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特開2024-84461堆肥化監視装置及び堆肥化管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084461
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】堆肥化監視装置及び堆肥化管理システム
(51)【国際特許分類】
   C05F 17/00 20200101AFI20240618BHJP
   B09B 3/60 20220101ALI20240618BHJP
   C05F 17/993 20200101ALI20240618BHJP
   C05F 17/70 20200101ALI20240618BHJP
【FI】
C05F17/00
B09B3/60 ZAB
C05F17/993
C05F17/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198743
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】506310050
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】内海 洋
【テーマコード(参考)】
4D004
4H061
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AC04
4D004BA04
4D004CA19
4D004CB03
4D004CB21
4D004DA01
4D004DA02
4D004DA20
4H061AA03
4H061AA04
4H061CC47
4H061GG10
4H061GG43
4H061GG48
4H061GG69
4H061HH42
(57)【要約】
【課題】堆肥の発酵状態を容易に監視できる堆肥化監視装置及び堆肥化管理システムを提供する。
【解決手段】堆肥化監視装置22は、堆肥化中の被処理物Wの少なくとも臭気に関する情報を取得する取得手段28と、取得手段28により取得された情報を出力する出力手段55と、を備える
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥化中の被処理物の少なくとも臭気に関する情報を取得する取得手段と、
この取得手段により取得された情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする堆肥化監視装置。
【請求項2】
取得手段は、
筐体と、
この筐体内に収容され少なくとも臭気に関する情報を検出するセンサ部と、
前記筐体内に外気を引き込む引き込み手段と、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の堆肥化監視装置。
【請求項3】
取得手段は、臭気に関する情報に加えて、被処理物の発酵状態と相関を有する他の情報を取得する
ことを特徴とする請求項1記載の堆肥化監視装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一記載の堆肥化監視装置と、
この堆肥化監視装置の出力手段により出力された情報に基づいて報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする堆肥化管理システム。
【請求項5】
堆肥化監視装置の出力手段により出力された情報に基づいて被処理物の発酵状態を判定する判定手段を備える
ことを特徴とする請求項4記載の堆肥化管理システム。
【請求項6】
堆肥化監視装置の出力手段により出力された情報に応じて堆肥化装置の動作を制御する制御手段を備える
ことを特徴とする請求項4記載の堆肥化管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥となる被処理物の発酵状態を監視する堆肥化監視装置及びこれを備えた堆肥化管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、畜産現場や酪農牧場等から排出される、牛、豚、あるいは鳥等の家畜の排泄物を原料として製造される家畜糞堆肥が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-13380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような家畜糞堆肥の場合、未完熟なまま土壌に使用されると、土壌に多量の窒素分が残留し、その窒素分が土壌中の硝酸菌の作用によって硝酸態窒素となることで、環境等に好ましくない影響を与えることが懸念される。