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特開2024-8449不具合情報管理システム、及び不具合情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008449
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】不具合情報管理システム、及び不具合情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/36 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
G06F11/36 104
G06F11/36 164
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110338
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小久保 春奈
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GB08
5B042HH08
5B042JJ06
5B042KK15
5B042MA14
(57)【要約】
【課題】関連する不具合情報を抽出する。
【解決手段】不具合情報管理システムであって、プログラムを実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置を備え、前記記憶装置は、ソフトウェアに関するソフトウェア構成情報を保管するソフトウェア構成情報データベースと、ソフトウェアに関連する不具合情報を保管する不具合情報データベースとを格納し、不具合情報管理システムは、前記演算装置が、複数の前記ソフトウェア構成情報と複数の前記不具合情報とを比較し、複数の前記不具合情報のそれぞれとソフトウェアとの関係を判定し、前記ソフトウェアと関係がある不具合情報を配布する該非判定部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不具合情報管理システムであって、
プログラムを実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置を備え、
前記記憶装置は、ソフトウェアに関するソフトウェア構成情報を保管するソフトウェア構成情報データベースと、ソフトウェアに関連する不具合情報を保管する不具合情報データベースとを格納し、
不具合情報管理システムは、前記演算装置が、複数の前記ソフトウェア構成情報と複数の前記不具合情報とを比較し、複数の前記不具合情報のそれぞれとソフトウェアとの関係を判定し、前記ソフトウェアと関係がある不具合情報を配布する該非判定部を有することを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の不具合情報管理システムであって、
前記該非判定部は、前記ソフトウェア構成情報データベースに保管されたソフトウェア構成情報を参照して、前記不具合情報の配布先となるソフトウェアを特定することを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の不具合情報管理システムであって、
前記該非判定部は、前記不具合情報データベースに保管された不具合情報を参照して、配布する不具合情報を特定することを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の不具合情報管理システムであって、
前記該非判定部は、
新規ソフトウェアの作成時、及び作成済みのソフトウェアの変更時に、新しいソフトウェア構成情報をソフトウェア構成情報データベースに追加し、
前記新しく追加されたソフトウェア構成情報に基づいて、複数の不具合情報のそれぞれとソフトウェアとの関係を判定することを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の不具合情報管理システムであって、
前記該非判定部は、新規不具合情報の前記不具合情報データベースへの追加時、及び既存の不具合情報の更新時に、前記不具合情報データベースを参照して、複数の不具合情報のそれぞれとソフトウェアとの関係を判定することを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の不具合情報管理システムであって、
前記ソフトウェア構成情報及び前記不具合情報は、項目毎に分かれて構成されており、
前記該非判定部は、前記ソフトウェア構成情報と前記不具合情報とを前記項目毎に比較することを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の不具合情報管理システムであって、
前記該非判定部は、前記ソフトウェア構成情報の一部と前記不具合情報の一部とが一致しているかを前記項目毎に判定可能であることを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の不具合情報管理システムであって、
前記不具合情報は、当該不具合の影響を確認する際に参照される影響確認依頼情報と関連付けられることを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の不具合情報管理システムであって、
