(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084462
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20240618BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B65D85/00 G
B65D5/50 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198744
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】織田 光郎
【テーマコード(参考)】
3E060
3E068
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB02
3E060CB02
3E060CB06
3E060CB16
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC43
3E060DA22
3E060DA30
3E060EA06
3E060EA20
3E068AA40
3E068AB03
3E068AB08
3E068AC08
3E068BB01
3E068CC04
3E068CD01
3E068DD01
3E068DD04
3E068DD18
3E068DD28
3E068DE11
3E068DE12
3E068DE13
3E068EE01
3E068EE25
(57)【要約】
【課題】直径の異なる複数の種類のボールを収容することができるボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体を提供する。
【解決手段】ボール包装箱において、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角が鈍角であって、第2前フラップ23および第3前フラップ24が底面に沿う第1状態と、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角が鋭角、かつ、第2前フラップ23と第3前フラップ24とのなす角が鋭角である第2状態とが、切り替え可能に構成されている。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁を備え、これら主壁で囲まれる空間にボールを収容するように構成されたボール包装箱であって、
前記下壁の前端から立ち上がる前壁と、
前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びる第1前フラップと、
前記第1前フラップの後端に谷折りされる第1罫線を介して繋がっている第2前フラップと、
前記第2前フラップの後端に山折りされる第2罫線を介して繋がっている第3前フラップと、を備え、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって、前記第2前フラップおよび前記第3前フラップが前記底面に沿う第1状態と、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角、かつ、前記第2前フラップと前記第3前フラップとのなす角が鋭角である第2状態とが、
前記第1罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度および前記第2罫線の折り曲げ状態の変更によって切り替え可能に構成されている
ボール包装箱。
【請求項2】
前記右壁の前端から前記ボール包装箱内に折り込まれた右規制片であって、端部に切り欠きを有する前記右規制片と、
前記左壁の前端から前記ボール包装箱内に折り込まれた左規制片であって、端部に切り欠きを有する前記左規制片と、を備え、
前記第2状態において、前記第2罫線の位置で前記第2前フラップと前記第3前フラップとが形成する角部が、前記右規制片の前記切り欠きと、前記左規制片の前記切り欠きとに係止される
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項3】
前記第2状態において、上下方向に対する前記第2前フラップの角度は0°よりも大きく、上下方向に対する前記第3前フラップの角度は90°以下であり、前記第2前フラップに対する前記第3前フラップの角度が変化可能である
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項4】
前記右壁の前端から前記ボール包装箱内に折り込まれた右規制片と、
前記左壁の前端から前記ボール包装箱内に折り込まれた左規制片と、を備え、
前記右規制片および前記左規制片が前記第1前フラップに当接することにより、前記底面に対する前記第1前フラップの角度が規定される
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項5】
前記第1前フラップの右端に繋がっている右端片であって、前記ボール包装箱内で前記右壁に沿う前記右端片と、
前記第1前フラップの左端に繋がっている左端片であって、前記ボール包装箱内で前記左壁に沿う前記左端片と、を備え、
前記右端における前記右端片の基部、および、前記左端における前記左端片の基部の各々には、切り込みが形成されており、
前記右規制片が前記右端の前記切り込みに差し込まれ、前記左規制片が前記左端の前記切り込みに差し込まれることにより、前記右規制片および前記左規制片が前記第1前フラップに当接して前記底面に対する前記第1前フラップの角度が規定される
請求項4に記載のボール包装箱。
【請求項6】
前記第1前フラップと前記右端片との間の罫線、および、前記第1前フラップと前記左端片との間の罫線の各々は、谷折りされている
請求項5に記載のボール包装箱。
【請求項7】
前記第1前フラップと前記右端片との間の罫線、および、前記第1前フラップと前記左端片との間の罫線の各々は、山折りされている
請求項5に記載のボール包装箱。
【請求項8】
前記4つの主壁の少なくとも1つが対象主壁であり、
前記ボール包装箱の後面を構成して前記対象主壁ごとに備えられる後フラップであって、その基端が前記対象主壁の後端に繋がっている前記後フラップと、
前記後フラップの先端に繋がっている折曲片であって、前記後フラップの裏側に向けて折り曲げ可能に構成された前記折曲片と、を備える
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項9】
前記後フラップの先端辺、および、前記折曲片の先端辺の少なくとも一方は、前記対象主壁に向かって突き出す円弧状の部分を含む
請求項8に記載のボール包装箱。
【請求項10】
ボール包装箱を製造するためのブランクであって、
一列に繋がった上壁、下壁、右壁、および、左壁と、
前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、
前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった第1前フラップであって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びるように前記前壁との間の罫線で折り曲げ可能に構成された前記第1前フラップと、
前記第1前フラップに対して前記前壁と反対側に繋がった第2前フラップであって、前記第1前フラップとの間の第1罫線で谷折り可能に構成された前記第2前フラップと、
前記第2前フラップに対して前記第1前フラップと反対側に繋がった第3前フラップであって、前記第2前フラップとの間の第2罫線で山折り可能に構成された前記第3前フラップと、を備え、
前記ボール包装箱を、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって、前記第2前フラップおよび前記第3前フラップが前記底面に沿う第1状態と、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角、かつ、前記第2前フラップと前記第3前フラップとのなす角が鋭角である第2状態とを、
前記第1罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度および前記第2罫線の折り曲げ状態の変更によって切り替え可能な構造とするように構成されている