そのため、家畜糞堆肥の発酵状態つまり腐熟度を監視したいというニーズがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、堆肥の発酵状態を容易に監視できる堆肥化監視装置及びこれを備えた堆肥化管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の堆肥化監視装置は、堆肥化中の被処理物の少なくとも臭気に関する情報を取得する取得手段と、この取得手段により取得された情報を出力する出力手段と、を備えるものである。
【0007】
請求項2記載の堆肥化監視装置は、請求項1記載の堆肥化監視装置において、取得手段は、筐体と、この筐体内に収容され少なくとも臭気に関する情報を検出するセンサ部と、前記筐体内に外気を引き込む引き込み手段と、を有するものである。
【0008】
請求項3記載の堆肥化監視装置は、請求項1記載の堆肥化監視装置において、取得手段は、臭気に関する情報に加えて、被処理物の発酵状態と相関を有する他の情報を取得するものである。
【0009】
請求項4記載の堆肥化管理システムは、請求項1ないし3いずれか一記載の堆肥化監視装置と、この堆肥化監視装置の出力手段により出力された情報に基づいて報知する報知手段と、を備えるものである。
【0010】
請求項5記載の堆肥化管理システムは、請求項4記載の堆肥化管理システムにおいて、堆肥化監視装置の出力手段により出力された情報に基づいて被処理物の発酵状態を判定する判定手段を備えるものである。
【0011】
請求項6記載の堆肥化管理システムは、請求項4記載の堆肥化管理システムにおいて、堆肥化監視装置の出力手段により出力された情報に応じて堆肥化装置の動作を制御する制御手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、堆肥の発酵状態を容易に監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態に係る堆肥化管理システムの説明図である。
図2】同上堆肥化管理システムの堆肥化装置の平面図である。
図3】(a)は同上堆肥化管理システムに用いられる堆肥化監視装置を示す正面図、(b)は堆肥化監視装置の側面図、(c)は堆肥化監視装置の下面図である。
図4】(a)は同上堆肥化監視装置のセンサ部及び出力手段を示す正面図、(b)は堆肥化監視装置のセンサ部及び出力手段を示す側面図である。
図5】同上堆肥化監視装置の配線の一例を示す回路図である。
図6】同上堆肥化管理システムの中継装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1及び図2中の1は堆肥化装置で、この堆肥化装置1は、被処理物Wを好気性微生物による好気性発酵により堆肥化処理するための装置(設備)、すなわち堆肥舎である。つまり、この堆肥化装置1は、有機物を含む有機廃棄物である被処理物Wを堆肥化して堆肥(処理済み物)を得るための有機廃棄物発酵処理装置である。なお、被処理物Wは、例えば畜産現場や酪農牧場等から排出される、牛、豚、あるいは鳥等の家畜の排泄物、あるいはそれらの混合物、つまり畜糞を主成分とする。つまり、本実施の形態の堆肥化装置1は、被処理物Wにより家畜糞堆肥を製造する家畜糞製造装置である。なお、畜糞には、敷料等が混合されていてもよい。また、被処理物Wが鶏糞の場合には、発酵用及び消臭用として、次亜塩素酸水が噴霧されてもよい。
【0016】
堆肥化装置1は、細長い矩形板状の床体2と、この床体2の長手方向両端部及び一の長辺部にそれぞれ立設された壁体3とを備えている。これら床体2及び壁体3によって、その中で被処理物Wの堆肥化処理が行われる発酵槽4が構成されている。例えば、発酵槽4は、他の長辺部側が開口状で、コンクリート製、鉄板製、板製等である。発酵槽4の上方部は、屋根体5によって覆われている。一例として、床体2には、被処理物Wから出た水を排水桝に導く図示しない溝部が形成されている。
【0017】
また、床体2の他の長辺部には、長手方向に間隔を置いて、屋根体5を支持する複数の柱体7が立設されている。互いに隣り合う両柱体7間は開口部8となっている。そして、この開口部8を介して、被処理物Wの発酵槽4への投入及び処理済み後の堆肥の発酵槽4からの取り出しが行われる。なお、発酵槽4の床体2は、長手方向に並ぶ複数、すなわち例えば同じ大きさのゾーンに分かれている。これに限らず、床体2がゾーンに分かれていないものでもよい。
