(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008446
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ブランケット
(51)【国際特許分類】
A47G 9/06 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A47G9/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110331
(22)【出願日】2022-07-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 配布日 令和4年4月4日 配布した場所 西川株式会社 東京オフィス2Fショールーム(東京都中央区日本橋富沢町8番8号)
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】増田 修一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 友香
(57)【要約】
【課題】布団に容易に取り付けることができると共に、布団からのずれを抑制できるブランケットを提供する。
【解決手段】一実施形態に係るブランケット1は、布団50に取り付けられるブランケットである。布団50は、第1方向及び第2方向に延在する。ブランケット1は、延在部及び袋部20を備える。延在部は、保温性素材によって構成され、第1方向及び第2方向に沿って延在する。袋部20は、布団50の第1方向での端部54が差し込まれる開口21を有する。袋部20は、延在部の第1方向での両端の少なくとも一方に配置され、開口21に差し込まれた端部54を保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に延在する布団に取り付けられるブランケットであって、
保温性素材によって構成され、前記第1方向及び前記第2方向に延在する延在部と、
前記延在部の前記第1方向での両端の少なくとも一方に配置され、前記布団の前記第1方向での端部が差し込まれる開口を有し、前記開口に差し込まれた前記端部を保持する袋部と、
を備える、ブランケット。
【請求項2】
前記布団は、4つの角部を有する長方形状を呈し、
前記袋部は、前記4つの角部のうち少なくとも一つの角部を露出させる露出部を有する、
請求項1に記載のブランケット。
【請求項3】
前記袋部は、前記布団に面すると共に起毛を含む内面を有する、
請求項1又は2に記載のブランケット。
【請求項4】
前記袋部及び前記延在部は、一枚の生地から形成され、
前記袋部は、前記生地が折り返された折り返し部を有する、
請求項1又は2に記載のブランケット。
【請求項5】
前記袋部は、前記布団に面する内面の少なくとも一部に設けられた滑り止め部を有し、
前記滑り止め部の摩擦係数は、前記内面の前記滑り止め部が設けられていない部分の摩擦係数よりも大きい、
請求項1又は2に記載のブランケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブランケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平8-187153号公報には、毛布によって構成されるブランケットが記載されている。このブランケットは、ファスナーが縫い付けられた開口と、開口の内部に設けられた複数の止め具とを備える。このブランケットでは、ファスナーが開かれて開口に布団が入れられることで、ブランケットと布団とが一体化される。さらに、開口に入れられた布団が複数の止め具に掛止されることで、布団は、ブランケットに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブランケットが布団からずれることによって、ブランケットの使用者がブランケット及び布団に十分に保温されない場合がある。たとえば、布団からブランケットがずれることによって、使用者がブランケット及び布団の何れか一方のみにしか覆われなくなることがある。具体的には、ブランケットが布団からずれて布団の中で偏った位置に移動することによって、使用者の身体の一部がブランケットに覆われなくなる場合がある。この場合、使用者は、身体の一部がブランケットに覆われなくなることによって寒さを感じ、その結果、寒さによって明け方等に目が覚めてしまうことがある。
【0005】
前述したブランケットでは、ファスナーが開かれて開口に布団が入れられること、及び開口に入れられた布団が複数の止め具に掛止されることによって、布団にブランケットが取り付けられる。しかしながら、前述したブランケットでは、使用者は、布団を複数の止め具に掛止した後にファスナーを閉じなければならないので、ブランケットを布団に取り付けるのが面倒だと感じる可能性が高い。したがって、容易に布団に取り付けられることが求められうる。