ブランク。
【請求項11】
ボール包装箱の製造に用いられる中間体であって、
上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁であって、扁平筒状に繋げられている前記4つの主壁と、
前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、
前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった第1前フラップであって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びるように前記前壁との間の罫線で折り曲げ可能に構成された前記第1前フラップと、
前記第1前フラップに対して前記前壁と反対側に繋がった第2前フラップであって、前記第1前フラップとの間の第1罫線で谷折り可能に構成された前記第2前フラップと、
前記第2前フラップに対して前記第1前フラップと反対側に繋がった第3前フラップであって、前記第2前フラップとの間の第2罫線で山折り可能に構成された前記第3前フラップと、を備え、
前記ボール包装箱を、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって、前記第2前フラップおよび前記第3前フラップが前記底面に沿う第1状態と、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角、かつ、前記第2前フラップと前記第3前フラップとのなす角が鋭角である第2状態とを、
前記第1罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度および前記第2罫線の折り曲げ状態の変更によって切り替え可能な構造とするように構成されている
包装箱中間体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
球技用ボールの販売に際して当該ボールの陳列に用いられるボール包装箱が知られている(例えば、特許文献1参照)。球技用ボールは、例えば、バスケットボールやサッカーボール等である。ボール包装箱は、1枚のブランクから組み立てられた箱状を有し、前面と後面とに開口部を有する。これらの開口部から、ボール包装箱に収容されたボールが視認可能である。ボールをボール包装箱に収容した状態で陳列することにより、ボールが転がることを抑えられるため、ボールの安定した陳列が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のボール包装箱においては、箱内部に、ボールの底部を支持するフラップが配置されている。フラップは、ボールと接する部分で箱の底面から浮き上がっており、弾性力を有するように底面に向けて僅かに変形可能である。それゆえ、収容されるボールの直径に応じて、フラップの高さが変化する。これにより、空気が十分に充填されているボールと空気不足のボールとのように、直径が若干異なるボールであっても、これらのボールのいずれもを箱内部に安定して保持することができる。
【0005】
しかしながら、1枚のブランクから組み立てられたボール包装箱では、上記フラップを複雑な機構により構成することはできないため、フラップの高さが変化する範囲は僅かである。したがって、収容可能なボールの直径の範囲は狭い。それゆえ、号数の異なるボールのように、より大きな直径の差を有する複数の種類のボールを収容可能なボール包装箱が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体の各態様を記載する。
[態様1]上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁を備え、これら主壁で囲まれる空間にボールを収容するように構成されたボール包装箱であって、前記下壁の前端から立ち上がる前壁と、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びる第1前フラップと、前記第1前フラップの後端に谷折りされる第1罫線を介して繋がっている第2前フラップと、前記第2前フラップの後端に山折りされる第2罫線を介して繋がっている第3前フラップと、を備え、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって、前記第2前フラップおよび前記第3前フラップが前記底面に沿う第1状態と、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角、かつ、前記第2前フラップと前記第3前フラップとのなす角が鋭角である第2状態とが、前記第1罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度および前記第2罫線の折り曲げ状態の変更によって切り替え可能に構成されている、ボール包装箱。
【0007】
上記構成によれば、第1状態と第2状態との切り替えによって、ボール包装箱内でのボールの支持位置が切り換えられる。これにより、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【0008】
[態様2]前記右壁の前端から前記ボール包装箱内に折り込まれた右規制片であって、端部に切り欠きを有する前記右規制片と、前記左壁の前端から前記ボール包装箱内に折り込まれた左規制片であって、端部に切り欠きを有する前記左規制片と、を備え、前記第2状態において、前記第2罫線の位置で前記第2前フラップと前記第3前フラップとが形成する角部が、前記右規制片の前記切り欠きと、前記左規制片の前記切り欠きとに係止される、[態様1]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、第1罫線と第2罫線とが折られた第2状態の構造が的確に保持される。
【0009】
[態様3]前記第2状態において、上下方向に対する前記第2前フラップの角度は0°よりも大きく、上下方向に対する前記第3前フラップの角度は90°以下であり、前記第2前フラップに対する前記第3前フラップの角度が変化可能である、[態様1]または[態様2]に記載のボール包装箱。
【0010】
上記構成によれば、第2状態にて、第2前フラップと第3前フラップとからなる構造がばねのように機能するため、第1状態よりも小さい直径のなかでも、複数の直径のボールに対応して、各直径のボールを的確に保持することができる。
【0011】
[態様4]前記右壁の前端から前記ボール包装箱内に折り込まれた右規制片と、前記左壁の前端から前記ボール包装箱内に折り込まれた左規制片と、を備え、前記右規制片および前記左規制片が前記第1前フラップに当接することにより、前記底面に対する前記第1前フラップの角度が規定される、[態様1]~[態様3]のいずれか1つに記載のボール包装箱。
上記構成によれば、第1前フラップの角度が的確に規定される。
【0012】
[態様5]前記第1前フラップの右端に繋がっている右端片であって、前記ボール包装箱内で前記右壁に沿う前記右端片と、前記第1前フラップの左端に繋がっている左端片であって、前記ボール包装箱内で前記左壁に沿う前記左端片と、を備え、前記右端における前記右端片の基部、および、前記左端における前記左端片の基部の各々には、切り込みが形成されており、前記右規制片が前記右端の前記切り込みに差し込まれ、前記左規制片が前記左端の前記切り込みに差し込まれることにより、前記右規制片および前記左規制片が前記第1前フラップに当接して前記底面に対する前記第1前フラップの角度が規定される、[態様4]に記載のボール包装箱。
【0013】
上記構成によれば、右端片および左端片を通じて、第1前フラップが右壁および左壁からも間接的に支持される。したがって、第1前フラップの角度を規定するための構造の安定性が高められる。
【0014】
[態様6]前記第1前フラップと前記右端片との間の罫線、および、前記第1前フラップと前記左端片との間の罫線の各々は、谷折りされている、[態様5]に記載のボール包装箱。
【0015】
上記構成によれば、右壁または左壁に沿わせて第1前フラップから下壁までの空間に各端片を差し込む作業が不要であるため、ボール包装箱の前面下部の組み立てが容易である。
