1」となる。
【0045】
また、電源パッド580はVSSの電位に設定されているため、切断部575が接続されている場合は、パッド571は「VSS」であり、AS0は「0」となる。また、切断部575が切断された場合は、パッド571の電位はオープンとなり、AS0は「1」となる。
このため、表1に示すように、第2のスイッチである切断部575が接続されており、AS0が「0」の場合は、第1のスイッチであるロータリースイッチ600の操作で設定できる緩急ステップは「-3」~「+2」の6ステップであり、この範囲を第1範囲としている。
同様に、第2のスイッチである切断部575が切断され、AS0が「1」の場合は、第1のスイッチであるロータリースイッチ600の操作で設定できる緩急ステップは「-9」~「-4」の6ステップであり、この範囲を第2範囲としている。
【0046】
操作アーム730の溝731を各目盛に合わせると、操作アーム730に対して直交する方向に延出された各スイッチアーム720の導通部721は、図5の位置721A~721Fのいずれかの位置に移動する。これらの各位置721A~712Fに導通部721が移動することで、各導通部721は各パターン510、520、530、540に選択的に接触し、論理緩急値を設定することができる。
本実施形態では、導通部721が位置721Aに位置する場合、接点部515と第2接点部536とに接触するため、AS1、AS3が「0」、AS2が「1」となる。このため、第1範囲では緩急ステップ+2が設定され、第2範囲では緩急ステップ-4が設定される。同様に、導通部721が位置721B~721Fにそれぞれ位置する場合は、第1範囲では緩急ステップ+1~-3がそれぞれ設定され、第2範囲では緩急ステップ-5~-9がそれぞれ設定される。
【0047】
なお、ロータリースイッチ600は、操作アーム730の溝731を目盛部951に合わせて位置決めしており、操作時に回転位置を規制する機構は設けられていないため、作業者の操作によって、導通部721が各パターン510~540に跨がって配置される可能性がある。ここで、導通部721がダミーパターン540に跨がって配置された場合は、AS1、AS2、AS3の信号の組合せに影響しない。これに対し、一方のスイッチアーム720の導通部721が第1論理緩急設定パターン510の接点部515と第2論理緩急設定パターン520の第1接点部525とに跨がって配置された場合、他方のスイッチアーム720の導通部721は第3論理緩急設定パターン530の第2接点部536とダミーパターン540の第2接点部546とに跨がって配置される。この場合、スイッチアーム720は、パターン510、520、530に接触するため、AS1、AS2、AS3はすべて「0」となる。同様に、一方
のスイッチアーム720の導通部721が第2接点部526と、第2接点部536とに跨がって配置された場合、他方のスイッチアーム720の導通部721は接点部515に接触するため、AS1、AS2、AS3はすべて「0」となる。このように、AS1、AS2、AS3はすべて「0」となる場合、本実施形態では、導通部721が位置721Bに位置する場合と同じ緩急ステップである+1(第1範囲)、-5(第2範囲)に設定している。
【0048】
次に、アフターサービス実施方法について、図9のフローチャートを参照して説明する。
アフターサービスを実施する作業者は、アフターサービスに持ち込まれた時計1の歩度を、歩度測定器を用いて測定する(ステップS1)。
次に、測定した歩度に基づいて、歩度調整が必要であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2では、測定した歩度が、調整の有無を判定する判定値以下であれば、NOと判定し、アフターサービスでの歩度調整作業を終了する。一方、測定した歩度が、判定値よりも大きい場合は、YESと判定し、歩度調整作業を実行する。なお、ステップS2の判定値は、時計1の種類などに応じて設定されるが、時計1がいわゆる年差時計と呼ばれる高精度の時計である場合は、例えば±0.02sec/dayに設定される。
【0049】
