(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084477
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】フードロック解除ケーブルの配索構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20240618BHJP
B62D 25/12 20060101ALI20240618BHJP
E05B 77/06 20140101ALI20240618BHJP
【FI】
B62D25/08 D
B62D25/12 N
E05B77/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198764
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝口 真太朗
【テーマコード(参考)】
2E250
3D004
3D203
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ32
2E250LL15
2E250MM05
2E250QQ08
3D004BA02
3D004CA15
3D004DA11
3D004DA12
3D203AA01
3D203BB33
3D203BB43
3D203BB44
3D203CA23
3D203CA28
3D203DA23
3D203DA40
(57)【要約】
【課題】車両の衝突等の過度な衝撃においてもロック機構の意図しないエンジンフードのロック解除を防止することができるフードロック解除ケーブルの配索構造を提供する。
【解決手段】ロック解除ケーブル10の配索構造は、車体2のエンジンルーム5を取り囲むフレーム8と、フレーム8に沿って配索され、車室内の操作レバー17の操作によってエンジンフード3のロック機構9を操作するロック解除ケーブル10と、フレーム8よりも車外側において、フレーム8に取り付けられた周辺部品としてのヘッドランプユニット35と、を備えたロック解除ケーブル10の配索構造であって、フレーム8は、ヘッドランプユニット35に対向する位置であって、且つ、ロック解除ケーブル10の一部が配索される位置にフランジ31を有し、フランジ31は、ヘッドランプユニット35が衝突した際に変形して、ロック解除ケーブル10を拘束する形状を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のエンジンルームを取り囲むフレーム部材と、
前記フレーム部材に沿って配索され、車室内の操作レバーの操作によってエンジンフードのフードロック機構を操作するフードロック解除ケーブルと、
前記フレーム部材よりも車外側において、前記フレーム部材に取り付けられた周辺部品と、を備えたフードロック解除ケーブルの配索構造であって、
前記フレーム部材は、前記周辺部品に対向する位置であって、且つ、前記フードロック解除ケーブルの一部が配索される位置にフランジを有し、
前記フランジは、前記周辺部品が衝突した際に変形して、前記フードロック解除ケーブルを拘束する形状を有していることを特徴とするフードロック解除ケーブルの配索構造。
【請求項2】
前記フードロック解除ケーブルは、前記周辺部品が衝突した際の前記フランジの変形方向の内側に配索されていることを特徴とする請求項1に記載のフードロック解除ケーブルの配索構造。
【請求項3】
前記周辺部品は、ヘッドランプユニットであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフードロック解除ケーブルの配索構造。
【請求項4】
前記フードロック解除ケーブルは、金属製のワイヤからなるインナワイヤと、前記インナワイヤの外周側を被覆する樹脂製のアウタチューブと、を有することを特徴とする請求項1に記載のフードロック解除ケーブルの配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンフードのロック機構を解除操作するフードロック解除ケーブルの配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のエンジンルームの前部には、ロック機構が設けられている。ロック機構は、エンジンフードがエンジンルームを閉塞する際に、エンジンフードの前部に設けられたストライカに係合される。これにより、ロック機構は、エンジンルームの閉塞状態を維持する(エンジンフードをロックする)。このロック機構は、フードロック解除ケーブル(以降、ロック解除ケーブルと称す。)を介して車室内からの操作によってストライカとの係合状態を解除できる構造となっている。