【0016】
[態様7]前記第1前フラップと前記右端片との間の罫線、および、前記第1前フラップと前記左端片との間の罫線の各々は、山折りされている、[態様5]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、各端片が下壁と第1前フラップとの間の支持体として機能するため、第1前フラップの支持構造が強固になる。
【0017】
[態様8]前記4つの主壁の少なくとも1つが対象主壁であり、前記ボール包装箱の後面を構成して前記対象主壁ごとに備えられる後フラップであって、その基端が前記対象主壁の後端に繋がっている前記後フラップと、前記後フラップの先端に繋がっている折曲片であって、前記後フラップの裏側に向けて折り曲げ可能に構成された前記折曲片と、を備える、[態様1]~[態様7]のいずれか1つに記載のボール包装箱。
【0018】
上記構成によれば、折曲片の折り曲げの有無によって、後面でのボールの支持位置を変更できる。そのため、前面下部の組立方法の変更のみによって収容可能なボールの直径が切り換えられる場合と比較して、収容可能なボールの直径の範囲をより広げることができる。
【0019】
[態様9]前記後フラップの先端辺、および、前記折曲片の先端辺の少なくとも一方は、前記対象主壁に向かって突き出す円弧状の部分を含む、[態様8]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、先端辺がボールに沿いやすいため、後フラップあるいは折曲辺によるボールの安定した支持が可能である。
【0020】
[態様10]ボール包装箱を製造するためのブランクであって、一列に繋がった上壁、下壁、右壁、および、左壁と、前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった第1前フラップであって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びるように前記前壁との間の罫線で折り曲げ可能に構成された前記第1前フラップと、前記第1前フラップに対して前記前壁と反対側に繋がった第2前フラップであって、前記第1前フラップとの間の第1罫線で谷折り可能に構成された前記第2前フラップと、前記第2前フラップに対して前記第1前フラップと反対側に繋がった第3前フラップであって、前記第2前フラップとの間の第2罫線で山折り可能に構成された前記第3前フラップと、を備え、前記ボール包装箱を、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって、前記第2前フラップおよび前記第3前フラップが前記底面に沿う第1状態と、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角、かつ、前記第2前フラップと前記第3前フラップとのなす角が鋭角である第2状態とを、前記第1罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度および前記第2罫線の折り曲げ状態の変更によって切り替え可能な構造とするように構成されている、ブランク。
【0021】
上記構成によれば、製造されたボール包装箱において、第1状態と第2状態との切り替えによって、ボール包装箱内でのボールの支持位置が切り換えられる。これにより、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【0022】
[態様11]ボール包装箱の製造に用いられる中間体であって、上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁であって、扁平筒状に繋げられている前記4つの主壁と、前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった第1前フラップであって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びるように前記前壁との間の罫線で折り曲げ可能に構成された前記第1前フラップと、前記第1前フラップに対して前記前壁と反対側に繋がった第2前フラップであって、前記第1前フラップとの間の第1罫線で谷折り可能に構成された前記第2前フラップと、前記第2前フラップに対して前記第1前フラップと反対側に繋がった第3前フラップであって、前記第2前フラップとの間の第2罫線で山折り可能に構成された前記第3前フラップと、を備え、前記ボール包装箱を、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって、前記第2前フラップおよび前記第3前フラップが前記底面に沿う第1状態と、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角、かつ、前記第2前フラップと前記第3前フラップとのなす角が鋭角である第2状態とを、前記第1罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度および前記第2罫線の折り曲げ状態の変更によって切り替え可能な構造とするように構成されている、包装箱中間体。
【0023】
上記構成によれば、製造されたボール包装箱において、第1状態と第2状態との切り替えによって、ボール包装箱内でのボールの支持位置が切り換えられる。これにより、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ボール包装箱において、直径の異なる複数の種類のボールを収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図3】一実施形態における包装箱中間体の平面構造を示す図。
【
図4】一実施形態における大径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図5】一実施形態における大径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図6】一実施形態における大径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図7】一実施形態における大径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図8】一実施形態における大径状態のボール包装箱の正面図。
【
図9】一実施形態における大径状態のボール包装箱の背面図。
【
図10】一実施形態における大径状態のボール包装箱の右側面図。
【
図11】一実施形態における大径状態のボール包装箱の左側面図。
【
図12】一実施形態における大径状態のボール包装箱の平面図。
【
図13】一実施形態における大径状態のボール包装箱の底面図。
【
図14】一実施形態における大径状態のボール包装箱の断面構造を示す図。
【
図15】一実施形態における小径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図16】一実施形態における小径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図17】一実施形態における小径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図18】一実施形態における小径状態のボール包装箱の正面図。
【
図19】一実施形態における小径状態のボール包装箱の背面図。
【
図20】一実施形態における小径状態のボール包装箱の断面構造を示す図。
【
図21】一実施形態のボール包装箱における右規制片を拡大して示す図。
【
図22】一実施形態における大径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【
図23】一実施形態における小径状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~
図21を参照して、ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体の一実施形態を説明する。以下の説明において、上下、前後、左右の各方向は、ボール包装箱を水平面に静置した状態での方向に対応する。
【0027】
[ボール包装箱の全体構成]