前記影響確認依頼情報は、ソフトウェアの不具合情報の影響確認を手順化した不具合影響確認フローを含むことを特徴とする不具合情報管理システム。
【請求項10】
不具合情報管理システムが実行する不具合情報管理方法であって、
前記不具合情報管理システムは、プログラムを実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成され、
前記記憶装置は、ソフトウェアに関するソフトウェア構成情報を保管するソフトウェア構成情報データベースと、ソフトウェアに関連する不具合情報を保管する不具合情報データベースとを格納し、
前記不具合情報管理方法は、
前記演算装置が、複数の前記ソフトウェア構成情報と複数の前記不具合情報とを比較し、複数の前記不具合情報のそれぞれとソフトウェアとの関係を判定し、前記ソフトウェアと関係がある不具合情報を配布することを特徴とする不具合情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、不具合情報を配布する不具合情報管理システム、及び不具合情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1には、「ソフトウェア配布先での使用者による環境チェック、前提条件判断を不要とし、かつソフトウェアを配布元から配布先に自動的に配布可能として配布先でのインストール操作を容易かつ簡便にできる」ことを課題とし、その解決手段として「ネットワークシステムを介し、ソフトウェアを配布するソフトウェア自動配布管理システムであって、配布先は、当該配布先のハードウェア環境及び又はソフトウェア環境に関する情報を収集し、配布元にその収集情報を通知する情報収集手段を備え、配布元は、情報収集手段から通知された情報に基づき、配布先に配布すべきソフトウェアの使用条件が配布先の環境に適合するか否かを判定する適合チェック手段と、適合チェック手段により環境に適合すると判定されたときには、当該ソフトウェアを配布先に配布する配布手段とを備え、ソフトウェアの自動的な配布を可能としたソフトウェア自動配布管理システム」が開示されている(特許文献1要約参照)。
【0003】
特許文献2には、「発生する可能性が高いと推測される不具合を把握することが可能な不具合特定装置、不具合特定方法及び不具合特定プログラムを提供する」ことを課題とし、その解決手段として、サーバ装置の構成情報、使用リソース情報及びログ情報を入力する入力部と、ソフトウェア不具合の不具合内容及び複数の発生条件を含む少なくとも1つの不具合情報を記憶する記憶部と、構成情報、使用リソース情報及びログ情報に基づいて、少なくとも1つの不具合情報に対して、複数の発生条件の各々を満たしているか否かの判定を行う判定部と、判定の結果に基づいて、発生することが予測されるソフトウェア不具合の不具合情報を特定する特定部と、特定された不具合情報に含まれる不具合内容を含む第1警告を出力する出力部と、を備える不具合特定装置が開示されている(特許文献2要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-301760号公報
【特許文献2】特開2021-128665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたソフトウェア自動配布管理システムでは、ソフトウェア配布時に過去に発生した不具合情報が障害条件ファイルから検索され、既知の障害が発生するか判定し、障害が発生する場合はメールなどでソフトウェア配布先に注意事項が通知されるが、実際に不具合情報の影響確認及び修補がされたかの追跡は考慮されていない。
【0006】
特許文献2に記載された不具合特定装置では、不具合情報の影響確認対象であるサーバ装置の構成情報、使用リソース情報及びログ情報に基づいて、影響がある不具合情報を特定し、警告をするが、事前にソフトウェアを実行し、ログを取得しなければ影響がある不具合情報を特定できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、不具合情報管理システムであって、プログラムを実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置を備え、前記記憶装置は、ソフトウェアに関するソフトウェア構成情報を保管するソフトウェア構成情報データベースと、ソフトウェアに関連する不具合情報を保管する不具合情報データベースとを格納し、不具合情報管理システムは、前記演算装置が、複数の前記ソフトウェア構成情報と複数の前記不具合情報とを比較し、複数の前記不具合情報のそれぞれとソフトウェアとの関係を判定し、前記ソフトウェアと関係がある不具合情報を配布する該非判定部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ソフトウェアを実行したログを取得しなくても、関連する不具合情報を抽出できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の不具合情報管理システムの構成を示す図である。
図2】実施例1の不具合情報と影響確認依頼情報の関係を示す図である。
図3】実施例1の不具合情報データベースの構成を示す図である。