【0003】
ロック解除ケーブルは、一般に、アウタチューブと、インナワイヤと、を備えて構成されている。アウタチューブは、ロック解除ケーブルの外周側を構成する。インナワイヤは、アウタチューブの内部に挿通されている。
【0004】
このように構成されるロック解除ケーブルにおいて、インナワイヤの一端がロック機構に接続され、他端が車室内の操作レバーに接続されている。このため、ロック解除ケーブルは、エンジンルームを取り囲む車体のフレーム部材等に沿わせて配索されている。この配索において、ロック解除ケーブルは、全体に弛みがないように、例えば、保持部材等によってロック解除ケーブルのアウタチューブを車体のフレーム部材等に固定されている。
【0005】
このように配索されるロック解除ケーブルは、例えば、フレーム部材等の固定部が変形すると、それに伴って変位する。そして、この変位によってロック解除ケーブルは、ロック機構側の接続部から外れる可能性があった。
【0006】
このような、ロック解除ケーブルの意図しない外れに対処するため、ロック解除ケーブルの配索構造として、従来様々な技術が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1(特許第4401708号公報)には、ロック機構側にケーブル保持用空所(溝)を設けたフランジを備え、ロック解除ケーブルの変位を規制してアウタチューブ(ロック解除ケーブル)の抜けを防止する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ロック解除ケーブルが配索されたフレーム部材等の外側に周辺部品が取り付けられている場合、衝突時等の衝撃によってロック解除ケーブルは、周辺部品によってエンジンルーム内に押し込まれる虞がある。このような場合、ロック解除ケーブルは、フレーム部材の変位量よりも大きな変位量にて変位する。
【0010】
すなわち、ロック解除ケーブルは、衝突時等の衝撃の大きさによっては、周辺部品によって強く押し込まれ、ロック機構側の接続部を強く引っ張る虞がある。この場合、ロック解除ケーブルは、ロック機構に対し、意図しないエンジンフードのロック解除動作を行う虞がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両の衝突等の過度な衝撃においてもロック機構の意図しないエンジンフードのロック解除を防止するためのフードロック解除ケーブルの配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によるフードロック解除ケーブルの配索構造は、車体のエンジンルームを取り囲むフレーム部材と、前記フレーム部材に沿って配索され、車室内の操作レバーの操作によってエンジンフードのフードロック機構を操作するフードロック解除ケーブルと、前記フレーム部材よりも車外側において、前記フレーム部材に取り付けられた周辺部品と、を備えたフードロック解除ケーブルの配索構造であって、前記フレーム部材は、前記周辺部品に対向する位置であって、且つ、前記フードロック解除ケーブルの一部が配索される位置にフランジを有し、前記フランジは、前記周辺部品が衝突した際に変形して、前記フードロック解除ケーブルを拘束する形状を有しているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフードロック解除ケーブルの配索構造によれば、車両の衝突等の過度な衝撃においてもロック機構の意図しないエンジンフードのロック解除を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車体前部のエンジンフードを開けた状態を示す斜視図
【
図2】車体前部のフレームに配索されたフードロック解除ケーブルを示す斜視図
【
図5】ラジエータコアアッパサイド、及び、アッパフレームの拡大図
【
図10】ヘッドランプユニット、及び、フレームの平面図
【
図11】ヘッドランプユニットが衝突によって、車体の内側に変位した際のフランジの変形状態を示す
図5のVII―VII断面図
【
図12】オフセット衝突した際のフレーム、及び、ロック解除ケーブルの変位を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の形態を説明する。
【0016】