図1に示すように、ボール包装箱100は、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の4つの主壁からなる筒状体を有し、筒状体で囲まれた空間にボール110を収容する。ボール包装箱100の前面と後面とは開口されており、ボール包装箱100の前方および後方から、収容されているボール110を視認することができる。ボール110は、例えば、バスケットボール、バレーボール、サッカーボール、ドッジボール、ハンドボール等の球技用ボールである。
【0028】
[ブランクの構成]
図2は、ボール包装箱100の製造のためのブランク101を示す。ボール包装箱100は、1枚のブランク101の組み立てによって形成される。ブランク101には2種類の組立方法があり、第1の組立方法によって大径状態のボール包装箱100が形成され、第2の組立方法によって小径状態のボール包装箱100が形成される。大径状態は第1状態の一例であり、小径状態は第2状態の一例である。大径状態と小径状態とで、ボール包装箱100に収容可能なボール110の直径は異なり、大径状態のボール包装箱100には、小径状態のボール包装箱100よりも直径の大きなボール110を収容できる。
【0029】
図2に示すように、ブランク101において、左壁40、下壁20、右壁30、上壁10の4つの主壁がこの順に一列に並んでおり、隣り合う主壁は折り曲げ線である罫線60a~60cを介して繋がっている。さらに、上壁10に対して右壁30と反対側には、罫線60dを介して糊代片50が繋がっている。糊代片50は、ブランク101の組み立て過程において左壁40の裏面端部に接着される部分であり、帯状に延びる。
【0030】
下壁20は矩形形状を有し、下壁20の前端には、罫線62aを介して前壁21が繋がっている。前壁21は、左右方向に延びる帯状を有する。前壁21に対して下壁20と反対側には、第1前フラップ22が罫線62bを介して繋がっている。さらに、第1前フラップ22に対して前壁21と反対側には、第2前フラップ23が罫線62cを介して繋がっており、第2前フラップ23に対して第1前フラップ22と反対側には、第3前フラップ24が罫線62dを介して繋がっている。すなわち、前壁21に近い位置から、第1前フラップ22、第2前フラップ23、第3前フラップ24がこの順に並んでいる。罫線62cは第1罫線の一例であり、罫線62dは第2罫線の一例である。
【0031】
第1前フラップ22、第2前フラップ23、および、第3前フラップ24の各々は矩形形状を有する。これらの各前フラップ22,23,24の左右方向の長さは互いに一致している。各前フラップ22,23,24における左右方向と直交する方向の長さが、各前フラップ22,23,24の幅であり、第2前フラップ23および第3前フラップ24の各々の幅は、第1前フラップ22の幅よりも小さい。例えば、第2前フラップ23および第3前フラップ24の各々の幅は、第1前フラップ22の幅の2分の1以下である。第3前フラップ24の幅は、第2前フラップ23の幅よりもやや小さい。
【0032】
第1前フラップ22における左右の側端のうちの右壁30に近い方には、右端片28が罫線62eを介して繋がっており、上記側端のうちの左壁40に近い方には、左端片29が罫線62fを介して繋がっている。右端片28および左端片29の各々は、第1前フラップ22と繋がる辺を下底とする台形状を有し、右端片28および左端片29は、互いに左右対称な形状を有する。右端片28の基部にて罫線62eの中央付近には、切り込み28sが形成されており、左端片29の基部にて罫線62fの中央付近には、切り込み29sが形成されている。各切り込み28s,29sは、ブランク101を貫通する切れ目である。
【0033】
右壁30の前端には、下壁20に近い位置から、右補助片31、右規制片32、前右フラップ33が罫線63a~63cを介して繋がっている。右壁30の前端は、右規制片32と前右フラップ33との基端が位置する部分において内側に窪んでいる。左壁40の前端には、下壁20に近い位置から、左補助片41、左規制片42、前左フラップ43が罫線64a~64cを介して繋がっている。左壁40の前端は、左規制片42と前左フラップ43との基端が位置する部分において内側に窪んでいる。
【0034】
右壁30と左壁40、右補助片31と左補助片41、右規制片32と左規制片42、前右フラップ33と前左フラップ43のそれぞれは、互いに左右対称な形状を有する。右補助片31および左補助片41は略矩形形状を有する。
【0035】
右規制片32および左規制片42は略三角形状を有する。右規制片32の頂角に対応する部分には、V字状の切り欠き32nが形成されており、右規制片32は、切り欠き32nに対して右補助片31および右端片28が位置する方の端部に、突出部35を有している。同様に、左規制片42の頂角に対応する部分には、V字状の切り欠き42nが形成されており、左規制片42は、切り欠き42nに対して左補助片41および左端片29が位置する方の端部に、突出部45を有している。
【0036】
前右フラップ33および前左フラップ43は略三角形状を有し、前右フラップ33の先端には円弧状の先端辺33aが位置し、前左フラップ43の先端には円弧状の先端辺43aが位置する。
【0037】
上壁10は略矩形形状を有し、上壁10の前端には、前上フラップ11が罫線61aを介して繋がっている。前上フラップ11の先端には、円弧状の先端辺11aが位置する。前上フラップ11と前右フラップ33との隣り合う各端部は、互いに係合可能な構造を有しており、前上フラップ11と前左フラップ43との組み立て後に隣り合う各端部は、互いに係合可能な構造を有している。すなわち、一方の端部が有する窪みに他方の端部が有する突起が引っ掛けられることによって、端部同士の係合が可能とされる。
【0038】
下壁20の後端には、後下フラップ26の基端が罫線62fを介して繋がっている。後下フラップ26の先端には、罫線62fに向けて突き出す円弧状の先端辺26aが位置し、先端辺26aの中央部は、下折曲片27と罫線62gを介して繋がっている。すなわち、下折曲片27の左右の端部は後下フラップ26から切り離されている。下折曲片27の先端には、罫線62gに向けて突き出す円弧状の先端辺27aが位置する。下折曲片27の全体は、略円弧状の帯状に延びる。
【0039】
同様に、上壁10の後端には、円弧状の先端辺16aを有する後上フラップ16が罫線61fを介して繋がっており、先端辺16aの中央部に、円弧状の先端辺17aを有する上折曲片17が罫線61gを介して繋がっている。後上フラップ16の形状は後下フラップ26の形状と同一であり、上折曲片17の形状は下折曲片27の形状と同一である。
【0040】
また、右壁30の後端には、円弧状の先端辺36aを有する後右フラップ36が罫線63fを介して繋がっており、先端辺36aの中央部に、円弧状の先端辺37aを有する右折曲片37が罫線63gを介して繋がっている。右折曲片37は、下折曲片27よりも短い略円弧状の帯状を有する。
【0041】
同様に、左壁40の後端には、円弧状の先端辺46aを有する後左フラップ46が罫線64fを介して繋がっており、先端辺46aの中央部に、円弧状の先端辺47aを有する左折曲片47が罫線64gを介して繋がっている。後左フラップ46の形状は後右フラップ36の形状と同一であり、左折曲片47の形状は右折曲片37の形状と同一である。
【0042】
後下フラップ26と後左フラップ46との隣り合う各端部は、互いに係合可能な構造を有している。同様に、後下フラップ26と後右フラップ36との隣り合う各端部、後右フラップ36と後上フラップ16との隣り合う各端部、後上フラップ16と後左フラップ46との組み立て後に隣り合う各端部のそれぞれは、互いに係合可能な構造を有している。すなわち、一方の端部が有する窪みに他方の端部が有する突起が引っ掛けられることによって、端部同士の係合が可能とされる。なお、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、後左フラップ46の各々は、後フラップの一例である。
【0043】
上記ブランク101に対し、4つの主壁および糊代片50間の罫線60a~60dのうちの少なくとも2つが折り曲げられ、糊代片50が左壁40の裏面端部に接着されることにより、