【0018】
また、本実施の形態において、堆肥化装置1は、発酵槽4に投入されて床体2上に堆積された被処理物Wに空気を供給する空気供給手段10を備えている。空気供給手段10は、例えば床体2の溝部内に配置された多孔管体11と、多孔管体11に空気を供給するための送風機12と、これら多孔管体11と送風機12とを接続する接続管体13と、を有している。空気供給手段10は、ゾーン毎に配置されている。
【0019】
さらに、本実施の形態において、堆肥化装置1は、発酵槽4に投入されて床体2上に堆積された被処理物Wを攪拌(切返し)する攪拌手段15を備えている。この攪拌手段15は、所定方向に回転しながら被処理物Wを攪拌する攪拌回転体16を有するスクリュー式のものである。本実施の形態において、攪拌手段15は、攪拌回転体16が架台である支持体17により堆肥化装置1の短手方向に移動可能に支持されているとともに、この支持体17が堆肥化装置1の長手方向に配置されたレール18に沿って走行することで、支持体17と一体的に堆肥化装置1の長手方向に移動可能である。なお、攪拌手段15は、スクリュー式には限定されず、例えばコンベヤ式等でもよく、その構成は任意である。
【0020】
これら空気供給手段10及び攪拌手段15は、制御手段20により動作が制御される。本実施の形態では、制御手段20は、例えば汎用のPC等のコンピュータ21に備えられる。コンピュータ21は、その他に、堆肥化監視装置22により取得された被処理物Wの臭気に関する情報を受信する受信手段23、受信手段23により受信された情報を解析する解析手段24、解析手段24により解析された情報に基づいて使用者に報知する報知手段25、及び、解析手段24により解析された情報等に基づき、被処理物Wの発酵状態すなわち腐熟度を判定する判定手段26、等を備える。解析手段24と判定手段26とは、同一のソフトウェア(アプリケーション)に備えられる機能あるいは学習済みの人工知能(AI)等でもよいし、それぞれ別個に備えられてもよい。報知手段25は、本実施の形態では視認可能に表示するモニタ等の表示手段とする。そして、制御手段20は、判定手段26により判定された腐熟度に応じて堆肥化装置1(空気供給手段10及び攪拌手段15)の動作を制御する。制御手段20と、空気供給手段10、攪拌手段15、及び、堆肥化監視装置22と、等は、有線で接続されていてもよい。堆肥化監視装置22と、コンピュータ21を含む堆肥化装置1とにより、被処理物Wの堆肥化を管理する堆肥化管理システム27が構成される。
【0021】
なお、空気供給手段10や撹拌手段15は、必須の構成ではなく、堆肥化装置1がそれらを備えないものであってもよい。
【0022】
堆肥化監視装置22は、堆肥化中の被処理物Wの発酵状態を、その臭気を含む情報に基づき監視するものである。例えば、堆肥化監視装置22は、臭いの有無(臭いの強さ)に基づき、及び/又は、臭気の成分に基づき、堆肥化中の被処理物Wの発酵状態を監視可能となっている。この堆肥化監視装置22は、堆肥化装置1に設置される据え付け型のものでもよいし、使用者Hが堆肥化装置1に持ち込んで使用する、携行型のものでもよい。
【0023】
本実施の形態において、据え付け型の堆肥化監視装置22は、支持体17に1つ又は複数配置されている。図示される例では、堆肥化監視装置22は、支持体17に間隔を空けて3つ配置されている。例えば、堆肥化監視装置22は、支持体17の両端部とそれらの中央部とに配置される。堆肥化監視装置22が1つの場合には、支持体17の中央部に配置される。
【0024】
堆肥化監視装置22は、堆肥化中の被処理物Wの少なくとも臭気に関する情報を取得する取得手段28を備える。図3(a)ないし図3(c)に示すように、取得手段28は、少なくとも臭気に関する情報を検出する臭気センサ等のセンサ部30が筐体31の内部に収容され、筐体31の外部から堆肥化装置1の位置、例えば被処理物W(図1)の内部の空気を筐体31の内部に引き込む引き込み手段32が筐体31に設けられて構成されている。
【0025】
