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特開2024-84492アクロレインおよびアクリル酸の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084492
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】アクロレインおよびアクリル酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/35 20060101AFI20240618BHJP
   C07C 57/05 20060101ALI20240618BHJP
   C07C 51/21 20060101ALI20240618BHJP
   C07C 47/22 20060101ALI20240618BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240618BHJP
【FI】
C07C45/35
C07C57/05
C07C51/21
C07C47/22 A
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198792
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(72)【発明者】
【氏名】岡村 淳志
(72)【発明者】
【氏名】井形 直央
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC44
4H006AC46
4H006BA02
4H006BA10
4H006BA13
4H006BA14
4H006BA19
4H006BA20
4H006BA21
4H006BA30
4H006BB61
4H006BB62
4H006BC10
4H006BE30
4H006BS10
4H039CA62
4H039CA65
(57)【要約】
【課題】触媒層内の温度上昇を抑制し、触媒性能が優れ、高い収率でアクロレインおよびアクリル酸を製造可能なアクロレイン及びアクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】触媒存在下、反応ガスと分子状酸素とを接触させる反応工程を含むアクロレイン及びアクリル酸を製造する方法であって、触媒層に導入する該反応ガスに含まれるプロピレン濃度が1~10モル%およびイソプロピルアルコール濃度が0.01~8モル%である、アクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒存在下、反応ガスと分子状酸素とを接触させる反応工程を含むアクロレイン及びアクリル酸を製造する方法であって、触媒層に導入する該反応ガスに含まれるプロピレン濃度が1~10モル%およびイソプロピルアルコール濃度が0.01~8モル%である、アクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
【請求項2】
前記反応工程の反応温度が200℃~420℃である、請求項1に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
【請求項3】
前記反応工程における反応の空時収量が100kg/(m・h)以上である請求項1又は2に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
【請求項4】
前記イソプロピルアルコールがバイオマス由来とする、請求項1又は2に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
【請求項5】
前記プロピレンがバイオマス由来とする、請求項1又は2に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクロレインおよびアクリル酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管式反応器を用いて、アクロレインおよびアクリル酸を製造する方法に関しては数多くの提案がなされている。特許文献1では触媒が充填された反応管中でプロピレンを分子状酸素により気相接触酸化してアクロレイン及びアクリル酸を製造する方法が開示されている。特許文献2では触媒が充填された反応管中でイソプロピルアルコールを分子状酸素により気相接触酸化してアクロレイン及びアクリル酸を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-155470
【特許文献2】特開2015-160807
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1のようにプロピレンを分子状酸素により気相接触酸化してアクロレインおよびアクリル酸を製造する方法については、反応時の発熱量が大きいため、触媒層内に異常高温部が発生しやすく、異常高温部での暴走反応や触媒の劣化が起こる懸念がある。
【0005】
前述の特許文献2のようにイソプロピルアルコールを分子状酸素により気相接触酸化してアクロレインおよびアクリル酸を製造する方法については、収率が低い課題がある。
【0006】