図3に示す包装箱中間体105が形成される。包装箱中間体105において、右壁30、上壁10、左壁40、および、下壁20は、扁平筒状に繋げられている。
【0044】
例えば、工場等でブランク101から包装箱中間体105を形成した後、ボールの収容を行う拠点へは包装箱中間体105の状態で運搬し、拠点にて包装箱中間体105からボール包装箱100を組み立ててボール包装箱100にボール110を収容する。これにより、組み立て後のボール包装箱100を運搬する場合と比較して、運搬に要するスペースの削減が可能である。それとともに、拠点にてブランク101からボール包装箱100を組み立てる場合と比較して、糊代片50の接着工程が不要であるため、ボール包装箱100の組み立てに要する作業の簡略化が可能である。
なお、ブランク101は、例えば、段ボールやボール紙等の紙やプラスチックシートから構成される。
【0045】
[大径状態]
ブランク101を第1の組立方法によって組み立てることにより形成される大径状態のボール包装箱100について説明する。ボール包装箱100の組み立てに際しては、ブランク101から包装箱中間体105が形成された後、4つの主壁からなる筒状体が引き起こされ、前面下部、前面上部、後面の各々が組み立てられる。
【0046】
図4~
図7は、大径状態のボール包装箱100の斜視構造を示す。ボール包装箱100の前面下部は、前壁21、第1前フラップ22、第2前フラップ23、第3前フラップ24、右端片28、左端片29、右補助片31、左補助片41、右規制片32、および、左規制片42の組み立てによって形成される。
【0047】
図4および
図5に示すように、前壁21は、下壁20の前端から上方向に向けて立ち上がる。前壁21の高さは、ボール包装箱100の高さの3分の1以下である。第1前フラップ22は、前壁21の上端から、ボール包装箱100の内部に向けて延びる。第1前フラップ22は、前壁21とは反対側の端である後端がボール包装箱100内の底面に接するように、前壁21から下壁20に向かって傾斜している。上記底面は、下壁20が有する面である。
【0048】
第2前フラップ23および第3前フラップ24は、ボール包装箱100の内部で上記底面に沿って延びる。すなわち、第1前フラップ22の後端から第2前フラップ23が上記底面に沿って延び、さらに、第2前フラップ23の後端から第3前フラップ24が上記底面に沿って延びる。
【0049】
第2前フラップ23および第3前フラップ24は、下壁20上にて左右方向の全体に延びており、第2前フラップ23および第3前フラップ24の全体が下壁20に接している。大径状態において、第1前フラップ22と第2前フラップ23との間の罫線62cは、谷折りされている。また、第2前フラップ23と第3前フラップ24との間の罫線62dは、折られていない。
【0050】
図4に示すように、第1前フラップ22の右端に罫線62eを介して繋がっている右端片28は、罫線62eにて谷折りされて、ボール包装箱100の内部で右壁30に沿う。そして、右壁30の前端に罫線63bを介して繋がっている右規制片32は、罫線63bにて山折りされて右壁30に向かって内側に折り込まれ、右規制片32と右壁30との間に右端片28が挟み込まれる。右規制片32が有する突出部35が、右端片28の基部に位置する切り込み28sに差し込まれて係止されることにより、右規制片32および右端片28の位置が固定される。右補助片31は、前壁21の裏面に沿って、前壁21と第1前フラップ22と下壁20とで区画される空間に差し込まれている。
【0051】
同様に、
図5に示すように、第1前フラップ22の左端に罫線62fを介して繋がっている左端片29は、罫線62fにて谷折りされて、ボール包装箱100の内部で左壁40に沿う。そして、左壁40の前端に罫線64bを介して繋がっている左規制片42は、罫線64bにて山折りされて左壁40に向かって内側に折り込まれ、左規制片42と左壁40との間に左端片29が挟み込まれる。左規制片42が有する突出部45が、左端片29の基部に位置する切り込み29sに差し込まれて係止されることにより、左規制片42および左端片29の位置が固定される。左補助片41は、前壁21の裏面に沿って、前壁21と第1前フラップ22と下壁20とで区画される空間に差し込まれている。
【0052】
こうした各規制片32,42の各切り込み28s,29sへの挿入によって、各規制片32,42の位置が第1前フラップ22に当接した状態で固定され、これによって、第1前フラップ22の位置、すなわち下壁20に対する第1前フラップ22の角度が規定される。
【0053】
なお、右端片28と第1前フラップ22との間の罫線62eは、山折りすることも可能であるし、同様に、左端片29と第1前フラップ22との間の罫線62fは、山折りすることも可能である。各罫線62e,62fを山折りした場合であっても、各規制片32,42を各切り込み28s,29sに挿入して第1前フラップ22の位置を固定することは可能である。各罫線62e,62fを山折りすると、各端片28,29が下壁20と第1前フラップ22との間の支持体として機能するため、第1前フラップ22の支持構造が強固になる。
【0054】
一方で、各罫線62e,62fを山折りする場合、第1前フラップ22から下壁20までの空間に、右壁30または左壁40に沿わせて各端片28,29を差し込む必要があるが、各罫線62e,62fを谷折りする場合にはこうした差し込みの作業が不要である。そのため、ボール包装箱100の前面下部の組み立てに要する労力の削減が可能である。
各罫線62e,62fを谷折りする場合、各端片28,29は、各規制片32,42に隠れてもよいし、各端片28,29の一部は、各切り込み28s,29s等から見えてもよい。各端片28,29の一部が見える場合であっても、各端片28,29の表面の色と各規制片32,42の表面の色とが同じであれば、各端片28,29が目立つことを抑えられる。各端片28,29や各規制片32,42等の各部の表面の色は、ブランク101に対する印刷によって所望の色に設定できる。
【0055】
図6に示すように、ボール包装箱100の前面上部は、前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の組み立てによって形成される。すなわち、各フラップ11,33,43は、ボール包装箱100の内部に向かって折り込まれ、前上フラップ11の右端部と前右フラップ33の上端部とが係合され、前上フラップ11の左端部と前左フラップ43の上端部とが係合される。これにより、各フラップ11,33,43は、上壁10、右壁30、および、左壁40の前端からボール包装箱100内に向かうように傾斜した状態に保持され、その先端に、各フラップ11,33,43の先端辺11a,33a,43aが連なった曲線状の辺が配置される。
【0056】
図7に示すように、ボール包装箱100の後面は、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の組み立てによって形成される。詳細には、上折曲片17が、罫線61gにて後上フラップ16の裏側に向けて折られてボール包装箱100の内部に配置される。同様に、下折曲片27が、罫線62gにて後下フラップ26の裏側に向けて折られ、右折曲片37が、罫線63gにて後右フラップ36の裏側に向けて折られ、左折曲片47が、罫線64gにて後左フラップ46の裏側に向けて折られている。
【0057】
そして、各フラップ16,26,36,46は、ボール包装箱100の内部に向かって折り込まれ、後上フラップ16の右端部と後右フラップ36の上端部とが係合され、後上フラップ16の左端部と後左フラップ46の上端部とが係合され、後下フラップ26の右端部と後右フラップ36の下端部とが係合され、後下フラップ26の左端部と後左フラップ46の下端部とが係合される。
【0058】
これにより、各フラップ16,26,36.46は、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の後端からボール包装箱100内に向かうように傾斜した状態に保持され、その先端に、各フラップ16,26,36,46の先端辺16a,26a,36a,46aが連なった曲線状の辺が配置される。そして、この曲線状の辺によって区画された開口がボール包装箱100の後面に形成される。
【0059】