なお、以下の説明に用いる図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものである。したがって、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるのもではない。
【0017】
本実施形態におけるフードロック解除ケーブルの配索構造を適用した車両用のフードロック装置の一例として、車両の前部に設けられるエンジンフードのロック装置の構成について説明する。なお、この本実施形態の車両は、運転席が左側にある左ハンドル車である。
【0018】
図1に示すように、車両1の車体2は、エンジンフード3と、エンジンルーム5と、を有して構成されている。
【0019】
エンジンフード3は、例えば、鋼板からなるアウタパネルとインナパネルとを有して構成されている。このエンジンフード3の後端部(車室側)の両端は、一対のヒンジ(図示せず)を介して車体2に揺動可能に支持されている。
【0020】
さらに、エンジンフード3には、ストライカ4が設けられている。ストライカ4は、例えば、棒状の部材を略U字形状に曲げて形成されている。このストライカ4は、エンジンフード3の前部の中央において、インナパネル側から突設されている。
【0021】
エンジンルーム5は、エンジンルーム5の内部を上方に開放する開口部7を有している。この開口部7は、エンジンフード3によって開閉することが可能となっている。
【0022】
開口部7は、
図2に示すように、エンジンルーム5を取り囲む車体2のフレーム8に沿って形成されている。このフレーム8は、複数のフレーム部材を連結して構成されている。
【0023】
具体的に説明すると、フレーム8は、フレーム部材として、例えば、ラジエータコアアッパ8aと、左右一対のラジエータコアアッパサイド8bと、左右一対のアッパフレーム8cと、を有している。
【0024】
ラジエータコアアッパ8aは、
図2に示すように、車体2の前部(開口部7の前部)において、車幅方向に延在されている。このラジエータコアアッパ8aは、例えば、
図4に示すように、天板部22と、前後一対の壁部23と、前後一対のフランジ24と、を有する。
【0025】
天板部22は、エンジンフード3の先端部の内面(インナパネル側)に対向する位置に形成されている。
【0026】
一対の壁部23は、天板部22の前後両端部から下側に延在されている。
【0027】
一対のフランジ24は、各壁部23の下端部から、車体2の前後方向に向けて延出されている。
【0028】
これらにより、ラジエータコアアッパ8aは、上方に突出する断面略ハット形状に形成されている。
【0029】
さらに、
図3に示すように、ラジエータコアアッパ8aには、上部及び前部が開放された凹部14が形成されている。この凹部14は、ラジエータコアアッパ8aの車幅方向の中央であって、且つ、エンジンフード3に取り付けられたストライカ4に対応する位置に形成されている。
【0030】
一対のラジエータコアアッパサイド8bは、
図2に示すように、ラジエータコアアッパ8aの両端部から車両後方へ向けて湾曲しながら延在されている。
【0031】
各ラジエータコアアッパサイド8bは、
図5,6,7に示すように、天板部25と、一対の壁部26と、フランジ27と、を有する。なお、ここでは、一例として、車体左前部のラジエータコアアッパサイド8bについて説明する。
【0032】
天板部25は、エンジンフード3の内面(インナパネル側)に対向する位置に形成されている。
【0033】
一対の壁部26は、天板部25の車外側及びエンジンルーム5側各端部からそれぞれ下側に延在されている。ここで、
図4,7に示すように、エンジンルーム5側の壁部26は、ラジエータコアアッパサイド8bの前端部及び後端部において一部切り欠かれている。
【0034】
フランジ27は、車外側に位置する壁部26の下端部から、車外側に向けて延出されている。
【0035】
一対のアッパフレーム8cは、
図2に示すように、各ラジエータコアアッパサイド8bの後端部から車両後方へ延在されている。
【0036】
各アッパフレーム8cは、
図5,7,8,9に示すように、天板部28と、壁部29と、底面部30と、フランジ31と、を有する。なお、ここでは、一例として、車体左前部のアッパフレーム8cについて説明する。
【0037】
天板部28は、エンジンフード3の内面(インナパネル側)に対向する位置に形成されている。
【0038】
壁部29は、天板部28の車幅方向の内側(エンジンルーム5側)の端部から下側に延在されている。