上記の通り、アクロレインおよびアクリル酸を製造する方法はいくつか知られているが、高い収率を維持しながら触媒層内の温度を抑制して安定的にアクロレインおよびアクリル酸を製造するには改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に想到した。すなわち本発明は、触媒存在下、反応ガスと分子状酸素とを接触させる反応工程を含むアクロレイン及びアクリル酸を製造する方法であって、触媒層に導入する該反応ガスに含まれるプロピレン濃度が1~10モル%およびイソプロピルアルコール濃度が0.01~8モル%である、アクロレイン及びアクリル酸の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示は高いアクロレインおよびアクリル酸の収率を保持しながらかつ、触媒層内の温度上昇を抑制し、触媒性能が優れ、高い収率を維持しながら安定してアクロレインおよびアクリル酸を製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を詳細に説明する。なお、以下において記載する本開示の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本開示の好ましい形態である。なお、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、「X以上Y以下」を意味する。
【0010】
[本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法]
<触媒>
本開示の製造方法に用いる触媒には特に制限はなく、プロピレンまたはイソプロピルアルコールを分子状酸素により気相接触酸化してアクロレインおよびアクリル酸を製造できるものであればよいが、アクロレインおよびアクリル酸収率が高いものが好ましい。
【0011】
本開示の触媒は、特に限定されないが、各種金属元素を有すればよく、例えば、Mo、Bi、Fe、Co、Ni、Si、Al、Tiが挙げられる。より好ましくは、Bi、Fe、Co、Niである。
【0012】
本開示の触媒に含まれる金属に由来する化合物としては、Biが含まれる場合、例えば、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等、Feが含まれる場合、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等、Coが含まれる場合、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等、Niが含まれる場合、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
【0013】
本開示の触媒には、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含んでいてもよい。
【0014】
本開示の触媒の形状は特に制限されないが、例えば、球状、円筒状、ペレット状、リング状、馬蹄形などを用いることができる。触媒自体を上記形状に成型して使用してもよく、所定の形状の担体に担持して用いることが出来る。
【0015】
担体としては、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、チタニア、マグネシア、ステアタイト、コージェライト、シリカ-マグネシア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ゼオライト等が挙げられる。
【0016】
触媒層に充填する触媒の形状は同一でも、あるいは異なっていても良いが、同一形状の触媒を充填するのが好ましい。
【0017】
<プロピレンとイソプロピルアルコールと分子状酸素の接触>
本開示の製造方法では、触媒存在下で、プロピレンおよびイソプロピルアルコールを含む反応ガスと分子状酸素と接触させる工程(以下、反応工程という場合もある)を含む。
【0018】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法は、反応工程において、原料に水蒸気や、窒素やヘリウム等の不活性ガスを含んでいても良い。
【0019】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法は、気相反応が好ましい。気相反応による反応形式としては、固定床、移動床、流動床などが挙げられるが、より簡便な固定床形式が好ましい。
【0020】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸製造方法が固定床形式である場合、反応ガスはガス状のイソプロピルアルコールとプロピレンと分子状酸素を混合してから反応器へ供給して触媒と接触させても良く、ガス状のイソプロピルアルコールとプロピレンと分子状酸素を別々に反応器へ供給して触媒と接触させてもよい。ここで、反応ガスとは、通常は反応器入口部分のガスのことをいう。
【0021】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法が、気相接触反応である場合、通常の単流通法でも、あるいはリサイクル法であっても良い。
【0022】
ガス状のイソプロピルアルコールは、例えば、気化装置にて液体のイソプロピルアルコールを加熱することにより得られる。
【0023】
反応ガスには酸素を含んでいればよく、水蒸気や、窒素やヘリウム等の不活性ガスを含んでいても良い。
【0024】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法は、該反応に用いられる分子状酸素は分子状酸素そのものであっても良いし、空気などの分子状酸素を含むガスであってもよい。
【0025】
反応ガスに含まれるプロピレン濃度は、1~10モル%であることが好ましく、より好ましくは2~9モル%である。反応ガスに用いるプロピレンは、特に限定されない。原油由来のプロピレンや、バイオマス原料を発酵することによって得られるバイオイソプロピルアルコールを脱水反応することにより得られるバイオプロピレンや、バイオエタノールを触媒反応することによって得られるバイオイソプロピルアルコールを脱水反応することにより得られるバイオプロピレンや、バイオアセトンを触媒反応することによって得られるバイオイソプロピルアルコールを脱水反応することによって得られるバイオプロピレンや、エタノールを触媒反応させて得られるプロピレン、などが挙げられる。