図4(a)及び図4(b)に示すように、センサ部30は、ケース体35を備え、ケース体35の内部に、センサ素子36が配置されている。センサ素子36は、臭いの有無、臭気の強さ等のデータを検出するものでもよいし、臭気の成分を検出するものでもよいし、それらをともに検出するものでもよい。ケース体35には、ケース体35内へと外気を取り込むファン等を含む吸引部37と、この吸引部37からケース体35内に取り込まれてセンサ素子36により臭気等が検出された空気をケース体35から排出する排出口38と、が配置されている。また、ケース体35には、センサ部30の電源スイッチ39が配置されている。本実施の形態では、例えば吸引部37がケース体35の正面に配置され、排出口38及び電源スイッチ39がケース体35の側面に配置されている。センサ部30は、筐体31の一側の下部寄りに配置されている。また、吸引部37は、ケース体35の下部寄りに位置する。
【0026】
図3(a)ないし図3(c)に示す筐体31は、防雨ボックス等とも呼ばれ、センサ部30を保護する。筐体31は、例えば合成樹脂等により形成された軽量のものである。本実施の形態において、筐体31は、前面が開口した四角形箱状の筐体本体部41と、筐体本体部41の開口を開閉する四角形状の蓋体42と、を有している。筐体本体部41と蓋体42とは、ヒンジ部43を介して接続されている。そして、筐体31は、蓋体42により筐体本体部41の開口を閉じた状態がロック手段等の保持手段44によって保持されることで、筐体31が密閉された状態が維持されるように構成されている。本実施の形態では、ヒンジ部43が、筐体31の上部に位置し、保持手段44が筐体31の下部に位置する。また、筐体本体部41の背面側には、筐体31(堆肥化監視装置22)を堆肥化装置1の支持体17(図1)の支柱等に設置するための固定金具等の取付手段45が設けられている。
【0027】
密閉された筐体31の内部に、引き込み手段32により外気が引き込まれる。引き込み手段32は、筐体31に接続される通気部46と、通気部46を介して外気を筐体31内に吸い込むファン47と、を備える。
【0028】
通気部46は、長尺管状に形成されている。通気部46は、筐体31に形成された穴部48に気密に接続され、筐体31の内外を連通する。一例として、通気部46は、センサ部30に対向する位置にて筐体31に接続されている。この例では、通気部46は、筐体31の下部の一側(図3(a)中の左側)に接続されている。通気部46は、伸縮可能としてもよい。本実施の形態では、穴部48からセンサ部30の吸引部37に亘り、外気を吸引部37に運ぶための風路部49が形成されている。風路部49は、穴部48又は通気部46に気密に接続されている。
【0029】
ファン47は、筐体31の内部から外部へと空気を排出することにより通気部46から筐体31の内部へと外気を吸い込み可能とする。一例として、ファン47は、筐体31の上部の一側(図3(a)中の左側)に配置されている。したがって、通気部46とファン47とは、筐体31の同側に配置されている。
【0030】
好ましくは、筐体31の内部は、仕切り部Pにより複数の室に仕切られ、この仕切り部Pにより仕切られたセンサ室である一の室31aにセンサ部30が配置されているとともに、一の室31aに引き込み手段32により外気が引き込まれ、ファン47により排気されるように構成されている。
【0031】
その他、本実施の形態において、筐体31の内部には、端子台50、サーキットプロテクタ等の回路保護手段51、避雷器52、及び、外部電源の電圧をセンサ部30の駆動用等に変換するスイッチング電源等の電圧変換回路である電源部53、等が収容されている。これら端子台50、回路保護手段51、避雷器52、及び、電源部53等は、筐体31の内部において、仕切り部48により仕切られた制御室である他の室31bに配置されている。つまり、端子台50、回路保護手段51、避雷器52、及び、電源部53等は、センサ部30とは別室に配置されている。そのため、端子台50、回路保護手段51、避雷器52、及び、電源部53等は、引き込み手段32により引き込まれた外気に対して隔離され、外気による腐食等に対して保護されている。なお、一の室31aと他の室31bとは、基本的に互いに気密に仕切られているが、僅かな漏れ等が生じた場合等でも他の室31bから臭気を含む外気を排出できるように、他の室31b側にも排気用のファン54が配置されていてもよい。
【0032】
一例として、本実施の形態では、端子台50を介して、図5に示すように、外部電源に対して接続される回路保護手段51の前段に避雷器52が接続されるとともに、回路保護手段51の後段に電源部53とファン47(及びファン54)とが並列に接続されている。そして、ファン47(及びファン54)が外部電源により直接動作されるとともに、電源部53により例えば外部電源の交流100V等の電圧が直流5V等に降圧されてセンサ部30に供給され、センサ部30が動作するようになっている。これに限らず、ファン47(及びファン54)やセンサ部30をバッテリ駆動としてもよい。外部電源としては、例えば商用電源を用いてもよいし、車両に搭載されているバッテリ等を用いてもよい。