図4】実施例1のソフトウェア構成情報の構成を示す図である。
図5】実施例1の影響確認依頼情報の構成を示す図である。
図6】実施例1の不具合情報管理装置を使用した不具合情報の配布処理のフローチャートである。
図7】実施例1の不具合情報の該非判定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて実施例を詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施例1の不具合情報管理システムの構成を示す図である。
【0012】
不具合情報管理システムは、不具合情報配布システム106とプロセス管理システム101a~101nを有する。
【0013】
本実施例では、不具合情報配布システム106の該非判定部107が、配布対象の不具合情報108とソフトウェア構成情報103に基づいて影響確認依頼情報110aを生成し、不具合情報を配布し、開発中又はリリース済みソフトウェアに不具合情報が示す不具合が及ぼす影響の確認の支援を、ソフトウェアを実行せずに可能とする。不具合情報配布システム106とプロセス管理システム101a~101nが取り扱うソフトウェアは、例えば、電子制御装置(車載ECU)や、他の計算機で実行されるものである。
【0014】
不具合情報は、ソフトウェア開発において使用するサードベンダ製の製品(ハードウェア、ソフトウェア、開発ツール)及び自社製ソフトウェア等の不具合に関する情報である。不具合情報の構成は、図3を参照して後述する。本明細書では、以降、ソフトウェア開発において使用されるサードベンダ製の製品(ハードウェア、ソフトウェア、開発ツール)及び自社製ソフトウェア等を、単に、ソフトウェア部品と称する。
【0015】
図1に示すプロセス管理システム101a~101nは、不具合情報配布対象のソフトウェアの開発プロセスの管理を支援する機能を提供するシステムであり、それぞれ、ソフトウェア開発で使用しているソフトウェア部品に関する情報の定義や、ソフトウェア開発において発生する作業タスクの定義や進捗管理等が含まれる。本実施例では、プロセス管理システム101a~101nはソフトウェア開発プロジェクトa~nの各々に対応して設けられ、複数のプロセス管理システム101a~101nに対して影響確認の支援が可能であるが、以後、一例としてプロセス管理システム101aについて説明する。
【0016】
図1に示すソフトウェア構成情報データベース102は、プロセス管理システム101aに設けられ、ソフトウェア構成情報を管理するデータベースシステムである。ソフトウェア構成情報は、ソフトウェア開発時に使用されるソフトウェア部品に関する情報を定義したものである。ソフトウェア構成情報の構成要素については、図4を参照して後述する。ソフトウェア構成情報103a~103cは、ソフトウェアの新規バージョン開発時に作成されるソフトウェア構成情報の一例である。
【0017】
図1に示す不具合情報データベース104は、不具合情報配布システム106に設けられ、不具合情報を管理するデータベースシステムである。不具合情報105a~105cは、不具合情報データベース104に保管された不具合情報の一例として、影響確認依頼情報を生成するために必要な不具合に関する情報である。
【0018】
不具合情報配布システム106の該非判定部107は、不具合情報データベース104とソフトウェア構成情報データベース102を所定のタイミング(例えば、所定の時間間隔で)監視している。該非判定部107は、ソフトウェア開発プロジェクトのメンバーから不具合情報の配布依頼を受けると、不具合情報データベース104から参照した配布対象の不具合情報108とソフトウェア構成情報データベース102から参照したソフトウェア構成情報103に基づいて、影響確認依頼情報110aをプロセス管理部109で管理される作業タスクとして生成し、生成した影響確認依頼情報110aを不具合情報として配布する。影響確認依頼情報110aの構成要素は図5を参照して後述する。
【0019】
まず、不具合情報配布システム106の該非判定部107は、不具合情報データベース104に保管された不具合情報105a~105cの中から配布対象となる不具合情報108を一件抽出し、ソフトウェア構成情報データベース102に保管された全てのソフトウェア構成情報103を取得する。
【0020】
次に、該非判定部107はソフトウェア構成情報データベース102に保管されている全てのソフトウェア構成情報105a~105cに対して、該非を判定し、配布対象の不具合情報108とソフトウェア構成情報103のうち一つでも構成要素が一致する場合、不具合情報配布システム106とプロセス管理システム101aの間で双方向の関連情報を付与し、影響確認依頼情報110aを生成する。該非判定の詳細な方法は図7を参照して後述する。これにより、開発中又はリリース済みのソフトウェアに影響がある不具合情報を効率的に入手できる。
【0021】