ステップS2でYESと判定された場合、測定した歩度と、歩度の目標値とに基づいて、緩急ステップ数の調整量を算出する(ステップS3)。例えば、歩度の目標値が判定値と同様に±0.02sec/day以下に設定され、緩急ステップの1ステップの調整量が0.02sec/dayである場合に、測定した歩度が+0.03sec/dayであったとする。この場合、緩急ステップを-1ステップ調整すればよい。また、測定した歩度が+0.04sec/dayであった場合は、緩急ステップは-2ステップ調整すればよい。
なお、水晶振動子のエージング特性により、時計1の出荷後に長期間、例えば、1年以上経過すると、一般的には、時計の時刻は進むことが多いため、緩急ステップ数の調整量は歩度をマイナス値(すなわち時計の時刻を遅らせる)に調整すること、つまり緩急ステップをマイナス方向に調整することが多い。
【0050】
次に、ステップS3で算出した調整量と、現状の緩急ステップの設定値とから、緩急範囲の変更が必要であるか否かを判定する(ステップS4)。例えば、現状の緩急ステップが「-1」に設定されており、ステップS3で算出した調整量が「-2」であり、緩急ステップを「-3」に変更する場合は、第1範囲のままでよいため、緩急範囲の変更は不要、つまりステップS4でNOと判定する。
一方、現在の緩急ステップが「-2」に設定されており、ステップS3で算出した調整量が「-2」であり、緩急ステップを「-4」に変更する場合は、緩急範囲を第2範囲に変更する必要があるため、ステップS4でYESと判定する。
【0051】
ステップS4でYESと判定した場合、作業者は、第2スイッチ52の切断部575を、治具を用いて切断するパターン切断処理を実行する(ステップS5)。
すなわち、作業者は、裏蓋8を外し、回転錘31を移動して、輪列受12に形成された開口12Bを露出させる。この開口12Bは、切断部575に平面視で重なる位置に形成されており、開口12Bに切断部575が露出する。したがって、作業者は、開口12Bに切断用の治具を差し込むことで、切断部575を切断することができる。
【0052】
次に、調整後の緩急ステップ値となるように、ロータリースイッチ600を操作して調整する(ステップS6)。この際、ステップS5を実行している場合は、裏蓋8は外されているが、ステップS4でNOであった場合、裏蓋8は外されていないため、作業者は裏蓋8を外す。
次に、回転錘31をロータリースイッチ600と重なる位置から移動する。すると、図3に示すように、輪列受12の目盛部951と、受け部品14との間の溝からロータリースイッチ600が露出する。この溝部分に露出する操作アーム730を、ピンセットなどの治具を用いて操作することで、スイッチレバー700を回動して調整する。例えば、緩急ステップ値を「-3」に設定する場合は、導通部721を位置721Fに移動する。また、緩急ステップ値を「-4」に設定する場合は、ステップS5でパターンが切断されて第2範囲に設定されているので、導通部721を位置721Aに移動する。
以上により、水晶振動子108の経年劣化によって時刻精度が低下した場合には、アフターサービスにおいて歩度調整作業を行って論理緩急値を調整することで、時計1の時刻精度を維持できる。
なお、ステップS1により、時計の歩度を測定する工程が構成され、ステップS2、S3、S4により、測定した歩度と第1スイッチ51で設定されている調整値とに基づいて、歩度調整が必要であり、かつ、歩度を目標範囲に調整する調整値が第1範囲内であるか否かを判定する判定工程が構成されている。また、ステップS4でNOと判定した場合のステップS6により、判定工程において、歩度調整が必要であり、かつ、調整値が第1範囲内であると判定した場合に、第1スイッチ51を切り替えて調整値を設定する第1設定工程が構成されている。さらに、ステップS4でYESと判定した場合のステップS5およびステップS6により、判定工程において、歩度調整が必要であり、かつ、調整値が第1範囲では調整できないと判定した場合に、第2スイッチ52によって第1スイッチ51で調整可能な歩度の調整範囲を第2範囲に切り替え、かつ、第2範囲において、第1スイッチ51を切り替えて調整値を設定する第2設定工程が構成されている。