【0033】
また、堆肥化監視装置22は、取得手段28により取得された情報を堆肥化監視装置22の外部に出力する出力手段55を備える。出力手段55は、有線、あるいは無線により情報を出力可能となっている。本実施の形態において、出力手段55は、センサ部30に一体的に設けられて筐体31の内部に収容され、Bluetooth(登録商標)、あるいはZigBee(登録商標)等の所定の無線規格によって無線通信する無線通信部である。すなわち、本実施の形態において、出力手段55は、筐体31の内部の一の室31a内に配置されている。
【0034】
例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、出力手段55は、ケース体57を備え、ケース体57の内部に、回路基板58が配置されている。また、ケース体57には、出力手段55の動作状態を表示するインジケータランプ等の複数の状態表示手段60、出力手段55の識別ID等を設定する設定手段61、出力手段55の電源スイッチ62、センサ部30及び出力手段55を電源部53と接続するための入力部63、及び、アンテナ64等が配置されている。図示される例では、ケース体57には、温度及び湿度(水蒸気量)に関する情報を取得する温湿度センサ65がさらに配置されている。温湿度センサ65は、取得手段28(センサ部30)の一部を構成し、引き込み手段32により筐体31の内部に引き込まれた、被処理物W(図1)の近傍の温度や湿度に関する情報を取得することにより、被処理物W(図1)の発酵状態と相関を有する情報を取得するセンサ部である。本実施の形態では、例えば状態表示手段60、設定手段61、温湿度センサ65がケース体57の正面に配置され、電源スイッチ62及び入力部63がケース体57の一側面、アンテナ64がケース体57の他側面に配置されている。出力手段55は、センサ部30の上部に隣接して配置されている。つまり、出力手段55は、筐体31の一側に配置されている。ケース体57は、センサ部30のケース体35と一体的に形成されていてもよい。なお、出力手段55は、電源部53からの給電により動作してもよいし、バッテリ駆動でもよい。
【0035】
また、筐体31の外部には、照度センサ66が配置されている。照度センサ66は、取得手段28(センサ部30)の一部を構成し、太陽光等による設置位置の明るさに関する情報を取得する。照度センサ66の適切な設置位置は、堆肥化監視装置22の設置状態や使用状態に応じて異なるため、照度センサ66の筐体31への配置位置は、変更可能とすることが好ましい。一例として、照度センサ66は、例えば筐体31の上部等に配置されている。
【0036】
そして、出力手段55は、回路基板58により、少なくともセンサ部30により取得された情報を有線又は無線で受信し、本実施の形態ではセンサ部30により取得された情報に加えて、温湿度センサ65により取得された情報と、照度センサ66により取得された情報と、の少なくともいずれかを有線又は無線で受信し、その受信した情報を、アンテナ64を介して制御手段20(図1)に対して、直接に、あるいは筐体31(図3(a))の外部に設置された親機等の中継装置を介して間接的に、無線出力可能となっている。本実施の形態では、図1及び図6に示す中継装置70を用いて、制御手段20に情報を示す信号を出力している。中継装置70は、任意の構成としてよいが、例えばケース体72を備え、ケース体72の内部に、回路基板が配置されている。また、ケース体72には、アンテナ74が配置されている。さらに、中継装置70は、コンピュータ21(受信手段23)に対し、有線、あるいは無線により接続可能となっている。例えば、中継装置70は、USB等のインターフェースを介してコンピュータ21(受信手段23)と接続可能となっている。
【0037】
なお、臭気に関する情報に加えて、被処理物W(図1)の発酵状態と相関を有する他の情報を取得するセンサ部をさらに備えていてもよい。例えば、被処理物W(図1)の色等の情報を取得するセンサ部をさらに備えていてもよい。
【0038】
次に、一実施の形態の動作を説明する。
【0039】
堆肥化装置1では、制御手段20から出力された信号に応じて空気供給手段10及び攪拌手段15を動作させて、被処理物Wを堆肥化する。
【0040】