不具合情報配布システム106は、プロセッサ、メモリ、補助記憶装置及び通信インターフェースを有する計算機によって構成される。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する演算装置である。プロセッサが、各種プログラムを実行することによって、不具合情報配布システム106が提供する機能が実現される。なお、プロセッサがプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、ASIC、FPGA等のハードウェア)で実行してもよい。メモリは、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶デバイスであるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶デバイスであり、プロセッサが実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。補助記憶装置は、例えば、磁気記憶装置等の大容量かつ不揮発性の記憶デバイスであり、プロセッサが実行するプログラム及びプログラムの実行時にプロセッサが使用するデータを格納する。通信インターフェースは、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
【0022】
プロセッサが実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介して不具合情報配布システム106に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置に格納される。このため、不具合情報配布システム106は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0023】
不具合情報配布システム106は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された1又は複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。例えば、該非判定部107、不具合情報データベース104は、別個の物理的又は論理的計算機上で動作するものでも、複数が組み合わされて一つの物理的又は論理的計算機上で動作するものでもよい。
【0024】
図7は、不具合情報の該非判定の一例を示す図である。抽出した配布対象の不具合情報A701の構成情報が、ソフトウェア構成情報A702、ソフトウェア構成情報B703、及びソフトウェア構成情報C704の構成要素と一致しているかを判定する。ここで、本実施例では一例としてソフトウェア部品のバージョンを1、2、3、・・・nと1ずつ増加するものとし、1~5と記載した場合は、1から5が対象のバージョンとなるものとする。また、前記不具合情報A701のソフトウェア部品のベンダー名には正規表現(*)を使用している。ソフトウェア構成情報A702とは全ての構成要素が完全一致して、構成要素一致と判定される。また、ソフトウェア構成情報B703とはソフトウェア部品のベンダー名以外の構成要素が完全一致し、ソフトウェア部品のベンダー名は正規表現によって一致し、構成要素一致と判定される。一方、ソフトウェア構成情報C704とはソフトウェア部品のバージョンが不一致となり、構成要素不一致と判定される。
【0025】
図2は、不具合情報108と影響確認依頼情報110a~110nの関係を示す図である。一件の不具合情報108に対し、影響確認依頼を実施するソフトウェアごとに、影響確認依頼情報が生成される。また、不具合情報108と影響確認依頼情報110a~110nは、それぞれ不具合情報配布システム106とプロセス管理システム101aの間で、双方向の関連情報が保持されている。これによって不具合情報の影響確認が可能となり、修補がされたか不具合情報データベース104及びプロセス管理システム101aから双方向に追跡可能となる。
【0026】
図3は、本実施例における不具合情報データベース104と不具合情報データベース104に保管される不具合情報302a~302nの構成を示す図である。不具合情報302は複数(例えば、不具合情報302a~302n)あってもよい。本実施例では、一例として不具合情報302aについて説明する。不具合情報302aは、構成要素として、ソフトウェア部品の種別303、ソフトウェア部品のベンダー名304、ソフトウェア部品の機能305、ソフトウェア部品のバージョン306、不具合の識別子307、不具合の内容308、不具合の回避策309、及び不具合影響確認フロー310を定義したものである。不具合情報302aの構成要素303~309は不具合の発生時に不具合情報データベース104に保管される。ソフトウェア部品の種別303によっては、ソフトウェア部品の機能305とソフトウェア部品のバージョン306は含まれない場合もある。また、不具合情報302は、前述以外の構成要素を含んでもよい。
【0027】
不具合の識別子307は、例えば不具合の提供元から発行された一意のID等である。また、不具合影響確認フロー310は、ソフトウェアの不具合情報の影響確認を手順化し、ソフトウェア開発プロジェクトのメンバーのスキルにかかわらず不具合情報の影響を確認するため、不具合の内容308と不具合の回避策309に基づいて生成される。不具合影響確認フロー310は、不具合が該当する条件を示す論理式、又は自然言語311を一つ以上含み、ソフトウェア開発のエキスパートが作成する。
【0028】