各フラップ16,26,36,46の係合によって、各フラップ16,26,36,46がボール包装箱100の外側に向けて開くことが規制される一方で、各フラップ16,26,36,46がボール包装箱100の内側に向けて折り込まれることは許容される。
【0060】
ボール包装箱100における前面下部、前面上部、および、後面の組み立て順は特に限定されないが、前面下部および前面上部の組み立て後に後面を組み立てると、ボール包装箱100の組み立てを円滑に進めることができる。
【0061】
また、ボール110は、ボール包装箱100の後方から収容される。ボール110は、後面の組み立て前に収容されてもよいし、後面の一部が組み立てられた後に収容されてもよいし、後面の組み立て後に収容されてもよい。後面の組み立て後であっても、各フラップ16,26,36,46をボール包装箱100の内側に向けて折り込むことは許容されることから、ボール110の収容が可能である。後面の組み立ては、ボール110が収容されていない状態で実施される方が容易であるため、後面の組み立て後にボール110を収容することで、ボール包装箱100の組み立ておよびボール110の収容を円滑に進めることができる。
【0062】
【0063】
図8~
図13に示すように、ボール包装箱100の前面および後面には開口が形成されている。また、ボール包装箱100の前面下部は、前面上部よりも前方向に突出している。言い換えれば、
図10および
図11に示すように、右壁30および左壁40の前部には、上壁10の前端から延びる斜辺と前壁21の上端から延びる斜辺とから構成される窪みDpが形成されている。これらの斜辺の交点にて、窪みDpの深さは最も深くなっている。
【0064】
図14は、大径状態のボール包装箱100における前後方向に沿った断面構造を、ボール包装箱100に収容されたボール110と共に示す。大径状態において、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角αは鈍角であり、第2前フラップ23と第3前フラップ24とのなす角βは180°である。
【0065】
収容されたボール110の前方上部が、前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の先端辺11a,33a,43aに当接し、ボール110の前方下部が、前方に向けてせり上がる斜面である第1前フラップ22の上面に当接することで、ボール110が前方に転がり出ることが抑えられる。
【0066】
また、ボール110の後部が、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の先端辺16a,26a,36a,46aに当接することで、ボール110が後方に転がり出ることが抑えられる。後面の各フラップ16,26,36,46の傾きは、ボール110の直径に応じて変わってもよく、後面の組み立て後にボール110を収容する形態であれば、ボール110の直径に合わせた各フラップ16,26,36,46の傾きの調整が容易である。
【0067】
このように、前面上部での各フラップ11,33,43の先端による支持と、前面下部での第1前フラップ22による支持と、後面での各フラップ16,26,36,46の先端による支持とによって、ボール包装箱100の内部でのボール110の位置が安定する。これにより、ボール110がボール包装箱100の内部に的確に保持される。
【0068】
なお、収容されたボール110は、前面上部の各フラップ11,33,43と、第1前フラップ22と、後面の各フラップ16,26,36,46とに同時に接している必要はない。ボール110が前方へ移動しようとしたときに、前面上部の各フラップ11,33,43および第1前フラップ22への当接によって前方への転がりが抑えられ、ボール110が後方へ移動しようとしたときに、後面の各フラップ16,26,36,46への当接によって後方への転がりが抑えられればよい。こうした前面および後面での転がりの規制が可能な範囲の直径を有するボール110であれば、大径状態のボール包装箱100に収容することができる。
【0069】
[小径状態]
ブランク101を第2の組立方法によって組み立てることにより形成される小径状態のボール包装箱100について説明する。ボール包装箱100の組み立てに際しては、ブランク101から包装箱中間体105が形成された後、4つの主壁からなる筒状体が引き起こされ、前面下部、前面上部、後面の各々が組み立てられる。
【0070】
図15~
図17は、小径状態のボール包装箱100の斜視構造を示す。前面上部の構成は大径状態と同一である。以下では、前面下部および後面の構成について、大径状態と異なる部分を説明する。
【0071】
図15および
図16に示すように、前面下部において、第2前フラップ23および第3前フラップ24以外の部材の配置は大径状態と同一である。第2前フラップ23は、第1前フラップ22に向けて罫線62cで折り返され、さらに、第3前フラップ24が、第1前フラップ22とは反対側に罫線62dで折り返されている。罫線62cは谷折りであり、罫線62dは山折りである。これにより、第2前フラップ23は、ボール包装箱100内の底面上から斜め前方に延び、その先端から、第3前フラップ24が斜め後方に延びるように配置される。
【0072】
罫線62dでの山折りによって、第2前フラップ23と第3前フラップ24とが罫線62dの位置に角部Caを形成する。角部Caは左右方向に延び、
図15に示すように、角部Caの右端は、右規制片32の端部の切り欠き32nに引っ掛けられることで切り欠き32nに係止される。同様に、
図16に示すように、角部Caの左端は、左規制片42の端部の切り欠き42nに引っ掛けられることで切り欠き42nに係止される。これにより、第2前フラップ23および第3前フラップ24が折り返された状態が保持され、第2前フラップ23および第3前フラップ24の角度の変化が、切り欠き32n,42nによって許容される範囲内に規制されている。
【0073】
図17に示すように、後面においては、後上フラップ16の先端から上折曲片17が延ばされている。すなわち、上折曲片17は折り曲げられていない。同様に、後下フラップ26の先端から下折曲片27が延ばされ、後右フラップ36の先端から右折曲片37が延ばされ、後左フラップ46の先端から左折曲片47が延ばされている。後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の係合は大径状態と同一である。
【0074】
これにより、各フラップ16,26,36,46および各折曲片17,27,37,47からなる構造体が、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の後端からボール包装箱100内に向かうように傾斜した状態に保持される。そして、上記構造体の先端に、各折曲片17,27,37,47の先端辺17a,27a,37a,47aが連なった曲線状の辺が配置され、この曲線状の辺によって区画された開口がボール包装箱100の後面に形成される。小径状態の後面の開口の径は、大径状態の後面の開口の径よりも小さい。
なお、小径状態における前面下部、前面上部、後面の組み立て順およびボール110の収容の手順は、大径状態と同様である。
【0075】
図18および
図19は、小径状態のボール包装箱100の六面図の一部であって、
図18は正面図、
図19は背面図を示す。小径状態のボール包装箱100における右側面図、左側面図、平面図、底面図の各々は、大径状態と同様である。
【0076】
図20は、小径状態のボール包装箱100における前後方向に沿った断面構造を、ボール包装箱100に収容されたボール110と共に示す。小径状態において、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角α、および、第2前フラップ23と第3前フラップ24とのなす角βの各々は鋭角である。上下方向において、第2前フラップ23および第3前フラップ24は、第1前フラップ22の上方に位置し、第2前フラップ23と第3前フラップ24とが形成する角部Caは前方に向けられている。
【0077】
収容されたボール110の前方上部が、前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の先端辺11a,33a,43aに当接し、ボール110の前方下部が、第3前フラップ24の上面に当接することで、ボール110が前方に転がり出ることが抑えられる。