堆肥化監視装置22では、攪拌手段15による被処理物Wの攪拌が終了すると、引き込み手段32の通気部46を被処理物Wに対して上方から差し込み、ファン47を駆動させることで、外気を筐体31内の一の室31aに引き込む。したがって、堆肥化監視装置22は、攪拌手段15及び/又は空気供給手段10の動作中には動作させない。なお、使用者Hが直接堆肥化監視装置22を携行して使用する場合には、通気部46を被処理物Wに対して側方から、あるいは上方から差し込み、ファン47を駆動させることで、外気を筐体31内に引き込む。通気部46は、被処理物Wの表面に可能な限り近い位置から外気を取得することが好ましく、例えば被処理物Wの表面から50cm以内の位置の外気を取得する。これに限らず、臭気の周辺環境への影響度を検出するために、処理物Wの表面から1mや2mの位置の外気を取得してもよい。
【0041】
筐体31内では、通気部46から引き込まれた外気の一部を、風路部49を介して、取得手段28のセンサ部30において、吸引部37によってケース体35内に吸引し、センサ素子36によって外気に含まれる臭気に関する情報を取得する。情報を取得した後の空気は、排出口38からケース体35の外部に排出され、さらにファン47の動作によって筐体31の外部へと排出される。このとき、温湿度センサ65によって、外気の温度及び湿度に関する情報を取得してもよい。筐体31外では、照度センサ66によって、照度に関する情報を取得する。
【0042】
センサ部30により取得された臭気に関する情報が信号として出力手段55に送られ、出力手段55の回路基板58で処理されて、その処理された信号がアンテナ64を介して無線出力される。なお、出力手段55は、照度センサ66及び/又は温湿度センサ65の検出結果も情報として無線出力してもよい。
【0043】
そして、堆肥化監視装置22は、センサ部30により取得された情報を、その取得したセンサ部30の識別IDとともに信号として出力手段55により出力する。出力された信号は、中継装置70に受信され、中継装置70を介してコンピュータ21の受信手段23に取得される。
【0044】
受信手段23で取得された信号は、解析手段24により解析された後、表示エンジン等の表示制御手段により制御された報知手段25に、使用者が視認可能となるように表示されることで使用者に報知される。例えば、報知手段25には、各堆肥化監視装置22により取得した臭いの有無、臭気の成分量及び成分比等の情報が、その情報を取得した堆肥化監視装置22の位置(センサ部30の識別ID)とともに表示される。例えば、報知手段25に表示される成分としては、メタン、エタン、アンモニア、二酸化炭素、酸素、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二酸化メチル、プロピオン酸、ノルマル酪酸等、堆肥化される被処理物Wから発せられる固有の成分の少なくともいずれかとしてよい。
【0045】
また、受信手段23で取得された信号は、判定手段26により処理され、被処理物Wの発酵状態が判定される。判定手段26は、例えば被処理物Wの発酵が進むにしたがい被処理物Wからの臭気の成分量が変化(低下)し、完熟堆肥においては殆ど臭いがしないことに基づき、被処理物Wの発酵状態を判定する。また、判定手段26による判定には、センサ部30で取得された、被処理物Wの発酵状態と相関を有する情報を加味してもよい。なお、被処理物Wの種類によっても臭気の成分は異なるため、判定時には被処理物Wの種類を加味することが好ましい。判定手段26による判定は、例えば堆肥化監視装置22毎(センサ部30)毎に行ってもよいし、ゾーン毎に集計して行ってもよい。判定手段26は、判定に応じた信号を生成し、その信号を制御手段20に出力する。
【0046】
なお、報知手段25に表示される情報は、取得手段28(センサ部30)により取得された臭気に関する情報に限らず、その情報に基づく情報でもよい。例えば、臭気に関する情報に基づく情報としては、「未完熟」あるいは「完熟」等、判定手段26による判定結果でもよい。つまり、報知手段25による報知とは、被処理物Wの発酵状態に関する報知である。また、情報の表示方法としては、文字や数字に限らず、その時間変化やグラフ等で表示してもよいし、色彩やアニメーション等、あるいはそれらの任意の組み合わせを用いて表示してもよい。その他、センサ部30で取得された、被処理物Wの発酵状態と相関を有する情報が報知手段25に表示されてもよい。
【0047】