なお、ステップS3で算出された調整値が、予め設定された緩急範囲である「-9」~「+2」の範囲外である場合は、発振回路111の付加容量の調整などで対応すればよい。
【0053】
[実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、機械的エネルギー源であるぜんまい210からのトルクによって時刻を表示する電子制御式機械時計である時計1において、第1スイッチ51で設定可能な歩度の調整範囲を、第1範囲から第2範囲に変更する第2スイッチ52を設けたので、アフターサービスにおける歩度の調整範囲を2倍に増やすことができる。このため、水晶振動子108のエージングにより歩度が年々変化した場合でも、販売後のアフターサービスにおいて、裏蓋8を外してスイッチレバー700を回転したり、切断部575を切断することで、歩度のエージング変化量を補正することができ、アフターサービスでの歩度調整作業を容易に行うことができる。したがって、ぜんまい210を駆動源としながら、時刻表示用輪列20の調速を電子制御で行うことで、機械時計に比べて高精度な時計1の精度をアフターサービスで歩度を調整することで長期間維持することができる。
【0054】
時計1の製造時にもロータリースイッチ600を操作して歩度を調整することができる。このため、個別の水晶振動子108の特性のバラツキや、外装ケース2による歩度変動に対応することができ、高精度な時計1を出荷することができる。特に、本実施形態では、第1範囲では、初期設定つまり緩急ステップ「0」に対して、歩度を遅らせる緩急ステップ「-3」~「-1」だけではなく、歩度を進める緩急ステップ「+1」、「+2」も設定しているので、時計1の組立時に高精度に歩度を調整できる。
【0055】
ステップS1の歩度測定は裏蓋8を付けた状態で行えるため、ステップS2で歩度調整が不要と判断した場合は、裏蓋8の取り外し作業も不要にでき、アフターサービスの作業性を向上できる。
第1スイッチ51および第2スイッチ52は、裏蓋8を外すだけで操作可能であるため、アフターサービスによる歩度調整を容易に行うことができる。
すなわち、第1スイッチ51を構成するロータリースイッチ600の操作アーム730は、輪列受12の目盛部951と受け部品14との間の円弧状の開口に露出しているので、裏蓋8を外し、回転錘31を移動するだけで、第1スイッチ51を操作することができる。
また、第2スイッチ52は、輪列受12の開口12Bに露出しているので、裏蓋8を外し、回転錘31を移動するだけで、第2スイッチ52を操作することができる。
【0056】
第1スイッチ51をロータリースイッチ600で構成したので、緩急ステップを容易にかつ可逆的に切り替えることができる。
輪列受12には、ロータリースイッチ600の回転領域に重なる位置に開口が設けられ、この開口に沿って目盛部951が設けられて各目盛が表記されているので、ロータリースイッチ600の設定位置を適切に指示することができる。
また、ロータリースイッチ600をムーブメント10の外周部に設けたので、他の部品とレイアウト的に干渉することが少ないため、ムーブメント10の直径を大きくすることなく、ロータリースイッチ600を配置するスペースを十分に確保できる。
ロータリースイッチ600は、時刻表示用輪列20、巻上輪列、切換機構40、パワーリザーブ機構60、発電機70と平面視で重ならない位置に設けられているので、ムーブメント10つまり時計1を薄型化できる。
【0057】
第2スイッチ52は、回路基板500上の形成された切断部575を切断するものであるため、治具を輪列受12の開口12Bに差し込むだけで容易に切断部575を切断して第2スイッチ52を切り替えることができる。
第2範囲によって調整可能な歩度の調整値は、第1範囲によって調整可能な調整値に比べて、時計を遅らせる方向の調整値に設定されている。水晶振動子108の経年変化では、歩度は基本的に進む方向に変化するため、アフターサービスでの歩度調整は歩度を遅らせるマイナス方向に調整できれば問題ない。したがって、第2範囲を、第1範囲に比べて、時計を遅らせる方向の調整値に設定することで、アフターサービスによって長期間に渡って歩度を調整することができる。また、第2範囲に切替後は第1範囲に戻す必要はないため、第2スイッチ52として切断部575を切断する非可逆的で構造が簡易なスイッチを用いることができる。