図4は、本実施例におけるソフトウェア構成情報401の構成を示す図である。ソフトウェア構成情報401は、構成要素として、ソフトウェアの名称402、ソフトウェアリリースバージョン情報403、ソフトウェア部品の種別404、ソフトウェア部品のベンダー名405、ソフトウェア部品の機能406、及びソフトウェア部品のバージョン407を定義したものであり、該当ソフトウェア開発時に使用されたソフトウェア部品の情報を記載する。ソフトウェア部品の機能406とソフトウェア部品のバージョン407はソフトウェア部品の種別404によっては記載されない場合がある。また、ソフトウェア構成情報401は、前述以外の構成要素を含んでもよい。ソフトウェア構成情報401は、新規ソフトウェア開発開始時、及びソフトウェアの新規バージョン開発時に生成される。
【0029】
ソフトウェアの名称402は、複数のソフトウェアを一意に識別するための識別子である。
【0030】
ソフトウェアリリースバージョン情報403は、開発中、又は開発が終了したソフトウェアの全てのバージョンについて影響確認を依頼するための識別子である。
【0031】
図5は、本実施例における影響確認依頼情報501の構成を示す図である。影響確認依頼情報501は、構成要素として、不具合の識別子502、不具合影響確認フロー503、及び確認結果504を定義したものである。
【0032】
不具合の識別子502は、影響確認依頼情報生成時に影響確認依頼情報501の元となる不具合情報108の不具合の識別子307を取得して記載される。
【0033】
不具合影響確認フロー503は、影響確認依頼情報生成時に影響確認依頼情報501の元となる不具合情報108の不具合影響確認フロー310を取得して記載される。
【0034】
確認結果504は、ソフトウェアの不具合の影響確認実施時等に記載される。
【0035】
図6を参照して、本実施例における不具合情報管理装置を使用した不具合情報の配布処理について説明する。
【0036】
S601:不具合情報配布システム106の該非判定部107が、不具合情報データベース104に保管されている不具合情報105a~105cから、一件の配布対象の不具合情報108を参照する。この時、参照する不具合情報が無い場合、不具合情報は配布されない。
【0037】
S602:不具合情報配布システム106が、プロセス管理システム101aのソフトウェア構成情報データベース102に保管されているソフトウェア構成情報103を参照する。この時、参照するソフトウェア構成情報が無い場合、不具合情報は配布されない。
【0038】
S603:S601で参照した不具合情報108とS602で参照したソフトウェア構成情報103の構成要素がそれぞれ一致しているかを判定する。例えば、不具合情報108に含まれるソフトウェア部品の種別、ソフトウェア部品のベンダー名、ソフトウェア部品の機能、及びソフトウェア部品のバージョンが、ソフトウェア構成情報103に含まれるソフトウェア部品の種別、ソフトウェア部品のベンダー名、及びソフトウェア部品の機能、ソフトウェア部品のバージョンと、それぞれ一致しているかを判定する。このとき、不具合情報やソフトウェア構成情報の構成要素の記述を正規表現等で表現し、部分一致で判定してもよい。
【0039】
S604~S605:S601で参照した不具合情報108に含まれる不具合の識別子と不具合影響確認フローを影響確認依頼情報110aの構成要素の一部として記述する。更に、不具合情報配布システム106とプロセス管理システム101aの間で双方向の関連情報を付与することによって影響確認依頼情報110aを生成し、不具合情報を配布する。そして、影響確認依頼情報をプロセス管理システム101aに登録する。この一連の処理を不具合情報データベース104に保管されている全ての不具合情報について実行する。
【0040】
本実施例によって、ソフトウェアを実行したログを取得しなくても、関連する不具合情報を効率よく抽出できる。また、不具合の影響確認及び修補がされたかを、不具合情報データベース104及びプロセス管理システム101aのいずれからでも双方向に追跡できる。
【0041】
以上に説明したように、本発明の実施例によれば、ソフトウェアを実行したログを取得しなくても、関連する不具合情報を効率よく抽出できる。また、不具合情報の影響確認及び修補がされたかを、不具合情報データベース104及びプロセス管理システム101の双方から追跡できる。
【0042】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0043】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0044】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0045】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0046】
101a~101n プロセス管理システム
102 ソフトウェア構成情報データベース
103a~103c ソフトウェア構成情報
104 不具合情報データベース
105a~105c 不具合情報
106 不具合情報配布システム
107 該非判定部
108 配布対象の不具合情報
109 プロセス管理部
110a~110c 影響確認依頼情報
302a~302n 不具合情報
401 ソフトウェア構成情報
501 影響確認依頼情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7