【0039】
底面部30は、壁部29の下端部から車幅方向の外側(車外側)に延在されている。
【0040】
フランジ31は、底面部30の車幅方向の外側の端部から、下側に延出されている。フランジ31の先端形状は、
図7に示すように、やや車内側に向かう円弧状の形状をなしている。
【0041】
このように構成された各フレーム部材において、ラジエータコアアッパ8aの左右端部とラジエータコアアッパサイド8bの前端部は、ラジエータパネルサイド20の上端部と共に、第1の連結部19を構成する。また、ラジエータコアアッパサイド8bの後端部とアッパフレーム8cの前端部は、第2の連結部21を構成する。
【0042】
具体的に説明すると、一対の第1の連結部19において、
図2,4に示すように、各ラジエータコアアッパサイド8bの天板部25は、ラジエータコアアッパ8aの天板部22に対して、下側から重ねられた状態にて当接されている。さらに、各ラジエータパネルサイド20の上端部は、各ラジエータコアアッパサイド8bの天板部25に対して、下側から重ねられた状態にて当接されている。そして、これら互いに当接された各部がスポット溶接等によって接合されることにより、第1の連結部19が構成されている。
【0043】
また、一対の第2の連結部21において、
図2,7に示すように、各アッパフレーム8cの一端の天板部28及び底面部30は、各ラジエータコアアッパサイド8bの他端の天板部25及びフランジ27に対して、下側から重ねられた状態にて当接されている。そして、これら互いに当接された各部がスポット溶接等によって接合されることにより、第2の連結部21が構成されている。
【0044】
このように構成された車体2の前部のフレーム8には、
図2,3,10に示すように、周辺部品としてのヘッドランプユニット35と、ロック装置6とが取り付けられている。
【0045】
ヘッドランプユニット35は、
図10に示すように、フレーム部材であるラジエータコアアッパサイド8b及びアッパフレーム8cよりも車外側において、ラジエータコアアッパサイド8b及びアッパフレーム8cに取り付けられている。
【0046】
具体的に説明すると、ヘッドランプユニット35は、光源を保持するハウジング36と、ハウジング36の前部を覆うレンズ37と、を有する。さらに、ハウジング36の上部には、前後一対のブラケット38が設けられている。
【0047】
前後一対のブラケット38は、ラジエータコアアッパサイド8bの天板部25及びアッパフレーム8cの天板部28にボルト締結されている。これにより、ヘッドランプユニット35は、フレーム8に取り付けられている。
【0048】
このようにヘッドランプユニット35がフレーム8に取り付けられた状態において、ハウジング36は、フランジ31の前端部に対向されている。これにより、ヘッドランプユニット35は、車両1のオフセット衝突等によって車体2の内側に変位した際に、フランジ31の前端部を車体2の内側に変形させることが可能となっている。すなわち、車体2の内側へのヘッドランプユニット35の変位により、フランジ31の前端部は、底面部30に当接する方向に変形することが可能となっている(
図11参照)。
【0049】
ロック装置6は、
図3に示すように、例えば、ラジエータコアアッパ8aの凹部14の車両前部の面に対し、ブラケット11によって取り付けられている。
【0050】
ロック装置6は、フードロック機構9(以降、ロック機構9と称す。)と、フードロック解除ケーブル10(以降、ロック解除ケーブル10と称す。)と、を有している。
【0051】
ロック機構9は、ラッチ12と、補助フック13と、を有する。
【0052】
ラッチ12は、ロック機構9の中央部において、ストライカ4の進入可能な位置に配置されている。ラッチ12は、ブラケット11の車両後方側の面(背面側)に対し、軸(図示せず)を中心に支持されている。
【0053】
さらに、ラッチ12は、バネ等(図示せず)の付勢力によって軸中心に正面視反時計回りに回動可能となっている。
【0054】
このような構造によってラッチ12は、ストライカ4に対して係合する際、バネの付勢力によりストライカ4側に付勢されている。これにより、ラッチ12は、ストライカ4に対し、係合可能となっている。
【0055】
すなわち、エンジンフード3によって開口部7を閉塞する際、ラッチ12は、ストライカ4と係合することによって開口部7の閉塞状態を維持することが可能となっている。
【0056】