【0058】
[他の実施形態]
なお、本開示は前記実施形態に限定されず、本開示の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
第1スイッチ51および第2スイッチの構成は、前記実施形態に限定されず、例えば、図10に示す回路基板500Bを用いてもよい。回路基板500Bは、前記実施形態と同様の第1論理緩急設定パターン510、第2論理緩急設定パターン520、第3論理緩急設定パターン530に加えて、第4論理緩急設定パターン590を備える。第4論理緩急設定パターン590は、パッド591と、配線部592と、接点部595とを備える。また、第2論理緩急設定パターン520の第1配線部522には、切断部527が形成され、回路基板500Bにおいて、切断部527に重なる位置にはパターン切断孔502が形成されている。第2論理緩急設定パターン520は、電源接点部528を介して電源VSSに接続され、切断部527が接続されている場合は、ロータリースイッチ600の位置に関係無く、パッド521は常にVSSに設定される。一方、切断部527が切断されている場合は、パッド521は常にVDDまたはオープンに設定される。
この変形例では、表2に示すように、第2論理緩急設定パターン520が調整範囲を切り替える緩急範囲設定パターンとして用いられ、第1範囲では5段階、第2範囲では3段階で論理緩急ステップを調整するように設定されている。
【0059】
【表2】
【0060】
表2において、AS1は第1論理緩急設定パターン510のパッド511で検出される信号を示し、AS2は第2論理緩急設定パターン520のパッド521で検出される信号を示し、AS3は第3論理緩急設定パターン530のパッド531で検出される信号を示し、AS4は第4論理緩急設定パターン590のパッド591で検出される信号を示す。
緩急ステップは論理緩急の設定値であるステップを示し、例えば、-5から+2の範囲でステップをプラス方向に変化させた場合は、論理緩急は進み方向に補正され、マイナス方向に変化させた場合は遅れ方向に補正される。
表2において、「1」は各パッド511、521、531、591の信号(電位)が「VDD」または「オープン」とされた状態を示し、「0」は各パッド511、521、531、591の信号(電位)が「VSS」となっていることを示す。この変形例においても、スイッチアーム720の電位はVSSに設定されているので、導通部721が接触したパターン510、520、530のパッド511、521、531は「VSS」つまり「0」となり、接触していないパターン510~530のパッド511、521、531は「1」となる。
【0061】
表2に示すように、導通部721が位置721Aに位置する場合、AS1、AS3が「0」、AS4が「1」となる。このため、切断部527が接続されてAS2が「0」とされた第1範囲では緩急ステップ+2が設定され、切断部527が切断されてAS2が「1」とされた第2範囲では緩急ステップ-3が設定される。
第1範囲において、導通部721が位置721Bに位置する場合は緩急ステップ+1が設定され、位置721Cおよび位置721Dに位置する場合は緩急ステップ0が設定される。第1範囲において、導通部721が位置721Eに位置する場合は緩急ステップ-1が設定され、位置721Fに位置する場合は緩急ステップ-2が設定される。
第2範囲において、位置721Dに位置する場合は緩急ステップ-4が設定され、位置721Eに位置する場合は緩急ステップ-5が設定される。
このような変形例においても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
第1スイッチおよび第2スイッチの数はそれぞれ1つに限定されず、2つ以上でもよい。例えば、第1スイッチとして、2つのロータリースイッチを設けた場合、各ロータリースイッチの接触パターンの組合せに応じて緩急ステップ数を増やすことができる。