【0026】
反応ガスに用いるプロピレンには、バイオプロピレンが含まれていることがより好ましい。プロピレン100質量%に含まれるバイオプロピレンの含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは75質量%であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0027】
反応ガスに含まれるイソプロピルアルコール濃度は、0.01~8モル%であることが好ましく、より好ましくは0.1~7モル%である。反応ガスに用いるプロピレンは、特に限定されない。プロピレンの水和反応により得られるイソプロピルアルコールや、バイオマス原料を発酵することによって得られるバイオイソプロピルアルコールや、バイオエタノールを触媒反応することによって得られるバイオイソプロピルアルコール、バイオアセトンを触媒反応することによって得られるバイオイソプロピルアルコール、などが挙げられる。
【0028】
反応ガスに用いるイソピロピルアルコールには、バイオイソプロピルアルコールが含まれていることがより好ましい。イソプロピルアルコール100質量%に含まれるバイオイソプロピルアルコールの含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは75質量%であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0029】
反応ガスに含まれる分子状酸素濃度は、1モル%~25モル%であることが好ましく、より好ましくは2モル%~20モル%である。
【0030】
反応ガスに水蒸気を含んでいてもよい。反応ガスに含む水蒸気量としては、0~30モル%であることが好ましく、より好ましくは、0~25モル%である。プロピレンおよびイソプロピルアルコールと分子状酸素との接触における反応基質ではないが、この出口ガス(以下、反応器出口ガスという場合もある)に含まれるアクロレインをアクロレイン酸化触媒に接触させることにより、出口ガス中のアクロレインをアクリル酸に変換することもできる。その際には、水蒸気濃度が高いほどアクロレイン酸化触媒の活性が高くなる傾向がある。
【0031】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法における反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも実施できるが、0.05MPa~1.0MPaであることが好ましく、より好ましくは0.1MPa~0.2MPaである。
【0032】
本開示の製造方法における反応温度は200~420℃が好ましく、より好ましくは250℃~400℃である。
【0033】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法における触媒層内部の温度について、最も温度が高い場所の温度は420℃以下が好ましく、より好ましくは400℃以下である。
【0034】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法では、反応ガスの空間速度は、300~50000h‐1であることが好ましく、より好ましくは500~4000h‐1である。
【0035】
本開示のアクロレインおよびアクリル酸の製造方法では、空時収量(STY[Standard Time Yield]:単位時間において単位体積の触媒が製造するアクロレインおよびアクリル酸量)は100kg/(m・h)以上が好ましく、より好ましくは200kg/(m・h)以上である。
【0036】
<その他工程>
本開示の反応工程後の出口ガスから、分離精製してアクロレイン又はアクリル酸を得ることができる。分離する方法は、特に限定されないが、例えば、蒸留、蒸発、晶析など、通常用いられる方法が挙げられる(精製工程)。
【0037】
本開示のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法において、反応工程後の出口ガスに含まれるアクロレインを、分子状酸素と接触させて、アクリル酸を生成する工程を含んでいてもよい(第二反応工程)。
【0038】
本開示のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法において、触媒の活性に変化が見られた場合は、触媒を再生する工程を含んでいてもよい(触媒再生工程)。
【0039】
[本開示のアクロレインおよびアクリル酸製造装置]
製造装置として、固定床反応器、流動床反応器、移動床反応器等の公知の反応器を用いることができるが、操作性の観点から、好ましくは、固定床型の反応器である。反応ガスを得るための気化装置を連結していてもよい。製造装置の材質としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、鉄またはステンレス鋼が挙げられる。ステンレス鋼の代表例としては、オーステナイト系ステンレス鋼、例えば日本工業規格(以下、JISとも表す)のSUS304、SUS304L、SUS316およびSUS316L;フェライト系ステンレス鋼、例えば、JISのSUS405,SUS401LおよびSUS430;マルテンサイト系ステンレス鋼、例えば、JISのSUS403、SUS410、SUS416およびSUS431等を挙げることができる。
【0040】
<好ましい形態の例示>
本開示のアクロレインおよびアクリル酸製造方法の好ましい形態として、以下の[1]~[5]が例示される。
[1]触媒存在下、反応ガスと分子状酸素とを接触させる反応工程を含むアクロレイン及びアクリル酸を製造する方法であって、触媒層に導入する該反応ガスに含まれるプロピレン濃度が1~10モル%およびイソプロピルアルコール濃度が0.01~8モル%である、アクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