【0078】
また、ボール110の後部が、上折曲片17、下折曲片27、右折曲片37、左折曲片47の先端辺17a,27a,37a,47aに当接することで、ボール110が後方に転がり出ることが抑えられる。後面の各フラップ16,26,36,46および折曲片17,27,37,47の傾きは、ボール110の直径に応じて変わってもよく、後面の組み立て後にボール110を収容する形態であれば、ボール110の直径に合わせた各フラップ16,26,36,46および折曲片17,27,37,47の傾きの調整が容易である。
【0079】
このように、前面上部での各フラップ11,33,43の先端による支持と、前面下部での第3前フラップ24による支持と、後面での各折曲片17,27,37,47の先端による支持とによって、ボール包装箱100の内部でのボール110の位置が安定する。これにより、ボール110がボール包装箱100の内部に的確に保持される。
【0080】
ボール110の前面下部を支持する第3前フラップ24は、大径状態においてボール110の前面下部を支持する第1前フラップ22よりも上方に配置され、各折曲片17,27,37,47の先端から構成される開口は、大径状態において各フラップ16,26,36,46の先端から構成される開口よりも小さくかつ前方に位置する。このように、小径状態では、各部材によるボール110の支持位置が、大径状態よりも狭い範囲に配置される。したがって、小径状態のボール包装箱100には、大径状態よりも小さい直径のボール110を収容することができる。
【0081】
なお、収容されたボール110は、前面上部の各フラップ11,33,43と、第3前フラップ24と、後面の各折曲片17,27,37,47とに同時に接している必要はない。ボール110が前方へ移動しようとしたときに、前面上部の各フラップ11,33,43および第3前フラップ24への当接によって前方への転がりが抑えられ、ボール110が後方へ移動しようとしたときに、後面の各折曲片17,27,37,47への当接によって後方への転がりが抑えられればよい。こうした前面および後面での転がりの規制が可能な範囲の直径を有するボール110であれば、小径状態のボール包装箱100に収容することができる。
【0082】
さらに、小径状態においては、第2前フラップ23と第3前フラップ24とのなす角βが、角部Caの端部が切り欠き32n,42n内に位置する範囲で、変化し得る。言い換えれば、第3前フラップ24の傾斜角度が変化可能である。
【0083】
具体的には、第3前フラップ24の傾斜角度は、第3前フラップ24の端部上面が切り欠き32n,42nの上辺に当接する角度から、第3前フラップ24の下面が第2前フラップ23の上面に接する角度まで、すなわち、上記角βが0°となるまで、変化可能である。そして、ブランク101の材料は、ボール包装箱100として組み立てられてボール110を保持できる程度の剛性を有していることから、第2前フラップ23と第3前フラップ24とからなる角部Caでは、山折りされている角部Caが開こうとする復元力が働く。
【0084】
したがって、ボール110の直径に応じてボール110が第3前フラップ24を押し下げる一方で、第2前フラップ23と第3前フラップ24とからなる構造がばねのように機能して、第3前フラップ24がボール110の前面下部を押し上げる力が働く。これにより、ボール110が第3前フラップ24に支持される。すなわち、ボール110の直径に応じて第3前フラップ24の傾斜角度が変化し、ボール110の直径に応じた高さで第3前フラップ24がボール110の前面下部を支持する。
【0085】
それゆえ、小径状態のボール包装箱100は、大径状態よりも小さい直径のなかでも、複数の直径のボール110に対応して、各直径のボール110を的確に保持することができる。
【0086】
なお、切り欠き32n,42nの形状によっては、第2前フラップ23の傾斜角度を変化可能とすることで、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角αを変化可能とすることもできる。第1前フラップ22と第2前フラップ23とからなる角部Cbにも、谷折りされている角部Cbが開こうとする復元力が働くことから、第2前フラップ23の傾斜角度が変化可能であれば、第1前フラップ22と第2前フラップ23と第3前フラップ24とからなる構造がばねのように機能することにより、第3前フラップ24の移動し得る範囲が広がる。それゆえ、より広い範囲の直径のボール110を的確に保持することができる。
【0087】
図21を参照して、第2前フラップ23および第3前フラップ24の傾斜角度の規定に関し、規制片32,42が有する切り欠き32n,42nの好適な形状を説明する。以下では、切り欠き32nを例に説明するが、切り欠き42nは、上下方向を対象軸として切り欠き32nの形状を反転させた形状を有する。なお、
図21では、切り欠き32nの形状を明瞭に示すために、各前フラップ22~24を、切り欠き32nを構成する辺から離して太線で示している。
【0088】
図21に示すように、切り欠き32nは、上辺32aと下辺32bとを含む辺によって区画された溝である。ボール包装箱100が組み立てられた状態において、上辺32aは、下辺32bの上方に位置する。
【0089】
上辺32aは、上下方向に対する第3前フラップ24の角度の上限、言い換えれば、第2前フラップ23と第3前フラップ24とのなす角βが大きくなる方向への第3前フラップ24の開度の上限を規定する。すなわち、第3前フラップ24の傾斜角度は、第3前フラップが上辺32aに当たるまで大きくなることが可能であり、小径状態にてボールが収容されていないとき、第3前フラップ24の傾斜角度は最大となる。
【0090】
下辺32bは、上下方向に対する第2前フラップ23の角度の上限、言い換えれば、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角αの下限を規定する。切り欠き32nが、上辺32aと下辺32bとによって区画されるV字状を有するとき、第2前フラップ23の角度および上記角αは一定であり、これらは、下辺32bと上辺32aとの角度およびV字の頂点部の位置によって規定される。なお、V字の頂点部は、ブランク101の厚さに応じて第2前フラップ23と第3前フラップ24とからなる角部を保持し得る幅を有している。
【0091】
ボール包装箱100が組み立てられた状態において、上下方向に対する上辺32aの角度θ1は、90°以下であり、好ましくは90°未満である。また、ボール包装箱100が組み立てられた状態において、上下方向に対する下辺32bの角度θ2は、0°よりも大きい。すなわち、ボール包装箱100が小径状態に組み立てられ、かつ、ボールが収容されていない状態において、上下方向に対する第3前フラップ24の角度は、90°以下、好ましくは90°未満であり、上下方向に対する第2前フラップ23の角度は、0°よりも大きい。上記の各角度は、下方向を0°とし、下方向に対する上方向を180°とする角度であって、0°からボール包装箱100の後方に向けて(図中において左回りに)角度が正に大きくなる。
これにより、第2前フラップ23と第3前フラップ24とからなる構造がばねのように機能し、第3前フラップ24がボールの前面下部を押し上げる機能が発揮される。
【0092】
以上のように、本実施形態によれば、2種類の組立方法を用いることにより、直径の異なる複数の種類のボール110を、共通するブランク101から組み立てられたボール包装箱100に収容することができる。
【0093】
例えば、ブランク101の組立方法を変えることで、互いに異なる号数のボール110をボール包装箱100に収容できる。さらに、ブランク101自体の大きさを変更することで、より多くの種類のボール110に対応可能である。サイズの異なるブランクは、ブランク101と基本的には相似形状であるが、組み立て後にボール110と接する円弧状の辺の曲率は異なっていてもよい。
【0094】