また、第2スイッチとして、2つの緩急範囲設定パターンを設けた場合、各緩急範囲設定パターンの切断部の切断の有無の組合せに応じて、緩急範囲の数を増やすことができ、緩急ステップ数を増やすことができる。
【0063】
第1範囲に設定される歩度の調整値である緩急ステップと、第2範囲に設定される歩度の調整値である緩急ステップとは、一部が重なってもよい。例えば、第1範囲の緩急ステップが「+2」~「-3」であった場合、第2範囲の緩急ステップは「-2」~「-7」として、緩急ステップ「-2」、「-3」が重なるように設定してもよい。
【0064】
第2範囲は、第1範囲に対して緩急ステップ毎の歩度の調整量が例えば2倍などに拡大するものでもよい。例えば、緩急ステップの1ステップの調整量を、第1範囲では0.02sec/dayとし、第2範囲では0.04sec/dayとしてもよい。
第2スイッチの構造は前記実施形態に限定されない。例えば、前記実施形態では、緩急範囲設定パターンの電気的導通の遮断を、切断部575、527を物理的に切断することで実現しているが、タクトスイッチなどのスイッチ機構を実装して実現してもよいし、ハンダの付け外しで実現してもよい。
【0065】
第1範囲において、緩急ステップがマイナス方向に変更するロータリースイッチ600の回転方向と、第2範囲において、緩急ステップがマイナス方向に変更するロータリースイッチ600の回転方向とは前記実施形態のように同じ方向でもよいし、異なる方向としてもよい。
【0066】
ロータリースイッチ600は、ムーブメント10の外周部に設けられていたが、他の部品と干渉しない場合には、例えば、回路基板500において電子制御回路100よりもムーブメント10の中心側の位置など、ムーブメント10の外周部以外の場所に設けてもよい。
ロータリースイッチ600は、平面視で、時刻表示用輪列20、発電機70、巻上機構30の巻上輪列、切換機構40と重ならない位置に設けられていたが、レイアウトおよび操作が可能であれば、時刻表示用輪列20、発電機70、巻上機構30の巻上輪列、切換機構40の一部と、ロータリースイッチ600の一部とが平面視で重なるレイアウトを採用してもよい。
【0067】
ロータリースイッチ600は、輪列受12の外周側に配置されるものに限定されず、輪列受12と平面視で重なる位置に配置されるものでもよい。この場合は、輪列受12にロータリースイッチ600を操作するための開口を形成すればよい。
ロータリースイッチ600は、平面視で回転錘31と重なる位置に配置されるものに限らず、回転錘31の回転軌跡の外側に配置してもよい。ただし、ロータリースイッチ600は、平面視で回転錘31と重なる位置に配置したほうが時計1を小型化できる効果がある。
ロータリースイッチの構成は、前記実施形態に限定されず、例えば、操作アームを備えずにドライバーなどの治具で回転可能なスイッチレバーを用いてもよい。
【0068】
アフターサービス実施方法で歩度を調整する時計は、前記実施形態の電子制御式機械時計に限らず、クオーツ時計でもよい。特に、時計の指示誤差の1ヶ月の累積値つまり月差が±3秒以内、1年間の累積値つまり年差が±20秒以内の精度の維持が可能となるため、年差時計と呼ばれる時計のアフターサービスに適している。
アフターサービスの実施間隔は、例えば1年毎に行うことが望ましいが、3~5年毎に行ってもよい。
【0069】
[本開示のまとめ]
本開示の時計のアフターサービス実施方法は、水晶振動子を用いて時刻精度を維持し、歩度を複数段階で調整可能な第1スイッチと、第1スイッチで調整可能な歩度の調整範囲を第1範囲から第2範囲へ切替可能な第2スイッチと、を備える時計のアフターサービス実施方法であって、時計の歩度を測定する工程と、測定した前記歩度と前記第1スイッチで設定されている調整値とに基づいて、歩度調整が必要であるか否かと、前記歩度を目標範囲に調整する調整値が前記第1範囲内であるか否かと、を判定する判定工程と、前記判定工程において、歩度調整が必要であり、前記調整値が前記第1範囲内であると判定した場合に、前記第1スイッチを切り替えて前記調整値を設定する第1設定工程と、前記判定工程において、歩度調整が必要であり、前記調整値が前記第1範囲では調整できないと判定した場合に、前記第2スイッチによって前記歩度の調整範囲を前記第2範囲に切り替え、かつ、前記第1スイッチを切り替えて前記調整値を設定する第2設定工程と、を備えることを特徴とする。