【0006】
本開示は、布団に容易に取り付けることができると共に、布団からのずれを抑制できるブランケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るブランケットは、(1)第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延在する布団に取り付けられるブランケットである。ブランケットは、延在部及び袋部を備える。延在部は、保温性素材によって構成され、第1方向及び第2方向に沿って延在する。袋部は、布団の第1方向での端部が差し込まれる開口を有する。袋部は、延在部の第1方向での両端の少なくとも一方に配置され、開口に差し込まれた端部を保持する。
【0008】
このブランケットは、延在部及び袋部を備える。延在部は、保温性素材から構成される。袋部は、延在部の第1方向での両端の少なくとも一方に配置される。袋部は、布団の第1方向での端部が差し込まれる開口を有する。袋部の開口に差し込まれた布団の端部は、袋部の内部において袋部に包まれた状態で保持される。したがって、袋部は、袋部の開口から袋部の内部に差し込まれた布団を袋部の内部においてしっかりと保持するので、袋部から布団を抜けにくくすることができる。その結果、ブランケットと布団との間のずれが抑制され得る。使用者は、布団の第1方向での端部をブランケットの開口に差し込む操作によって、ブランケットを布団に取り付けられる。よって、ブランケットのファスナーを開閉する手間、及びブランケットの止め具に布団を掛止する手間が生じない。したがって、このブランケットは、布団に容易に取り付けることができる。
【0009】
(2)上記(1)において、布団は、4つの角部を有する長方形状を呈してもよい。袋部は、4つの角部のうち少なくとも一つの角部を露出させる露出部を有してもよい。露出部から露出した布団の角部を視認することによって、布団が袋部の奥まで差し込まれたことを確認できる。また、露出部から布団の角部が露出していない状態において、使用者は、露出部から袋部の内側に手指を入れて、角部を露出部に引き出すことができる。角部を引き出して露出部に露出させることにより、袋部の奥まで布団を入れ込むことができる。したがって、布団に対するブランケットの取り付けを一層容易に行うことができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、袋部は、布団に面すると共に起毛を含む内面を有してもよい。この場合、起毛を含む内面と布団との間の摩擦は、起毛を含まない内面と布団との摩擦よりも大きい。このブランケットでは、起毛を含む内面が布団に面する。したがって、このブランケットは、布団からのずれをより一層抑制できる。
【0011】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、袋部及び延在部は、一枚の生地から形成されてもよい。袋部は、生地が折り返された折り返し部を有してもよい。この場合、生地が折り返されることによって、一枚の生地から袋部及び延在部が形成され得るので、このブランケットでは、製造コストが低減され得る。
【0012】
(5)上記(1)~(4)のいずれかにおいて、袋部は、布団に面する内面の少なくとも一部に設けられた滑り止め部を有してもよい。滑り止め部の摩擦係数は、内面の滑り止め部が設けられていない部分の摩擦係数よりも大きくてもよい。この場合、滑り止め部が設けられた部分は、滑り止め部が設けられていない部分よりも、布団に対して滑りがたい。このブランケットは、滑り止め部が設けられた内面が布団に面するので、布団に対して滑りがたい。したがって、このブランケットは、布団からのずれをより一層抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、布団に容易に取り付けることができると共に、布団からのずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係るブランケット及び布団を示す斜視図である。
【
図2】
図1のブランケット及び布団を示す底面図である。
【
図3】実施形態に係るブランケットを示す平面図である。
【
図4】
図3のA-A線断面を模式的に示す断面図である。
【
図5】(a)は、実施形態に係るブランケットの露出部を示す拡大図である。(b)は、(a)の露出部に布団の角部が通された状態を示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係るブランケットが布団に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係るブランケットが