補助フック13は、ラッチ12の上側に設けられている。また、補助フック13の先端は、ストライカ4に対して係合可能な形状をなしている。補助フック13は、ブラケット11の車両前方側の面に軸16を中心に支持されている。この補助フック13は、バネ等(図示せず)の付勢力によって軸16を中心に正面視反時計回りに回動可能となっている。さらに、補助フック13は、レバー15を一体的に有している。
【0057】
このような構造によって補助フック13は、ストライカ4とラッチ12との係合状態が解除された際にも、ストライカ4の上方向の移動量を規制するように機能する。
【0058】
具体的に説明すると、開口部7の閉塞状態を解除された際、エンジンフード3の前端部は、僅かに開いた状態となる。この状態においてストライカ4は、補助フック13に対し、係合可能な位置(ラッチ12の上側)に維持されている。これにより、ストライカ4の上方向(エンジンフード3の前端部を開く方向)の移動量は、補助フック13との係合によって規制されることが可能となっている。
【0059】
レバー15は、開口部7の閉塞状態を解除された際、前端部の僅かに開いた隙間から操作可能となっている。そして、レバー15の解除操作と共に、エンジンフード3の前端部を持ち上げられることより、エンジンフード3は、開口部7を開放することが可能となっている。
【0060】
ロック解除ケーブル10は、
図2に一部を破断して示すように、アウタチューブ10aと、インナワイヤ10bと、を有して構成されている。
【0061】
アウタチューブ10aは、例えば、樹脂製の湾曲可能な材料によって構成されている。アウタチューブ10aは、ロック解除ケーブル10の外周面(外皮)をなしている。
【0062】
インナワイヤ10bは、例えば、金属製の材料によって構成されている。インナワイヤ10bは、アウタチューブ10aの内部に摺動自在に挿通されている。
【0063】
このように構成されるロック解除ケーブル10のインナワイヤ10bの一端は、ロック機構9のラッチ12に接続されている(
図3参照)。
【0064】
一方、インナワイヤ10bの他端は、車室内の操作レバー17に接続されている(
図2参照)。このように、接続されるロック機構9のラッチ12は、操作レバー17の操作によって車室内から操作することが可能となっている。操作レバー17に対する操作により、インナワイヤ10bは、アウタチューブ10aの内部を進退移動する。これにより、ロック解除ケーブル10は、ラッチ12を動作させ、ラッチ12とストライカ4との係合状態を解除することが可能となっている。
【0065】
このロック解除ケーブル10は、フレーム8に沿って配索されている。
【0066】
具体的に説明すると、例えば、
図2,3,4に示すように、ロック解除ケーブル10の前部は、例えば、ラジエータコアアッパ8aの内部において、エンジンルーム5側の壁部23に沿って車幅方向に配索されている。なお、ロック解除ケーブル10は、例えば、クリップ等の保持部材40によって壁部23側に保持することが可能である。
【0067】
また、例えば、
図2,5,6に示すように、ロック解除ケーブル10の中途部は、ラジエータコアアッパサイド8bの下側において、第1の連結部19のエンジンルーム5側から、第2の連結部21の車外側に形成されるフランジ27の方向に向けて配索されている。
【0068】
また、例えば、
図2,5,7,9に示すように、ロック解除ケーブル10の後部は、第2の連結部21の近傍において、アッパフレーム8cの前端部に形成されたフランジ31に近接する位置に配索されている。より具体的には、ロック解除ケーブル10は、フランジ31よりもエンジンルーム5側において、フランジ31に近接する位置に配索されている。さらに、ロック解除ケーブル10は、第2の連結部21の後方において、フランジ31の下端を経由してアッパフレーム8cの車外側に配索されている。そして、ロック解除ケーブル10は、フランジ31の車外側の面に沿って配索されている。
【0069】
なお、フランジ31の車外側に沿って配索されるロック解除ケーブル10は、例えば、クリップ等の保持部材41によってフランジ31の車外側の面に保持することが可能である。
【0070】
これにより、ロック解除ケーブル10の一部は、ヘッドランプユニット35及びフランジ31よりもエンジンルーム5側に配索されている。
【0071】
このように配索されたロック解除ケーブル10は、例えば、オフセット衝突によってヘッドランプユニット35がエンジンルーム5側に変位した際に、フランジ31によって拘束される。すなわち、フランジ31の前端部は、車両1のオフセット衝突等によってヘッドランプユニット35が車体2の内側に変位した際に、