第1スイッチで設定可能な歩度の調整範囲を変更する第2スイッチを設けたので、アフターサービスにおいて調整範囲を例えば2倍に増やすことができる。このため、水晶振動子のエージングにより歩度の経年変化が発生する場合でも、時計の販売後のアフターサービスにおいて、第1スイッチおよび第2スイッチを適宜設定することで、歩度のエージング変化量を補正することができ、アフターサービスでの歩度調整作業を容易に行うことができる。したがって、年差時計のような高精度の時計の精度をアフターサービスで歩度を調整することで長期間維持することができる。
【0070】
本開示の時計のアフターサービス実施方法において、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、時計の裏蓋を外した状態で操作可能に設けられ、前記第1設定工程および前記第2設定工程は、時計のケースから裏蓋を取り外した状態で、かつ、ムーブメントを前記ケースから取り外すことなく実行されることが好ましい。
第1スイッチおよび第2スイッチは、裏蓋を外すだけで操作可能であるため、アフターサービスによる歩度調整を容易に行うことができる。
【0071】
本開示の時計のアフターサービス実施方法において、第2範囲によって調整可能な歩度の調整値は、第1範囲によって調整可能な歩度の調整値に比べて、時計を遅らせる方向の調整値に設定されていることが好ましい。
水晶振動子の経年変化では、歩度は基本的に進む方向に変化するため、アフターサービスでの歩度調整は歩度を遅らせるマイナス方向に調整できれば問題ない。したがって、第2範囲を、第1範囲に比べて、時計を遅らせる方向の調整値に設定されていることで、アフターサービスによって長期間に渡って歩度を調整することができる。
【0072】
本開示の時計のアフターサービス実施方法において、前記第1スイッチは、複数の論理緩急設定パターンが配置される回路基板と、前記論理緩急設定パターンと導通可能な導通部を有し、前記回路基板に対して回動することで前記導通部と導通する前記論理緩急設定パターンを選択可能なロータリースイッチと、を備え、前記第1スイッチの切り替えは、前記ロータリースイッチを回転することで実行されることが好ましい。
第1スイッチは、回転操作するロータリースイッチを備えているので、緩急ステップを容易にかつ可逆的に切り替えることができる。
【0073】
本開示の時計のアフターサービス実施方法において、前記第2スイッチの切り替えは、回路基板に設けられた緩急範囲設定パターンの切断部を切断することで実行されることが好ましい。
第2スイッチは、治具等を用いて切断部を切断することで、容易に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0074】
1…時計、2…外装ケース、4…時刻表示装置、8…裏蓋、10…ムーブメント、12…輪列受、12B…開口、51…第1スイッチ、52…第2スイッチ、90…パッケージ、100…電子制御回路、108…水晶振動子、111…発振回路、112…分周回路、120…温度補償機能部、130…温度補償回路、136…論理緩急回路、137…周波数調整制御回路、500…回路基板、500B…回路基板、501…パターン切断孔、502…パターン切断孔、510…第1論理緩急設定パターン、520…第2論理緩急設定パターン、527…切断部、530…第3論理緩急設定パターン、540…ダミーパターン、570…緩急範囲設定パターン、575…切断部、580…電源パッド、590…第4論理緩急設定パターン、600…ロータリースイッチ、720…スイッチアーム、721…導通部、730…操作アーム、731…溝、951…目盛部。
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