図6とは異なる態様で布団に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図8】(a)及び(b)は、変形例に係るブランケットの滑り止め部を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るブランケットの実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係るブランケット1は、延在部10及び袋部20を備える。延在部10は、保温性素材によって構成されている。「保温性素材」とは、ブランケット1の使用者の体温をブランケット1の外へ逃さないように断熱する素材である。保温性素材は、綿、ウール、シルク、獣毛、アクリル、又はポリエステル等から形成される織物又は編物であってもよい。獣毛は、カシミヤ、モヘヤ、アルカパ、キャメル又はアンゴラである。
【0017】
ブランケット1は、布団に取り付けられるブランケットである。「ブランケット」は、その少なくとも一部が保温性素材によって構成された寝具であり、ブランケットを使用する使用者を保温する保温機能を備えた寝具である。「ブランケット」は、たとえば、防寒用の寝具である。「使用者」は、ブランケットを使用する者である。「使用者」は、たとえば、自らの身体の上にブランケットをかける者である。
【0018】
ブランケット1は、毛布ブランケット、タオルブランケット又はキルティングブランケットであってもよい。本実施形態では、ブランケット1が毛布から構成される毛布ブランケットである例について説明する。「毛布」は、織り毛布及び編み毛布を含む。毛布は、シール織機によって織り出される綿毛布であってもよい。本実施形態に係るブランケット1が取り付けられる対象の布団50は、たとえば、掛け布団である。但し、ブランケット1が取り付けられる対象の布団は敷き布団であってもよく、布団の種類は特に限定されない。
【0019】
本開示において、ブランケット1が取り付けられる対象の布団50は、第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延在する。本実施形態では、第1方向が布団50の長手方向D1であり、第2方向が布団50の短手方向D2である例について説明する。布団50は、長手方向D1及び短手方向D2に沿って延在する。布団50は、長手方向D1及び短手方向D2の双方に交差する鉛直方向D3に厚みを有する。布団50は、表面51と、表面51とは反対側を向く裏面52と、中材(不図示)とを備える。裏面52は、延在部10が布団50の下側に位置する向きでブランケット1が布団50に取り付けられる場合に、使用者の側を向く面(又は、延在部10の側を向く面、露出しない面)である。中材は、表面51と裏面52との間に画成される布団50の内部空間に収容されている。
【0020】
布団50は、4つの角部53を有する長方形状を呈している。各角部53は、角が丸められた形状であってもよい。本開示において、「長方形状」は、厳密な長方形だけでなく、隅丸長方形又は角が切り欠かれた長方形など、厳密には長方形ではないが長方形に見える形状を含む。また、「長方形状」は、四辺の長さが互いに等しい正方形を含む。
【0021】
図3及び
図4に示されるように、ブランケット1は、一枚の生地から形成されている。延在部10及び袋部20は、一枚の生地から形成される。ブランケット1の長手方向D1での長さは、180cm以上且つ240cm以下であってもよい。たとえば、ブランケット1の長手方向D1での長さは、210cmである。ブランケット1は、保温性素材によって構成される一枚の生地から形成されてもよい。一例として、ブランケット1は、ニューマイヤー毛布の生地から形成される。当該ニューマイヤー毛布の生地は、たとえば、アクリルから構成される。
【0022】
ニューマイヤー毛布は、毛羽を含む毛羽面1bと、起毛を含む起毛面1aとを有する。「毛羽」とは、毛羽面1bから毛羽面1bと交差する方向に突出する繊維の束である。ニューマイヤー毛布では、一対の基布の間にパイルを編み込んだ後に、当該パイルにおける一対の基布の間に位置する部分を切断することによって、2枚の生地が形成される。当該切断は、センターカットと呼ばれる。一対の基布の間の面は、センターカットによって毛羽面1bを形成する。毛羽は、毛羽面1bの糸(切断されたパイル)の撚りを解く処理が行われた繊維であってもよい。当該処理は、開毛と呼ばれる。開毛は、表面に複数の針が形成されたローラによって行われる。たとえば、開毛は、回転する当該ローラの複数の針に毛羽面1bの糸が当てられる毛さばきによって行われる。
【0023】
「起毛」とは、生地の表面の繊維がかき出された毛羽である。起毛は、毛羽の一例である。「起毛する」とは、たとえば、起毛機によって生地の表面の繊維をかき出すことである。起毛機は、たとえば、上記と同様のローラによって生地の表面の繊維をかき出す。この場合、起毛機は、回転する当該ローラの複数の針に生地を当てることによって当該生地の表面の繊維をかき出す。起毛面1aでは、生地の表面が起毛機によって起毛されている。たとえば、ニューマイヤー毛布では、毛羽面1bの反対側の面を起毛することによって、起毛面1aが形成される。起毛面1aの起毛を構成する繊維は、毛羽面1bの毛羽を構成する繊維よりも縮れている。たとえば、起毛面1aは、毛羽面1bよりも粗い面である。たとえば、起毛面1aの摩擦係数は毛羽面1bの摩擦係数より大きい。