[2]前記反応工程の反応温度が200℃~420℃である、前記[1]に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
[3]前記反応工程における反応の空時収量が100kg/(m3・h)以上である前記[1]又は[2]に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
[4]前記イソプロピルアルコールがバイオマス由来とする、前記[1]~[3]のいずれかに記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
[5]前記プロピレンがバイオマス由来とする、前記[1]~[4]のいずれかに記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
【実施例0041】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0042】
(実施例1)
純水400gに硝酸コバルト(II)六水和物340gおよび硝酸ニッケル(II)六水和物82gを溶解し、CoおよびNi水溶液を調製した。次に、硝酸第二鉄(硝酸鉄(III)九水和物)99gおよび硝酸ビスマス(III)五水和物119gを、65質量%の硝酸65gと純水300gとからなる硝酸水溶液に溶解し、FeおよびBi水溶液を調製した。純水1500gにパラモリブデン(VI)酸アンモニウム四水和物400gを添加し、攪拌しながら溶解し、Mo水溶液を調製した。CoおよびNi水溶液に上記別途調製したFeおよびBi水溶液とMo水溶液とを滴下、混合し、次いで酸化チタン3gを混合し、次いで硝酸カリウム1.9gを純水30gに溶解した水溶液を添加し、懸濁液(原料混合物)を得た。得られた懸濁液を加熱、ケーキ状になるまで攪拌した後、自然冷却し、塊状の固形物を得た。
塊状の固形物をトンネル型乾燥機に搬入し、170℃で14時間乾燥後に、500μm以下に粉砕し、触媒前駆体の粉体を得た。転動造粒機に平均粒径5.0mmのアルミナ球状担体300gを投入し、次いで結合剤として20質量%の硝酸アンモニウム水溶液とともに触媒前駆体の粉体を徐々に投入して、触媒前駆体を担体に担持させた後、空気雰囲気下470℃で6時間焼成して触媒を得た。
全長3000mm、内径25mmのステンレス製反応管およびこれを覆う熱媒体を流すためのシェルからなる反応器を鉛直方向に用意し、反応管の上部から該触媒を落下させ、総長が2500mmとなるように充填した。
触媒を充填した反応器の下部より、プロピレン7容量%、イソプロピルアルコール2容量%、酸素15容量%、水蒸気4容量%、残部が窒素からなる混合ガスを空間速度1600/hr(標準状態)で導入し、熱媒体温度310℃にてアクロレイン及びアクリル酸合成反応を行った。
反応開始12時間後のプロピレン転化率、イソプロピルアルコール転化率、アクロレイン+アクリル酸収率、触媒層内最高温度を測定した。結果を表1に示した。
ここで、プロピレン転化率、イソプロピルアルコール転化率、アクロレイン+アクリル酸収率は、式(1)、(2)、(3)のように算出した。



反応器出口ガスは、氷水浴に配置した純水入りの吸収瓶に導入して水により捕集された成分をガスクロマトグラフで定量した。純水入りの吸収瓶で捕集されなかった成分については、吸収瓶出口ガスをガスクロマトグラフに導入して定量した。これら分析値から反応器出口ガスに含まれる各成分の流速を算出し、上記式(1)、(2)、(3)によりプロピレン転化率及びイソプロピルアルコール転化率、アクロレイン+アクリル酸収率を求めた。また、触媒層の温度について、触媒層入口部分から出口部分までを50mm間隔で温度を測定し、最も高い温度を触媒層最高温度とした。実験結果を下記の表1に記した。
【0043】
(実施例2)
反応器へ導入するガス組成が、プロピレン8容量%、イソプロピルアルコール1容量%、酸素15容量%、水蒸気4容量%であること以外は実施例1と同様にしてアクロレイン及びアクリル酸合成反応を行い、反応開始12時間後のプロピレン転化率、イソプロピルアルコール転化率、アクロレイン+アクリル酸収率、触媒層内最高温度を測定した。実験結果を下記の表1に記した。
【0044】
(比較例1)
反応器へ導入するガス組成が、プロピレン9容量%、イソプロピルアルコール0容量%、酸素15容量%、水蒸気4容量%であること以外は実施例1と同様にしてアクロレイン及びアクリル酸合成反応を行い、反応開始12時間後のプロピレン転化率、イソプロピルアルコール転化率、アクロレイン+アクリル酸収率、触媒層内最高温度を測定した。実験結果を下記の表1に記した。
【0045】
(実施例3)
反応器へ導入するガス組成が、プロピレン7容量%、イソプロピルアルコール0.01容量%、酸素15容量%、水蒸気4容量%であること以外は実施例1と同様にしてアクロレイン及びアクリル酸合成反応を行い、反応開始12時間後のプロピレン転化率、イソプロピルアルコール転化率、アクロレイン+アクリル酸収率、触媒層内最高温度を測定した。実験結果を下記の表1に記した。
【0046】
(比較例2)
反応器へ導入するガス組成が、プロピレン0容量%、イソプロピルアルコール7容量%、酸素15容量%、水蒸気4容量%であること以外は実施例1と同様にしてアクロレイン及びアクリル酸合成反応を行い、反応開始12時間後のプロピレン転化率、イソプロピルアルコール転化率、アクロレイン+アクリル酸収率、触媒層内最高温度を測定した。実験結果を下記の表1に記した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1からわかるように、プロピレンにイソプロピルアルコールを混合することで触媒層内の最高温度が抑制され、高いアクロレインおよびアクリル酸収率を保持しながらアクロレイン及びアクリル酸の製造を行うことができる。