以上、本実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)罫線62cでの第2前フラップ23の折り曲げ角度および罫線62dの折り曲げ状態の変更によって、ボール包装箱100内でのボール110の支持位置が切り換えられる。そのため、直径の異なる複数の種類のボール110を、共通するブランク101から組み立てられたボール包装箱100に収容することができる。したがって、直径の異なるボール110ごとに別々のブランクおよびボール包装箱を用意する必要がないため、ブランク101の製造およびボール包装箱100の管理の効率が高められる。
【0095】
(2)小径状態において、上下方向に対する第2前フラップ23の角度は0°よりも大きく、上下方向に対する第3前フラップ24の角度は90°以下であり、第2前フラップ23に対する第3前フラップ24の角度が変化可能である。これにより、第2前フラップ23と第3前フラップ24とからなる構造がばねのように機能するため、大径状態よりも小さい直径のなかでも、複数の直径のボール110に対応して、各直径のボール110を的確に保持することができる。
【0096】
(3)小径状態において、第2前フラップ23と第3前フラップ24とが形成する角部Caが、規制片32,42の切り欠き32n,42nに係止される。これにより、第2前フラップ23および第3前フラップ24が折り返された状態が的確に保持される。
【0097】
(4)規制片32,42が第1前フラップ22に当接することにより、下壁20に対する第1前フラップ22の角度が的確に規定される。
(5)第1前フラップ22の側端に右端片28および左端片29が設けられているため、各端片28,29を通じて、第1前フラップ22が右壁30および左壁40からも間接的に支持される。したがって、第1前フラップ22の角度を規定するための構造の安定性が高められる。
【0098】
(6)第1前フラップ22と各端片28,29との間の各罫線62e,62fが谷折りされる形態では、第1前フラップ22から下壁20までの空間に、右壁30または左壁40に沿わせて各端片28,29を差し込む作業が不要である。そのため、ボール包装箱100の前面下部の組み立てに要する労力の削減が可能である。
【0099】
(7)第1前フラップ22と各端片28,29との間の各罫線62e,62fが山折りされる形態では、各端片28,29が下壁20と第1前フラップ22との間の支持体として機能するため、第1前フラップ22の支持構造が強固になる。
【0100】
(8)折曲片17,27,37,47の折り曲げの有無によって、後面でのボール110の支持位置が変更される。そのため、前面下部の組立方法の変更のみによって収容可能なボール110の直径が切り換えられる場合と比較して、収容可能なボール110の直径の範囲をより広げることができる。
【0101】
(9)後面の各フラップ16,26,36,46および各折曲片17,27,37,47の先端辺が円弧状の部分を含むことから、当該先端辺がボール110に沿いやすい。それゆえ、後面でのボール110の安定した支持が可能である。
【0102】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、以下の変形例は互いに組み合わせて実施してもよい。
【0103】
・小径状態にて、第2前フラップ23および第3前フラップ24が折り返された構造が保持可能であれば、第2前フラップ23と第3前フラップ24とからなる角部Caは、その端部で規制片32,42の切り欠き32n,42nに係止されていなくてもよい。この場合、第2前フラップ23および第3前フラップ24は左右方向の全体に延びていなくてもよいし、第2前フラップ23および第3前フラップ24の形状は矩形形状でなくてもよい。
【0104】
・第1前フラップ22の側端には、右端片28および左端片29が設けられていなくてもよい。こうした構成によっても、規制片32,42が第1前フラップ22に当接することで、下壁20に対する第1前フラップ22の角度を規定することができる。さらには、第1前フラップ22の角度は、規制片32,42の当接とは異なる構造によって規定されてもよい。
【0105】
・上記実施形態では、小径状態にて、第2前フラップ23および第3前フラップ24の折り返しによって、ボール110を支持するばね状の構造を形成したが、第3前フラップ24に繋がった1以上のフラップをさらに折り返すことで、上記ばね状の構造を形成してもよい。すなわち、小径状態にて折り返されるフラップは3以上であってもよい。
【0106】
・前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の先端辺の少なくとも1つは、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。同様に、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の先端辺の少なくとも1つは、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。また、上折曲片17、下折曲片27、右折曲片37、および、左折曲片47の先端辺の少なくとも1つは、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。
【0107】
ただし、各先端辺が円弧状の部分を有していれば、ボール110と先端辺とが線状の領域で接することから、ボール110と先端辺とが点で接する場合と比較して、ボール110の位置が安定しやすい。
【0108】
・後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の少なくとも1つには、折曲片が延設されていなくてもよい。例えば、後上フラップ16および後下フラップ26、または、後右フラップ36および後左フラップ46のように、対向する2つの後フラップのみに折曲片が延設されていてもよい。こうした構成であっても、折曲片を延ばした小径状態において、上下または左右からボール110を支持することはできる。ただし、小径状態における後面でのボール110の支持をより安定させるためには、4つのフラップ16,26,36,46のすべてに折曲片が延設されていることが好ましい。
【0109】
・ボール包装箱は、前面下部が、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角αが鈍角であり、第2前フラップ23および第3前フラップ24が下壁20に沿って延ばされた状態で、かつ、後面が、折曲片17,27,37,47が延ばされた状態に組み立てられてもよい。また、ボール包装箱は、前面下部が、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角α、および、第2前フラップ23と第3前フラップ24とのなす角βが鋭角である状態で、かつ、後面が、折曲片17,27,37,47が折り曲げられた状態に組み立てられてもよい。これらの形態の利用によって、ボール包装箱に収容できるボールの直径をより細かく制御することができる。
【0110】
また、ボール包装箱の後面は、常に特定の位置でボールを支持するように構成されていてもよい。例えば、すべての折曲片17,27,37,47が設けられていなくてもよいし、後面は1つの平面であって開口を有していなくてもよい。
【0111】
後面の構成に関わらず、上記角αが鈍角であり、かつ、第2前フラップ23および第3前フラップ24が下壁20に沿って延びている状態が第1状態であり、上記角αおよび上記角βが鋭角である状態が第2状態である。
【0112】
要は、
図22に第1状態を示し、
図23に第2状態を示すように、ボール包装箱の前面下部にて一点鎖線で囲んだ範囲において実線で示す構造以外は、ボール包装箱の構成は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0113】
10…上壁
11…前上フラップ
16…後上フラップ
17…上折曲片
20…下壁
21…前壁
22…第1前フラップ
23…第2前フラップ
24…第3前フラップ
26…後上フラップ
27…上折曲片
28…右端片
29…左端片
30…右壁
31…右補助片
32…右規制片
32n…切り欠き
33…前右フラップ
36…後右フラップ
37…右折曲片
40…左壁
41…左補助片
42…左規制片
42n…切り欠き
43…前左フラップ
46…後左フラップ
47…左折曲片
100…ボール包装箱
101…ブランク
105…包装箱中間体