【0024】
延在部10は、長手方向D1及び短手方向D2に沿って延在している。延在部10は、長方形状を呈していてもよい。延在部10は、使用者を保温する部分である。延在部10は、直接使用者に接触して保温してもよく、布団50を介して間接的に使用者を保温してもよい。一例として、
図1及び
図2では、ブランケット1は、延在部10が布団50の裏面52と向かい合うように(表面51が延在部10とは反対側を向くように)、布団50に取り付けられている。この場合、延在部10は、直接使用者に接触して使用者を保温する。
図1の例とは別に、ブランケット1は、延在部10が布団50の表面51に向かい合うように、布団50に取り付けられてもよい。
【0025】
袋部20は、延在部10の長手方向D1での両端の少なくとも一方に配置される。本実施形態では、袋部20は、延在部10の長手方向D1での両端の双方に配置されている。ブランケット1は、一対の袋部20を備える。たとえば、ブランケット1では、一対の袋部20の間において布団50が露出する。一対の袋部20は、延在部10を挟んで互いに対向している。
【0026】
袋部20の長手方向D1での長さは、20cm以上であってもよい。一例として、袋部20の長手方向D1での長さは、40cmである。袋部20は、布団50の長手方向D1での端部54が差し込まれる開口21を有する。袋部20は、開口21に差し込まれた端部54を保持する。開口21には、布団50の長手方向D1での長さのうち10%以上が差し込まれてもよい。一例として、開口21には、布団50の長手方向D1での長さのうち19%が差し込まれる。
【0027】
開口21に端部54が差し込まれていないときには、開口21の短手方向D2での長さは、端部54の短手方向D2での長さと同一であってもよい。「同一」とは、完全に同一である場合に限られず、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んでいてもよい。たとえば、微差又は製造誤差は、端部54の短手方向D2での長さのうち10%以下と設定されてもよい。この場合、短手方向D2に圧縮された端部54が開口21に差し込まれる。
【0028】
開口21は、伸縮性素材によって構成されていてもよい。この場合、開口21に布団50の端部54を差し込むときに、開口21を伸ばして広げることができるので、開口21への端部54の差し込みを一層容易に行うことができる。さらに、開口21に端部54を差し込んだ後には、開口21が縮んで縮小するので、袋部20は、袋部20の内部においてよりしっかりと端部54を保持することができる。
【0029】
図4に示されるように、袋部20は、布団50に面する内面22を有する。本実施形態では、内面22は起毛面1aによって構成される。したがって、内面22は、起毛を有する。一例として、袋部20は、内面22と布団50との間の摩擦によって、開口21に差し込まれた端部54を保持する。袋部20は、端部54を圧迫することによって開口21に差し込まれた端部54を保持してもよい。袋部20は、内面22の起毛が布団50に絡まることによって開口21に差し込まれた端部54を保持してもよい。
【0030】
上述したように、延在部10及び袋部20は、一枚の生地から形成されている。袋部20は、生地が折り返された部位である折り返し部23を有する。
図3に示されるように、袋部20は、鉛直方向D3で互いに隣り合う2枚の生地が縫製された縫製部24を有してもよい。たとえば、折り返し部23は、ブランケット1の長手方向D1での端(袋部20の開口21とは反対側の端)に位置する。折り返し部23は、短手方向D2に沿って延在する。たとえば、縫製部24は、袋部20の短手方向D2での両端に位置する。縫製部24は、長手方向D1に沿って延在する。延在部10及び袋部20がニューマイヤー毛布の生地から形成される本実施形態では、折り返し部23は、起毛面1aが内面22に配置されるように折り返されていてもよい。
【0031】
図5の(a)は、ブランケット1の露出部25を示す拡大図である。
図5の(b)は、露出部25に布団50の角部53が通された状態を示す斜視図である。袋部20は、布団50の4つの角部53のうち、少なくとも一つの角部53を露出させる露出部25を有する。露出部25は、長手方向D1及び短手方向D2の双方に交差する方向(長手方向D1及び短手方向D2の双方に対して傾斜する方向)に角部53を露出させてもよい。露出部25は、鉛直方向D3から見えるように角部53を露出させてもよい。本実施形態では、袋部20は、端部54に含まれる一対の角部53を露出させる一対の露出部25を有する(