制御手段20では、判定手段26から出力された信号に応じて、空気供給手段10の動作を制御する信号を生成して出力することで、被処理物Wに送られる送風量(動作時間、パワー)を調整し、被処理物Wの発酵状態すなわち腐熟度を制御する。例えば、被処理物Wの腐熟度が低いほど、制御手段20は被処理物Wの堆肥化を促進するように、空気供給手段10からの送風量を大きくするように制御する。制御手段20は、各堆肥化監視装置22の位置に応じて空気供給手段10からの送風量を制御してもよいし、ゾーン毎に送風量を制御してもよい。空気供給手段10や撹拌手段15を備えない堆肥化装置1の場合には、報知手段25による報知に基づき、作業者がショベル等を用いて被処理物Wを撹拌する。
【0048】
このように、一実施の形態によれば、堆肥化中の被処理物Wの少なくとも臭気に関する情報を取得手段28で取得し、出力手段55で出力することで、出力された臭気に関する情報に基づいて、被処理物Wの発酵状態を容易に監視できる。
【0049】
取得手段28は、引き込み手段32によって被処理物W内や被処理物W近傍の外気を筐体31内に引き込み、その引き込んだ外気に含まれる臭気に関する情報を、筐体31内に配置されたセンサ部30によって検出できるので、周辺環境等の影響を受けにくい状態で情報を取得でき、情報の正確性を高めることができる。
【0050】
引き込み手段32は、通気部46から吸引部37に亘り風路部49を配置することで、通気部46から筐体31内に引き込まれた外気を吸引部37に直接送り込み、センサ部30により取得される情報の正確性をより高めることができる。
【0051】
取得手段28は、臭気に関する情報に加えて、被処理物Wの発酵状態と相関を有する他の情報を取得するので、被処理物Wの発酵状態を判定するための情報を増やすことができ、より高精度な判定が可能になる。
【0052】
この堆肥化監視装置22の出力手段55により出力された情報に基づき報知手段25により報知することで、報知手段25の報知を介して、使用者が被処理物Wの発酵状態を容易に知ることができる。
【0053】
出力手段55により出力された情報から被処理物Wの発酵状態を判定手段26によって判定することで、堆肥の発酵の成否に精通していない農業者等の使用者であっても、被処理物Wが十分に発酵しているか否かを判定手段26の判定に基づいて知ることができる。
【0054】
そこで、農業者等の使用者が未完熟な被処理物Wを堆肥として使用することを抑制できるので、未完熟な被処理物Wの使用に伴う土壌での過剰な硝酸態窒素の発生等の不具合を抑制でき、環境負荷を低下させることが可能となる。
【0055】
さらに、取得手段28により取得された臭気に関する情報に応じて、例えば判定手段26の判定結果に応じて、制御手段20により堆肥化装置1の動作を制御することで、被処理物Wの発酵状態を監視しつつ被処理物Wの完熟を自動的に進めることが可能な、全自動型の堆肥化管理システム27を構築できる。
【0056】
なお、上記一実施の形態において、堆肥化管理システム27の管理者が、報知手段25に表示される情報に基づいて被処理物Wの発酵状態を判定したり、それに応じて堆肥化装置1の空気供給手段10等の動作を制御したりする場合には、制御手段20あるいは判定手段26は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0057】
また、制御手段20、解析手段24、報知手段25、及び、判定手段26は、同一のコンピュータ21に配置されているものに限らず、それぞれ別個であってもよいし、それらのうちのいずれか二つと残りの一つとが別個であってもよい。
【0058】
報知手段25は、例えばスマートフォン等、表示機能を有する携帯型情報端末のモニタ等でもよいし、筐体31等に外部から視認可能に配置されたモニタ等でもよい。また、報知手段25は、表示手段に限らず、音声やブザー等により報知する報知手段、電子メール、あるいは、メッセージアプリ等によるプッシュ通知やフェッチ通知等も、報知手段の一例としてよい。
【0059】
空気供給手段10や撹拌手段15を備えない堆肥化装置1の場合には、据え付け型の堆肥化監視装置22あるいはセンサ部30を壁体3あるいは柱体7等(例えば図1中の位置L1,L2等)に配置してもよいし、使用者Hが携行する携行型の堆肥化監視装置22を用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 堆肥化装置
20 制御手段
22 堆肥化監視装置
25 報知手段
26 判定手段
27 堆肥化管理システム
28 取得手段
30 センサ部
31 筐体
32 引き込み手段
55 出力手段
W 被処理物
図1
図2
図3
図4
図5
図6