図11に示すように、車体2の内側に変形される。これにより、ロック解除ケーブル10の一部は、フランジ31によってアッパフレーム8cに拘束される。
【0072】
この場合において、フランジ31は、やや車内側に向かう円弧状の形状をなしている。これにより、フランジ31の前端部は、ヘッドランプユニット35によって車体2の内側に押し込まれる際、底面部30側に確実に変形することができる。
【0073】
また、フランジ31の一部に配索されるロック解除ケーブル10は、フランジ31の変形によって拘束される位置(変形方向の内側)に配索されている。これにより、ロック解除ケーブル10は、配索されたフランジ31の変形により、確実に拘束されることができる。
【0074】
このフランジ31による拘束により、ロック解除ケーブル10は、フレーム8と一体的に変位することができる。
【0075】
すなわち、ロック解除ケーブル10は、フレーム8に追従しながら変位することができる。したがって、ロック解除ケーブル10の変位量は、
図12に示すように、フレーム8の変位量と略同等の変位量に規制することができる。
【0076】
したがって、車両1がオフセット衝突等をした場合にも、ロック解除ケーブル10は、ヘッドランプユニット35等の周辺部品によって、過剰にエンジンルーム5側に押し込まれることが防止できる。
【0077】
すなわち、衝突時等において、インナワイヤ10bがラッチ12を動作させる牽引量まで牽引されることを防止できる。これにより、ロック解除ケーブル10の配索構造は、車両1の衝突等の過度な衝撃(オフセット衝突等)において、ロック機構の意図しないエンジンフード3のロック解除を防止することができる。
【0078】
また、この場合において、特に、本実施形態のロック解除ケーブル10の配索構造は、フランジ31の変形によってロック解除ケーブル10をフレーム8に拘束する構成を採用している。したがって、本実施形態の配索構造は、配索するための固定部材の個数を削減することができる。これにより、本実施形態の配索構造は、安価な配索構造であっても、意図しないエンジンフード3のロック解除を防止することができる。
【0079】
このような実施形態によれば、ロック解除ケーブル10の配索構造は、車体2のエンジンルーム5を取り囲むフレーム8と、フレーム8に沿って配索され、車室内の操作レバー17の操作によってエンジンフード3のロック機構9を操作するロック解除ケーブル10と、フレーム8よりも車外側において、フレーム8に取り付けられた周辺部品としてのヘッドランプユニット35と、を備えたロック解除ケーブル10の配索構造であって、フレーム8は、ヘッドランプユニット35に対向する位置であって、且つ、ロック解除ケーブル10の一部が配索される位置にフランジ31を有し、フランジ31は、ヘッドランプユニット35が衝突した際に変形して、ロック解除ケーブル10を拘束する形状を有する。これらの構成により、ロック解除ケーブル10の配索構造は、車両の衝突等の過度な衝撃においてもロック機構の意図しないエンジンフード3のロック解除を防止することができる。
【0080】
以上の実施の形態に記載した発明は、それらの形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0081】
また、上述の実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0082】
1・・・車両
2・・・車体
3・・・エンジンフード
4・・・ストライカ
5・・・エンジンルーム
6・・・ロック装置
7・・・開口部
8・・・フレーム
8a・・・ラジエータコアアッパ
8b・・・ラジエータコアアッパサイド
8c・・・アッパフレーム
9・・・ロック機構
10・・・ロック解除ケーブル
11・・・ブラケット
12・・・ラッチ
13・・・補助フック
14・・・凹部
15・・・レバー
16・・・軸
17・・・操作レバー
19・・・第1の連結部
20・・・ラジエータパネルサイド
21・・・第2の連結部
22・・・天板部
23・・・壁部
24・・・フランジ
25・・・天板部
26・・・壁部
27・・・フランジ
28・・・天板部
29・・・壁部
30・・・底面部
31・・・フランジ
35・・・ヘッドランプユニット
36・・・ハウジング
37・・・レンズ
38・・・ブラケット
40・・・保持部材
41・・・保持部材