図2参照)。露出部25は、袋部20から角部53を引き出し可能に構成されていてもよい。露出部25では、露出部25から袋部20の中に使用者の手指を入れて、角部53を露出部25に引き出すことが可能とされている。
【0032】
露出部25は、袋部20に形成される切り欠き部25aによって構成されてもよい。切り欠き部25aは、ブランケット1の長手方向D1での端(袋部20の長手方向D1での開口21とは反対側の端)の一部と、袋部20の短手方向D2での端の一部との双方を切り欠くように形成される。たとえば、切り欠き部25aは、折り返し部23の一部と縫製部24の一部との双方を切り欠くように形成される。鉛直方向D3に沿って見たときに、切り欠き部25aは、ブランケット1の中央側に近づくように湾曲していてもよい。切り欠き部25aは、円弧状を呈していてもよい。切り欠き部25aは、露出部25から露出する角部53を中心に円形状を呈するように形成されてもよい。
【0033】
ブランケット1の縁には、アドラー巻き(ヘム巻き)が施されていてもよい。アドラー巻きが施される縁には、ヘム部材が縫製される。
図3に示されるように、延在部10の短手方向D2での縁10a、縫製部24が位置する袋部20の短手方向D2での縁24a、開口21の縁21a、及び切り欠き部25aの縁には、アドラー巻きが施されていてもよい。一例として、延在部10の縁10a、及び袋部20の縁24aには、一つのヘム部材が直線状に延びるように当該ヘム部材が縫製されている。一例として、切り欠き部25aの縁には、一つのヘム部材が環状をなすように当該ヘム部材が縫製されている。
【0034】
以下では、ブランケット1から得られる作用効果について説明する。
図1~
図3に示されるように、ブランケット1は、延在部10及び袋部20を備える。延在部10は、保温性素材から構成される。袋部20は、延在部10の長手方向D1での両端の少なくとも一方に配置される。袋部20は、端部54が差し込まれる開口21を有する。袋部20の開口21に差し込まれた布団50の端部54は、袋部20の内部において袋部20に包まれた状態で保持される。したがって、袋部20は、袋部20の開口21から袋部20の内部に差し込まれた布団50を袋部20の内部においてしっかりと保持するので、袋部20から布団50を抜けにくくすることができる。その結果、ブランケット1と布団50との間のずれが抑制され得る。
【0035】
使用者は、布団50の端部54をブランケット1の開口21に差し込む操作によって、ブランケット1を布団50に取り付けられる。よって、ブランケットのファスナーを開閉する手間、及びブランケットの止め具に布団を掛止する手間が生じない。したがって、このブランケット1は、布団50に容易に取り付けることができる。
【0036】
本実施形態に係るブランケット1は、袋部20に布団50の端部54を差し込むことによって布団50に取り付けられる。したがって、ブランケットに布団を固定する複数の止め具又はファスナー等の配置を不要とすることができる。上記の止め具等が配置される場合、使用者が寝ているときに使用者の身体に上記の止め具等が当たる可能性があり、使用者に違和感を感じさせる懸念がある。これに対し、本実施形態に係るブランケット1では、止め具等を不要とすることができ、止め具等が使用者の身体に当たる問題を回避できるので、寝心地をさらに良好にすることができる。
【0037】
ブランケット1は、一対の袋部20を備えてもよい。延在部10の長手方向D1での両端に配置された一対の袋部20の各々は、布団50の長手方向D1での各々の端部54を保持する。これにより、袋部20は、延在部10の両端のそれぞれにおいて布団50の端部54を保持するので、布団50からのブランケット1のずれをより確実に抑制できる。
【0038】
袋部20の開口21には、布団50の長手方向D1での長さのうち10%以上が差し込まれてもよい。開口21には、布団50の長手方向D1での長さのうち20%以下が差し込まれてもよい。本発明者らは、延在部10の長手方向D1での両端に配置される各袋部20において、布団50の長手方向D1での長さのうち10%以上が各開口21に差し込まれることによって、ブランケット1の布団50からのずれを確実に抑制できるという知見を見出した。本発明者らは、延在部10の長手方向D1での両端に配置される各袋部20において、布団50の長手方向D1での長さのうち20%以下が各開口21に差し込まれることによって、一層手間をかけずにブランケット1を布団50に取り付けられるという知見を見出した。
【0039】
図6及び
図7は、ブランケット1が布団50に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図6に示されるように、ブランケット1は、延在部10が布団50の裏面52に面するように取り付けられてもよい。この場合、保温性素材から構成される延在部10が使用者と布団50との間に位置するので、延在部10は直接的に使用者を保温する。したがって、延在部10に直接的に保温される使用者は、暖かさを感じやすい。
【0040】
図7に示されるように、ブランケット1は、延在部10が布団50の表面51に面するように取り付けられてもよい。この場合、袋部20は、開口21の縁21aが使用者の側を向くと共に布団50の一部が使用者に接するように配置される。したがって、袋部20と、布団50の一部とが使用者に接するので、布団50の種類によっては使用者に接触冷感を感じさせることができる。さらに、使用者は、開口21から袋部20の内側に手足を入れて暖をとることが可能となる。
【0041】
以上のように、ブランケット1では、延在部10が対向する面を表面51及び裏面52のいずれかに切り替えることが可能であるため、使い勝手を向上し得る。また、使用者は、延在部10が使用者に接する使い方と、袋部20と布団50の一部とが使用者に接する使い方との何れかを選択できるので、使用者の好みに応じてブランケット1の使い方を変えることができる。
【0042】
図1及び
図2に示されるように、布団50は、4つの角部53を有する長方形状を呈する。袋部20は、4つの角部53のうち少なくとも一つの角部53を露出させる露出部25を有する。露出部25から露出した布団50の角部53を視認することによって、布団50が袋部20の奥まで差し込まれたことを確認できる。また、露出部25から布団50の角部53が露出していない状態において、使用者は、露出部25から袋部20の内側に手指を入れて、角部53を露出部25に引き出すことができる。角部53を引き出して露出部25に露出させることにより、袋部20の奥まで布団50を入れ込むことができる。したがって、布団50に対するブランケット1の取り付けを一層容易に行うことができる。
【0043】
露出部25は、袋部20に形成される切り欠き部25aによって構成されてもよい。鉛直方向D3に沿って見たときに、切り欠き部25aは、ブランケット1の中央側に近づくように湾曲していてもよい(
図3参照)。
図5の(a)及び(b)に示されるように、アドラー巻きが施される切り欠き部25aの縁では、一つのヘム部材が一回の縫製で環状に縫い付けられる。この場合、直線状に延びる切り欠き部の縁に、複数のヘム部材を複数回の縫製で直線状に縫い付ける場合よりも、露出部25の製造コストが低減され得る。
【0044】
図4に示されるように、袋部20は、布団50に面すると共に起毛を含む内面22を有する。この場合、起毛を含む内面22と布団50との間の摩擦は、起毛を含まない内面と布団50との摩擦よりも大きい。このブランケット1では、起毛を含む内面22が布団50に面する。したがって、このブランケット1は、布団50からのずれをより一層抑制できる。
【0045】
袋部20及び延在部10は、一枚の生地から形成される。袋部20は、生地が折り返された折り返し部23を有する。ブランケット1は、一枚の生地から袋部20及び延在部10が形成されるので、製造コストを低減し得る。
【0046】
袋部20は、保温性素材から構成される延在部10と同じ生地によって形成されてもよい。袋部20は、延在部10と同じ生地であると共に、延在部10に連続する一枚の生地から形成されていてもよい。この場合、袋部20及び延在部10の双方が保温性素材によって構成されるので、ブランケット1は、保温性を向上し得る。
【0047】
袋部20及び延在部10の双方が保温性素材によって構成される場合には、たとえば、使用者は、保温性素材によって構成された袋部20の開口21に手足を差し込むことで、手足を温めることができる。布団50の端部54は、保温性素材によって構成される袋部20に覆われる。袋部20に収容された端部54の保温性は、端部54以外の部分の保温性よりもさらに高い。使用者の首元は、袋部20に収容された端部54によって保温され得るので、使用者は、ブランケット1から暖かさを感じやすい。
【0048】
袋部20及び延在部10は、一枚のニューマイヤー毛布の生地から形成されてもよい。折り返し部23は、起毛面1aが内面22に配置されるように折り返されてもよい。内面22が起毛を含む構成は、一枚のニューマイヤー毛布の生地を折り返すことによって、容易に形成され得る。
【0049】
次に、変形例に係るブランケット1Aについて、
図8を参照しながら説明する。
図8の(a)及び(b)は、ブランケット1Aの滑り止め部26を示す部分拡大図である。ブランケット1Aの構成は、一部を除いて前述したブランケット1の構成と同一である。以下では、ブランケット1の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。ブランケット1Aは、滑り止め部26を備える点で、ブランケット1と相違する。
【0050】
ブランケット1Aでは、袋部20は、滑り止め部26を有する。滑り止め部26は、内面22の少なくとも一部に設けられる。
図8の(a)は、内面22の下面22aに設けられる滑り止め部26を示している。下面22aは、延在部10が開口21の下に位置するようにブランケット1Aが配置された状態において、開口21の下側に位置する内面22の一部である(
図4参照)。
【0051】
図8の(b)は、内面22の上面22bに設けられる滑り止め部26を示している。上面22bは、延在部10が開口21の下に位置するようにブランケット1Aが配置された状態において、開口21の上側に位置する内面22の一部である。下面22a及び上面22bは、互いに対向している。滑り止め部26は、たとえば、鉛直方向D3において互いに対向するように内面22に設けられている。滑り止め部26は、たとえば、短手方向D2の一方の端から他方の端まで延在している。一例として、滑り止め部26の長手方向D1での長さ(幅)は、10cmである。
【0052】
滑り止め部26の摩擦係数は、内面22の滑り止め部26が設けられていない部分の摩擦係数よりも大きい。一例として、滑り止め部26は、内面22に固着された熱可塑性樹脂によって形成される。熱可塑性樹脂は、シリコーン樹脂又はポリウレタンを含んでいてもよい。シリコーン樹脂は、スチレン系エラストマーを含んでもよい。滑り止め部26は、メッシュ状とされていてもよいし、ドット状とされていてもよい。一例として、滑り止め部26は、180℃、25秒間、0.5MPaの条件で圧着されたスチレン系エラストマーのフィルムである。一例として、当該フィルムは、100m単位で巻かれたロールから切り出された一部であってもよい。滑り止め部26は、内面22に縫い付けられていてもよい。
【0053】
滑り止め部26が設けられた部分は、滑り止め部26が設けられていない部分よりも、布団50に対して滑りがたい。ブランケット1Aは、滑り止め部26が設けられた内面22が布団50に面するので、布団50に対して滑りがたい。したがって、このブランケット1Aは、布団50からのずれをより一層抑制できる。なお、滑り止め部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の滑り止め部26に限られず、適宜変更可能である。
【0054】
以上、本開示に係るブランケットの実施形態及び変形例について説明した。しかしながら、本開示は、前述の実施形態又は変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用されるものであってもよい。すなわち、ブランケットの各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。たとえば、ブランケット1の一部の構成と、ブランケット1Aの一部の構成とが組み合わされたブランケットであってもよい。
【0055】
前述の実施形態では、ブランケット1,1Aが毛布ブランケットである例について説明した。しかしながら、ブランケットは、タオルブランケット又はキルティングブランケットであってもよい。タオルブランケットは、タオル織機によって織り出されるタオル生地によって形成される。当該タオル生地は、保温性素材の一例である。キルティングブランケットは、キルティング生地によって形成される。当該キルティング生地は、保温性素材の一例である。
【0056】
前述の実施形態では、
図4に示されるように、ブランケット1は、起毛面1aが布団50の側(内側)を向くように取り付けられる例について説明した。この場合、毛羽面1bが使用者の側を向く。しかしながら、ブランケット1は、毛羽面1bが布団50の側を向くように(起毛面1aが外側を向くように)取り付けられてもよい。ブランケット1は、起毛面1a及び毛羽面1bの表裏を変更可能であってもよい。換言すれば、ブランケット1は、起毛面1a(毛羽面1b)が外側を向くか、及び起毛面1a(毛羽面1b)が内側を向くかを変更可能であってもよい。この場合、使用者は、布団50に取り付けられるブランケット1の表裏を変更することで、ブランケット1から得られる肌触りを変更できる。
【0057】
ブランケット1,1Aを形成する毛布は、使用者の側を向く面と取り付けられた布団の側を向く面との双方が毛羽面1bであってもよい。ブランケット1,1Aを形成する毛布は、使用者の側を向く面と取り付けられた布団の側を向く面との双方が起毛面1aであってもよい。
【0058】
前述の実施形態では、第1方向が布団の長手方向D1であり、第2方向が布団の短手方向D2である例について説明した。しかしながら、第1方向が布団の短手方向であり、第2方向が布団の長手方向であってもよい。すなわち、第1方向及び第2方向と、布団の長手方向及び短手方向との関係は特に限定されない。
【符号の説明】
【0059】
1,1A…ブランケット、1a…起毛面、1b…毛羽面、10…延在部、10a…縁、20…袋部、21…開口、21a…縁、22…内面、22a…下面、22b…上面、23…折り返し部、24…縫製部、24a…縁、25…露出部、25a…切り欠き部、26…滑り止め部、50…布団、51…表面、52…裏面、53…角部、54…端部、D1…長手方向、D2…短手方向、D3…鉛直方向。